ローゼンメイデンが普通の女の子だったら @Wiki内検索 / 「R.5」で検索した結果
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L/R.5
L.― 電信 ――それは、難しいね。とても難しい話さ。 そうだなあ、例えば――君は、自分がしんでしまう時。……そう。最期に、どんな声を発するかなんて、考えたことがあるかい? 僕は近頃、よく思うよ。それで無くても、普段考えることなんて、それ程多くないから――ああ、ごめん。そんなつもりじゃ無かった。ありがとう、君は矢張り気遣い屋だね。 嘆きだとか、そういう少しかなしい考えは――自分でも驚く位起きないんだよ、僕の場合は。いつだって世の中は、在るがままに、在る。そうは思わないかな? 僕が、此処にこうして居る。君が、向こう側に居る。そして、お互い声を交わす。不思議だけど、これだって、どうしようもなく"在るがまま"さ。 ああ、それでね――うん。しんでしまう時。結局自分がどんな声を上げるか……答えは、出ないんだ。その時が来るまで、わからないことな...
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L/R.3
R.― かなしいこと、かい? ――どうだろう。世の中にかなしいことは、結構多いとは思うよ。けれど、僕はそうでも無い。かなしいことよりは、さみしいことの方が多いような気がするんだ。そこは君と一緒だね、きっと。ひとは、独りだとさみしい。……うん。それはとっても、さみしいことだから。 ――ああ。姉さんかい? うん。姉さんは僕に、そんな素振りは見せないんだ。人一倍さみしがりなんだろうけど。素直じゃない――ああ、それも確かに……ふふ、そうだね。不思議だな、何だか。……や、本当に不思議な気分だよ。 君と話しているのは、楽しいな。何だか気分が紛れる。――僕はね、結構我侭な方だと自分で思うんだ。誰かと話していたい、だなんて。普段は独りで居るとは好きなくせに、たまに考えたりもするんだよ。……君はどうだい。――うん……そうか。僕と君は、何処か似ているところがあるのかもしれない。 もう少し...
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L/R.7
L.― 電信 花は――うつくしいね? ふふ。突拍子も無くて、ごめんね。今、丁度手元にあるんだ。 僕は時々思うんだよ。この花びらの一枚一枚が、いのちそのものなんじゃないかって。 うん。まるで血のいろのようだ。僕もこんないろを、持っているんだよ。すこし指を切ったなら、それは見える。灯りがすくなくても、ふかくふかく。僕の眼には、それがきっと映るに違いない。 儚い、かな。どうだろう。儚いこと、それそのものが真であったとして。その価値は、如何なるものなのだろうか。そう、その価値さ。 さみしさ、ともすこし似ている。うん。けれどね。僕は僕自身を、不幸せであるとは思わないよ。 よくよく話せた友達は――先にいってしまったけれど。家では、おじいさんとおばあさんも待ってるんだ。それに、姉さんが居る。 帰れるかどうか、は……ああ、御免。それはもう言わない約束だったね...
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L/R.1
―/― プロローグ ――声が聴きたい。 思った。 きっと、声というものには、それを発したひとのたましいが込められるのだろうと。 時にそれは己を勇気付ける。 無ければ、少しさみしい。 ――そう。さみしいのだ。かなしい、のでは無い。 僕は受話器に手をかける。 あのひとの、声を聴くために。 声は、眼に見えるかたちで残らない。 だけど、それを聴いている最中。そう、その瞬間は、確かに。 それは僕のこころの中に、響き続ける―― ―――――――――― ――言葉を綴ろう。 思った。 きっと、言葉というものには、それを綴ったひとの想いが込められるのだろうと。 時にそれは深い感動を与えてくれる。 無ければ、少しかなしい。 ――そう。ほんの少し、かなしいだけ。 私はペンを手にとる。 何の為に、という問いがあったならば――それに答えることは出来ないだろう...
