武装神姫SSまとめ@wiki内検索 / 「すとれい・しーぷ」で検索した結果
-
すとれい・しーぷ002
すとれい・しーぷ002 “堕ちてくんだ キミの中” “居場所求めて彷徨うけれど 見えない 見えない 見えない” “キミの世界 放り出された Stray sheep” “僕は迷子” クレイドルで寝こけていたわたしの人工脳を揺さぶったのは、悲しくも美しい音色。 オーナーの声だ、そう気づくのに時間はかからなかった。 初めて聴く歌。この声を聴くと、身体が熱くなる。脳回路が焼き切れそうなくらいに。 やめて欲しいけど、もっと聴きたい。 オーナーの歌声は魔性だ。そう感じながらも聴き入ってしまう。 「なんの歌ですか?」 ひとしきり歌い終えたオーナーに純粋な疑問をぶつける。 弾かれたように振り返ったオーナーはいたく焦った様子でわたしを両手のひらで包み、小さな声で言った。 「ごめん、いまのは忘れて」 忘れるなど無理な話だ。こんな強烈な快感。 ... -
すとれい・しーぷ000
すとれい・しーぷ000 “回らない世界の中心はいつだってキミだったじゃないか” “僕の23.4度 もうブレてしまったね” “禁忌の果実 含みあって 僕ら気づいてしまった” “戻れない過去こそ 僕の世界” “振り返るけど なにも見えなくなってて” “堕ちてくんだ キミの中” “居場所求めて彷徨うけれど 見えない 見えない 見えない” “キミの世界 放り出された Stray sheep” “僕は迷子” 歓声が上がる。最高の瞬間。この時の為に生きている。そう言っても過言ではなかった。 熱っぽい少女の声や、熱に浮かされたように叫ぶ少年の姿は最高の媚薬だった。 脳髄まで響くそれに、くらくらしながらステージを降りる。 「お疲れ様です、アベル様!!」 楽屋まで追いかけて来たファンの女の子がプレゼントの箱を押し付けてくる。 その顔は緊張と興奮から、顔が赤らんでいる。... -
すとれい・しーぷ010
すとれい・しーぷ010 日も真上に射そうとする頃、ようやく上体を起こしたオーナーは、まだ眠たげな目をしばたたかせながら、自身の頭を軽く小突く。そして小さくため息をついた。 「あの、オーナー、どうかされました?」 げんなりと、ベッドから降りようとしないオーナーの元へ、デスクから飛び降りながら問うと、彼女は、わたしの身を気にしながらも窓の外を見るのだった。 「完全に二日酔いだね…頭痛い」 再度頭を刺激するオーナーの表情には、しかと反省の色が見える。 フツカヨイ、とはそんなに辛い物なのだろうか? 昨日唐突に開かれた、オーナーとわたしの祝勝会。 最初こそ、和やかなムードで始まったのだが、夜が深くなるにつれ、参加者のテンションが一変。 興奮してシャウトする碧、それを止めようと酒瓶を片手に装備したラン。 泣きながら意味不明な言語を発する紅。 ... -
すとれい・しーぷ009
すとれい・しーぷ009 大学の敷地を飛び出し、家路についたオーナーは尋常でない速度で家までたどり着いた。 オーナーは決して身体が弱いわけではない。運動神経だって人並み程度にはあるのだ。 そう再確認していると、オーナーの自室に着いたようだ。 勢いよく扉を開くと、そのままフラフラとベッドに倒れ込みぜぇぜぇと荒い息を整えている。 「オーナー・・・あの、大丈夫・・・ですか・・・?」 恐る恐る、壊れ物を扱うか如く、ベッドに伏せたオーナーの首筋に触れると、それは真っ白な見た目とは裏腹にものすごい熱を帯びて脈打っていた。 伝う汗すらも温かく、もはやそれは体温調節の意味を成していない。 わたしはそっとオーナーの顔の前に移動して、その綺麗な御顔を覆い隠すサングラスをそっと外す。上昇した体温によって曇ったグラスはやはりオーナーの視界を妨げていたようで、荒々しい息を吐き続けながらも... -
すとれい・しーぷ008
すとれい・しーぷ008 武装神姫ユーザー御用達の週刊誌の片隅に載った記事。 『狂い羊復活!?』 桐皮町の小さなゲーセンにて狂い羊復活の噂有。詳細は不明だが、褐色の小さな神姫を連れ、華麗に敵を撃破!戦法は変わらず、接近戦&上空からの奇襲。以前ホームとしていたゲーセンに出没する可能性もあるので、要チェックだ。 丁寧に誰が撮ったともしれないピントのブレた写真までついている。 その記事を読んで怒りを露にした人物がいた。背の高い青年。 黒い服に身を包む姿はさしずめ悪魔か。 雑誌のページを引き破ると、怒りに任せぐしゃぐしゃに丸め床に叩きつけた。 「マスター、そんなに荒れると、お身体に障ります。どうか冷静に・・・」 しばらく様子を見ていた黒い神姫が控えめに声をかける。 男はニタリ、と唇を持ち上げた。 気持ちのいいくらい晴れ渡った空の下、また平和な一日... -
すとれい・しーぷ003
すとれい・しーぷ003 日曜日。 オーナーのお仕事が休みのため、先日のお詫びに好きなところへ連れて行ってくれると言うのだ。 わたしは少し申し訳なく思ったが、以前より興味があった“デパート”という場所へ連れて行ってもらう事にした。 「あ、あの、わがまま言って・・・ごめんなさい・・・」 オーナーの肩の上でもじもじと口元を隠すように手を添えると、オーナーはゆるゆると首を振り、手のひらでわたしを優しく包んだ。 「外は危ないから、絶対に離れたらダメだよ?いいね」 いつもよりやや強めの口調で諭されると、わたしはこくこくと首を縦に振った。 デパートにはたくさんの人が溢れかえっていた。 お金持ちのマダム、家族連れ、カップル、老夫婦。 オーナーは何かに怯えるようにフードの裾を引っ張り顔を隠した。 やはり、悪いことをした。 心の中で何度も何度も懺悔する。... -
すとれい・しーぷ001
