新生人工言語論内検索 / 「文化と言語の組み合わせ」で検索した結果

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  • 文化と言語の組み合わせ
    文化 人工言語は文化を持ちます。 作者が文化を作らなかった場合は、作者かユーザーの文化が自動的に設定されます。 従って、文化の有無の問題ではなく、文化設定の有無の問題になります。 文化は、その文化がオリジナルか否かで、アプリオリとアポステリオリに分かれます。 文化設定がない場合、その言語が持つ文化は自動的にアポステリオリになります。 例えばエスペラントはヨーロッパ文化をアポステリオリとして持ちます。 言語 言語は、その文化がオリジナルか否かで、アプリオリとアポステリオリに分かれます。 組み合わせ 表内に具体例を入れました。 アルカとエスペラントは対極に位置しており、違いが明確になります。 文化設定あり(アプリオリ文化) 文化設定あり(アポステリオリ文化) 文化設定なし(アポステリオリ文化) アプリオリ言語 アルカ BABM(ボアーボム)...
  • 人工言語2
    ...化と人工風土 8 文化と言語の組み合わせ 9 演出型のあゆみ 10 演出型のこれから
  • 普遍言語の成果
    ところで16, 7世紀の普遍言語論争時代には様々な普及型言語が作られたが、実際それは役を果たしたのだろうか。比較的成功したのはウィルキンズであろう。彼は存命中からそれなりの大きさのコミュニティを形成していたし、ダルガーノらに比べてより精巧な分類表を作るに至っている。更に自身の死後もその仕事が継承されている。分類や分析を素地とした哲学的言語として隆盛を極めたのはウィルキンズであろう。 しかしそのウィルキンズの文字でさえ書きにくい、読みづらい、覚えづらい、間違えやすいなどの批判が相次いぎ、共通語として日の目を見ることはなかった。 こういう大きな目論見が敗れた結果、悲観的になった社会の関心は薄れていった。更に17世紀の終わりごろはフランス語が西洋に普及したため、個々の土着語による混乱をなくすという目標が減じてしまった。それゆえ共通語に対する意識自体が薄まっていた。ウィルキンズのよ...
  • 文化と風土を持った人工言語
    文化と風土を持った人工言語 言語には文化と風土が必要なので、人工言語も作った時点で勝手に文化と風土を持ちます。 文化と風土の持ち方は2通りあります。 1 作者が意図的に設定した→アルカのようなタイプです。 2 作者が設定しなかったので、作者の住んでいる場所の文化が参考になった→エスペラントのようなタイプです。 エスペラントの場合、作者のザメンホフが西洋人だったため、西洋文化と風土を反映しています。 しかしエスペラントのユーザーはアジアにもいます。そのため、アジアのユーザーはアジア文化と風土をエスペラントに反映するか、西洋に合わせます。 この件については別項で詳細をお話しします→エスペラントと文化 このように、意図的に文化を設定した言語と、そうでない言語があることを覚えておいてください。 なお、意図的に文化を設定する言語は、これまでほぼ皆無でした。 む...
  • 文化と風土が言語を支える
    文化と風土が言語を支える ここで改めて、なぜ人工言語には文化と風土が必要といえるのかを見てみましょう。 たとえば日本語で米と稲は別物ですが、英語ではどちらも rice といいます。 同様に姉と妹は区別しますが、英語ではふつうどちらも sister といいます。 rice の例は、日本が米を常食とする文化・風土にあり、英語を育てたイギリスが半農半牧の文化・風土にあったことで説明できます。 sister の例は、日本が長幼を重視する厳しい年功序列の文化であるのに対し、イギリスがそうでないことで説明できます。 海に囲まれ、夏に温度が上がり、大量の雨が降る。そういう風土だからこそ日本の米文化があり、rice は細分化されました。 逆に、牧畜を営んでいたからこそイギリスで牛は cow, ox などと細分化されます。 こういった言語例は文化と風土が関わっています。も...
  • 人工文化による警鐘
    ほとんどの人工言語作成者は人工言語だけを作っています。 ですが、言語というのは文化のひとつです。よく言語文化と言われるので横並びと考えられがちですが、その民族の絵画や建築技術などと同じく文化のひとつです。 文化は言語を包みます。風土と並んで言語の土台となります。 『エスペラントの話』三宅(昭51 大学書林)のp13によれば、「人間種族の平和と幸福とをもたらすためには、公平な共通語を持たなければならない」とあります。 ですがザメンホフは語彙の源泉に西洋語を選びました。文化は事実上西洋のものを拝借しています。 これは本当に公平でしょうか。公平でないとどういうことが話者間で定められなくなるのか、ちょっと言語の作成者に聞いてみましょう。 1 貴方の言語で太陽は何色ですか? 2 貴方の言語で虹は何色ですか? 3 貴方の言語で牛と米を表わす単純語はいくつありますか? ...
  • 言語の普及
    言語の普及 人工言語を作ったら、ぜひともそれを皆に使ってほしいものです。 人工言語の中には、エスペラントのように共通語になることを目指したものもあります。 確かに、地球上のどこでも同じ言葉が通じれば、とても便利ですよね。 ぜひそうなってほしいものですが、実際に世の中で使用者が多いのは英語と中国語です。 どうしてでしょう?英語や中国語は何か言語的に優れているのでしょうか。そうではありません。 英語が広まったのはかつて大英帝国が強かったこと、20世紀にアメリカが大国だったことによります。 要するに、喧嘩が強くてお金持ちな国の言葉が広がったということです。 人類共通の言葉と聞くと平和をイメージしますが、むしろ暴力が言語の統一を作っているとは皮肉なものです。 中国語が広まったのは経済力というよりはマンパワーです。 このように、言語の普及は経済力・武力・人口に...
