『リゾナンターΧ(カイ)・刃千吏副長官銭琳編』

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  • 『リゾナンターΧ(カイ)・刃千吏副長官銭琳編』
    2013/04/23(火) 2013/05/09(木) 2013/05/11(土) 2013/05/12(日) 2013/04/23(火)  refer to 『リゾナンターΧ(カイ) 番外編』 アジアの大国・中国が誇る国家機関「刃千吏」。 彼らの手がける仕事は国のトップシークレットに関わるものから、些細なものまで多様に渡る。 それ故、敵も多い。 最近では、上海に進出してきたという日本を拠点とする犯罪者組織との敵対が表面化し、彼らが差し向けるクローン兵器との争いは熾烈を極めていた。 とある任務のため、中国辺境部の飯店に滞在していた「刃千吏」の副官・リンリンこと銭琳は、真夜中の招かざる訪問を受けていた。 部屋のソファーに腰掛ける、二人の少女。テーブル越しにリンリンを見る目は、ただの訪問者としては似つかわしくないものがあった。 「まあ固い...
  • シリーズ・長編
    ... 『ガキカメ編』 『リゾナンターΧ(カイ)・刃千吏副長官銭琳編』 『リゾナンターΧ(カイ)番外編・聖、ハートのチカラ』 『リゾナンターΧ(カイ) 番外編・悪童達の咆哮』  『リゾナンターΧ(カイ) さくらの修行編』 『詐術師とさくら』 『さくらと鋼脚と沈む月』 『さくらと守護者と鼠の話』 『永遠殺しとさくらの存在』 さくらと天使と黒翼の悪魔 『共鳴戦隊リゾナンター』 『共鳴戦隊リゾナンター 参上』 『共鳴戦隊リゾナンター 再来』 『共鳴戦隊リゾナンター 三度』 『共鳴戦隊リゾナンター 四度』 『共鳴戦隊リゾナンター 五度』  『colorfull戦隊リゾナントガールズ(仮)』 『colorfull戦隊リゾナントガールズ(仮)①』 『colorfull戦隊リゾナントガールズ(仮)②』 『colorfu...
  • スレ別分類(第73話~第100話)
    ... 53.94 0 『リゾナンターΧ(カイ)・刃千吏副長官銭琳編』 2013/04/23(火) 21 13 58.89 0 (80)618 名無し募集中(名探偵鞘師里保の事件簿) 2013/04/25(木) 12 04 19.74 0 (80)628 名無し保全中(悪夢に魘されて) 2013/04/26(金) 00 09 09.48 I 『リゾナンターΧ(カイ)番外編・詐術師とさくら』 2013/04/26(金) 13 29 14.58 0 『the new WIND―――道重さゆみ』 二回目 2013/04/28(日) 08 30 36.62 0 『リゾナンターΧ(カイ)番外編・さくらと鋼脚と沈む月』 2013/04/29(月) 07 21 53.67 0 (80)709 名無しリホナンター。。。 2013/04/30(火) 12 28 38.99 0 (80...
  • 『リゾナンターΧ(カイ) -4』
    ★ ★☆ ★☆★ ★☆★☆ ★ 都内近郊に、かつてはショッピングモールとして賑わっていたものの、運営会社の倒産により打ち捨てられた建物があった。解体 することすら叶わず、現在は立入禁止の看板とともに有刺鉄線と鉄板で覆われた廃墟と化していた。 そのメインテナントだったディスカウントストア跡地。荒れているものの、商品だったソファーやベッドが放置され、ホームレスの類 が永住するには悪くない環境だった。 そのソファーを、7人の女たちが囲むようにして座っている。 「あのチビ、遅くない?」 不満を前面に出して、スレンダーな色黒の女性がぼやく。 オフィスビルでれいなと交戦した三人組の一人だ。 「…あいつを待ってたってしょうがない。とにかく、うちらだけでもはじめよう」 「ちょっと待ってキャプテン、誰か来る」 その場を纏めようとした、女たち...
  • 『リゾナンターΧ(カイ) -2』
    ☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆ とある住宅街の隅にある、小さな喫茶店。 立地からしてあまり流行らなそうなこの場所で、一人の少女が手持ち無沙汰気味にカウンターを雑巾で拭いていた。店の窓から見える空は、今にも泣き出しそうな空。おかしいな、さっきまで晴天だったはずなのに。 そんな少女の疑問などお構いなしに、雨粒かぽつりぽつりと窓を叩きはじめる。 今日の来客は期待薄、と少女が思いかけたその時だった。 からんからん。 喫茶店の扉につけているドアベルがレトロな音を奏でる。 カウンターを拭いていた少女が条件反射的に手を止め、来客者のほうへ顔を向けた。その顔は心なしか、緊張しているようにも見える。 無理はない。今日最初の、いや、少女が出迎える最初の記念すべきお客様だ。その人は少女・鞘師里保の記憶に永遠に残るだろう、というのは言いすぎかもしれないが。 その...
  • 『リゾナンターΧ(カイ) -3』
    ☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆ 見られている。 隣町のスーパーに買出しに来ていた道重さゆみは、どこからともなく纏わり付いてくる視線を感じていた。まさか敵?と思いつ つもどうも様子がおかしい。 確かに見られてはいるようだが、どことなくきもい。うざい。イラっとする。 さゆみが恐る恐る辺りを窺うと、精肉売場の柱の影からこちらを見ている少女の姿があった。 …さゆみのファンか何かかしら。 彼女のことをリゾナンターと知らない人間からすれば、ただの喫茶店の店主に過ぎないのだ がそこはまあご愛嬌。敵組織の人間、とまずは疑いたいところだが、肝心の少女には敵意や緊張感というものがまるで感じられ ない。それどころか、柱の影に隠れるのをやめてひょこひょこさゆみのほうへ近寄ってくる。 「あのー、みっしげさんですよね?」 「そうだけど。何か用?」 ...
