princess-ss @ ウィキ内検索 / 「Zephyr(後編)」で検索した結果

検索 :
  • Zephyr(後編)
    10.  柔らかな月の光に包まれて、2人は静かに抱き合っていた。ラティは既に泣き止んでおり、その 顔をアッシュの胸に埋めている。  離れるのが惜しかった。ずっとこの温もりを感じていたかった。  だがいつまでもこうしているわけにもいかない。まだまだ話し足りないこともあるし、何よりパーティー を抜け出して抱き合っているなどと知られでもしたら、ラティフィアにとってあまりよろしくない事態を招 きかねない。 「姫さま」  抱きしめる腕をほどき、ラティの肩を掴んで引き離そうとする。肩に触れられた瞬間ラティの肩が大 きく跳ねたが、離そうとしていることに気付くと、アッシュの背中に回した腕に力をいれ、アッシュの胸 板に一層強く鼻先を押し付けてくる。 「10年間」  ラティがくぐもった声で呟く。 「10年間、貴方が帰ってくるのをずっと待ってたわ。晴れの日も、...
  • お姫様SSリスト
    ...14   Zephyr(後編)  容量オーバーのため分割 ◆11-333 07.2kb 羽化  [戦国]  [百合] ◆11-638 07.2kb 和物  [戦国] [陵辱?] ◆11-657 08.0kb アラビア風お姫様  [アラビア]  ◆11-674 11.4kb 貴族令嬢  [陵辱]  [残酷] ◆09-047 20.5kb TONO カルバニア物語 チェルキー キャンディーストア元ネタの話 [従者×姫] 作者:◆O94IilXdKs ◆13-127     ルナとキース ◆13-192     ルージュ姫とラメル  [戦闘描写にグロ有り]  [非エロ] ◆13-237     双蜜月(ハネムーン)の夜  [陵辱]  [母娘丼] ◆13-255     欲望の城  [和姦] [強姦] [アナル] ◆13-286     姫鬼畜  [輪姦] [...
  • Zephyr(前編)
    1.  そこは、少女には見慣れない世界だった。右を見ても左を見ても、見える物は広大な草原。後ろ には少女がこれまで通ってきた道、前にはこれから少年が行く道。空も大地も、全てが夕日に赤く 染められ、オレンジのペンキをぶちまけられたかのようだった。  ――少女は見慣れない世界に来てしまった。  いつもなら心が躍る道の景色も、今は彼女の不安を煽る。  涙が止まらなかった。最後だから、もう二度と会えないから、だから、せめて最後くらいは笑顔で。 そう思えば思うほど、「最後」「2度と会えない」と言う言葉が胸に強くのしかかってきて、心の奥から 涙を引き摺り出してくる。 「姫さま、泣かないでくださいよぅ」  すっかり困った顔をした少年が、寂しそうに言う。まだ7つになったばかりのその少年の顔には、7 歳の少年が知るには早すぎる、諦観の念が浮かんでいた。  ごめ...
  • 女兵士SSリスト
    ファンタジー世界の女兵士総合スレ SSリスト 1~4スレの小説はhttp //vs8.f-t-s.com/~pinkprincess/female_soldier/index.htmlに。 連作で途中からしか見当たらないといったものは上記サイトに掲載されています。 単発 ◆05-018 01.1kb タイトル未定 [陵辱] ◆05-022 10.2kb オブザーバ ◆05-042 10.5kb 隻眼のアーシャ [陵辱] ◆05-078 06.0kb 兵隊さん(陵辱もの) [陵辱][残酷] ◆06-092 01.9kb 保守小ネタ ◆06-172 00.8kb タイトル未定 [非エロ][未完] ◆06-194 25.9kb 魔法学園☆グランシール [非エロ] 作者:桃肉◆CrEK/Iu5PU ◆06-219 02.9kb タイトル未定 [非エロ] ◆06-2...