すとれい・しーぷ 001 ≪unknown製、MMS-Automaiton 神姫 Type stray sheep Mesarthim≫ ≪セットアップ完了、起動します≫ ≪オーナーのことは何とお呼びすればよろしいでしょうか?≫ 機械的な少女の声が薄暗い部屋に響いた。 それが自分の声だと認識するのにたっぷり5秒の時間がかかった。 デスクに向かい、起動させたままのPCの逆光を受けるフードを目深にかぶった人物が、己のオーナーであることを理解するのには、先ような時間は必要にならなかった。 オーナーを挟んで向こう側に見えたのは、朝焼けを映す窓。 開け放たれたそれには、アメジストの空が張り付いていた。 そんな朝にわたしは目覚めた。 ≪オーナーのことは何とお呼びすればいいでしょうか?≫ 自分の意思とは関係なしにこぼれる機械的な言葉にわたしは不安になる。 繰り返す言葉に不... -
すとれい・しーぷ004
すとれい・しーぷ004 時は今より3年前に遡る。高校3年生、17歳の夏の事だ。 私はいたって普通の市立高校に通っていた。 身長が極端に低い事と、神姫が好きな事以外は普通の女子高生。 そのはずだった。 小学生からの腐れ縁でずっとクラスの同じだった、甲斐田 紅が話しかける。 「なぁ、お前、予想してたか?俺たちがメジャーデビューなんて」 「オレはしてなかったな・・・まさかこんな事になるなんて」 紅への返答を横取りしたのは、がたいのいい巨人、もとい瀬戸 碧。 身長は190近くあるらしい。紅も183と高い方だが、レベルが違う。 ちなみに私は150あるかないか。二人は私から見れば巨人国の人間だった。 ・・・巨人国なんてものが存在するかは置いておいて。 碧とは高校に進学してから仲良くなった。 面倒見のいいことから、すぐ熱くなる私や、クールぶっているが、... -
すとれい・しーぷ005
すとれい・しーぷ005 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 予想だにしなかったオーナーの過去にわたしは耐え切れなくなって、涙を流した。 先代のオーナーのパートナー・ユノ。彼女の気持ちも痛い程よくわかる。 いかな武装して戦う私達でも、所詮は15センチあまりの人形なのだ。 本気になった人間に勝てるはずもない。だから余計に悔しいのだ。 抗うこともできず、ただ状況を見ているしかできない状態に陥った時、わたしはどう動くのか。 震えるオーナーの手にそっと、そっと、壊れ物を扱うが如く触れてみる。 答えは出ない。 「オーナー、もういいです、そんな辛いこと、もう・・・」 わたしからお願いしておいて、なんて無責任。 前に座る紅に、また怒られてしまうかもしれない。 そんな疑念は徒労に終わった。 「ルキスの言うとおりだ。お前はもう寝ていろ。後は俺が... -
すとれい・しーぷ011
すとれい・しーぷ011 何故、こんなことになったのだろうか。 紅は肩に鎮座した小さな機械人形をちらりと盗み見た。 碧のメルや、瑠璃のルキス、ユノ、それに妹のライアだって、自分の主人に忠実ではないか。 なのにこの神姫、ミューズは少しも俺に懐く気配がない。 自分が機械音痴なのが悪いのか、単に彼女との相性の問題なのか。 紅は真意を測りかねていた。 「充電は後どのくらいもちそうだ?」 「あと1時間は大丈夫ですわ。さぁ、早くクレイドル、とやらを買って帰りましょう」 つん、と顔を背けながら行く先を指差し彼女、紗羅檀型のミューズは言った。 先刻からこの調子で、会話らしい会話をしていない。おまけに… 「んもう、歩くのが遅いですわ!この木偶!」 登録時に設定した呼び方はどこに行ったのやら、この“木偶”という呼び名が定着してしまっている。怒ろうにも、接し... -
すとれい・しーぷ007
すとれい・しーぷ007 「最初は勝たなくてもいいさ」 ふと、ルキスの頭に碧の言葉が蘇る。 いいえ、この戦いは、負けられません。 メルのためにも、オーナーのためにも。 そして何より、自分のためにも。 アクセスポッドに寝かされたルキスは、電子の海を通過し、バトルステージへと降り立った。 広い海原が視界に入る。燦々と照りつける太陽はまるで彼女を焦がすかの如く注ぎ足元の砂を焼いた。見渡す限りでは、そう広くはない。対岸のビーチに、天使が舞うのが見えた。 索敵機能のついた武装をしていないルキスにとっては好都合と言えるだろう。 緊張を和らげようと、ルキスは自分の頬を軽く張った。すぐに状況の分析に入る。 ステージは浜辺。打ち寄せる波のギミックがこのステージ最大の特徴だ。 泳ぐ手段のない神姫が流されれば、即THE・END。ルキスはぞくりと背筋が凍るのを感じ... -
すとれい・しーぷ006
すとれい・しーぷ006 どこか異国のにおいさえ漂う街。 ルキスはきょろきょろと辺りを見回した。 「あまりょろきょろしていると、田舎物だと思われるぞ」 ルキスの様子を見た紅は苦笑して彼女のおでこを指でつついた。 私たちは、住み慣れた街を少し離れ、この地に来ていた。 オーナーの人嫌いを治すための、紅の提案はごくこく簡素なものだった。 『とにかく外出する』 ショック療法ともいうのだろうか、人慣れするには、人と触れ合うのが一番。 確かに利に適ってはいるが、本当に大丈夫なのだろうか・・・ そんな事が、ルキスにわかるはずもなく、しかし、他に提案があるわけでもないため、その案に乗ることにした。 目的地を決めたのは紅。何でもバンド時代の仲間、碧がこの地で漁師見習いをしているらしい。 話によると、オーナーと紅は大学進学、碧は漁師に、とそれぞれ別々の道を... -
すとれい・しーぷ