  • 人工文化と人工風土
    人工文化と人工風土 前項を読んだ方は、こう思っているんじゃないでしょうか。 「言語には文化と風土が必要なのだから、人工言語には人工文化と人工風土が必要といいたいのか?」 それは違います。別に文化を作らなくてもOKです。 前項のエスペラントの問題は、たんにあれが普及型だから起こるものです。 演出型などであれば、特定の文化を参照したって批判は受けませんよね。 小説で使う言語であって世界語にするつもりがないのですから、別に西洋文化を参照しても問題はありません。 (もしそれでも批判を受けるとしたら、「小説の舞台が異世界なのに、なんでヨーロッパを真似るんだ」という類のものだと思います) もし言語作者が文化と風土を設定しなかった場合、自動的に作者の住んでいる場所や知っている場所の文化や風土が設定されます。 まぁ、そりゃそうですよね。僕らが何も知らずにいきなり人工言語を作...
  • 人工言語と言語学
    人工言語は言語学の対象ではない。これは言語学の常識であるとともに暗黙の了解でもある。美しい国語や正しい日本語について論じることがないのと同じで、人工言語について論じることは通常ない。 ただ、それはあくまで現代の言語学においてである。言語学にも潮流やパラダイムがあるので、別に人工言語を論じてはならないという決まりが立てられているわけではない。強いて言語学の中でこれは論じないようにしようと合意を受けたのは言語の起源である。言語の起源は1866年のパリ言語学会で関連記事を掲載しない措置を受けた。だがこのようなことは稀である。(注:周知のとおり、このとき「普遍言語」も拒絶されているが、この皮肉に対する説明は本論の通時論で展開される) 言語に優劣はないというのは現代言語学の常識であるが、この常識は通時的に見ることができる。かつて西洋が世界の中心だった時代は西洋思想がはびこっていたため...
  • 語の音が卑語に似た場合
    普及型の人工言語の場合、広域に広めなければなりませんから、対象地区の言語が持つ卑語が自言語の語と重なるのは良くないことです。 人工言語を作ろうとすると必ず一度はここで悩むはずです。 自言語を対象となる自然言語の音韻体系に当てはめたとき、卑語にぶつかるのは問題です。 なお、以下は卑語を広義的に捉え、卑猥な語や罵倒語やちょっと言うのが気恥ずかしい語も含めます。 たとえば、エスペラントのdankonは日本語の音韻体系に当てはめると卑語になります。かといって他の諸言語では必ずしも卑語になりません。 また、エスペラントのindiは「値する」という意味ですが、中国語ではyin1di4(陰核)に音が似ており、同じくmimi(身振りで示す)はmi1mi(おっぱい)を多少想起させます。 アクセント等は勿論異なりますが。ですがmimiはせいぜい日本語では「耳」であって、別に卑語ではあり...
  • 言語は文化と風土から切り離せない
    言語は文化と風土から切り離せない 英語では牛の雄雌に別々の単語を当てますが、これはイギリス人が牧畜をしていた結果です。 言語は文化と切り離せません。また、牧畜という文化はイギリスの風土が作ったものなので、風土とも切り離せません。 つまり、言語は文化と風土から切り離せません。 ところが、多くの人工言語は普及型です。世界の至る所で自分の言語が通じなければなりません。 従って、文化や風土の違いといったものを、なるべく捨象してきました。 ですが、実際に言語は文化や風土の影響を受けるため、文化や風土は捨象できるものではありません。 今までの人工言語は文化と風土を考慮してきませんでした。 新生人工言語論はその点を指摘し、「文化と風土を反映した人工言語も考えようよ」と主張しています。 これは大切なことなので、文化と風土が言語を支えるでもう一度ご説明します。 ...
  • 普遍言語へ至る背景
    原初の人工言語は暗号で、約4000年前に遡ることができる。暗号としての用途は国家規模から個人の日記に至るまで、広く使われてきた。また暗号ではなく言語改革として人工文字が作られることもあった。その場合しばしば文字は歴史的背景を背負うこととなった。神代文字のように現代でも民族意識を背景に論じられているものもある。それを考えると文字という要素は人工言語において最も長く論じられてきたものといえる。 では文字以外に視点を向けてみるとどうなるか。そもそも人工言語は自然言語と同じく言語の一種であるから、音韻や語彙や文法を持ったものが本来的である。そういう視点で人工言語を見ると最古の人工言語は12世紀に見ることができる。尤もこれは現存している文献から見たものにすぎないため、人類の歴史ではそれより前に人工言語が作られていた可能性が十分考えられる。 最古の人工言語と目されているのはビンゲンのヒ...
  • 新語の補充と普及
    新語の補充と普及について。 結論を先に言いますと、これに関しては人工言語は面白いくらい自然言語と同じです。 私も人工言語を作った当初はこの点でかなり気張りました。なにせ人工言語は計画言語ですから、作った後の行方まできちんと計画しなければと……。 ですが案ずるより産むが易しといいますか、できてみるとこれが意外と自然言語のように振舞うものなのです。 まず、新語の補充ですが、これは造語法をきちんと作っておけば問題ないです。作者だけしか理解できないシステムでなく、話者なら自然と造語できるようなシステムです。 具体例をいうと、エスペラントなどはこのシステムを持っています。 また、そのシステムの具体的な内容ですが、語根を中心とした派生語か複合語を利用するのが一番理解しやすいです。 要するに日本語や中国語やドイツ語の類であって、英語のように高級語はラテン語やギリシャ語から取るというの...