  • 蜃気楼(後編)
    自分を捕らえに来たという薬師を前に、アリューシアの顔には緊張が走った。 「ちょっと待て。どういうことだ、それは」 目の前の男を見上げ、眉を顰める。 彼の言っていることの意味が分からない。 「────実は、姫に頼まれまして」 薄化粧を施した女の険しい顔を眺めながら、グルドフはゆっくりと口を開いた。 「貴方がほかの誰かに捕らえられてしまう前に、私が貴方を捕らえて 逃がしてやってほしいって」 だが、それだけの説明では、事の子細が掴めるはずもない。 アリューシアがあいもなお怪訝な表情を浮かべているなか、薬師はすっと広間の方向に 視線をやった。 歩廊の先は所々に松明の明かりがあるばかりで、闇に包まれ何も見えない。 「姫のシナリオどおりにいっているのであれば、そろそろ来ると思いますが──ああ、上手く いっているみたいですね。来ますよ」 闇の先に目を向けたまま一方的にそう話すと、するりとアリューシアに体...
  • 桃色の鞠(後編)
    とうとう大好きな親友がフォレストから帰ってきた。 二か月ぶりの再会だ。 後宮の客間にて、二人はかたく抱きしめ合った。 『お帰りなさい。マリアンヌ。あなたがいなくて、とても寂しかったわ』 『私もよ。またあなたに会えてとても嬉しいわ』 本当に寂しいと思っていたのかしら、とセシリアは考える。 避暑地から届く手紙には、いつも友人の名前がずらりと並び、 毎日が楽しいことの連続のように書かれていた。 まあ、いいわ、とセシリアは邪心を打ち消す。 大事なのは、マリアンヌが帰って来たこと、ここにいることだ。 気を取り直して、長椅子の上に置いてあった桃色の鞠を拾い上げた。 『あら、鞠投げするつもり?』 そんなの子供っぽいわ、とマリアンヌは気取って首を振った。 『……そうかしら?』 セシリアは手中の鞠を見下ろす。 親友の言葉を聞いた途端、 あんなに鮮やかだった桃色のそれは、急に色褪せてやぼったく見えた。 『そう...
  • アリス陵辱(後編)
    ロリ パイズリ 微アナル 私とアクス以外の女性…軍師であったハイエルフのティファニーを始め、 有翼人のテュアロッテ、武闘家のタオや獣人のヴェローニャは男性を知らない。 初めての相手が見知らぬ男達であり、否応なしに強要される。 相手が処女と知った男達は狂喜しながら行為に及んだ。 「やめてええッ!!あぐ、い、痛い!痛いィィィッ!いやああっ!」 幼い声が薄暗い地下牢にこだました。 ランプに照らされ、幼い四肢が汗にまみれて上下へ激しく揺さぶられる。 「んっおおっ…し、締まる!これだからガキはたまんねェ!」 衣服をはぎ取られ、全裸で帝国兵に犯されているロッテ。 まだ初潮を迎えたばかりの少女の柔肌は野獣達にとってこの上ない獲物だろう。 有翼人特有の翼は重りをつけた鎖で雁字搦めにされ、帝国兵の精液をぶちまけられ 純白の翼が黄ばんで見える。...
  • 副長の日々3(後編)
     前編はこちらです。http //vs8.f-t-s.com/~pinkprincess/female_soldier/0085/ 前回の異種姦らしきものから一転して、ややソフトな、少女兵による逆レイプ(?)ものです。 話の都合上、エロが頭でストーリーが後ろ、という変則的な構成になっていますが、どうかご容赦ください。     つんざくような雨音が、外の世界を満たしている。洞窟の外へ広がる森に鳥や虫たちの声はなく、漆黒の闇の底からは、濁流となった沢の音が聞こえていた。 「これで、最後……っと」 シャリン、と小さく高い音が鳴る。低すぎず高すぎない位置に細い糸を張り巡らせて、私はそれらを鳴子に連動させながら結びつけていた。 よく響いたその音に、よし、と私は頷く。この音程ならなんとか、この豪雨の中でも聞こえるだろう。 従姉妹殿に引きずり回されて、あらかたの悪童遊びに手を染めさせられた幼い日々。その...