ss 他人が怖いオーナーと自分に自信のない神姫 羊コンビのお話 オリジナル神姫だったりバンドだったりエロだったり薔薇だったり百合だったり? 神姫バトルにおいての設定を一部Mighty Magic様よりお借りしております。 【つぶやき】 設定画とか描きたいな! 更新履歴 2011.8.17 各ページまとめ・第1章完結 2011.8.18 第2章開始・登場人物追加 2011.9.28 TOP編集・1話追加・誤字修正 2011.10.12 温泉合宿編スタート 2011.10.20 温泉合宿編2追加 過去編はかなり毒電波飛ばしてる上に暗いです。 お好きな方のみどうぞ。読み飛ばしてもOKです。 登場人物(※ネタバレ含む) 過去編 “STRAY SHEEP” ■ STAGE00 ■ STAGE01 ■ STAGE02 ※微エロ ■... -
すとれい・しーぷ 登場人物
登場人物 (メインキャラクター) ■オーナー Type:-- Name:安部 瑠璃(アベ ルリ) Age:20 Tall:150cm イメージCV:遠藤 綾 ルキスの生みの親であり、オーナー。現役大学生(籍だけ) 3年程前にゲーム界を賑わせたバンド“STRAY SHEEP”のリーダー兼ベース&ヴォーカル。 芸名は本名のアベ ルリから、アベル。 ファンの女の子曰く、子羊を導くような澄んだ声で人間のみならず神姫すらも魅了する。 神姫バトルにも精通しており、謳う時の優雅な姿とは裏腹に神姫バトルになると、狂ったように笑い出すことからバンド名の皮肉も込めて“狂い羊(マッドシープ)”とあだ名される。 3年前は、相棒のユノと、セカンドリーグの上位常連だった。 2年前の痛ましい事件により、対人恐怖症に陥っているものの、本人は強く変わりたい、と望んでいるため、新たな第一歩のパート... -
メニュー
...en Fruit すとれい・しーぷ 車輪の姫君 樫坂家の事情! Slaughter Queen Esmeralda. 2010年 おまかせ♪ホーリーベル 戦うことを忘れた武装神姫 Gene Less The Armed Princess―武装神姫― ウサギのナミダ PRINCESS BRAVE 神姫☆こみゅにけ~しょん アルトアイネス奮闘姫 ロンド・ロンド 2009年 せつなの武装神姫 双子神姫 鋼の心 ~Eisen Herz~ 犬子さんの土下座ライフ。 狛犬はうりん劇場 Memories of Not Forgetting Knuckle princess 2008年 武装神姫のリン 『不良品』 師匠と弟子 マリナニタSOS!(仮) 橘明人とかしまし神姫たちの日常日記 戦う神姫は好きですか スロウ・ライフ... -
作品ページ
...ruit ひつじ:すとれい・しーぷ まっ茶ン:車輪の姫君 クロム:樫坂家の事情! rotto:ライドオン204X クロム:人と神姫と混沌としたナニカ 作者名不明:ロンド・ロンド 50音順キャラクター図鑑 武装神姫・標準武装一覧 武装神姫・標準装備一覧 武装神姫・企業一覧 アマチュア・個人製作武装一覧 wiki相関図 キャラ相関図(2chまとめページ版) 武装神姫SS総合掲示板 小道具関連設定 :〈2つ名〉辞典 -
武装食堂
...ruit すとれい・しーぷ 15cm程度の死闘 深み填りと這上姫 第十三話をアップしました。うん、新展開というかライバル登場回という扱いが正しいかもしれませんね。(汗 お楽しみ頂けるといいのですが…… -- ばるかん (2011-08-10 23 06 14) にゅう様 今回(十三話)はクレアが大変な…・と、ここから先は読まれてからのお楽しみということでm(_ _)m -- ばるかん (2011-08-10 23 08 40) ひつじ様 ありがとうございます。すとれい・しーぷの方もこれからどうなっていくのか楽しみです。応援しております! -- ばるかん (2011-08-10 23 10 52) 最新話読ませていただきました。新キャラはラプティアスですか、PSPバトルマスターズでの相棒なので感慨深いです。今回確かにクレアが... -
第15話:リ・インフォース
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第15話:リ・インフォース 「……で、見せたい物って何、祐一?」 「ああ、これなんだけどね……」 島田家に招かれたリーナと(特に理由も無く着いて来た)美空の前に、小さな箱が出された。 「……京子さんとの再戦まであと一週間ちょっと。だからそれまでに、アイゼンの新しい武器を作ろうと思うんだけどさ……」 そう言って祐一は箱を開ける。 「リーナの力を借りたい、手伝って欲しいんだ……」 そう言って祐一はそれを取り出した。 8月7日。 土方京子の予告した15日まであと……、8日。 それは同時に、天海神姫センターで行われる大会の日でもあった。 「ふ~ん、結構よく出来ているわね……」 そう言ってリーナが眺めるのは、神姫サイズのエアバイクだった。 フロート式で車輪の無いそれは、移動速度で劣るアイゼンの為に祐... -
戦うことを忘れた武装神姫-4
戦うことを忘れた武装神姫 その4 時刻は午前2時を廻った。・・・寝付けない。 仕事のプロジェクトが行き詰まりかけたところへ、顧客からのクレーム・・・ 追い打ちをかけるように、猫子のエルガが自損事故(包丁で左腕切り落とし)で知人の修理工、ちっちゃいもの研のDr.CTaの所へ明日まで入院。。。 考えれば考えるほど目がさえる。 明日も仕事がある、何とかして、少しだけでも眠りたい・・・。手を伸ばして酒を探る。うん、これでいいかな・・・。 ぐはっ!! 喉が熱い! 慌てて灯りを付けてラベルを見れば・・・USSRウォッカ・・・っ! と、すっと水入りのカップが出てきた。 「・・・何やってるんだよ。ほれ、飲みな。」 つい最近、世話になっているDr.CTaの紹介で転がり込んできた黒子のリゼが、あの背中の「腕」を器用に使いこなし、運んできてくれたのだ。 「あ、ありがとう... -
