レンジャー連邦王宮図書室 @wiki内検索 / 「怪しいものには目に蓋を」で検索した結果

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  • 怪しいものには目に蓋を
    豊国 ミロ@レンジャー連邦 こんばんは、24時からの生活ゲームをお願いしたくお呼びしました 芝村 記事どうぞ 豊国 ミロ@レンジャー連邦 はい 豊国 ミロ@レンジャー連邦 【予約者の名前】06-00160-01:豊国 ミロ:レンジャー連邦 【実施予定日時】2008/8/7/24 00~25 00 【ゲームの種別】生活ゲーム 【ゲーム時間:消費マイル】  ・1時間:20マイル×1時間 【予約の有無】予約 有り(10マイル) 【召喚ACE】  ・バルク・ドッケン:非滞在:10 【参加プレイヤーの食糧消費】3マイル×1人 【合計消費マイル】計43マイル 【参加者:負担するマイル】  ・06-00160-01:豊国 ミロ:レンジャー連邦:入学済:43 豊国 ミロ@レンジャー連邦 先に数点お聞きしたいことがあるのですが、よろしい...
  • 文族事始め・ぱあと2:『あなたの書きたいものは何ですか?』
    文族事始め・ぱあと2:『あなたの書きたいものは何ですか?』 上手に文章を書きたい。小説を書こうとした時に、誰もが感じることだと思います。 でも、どうして上手に文章を書きたいのですか? 下手だとみっともない?上手な方がいいに決まってる? もう一度思い出してみてください。 小説は、読む人に何かを体験させるためのものです。句読点の乱れや誤字脱字がいけないのは、それがみっともないからではなく、読む人が集中するための妨げになるからです。好きな音楽を聞いている時に、すぐ側を大型トラックが行き交いしていたら気になって充分味わえないでしょう? そういうことなのです。 同じ表現を、繰り返さない方がいい時、繰り返したい時、両方あります。意味なく繰り返すと、それは塩も砂糖も醤油も何も調味料を使わずに、ただ延々と同じ物を同じ味で食べさせられるようなもので、気にし...
  • 文族事始め・ぱあと4:『幻をぶっとばせ!』
    文族事始め・ぱあと4:『幻をぶっとばせ!』 初めてやることや、不慣れなことって、知らないことばかりだからすごく怖いですよね。で、実際にやってみると、案外怖くない、なんてことも結構あったりします。 文章を書く場合、怖いことって、難しそうだっていう印象が一番だと思いますが、 やっぱり大抵幻です。 て、テーマって何!?とか、ぷ、プロットだとお!?とか、設定、設定ってなんだ、どうやって書けばいいんですか、とかいう風に、未知の用語と、それに対して自分で作り上げたイメージと格闘すると、小説の場合、酷い目にあいます。 失敗した時、目に見えるものを作っているならまだわかりやすいのですが、小説の場合、本当に作り上げるものは文章そのものではなく、それによって何を感じさせようとしていたかという、浮かび上がるイメージ、印象、感想、そういったものの方が本体だからです。 テ...
  • 支援SS:-医 ジンジュツ 療-
    【-医 ジンジュツ 療-】 彼らとどこかで隣り合わせた時には、確かにごく普通の人たちだったように記憶している。 なんという堂々たる指示で、鮮やかを通り越し、艶やかですらある手付きの美しいことよ。 心のどこかが目の前にある現象と乖離して、一人の人間として、たった一人の名医の動きに、磨きぬかれた技術にほれぼれとする。悪い癖だな、どんな時でもこういうのを見とれてしまうってのは。 医は仁術。 一人の人間の命そのものを見つめて向き合うことは、確かに仁を成す立派な一つの術だ。 医師たちは、医療行為を行う時、普段持つ能力よりもさらに格段の、そう、それこそ別格といっていい次元にまで己の能力を発揮する。わかっていた。それは、わかっていたはずなのに。 本当に、倍するほどにも一気に動きが見違える。佇まいの質感が変わる。空気を従え、そこを一つの戦場に変える。...