  • 華燭浮沈(後編2)
    「何をなさいますの!」 「同意なされただろう」 「でも、こんなの、どうして」 「分かった。抵抗や疑問がおありならやめる」 「……別に、一切合財お取りやめにならなくてもよろしゅうございますけれど」 「ならばどうされたいのだ」 「しかるべき手順を、ふまえていただきたいのです」 「手順?」 ジュスティーヌは目元を赤らめた。 解説を求められるような状況は本来望ましくないはずなのだが、 けれど自分の所望を大いに語れるというのは恥ずかしくもうれしいことであった。 「接吻に際して乙女が望むもの、ですわ」 「もう少し注釈を」 「つまり、跪いて懇願していただきたいのです。  古今の恋愛小説では、まっとうな騎士や貴公子は決してそういった礼節をおろそかにいたしません」 「ならば、まっとうな連中の仲間に数えられずともかまわん」 「え?」 「...
  • ロアとリュカ(後編1)
    「……怖いんです」 冷静になった今だからこそ、伝えなければならなかった。 「私、なんかもう『今まで通り』の自分でいられる自信ないです」 自分の中の張り詰めていた何かが、折れ崩れてしまったのを感じていた。 「意地張ってました。自分に嘘ついてました。…でも、だから頑張って来れたんです」 追い立てられていたからこそ、苦痛から逃げるためにも走って来れた。 怠ければ、立ち止まれば、尻に鞭がくれられたからこそ泣きながら走って来れたのだ。 なのに痛みがなくなったら。 「ロア、私どうしたらいいと思いますか? ……どうしよう」 緩んでしまった心、緊張を保てない心に、今更貴上の仮面を被り通せる自信がなくて、 それでもきゅうっとしがみつく姿には、男への揺ぎない信頼がある。 ――ロアならきっと答えをくれる。自分に道を示してくれる。 「うん、そんなリュカに、実はお願いがあんだけどさ」 果たして、彼女の信望は正しかっ...
  • ネフェティア陵辱(後編)
     そんなはずはない……発しようとした言葉は口の中で溶けて無くなって、出るのは落ち着か ない喘ぎばかり。乳首を一回摘み上げられるたびに身体からどんどん力が抜けていって、この まま触られたら、倒れこんでしまいそうな気さえした。 「嘘よ、気持ちいいわけ、ないじゃない…………」  本来なら自分に触れることすら許されないはずの男に肌を晒し、あげく相手に身体を委ねて しまっている。しかもその行為が行われている場所は、裸になることなど到底許されない森の 中だった。二重の許されなさが、恐怖の中であってもネフェティアに怒りを覚えさせ、同時に 今すぐ死んでしまいたい、消えてしまいたい……こういった感情も頭の中で膨らみ続けていた。 「そうか? その割には、可愛い声出してるぞ」 「違う、これは…………ああんっ」  頭の中に積み重なっていく考えを、男の舌がかき混ぜてどろどろし...
  • いぬのおひめさま(後編2)
    「………ひあぅ」 ぷしゃっと何かが弾ける感触と共に、繋がった場所近くにに生暖かいものを感じ、 続けてちょろちょろ、ちゅーちゅー、困憊の中にも馴染みの深い開放感。 「…あ……あ……」 迫る尿意にも似た感覚、ではなく、本当に尿意も迫っていた。 結局漏らしてしまう、それも床やシーツの上にですらなく、繋がった男の腹の上にだ。 散々飛び散った男女の混合液と洗い流すかのように、 ほとんど透明な熱い液体が、重なり合った腹部や太腿の合間に広がっていく感触。 「…うあ……とまんにゃい……とまんにゃいぃ……」 呂律の回らない舌で、全身を弛緩させながら呟く少女。 すぐ下にある自分を抱いた男の顔が、明らかにハァハァ鼻息荒い、 片手に彼女の背を抱きながら、もう片方で後ろ頭を撫で撫でしてくれるのも問題だった。 …汚いと突き放してさえくれない。全部受け止められてしまう。 「…あう……うっ……う……」 ゆっくりと下降し引...