  • 文化・風土による分類
    言語は文化と風土から影響を受ける。もしこの2つがなかったら、語義や語法を作れない単語が出てしまう。たとえば日本語が米と稲を分けるのは稲作文化を前提としている。同時に稲作文化を支える日本の風土も前提としている。このように、言語は文化と風土がないと定まらないことがある。 これは下位概念の人工言語にもいえることである。人工言語は固有の文化・風土を持たねば、自動的に非固有の文化・風土を持つ。文化・風土なしにはいられないので、自動的に非固有のものを持つことになる。非固有とは作成者の文化や話者の文化を意味する。人工言語の使い手によって使われる文化がまちまちでは、文化の影響を受ける言語で表された意味もまちまちになり、誤解が耐えない。 固有の文化・風土を持つ言語を新生人工言語と称し、そうでない言語を旧人工言語と称する。新旧は優劣或いは良悪の問題ではないことに注意しなければならない。従来の人...
  • 人工言語学
    学問としての人工言語を論じています。非情に専門性の高い表現が出てきます。語調は論文体で統一しています。 人工言語の定義 人工言語と言語学 人工言語の類義語 人為性による人工言語の分類 先験と後験による分類 目的による分類 比較言語学的分類 類型的分類 黎明期(1) 黎明期(2) 黎明期(3) 普遍言語へ至る背景 普遍言語 架空言語・空想言語 普遍言語の成果 国際語・国際補助語 グローバル社会の人工言語 音韻論・音声 形態論・統語論 意味論 文字論 文化論 .
  • 文化論
    (注)後述の新生人工言語とは文化を定めた言語程度の意味です。 通時論で見たように歴史的にはそれぞれの文化を反映する人工言語というものは無かった。細かく見ればダルガーノのように同じ対象を別の名で命名しわけることもできる言語もあったが、元々異文化を広く表せるように設計されたというわけではない。その原因は西洋人の世界観にある。普遍言語時代にせよ国際語時代にせよ西洋で起こった運動である。確かにこのころ既に西洋人の世界観は地球規模まで広がっていた。西洋とアラブとアフリカしか知らなかったような時代ではない。しかしそれでも文明の中心は西洋にあった上、人工言語の運動が西洋で起こったともなれば、人工言語が西洋中心に作られることは当然であろう。 ところで前述したとおり言語と文化と風土は不可分である。不可分であるといってもイギリスで発生した言語をオーストラリアで使えないという意味ではない。言語は...
  • 人工言語の定義
    人工言語とは主に少人数の人間が比較的短期間で意図的に作った言語のことである。対して、英語や日本語のようにある民族によって長い時間をかけて非意図的に作られた言語を自然言語という。いずれも人間の言葉である点で共通している。 一方、『言語学大辞典第6巻』「自然言語と人工言語」の定義によれば、 「自然言語は、人間の各集団の間に自然発生的に形成されたもの」とあり、 「人工言語は、自然言語のもつ曖昧性(ambiguity)をとり除き、ある分野に限定して、その分野での必要と使用目的に合うように人工的に設計した言語」とある。 『言語学大辞典』の定義に従うと、人工言語はあまりに多義的である。数学用に作られた言語も人工言語に含まれ、コンピュータ言語も人工言語に含まれる。無論、国際補助語も人工言語に含まれる。しかし本論では理数的な目的で作られた言語は対象に含めず、人文的な目的で作られた言語のみを...
  • 架空言語・空想言語
    ●まず架空言語の実例をご覧ください。 人工言語アルカ ウィルキンズのような人文系の百科全書的な人工言語がある一方で、ライプニッツのような理数系のコンピュータ的な人工言語が存在した。いずれにせよ哲学的言語であり、普遍言語である。この区別でも厄介なのにましてもってアダムの言語という神秘主義が加わる。しかも全員がアダムの言語を夢想するというのであれば話は早いのだが、事情は入り組んでいて、人によってはそのような神秘主義を否定していた。人工言語学上の分類としては数学的か百科全書的かといったような言語の構造については注目すべきである。一方アダムの言語が意図されたかどうかは動機にすぎないので、致命的に重要というほどではない。勿論動機を知ることでなぜそのような言語に至ったのかを知ることができ、その意味では重要であることを加えておく。 ところで当時はウィルキンズらのような普及型の人...
  • 人工言語のこれから
    人工言語のこれから 2008年にアメリカが経済的に大打撃を受けました。 もしこれを期にアメリカが潰れれば、歴史は非情にも英語を切り捨てます。 英語はゆっくりと現在のフランス語の地位に落ち着いていくでしょう。 代わりに中国語が共通語になるでしょうか?しばらくはなりません。 中国はかつての植民地時代に植民地を持たなかったので、英語やフランス語ほど世界に広まっていないためです。 従って、共通語のない時代に戻ります。(アメリカが潰れたらの話ですよ) そうなれば、人工言語は返り咲きます。常に栄枯盛衰の繰り返しです。 今度は「ヨーロッパ+アジア」すなわち「ユーラシア」の共通語が求められるでしょう。 アメリカ人はもともとヨーロッパ人ですから、ヨーロッパに含めています。 しかしこれが前途多難です。 アジアとヨーロッパは文化があまりにも異なるからです。 カトリック...