  • 『 Time 』
    「呪い?」 文族見習いの青年は怪訝そうに聞き返した。 「そうだ。文章は、音や、絵と違って、時間がかかる。くそっつまんねえものを延々と読まされる身にもなってみろ。だから文族は常に面白いものを書くことが要求され続けている。そりゃ既に呪いってもんだ」 法官志望の青年は、そう言い終えるといまだ湯気の立つ熱い珈琲をすするようにして飲んだ。カップを置く、かちゃんと冷たい音が天井の高い室内空間に吸い込まれる。 「この呪いに、いつ、どのタイミングでひっかかるかで、大分違ってくるんだろうと思うよ。はしかみたいなもんで、はしかと違ってたちが悪いのは何度も何度も繰り返し際限なくかかるってことだけどな」 「うー…ん」 聞きながら、考え込む若い方の青年。それを見て、面白くもなさそうに椅子の手すりで頬杖ついて外を眺めたのは、少しだけ年長の青年。 ここはレンジャー連邦の...
  • 絢爛 to I_Dress:~Brand New Days~
    こーん、こーん、こーん…… 天井の高い軍用ハンガーの中では、音がこもりづらいくせに、良く響く。 動員に人員を割かれている今は、軍の施設といっても人影もまばらで、休憩のチャイムの代わりにそのまま現場の判断でぱらぱらと作業場から散っていた。 「や、お疲れ」 1人の舞踏子が、近くのオアシスの木立で休んでいた、つなぎ姿の整備士、兼、パイロットの女性の前にやってきて、そういってボトルを投げ渡す。 見慣れないボトルに、彼女はこねくりまわしながら、珍しそうに蓋を開けた。 「これは?」 「コーヒーよ。チリペッパー入り」 ふーん、と途中まで聞き流しつつ中身を口に流し込み、ぶほっ、と、乙女らしからぬ勢いでむせこむ。 「な、なにを…」 「へへー」 にこ、にこ。 舞踏子は、笑いながら「してやったり」とガッツポーズ。 「仲間...
  • 連邦冒険録~いちのに~
    わーいわーい! めっがね鍋! めっがね鍋! めっがねー鍋!!(くるくるくるくる ~とある文族が目撃した政庁での一場面。 /*/ 雑多に詰まれた本。 薄暗い部屋。 机の灯りだけが部屋を照らしている。 西都、大学構内の一室でフェイは台に立つように机の上に置かれたノート大の石碑を食い入るように見つめていた。 「…ふみふみ。」 モノクルを器用ににくきゅうで押さえてフェイは石碑に見入っている。 後ろにはやけに包帯やら絆創膏やらにまみれたアレンと無傷のエル。 ついでに何故かシスティーナまでが並んでいた。 「どうだ…読めそうか?」ぼろぼろのアレンはそれでも爛々と目を輝かせている。 「まあ待つにゃ。どうもそれほど複雑じゃにゃさそうだからまぁあまり時間はかからないと思うのにゃ。」 フェイはモノクルを着ていた白衣の懐にしまう。 「ただいくら単純でもあまりみないタイプの文字だか...
  • 【公共事業】TLO技術流出監視・セキュリティ技術コンペティション
    OTeCS (オーテクス:OverTecnology Control System) ”人が認めるもっとも強きものは何ですか。” ”アイドレスとは、何ですか。 ” 1.序文 OTeCSとは人の過ぎたるあやまちを過ぎたるままに去りゆかせぬための、今と未来を見つめ続ける機構である。 犬と猫とが横たえられた剣の上に座り、共に空を見上げるシンボルマークを掲げている。これは、自らをも滅ぼしかねないダモクレスの剣を悪戯に振るわぬよう、欲望と戦い、勝利し続けるという意志の表われである。 アイドレスにおいては、技術という名の剣ではなく、つながろうとする意志の力こそが強いのだ。 2.セキュリティ:ブラックボックス加工 大統領府および帝國は、各専門家の協力を得て、人工知能を備えたチップを、開封を拒む精霊回路の一部となるように組み込み、予め設定さ...