  • いぬのおひめさま(後編1)
    限界なら黙って動かなきゃいいのに、それが出来ないのがこの男だ。 「ぜんぶ挿入っちゃったな」 明朗快活と言えば聞こえはいいが、単純にじっとしてられないだけでもある。 「なあどんな気分? こんな凄いカッコになっちゃって?」 予想以上の女の蜜壷の奥深さに、受け入れてもらえる喜びを隠せない。 勝気で強気な女戦士達や、海千山千な娼婦達と比べると、 青く若い男にとって、目の前の少女は非常に素晴らしいものと映ったようだ。 「俺みたいな蛮族なんかに犯されちゃって、どんな気分?」 だから欲しいし、だから犯す。 だから優しくする男は、しかし間違いなくサディストだ。 「ふあぁっ、あッ!」 「…ッ?!」 膣内を限界まで占拠した肉柱が、更に大きく肥大したかと思ったら、 ジュッ…と何か水流のようなものが、膣奥を穿つのを感じる女。 (……ふ?) ジュッ、ジュッ、と更に体奥に何か暖かい湯が噴き滲む感触に、 引き伸ばされた...
  • 薬(後)
    部屋には静寂がおとずれている。 けだるい空気には情事の残した匂いがのこる。 アビゲイルはタイロンの肩を枕に、タイロンはアビゲイルの髪に口元をよせて、まどろんでいる。 これ以上は体力の限界、というところまでお互いに愛し合ってしまった。 この至福の時間をもう少し楽しんでいたいのだが、仕事の後始末が出来ていない。 ため息をひとつ残して、タイロンは愛おしい女を手放して寝台から起き上がった。・・・ろうとした。 肘に巻きついた白い指がするすると腕にまとわりつき、思ってもみない力強さで寝台に引き倒おされた。 「もう、ちょっとだけ」 アビゲイルの声はかすれているが、タイロンには甘くしみいった。 鍛え上げられた胸筋の上に耳を寄せて、アビゲイルは心臓の音に耳を傾けている。 「私に盛られた薬は何?」 タイロンがやり残した仕事お思い出し起き上がろうとは思うのだが、寝台から、アビゲイルから離れられない。 「芥子じゃ...
  • 蜃気楼(中編)
    「ローズマリー」 整った顔に甘い表情を浮かべ、レオンが熱っぽく囁く。 耳元を男の息が掠めた。 アリューシアの身体の横に手をつき、覆いかぶさらんばかりに身体を傾けてくる。 顔の接近をこれ以上は避けようと仰け反るあまり、アリューシアは後ろに 倒れそうになった。 だが、危ういところで後ろ手を付き、なんとか身体を支える。 ここでソファに仰向けに倒れ込んだら女として一貫の終わりだということは、 経験が無くても本能でわかる。 普段の振る舞いが許されるのならば、もうとっくに「ええい! 離れろっ! 破廉恥な!!」 と相手を張り倒しているところである。 いや、そもそも言い寄ってくる男には毅然とした態度で片っ端から追い払い、 相手にこんな状況にさえ持ち込ませないのが、普段のアリューシアだ。 こんな女々しい──淑女の振りなどさえしていなければ── 腰の曲線を探るように撫でられ、アリューシアは震え上がった。 マル...
  • 詩興夜話(後篇)
    (どうしたもんか) マテューはまた髪を掻きあげていた。 あまり褒められた癖ではないが、小さいころからの習いでどうしても抜けない。 窓から差し込む夕刻の光が滑らかな金髪の上をすべり、微妙な翳りと光沢をつくりだしては散っていく。 膝の上に置いた本は彼の陰になっているため、宵闇さしせまるこの部屋では文字はほとんど読み取れない。 マテューはぼんやりと頁をくくった。 惰性のような動作であり、内容は頭に入っていない。 新しい頁の章題は「国文学における頭韻法の発生と変遷」とかろうじて読み取ることができた。 マテューはふと本を閉じ、彼らしくもない深いためいきをついた。 あの日の午後、彼はふたたび書記官らを広間に招きいれ、ミュリエルと共に双方の財産目録の確認と検討を地道におこない、 実質的に資産配分の契約書である婚約文書の草稿を筆頭書記官にまとめさせた。 あとはこれを宮廷に持ち帰り、しかるべき審議機関を経て...