  • 作り方の流れ
    作り方の流れ この流れに沿っていけば、迷わずに言語を作ることができます。 なお、ここで紹介している以外のフローでも、問題はありません。 1 作りたい言語の型を決める みんなに広めたいなら普及型、小説に使うなら演出型、秘密の日記を書きたいなら暗号型など、目的に合った言語作りをしましょう。 そのためにはまず、自分の作りたい言語の型が何かを決めましょう。 「どのタイプがやりたいか自分でもわからないよ」という方のために判定チャートを作りましたので、遊び感覚でお気軽にどうぞ→自分に合った人工言語は? なお、言語を作るときは頭の中で考えるにせよ紙に書くにせよ日本語を使うと思いますが、それで構いません。 英語だと後々広めるときに便利ですが、母語で作成した方がやりやすいです。 また、資料はパソコンで作成しましょう。修正も配布も容易です。 2 音、文字、文法など、...
  • 言語と文化
    言語と文化 言語は文化から影響を受けます。 例えば、日本語は日本の文化や風土から影響を受けています。 日本人は米を主食にするので、「稲」と「米」という単語を区別します。 また、年功序列の厳しい社会なので、年齢によって兄と弟を区別します。 文化や風土はこのように言語に影響を与えます。 「狼」と"wolf"は生物学的には同じものを指しますが、「狼」は一匹狼のイメージから「孤高」な印象があります。 対して、西洋ではたいていwolfは残酷な動物という印象があり、童話などでは悪者として登場します。 こういう違いも人々の価値観や物の見方が言語に反映された結果です。 人工言語も言語ですから、文化と風土から影響を受けます。 たいては作った人の文化を継承します。 小説を書いている方で異世界の言葉を作りたい場合は、文化と風土も作っておくとより...
  • 音韻論・音声
    人工言語学で音声学を立てる必要性はない。調音・音響・聴覚音声学ともに自然言語学のそれと共通するからである。というのも結局のところ人工言語も人間が話すものだからである。尤も架空言語などの演出型において異星人の言語を考察する場合は現在の調音音声学は役に立たない。彼らの口腔や鼻腔や舌といった調音器官が人間とは異なるためである。たとえば唇がなければ両唇音は出せないし、口蓋が物凄く長ければ硬口蓋・軟口蓋といった程度の大雑把な分け方では不十分であろう。舌が2枚あればそり舌音を出しながら歯茎閉鎖音を作ることも可能である。しかし異星人の調音器官のパターンなどいくらでも考えられるためひとつずつ考察していてはきりがない。その上、結局異星人の調音器官を持たない我々がその言語を使うことはできないのだから極めて実践的ではない。 余談だが、テレビなどのバラエティで火星語なり金星語なりを喋る男(なぜか男。霊媒的...
  • 国際語・国際補助語
    しかし19世紀になっても哲学的言語は死滅したわけではない。往年の力は失っているものの、夢想者は後を絶たない。ジャック=ド=ヴィスムは19世紀初頭に音楽的要素を帯びた言語を作る。アルファベットを21字使って21の音を表す。そしてこれは五線譜の上に書かれる。 21音でどうやって21概念以上を作るのかというと、和音を用いる。 Cのような3和音(ドミソ)からなるコードでも21の3乗分の組み合わせがある(重複は除く)ため、相当数表現できることになる。確かに自然言語で賄っている単語の数くらいは用意に賄えるだろう。 こういった音楽言語は他にもあり、むしろフランソワ=スードルのソレソ或いはソルレソルのほうが有名だろう。これは1827年に考案され、1855年のパリ万博で1万フランの賞金を得ている。 ソトス=オチャンド『普遍言語の計画案』(1855)も17世紀の亡霊で、経験主義な分類によって概...
  • 人工言語のあゆみ
    人工言語のあゆみ もともと人工言語は、共通語として作られてきました。 中世ヨーロッパではラテン語が共通語になっていました。 しかし徐々に各国の国語が強くなってきたため、ラテン語は共通語でなくなっていきました。 共通語がないと困るので、西洋人は共通語を開発することにしました。 しかしどれも鳴かず飛ばずで、流行りませんでした。 そうこうしているうちにフランスが力を付け、フランス語が共通語になりました。こうなったらもう人工言語は要りません。 1866年に、当時の権威のパリ言語学会は、人工言語に関する論文を受け取らないと決めました。これにより、人工言語ブームは終了しました。 実はエスペラントができる前が人工言語の一番のブームだったというのは驚かれることでしょう。 それでも、共通語があれば人々は分かり合えるようになるだろうという夢は消えませんでした。 そ...
  • 人工言語の類義語
    人工言語はその背景によって多くの類義語を持つ。一緒くたに人工言語だと括れない面がある。 artificial languageやconstructed languageやplanned languageは自然言語に対するアンチテーゼとしての背景を持つ。 universal languageやworld languageは国際語としての立場を取るという背景を持つ。 auxiliary languageは少し控えめで、普及している自然言語の補助言語として機能させるという背景を持つ。 日本語の命名も同様である。国際語や国際補助語や世界語はその目的や機能から見た命名で、人工言語や人工語はその形態や発生から見た命名である。他にも普遍言語、国際共通語、世界共通語、人工国際語など様々な命名があるが、どれも人工言語に関した名称であることには変わらない。 このように、人工言語はどの観点で見る...