  • What a perfect blue world 14
     What a perfect blue world #14 /*/ 「…………」  結末に、口をつぐむまどか。  目の前で、抱きしめようとしていた相手を失った雫の事を思って、肩に手をかけようとした。 「逃げられたか」  返って来たのはあっけらかんとした声だった。 「!?」  驚くまどかに雫は振り返る。  雫の顔は、飄々としていた。 「音に依りたる音使い、転ずれば音こそ奴の本体だろう。  キリヒメ君が彼を一度殺したにも関わらず生きていたという事は、元々が、あの体だけに縛られていたわけでもないはずだ。  大方どこかに潜ませておいた換えのボディにでも乗り移ったんだろうさ。黒い方はどうか知らんがな」  あ、とまどかは思い至る。  アドラが死の直前までに散々挙げた、洞窟中にまで鳴り響くような、不必要すぎるほど大...
  • GAME小説:『君の答え』:第五章
    「平穏いまだ来ず、かあ…」 紙面に踊る、『宰相、迷宮へ核攻撃!?』の大見出しを、最後に目で見て確かめると、ぱさり、新聞を器用に四つに折りたたみながら、コヒメは溜め息のように呟いた。 季節は十月を迎え、なお、夏は終わらない。 元々西国であるレンジャー連邦では、年中夏のようなものではあったが、どこもかしこも夏だと聞くと、東国にでもまたリゾートに行きたくなる。 「あの旅行はよかったなあ…」 三月の末頃に行った先は、温泉と清流のせせらぎもある、緑豊かな国だった。同じ共和国でも、地方が違えばこうも違うのかと、見るまでは想像だにしなかった大樹の数々に、その年輪を思ったものだ。四季のあるあの国では、きっと今頃紅葉が見ものだろう。是非、また行きたいものだ。 そう、ぼんやりと夢想していたところ、やってきたのは丁度その三月の旅行に同行したアスミだった。髪は長く、控えめ...
  • アイドレス・レポート:第一章
    アイドレスシステムの歴史:ターン1 アイドレスは、その本当の真価は、プレイヤー自身が無名世界観の中に元々存在しているものとして自然に活動可能だということにあったにも関わらず、始め、これまでのように特定のゲームシーンへと例外的に介入することで成立するゲームとして誤解されていました。 アイドレスは自由なゲームです。その面白さを最大限引き出すために、すべてを手作りにする必要がありました。しかし、その面白さを引き出すためにはまた、遊ぶ側の理解も必要でした。 例-1.冒険ゲーム 設置目的:ゲームの基本となる計算システムである『評価値』を実際に使っていく中で理解してもらうためのきっかけ。 対象:参謀系プレイヤー このように、アイドレスには明らかな学習のためのステップが組み込まれており、また、遊び手側でも独自に遊び方を見つけ、公式ゲームの中にどんどん組み込んでもらえるよう...
  • 徒然メーター
    徒然メーター 82019002 遡れば5年になる。 と、いってもニューワールドタイムでのことではない。第一世界時間でのことである。 「あの頃確かに見えていたのになー」 ボヤいているのは昨今法官衣に袖を通す是非をしきりと己に問うている後発型摂政、華一郎であった。 アイドレスは無名世界観のファンが集って国を成している。好きなものはなんですかと、聞かれるよりも前にビラを配り歩いて練り歩きそうな能天気気質であった彼にとり、今の状態はなかなかに苦しい。 考え事をしていると手遊びがしたくなる。にゃごろにゃごろと猫士の喉かお腹でもいじくり回したいところだが、あいにく全員忙しい定職持ちの身の上である。軍事編成ごとに拘束されるまで猫の手を遊ばせていた昔に比べ、効率的には良いありようなのだが、これもまた少々物足りない。 幽霊国民ってなんだろうと考えていたりもする。...