  • 華燭浮沈(後篇1)
    一週間が経った。 クロードはちゃんと毎晩新妻ジュスティーヌの待つ寝室へ足を運び、酒杯を傾けがてら他愛ない話などはするが、 寝台は常に彼女ひとりに明け渡し、枕を並べることは一度もなかった。 (こんなことでいいのかしら) 昨日と同じくひとりでに目が覚めたジュスティーヌは、昨日と同じことを思った。 窓から差し込む光がぼんやりとあたりを照らし出しているが、 なにぶん部屋が広すぎるので四方の角にはとても届かない。 クロードが眠る絹張りの長椅子も、まだ薄暗がりのなかにたたずんでいる。 上体だけ起こしたジュスティーヌは、昔からのくせで膝を引き寄せその上に顎をのせた。 昔から、遊戯室や図書室でこんなふうにぼんやりしていると、昔から兄妹たちが何かとちょっかいをかけてくれたものだ。 だが今は彼らはいない。 自分の世話を焼くのが仕事である侍女たちは別とし...
  • 花影幻燈(後篇2)
    ふとエマニュエルの視線が自らの右手首に留まり、全身の動きも止まった。 それは彫像に化したかのような完璧な停止であり、生身の肉体としては尋常な気配ではなかった。 だがまもなく彼女は動き出した。 硬直の反動ででもあるかのように唐突に床に膝を突いたかと思うと、 次いで両手を突いて身を乗り出し、食い入るように辺りを眺め渡している。 これはアランには信じがたい光景だった。 エマニュエルの気性如何にかかわらず、彼女のような生まれの人間が何か探しものをするために自分で動き、 床から拾おうと欲しているというその眺めがすでに異様である。 アランは違和感と不可解な思いに包まれながら、そしてその異様さゆえに目をそらしたい思いに駆られながらも、 自らを律するようにして義妹の姿を注視しつづけた。 これほど何かに身も心も没入し、己の無防備さを無自覚に露呈するエマニュエルを見るのは今が初めてだった。 漆黒のまなざしはま...
  • 花影幻燈(後篇1)
    すでに傾斜地帯を通り抜けた馬車は少しずつ速度を上げ、 前方に見えてきた湖畔から吹き漂う清澄な風の下をくぐるようにして進んでいく。 車上の三人の髪は少しずつ乱され、後方へと吹き流される。 けれど彼ら自身をとりまく空気は微塵も動かなかった。 エレノールが小さく瞬きをし、膝の上に置いた両手をそっと組み直したのがアランには分かった。 エマニュエルは表情を変えずにただ前方を眺めている。 エレノールのいるほうから、ほんのかすかに奇妙な物音が聞こえてきた。 アランが左隣を振り向くと、それは妻が息を奥深くまで飲み込んだ音だった。 「マヌエラ?」 ひとつ間をおいた後、かろうじてアランの耳に届いたのは母国語に戻った妻の声だった。 向かい風に流されてしまったのか、彼女の呼びかけは妹姫に投げかけられたまま応じられることはなかった。 エマニュエルは依然として前を向いている。 その視線の先をたどれば、御者の濃褐色の帽...
  • 蜃気楼(前編)
    最初から、どうもこれはまた厄介ごとの匂いがする、という始まりであった。 夜番の同僚に引継ぎを済ませ、一日の勤めを終えた女騎士アリューシアが、 主人──マルゴット第四王女にいとまを告げに行った時である。 姫の寝室を訪ねると、マルゴットは寝椅子に横たわり、手足を侍女に揉ませて くつろいでいるところであった。 アリューシアを見ると口元に微笑を浮かべ、持っていた扇でちょい、と手招きをする。 「アリューシア。こちらへ」 アリューシアは主のすぐ傍らへと歩み寄る。 マルゴットは今度は人差し指で「もっと側まで」と示した。 勿忘草の花のような青い瞳の目を細め、年下の可憐な王女は甘く緩んだ表情を浮かべている。 就寝前にやわらかく身体をもみ解されて、なんとも機嫌がよさそうであった。 寝椅子の横でアリューシアが慇懃に膝を折ると、マルゴットは上半身を起こして その肩に手を回した。 耳元にキスをするように、そっと女...
