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Papyrus関数追加サンプル - (2013/07/01 (月) 18:22:30) のソース

執筆中です。

#contents

-サンプル:&ref(ExampleAddFunctionBySKSE.zip)(動かした方は中にある readme.txt を参照のこと)

*目的

SKSE プラグインによって Papyrus で使える関数を追加する''最小サンプル''を提供することが目的です。

関数の追加方法を覚えることで、適宜、用途・要求速度などの状況に応じて Papyrus と C/C++ とを組み合わせてスクリプトが書けるようになります。

*前提

[[SKSEプラグイン開発環境構築手順]]にて、skse 本体のコンパイルができる状態にあることが前提となります。

プラグインのサンプルプロジェクトである plugin_example を元に Papyrus 関数を追加するよう書き換えます。

*手順概要

まずは作業手順についてですが、以下の手順を踏みます。

+CK を使って追加する関数を Papyrus スクリプトで定義し、psc/pex ファイルを用意する。
+プロジェクトを準備する。
+追加関数を実装する。
+追加関数を Papyrus 関数として使えるよう登録する実装を追加する。
+dll をビルドし、配置する。
+skse_loader.exe で Skyrim を起動する。

細かく1つ1つ順を追って説明していきます。

*手順詳細
**psc/pex ファイルの準備

CK を起動し、適当なオブジェクトを対象にしていいのでスクリプトを作成します。

#ref(create_psc.png);

サンプルプラグインの名前は「Calculator」とします。また、Sum 関数は v1 と v2 の値を足した値を返すこととします。要はよくある計算機の例です。

以下、ソースの事例です。

 Scriptname Calculator
 
 int Function Sum(int v1, int v2) global native 

ポイントは、

-''native'' と書いてあること。
-関数本体が無いこと。

です。

必要最小限ということで今回は未 extends/global の関数を事例に挙げますが、extends/global 以外の関数も定義可能です。

このソースを保存すると普通にコンパイルでき、pex ファイルが作成されるので「Skyrim\Data\Scripts」フォルダを確認してみて下さい。psc ファイルは「Skyrim\Data\Scripts\Source」フォルダにあります。

**プロジェクトの準備
***dll ファイル名の変更

plugin_example プロジェクトを活用しますが、そのままビルドするとできあがるプラグイン dll ファイルが plugin_example.dll になってしまいます。

独自の名称の dll ファイルを作成するため「ソリューションエクスプローラ」で「plugin_example」プロジェクトを選択し、F2 キーを押してプロジェクトの名称を変更してください。

ここでは「Calculator」とします。

#ref(rename_project_name.png);

すると「Calculator.dll」が生成されるようになります。

※ プロジェクトファイル名自体は「plugin_example.vcproj」のままですが気にしないことにします。

***skse プロジェクトの機能を拝借

skse プロジェクトの機能を使うため依存関係を作って、機能を使えるようにします。

以下、手順です。

+「ソリューションエクスプローラ」で「skse」プロジェクトを右クリックし「プロパティ」を選択する。
+「構成プロパティ - 全般」タブの「構成の種類」を「スタティック ライブラリ(.lib)」に変更する。
+「ソリューションエクスプローラ」で「Calculator」プロジェクトを右クリックし「プロジェクト依存関係」を選択する。
+「skse」プロジェクトにチェックを入れる。

**追加関数の実装

以下に追加する Add 関数の例を示します。

 // SInt32 や StaticFunctionTag などを使うために必要になる。
 #include "skse/PapyrusNativeFunctions.h"
 
 // ... 省略 ...
 
 SInt32 Sum(StaticFunctionTag* self, SInt32 v1, SInt32 v2)
 {
 	return v1 + v2;
 }

Calculator.psc と比較してみてください。ポイントは以下の通りです。

-skse/PapyrusNativeFunctions.h をインクルードしている。
-int には SInt32 を使う。
-第一引数に self を追加する(global の場合は StaticFunctionTag*)。
-関数の中身をしっかりと実装する。

**Papyrus 関数として使えるよう登録する実装

SKSE プラグインには以下の2つの関数を必ず実装する必要があります。

|役割|シグネチャ|
|SKSE プラグインの導入可否判断|bool SKSEPlugin_Query(const SKSEInterface * skse, PluginInfo * info)|
|SKSE プラグインの初期化|bool SKSEPlugin_Load(const SKSEInterface * skse)|

SKSEPlugin_Load 関数にて追加関数を Papyrus 関数として使えるよう登録します。

重要な部分のみ抜粋します。

 bool RegisterScaleform(GFxMovieView * view, GFxValue * root)
 {
 	VMClassRegistry* registry = (*g_skyrimVM)->GetClassRegistry();
 
 	// Calculator.Sum 関数を登録
  	registry->RegisterFunction(
 		new NativeFunction2<StaticFunctionTag, SInt32, SInt32, SInt32>("Sum", "Calculator", Sum, registry));
 
 	return true;
 }
 
 
 
 extern "C"
 {
    // ... SKSEPlugin_Query 省略 ...
 
 bool SKSEPlugin_Load(const SKSEInterface * skse)
 {
 	_MESSAGE("load");
 
 	// register scaleform callbacks
 	// Scaleformコールバックを登録する。登録に成功するとtrueを返す。
 	// 登録名が既に使用済みの場合は登録失敗になるので、ユニークな名前で登録すること。
 	g_scaleform->Register("Calculator", RegisterScaleform);
 
 	return true;
 }

 };

SKSEPlugin_Load は、SKSE によって呼び出されるSKSE プラグインの初期化関数です。ここで RegisterScaleform 関数を登録しています。

RegisterScaleform 関数が Sum 関数を Papyrus 関数として使えるよう登録する実装です。

NativeFunctionX の X は引数の数によって 0 ~ 9 まで使えます。<> の中および引数は以下の通りです。

|<> の1番目|親クラス。グローバル関数の場合は、親クラスにStaticFunctionTagを指定。|
|<> の2番目|戻り値の型。|
|<> の3番目以降|引数の型を順番に。|
|引数の1番目|関数名|
|引数の2番目|クラス名|
|引数の3番目|関数ポインタ|
|引数の4番目|VMCrassRegistry*|

本サンプルでは1つだけの追加ですが、いくつでも追加できます。

**ビルドとできた dll の配置

ビルドすると以下のフォルダに「Calculator.dll」ができあがります。

-skse_X_XX_XX/src/skse/Release

「Calculator.dll」を以下のフォルダにコピーすれば関数の追加は完成です。

-Skyrim/Data/SKSE/Plugins

CK 内の Papyrus スクリプトで Calculator.Sum 関数が使えるようになっています。
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