鋼の心外伝:ぷれころ(美空編)
鋼の心:外伝 ~Eisen Herz~ 扉の向こうには喧騒がある。 騒ぐ少年の声。はしゃぐ少女の声。 お祭りのような、心地の良い騒々しさ。 誰もが笑い、誰もが歓喜するそんな空間。 だからいつも思ってしまう。 この扉を開ければ、きっと………。 そんな事、叶うはずも無いと知っているのに、希望だけは捨てられなかった。 そんなはかない希望でも無くては、もう、耐えられはしなかったから。 扉を開ける。 世界は静寂に包まれた。 ぷれころ(美空編) 伊東美空の父親はヤクザだった。 伊東観柳斎。近隣を支配する伊藤組の組長である。 対外的には建設会社伊藤組。あるいは伊東建設をはじめとした、様々な事業を展開する総合企業の社長である。 そういう意味では美空は社長令嬢とも言えた。 だがしかし、噂は残酷にも真実を抉り出... -
黒子ときっしー(超適当)
§0§ デジタルのデータで構成された丘陵にしとしとと雨が降ってきた。 通り雨だろう。空には、陽光降り注ぐいつもの空のテクスチャが貼られている。 なめていたかかっていたー。 今にして、そう思う。アタシの個体名はケイ。悪魔型MMSだ。 今、騎士型MMSの一体と対峙している。 このタイプとは、初めての対戦。 正直、第三弾である騎士型の下馬評は低いものだった。 なぜかって? 金持ちのボンが発売前の騎士型でバトルしてさ。それが重装甲&飛び道具満載で、かなりみっともない負け方をしたんだ。 ま、いいや。今はその評価を変えるときだ。 アングルブレードの刃をつたう水滴がアタシの手を濡らす。 さて。どうする。 §1§ 「ああ、天さん、ちょっと」 行きつけの神姫ショップ。 アタシたちー、アタシと天使型MMSのユリ、はウチらのオーナーと一緒に店内で新しい装備などを物色していた。声... -
第十六話『それぞれの思い』
会場内は静まり返っていた。 ファーストランカーであるジャンヌとルシフェル。その二人が揃って無名の二人に倒された・・・・その事実も充分にその原因であるとも言える。しかしそれは決定的な原因ではない。 つい先程のビルの屋上からのダイブ。そして側面を走りつつ抜刀し両断。そんな神業を披露されてはもはや黙るしかない。 「・・・・クッ」 都は微かに笑う。 本当なら大声を上げて笑いたいところだが今はそんな空気ではない。 凄い。やっぱり彩女は凄い。もう一度戦って・・・今度は勝ちたい。都はそう考えていた。 「・・・・・・・・・・すご・・・」 都の隣にいた春奈が呟く。 それが静まり返った空気に波紋を起こし、すぐに割れんばかりの歓声がセンターに鳴り響く。 都はそんな様子を心底楽しそうに見ながら、煙草に火をつけた。 ホワイトファング・ハウリングソウル 第十六話 『そ... -
「敗北の代価 5」
MMS戦記 外伝「敗北の代価」 「敗北の代価 5」 注意 ここから下は年齢制限のある話です。陵辱的な描写やダークな描写があります。 未成年の方は閲覧をご遠慮下さい。 瑠璃「いやああ!!スクルド!!」 海原「やった!!よっしゃああ!!!」 がたんと席を立つ海原。 観客席が一斉に沸く。 観客「おおおおおおおお!!」 スクルドの身体が力なく倒れる。 グロリアはスクルドが使っていた大剣を拾うと、瀕死のスクルドに突きつけた。 スクルド「・・・・あ・・・ぐ・・・・くウ・・・」 グロリア「まだまだ甘いな・・・私が情に流されてわざと攻撃を荒くするとでも思ったのか?わざと隙を作って誘ったのだ。腹芸の一つもできない神姫は生き残れないぞ?」 ヒューヒューと虫の息をするスクルド。 頭部からはぬらっと赤いオイルがしたたり落ちている。 ... -
序章 語り始めるとすれば、その平凡な冬の日より
西暦2036年、世界には「神姫」というモノが存在していた。 神姫は、全高15cmの“心”あるフィギュアロボである。 神姫は、つまりは機械であり、人間の被造物である。 そして神姫は、どうしようもなく“女”である。 機械の身である神姫に生殖能力など無く、それはただ創造者に設定されたジェンダー。それ故に、その“心”を支えるアイデンティティは、ただ一つ、“女”である事。 しかし、そうでありながらも、神姫には“それ”を失うという事態が発生しうる。それが、“G・L” G・L ~Gender Less~ 序章 語り始めるとすれば、その平凡な冬の日より 暗い部屋。乱雑な部屋。狭い部屋。谷のような部屋。そこで、溺れるように眠っていた男は、微かな眩しさに身をよじる。視線の先、その光源であるスタンドライトの下には、漆黒の【玉座】に身を預け、身に余るほどの大きさの... -
第三十話『木霊』
次の日、彩女は朝早くから沐浴をしていた。 記四季が流されないようにと作った囲いの中に入り、朝の冷たい水をすくい白い裸身にかける。それだけで身が引き締まるようだった。 「―――――――――ふぅ」 頭から水を被った彩女は背筋を逸らし頭を振る。 狼特有の荒々しさの中に、どこか乙女らしいたおやかさを備えた彼女の髪が揺れる。 と、銀の耳が小さく動く。 「・・・・・・覗き見はどうかと思いますが」 「えーいいじゃん。彩女はハウリンと違って良い身体してるんだもん」 水の中からアメティスタが姿を現した。 それと同時に彩女は少し顔を赤らめて 「・・・今日は、キャンペーンバトルの時の約束を果たしに来ました」 恥ずかしそうに、そういった。 「ん? ・・・あ、そっか」 彩女のその言葉にアメティスタは首をかしげ、すぐに思い出す。 ・・・キャンペーンバトルに参加する代わりに... -
第参章第拾壱節:イリーガル・レプリカ迎撃指令…パルカ編