  • 桃色の鞠(中編)
    記念祭三日目。 セシリアは、エルドに会うため、早々に王宮入りを果たしていた。 一晩あれこれと悩んだ結果、彼に全てを打ち明けることが最適のように思えたのだ。 何しろ、エルドはこちらの厄介な婚約の事情について知っている。 ついでに、わからなかった言葉の意味も質問してみよう、とセシリアは考えていた。 侍従長から、第三王子が厩舎に居ることをさりげなく聞きつけると、 セシリアは、勇み足で目的地に向かった。 中庭を横切ろうとしたときだった。 突然、彼女の視界の端に桃色の物体が飛び込んできた。 ――鞠だ。 セシリアは、反射的に手を伸ばし、それを受け止めた。 一人の少年が、息を切らしながら、駆け寄ってくる。 「セシリア!」 「あら、ロビン」 それは、ユーリ陛下の末息子にして第四王子のロビンだった。 彼の後ろから、二人の従者も走ってくる。 「ありがとう」 ロビンはそう言って、両手を差し出した。 「これは……...
  • 桃色の鞠(前編)
    鞠が弾んだ。 セシリアは、縦横無尽に跳ねるそれを夢中で追いかけた。 力いっぱい壁に投げつければ、鞠は弾んで、思いもよらないところへ飛んでいく。 追いかけて捕まえて、また投げる。 その繰り返しだけで、日が暮れてしまいそうだった。 桃色の鞠を撫でながら、セシリアは考える。 マリアンヌが帰ってくる日は、いつだろう。 一人っ子の彼女にとって、一人遊びは得意とするところだ。 それでも、壁に向かって鞠を投げるより、 投げたらちゃんと返してくれる遊び相手が恋しかった。 セシリアは、額にかかった髪の毛を払うと、また鞠を放り投げた。 桃色の鞠は弾んで、彼方まで飛んでいった。      *** 記念祭二日目に催された園遊会では、 宮廷管弦楽団による野外音楽鑑賞会が行われていた。 集まった人々は、軽やかな演奏に聞き惚れ、 拍手の合間に批評家を気取り、各々の感想を口に乗せる。 けれども、中には不真面目な聴衆もいて...
  • 覇王の孫娘 学園編 後編
    「おかえり、キルシェ」 「はい、ただいま戻りま――姫様!なぜ私の部屋に!?」 キルシェはリューティルが自分の私室にいることに驚いた。 侍女に見られては非常にまずい。 しかしリューティルは気にもかけず言った。 「キルシェ……股を開いてそこに座りなさい」 メガネをくいっと上げて皇女は言った。 「な、何を言っておられるのですか!?」 「座れ」 「は……は…はい」 リューティルの眼力に萎縮し、哀れな従者は力なく座った。 「足が疲れちゃったわ……揉んでくれる?」 「何を仰っておられるのですか!姫様の御足に触れるなど―――」 「昨日の夜は私の足にねっとり絡ませていたクセに」 「あ…あ…あぅ」 昨夜の情事のことを指摘され、キルシェはしぶしぶリューティルの 右足を手に取った。 「あ……んっ…そこ、もうちょっと強く」 「は、はい」 ...
  • アリス陵辱(前編)
    帝国兵×勇者軍 陵辱 一部ショタ 前編 「……う…くっ」 太陽が眩しい。 ここ何ヶ月か薄暗く湿った地下牢で閉じこめられていたのだ 目が慣れていないのだろう。 「……ん」 もう痛みも麻痺してしまった秘部からドロリとした体液が 太腿をつたい、こぼれ落ちてきた。 私の名前はアリス。エルフの神官だ。 神官といってもかじった程度の医学と薬草学、 精霊術を使うぐらいしかできない未熟な神官である。 大陸を巻き込んで起こった二回目の大戦で 最終的に勝利したのは覇王の娘を有した新生帝国だった。 そして最期に敗北したのは私達、勇者の末裔だった。 光を冠する、正義を冠する、希望の戦士達は惨めたらしく負けたのだ。 子供の頃、読みふけった英雄の物語のようにはいかない、実にリアリティ溢れる残酷な物語だ。 勇んで挑んだ大戦、当初はうま...