  • 人為性による人工言語の分類
    人工言語と自然言語は対極の位置にあるが、その中間的存在がある。それはピジンやクレオールである。 ピジンはたとえば商港の英語話者と中国語話者の間などで発生する。中国語話者が意思疎通を図るために英語を簡略化し、商業用として実用する。それがピジンイングリッシュである。ピジンイングリッシュは英語を簡略化したものなので自然言語である。しかし元の英語に比べると人工言語に近い性質を持っている。 たとえばピジンイングリッシュは意図的に文法が複雑な構造を持たないように変えられている。こうしたことは英語母語話者間では起こらないことで、かなり人為的に言語が変えられているといえる。また、商人らが短期間で意図的に作ったという点も傍証となる。これらの点において、ピジンは人工言語に近いといえる。しかし商人らが計画して創りあげたのではなく、商業上の必要性から自然に発生したものであるため、あくまで人工言語で...
  • 高級語の命名法
    (注)後述の新生人工言語とは文化を定めた言語程度の意味です。 千前後の基本語や、もう少し多い日常生活語を作り終えると、次は高級語に入ります。これは数が多くて大変です。 ここでは高級語の命名法について述べますが、機械類より広域性の高い自然物に特化して説明しています。 ここで述べたいのは形態論ではありません。形態論に関しては先にさらっと述べます。 形態論的にみれば高級語は合成語が便利でしょう。辞書が引きやすいし、1語で1つの概念を表わせるからです。 フランス語の場合、連語で高級語を表わすことが多いので辞書が引きづらいです。しかも何語で1つの概念か分かりづらいので、見づらいです。 フランス語には高級語だけでなく、基本語にもこの性質が生きています。 たとえば蹴るという概念について。蹴るに当たる語がないわけではないのですが、donner un coup de pie...
  • エスペラントと文化
    エスペラントと文化 エスペラントはオリジナルの、つまりアプリオリの文化と風土を持ちません。 普及型という事情を考えると、文化と風土の差を明瞭にするよりは、漂白したほうが効率がよいからです。 さて、そもそもエスペラント人という民族がどこかに特定の地域に住んでいるわけではないので、エスペラントに風土はありません。 また、エスペラントのネイティブの大集団が特定地域に住んで特殊な生活を営んでいるわけでもないので、文化もありません。 演出型の人工言語だと、トールキンの指輪物語みたいに架空の風土や文化を作ることがありますが、エスペラントはそういうことをしません。 この意味で、エスペラントは固有の文化・風土を持ちません。 エスペラントの文化と風土は、主に西洋のもので、われわれ日本人とは異なった感覚を持っています。ちょっと実例を挙げます。 エスペラントでは兄弟に長幼の区...
  • 類型的分類
    フンボルトらの分類によると言語は類型によって膠着語・屈折語・孤立語・抱合語に分けることができる。ただし、言語はふつう綺麗に分類されることはない。英語は屈折語といわれるが、"Mary loves John."における格表示は孤立語的手段で表される。「完全な~語」というものはおよそ稀で、ある部分では膠着語だがある部分では屈折語といったように組み合わせられるのが通常である。それでもこの分類は有用で、ある言語が最も強く持つ性質が屈折語であれば、少し膠着語要素が混じっていても屈折語と分類してよい。人工言語についても同様で、これらの類型的分類が存在する。また自然言語と同じく複数の性質を同時に持つ。 エスペラント以降の人工言語は自然言語に比べ、膠着語を好み、抱合語や屈折語を選ばない傾向にある。エスペラントは西洋語からできているが、英語やフランス語やラテン語に比べると膠着の度合...
  • 人工言語
    人工言語の基礎がわかるコーナーです。 1 人工言語とは? 2 レトルト人工言語 3 言語と文化 4 言語の普及 5 人工言語のあゆみ 6 人工言語のこれから .
  • 最小対語の処理法
    最小対語:hatとcatのように、1音違えば別の単語になってしまうペアのこと。 最小対語については常に聞き間違えの可能性があるわけですが、その可能性は音によって異なります。 pal と bal は聞き違いやすいですが、pal と nal は相対的に聞き間違えづらいです。 p と n は調音点と調音法が違うからですね。 母音についても口の高低と前奥が近い母音同士は音波が似ているので間違えやすいです。 最小対語を気にする場合、特に聞き違えやすいものを注意するといいと思います。 理論上ありえる最小対語を全て検索して互いに意味が似ないように注意すると、膨大な時間がかかります。 そこで、その言語で聞き違えやすい音だけを焦点化します。 聞き違いやすい音といっても、学習者の母語によって変わります。 作成段階で日本語に合わせてしまうとオリジナリティが失われるので、その言語...
  • 作り方の流れ+α
    ☆以下は少し専門用語が混じるので、読み飛ばして構いません。 人工言語作成の過程は言語学の潮流に似ている。 古めかしい分け方だが、生成と認知を2大派閥とすると、言語学は生成から認知に流れてきた。 一昔前は生成一色に近かったが、最近は認知がトレンドになってきている。生成は主に文法を扱う。 パラメータ理論のころが最も言語類型論や言語普遍性と距離が近く、人工言語作成に有益だった。 人工言語の作者はまず文法から作るものだ。語彙や語法から拡充させることはないだろう。 したがって生成を学んで――特に言語普遍性と言語類型論を学んで――文法作りに役立てると良い。 参考文献 B・コムリー(1992)『言語普遍性と言語類型論』ひつじ書房 C・アジェージュ(1990)『言語構造と普遍性』白水社 これらは文法を作る際に非常に役立つ。一通り読んでおけば様々なタイプの言語を構築する...