{イリーガル・レプリカ迎撃指令…パルカ編} 「それじゃあパルカ以外は散開。敵は見つけ次第破壊しろ」 「「「はい!」」」 「いけ!」 俺の声と共に夜のアンダーグラウンドの街に散開する三人の神姫達。 最近、イリーガル・レプリカの出現率が低下してるらしい。 多分アンダーグラウンドのオーナー達がよってかたってイリーガルを破壊しまくるからだろう。 そりゃあ数も減るわなぁ。 「お兄ちゃん…」 「………」 左肩に座ってフル装備したパルカが暗い顔で俺に問いかけてきた。 「また…私だけ出撃禁止なんですか?」 「…あぁ」 俺はというとパルカの答えに声低く答えた。 あの高速道路でのバトル以来、パルカに軽くトラウマみたいなものが出来ちまった。 それはバトルでの恐怖感が普通の神姫より何倍も感じてしまうもの。 あまりにも増幅された恐怖感でパルカはバト... -
第十七話『女湯パラダイス』
「・・・・に、二時間・・・山奥とは聞いていたが・・・・・こ、これほどとは・・・・」 「ま、マスターしっかりしてください・・・!」 「・・・・真・・・・暗」 「・・・お姉ちゃん・・・私もう駄目・・・疲れた・・・」 「いいじゃないですか。ダイエットですよハルナ」 神姫センターを出てから電車で十五分。さらにそこからタクシーに乗り換え十五分。さらにさらにそこから徒歩で二時間かけてやっと記四季たちは自宅へと辿り着いた。 「・・・・どうでもいいがよ。なんで春奈までいるんでぇ?」 「都お嬢様がどうしてもと」 記四季の疑問に肩に乗った彩女が答える。その答えに記四季は軽く肩を落とした。 一方、今回の謀の首謀者たるアメティスタは記四季の左手の中で堂々としている。もはや何を考えているのかすらわからない。 「・・・・ま、とりあえず上がれや。昔ながらの日本家屋だ。ぼろいが風情はある」 ... -
戦うことを忘れた武装神姫-42
戦うことを忘れた武装神姫 その42 ・・・初雪が噂される、12月24日の神姫センターで開かれた、公式のクリスマスイベント戦で、鬼神の如く、次々と勝利を収めるツガルの姿があった。 1戦終えるごとに、ツガルのマスターは装備のメンテナンス・調整を短時間で行い、すぐさま次の試合に送り出す。 フィールドに戻ったツガルは、再びツガルらしからぬ荒々しい、しかし華麗なバトルを展開し、わずかな時間でまた1勝を上げていた。 数年前のある日。 レンガ造りを模した建物にテナントで入る神姫ショップのショーウインドウに、武装神姫のディスプレイとして、ツガルが仮起動状態でそっと置かれた。 どうやら昨年は、アーンヴァルが同じ場所に置かれ、仲間の道しるべとなるべくこの任務をこなしていたらしい・・・。AIは起動しているツガルは、準備する店員の会話を聴きながら、初めて見る外の世界にワ... -
Phase01-5
SHINKI/NEAR TO YOU Phase01-5 電子の闘技場、その中央で迷彩武装を纏った神姫が仁王立ちしていた。地には倒れ伏したアーンヴァルモデル。その武装は砕け散り、ぼろぼろの状態だ。健気にも身を起こそうと片手をつくが、そんな彼女を対戦相手は無情にも踏み潰した。 完全に機能を停止したアーンヴァルの回りに「LOST THE GAME」の文字が表示され、迷彩の神姫の頭上には「YOU’ER WINNER」の文字と共に勝利のスポットライトが降り注いだ。 「……ひどいな」 アーンヴァルのオーナーだろうか。バトル終了と同時にひとり男の子が筐体に駆け寄り倒れた神姫に呼びかける。嗚咽交じりの男の子の声に、倒れたアーンヴァルタイプがか細い声で何事か苦しそうに答えている。 大きな損傷(ケガ)でなければいいけれど。シュンの頭の上でゼリスも押し黙ったままその光... -
Elysion_a01
Elysion 第1話 「邂逅」 Back 第0話「序章」 | Elysion トップ | Next 第2話「学園」 2037年、4月のある日 思いがけず臨時収入を得た私は、何を買おうかネットで検索しながら悩んでいた。 (無くしたと思っていた随分前のバイト代が、まるまる雑誌の中から出てきたのだ!) 2~3時間ほどあちこち調べて回ったものの結局あまり良い物が見つからず、 今日のところはもうパソコンを消して明日お店を回る事にした。 -そして朝 駅前のショッピングセンターに向かう途中、奇妙なお店(?)を見つけた。 「新・・東京・・神姫センター・・・・?」 ここは幕張、れっきとした千葉である。 まぁ、千葉なのに東京とつくのはけっこうあるので今更ではあるけどね。 なんてことを考えながら苦笑していると、 「あ、お客さんかな?」 声のした方を... -
最終話『歩き出した未来』
ハウリングソウル 最終話 『歩き出せる未来』 遠くから声が聞こえる。 はその声を拾おうと、聴覚センサーの感度を上げるけれど上手く聞き取れなかった。 「(この声は・・・・・・・・・マスター?)」 呼びかけられる声が自分のマスターであることを認識すると、僕の意識は一気に覚醒した。 まず初めに感じたのは暖かい手のひら、そして体にかかるあつい液体。そして最初に視界に映ったのは・・・・マスターの泣き顔だった。 「・・・・・・・ますたぁ?」 「この・・・・・馬鹿! 動かないから死んじゃったかと思ったじゃないのよ・・・・・!」 え、あれ? マスターにしては口調がちゃんと女の子してるぞ? それにここはどこだろう? 首だけを動かして周りをみてみると、そこは神姫センターの神姫用医務室・・・・しかも吉岡さんの私室(不法占拠)だっ... -
Gene26 当たり屋
*このお話を、 >>続編は、彼女らと敵対するゴレンジ屋と見た!(マテ なんて口走った土下座さんに捧ぐ!(笑) 地球は・・・狙われてる! なし崩し的にわたし達の商店街も狙われてる! だが・・・その危機に立ち上がる、小さな5つの影があった!! シナトラ「ヒメレッド! ティグリースでぇ!」 イカロス「ヒメブルー! エウクランテだー!」 キナ「ヒメイエロー? ヴァッフェバニー?」 シールド「ヒメグリーン。ハウリン。」 ブッケ「ヒメピンクー♪ ウィトウルースなーのだー♪」 その名も! 5人「めぞん戦隊 ヒメガミファーイブっ!!!!!」 【OPテーマ:たたかえ! ヒメガミファイブ!!】 キナ「・・・・て。そろそろツッコんでええかヒメガミちゃん?」 イエロー、ナレーションに話しかけてはいけません。 キナ「何やねん... -