  • 文族事始め・ぱあと1:『いきなりですが、始めます』
    始めに この文章は「文族ってこういうものなんだよ」という紹介を旨として書かれています。もっと具体的で役に立つテクニックは自分で探して見つけましょう。文族の、心さえ理解出来れば、後は実際に始めるだけですから! 文族事始め・ぱあと1:『いきなりですが、始めます』 あなたは今、誰の目を通してその世界を描写していますか? あなたが描いた文章は、誰かが感じたことなのです。物語の中で、誰かが感じたことなのです。 それは時に登場人物の感じたことであり、それは時に読者の感じたことでもあります。 文章とは、相手に感じさせることをこちらから指定することが出来ます。 もちろん、それを読んで実際にその人が何を感じるかまではわかりません。けれど、目も耳も聞こえない読者が、唯一頼りにするもの、物語の中でたった一つ与えられた、その世界を知るための唯一の五感、それこそが文字を読むとい...
  • どたばた会議のその裏で
    某月某日 連邦会議室にて 「私立レンジャー学園を設立します!」 その一言から始まった会議は混乱を極めていた。 飛ぶミサイル。 飛ぶ靴下。 飛ぶ城華一郎。 さまざまな物が飛びかい、あるものは追い、あるものは追われている。 砕け飛ぶ机。 椅子。 割れる窓ガラス。 響く高笑い。 簡素ながらも美しかった会議室が次々と吹き飛んでいく。 ―このままではいけない。 そう思った双樹は歩きだした。 右手には目を回した夜星。 左手には目を回した城華一郎。 二人の首根っ子を掴んだ双樹は会議室隅に密かに設置された地下室への扉へと消えていった。 /*/ 「…それで何するにゃ?」 夜星(性別不定)は瞳に剣呑な光を浮かべて双樹を睨む。 めんどくさいことさせる気ならギタギタにしてやるにゃ! 目はそう語っている。 どーでも良いがこの夜星という猫士は双樹にだけは妙に厳しかった。 ...
  • 萩野むつきのもったいないもの
    ボツ絵集 http //8824.teacup.com/ty0k0/img/bbs/0000209M.jpg イベントEXロジャー奪還 テイタニア http //8824.teacup.com/ty0k0/img/bbs/0000192M.jpg イベント96 再利用型打ち上げ機 http //joy.atbbs.jp/0ranger8i8/img/28.jpg テスト(応援) 萩野むつき@レンジャー連邦作成 いずれもイベントで使用しなかったものです。 wikiの使用方が分からず、申し訳ありませんが URLによるリンクになっております。 どうぞよろしくおねがしいたします。
  • ★一方その頃…(冴木悠さん大もんじゃ祭り裏側)
    あらすじ 藩国公認で始まった突発お祭り【大もんじゃ祭り】。 猫の手程度も借りたいと駆り出されたビッテンフェ猫と冴木悠。 メイド服を着た給仕がいると聞き、俄然やる気を出す冴木悠であったが、そこで二人が見たものは【女性物のメイド服】を着た体格の立派な給仕の姿。 いわゆるメイドガイの姿であった。 /*/ 「ちくしょー、騙された。メイド服の給仕がいっぱいって聞いたからやる気出したのに。酒持ってこーい」 「いたのは筋骨隆々なマッチョなメイドガイ軍団、詐欺でござるな。うむコリャうまいでござる」 料理にお酒を次々と平らげていく2人のメイドガイ。 この二人猫の手ほどの役にも立っていない。 「まあ、確かにメイド服着た女の子は何人かいるものの、猫士のちんちくりんばっかり・・・って。うん、これはこれでいいかも」 「・・・守備範囲の広さは相変わらずでござるな」 (かちゃり) ...