  • 『リゾナンターΧ(カイ) -1』
    ★ ★★ ★★★ ★ どこまでも続くかと思うような、長い廊下。 薄闇に包まれた道を、白衣をゆらゆらとはためかせ、歩く。 約束の時間を大分過ぎてしまったか。 ひとりごちてみたが、急ぐ気はさらさらない。 どうせ幹部連中も、私がいないことには話を始められない。 これから私はあるひとつの提案をしてみるつもりだ。 その提案に対する反応。私は彼女たちの不満に満ちた声を想像する。 甲高い声。ヒステリックな声。やる気のなさそうな声。興味のなさそうな声。 全て、自分が持っているデータで黙らせることができるだろう。それは確信に近かった。 力技、なのかもしれない。 けれども、彼女たち自身、自らの任務が徐々にではあるが何らかの原因で支障をきたしていることは 薄々は気づいていることだろう。私の提案は、その事実に光をあてるだけ。  ……闇が、光をあてる...
  • 『リゾナンターΧ(カイ) -5』
    ☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆ その頃、件の建設現場にて。 もともと下町の長屋が密集していたこの地一帯を、再開発の名の下に空き地にしていったのが数年前。ところが、 計画をもちかけたディベロッパーが不動産不況の煽りを受け事業撤退。以後、代わりの業者が見つからないまま、 先駆けとして竣工するはずだったビルディングのできかけがそのまま放置される寂しい土地となってしまった。 逆に言えば、ダークネスのような闇の組織が利用するにはうってつけの場所とも言える。 「お。こっから入れるやん」 うれしそうに、れいなが指を指す。 敷地を囲う鉄板のボルトが一つ、外れかけている。鉄板をずらせば中に入れるようだ。 「楽しそうだね、れいな」 「なんかがきんちょの時にやった探検ごっこみたいっちゃん」 鉄板をずらし、隙間から猫のように侵入するれいな。 さ...
  • 『リゾナンターΧ(カイ) 番外編』
    魔都上海編 赤の粛清編 ガキカメ編 新人さくらの研修シリーズ詐術師とさくら さくらと鋼脚と沈む月 さくらと守護者と鼠の話 永遠殺しとさくらの存在 さくらと天使と黒翼の悪魔-1 さくらと天使と黒翼の悪魔-2 さくらと天使と黒翼の悪魔-3 魔都上海編 空にばら撒かれた、無数の光。 光の洪水とすら思えるこの光景には、さすがに彼女も絶句せざるを得ない。 かつてこの異国の地を彩ったと思しき瀟洒な建物たちがライトアップされ、幻想的、いや、蟲惑的にすら思える。この雰囲気の前 には、遠くに見える不細工なロケットのような巨塔ですら、素晴らしいものに見えてしまう。 …観光に来たわけじゃ、ない。 下手をすると飲まれてしまいそうな、空気。 それを跳ね除けてから、女は海岸通りから、路地裏へと入る。 栗色に近い金髪、派手な装飾の赤いジャケット。女のいでたちはいくらここが異国...
  • 『リゾナンターΧ(カイ) -6』
    ☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆ あっと言う間の出来事。 頭に鹿の角を生やしたキュート一番手・萩原舞が、遥と香音と衣梨奈を吹き飛ばした。 三人は弧を描くように空を舞い、そして地面に激突してしまう。 「なんだ、あっけない」 一仕事終えた舞は余裕の表情。 しかし次の瞬間、その表情が崩れる。 「んなわけねーだろ!」 立ち上がる遥。 その体には傷ひとつ付いていない。 続いて起き上がってきた香音と衣梨奈もまったくの無傷だ。 「そんな、どうして!!」 「へっへー、どうしてだろうね」 挑発する香音に歯軋りしながら、舞は考える。 確かに舞の剛角は三人をピンポイントで捉え、そして吹き飛ばしたはずだった。 なのにまったくのノーダメージとは。 ならば、直接打撃を叩き込むまで。 「モード『戦闘くん』終了。新たにモード『元気ッ...
  • 『リゾナンターΧ(カイ) -7』
    ★ ★☆ ★☆★ ★☆★☆ ★☆★☆★ ★ しばらくは落下した鉄骨による土煙でもうもうとしていた建設現場だったが、視界が晴れるとともに、れいなは大きな違和感に気づく。 あいつらが…いない!? そう。 れいなが空中戦で叩きのめしたベリーズのメンバーたちが、忽然と姿を消しているのだ。 あの速度で落下し地面に激突していれば、身動きすることすら不可能なはず。 周囲の様子を窺っていると、頭上から声がした。 「…やっぱり、一筋縄ではいかないみたいね」 「あんたは!!」 れいなの居る場所からはるか上方に、その女は浮かんでいた。 鉄骨の枠組が崩壊した時に姿を消していた、ベリーズのキャプテン。 「でも、これからあんたは地獄を見ることになる」 佐紀が言うとともに、背後に六つの顔が浮かび上がる。 雅。茉麻。千奈美。友理奈。梨沙子。...
  • (92)32 名無しイラスト。。。(桃色の片鎌重い)
    大鎌が、「赤の粛清」の前に躍り出る。 彼女の姿を隠すかのように激しく回転する刃。そして回転が収まった後に姿を現したのは。 黒衣の死神。 胸元の赤いスカーフが、まるで血のような妖しい光沢を放っている。 『リゾナンターΧ(カイ) 番外編』赤の粛清編より 投稿日:2014/01/27(月) 18 43 09.75 0
  • 『リゾナンターΧ(カイ)・ガキカメ番外編』
    ☆ ☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆☆  refer to 『リゾナンターΧ(カイ)』 ☆ 丘の上にある病院は、まるで中世の白亜の城のようだ。来るたびに、そう思う。 けれど。新垣里沙はこうも思うのだった。 治る見込みのない患者にとっては、永遠に出られない監獄なのではないか、と。 里沙の後輩の亀井絵里がこの病院に転院してから、もう2年近くになる。 腕のいい脳外科医がいる、という噂を聞きつけた当時の喫茶リゾナント店主・高橋愛が絵里をこの病院に転院させた。 それから、時は流れた。愛はリゾナンターを辞め、里沙も追うようにしてあの喫茶店を離れていった。その間彼女は、絵 里を見舞いにこの病院を何度も訪れていた。 病院の白壁が、オレンジ色に染まっている。 予定外の「仕事」が入り、見舞う時間が大幅に遅れてしまっていた。面会時間は夜の8時まで。時間は十分...