  • 普遍言語
    フランシス=ロドウィック。17世紀に人工言語を作成。主な資料は『共通の文字』A Common Writing(1647)など。 ロドウィックで最も取り上げるべきことは語根が名詞からではなく行為から作られるという点である。 to drinkを表す語根記号が根底にあり、その字に付加記号を付けることによって名詞や形容詞などを派生させる。簡単にいえば多くの言語が名詞ありきであるのに対し、ロドウィックは動詞ありきである。たとえば「飲む」をδで表すとし、動作主を¬のような記号で表す。したがってδ=「飲む」であり、δ¬=「飲む人(drinker)」となる。¬以外の記号も存在し、それをδに付けることによって今度は「酔っ払い」や「居酒屋」などを派生することができる。酔っ払いは「δ+性質記号」、居酒屋は「δ+場所記号」で示される。 文字は先験要素も持った後験文字である。飲むという記号がδのよう...
  • 人工言語の素質と経験
    自分で最初に作ったのは中学生のころでした。10歳のときに携わったので、必然だったかもしれません。 最初は仮名を絵文字に当てはめた暗号でした。まだ人工言語とは言えないですね。 高校のころ感じたことですが、人工言語って自分で思いつく場合、中高生が多い気がします。 中高生は思春期で、急激に言語の能力が上がるころです。ちょうど語学の臨界期を過ぎるころですね。 中高生になってラジオや歌番組にハマった人っていませんか? 私はそうでした。あのころって、妙に言語に耳ざとくなるんです。 おっさんになると歌番組って急激に聞かなくなりますよねw あと、言語に神経質になります。 私の場合―― 「人一倍っておかしくないか?二倍じゃないのか」 「絶対とか全然とか最低って、論理的におかしい。そんなやすやすと最下位のものに遭遇するわけがないし、100%の事態に遭遇するわけない」...
  • 人工と自然
    人工と自然 日本語のように、元々ある言語を自然言語といいます。 日本文化のように、元々ある文化を自然文化と呼びます。 日本風土のように、元々ある文化を自然風土と呼びます。 エスペラントのように、西洋語を参照して人工的に作った言語を、アポステリオリ人工言語といいます。 エスペラントのように、西洋文化を参照する文化を、アポステリオリ人工文化と呼びます。 エスペラントのように、西洋文化を参照する風土を、アポステリオリ人工風土と呼びます。 アルカのように、オリジナルで人工的に作った言語を、アプリオリ人工言語といいます。 アルカのように、オリジナルで人工的に作った文化を、アプリオリ人工文化と呼びます。 アルカのように、オリジナルで人工的に作った風土を、アプリオリ人工風土と呼びます。 ややこしいので、以下に表で示しました。 言語 文化 風土 日本語 自...
  • 演出型のこれから
    演出型のこれから 演出型は物語の架空言語として登場し、物語に不思議さやリアリティを添えます。 異世界人が独自の言語で話していたほうが異世界っぽいですし、リアリティを感じます。異世界なのに英語が通じるのはおかしいわけです。 アリスのような児童文学ではご都合主義でもいいわけですが、リアルなファンタジーを考えていくと、どうしてもそこに住む人々の文化や言語が必要になってきます。 とはいえ、ほとんどの読者は細かい設定を気にしません。物語の根幹はストーリーにあるので、話が面白いほうが大事です。 それゆえ21世紀になった今でも、演出型人工言語のほとんどは手軽に作れるアポステリオリ言語です。 一方、お話よりも異世界そのものに興味があるという人もいます。 その人たちにとってはエルフ語が古ケルト語から作られているのがとても気になります。異世界にケルト人がいるはずがないと考えるからで...
  • 言語作成ツール
    ●人工言語制作依頼  人工言語・架空言語の制作依頼を受注しています。  20年以上の経験を持つ人材が、無料でどのような種類の言語も制作致します。こちらのページからご連絡ください。 ●言語作成ツール 言語を作成する際の支援ツールがあります。 この中のいくつかは筆者も使っています。 レトルト人工言語のソフト層ユーザーにはLangMaker。 自作の言語が世界のどの自然言語に似ているかを判断してくれるLanguage Identifier。 これはちょっとお遊び感覚ですが、本来は謎言語を判定するためのものですから、このような使用法はお楽しみということで。 自言語の辞書を作るならPDIC。 英辞郎で有名な辞書ツールです。フォントを自由に設定できるので、自言語の文字を搭載したフォントを表示することができます。 単語はほぼ無限に登録できます。検...
  • 比較言語学的分類
    英語は印欧語族ゲルマン語派に属する。同じ語派にはドイツ語、オランダ語のほか、ゴート語などが含まれる。これらは互いに同系或いは姉妹語と呼ばれる。姉妹語であるかどうかの判断は比較言語学の分析に基づき、主たる資料は文献に残された文字である。利用可能な文献の量と質によって比較言語学の分析の性能が左右される。印欧語は文献量が豊富であるために系統が比較的明瞭であるが、日本語や韓国語(朝鮮語)のように系統が不明なものは数多い。日本語は奈良時代以前の文献が古く、その前は中国の文献で間接的に知るより他はない。 人工言語学で比較言語学の分析を行う場合、流用の程度を尺度として使って推し量る。ある人工言語Lの持つ統語論・音韻論・文字・形態論・語彙を主な分析対象とする。自然言語NとLを比較した結果、類似していればしているほど、流用の程度は高い。流用の程度が高い場合、NはLの参照言語であるといえる。 ...