  • NAC企画・食博覧会出店:レンジャー連邦
    『いっしょにごはんたべよ!』  -ある国民の言葉   /*/ ◆序文にかえて  会場は人込みで溢れていた。  どこへ行こうか、不思議と顔は皆一様にいきいきとしていながらも、人々の足元では、ゆったりと焦らない、鷹揚でどこか気持ちの大らかな足音足取りばかりが重なって、歩く流れは、寄せては返す、さながら打ち寄せる大海原の潮騒のようである。  波打ち際の岩場のごとく、彼らを迎えて散り散りにさせる海岸線は、軒を並べる出店の数々。自然の岩に同じ形がないように、いずれもユニークな装いや店構えでながみ藩国の収穫祭に訪れたニューワールド各国からの来客を待ち受けていた。  いつもと違うのは、明らかに異国の風情があちこちから漂っている点だ。 「ね、ぜんぶ回ろ、ぜんぶ!」  はしゃいで袖を引っ張る友人に、困りながらもまんざらではない笑顔を返すのは誰か。 「だ...
  • 短編『唇の雪』2
     空の植木鉢に今日も水をやる。  赤い素焼きの鉢植えの中で、湿った黒土の色が、さらに濃くなる。毎日の中の違いといえば、それだけの変化。  店は、棚も、客足も、ついでに言えば私の人生にも閑古鳥が鳴いていた。  これは私に限った話ではなく、共和国の、大半、とまではいかなくとも、少なくとも半分以上の人には実感を持てて共通しうる、単なる経験談の一つだろう。世界は運命という名のテクノロジーによって、変わってしまった。それも、気がつく間もなく、何度となく。  乾いた空気が吹きこむので、ケホリ、と、一つ、咳が出た。  虚ろな家に、虚ろな風、か。 「不景気なことだね、今日も、ユーミちゃん」  しわ深い笑みで、そう言って挨拶しながら入ってきたのはアキトさんだった。砂避けを脱ぐと、その内側にぶら下げていた水のボトルと、店内の棚に置いてあった数少ないココの実を交換していく。  しゃく...
  • GAME小説:『君の答え』:第一章
    一月も終わりの事だ。 「やっと一段落ですね」 とん。 青年の声と共に、資料の束が小気味よい音を立てて机の上で揃えられる。 壁側に広がる一面のガラス戸が、昼下がりの明るい空気を差し込む光で存分に会議室の中へと伝えていた。 その光の中、1人の男が長い灰色髪のポニーテイルを揺らして笑っている。 「パレードのおかげですっかりシメが遅れちゃいましたけど、これでやっと肩の荷が下りた心地ですね、藩王」 切れるような細い笑みの似合う、黒尽くめの男だった。 華奢そうな顔立ちに、にこにこと、人懐っこい笑顔を浮かべている。 「ええ。城さんもミサゴさんも、本当にありがとうございました」 「いえ。蝶子さんもお疲れ様です」 摂政・砂浜ミサゴは、藩王・蝶子のねぎらいに対してそう答えながらも、男の笑顔に、以前から抱いていた疑問を遂にこらえきれなくなった。 ...
  • 秘宝館SS:『りんくのいない日々』
    恭兵は、もう随分長いことのんびりしていた。 「あんまり長いことここにいると、太っちまいそうだな」 なあ、と手持ち無沙汰に、テーブルの上で丸まってる雉トラのヒゲをいじる。 遊んでもらったと思ったのか、きょうへい2はてしてし前足を繰り出して恭兵の指をキャッチ、かじりつく。恭兵、もう片方の手で尻尾をつつく。ぴょこんと機敏にきょうへい2はそちらへ向き直った。 そうして楽しそうに猫とじゃれあいながら、ふと、いつでも心に浮かべている相手の顔が、むすぅっと膨れていることに気がついて、今更ながら手を止める。 「りんくがいなくて寂しいよ」 お前もそうか?と、きょうへい2に聞く。 にゃあ、と雉トラは一声鳴いて、頭をこすりつけ、餌をねだるだけだった。 /*/ 秘宝館SS:『りんくのいない日々』 /*/ 宰相府の秘書官保養地は、いつ夜襲を...