  • 『リゾナンターΧ(カイ) -epilogue』
    ★ ★★ ★★★ ★ 暗闇に包まれた部屋に、12のモニターが僅かに光をもたらしていた。 しかし、時が経つにつれその光は一つ、また一つと消えてしまう。 やがて全てのモニターが沈黙し、部屋から光が失われた。 なるほど、そういう結果に終わりましたか。 リクライニングチェアを傾け、部屋の主である白衣の女性は呟く。 「ベリーズ」と「キュート」がリゾナンターたちと相見え、そして敗北するまでの全ての経過を、彼女はその瞳に、そして「叡智の集積」と呼ばれし頭脳に焼き付けていた。 当然の結果か。それとも誤算か。 彼女にとってはどちらにでも取れたし、またはどちらでもなかった。いや、それ以前にどちらでもいいことだったのかもしれない。 いずれにせよ、答えはない。 闇に溶け込むような眼鏡のレンズだけが、部屋の外から漏れ出す小さな光を反射していた。 何の前触...
  • 『共鳴戦隊リゾナンター 三度』
    『リゾナンターΧ(カイ) -7』のお話が心に響いたからこそ書いたものだということをくれぐれもご理解ください そして最大限の広い心で読んでください 作者はリゾナンターオリメン全員大好きです 現在のリゾナンターたちも大好きです その他のグループもそこまで詳しくはないけどそれなりに好きです 本当です ※参照作品 (70) 292 『共鳴戦隊リゾナンター 参上』 (74) 214 『共鳴戦隊リゾナンター 再来』 「あーはっは!やれやれ!徹底的に破壊しろ徹底的に!」 ここではないどこかの世界。 その世界は危機に瀕していた。 「闇の帝国・ダークネス」を名乗る組織が、世界を闇に呑みこまんと再び動き出したのであった。 今日も、一つの街がダークネスの一個師団によって襲撃されていた。 「ダークネスに、そしてこのミティ様に跪け愚民ども!」 師...
  • 『共鳴戦隊リゾナンター 五度』
    奇跡的に規制が解けている間を縫って保全します いつものように最大限の広い心で読んでください ※参照作品 (70) 292 『共鳴戦隊リゾナンター 参上』 (74) 214 『共鳴戦隊リゾナンター 再来』 (79) 665 『共鳴戦隊リゾナンター 三度』 (80) 555 『共鳴戦隊リゾナンター 四度』 「にゃはは。いいよいいよ、全部壊しちゃって」 ここではないどこかの世界。 その世界は危機に瀕していた。 「闇の帝国・ダークネス」を名乗る組織が、世界を闇に呑みこまんと再び動き出したのであった。 今日も、一つの街がダークネスの一個師団によって襲撃されていた。 「グッバイボーイ。にゃはは」 師団を率いているのは、当作者が一度も登場させたことがない(※理由:書けないから)粛清人A。 「ちょっと?書けないのに書こうとしてんの?...
  • 『リゾナンターΧ(カイ)外伝・赤の脅威』
    「久住さーん、そろそろ本番でーす!」 自分の控え室で仮眠を取っていた久住小春は、番組ADの馬鹿でかい声に目を覚ます。 相変わらず本名で呼ばれることの違和感に辟易しながらも、気だるそうに身体を起こした。 アイドルからモデルに転身したと同時に小春は、「月島きらり」の名前を捨てた。 別に心気一転とか殊勝な考えからではない。ただ、捨てたかったのだ。 アイドルであった時の名前を。そしてリゾナンターであった時に名乗っていた、名前を。 小春の意識は、自然と決別のあの日へと還ってゆく。 「本気なの…?」 リゾナンターのサブリーダーである新垣里沙が、改めてその意思を確認する。 けれど、小春にとっては何度聞かれようが、答えは変わらなかった。 「うん。小春はもう、リゾナンターを辞める」 「銀翼の天使」の襲撃から数日後。 幸いにして怪我の軽かった小...
  • 『リゾナンターΧ(カイ)番外編・聖、ハートのチカラ』
    ☆ ☆☆ ☆☆☆ ★★★★  refer to 『リゾナンターΧ(カイ) -7』★☆ ☆ 物体に残された残留思念を読み取る、サイコメトライズという能力。 この能力の派生として、大きく二つの種類が挙げられる。 一つは、読み取った情報を具現化する能力。主に「悪夢使い」と呼ばれる能力者が使役する。 そしてもう一つは。能力者の残留思念から使役能力を読み取り、自らの力とする能力。いわゆる、能力複写と呼ばれる能力だった。 譜久村聖。 あるきっかけから喫茶リゾナントに通うようになって、2年半が経とうとしていた。 今では後輩もできて、ちょっとした中間管理職的存在。しかし今の彼女の前には、それ以上の問題が立ち塞がっていた。 今も通っている高校で配布されたお知らせの裏に、大きな四角を三つ書いて、うんうん唸って考え事をしている。 そのうちの一つ、”亀井...
  • 『リゾナンターЯ(イア)』
    ★ ★★ ★ 円筒型の空間が、天に向かってどこまでも、伸びている。 ここは秘密結社ダークネスの地下会議場、通称「蒼天の間」。暗闇には相応しくない僭称だが、この場所を考案した人 間が名前をつけたのだから仕方が無い。もちろん「皮肉が利いててええんやない?」という首領のお墨付きではあるの だが。 丸く囲まれた空間に配置された、13の席。 先頃復活した転移装置「ゲート」により地下深いこの場所に最初に現れたのは。 「何よ、まだ誰も来てないじゃない」 最初に席を埋めた女性が、厳しい顔をして周囲を見渡す。 時を操るものは、誰よりも時に対し正確である。ダークネスの幹部が一人、「永遠殺し」もまた機械の如くその身に時を 刻み続けていた。 「さすが『永遠殺し』!一番のりですね!!」 と思いきや、先客がいたようだ。ダークネスの幹部の中で一番の、...