  • 文字論
    普遍文字時代にはヒエログリフや漢字を始め、表意文字やその他ピクトグラムがもてはやされた。母語によって読みが異なろうとも同じものを表しているので異言語話者の間でも伝わる共通の書字として捉えられたからである。しかし漢字などの自然文字が理想的な手段ではないことが明らかになると、今度は真正文字を自分達で作り出した。その集大成は恐らくウィルキンズのものであろう。 しかし実用面で考えればあまりに合理的で論理的すぎる彼の案は使い勝手が悪く、実効性が無かった。漢字が煩雑で無駄が多く複雑だが、その反面少し崩しても意味が伝わる。それゆえ草書なども可能である。ところがそのような性質は余剰なのでそういった余剰を切り取ってしまえば最も便利なものができるではないかと考えるものがいる。だがその選択ではウィルキンズと同じ道を辿る。彼らはひとつ重要なことを見落としている。漢字の煩雑さはある意味バッファであり、ある意...
  • ゼロから語彙を作るには
    人工言語の語彙は始めは空集合です。空っぽの語彙に語をたくさん入れていかねばなりません。つまりゼロから語彙を作り、膨らませていくわけです。 しかしその方法は言語の型によって異なります。方法によってその作業にかかる労力は劇的に変化します。 後験語の場合、自然言語を参考に語彙を作ります。ゼロから作るといってもほぼ流用になるため、一番手っ取り早く作ることができます。 エスペラントが好例です。ザメンホフはラテン語などの西洋語を参考にして、エスペラントに合うように語形を変えました。 たとえば名詞はoで終わらねばならないので、それに合うように語形を変えたりといった調整作業です。 どちらかというとこの型の場合、ゼロから作るといっても実際は調整に近いです。 もっとも、手軽=稚拙ということにはなりません。エスペラントは普及型なので馴染みのある言語を参考にするのは理に適っています。 ...
  • 言語に優劣の差ってあるの?
    故千野栄一は言語に優劣は無いと強く主張していました。 彼は学問的というよりも主観的・感情的に主張していた節があります。 一般的な言語学者と同じく、私は言語に優劣はないと考えます。優劣の基準が決められないからです。 たとえば合理的か非合理的かということに話を限定したとしましょう。それなら確かに合理的なほうが優れているように見えます。 「見る」という動詞が異様に長い語形だったら大変だし、逆に短すぎても聞き取れないでしょう。バランスの取れた簡潔さが良いわけです。 そういう意味ではバランスの取れた合理的な言語というのは存在するのでしょう。 名詞に性別があることでフランス語はその煩雑さに見合うだけの特別な情報を伝えているとは思えません。 名詞の性別は労力に対して情報量が見合っていないのです。その点で非合理的といえ、劣っているといえるでしょう。 実際人工言語を作る人は名詞に...
  • 文法
    文法 文法は言語のシステムの中で最も組み立て感が得られるためか、人気のある分野です。 作成者の多くは文法システムを作るのが好きなようで、未完成の言語でも文法はそれなりにできていたりします。 語順 まず始めに決めるのは語順だと思います。語順はメジャーなものを選んでおけば無難でしょう。 一番世に多いのはSOVで、次に多いのはSVOです。このどちらかを選んでおけば問題ありません。もちろん、VSOでも大丈夫です。 類型論的に見て 文法に関しては皆さん腕をふるいたいところでしょうからあまりうるさいことは言いませんが、いくつか注意点はあります。 まず、類型論的に見て、屈折語や抱合語は避けたほうがいいでしょう。 文中の単語が辞書形でないことが多く、活用語が一々辞書に収録されないからです。 フランス語のJe t aime では aimer を引かねばなりません。t や ...
  • アプリオリとアポステリオリ
    アプリオリとアポステリオリ ここで術語の導入です。 アプリオリ=先験語=既存の言語を参照しない言語→ざっくばらんに言えば、「よそから単語などをパクってない、オリジナル言語」のこと。 アポステリオリ=後験語=既存の言語を参照する言語→ざっくばらんに言えば、「よそから単語などをパクった言語」のこと。 言語にはアプリオリとアポステリオリがあります。 アルカはアプリオリです。エスペラントはアポステリオリです。 一般に、アプリオリはアポステリオリより労力が必要です。他のものを参照できないので、楽できないからです。 アポステリオリ言語だと、最短1日で作れます。アプリオリ言語だと、最長死ぬまで終わりません。 ただ、平均的にはどちらにせよ何年もかかります。 文化と風土にもアプリオリとアポステリオリがあります。 オリジナル文化やオリジナル風土がアプリオリです。 ...
  • 人工言語とは?
    人工言語とは 英語や日本語など、自然とできた言葉のことを、自然言語といいます。 逆に、誰かが意図的に作った言語を人工言語といいます。 「日本語だって日本人が作った言語だから人工言語じゃないの?」という疑問がよくあります。 民族単位で作った言語は人工言語にカウントしません。 「水という単語は「ミズ」と読むようにしよう」というような打ち合わせを、日本人はやったわけではありませんよね。 自然と民族が作っていったものは、除外されます。 どんなものがあるの? 一番有名なのはポーランドの眼科医ザメンホフが作ったエスペラントです。 人工言語は意外と多く存在します。前世紀で既に1000以上の人工言語がありました。 筆者が作っている人工言語アルカもその1つです。 何のために作るの? それは言語によって異なります。目的は様々ですが、いくつかに分類できます。 ...