  • 秘宝館SS:『青の宝石』(前編)
     指に掛ければ冷たく重い陶磁器の、広い、耳のような形をした取っ手が、戦士のものとは思えないほどに傷も歪みもない、大きくもしなやかな手に、今、柔らかく握られている。  生活必需品以外のものがない簡素な部屋内に、ひっそりとだが己の色を放つ水色のティーポット。  その口から、柑橘系のほのかに甘い香りと、爽やかな明るさとが上品にバランスを取った、落ち着きある香気が白い湯気と共に立ち昇っている。  ついと上向きに尖らされた口が、これも同じ水色をした一客のティーカップへと鋭角に立てられ、静かに空中でその傾きを深めてゆくことで、曲面に添って滑らすようにして赤褐色の液体を注ぎ込んでいく。 「…」  男は喉の奥に熱い香りと感触を流し込み、吐息もせずに立ち上がる。  大柄な彼に合わせて作られた、頑丈な木組みの椅子は軋みもしない。  色の濃い白人系の素肌に直接ベストを着込ん...
  • バトルロイヤル参戦記:第三章:九死に一生
    ――――――ゥ 太陽を背に、黒い影が閃いた。それは落下して迫りくると同時にどんどん赤くなっていく。 ゴォン!! 鋭い蹴り。ざ、が、がっ!!と激しい音を立てて、受けた側の機体はその場からずれ滑った。 「受けきられた!?」 第一ターンの間に索敵能力の高い機体があらかた倒れ、真っ先に攻撃を仕掛けた華一郎は戦慄した。不動鉄壁の名を冠する機体に、退けられてこそいたものの、相手の両手には必殺の兵器が二つも搭載されている。やられる、と思った瞬間! ちゅどおおおおおおおん!!!! なにやら得体の知れないが、やたらにかっこよさだけはあるポーズをとり、相手が自爆した。 「た、助かった…?」 これが一味違う、主催国、akiharu国の、爆裂正義ラブカエンの、壮絶なるジャスティスであった。ほとんどまぐれで勝ちを拾ったことに冷や汗が流れる。 ...
  • 新編・文族院
    新編・文族院 序文 書きたいものだけが書けるもの。 だから何を書くには何が必要か、なんてことは、文族院では教えません。 本当にほしいものは、あなただけが知っているはず。 あなたがほしいものは、なんですか? 文族院は、あなただけが知る「素敵」の道への、扉の在り処を教えます。 早くあなたの想いの結果を読ませてください。 初級編:おおいに真似よう! 読んだようにしか書けません。 喋ったように書いたり、聞いたように書いたりすることもありますが、 どちらにしろ、それは相手ありきの話です。 同じようなものを書きたい! と、思うのが、きっと一番のモチベーションのはず。 何と同じようなものを? それはあなたにしかわからない。 それが何かも、どう心に響いたかも、あなただけが知っている。 同じ「ような」もの。 まったく同じものがいつまでも...
  • GAME小説:『君の答え』:第三章
    黒い、影が佇んでいた。 だがその影の輪郭は、物語の半ばで顔をのぞかせた、あの自らの名に道化師を持って任じている男のものとは異なっており、黒よりも、なお濃い黒、光喰らうまさに漆黒の色合いを、その装いに漂わせている。 何より異なるのは、その肌と髪の色。 砂漠に焼けた灰色ではなく、日差しに焼けた褐色ではなく、白い、白い抜けるような肌と髪を、その影の主は持っていた。 亡霊のような高貴なつば広の帽子を目深に被り、影は大地をまなざす。 その形で持って全力で愛を叫ぶ、青の中に頼りなく浮かぶ、とても小さいその大地を。 「――――――――」 影は紫色の唇を、笑みもさせずに閉ざしたまま、そうしてじっと、その大地をまなざしていた。 /*/ 「「「「「「「乾杯ー!!!」」」」」」」 高らかな唱和がオアシスに響き、星の印がついたラベルの缶に、みな、口をつ...