  • リゾスレ50話突破記念 消えたリゾナンター (2)
                                    ←back   next→ 「いやー、食った食った。」 私が今いるのはリンリンが住み込みで働いている中華料理店だ。 ここの店主なら何か知っているかもしれない。 「あのご主人。」 「何か用かな?」 「あのここで働いているリンリンさんについて話を聞きたいんですが?」 「ああ、リンリンちゃんのことか。今、いないんだけどね。」 「あの彼女の行先について何かご存じですか?」 「いや、でも彼女が何日か休んでも雇ってくれるように言われているんだよね。ここだけの話だけどこの店はすごい援助をしてもらっててね。その人、リンリンちゃんがお気に入りのようなんだよ。」 「へぇ、どんな人ですか?」 「リンリンちゃんと同じ中国人で若い人を4人連れてここで一度食べていたことがあるんだ。その人たちの話題がリンリンちゃんだったんだ...
  • 『リゾナントリゾートin利曽南島 2日目夜―ここでひとまず打ち合わせ―』
    世の中には、「美少女+水着+コメディ=ポロリ」という奇妙な方程式があるのだという。 必ずしも式が成り立つと証明されたわけでもないのに、人々はその式に対するその解を望んでやまない。 ようするに期待しているのだ、美少女のポロリを。 光あるところに闇があるように。 期待をする人間がいるならば、それに応える人間もいなくてはならない。 読み手あっての書き手、読み手あっての登場人物であるのだから。 つーことで、期待していた人間よ、篤と見よ! これが美少女のポロリだ!              ノノハヽ              (*`.∀´) <あらやだ               (つ/ )              || |`(..イ||             (~U_し _,,,,..,  ポロリ              `ヾ、,,,,,,,)...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 46話
    ● まるで魔法の絨毯にでも乗っているかのようだ。 ただ一つ。絨毯がコンビニの入り口に敷かれていたダスキンマットであることを除けば。 逆に言えば、それがさゆみに現実感というものを齎していた。 風に乗り、さゆみを乗せて一定のスピードで飛行するマット。 それを巧みに操るは、足の長い、黒髪の美少女だ。 かそくどそうさ?で操ってるんさぁ。 ふわりと浮いたマットに乗るよう促したその少女は、さゆみとともにそれに飛び乗ると、軽快に空を 飛ばしていった。 危ういバランスで飛行しているような様子を不安げに見ていたさゆみに、少女が掛けた言葉がそ れだった。 「加速度操作」。 そう言えば、先日春菜と衣梨奈が助けた能力者の少女の使う能力が、それだったはず。 さゆみは思い出す。彼女は。 スマイレージ。 警察組織が新たに対能力者の切り札として結成した「エ...
  • 『リゾナンターЯ(イア)』 76回目
    ● 喫茶リゾナント。 流行りの店というわけではないが、朝はそれなりに客が入る。 大抵が出勤前の慌ただしいサラリーマン。入店し忙しくモーニングセットを詰め込み、そしてまた急かされるように店を飛び 出る。 他のメンバーたちは学校がある。この時間帯で奮闘しているのは、店主のさゆみと高校を卒業しこの時間でも手伝いができる ようになった春菜の二人だ。 「ふう。やっと終わりました」 「この時間はうちの生命線だから、しっかり稼がないとね」 最後の洗い物が、乾燥機に仕舞われる。 ラッシュアワーとも言うべき時間帯を乗り越え、二人は安堵のため息をついた。 この時間を過ぎてしまえばあとは閑古鳥。さゆみの言葉にも説得力がある。 「あれから、1週間が過ぎたんですね」 「そうだね…」 戦いは。 リゾナンターの勝利に終わった。 さくら。そしてれいなを救出し、...
  • 『リゾナンターЯ(イア)』 61回目
    ● 研究所内部に最初に辿り着いたのは、里保たち後発組。 亜佑美たちがダークネスの放った「戦獣」に手間取っている分、早く到着できたようだ。 しかし内部は入り組んでいる上に、複数の研究室に分かれていた。 さくらやれいなが居る場所の見当はつきそうにない。 「こんな時、どぅーがいてくれたら」 「フクちゃん、そんなこと言ってもしょうがないよ。とにかく、探そう」 「やけん、片っ端から漁る!香音ちゃんよろしく!!」 「え?しょうがないな・・・」 里保の言うとおり、とにかく探すしかない。 暗に物質透過を使えと言わんばかりの衣梨奈の物言いに憮然とするも、この状況では自らの能力が生きるのは間違いない。とい うわけで、まずは香音が近くの壁に向かって突進。 「がっ!?」 しかし香音は、まるで何かのコントのように壁に激突しひっくり返る。 「ちょっ...
  • リゾナンター最終回.
    最終回のあるあるネタ的なお話でございます。  前半部分は割愛して、ラストシーン近辺だけを書き込みます。 ~あらすじ~ 物語は“ダークネスによって滅亡した地球”のビジョンを光井愛佳が“視た”ところから始まります。 リゾナンターたちはそれを阻止する為に、ダークネスの本部に乗り込みます。 様々な障害を乗り越えついに、地球滅亡の元凶である核兵器を発見したリゾナンターたち。 愛佳の予知した地球滅亡の時刻が迫る中、リーダー高橋愛はある決断をします。 それは、ダークネスの核兵器を“自分もろとも大気圏外にテレポートさせる”というものです。 皆の制止を振り切って、高橋は大量の核兵器と共に姿を消してしまいます。 残されたリゾナンターたちは、ダークネスの残党と交戦しながら退路を探しますが、 ダークネスの罠によって酸素供給を断たれた部屋に閉じ込められてしま...