番外編:その弐 ドライの場合
「ハイジャック犯に告ぐ!!この建物は完全に包囲されている!諦めて大人しく投降しろ!!」 深夜8時、大東亜共和国首都の新東京市にて銀行強盗が発生した。 I.N.S.P日本支部サイバー犯罪捜査課勤務の安田 聡美警部補もこの現場に出動していた。サイバー犯罪捜査課は当初は名前道理、インターネットを使った犯罪の取り締まりを行っていたが、2016年のロボティクス・ドライブシステム、2022年のアムドライバー、そして2031年の武装神姫の登場により、それらに関する犯罪捜査も請け負うようになっていった。 「警部、このままでは人質が保ちません。強行突入の許可を!」 「しかしだな安田警部補、今交渉人が説得を続けている。今犯人を刺激するわけには・・・・・」 「だからと言ってホイホイ要求を聞くわけにはいきません!!」 現場近くの本部テント内にて、聡美は上司である初老の警部に食ってかかっていた。 「う... -
街3
ハウ 「・・・・・・怖っ!!」 肩を撃ち抜かれたルーナさんはすごい形相でこっちを睨んできていた。 ま、まさか天使型がここまで凄い目つきが出来るなんて・・・・。 でも・・・・・ 「クスッ・・・・『切り裂き』に比べれば・・・・なんとも無いかな」 僕はそういってハンドルを握り締める。 さっきの・・・変な剣の攻撃でエンジン部分が傷ついている。多分、それほど長くは走れないだろう。 でもそれでいい。 ブラックホークに取り付けられたコンソールに指を這わせ、オートパイロットモードに設定する。 両の手にカロッテP12を握り締めて、僕は無言で前を見据えた。 距離は約100m。必殺の一撃には程遠い距離だった。 「――――――それじゃぁ行こうか。ブラックホーク?」 僕のその声に反応してブラックホークのオートパイロットモードが起動し、乗り手の事なんて微塵も考えてい... -
第三話『主の日常と姫君の退屈』
わたしの朝はクレイドルから始まる。 朝、タイマーによって起動したわたしはまず今日の日付を確認する。これは体内に内蔵されたカレンダーでも出来るものなのだがどうも、紙でできたカレンダーのほうが好きなのだ。 そして日付を確認した後、わたしのオーナーであるハルナを見る。 ・・・・これはまたなんとも。 「寝相が悪いですね。はだけ放題じゃないですか」 体だけ見れば十分大人なのに・・・・もったいない話です。 さて、そんな毎朝抱く感想は置いておくとして起こさなければいけませんね。ハルナを起こすのはわたしに課せられた使命ですから。 ・・・・しかし、どうやって起こしたものか。 寝起きがあまりよくないのですよね。ハルナは。 何か道具が無いかとあたりを見渡すと、白と赤で着色されたパッケージが目に入りました。アレは確か昨日、ハルナが買ってきたジンギスカンキャラメル・・・・使えます... -
Gene20 楽屋
――BGM:ドレミファだいじょーぶ―― さて「はじめてのおつかい」今日は花道家の生駒さんのお宅にやってまいりました! 今日おつかいに出る子はなんと神姫ですよ神姫。 「それじゃあにーの丞、このフクジュソウの生け花を☆×スタジオまでね。平気そう?」 「うにー! 大丈夫ですにー!」 「・・本当に?」 「にーだっておつかいくらい出来るんですにー!」 「本当の本当に?」 「むー、にーはもう子猫じゃないですにー! いちにんまえですにー!」 「・・・判ったわ。でも無理はしないこと。それから、知らない人には付いて行かない事。いい?」 「わかったですにー♪ 行ってきますにー!!」 「いってらっしゃい・・・ああでも心配・・・(がさごそ)」 さて、心配そうなお母さんをよそに、にーの丞ちゃん(0歳2ヶ月)が初めてのおつかいに出かけます。でも鉢付きの生け花は重そうですね~。 ... -
海2
高速で迫ってくるソレを、私は大きく旋回することでどうにか回避した。 「・・・・レーザー? ・・・・・ビーム、かも」 光学系の兵器を見るのは久しぶり・・・・と言うかバトルそのものが久しぶりだった。 「わ・・・すごい・・・」 つい先程、お世辞にも武装とは呼べないような代物で私を撃った彼女・・・確かパルカ・・・だったか、彼女はその武装の威力に驚いていた。 その様子は見るからに初心者の佇まい。でもさっきの武装の事もあり、中々に油断は出来ないようだ。 私はノワールストライカーのウィングを操作し、高速で移動を開始する。 今、彼女が手に持つソレは弓の形をしていた。と言う事は遠距離主体の武装なのだろう。ならば・・・・・ 「・・・・・クロスレンジ・・・・でも・・・」 近づけば、多分私の独壇場・・・なのだが妙な雰囲気がする。変形したと言うことは距離の問題とかも対策が取られている... -
戦うことを忘れた武装神姫-43
戦うことを忘れた武装神姫 その43 ・・・朝。 目覚ましの音に、久遠はけだるそうに体を起こした。 珍しく、神姫たちの助けを借りずともおきられたな・・・そんなことを考えながら立ち上がり、机上のクレイドルで寝ているエルガを突付いて起こす。 「おはよう、エルガ。」 ゆっくりと起き上がったエルガは、ごしごしと大きな瞳をこすりながら久遠を見上げると。 「・・・ごしじんさまのことは、にゃんとおよびすればいいでしょうか?」 着替えようとシャツを脱ぎかけていた久遠の動きが止まった。 「ちょ・・・え・・・エルガ・・・?」 「ごしじんさまのことは、にゃんとおよびすればいいのでしょうか」 セットアップの時の、まさに機械的な音声で応える・・・いや、反応するエルガに、久遠の顔色が変わった。 強制リセットがかかったのか、はたまた何かのエラーが... -
