柏崎刈羽原発 地震被害 報道・発表 まとめ

2007-08-10 報道・発表まとめ

最終更新:

kknpnews

- view
管理者のみ編集可

< 2007-08-09 | 2007-08-11 >


目次

プラント状況

東京電力 新潟県中越沖地震の影響について(午後2時現在) 
・地震発生時に原子炉建屋オペフロにいた作業員を13名追加し、作業員計65名に訂正。なお、追加した13名は原子炉建屋オペフロにおいて、定期検査準備作業および燃料交換機点検作業に従事。使用済燃料プールからの水の飛散は受けなかった。
・1,2号機においては地震により退出モニタが1台を除き故障したため、人身安全の観点から当社の指示により、汚染エリアで使用する作業服(C服)を着用した作業員がいないことを確認の上、作業員(約400名)を退出モニタを使用せずに管理区域から退域させた。なお、これは緊急時の措置として定めている。
東京電力 柏崎刈羽原子力発電所における新潟県中越沖地震に伴う「原子炉施設故障等報告及び電気関係事故報告」の提出について 
「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第 62 条の 3」 および 「電気事業法に基づく電気関係報告規則第 3 条」 の規定に基づく報告 (7 月 25 日) の続報として。

★地震時の炉内状況を示すデータが添付されている。

★上記ページからリンクされていないもの。

原子力安全・保安院 平成19年新潟県中越沖地震における東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所の影響について(第19報) 
上記東電報告を受けての保安院のプレスリリース (2.8MB, 150 ページ)。東電プレスリリースにはない点検・復旧予定に関する情報も含まれている。

1, 2 号機、汚染モニター故障、400 人が放射線測定をせずに退避

400人が放射線チェックせずに退避 柏崎刈羽原発 (朝日、20:56) 
「1、2号機では424人が避難しようと出口に殺到したが、7台の放射線測定器のうち6台が故障したため、約400人が測定をせずに外に出た。 使用済み燃料プールの近くでの作業中に、放射性物質を含む水をかぶるなどした12人は携帯型の測定器で測り、異状のないことを確かめたという。」
「2号機では原子炉の水位を調節するポンプが故障し、マニュアルに従って緊急炉心冷却システム [ECCS] のポンプを手動で動かして水位を調節。 水位低下で燃料が露出するような事態を避けた。 保安院では 『問題ないと考えるが念のため専門家にも意見を聴く』 としている。」
400人が汚染測らず退避 柏崎刈羽原発で地震時 (共同、21:27) 
「東電によると、計測なしで退出した作業員がいたのはもともと汚染のない区域で、退避した経路の床にも汚染はなかったという。」
汚染モニターが故障 作業員、測定受けず (毎日、22:28) 
「特に汚染の高い区域で働いていた作業員はいなかったため、問題はないとしている。 しかし原子力安全・保安院は 『汚染の高い区域にいなかったのは結果論だ』 と指摘し、対策を検討すべきだとしている。 故障は部品がずれたのが原因で、地震当日の夜には直った。」 「モニター故障はまもなく直ったのを理由に、最低ランクの 『D』 と位置付けている。」

2 号機、水位を調節するポンプが故障。 ECCS を手動で起動

自動停止時、ポンプ故障=水位制御に手間取る-柏崎刈羽原発2号機・東電 (時事、20:47) 
「2号機の原子炉内水位を調節するポンプが故障して水位制御に手間取り、緊急炉心冷却装置(ECCS)の一部を手動起動していたことが分かった。」 「水位は安全な範囲で推移しており、保安院は 『(ECCSを)給水ポンプの一つとして起動したもので、問題はない』 としている。」
原子炉停止後、冷却装置を手動で使用…柏崎刈羽原発 (読売、23:39) 
「東電は10日、地震で原子炉が自動停止した後、炉内の水位低下防止のため緊急炉心冷却装置(ECCS)を手動で使っていたことを明らかにした。」 保安院、『ECCSを手動で使うこと自体は問題ないが、今回はそのせいで逆に水位が上がり過ぎた場面もあり、本当に使う必要があったのか検証したい』。
地震直後、緊急炉心冷却装置を手動で作動 (毎日、23:57) 
「東電が同日、保安院に詳細なデータを報告した。 地震当時、原子炉を起動する途中だった2号機は、揺れを受けて核反応が自動的に停止した。 一方で、原子炉の水をくみ出すポンプが故障。炉内の水位が約50分間にわたって上昇し続けた。」 「運転員は対策として、炉内の蒸気を排出したが、今度は水位が急速に下がった。このため、ECCSを手動で2回使って水を補給した。」 「ポンプの故障は電気的な誤信号が原因で、地震当日の夜に直った。ポンプは強い地震でも水漏れしないよう設計されていたが、誤信号防止などの対策がなかった。」 「ECCSは、炉の水位が大きく下がると自動的に働くが、今回は最低になった時でも自動起動する水位より4メートル以上は高かったという。」 「保安院は 『(炉の過熱のおそれがある水位低下・自動起動とは異なり)むしろ、水位が一時的に上がり過ぎたのが気になる。 地震でポンプが故障した問題については(経産省の)部会で専門家に評価してもらう』 としている。」