  • アニーとクリフ 後編
    小さなショーツを取り去ると内からとろとろと愛液が溢れだした。 褐色の引き締まった肌に挟まれた透き通る白い肌。黒い翳りの奥に綻ぶ薔薇色の花弁。 色彩の鮮やかさに息を飲む。唾をごくりと咽下する音が嫌でも意識される。 思わず柔らかな襞の奥に指先を差し込めば、まるで吸い付くように蠢く。 ――きつい。 処女の狭隘な入口を指先で解すようにかき混ぜれば、くちゅくちゅと粘着性の水音を立てる。 クリフは口の端を持ち上げて笑みを形作ると、口の中で呪を唱えた。 その呪文に感応したかのように一際嬌声が高くなる。 「あ、あ、あ……あっ……」 アニーの褐色の肌の上に、紅い紋様がうっすらと浮かび上がる。 思った通りだ。 この女は″魔神ナヴァルの再来″なのだ。 これは単なる譬えではなく、真実だった。 ナヴァルの書を読み解くうち、クリフはある事実に気が付いた。 魔神ナヴァルの力を宿すためには媒体が...
  • ロアとリュカ(中編)
    「ふいいぃっ!」 顔をぐしゃぐしゃにしたその少女が、思わず変な声を出すのも無理はない。 一晩のインターバルにて再充填された精は、濃さでは劣れど量と勢いは十二分だった。 ジュッ、ジュッ、じわっ、じわっ、また否が応にも『分かって』しまう。 「あ、あ、あ、あ……」 捻じ込まれた規格外からの、びゅくん、びゅくん、というその脈動。 完全に押さえつけられ、全身で覆い被さられ、一切身動き取れなくされての種付け行為。 逞しい褐色の肌、赤色の髪と金色の瞳が、彼女の視界を埋めていて、 「出てる……中出てるぅ……」 でも少女はだらしなく口を開けて、そんな犯される歓びに酔ってしまう。 「リュカ、犯されちゃったな」 「…うん、犯された……犯されたぁ……」 ハァハァ見つめ合いながらの明るい声に、でもどこか幸せそうに女は頷く。 両手は男の背にしがみ付き、生白い両...
  • ロアとリュカ(前編)
     夢を見た。とても素敵な、夢のような夢だ。  悪い魔法使いに囚われていたお姫様を、本当に王子様が助けに来てくれたのだ。  …ちょっとガラが悪くて品性にも劣る、図体でかい黒馬の王子様だが。 まどろみの中に朝陽を感じて、気だるさに瞼を持ち上げる。 とても素敵な夢を見た気がしたが、いつまでも惰眠を貪るわけにもいかない。 山城の朝は早いからと、やたら眠いながら起きようとして、 ――目の前のチョコレート色の壁に気がついた。 「おはよ、リュカ」 …甘く耳をくすぐる声に、『ああこれは夢の続きなのか』と、極めて自然に得心する。 そうして再び瞼を閉じた。 何かやたらと温かい、目の前のあんかのような温もりもまた夢の証拠だろう。 全裸の肌寒さに熱を求め、当然の道理としてそれに抱きつく。 届く心音のような拍動も、眠りを誘うに心地よい。 …が、同時に酷く喉が渇く、ヒリヒリのあまり唾を飲むのさえ痛いのに気がついた。...
  • ネフェティア陵辱(前編)
    「そろそろかしら…………」  教育係に読んでおくように言いつけられた小難しい退屈な本を閉じ、ナトダール王国の第一 王女、ネフェティアは立ち上がった。城の最上階の奥にあるネフェティアの私室には、商人か らの貢物であるきらびやかな調度品や絵画、ドレスが、差し込む陽光をよりまばゆいものと変 えて室内を明るく照らしていた。  もっとも、当の本人は、暑さからか分厚いドレスを嫌い、この時期は装飾も控えめな、袖の ない薄手のワンピースを身につけることが多かった。 「…………」  窓の外から裏庭を眺めると、退屈そうな顔をした兵士があくび混じりに城内の警備を行って いるのが見えた。太陽が一番高くなったところであの兵士は食事に出かける……そして交代の 兵士がやってくるまでのわずかな間、裏庭に人はいなくなる。  このときが、ネフェティアが城を抜け出す唯一の機会だった。  城の近くにある森の奥には小さな湖があり、...
