詩歌藩国 @ wiki

【新領民受け入れ態勢の様子】

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karyou

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【新領民受け入れ態勢の様子】

文・画:18-00346-01:花陵:詩歌藩国


【仮設住宅建設現場にて】

 最近、共和国の政治不安で、国民が帝國に大勢流出している。と、言う噂は本当だった。
 詩歌藩国は帝國でもっとも端に位置している上、国民性もどこかののほーん。としているせいか、どこか遠いところの話しのような気がしていたのである。
 しかし実際に新領民を受け入れる段になると、詩歌藩王の号令の元、着々と受け入れ体制を整えていった。

 ここは、森国人用の仮設住宅建設現場だ。
 故郷を遠く離れた共和国の人々に少しでも、寛いでもらえるように。との気持ちがあり、森国人用の仮設住宅は木造で建設されていた。幸いにも、詩歌藩国には森林が多く存在している。ログハウスなどの建設技術もある。建設資材も元から生産されており、建設期間を縮めることができた。
 現場では多くの共和国民や詩歌国民が雇い入れられており、暖かいシチューやスープの炊き出しも行なわれていた。共和国民と詩歌国民が現場で協力して、作業を着実に進めていたのである。

おじさん「よー。若いの。頑張るなー!」

わかもの「お世話になってます。」

おじさん「国を離れなきゃいけないなんて、大変だったなー。詩歌藩国は寒いだろう?少しは慣れたか?
      それから、なれない仕事で疲れてないか?あんまり根をつめない方がいいぞ!」

わかもの「ええ。でも、俺が頑張らないと!弟たち、まだ小さいんですよ。
      それに、俺は家族がバラバラにならなかっただけでも、いい方ですから。」

 わかものの様子は、流れてこの国まできたわりには明るい。「空元気」なのかもしれない。しかし、弱ってる姿はあまり見せたくないものだろう。それに、彼にとってはここはまだ異国の地なのだ。

おじさん「そうかー。家族がバラバラにならなかっただけでも…か。
      あ、そうだ。炊き出しでシチューが振舞われている筈だ。昼は、そこで食ってくるといい。
      それから、休みの日には、弟たち連れてラグーンで体を休めるといいぞ!疲れが取れるからな!」

わかもの「ありがとうございます。ラグーンかー。行ってみます。きっと弟たちも喜びます。」

おじさん「ああ。どんな時でも、肩の力を抜く時間は大切だからな。覚えておけよー。
      それから、今度家に遊びに来ないか?弟たちも一緒にな!
      俺んちの息子に、故郷の珍しい話をしてくれるとうれしい。
      何しろ、俺も家内もこの国から出たことがないからなー。森国人本場の話し。ってやつを聞かせてくれよ!
      お礼は、北国人本場の料理だ!」

わかもの「ええ。喜んで。」

 はにかんだ笑顔と、がはは。と豪快な笑いが重なった。
ここにいる間は、少しでも心穏やかに過ごして欲しい。とおじさんなりの気遣いなのだろう。

 ごくありふれた日常。みなが大切にしている日常。元の生活と同じとは行かないまでも、少しでも近づけることが出来るようにと願う。誰もがそう思いつつ、力を合わせて働いていた。

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