  • 『リゾナンターЯ(イア)』 69回目
    ● 業火。 肺腑まで焦がす炎熱地獄の中、新垣里沙と「鋼脚」は対峙していた。 周囲はすっかり赤い舌に嘗め尽くされ、ごうごうと音を立てて燃え盛っている。里沙にとっては最悪の状況であることは間違 いない。 「へえ。ちゃんと使えてるじゃん。『伝達遅延』。呼吸法と組み合わせれば、致死量の猛毒の煙の中でも数分間は生きてられ る。師匠としても鼻が高いね」 炎の壁を見渡しながら、「鋼脚」。 その表情は少しも歪んでいない。先ほどまで炎の中で戦っていた里沙に比べ、今しがたこの場に到着したと思しき「鋼脚」。 何よりも。 「伝達遅延」は自らの精神に作用させることで、毒物等の身体に害を及ぼす物質の影響を遅延させることが出来る能力。 そして、呼吸法により極力毒気を吸い込まないことにより、その効果は飛躍的に高まる。 問題は、そのどちらも、目の前の金髪の女性が里沙より...
  • 『リゾナンターЯ(イア)』 74回目
    ● まるでミルクの雲に包まれているみたい。 さゆみは、乳状の靄の掛かった空間で、薄桃色の光を帯びて横たわったまま浮かんでいた。ゆるやかな川の流れに乗るよう に、ふわふわと、どこかに運ばれてゆく。 そう言えばさゆみ、あの黒い触手に捕まって。 その後のことは、わからない。 ぷっつりと記憶が途切れてしまったように。 勝ったのか、負けたのか。 生きているのか、死んでいるのか。 それすらも、わからなかった。 リゾナントに、帰りたいな。 漠然と、そんなことを思っていた。 思いと裏腹に、目の前の景色は相変わらず見通しが利かない。 白い混沌とした世界がどこまでも広がってゆく。 横たわっているのか、それとも実は立ったままなのか。位置の把握すら出来ない不思議な、さゆみ一人だけの空間。 そこへ、新たな光が射す。水色の、きらきらとした輝き。 そ...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 35話
    ● 奇しくも、刺客を打ち倒したリゾナンターたちが一所に顔を合わせたのは、ほぼ同時。 「あれ、亜佑美ちゃん何やってると!?」 「生田さんこそ!って言うか小田も!!」 「いや、あの譜久村さんが急にいなくなって」 互いが互いの状況を把握できていない。 我先にと口を開くものだから、収拾がつかなくなりつつあるところを。 「ちょっとみんな落ち着いて。まずはそれぞれの身に起きたことから話そう?」 さすがは最年長の貫禄と言ったところか。 春菜の言葉に従い、一人ずつ話し始める。能力者に襲われた、もしくは一緒にいた人間とはぐ れてしまった。など。 互いに情報を交換してようやく、自分達が置かれている状況を理解するのだった。 「くそ!またあいつらかよ、しつけーな!!」 「まさが出会ったらぐしゃぐしゃって丸めて、ぽいってしてあげたのにね」 自分た...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 42話
    ● 施設各所から吹き上げる炎の柱は、光の国の居城前からもはっきりと見ることができた。 炎の根元がどういう状況になっているかは、想像しなくても理解できる。 「どうしよう、このままじゃ遊びに来た人たちが!!」 「とにかく、助けなきゃ!!」 「その必要はないね」 リゾナンターたちの言葉を遮るように、一人の少女が目の前に降り立つ。 へそ出しショートパンツという軽装の、ポニーテール。 その顔には、見覚えがあった。 「こいつ…この前の譜久村さんに擬態してた!」 亜佑美が、思い出す。 確かに少女の顔はあの時の襲撃者のそれによく似ていた。が。 「ざけんな。あんな出来損ないと一緒にすんなって。まいいや、”のん”が面白い場所に、連れてってあげる」 それだけ言うと、右手をリゾナンターの面々に翳す。 何かの攻撃か。身構えた一同だったが、次の瞬間...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 08話
    ● 一方、里沙の連絡で負傷者がいるという現場に駆けつけたさゆみは。 黄色と黒の防護テープで囲われた一角に踏み込んだ時に目に入ったその光景に、反射的に顔を背けてしまう。 一体何をどうしたら、このような状況になるのか。 路地裏のその現場には、赤い、大きな染みがあった。染みの中央にある「それ」は。 「あ…あがが…た…たすけ…て」 「こ、こ、殺してくれ…」 「おれはおれはしにしにしにたくない」 「それ」が同時に別のことを喋っている。いや、そうではない。 雑巾が絞られたかのような肉の塊りと化していた「それ」は恐らく元は、三人の別々の人間だった。その唯一の証拠が、肉体に捻じ込まれ、 または割れた半熟卵のようにぐしゃぐしゃになりながら。そして互いの頭と脳味噌と目玉を混ぜ合わせながらも辛うじて三つの意志がそこ にあるということだった。 「治療はそっちじ...
  • 『リゾナンターЯ(イア)』 72回目
    ● 光は、やがて闇へと還る。 だがその闇もまた、光の彼方へと消えてゆく。 そのことを象徴するかのように、意識は闇の中へ消え、再び光が射す。 里保が意識を取り戻した時。 そこには同じように夢から醒めたかのような顔をしているメンバーたちがいた。 「ここは?」 「やった!やった!成功したっちゃん!!」 里保の疑問を無理やり押し出すような嬌声。 衣梨奈は、それこそ全身をばねみたいにして飛び上がっていた。 「オムニバス!!成功した!!新垣さんに!!褒められる!!!」 「ねええりぽん、何そのオムニバスって」 「あ、それ、新垣さんから聞いたことある」 香音が、おぼろげな記憶を引っ張り出す。 「精神干渉の能力者が相手の精神に自らの精神を潜り込ませる『サイコダイブ』、その発展形として他者を相乗りの形で一緒にサイコ ダイブ方法があるって」...