東電、1 号機炉内点検を 20 日の週から予定

1号機炉内点検、20日すぎにも=地震トラブル、計1478件に-柏崎刈羽原発 (時事、21:22) 
原発炉内、22日にも点検開始 (新潟日報) 
東電、1 号機の原子炉圧力容器内の点検を 22 日にも始める計画を発表。 「点検では、炉心上部に水中カメラを入れ、圧力容器の内壁や燃料棒を収める格子状の設備などの外観に異常がないかを調べる。」 「原子炉炉心隔壁(シュラウド)などがある炉心周辺や、圧力容器の底の部分については 『点検機器の整理の問題もあり、9月中旬以降になる』 としている。」 「2―7号機の炉内点検は、圧力容器のふたを開けるクレーンに異常がないかを点検している段階で、まだ見通しが立っていない。各クレーンは、損傷していた6号機を除き、外観点検で異常が見つかっておらず、16日に詳細点検に入る予定。」

IAEA 調査関連

保安院、安全委と意見交換

保安院などと意見交換=IAEAの原発調査団 (時事、12:12) 
IAEA 調査団、10 日午前、経産省を訪れ、薦田康久原子力安全・保安院長、鈴木篤之原子力安全委員長らと意見交換。
IAEA調査団、保安院などと意見交換・柏崎刈羽原発巡り (日経、14:27) 

海外電、再開にはさらなる調査が必要

Quake-damaged reactor needs more checks before reopening, IAEA team says (AP, 10 Aug. local time) 
「『迅速にできるようなことではない。 大きな地震だったのだから』 調査についての要約を日本の当局に報告した後、IAEA 調査団の団長 Philippe Jamet は金曜日に語った。
 彼は、再開できるようになるまでには、さらなる検査が行われなければならず、それには数ヶ月かかるかもしれないと述べた。
 一方、Jamet は発電所の安全性や環境への被害に対する直接の懸念は抱いていないことを付け加えた。
 『我々のだれもこの発電所について心配はしていない。 我々はそうしたひどい状況にあったとは感じなかった』 と彼は語った。 IAEA は予備的報告を数日以内に発表し、より完全な報告は後になると見込まれる。」
Japanese plant 'shut for months' (BBC, 10 Aug. 6:31 GMT) 
IAEA: Japan quake-hit plant needs months to restart (Reuters, Chisa Fujioka, 10 Aug. 7:01 GMT) 
Analysis: Japan's nuclear safety (UPI, Hiroyuki Koshoji, 10 Aug. local time) 

経産省訪問後の報道

耐震、炉停止など3項目に 柏崎刈羽原発調査のIAEA報告書 (共同、17:19) 
「保安院の福島章首席統括安全審査官は10日、IAEAの報告書が 『耐震』 『原子炉の安全な停止』 『運転員などの緊急時対応』 の3項目になるだろうとの見通しを明らかにした。」 「この日の意見交換でIAEA側は報告書の原案となる資料を示したが、渡さず持ち帰ったという。」
「すしを食べた」と安全強調 IAEA調査団 (朝日、18:17) 
「ジャメ原子力施設安全部長は報道陣に 『私たちは全員すしを食べた。敷地内を歩き回り、空気を吸い、建屋にも入ったが何も心配していない』 などと放射能漏れの心配がないことを強調した。」 「ジャメ部長は 『技術的な内容はまだ明らかにできないが、原発の職員は専門性が高く、災害にうまく対応していた。我々は心配はまったくしていない』 と述べた。」
IAEA調査全日程を終了、団長「放射能の危険心配せず」 (読売、19:43) 
ジャメ原子力施設安全部長 『少なくとも数日中にはエルバラダイ事務局長と会合を持ち、検討を始めたいと考えている』。