  • 祭りの最中に ~やさしい風~
    薄暗い部屋の中。 男は小さな端末を片手に仰向けに横になっている。 男が端末の側面に付いた小さなボタンを押すとカチッと小さな音を立てて端末が開いた。 黒く輝くその画面に映るのは燃えるような黄金の文字。 〔システムはロックの解放を要求します。〕 どうも気を使わせているらしい。 自分の機械音痴に絶対の自信を持つこの男は、この画面を呼び出す度に異なる文面を見て少しだけ微笑んだ。 男は親指を小刻みに動かして単語を入力する。 〔I_Dress〕 男が仮想飛行士として飛ぶためのパス。 この一言でロックは解放され電網への扉は開かれる。 ―でも。 男は少しだけ微笑むと文を追加した。 いつか見た、男よりも遥かに巧みに文字を操る男の言葉。 〔I_Dress、私は飛翔する〕 それと同時に男の精神の転写体が精製され、そこに情報子が吸着し一人の人間が現れる。 名を双樹 真と言った...
  • 『しずく』
    武は、舞か。 否。 ぺたりと情人に寄り添うように、身と、掌を相手に添わせて地を踏みしめる。 ぴたり数十キロ分の成人男子の体重が、踏みしめた脚力と、踏みしめられた硬い畳の藺草を抜いて、地の奥底までに貫いた。がつんと強烈な反発が足裏から即座にタイムラグほぼ0で跳ね返り、突き上がる衝撃力が体の中でうねる力と絡み合い、龍の顎の如く、ぱっくりと掌に体重に数倍する力を蓄えた。 ぽ。 と、その莫大なパワーが、ほんの一瞬、掌サイズから、相手の体の肋骨に、するりと手渡される。 無論、すぐに添わせた体は離れていった。 正確には、相手がくず折れたのだ。タイムラグも何もない。糸がぱつんと切れる、そんなようなものだ。相手の意思などそこにはない。認めない。くずれ落ちろ、そう、命じたようなもの。屈従を隷従を地を這い蹲る屈服を、命じたような、ものなのだ。 立...
  • 文族の思った文族のこと
    陽炎に座す。 射す、光の熱量が肌を押し、敷き詰められた熱砂は満遍なく熱を体に押し上げて際限なく篭もらせる。吹けば熱風、吸えば熱気、目を見開けばそこは空気にすら熱色が染めこまれていそうな真っ青な空間で、彼のまとう衣の色にも熱焼けた白い照り返しの艶が塗りこめられ、また浅黒く焼けた素肌では、開いた腹の腹筋からもふつぷつと汗の珠が、呼吸ごとに上下する動きにあわせ、浮いては流れ、また、にじみ、衣に重たく皺を寄せていく。それをまた、砂避けの衣が上から薄くだが覆っているのだ。 たまらぬ暑さであった。 砂漠。 海風も、届かぬ場所のことである。 灰色の長い髪をその熱にさらした男の目元は深く傾けられた帽子の広いつばにさえぎられて見えない。口元も、笑ってはおらぬ。結跏趺坐、緩く組み合わさった手が、組んで座した足の上。 男は無為にその身を熱の情報の熱で焼いていた。 ...
