橘ありすの右手を掴むと、慎二は全体重をかけて四本の指をべきべき、とへし折った。 絶叫するありすの口に手を突き入れ、慎二は笑いながらペンチを取る。 もはや彼の枷はなく、ただありすを壊すことしか頭にはなかった。 前歯にペンチを当てると、乱暴にそれを挟み、勢いよく引き抜く。 「っ、ぎゃあああああああああああ!!!??」 次は横にずれて、また一本。 ぶちり、ぶちりと歯を抜いていき、彼女はその度に醜く絶叫をあげた。 ありすの令呪が不意に輝く。 慎二は僅かに焦ったが、彼女の口から消え入りそうな声で紡がれた命令に満足げな笑顔を浮かべる。 そして慎二も自身の令呪を用いて、自身のサーヴァントにとある命令を課すのだった。 だが、拷問は止まない。 ありすの絶叫はしばし止まらず、ついに彼女の口にあるべき歯が全て抜き取られてもなお、次は爪に標的が移る。呂律の回らない口で何かを言うありすだが、慎二には届かない。 「ぁ、ひゃああああああああああいぃきぃいいいああああああああがががあああっくあああ――――――――――――!!!!!!」 蟲蔵に、絶叫が轟いた。 ■ ■ そして、時は現在に戻る。 橘ありすの状態は、無惨極まりないものだった。 歯は一本残らず抜き取られ、衣服は引きちぎられ、布一枚たりとも纏っていない。 爪も無惨に潰され、おまけに大便まで垂れ流し、身体中に凄惨な拷問の痕跡を残していた。 光彩の消えた瞳で虚空を見つめ、彼女は呟く。 「ひゃ……あ、あん……ひゃん……たひゅけて……ぶがっ!?」 拳がまたもその顔面を打ち抜き、醜い悲鳴を漏らさせる。 その股間から金色の水が流れ落ちる様を見て、慎二は優越感に浸り、思わず高笑いをあげる。 散らばった歯が、爪の欠片が、破れた衣服が、鎖に繋がれ手枷と足枷に拘束されたありすの姿が、その足下に出来たアンモニア臭のする水溜まりが、散らばる大便がーー全てが、慎二に愉悦を与えた。 自分は勝ったんだと、歪んだ勝利の喜びを噛み締める。