安全委、2006 年版原子力安全白書を公表

原子力安全委員会平成18年版 原子力安全白書 <概要> 
原子力安全委員会平成18年版 原子力安全白書 
☆2007-08-21 追加。
耐震設計指針など特集=2度延期の原子力安全白書 (時事、10:49) 
「耐震安全に予断持つな」 原子力安全白書 (共同、11:00) 
「柏崎刈羽原発の被害について、白書自体には盛り込めなかったが『耐震安全については予断を持って当たらないことが肝要で、謙虚な学習的姿勢が肝心』とする異例の委員会見解が添付された。」 「4月に公表予定だったが、安全総点検の結果を盛り込むため延期。さらに地震による柏崎刈羽原発の損傷で公表が延期されていた。」 「改ざんや隠ぺいなどの多くが『工程に影響を与えてはならない』といったスケジュール重視の判断で行われたことを指摘。」
原子力安全白書:原発トラブル情報の共有が不足と指摘 (毎日、12:13) 
柏崎刈羽原発に関しては 「安全委が先月公表した『原発の重要な安全機能は保たれたが火災防護対策の強化を検討する』などの見解を添付しただけで、詳細な分析は盛り込まれなかった。」
原子力白書を閣議報告、中越沖地震で「安全機能は維持」 (読売、12:41) 
「『中越沖地震に関する見解と今後の対応』を添付した。」 「原発の設備が地震で被害を受けたことを『重要な教訓』と認めつつ、運転中の原子炉はすべて自動停止しており、重要な安全機能は維持されたとの見解を示している。 変圧器火災で自前の消防隊が機能しなかった反省から、休日や夜間でも火災に対応できる体制が必要としている。」
「耐震安全に予断持たず」・原子力安全白書が見解 (日経、13:12) 
原子力安全白書、4カ月遅れで報告 事故隠しなど影響 (朝日、14:34) 

地震波のディレクティビティにより大きな加速度が原発に達する?

柏崎原発「キラーパルス」襲う? 阪神大震災でも発生 (朝日、22:57) 
入倉孝次郎氏分析 (愛知工大客員教授)。 原子力安全委員会の耐震性調査チームで報告。「キラーパルスは、地震の際に断層が割れていった先で、揺れが大きくなる現象。」 「入倉さんらは同原発や周辺の390カ所で得られた地震計データを解析した。 その結果、周辺の揺れを基に計算すると、原発の揺れは750ガル(ガルは加速度の単位)程度になるはずなのに、実際には1号機と5号機の地表部でそれぞれ最大加速度890ガル、1223ガルを記録し、大幅に上回っていた。」 「このキラーパルスは、北西傾斜(北西落ち)の断層が海底で割れ始め、南東にある原発に向かって割れていったと考えると説明がつくという。 割れは原発の地下約5キロにまで達したと見る。」

強振動記録から見た 2007 年中越沖地震の震源モデルの検討 (入倉孝次郎, 宮腰研, 倉橋奨, 8 月 8 日)

その他

柏崎原発、広範囲で消火不能 (新潟日報、9 日) 
「地震による消火配管設備の損壊の影響は1―4号機までの広範囲に及んでいたことが9日、分かった。これらの消火配管は一体化しており、2ルートで水の供給を確保していたが、両方とも損傷。3号機以外でも複数の変圧器で油が漏れており、ほかでも火災が起きていた場合、さらに消火に手間取る事態になっていた。」
保安院に「火災対策室」・経産相が表明 (日経、15:00) 
「甘利明経済産業相は10日の閣議後の記者会見で、同省原子力安全・保安院の原子力防災課内に『火災対策室』を新設する考えを明らかにした。」
東京に影響なく「違和感」 原発停止で柏崎市長 (共同、23:00) 
会田洋柏崎市長、 10 日記者会見 『本来なら首都圏の電力供給に影響が出るのに、東京ではまったく影響もなく生活が続けられていることに非常に違和感を持った』。 『原発は地球温暖化に貢献するので大事と言われているが、(火力発電の再稼働で)逆に温室効果ガスの排出量を増やすような状況が出てきている』。
県が原発専門チーム 東電の初期対応検証、風評被害を調査 /新潟 (毎日) 
新潟県、原発の被害や情報発信などを検証する専門チームを発足。発生当時の対応の検証や、風評被害の実態調査などを行う予定。☆2007-08-12 追加

おわり
< 2007-08-09 | 2007-08-11 >
目安箱バナー