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L/R.8
L.― 眼が覚める。 ――此処は、何処だっけ。 ああ。また、眠ってしまったんだ。此処最近は、己の身体が己のものでは無いような気がする。てのひらを開いて、結んで。こうやって感じる何かで、とりあえず僕がまだ生きているという感覚を保つ。 姉さんと、話をしていたんだっけ。――彼の声も、聴こえたような気がしたんだけどなあ。何だか、不思議な感じ。 とりあえず、ベッドから身体を起こす。血を、沢山吐いた筈だったのだけれど。来ているものも、布敷きも、ぼんやりとした暗闇越しからわかる位に真っ白だった。 廊下へ出る。姉さんは、もう帰ってしまったのかな……声が、聴きたいな。 二階の廊下。階段とは反対の突き当たりに、電信が置いてある。新しもの好きの院長が、仕入れてくれたもの。これは僕にとって、とても大切な繋がりだった。 ……? 鳴って、居る。電信が。静かに、音が響く。 ...
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L/R.4
L.― 白い部屋の会話 「――嬉しい。来てくれたのね」 僕の姿を見て、いの一番に発した声がそれであった。 「気まぐれだよ、ほんの」 本当に、ただの気まぐれ。僕はなるべく、此処へ着たくないと考えている。海の近い、この療養所へ。 病に罹るのが、恐ろしい? 流行りの、治る筈も無い病に。 ――違う。僕は、……もう、見ていられないのだ。病に罹ったら罹ったで、それが僕の人生なのであるし。今僕の口元に巻かれている布当てだって、すぐ取り去ってしまっても別に構わない。 彼女は前に見た時――もう随分、遠い日のことであったようにも思う――と同じ様に、温藉な表情を浮かべていた。 艶やかな黒髪と、色白だった肌が、更に顔色の白さを――幾分悪い方へ――強調している。少し痩せたろうか。何となくやつれているように、見えなくも無い。 「今日はね、調子がいいの。咳もあんまり出ないし」 「...
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L/R.6
L.― 電信 想い、かい? 伝えたいことを……伝えられなかった。そういうことかな。 ふふ、よく言われる。妙に鋭いって。 うん。それは多分、この世の中に、ままあることのひとつなのだと思う。……あ、いや、僕がそういうことに慣れている訳では、無くてね。ただ何となく、そう思うだけ。 だって、そうだろう? ひとの命には、限りがある。決められた時間、という奴だね。それはきっと、産まれた時に、既に決まっていたんだ。僕の場合も、そう。 ひとは何時までもいきていられないし、その中で……己の中で、考えることがあるとしよう。うん、何でも良いんだ。兎に角、己の中に思い浮かぶ、由無しごとさ。 その中で、己以外に、伝えたいと思えること。それはどの位あるだろうか。 五割? 七割? そんなに多いかな。僕はもっともっと、少ないと考えるよ。言えないこと、言いたくないこと、...
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L/R.2
L.― 電信2 そうだね――うん。平素、笑っていられるのは、とても大事なことだね。……大事さ。愛想を振りまけば良い、と言っているのではないよ? なんだろうね。ひとと話していて、いつもいつもしかめっ面じゃあ、何とも具合が悪いじゃないか。 怒っている――どうだろう。ああ、姉さんの場合はね。素直じゃあないんだ。でも、優しいひとだよ。――うん? ふふ、確かにそうかもしれない。僕達は、双子だから。多少悪いところを差っ引いても、贔屓目というのもないとは言えないかな。けれどね、これは本当のことなんだ。……そう。言うなら、たったひとりの姉だから――其処だけは、譲れないかもしれない。 僕はこうやって床に付しているからね、――ベッド、と言うのだよ、布団に木製の足が四本、付いているんだ。踏み台の広い奴で、布団がその上に載せられるような塩梅を考えてくれれば――想像が付かない? うん。僕もこの眼で見るま...
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