第二話『砂漠よりの使者』
「――――――――っ!」 一瞬で相手の懐に踏み込み、抜刀。返す刀で傍にいた悪魔型も両断する。 「このっ!」 天使型の拳銃がこちらに向けられる。視線と指の動き、そして銃口の向きを一瞬で見極め横に跳躍。そのまま小太刀を投擲し天使型の手から銃を弾き飛ばす。 「―――――――なっ!?」 地を蹴りまた踏む込み、抜刀。その勢いのまま走りぬけ、ビルの陰に飛び込んだ。 一瞬で三体の神姫を倒した彼女は息切れ一つしていない。銀の髪をなびかせながら至って涼しそうな顔で周囲を窺っていた。 ――――残す敵は、あと一人。 ホワイトファング・ハウリングソウル 第二話 『砂漠よりの使者』 ここは神姫センター、そして彩女がいる場所はバトル用筐体の中である。 ステージは『ビル街』。高層ビルが立ち並ぶ近代的なステージだ。 『・・・彩女、少し早すぎやしないか? ... -
第二十六話『剣林弾雨』
「第四補給ポイントに到達! 補給に入るよ!!」 ハウの抱えるガトリングの弾幕が途切れる。 その隙を逃さず大量のネイキッドがゾンビの如く押し寄せるが・・・ 「ああぁぁぁぁぁぁああああああ!!」 彩女の振り回す斬馬刀に両断され、一人たりともポイントに入ったハウには近寄れなかった。 『バレルが焼け付いてる! 交換をしている暇は無いぞ!!』 「だったらミニガンを使います! 予備マグを持てばゴールまでは持つはずです!!」 ハウはそう叫びながらミニガンにマガジンを叩き込みボルトを引く。そのまま予備のマガジンやサブウェポンのハンドガンやSMGにもマガジンを叩き込んでいく。 第三補給ポイントを通過した辺りから敵の数が急に増えてきた。恐らく最後のルートだから大盤振る舞いなのだろう。 「・・・流石に・・・これは・・・!!」 一度に三人以上を斬り払いながら苦しそうに彩女は言う。 ... -
戦うことを忘れた武装神姫-12
戦うことを忘れた武装神姫 その12 ・・・その11の続き・・・ 「在庫じゃないんだからああぁあぁぁ!!!」 ひときわ大きく絶叫すると、イオはLC3とツガル装備のHEMLを取り出した。 さらには妙なコードを取り出すと、背中の翼に載る推進器と、LC3・HEMLを接続。右手にはLC3、左手にはHEML・・・それぞれを片手で軽々と扱うその姿は、もはや武装神姫ではなく、武装鬼神・・・!!! 「な、ななな・・・そんなこけおどしが通用すると思っているのか!」 大型の射出型パイルバンカーを取り出し、すぐさま一発打ち出すディサ。だが、撃ち出されたされたパイルは、イオまで到達することはなく「消滅」した。 先端が真っ赤になっているLC3・・・そう、推進器のエネルギーの大半を、両手に持つ得物へそそぎ込み、機材の限界をはるかに越える弾を撃ちだしているのだ。そして、エネルギーの... -
第十話『にゃ~』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 彩女は自らが切った竹の中、節の上に座禅を組み考え事をしていた。 主の様子が、何かおかしい。 「(普段は吸っていた煙草を、私とノワール様が引き分けた日の翌日から吸わなくなった。そして仕事の量が増えた)」 記四季の職業は物書きだ。小説だろうがエッセイだろうが何でも書く。そしてその仕事の最中、記四季は集中するために彩女を追い出すのだ。 最後にはいつも、書きあがった原稿を見せてくれた。彩女は記四季の一番の読者なのだ。 「(にも拘らず原稿は一向に完成の兆候が無い。そしてここ最近私は主の原稿を見ていない。・・・編集さんに電話したけれど、今の主の仕事量はやはりおかしい)」 急に書けなくなったという事もありあえるだろう。しかし今までそんなことが無かったのだ。 「・・・・・・・・・主、一体何をなさっているのですか」 * ... -
クラブハンド側・エピローグ
「さて、今日はご苦労だったな、みんな」 天薙さんと別れた後、私達はお姉ちゃんの家(というか店)に向かっていた。 ・・・しかし、あの男はどうにも好きになれないわね。さり気なく私の事をガキ扱いしてたし。 ・・・まぁ年齢的に子供だから反論はしなかったけど。 「マスター、今日は久々に暴れられましたね!」 「・・・・最近・・・負けて・・ばっか。・・・・納得、いかない」 お姉ちゃんの胸ポケットでハウちゃんとノワールちゃんが言葉を返す。 ・・・なんだかノワールが不憫に思えてきた。 「そんなに落ち込んじゃダメよ。・・・その、元気出したら?」 「・・・・・・・・・」 私がそういうとノワールちゃんはそっぽを向いてしまった。 もしかして拗ねてる・・・? ・・・か、可愛い? 「まぁノワールは色々武装を変えてますからね。慣れるまでまだ時間がかかるんでしょう」 と、私の胸... -
種子さんときっしー(超仮タイトル)
§0§ セットされていたタイマー通りに、暗闇の中で私は目覚めた。 周囲で朝の挨拶を交わす人たちの声がくぐもって聞こえる。 トントントン。しばらくして暗闇の中で音が鳴る。 それは、私を収納しているケースを主(あるじ)が叩く音。それは、主と打ち合わせていた合図。 私は予定通りの行動を開始した。 §1§ 「おっはよー」「オハヨウ」「いーっす」 朝。高校の玄関。わたしの周囲で、たくさんの生徒さんたちが朝のあいさつを交わします。これを体験するのは今日が二回目。 わたしはマスターの胸ポケットから、おそるおそる顔を覗かせます。 「あ、おチビちゃんも、おはよう」 わたしに気づいた生徒さんが声をかけてきます。 「あわわっ。おはようございます」 わたしがまごまごしている間にその生徒さんの姿は遠くにいってしまいます。わたし自身がまだ、ひとがたくさんいるところに馴れていないみたい。 「お... -