  • 黎明期(2)
    今度は目を西洋に向けてみる。西洋を支配してきた文字はアルファベットである。表意文字である漢字が政治的・社会的・経済的・思想的・宗教的な影響を東洋に与え、人工文字へ至らしめたのと同じく、表音文字であるアルファベットは西洋の人工文字に影響を与えた。表音か表意かという違いが西洋の人工文字の運命を大きく左右することになる。ではまず自然言語に使われる表音文字アルファベットとはどのようなものであるか。 そもそもアルファベットはフェニキア文字に遡ることができる。更に原初は表音文字でなく表意文字であった。それは象形文字であり、牛の頭や家などを指していた。やがて表音文字として使われるようになり、長い年月を経て現在のアルファベットに至る。フェニキア文字には子音しかなく、母音を加えたのはギリシャ人である。現在最も広範に使われるラテンアルファベットの祖語は音韻と照らし合わせるとこのギリシャ文字であると考え...
  • 実際に人工文化を使って単語を作ってみる
    ある人工言語で色に象徴を持たせようとしました。 ほら、日本語にもあるじゃないですか。青は「未熟」を表すとか。ああいう感じです。 で、高貴な色に紫を当てました。 でも、どうやって紫が高貴な色であると演繹したのでしょう。 日本語の冠位十二階制を盗用するだけだと、ちょっと捻りが足りないですねぇ。 じゃあ、何を根拠に紫を高貴にしましょう。 ちなみに、前提としてその人工言語独特の基本色に紫が含まれ、 Berlin and Kay(1969)の焦点色理論を正しいとしましょう。 また、高貴という概念の範囲は不定にせよ、その言語に存在すると仮定しましょう。 (↑何のことだか分からなくても支障ないので、安心してください) もし科学的に波の長短が人間に高貴さを感じさせるのならそれが答えで良いと思います。 つまり、人間の目はなぜか紫の波長に高貴さを感じるというような理屈です...
  • 人工言語は簡単か
    結論からいうと、人工言語は意外に難しいです。構造自体が簡単でも学習が難しいからです。 言語が簡単というのは、文法システムや音韻システムの面だけではありません。 人工言語にもコロケーションや語法があり、結局は個々に覚えねばなりません。 語学というのは要するに壮大な慣れです。 検定でも3級くらいなら言語の仕組みを掴みやすい人は簡単に取れます。 でもそれ以上は反復練習の賜物なので、良い教材を集中して複数回繰り返す作業に落ち着きます。 人工言語をやっていて思ったのは、教材が少ないということです。全て自作ですからね。 CDブックも自作ですし、DVD映画作成は絶望的ですし、その上辞書や小説や歌謡曲まで作るというのは大変過ぎます。 英語などの自然言語に比べて圧倒的に教材となる資料が少ないのが難点です。また、留学先が存在しないこともネックです。 つまり、言語そのも...
  • グローバル社会の人工言語
    地球のグローバル化に伴い、それまでは殆ど西洋に封印されていた人工言語の概念は20世紀には世界各地に普及していた。日本にも20世紀にエスペラントは既に持ち込まれていた。世界3大宗教と人工言語の割合の分布の違いは明白である。アラブ圏にいけばイスラム教徒が多く、西欧ではキリスト教徒が多い。地域ごとに比率が異なる。しかし人工言語はそうでない。概ねどこへ行こうがエスペラントのシェアが最も高い。人工言語の割合はむしろコンピュータのOSに近い。ウィンドウズが大概最大のシェアを占めるように、エスペラントが群を抜いている。日本でもそれは同じで、エスペラントが最も多くのシェアを占める。書店で購入できる書籍を比べてみてもインターネットの日本語サイトの件数を比べてみても明らかである。 グローバル化に伴い西洋から人工言語が伝来し、日本では人工言語といえばエスペラントという公式が生まれるに至った。これは今日で...
  • レトルト人工言語
    「小説やゲームやマンガに臨場感を与えるために人工言語や架空言語を作りたい。でも、言語学や語学の知識がないと作れないの?」 ――そんなことはありません!専門知識がなくても言語を作ることはできます。ここではその実例を紹介します。 『Final Fantasy X 』アルベド語 これは日本語を改造したものです。「オヤジ」は「トタギ」といいます。ア行→タ行、ヤ行→タ行、ザ行→ガ行にしているだけです。 仮名を規則的に入れ替えているだけで、最も簡単な人工言語です。 単語も文法も文字も音も全部日本語ですから短い時間で作れます。 発音も完全に日本語ですし、労力は最小限で済みます。 『Tales of Eternia 』メルニクス語 メルニクス語はメルディというキャラクターの言葉で、英語を改造したものです。 アルファベットのAからZまでの26文字に、それぞれ仮名1文字を充てていま...
  • まとめ
    まとめ 実用を目的とする場合… 風土 地球のどこかを参照するか、自作すると深みが増す。 文化 こちらも借り物でよいが、自作すると深みが増す。 音素 類型論などを参考に、p, t, k など人間がよく使う音を選ぶ。 アクセント 拘束だと覚えやすくなる反面、同音異義語を区別できない。 逆に、自由だと同音異義語を区別できる反面、拘束より覚えにくくなる。一長一短。 声調 音節数を最小限に節約できるかわりに、外来語の音訳がしづらくなる。 音節構造 CV(子音+母音)だけでは少なく、特に外来語などの音訳に困るので、CVCを中心に考えるとよい。 文字 一長一短であるが、特に「話す」を考慮した場合、表音文字のほうが断然よい。 なお、表音・表意に関わらず、スペーシング(語と語の間に空白を入れる)があるとより分かりや...
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