  • 『リゾナンターЯ(イア)』 最終回
    ● リゾナンターたちとれいなが最後に会ったのは、孤島の研究室。 悪魔の機械に囚われていたあの時のれいなの顔は青白く、今にも消えてしまいそうな炎のように見えた。そしてこうして久 しぶりに再会すると、当時よりは幾分肌の色つやは戻っているようだが、まだまだ本調子でないのは明らかだった。 「れいな、おかえり」 「ただいま…でもれいな、すぐに戻らんといけん」 「わかってる。けど、嬉しいよ」 気まずそうな表情を見せるれいな。 さゆみがフォローするも、後ろに居た優樹の顔はたちまちくしゃくしゃに崩れてゆく。 「まさやっぱりたなさたんと離れるのやだ!!!!」 そして戸惑うれいなに向かってタックル。 仕方ないっちゃろ、と言いつつ優樹を抱きしめるれいなはまるで母親のようだ。 「もう、まーちゃん…病室に行った時で泣き尽くしたと思ったのに」 春菜は...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 50話
    ● 異変は、車両内にいた春菜たちにも伝わっていた。 何の前触れも無く、ゆっくりと動きを止める列車。その止まり方に、春菜は既視感を覚えていた。 もしかして、これは。 「鈴木さん、物質透過をお願いします!!」 「え?あ、うん、わかった!」 取り合えず外に出ようという判断なのだと悟った香音。 自身と春菜、そしてさくらに物質を透過させる力を与えた。 最初からそこに何もなかったかのように、車両のドアを摺り抜ける三人。 春菜は、先頭車両の鼻先に立っている女性を見て、思わず声をあげる。 この独特な雰囲気。見間違えるはずもない。 「あ、彩ちゃん!!」 和田彩花。スマイレージのリーダーにして、加速度操作能力の使い手。 やっぱり、という気持ちと同時に、まさかこんな場所で会えるなんて、という驚き。 スマイレージのリーダーとして、花音の手助けに来た...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 10話
    ● 国道沿いの、とあるファミレス。 全国的に有名なチェーン店ではあるが、店内には客はほとんど見当たらない。 それもそのはず、今はサラリーマンが眠い目を擦りつつ電車に乗り込むような早朝。そんな時間にファミレスで食事などという人 種はそうはいないはずだった。 普段なら厨房の中で暇を持て余したウェイトレスと調理担当のバイトが世間話に花を咲かせているような時間帯。のはずだが。 必死の形相をしたウェイトレスが、料理を両手に窓際のテーブルまで運び込む。 それが終わるとすぐさま厨房に向かい、次の料理を受け渡される。その、繰り返し。 昼のピークタイムと見紛うばかりの忙しさ。店内には、ひと組の客しかいない。だが、その客が大問題だった。 露出の多い服を着たギャルと、白衣の眼鏡の女性の二人組。 何の繋がりもなさそうな妙な取り合わせではあるが、彼女たちにはある共通点があった。...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 09話
    ● 喫茶リゾナント。 普段は店主のさゆみが腕を振るい客をもてなすこの店。とは言ってもその機会はめったに訪れないが。 今日はさゆみが朝から所用で出かけているため、同じく学生という立場から離れている春菜がキッチンに立っていた。 あまり客の訪れることはないリゾナントだが、今日に限ってはそのほうが幸せなのかもしれない。 春菜の料理のセンスは、絶望的だった。 からんからん。 さっそく朝から犠牲者第一号、もといお客様の登場に腕撫す春菜。 だがその人物の顔を見た途端、なぁんだ、という言葉が思わず漏れてしまう。 「なぁんだ、って何。衣梨もお客さんやろ」 「だって、生田さんお客様としてきたわけじゃないですよね」 春菜の反応に不満げなのか、それとも店に春菜しかいないことに不満げなのか。 ともかく学生ならば学校に通っているべき時間に現れた衣梨奈は、店の奥のテーブル...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 24話
    ● その国は、東京湾岸地区に「突如」出現した。 もちろん、魔法を使ったかのようにいきなり出現したわけではない。 突貫工事により、僅か数ヶ月で建設、完成した夢の国。 雲の上の大陸。海底神殿。宇宙空間。はたまた中世の騎士の世界。 古今東西、ありとあらゆる伝承をモチーフとした乗り物や建物。 東京ドーム数十個分、という広大な敷地におもちゃ箱の中身を広げたようなアトラクションの数々が配備 され。夜になると瞬くイルミネーションで敷地全体が光に満ち溢れる。 知事はもとより、政界・財界があらゆる力を結集したレジャーランド。 数年後に控えた国際イベント目当てにやって来る観光客たちの目玉としての役目を与えられたその娯楽 施設は、人々からこう呼ばれた。 「リヒトラウム(夢の光)」と。 ● 喫茶リゾナント。 この日は土曜日ということもあり、珍しくメ...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 06話
    ● 夜が訪れる。 周囲が闇に満ちるこの時間、人々が住まう街は灯りを点すことで暗闇に抵抗する。だが、この場所はむしろそんな闇を受け入れてす らいるかのように映る。 この世のありとあらゆる闇が集う地、すわわちダークネスの本拠地。 その地下深くに設けられているのが、彼女たちの会議の場。通称「蒼天の間」と呼ばれる場所であった。 円筒状の空間に、配された13の椅子。 会議に参加する組織の幹部たちは数人を除いて既に席に座っているものの。 「しっかしまあ何だ。うちの所帯も随分寂しくなったもんだな」 ライダースーツの金髪が、大げさにため息をつく。 「『守護者』と『詐術師』が死んでしまったわ。二人の粛清人もいない。今日の議題は差し詰め、組織の建て直しってとこかしら」 呼応するように、真向かいの迫力のある顔の女性が言った。 彼女の言うとおり、三人の幹...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 05話
    ● 学校帰りにカレー屋に寄っていく、として先に帰った里保たちとは別行動を取っていた鈴木香音・生田衣梨奈・佐藤優樹・小田 さくらの四人。主に香音が十分に腹を満たした後にリゾナントに帰還すると、実に珍しい光景が。 「なに書いてんのあゆみー」 真っ先に目をつけた優樹が、テーブルに座り書き物をしている亜佑美の後ろからしがみ付く。 ぶつかった勢いであらぬ方向にペンが走ってしまい、優樹を睨みつけながら書きかけのそれを丸めて投げ捨てた。 「あれっちゃろ?石田あゆ先生力作の、メルヘンポエム♪」 「違いますよー。『Dorothy』の先生たちに手紙を書いてるんです」 かつて亜佑美が自信満々に発表したとんでもポエムのことをからかう衣梨奈に対し、手を大きく振って否定する亜佑美。 「確かそれって亜佑美ちゃんが所属してた」 「ええ。東北にある、能力者の研究施設で...