  • いぬのおひめさま(中編)
    身の内を満たすのは矜持と尊厳ではなく、暗澹たる厭世と諦観だ。 貴族という皮を一枚めくれば、あるのは卑しい本性だ。 第一にまず犬の仔だった。 貴族にあっての卑しき者、近親の禁忌の果てに生まれた、罪の証たる背徳の花。 持って生まれた天性の美貌も、血の濃さの故と思えば呪わしい。 だがそれでも実家に居た頃は、時折蔑まれようとまだ貴族、…人間のままで居られたと思う。 杖に殴られるなら耐えられて、鞭に打たれるのもまだ耐えられた。 …でも焼け火箸の『痛み』は無理だった。 泣き、媚びて、許しを乞う。 …でももっと耐えられなかったのが、全身を拘束され胸に施されたこの家畜の証。 あれで自分の人生観は変わったと思う。 もしも轡が嵌められてなければ、確実に舌を噛み切っていた激痛。 糞尿を洩らす程の痛みというものを、リュケイアーナは生まれて初めて味わった。 プライドは粉微塵に打ち砕かれ、恐怖は深々と刻み込まれる。 ...
  • いぬのおひめさま(前編)
    「近寄らないでください!」 空を切り裂いた鋭い平手が、しかし虚しくも受け止められる。 「おーおーつれないねぇ、お姫様は」 そのまま暴れる女を軽々といなし、男は軽薄な笑いを漏らした。   時は帝国暦の414年。   帝国の南の要であり、祖帝による大陸統一時からの名城だったゼズ城は、   今まさに建国以来の未曾有の変事に晒されていた。   南方の蛮夷、オルブ族。   中央の民からは赤鬼(せきき)とも蔑称される、粗野で野蛮な未開人達が、   大挙して南方のヴェンチサ要塞に押し寄せるとこれを陥落、   そのままの勢いでヴェンチサ地方の領主館であるこのゼズ城を攻め立てたのである。   ヴェンチサ侯フェリウスは猛将として知られる英傑であり、   過去20年間、幾度にも渡ってヴェンチサ要塞の防衛に成功していた戦上手だったが、   それでも今回は持ちこたえるべき要塞の陥落があまりにも早すぎた。   慌てて...
  • 副長の日々3.5(前編)
    女同士メイン、しかしレズとも百合とも言い難い何か。今回のエロに直接副長や男は絡みません。 今回の投下分と直接的に時系列で繋がっている二年前の前回投下分は、保管庫に個別の形では収録されておりません。 http //vs8.f-t-s.com/~pinkprincess/female_soldier/05-2.html の314から入っておりますので、よろしければこちらを参照してご確認ください。 ○1 「旗印が見えたぞ!」 物見櫓に立つ歩哨の叫びが、砦の空気をわっと沸かせた。たちまち手すきの兵士たちが戦友の無事をこの目で確かめんと、一斉に城壁へ駆け上がる。 出撃した守備隊主力不在時の留守を預かる副長、ユアン・ランパートもその人の流れの中にいた。さっとに手をかざすと、木々の合間の地平線から現れてくる友軍の姿を確認する。 威風堂々と凱旋してくるその兵士らの隊列に欠けがないこ...
  • プラグイン/ニュース
    ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_174_ja.html たとえば、#news(wiki)と入力すると以下のように表示されます。 ドラゴンクエストけしケシ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ダンカグ】エンブレムとは?カードの違いと入手方法まとめ【東方ダンマクカグラ】 - AppMedia(アップメディア) 【グランサガ】リセマラ当たりランキング - グランサガ攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) SlackからWikiへ!シームレスな文章作成・共有が可能な「GROWIBot」リリース - アットプレス(プレスリリース) 【ウマ...
  • @wiki全体から「Zephyr(後編)」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索