第陸幕 「END OF SORROW」
荒野だった 時々乾いた風が吹き、異様に鮮烈なスカイブルーの空は、其処に浮かぶ雲も、天に届く山も無く、果てしなく遠かった 太陽の存在を知覚出来ないにも関わらず、荒野は昼間の明るさを保っている 影が無く、現実感の薄い風景だ 『ボンソワール妖精さん。こんな所で一人で何を?』 何時から其処にいたのか?ピエロの様な格好をした神姫が声を掛けてくる (・・・一人?) 何時からその荒野に「私」は居たのか、現れたピエロで「自」を知覚したのか。兎に角「私」は一人で、この荒野に立っていたらしい (・・・何を・・・していたんだろう?) 思考を巡らせようとするが、ピエロの大袈裟なジェスチャーでそれは遮られた 『ノンノンノン・・・深く考える必要は無いのです妖精さん。この現実感の無い大地と、かけ離れてリアルなソラを見れば判ります、判りますとも、ええ』 (なら何故聞いたんだ?) 『貴女は今無数の問... -
CHF番外編その三『白い恋人たち』
朝起きたらそこは一面の銀世界だった。 「・・・・ハルナ、これが“雪”と言うものですか」 「?、そうだけど・・・・あ、そか。サラはまだ雪見たこと無かったんだっけ」 開けた窓から見える景色は真っ白。 砂漠色のサラからしたらありえない光景かも知れない。根拠はないけど。 「・・・すばらしい。これほど美しいものがこの世にあるとは・・・・なるほど、昨日ハルナが楽しみにしていた理由がわかりました。これは素晴らしい・・・・」 ・・・いや、そんなに感動するような光景かな? 去年とかもっと積もったけど。 「なんと!? これを上回る量の雪が降ったというのですか!? ・・・・にわかには信じがたい・・・」 「いやどうでもいいけど出かけるわよ? 今日は八谷と買い物してお姉ちゃん家で過ごすんだから」 私はパジャマを脱ぎながらサラにそういう。 ・・・・暖房つけてても寒いわね。 「ではさっ... -
戦うことを忘れた武装神姫-26
戦うことを忘れた武装神姫 その26 ・・・その25の続き・・・ 再び、久遠のグラスの氷がカランと鳴った。 「・・・すまないね、『ゼリス』のことを答えるはずが僕の昔話で終わってしまったようだ・・・。」 「いえ・・・それで十分です。」 すっかり氷も解け、なかば水割りになろうとしているグラスを久遠はすっと飲み干した。 ヒトと対等に意思疎通ができる、ちっちゃいけれど頼もしい存在。 「死」すらも、恐れることなく正面から向きあえる程の強い存在。 ヒトに愛され、ヒトを愛することができる、優しく、温かな存在。 - ヒトは何故、「心」を持つこの「存在」を造り出したのか - うつむいたまま、ドツボにはまったかの如く黙り込んでしまった久遠。と、彼の目の前に新しいグラスが差し出された。 「・・・。」 はっとした久遠、見ればグラスを差し出... -
2月14日の武装神姫-03
2月14日の武装神姫-03 「ただーいま。 おとなしくしてたかな〜?」 久遠、帰着。 手にする紙袋には、半額売りされていた特大のチョコレート ケーキが入っている。。。 「おかえりなのー。」 と、出迎えるエルガ。 とりあえず室内の様子を探る久遠。 「? にゃーさん、どうしたの?」 「いや・・・去年のことがあるから・・・」 「にゃーん。 もうにゃーたちだけで作ったりはしないですよ〜。」 「良かった・・・ ってちょい待ち! 今、『にゃーたちだけで』は作らな かった、って言ったよなぁ?」 「にゃっ!! い、いってない! 言ってないのっ!」 「なんか隠しているだろう。」 入室拒否しようとするエルガをむんずと掴んで、ずかずかと部屋に入る久遠。 部屋の中で変わった様子はない・・・ 次、キッチン!・・・も異常なし、か ・・・いや、異常発見! 「チョコレートと... -
単発作品用トップページ
単発作品用トップページ このページは? このページは、『一発ネタを思いついたんだけど、どうにも本スレには投下しづらい。かといって連作にするかどうかもわかんないからwikiにも投下しづらいぜ!』という作者さん向けの単発作品用トップページです。ログイン不要で編集も出来ますので、お気軽にどうぞ。 そして続きを思いついたりそれを妄想のままに書き上げてしまったりすれば、その作品のトップページにリンクを張り直してください。 連載を持っておられる作者さんも、思いつきなどあれば遠慮無く! 以下のテンプレをコピー&ペーストして、作品へのリンクを張るだけの簡単仕様です(wikiの基本的な使い方はトップページを参照してください)。 テンプレ開始 タイトル ここに作品のページへのリンクをどうぞ 簡単な紹介などあればこちらに。登場人物紹介などは、単発の... -
戦うことを忘れた武装神姫-36
戦うことを忘れた武装神姫 その36 日付も変わった深夜。 久遠は、自宅から少しはなれたところでバイクのエンジンを切り、押して駐車場へ。静かにバイクを止め、階段をコソコソと昇り、そっと鍵を開けて部屋に入る。 「ただいまー。」 小さく呟くながらキッチンの明かりだけをつけ、ホッと一息をつく。すでに夕食はコンビニで済ませている。 歯を磨きながらシャワーを浴び、着替えを済ませて静かに自室へと入った。 薄暗い部屋の中、それぞれにクレイドルをおいて眠る神姫たち。イオは机の上で標準型に腰掛けて。リゼは和壱型で布団を蹴飛ばし大の字になり、エルガはぬくぬくこたつから頭だけを出して。 だがー。 シンメイが、いない。いつもはこの辺で寝ているはずなのに・・・。 久遠は音を立てぬように、シンメイを捜索する・・・と。 「なんだ、こんなところにいたのか。」 積み上げられた... - @wiki全体から「すとれい・しーぷ」で調べる