  • 『リゾナンターЯ(イア)』 67回目
    ● 襲い掛かる「戦獣」たちを撃退し、建物の潜入に成功した春菜・亜佑美・優樹・遥の四人。 鉄製のドアを潜り抜けた途端に、遥は自分の体が引き攣るように硬直するのをいち早く感じていた。似ているのだ、この場所は。 「どうしたの、どぅー?」 「い、いや。何でもないから」 気丈に振舞う遥、しかしその異変にいち早く気づくものがいた。 ともにあの施設で過ごし、多くの見たくないもの、忘れたいものを見てきた仲間。 「思い出してるんだね。あの日々のことを」 「はるなん…」 白いローブに身を包み、質素を美徳に掲げた新興宗教団体「FACE」。 しかしそれはあくまでも仮初であり、真の姿は能力者の子供達をかき集め、苛烈な人体実験の対象にする事で上部組織、つまりダー クネスから利益を享受する機関に過ぎなかった。 春菜と遥もまた、「FACE」の能力者スカウト部の手にかか...
  • 『リゾナンターЯ(イア)』 63回目
    ● 「ここに来たってことは。覚悟を決めてきたって思って、よいのかな?」 夕陽を背にして、粛清人。 所々から血を流してはいるが、それが大きなダメージとなっている様子はない。 つまり、ほぼ万全の体制。 「約束。果たしに来たで」 「へえ。あたしとは戦いたくなかった、なんて言ってたのに。やっぱあれ?このままじゃ自分の後輩たちにまで危害が及ぶ、なんて 考えちゃった?」 愛に向かって、見透かしたような笑顔を見せる「赤の粛清」。 彼女の言うとおりだった。目の前の女は、目的を果たすためなら何でもする。若きリゾナンターを血祭りにあげることも、警察組織 の後輩たちを餌に自分をおびき寄せることすらも厭わない。 ならば、これ以上犠牲を増やすわけにはいかなかった。 「今度はもう邪魔者はいない。だから…見せてよ。全てを光へと還す、至高の力を!!」 「赤の粛...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 44話
    ● 四方八方を鏡に囲まれた、空間。 鏡の一枚一枚に映った糾弾者が、たった一人の犯人に一斉に視線を向けた。 「今…全てがわかりました」 春菜が、静かに言う。 そこには、いつもの弱弱しさなど微塵も見られない。 「だね。かのも今、はっきりと確信した」 そこへ続くのは香音。 戸惑うのは遥一人だ。 「なにが…わかったんだよ?」 「『金鴉』が化けてるのは…」 ほんの一瞬の、沈黙。 そして。 「くどぅー、あなたよ!」 「は?ちょ、ちょっと待てって!何でそうなるんだよ!!」 指差され、納得のいかない表情の遥。 一方妙なことをされまいと、香音と春菜が間を詰める。 「だってはるは、はるなんと一緒にいただろ!そん時に『金鴉』の野郎がべらべら喋ってたじゃんか!!」 「あのアナウンスが、予め用意されていたものだとしたら...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 25話
    ● 喫茶リゾナントからそう遠くない場所にあるマンション。 その一室に、光井愛佳が構えている事務所があった。彼女の生業は、所謂何でも屋。 迷い猫探しから、要人警護までをモットーに。今では海外進出をも視野に入れ、ニュージーランドと日本を 行ったり来たり。ちなみに事務所の代表は愛佳で社員も愛佳一人。人手不足はリゾナントの後輩たちに補 ってもらっている。今のところ、海外で得た英会話力を生かせるような仕事は、舞い込んで来てはいない。 愛佳の携帯電話が、鳴る。非通知。依頼者だろうか。 今日はいつになく忙しい。普段は一日一件くらいの依頼が、今日に限って10を超える本数。同業者に聞 いたところ、都内のその手の「能力者」たちが何らかの用事に掛かりっきりなのだと言う。どちらかと言え ば暇を持て余している愛佳のような個人営業者には願ったりな状況ではあるが。 「お電話ありがと...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 33話
    ● 白亜のお城をバックに、玉座に座るシンデレラ。 彼女を守るようにして、生気のない顔をした取り巻きたちが取り囲む。 「唐揚げ」 姫が命じれば、下僕の一人が跪き、白い皿に盛られた唐揚げを差し出す。 その山の一つを摘み、満足そうに口に入れ頬張る姫。 唐揚げだったら、無限に食べられる。そんな至福の表情だ。 「ティッシュ」 次の命令で、別の下僕が引き抜きタイプのウエットティッシュを御主人様の目の前に。 引き抜いたティッシュで油のついた指を丁寧に拭い、それから意地悪な視線を正面に立つ人物 へと差し向けた。 「タケちゃんさあ、あたし、何て言った?」 ゆっくりとした口調に隠された、鋭い棘。 名指しされた、茶色い頭の少年少女は途端に顔を引き攣らせる。 覚悟を決めてきたはずなのに、たった一言で朱莉は萎縮してしまった。 「あの、て...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 02話
    ● 都内某所の喫茶店。 リゾナンターのリーダー・道重さゆみは、とある人物に会うためにその店に向かっていた。 彼女が自らの店ではなく敢えて遠く離れた他所の喫茶店を待ち合わせ場所に選んだ理由、それは。 チェーン店らしく、画一的にカスタマイズされた店の内装は、シンプルであるとともに何か物足りなさを感じる。さゆみは、やはりリ ゾナントの手作りだけれど温かみのある佇まいのほうが好きだった。 「いらっしゃいませー」 マニュアル丸出しの店員の声を背に、店舗の奥へ進む。 目的の相手はすぐに見つかる。よくもまああんな格好でここまで来れたものだ。 「おう、呼び出してすまんな」 結婚式の帰りの新郎のような、白のタキシード。 肩の近くまで伸ばした金髪も相まって、どう見ても普通の職業についてるとは思えない。 能力者プロデューサー、という胡散臭い肩書きが妙に...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 20話
    ● ごく小さめな、宗教画。 中央、やや左上に天使。 両腕を上に掲げ、豪華な衣装がはためく。 天に向けられた顔は、なぜかぼやけ、その表情はわからない。 広がる地上には救済を求める人々が歓喜の表情で空を見上げる。 その救済を求める人々の中に、春菜はいた。 やがて天使の手から溢れる光は、春菜を包み込み… そうだ。 わたし、和田さんの精神世界の中にいたはずなのに。 暗闇に包まれて、意識が溶けていって。 そして今、先ほどの絵画のような光景が春菜の目の前に広がっている。 わたし、死んじゃったのかな。 精神世界での出来事は、現実の肉体にも作用する。精神世界における死はつまり、現実の死。 春菜が初めて喫茶リゾナントのドアベルを鳴らした日。当時の店主だった新垣里沙はそんなことを言っていた。 コーヒーの淹れ方をレクチャーしながらの軽い雑談のよ...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 12話
    ● 彩花の姿を目にした時に、春菜が最初に思ったのが。 早くこの人を助けないと!! 必死だった。 ふらふらと、あてもなく彷徨う魂の抜け殻のような彩花。 まるで少しずつ輪郭を失い、消えていってしまうような。 リゾナントを飛び出し、春菜は自らの五感をフル解放する。 普段は絶対にやらない、無謀の極み。何故なら自らの五感を無限に研ぎ澄ますことは、五感を司る器官への大きなダメージとなって必ず 返ってくるからだ。引き際を間違えてしまえば、該当する感覚自体を失うことにもなりかねない。 だが幸いに、周囲の雑音や臭気が春菜に襲い掛かる前に彩花の痕跡を探り当てることに成功した。 ここから北東の方角、距離は300メートルほど。いつの間にそこまで距離を離されたのかはわからないが、春菜の能力ならば追う事の できない距離ではない。 春菜は意を決して、探知した位...
  • 『リゾナンターЯ(イア)』 73回目
    ● ライトピンクが、黒い大蛇の行く手を阻む。 その光は、強く、そして優しく。 「み、みっしげさん…どうしてここに」 想定外、いや、心のどこかでここに来る事を願っていた。 里保は改めて、自分達のリーダーの存在の大きさを実感する。 「みんなのいるところにはどこにだって、駆けつけるよ」 「あっ…」 言いながら、里保を抱きしめるさゆみ。 緊張が解れて力が抜けてゆく里保の小さな体を抱きしめたさゆみは。 スー。精神世界の中だからどさくさに紛れてりほりほを抱きしめてもばれないの。フッフフフ。 などと危ないことを考えていた。 普段は大胆なこともできず柱の陰からこっそり見てるタイプのさゆみだが、どさくさに紛れる力はやはり只者ではない。 しかし、 「あのー道重さん、考えてること筒抜けなんですけど」 「て言うか鞘師さんだけずるい!石田...
  • 『リゾナンターЯ(イア)』 62回目
    ● 悪夢だ。 でなければ、何かの冗談だ。 福田花音には、そうとしか思えなかった。 圧倒的優位に立っていたはずの自分達が、今やまともに動けるのは花音一人。 彩花は、紗季は。そして憂佳は。生きているのか、死んでいるのか。あれだけの爆発をまともに受けてしまえば、死んでしま うのが当たり前。そうでなくても、もう手遅れなのではないだろうか。 いや、人のことを考えている余裕などない。 赤き死は、確実に自分にも手を伸ばしているのだから。 「あんた一人だけになっちゃったねえ」 夕陽を背に、「赤の粛清」が語りかける。 ぼろぼろになった外套を靡かせ、にっこりと微笑む姿。 彼女は、アイドル「松浦亜弥」として、テレビに出ない日はないというくらいの活動をしていた。ある意味、見慣れた顔。だ からこそ、怖い。彼女の漂わす、非日常の「死」が。 「さて、どうする? ...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 28話
    ● リヒトラウムに入園してすぐのところに、ショッピングモールが広がっている。 リゾナンターのおしゃれ番長こと衣梨奈と春菜は、ショッピングの真っ最中だ。 とは言え、仲良く二人でお買いものというわけでもなく。 衣梨奈は既に、単独行動。グッズのあれやこれやをカゴに詰めている。 はぁ…新垣さんと一緒に行きたかったなあ… リヒトラウム行きが決まった時、衣梨奈は真っ先に里沙に電話をしたのだが。 忙しいのか、電話がまるで繋がらない。そもそも、プラチナチケットと名高いリヒトラウムの入場チケットが そう簡単に手に入るわけがないのだが。 やや沈み込む気持ちも、目ざとく発見した豹柄グッズを見るや否や。 人だかりをかき分けるようにグッズコーナーに突入してゆく。 そんな衣梨奈の姿を遠目で見ているものがあった。 何てことはない。同行者のはずの春菜だ。 ...
  • 『リゾナンター爻(シャオ)』 23話
    ● 「ぐはっ!!!!」 小さな体が、ゴム鞠のように地面にバウンドする。 蹴られ地に伏した女を見下ろすように、ライダースーツの金髪が仁王立ちしていた。 ダークネスの本拠地の、倉庫区画。 物々しいフェンスに囲まれた空間は、滅多に人が立入ることはない。 「何だ、やられっ放しかよ」 「…よっちゃん、意味わかんねーし」 ポニーテールの少女は苦痛に顔を歪めながら、否定のポーズを取る。 私刑を受けることも、それに対し反撃する事も納得のいってないような顔だ。 しかしそれも、金髪 ―「鋼脚」― が無防備な腹部を踏みつけることで即座に悲鳴に変わる。 「ほら、反撃してみろよ。なんならお前が諜報部の監視役たちをやったように、あたしのこともぶっ殺してみるか?」 「ぐっ…がっ!!!」 「歯ごたえねえなあ。市井さん殺った時みたいに、びっくりさせてみろよ」 ...
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