  • ドランジ歓迎祭り:前奏にかえて
    ドランジ歓迎祭:前奏にかえて  「いよーう、めでてえな!」  「おう、めでたい!」 今日のレンジャー連邦はパレードであった。あ、いやそれは言い過ぎた。 とにかく、本島の四都市のあらゆるところでお祭り騒ぎが盛大に成されていたのだ。 至る所で男たちが肩を組み合い、女たちがさざめくように笑顔を交わし、子供は走り親を困らせ、老人は揃っていつも通りに日常を過ごす。 展示、展示、展示。吹奏楽団があちこちでにわかに立ち上がり、賑々しく音が紙ふぶきのように街を彩る。これでもまだ本祭には程遠い。  「やれめでたや、友と語らえ愛を燃やせ!」  「天地に笑顔を満たしましょー!」 実にカール・T・ドランジ歓迎の祭りである。夜にはアイドレス部隊によるパレード飛行が予定されている。今日という日ばかりは宮廷のにゃんこたちも議事堂でけんけんがくがくの新米護民官...
  • 実験小説スタッカート
    「物語が成立するためには抗うべき運命がなければいけない。ゲームにおいてそれは課題という形で現れるわけだ。ところがそのゲームにおいて課題が出されないと、物語は途端に成立が困難になる。それは文字を使ったただのごっこ遊びでしかなくなるわけだ。それでもなお物語であろうとするなら、自然と、その物語において抗うべき運命とは、抗うべき運命が見つからないことそのものになってくるわけだ。そしてそれに立ち向かうためには、何か物足りなさを感じているような若き少年少女、あるいはまあ、この場合、同じような欠落を抱えている人物造型だな、とにかく、そのようなキャラクターによって、挑みかかるべき運命の流れを見出さなければならないわけだ。この場合、欠落を抱えているというのが特に重要になる。欠落は購わなければならない。これは既に呪いだ。代償行為によって忘れ去ることをする以外では、決して消え去ることはない。それは人生に置いて緩...
  • とある猫士と文族と あるいは名乗ろう、~コトノマジカル~
    ミルク色の髪をした少女に後頭部を蹴り飛ばされながら、いつものように華一郎は戯言をほざいていた。 助走して、ジャンプして、足裏をぴたりと2つ、脊髄に対して垂直に入射角をセットした、全体重~~キログラムを繰り出す、鮮やかなドロップキックであった。専門用語で、サテライト・ドロップ・キックという。飛び上がる際にひねりを加えていて、蹴りつけると同時に反動を得て、くるりと蹴った相手と背中あわせになるように、反対側を向いて着地する、猫科の中でも、若猫にしか許されない、自らに倍する高さを跳躍してのける筋力あっての、芸当だった。 衛星のごとく回るがゆえに、サテライト。相手に対して、蹴りという形で雫するがゆえ、ドロップ・キック。しかし自転するだけでは衛星ではないからしてサテライトという呼称は不適切なのではなかろうかと華一郎は考える。うむであるからには真サテライトドロップキックを開発せねばなるま...
  • 文族のためのテキスト
    序文 この文章は文族のために書かれたものです。この文章はとても説明的で、娯楽的ではありません。 しつこいほどに繰り返されている言葉、不必要に思われるほど基本的な事柄を解説している部分、そういったものは、すべて意図して組み立ててあります。つまり、絶えず意識し、あるいは自分の中で定義づけを新しくしなければ文族として堕落してしまうポイントや、くたびれるほど強く意識しなければ見えてこない領域を、強調しているということでもあります。 しつこさ以上に理解を深めるものもなく、しつこさ以外に理解したことを実践させ技量を高めるものもありません。しつこさとは伝えたいものを伝えようとする力そのものです。 そして文族とは、純然たる技量によってのみ成り立つ生き様であることを覚えていてください。 なぜならば、技量がなければ伝えるべき何物も自分の中から出来れずに、人の目に触れるような表...
  • 職業4用アイドレスのデザイン星見司(城華一郎)
    名称:・星見司(職業4) 要点:・望遠鏡・本 周辺環境:・天文台 評価:・体格1.00(評価0)・筋力0.67(評価-1)・耐久力1.00(評価0)・外見1.00(評価0)・敏捷1.00(評価0)・器用1.50(評価1)・感覚1.00(評価0)・知識1.50(評価1)・幸運0.67(評価-1) 特殊:*星見司は世界の謎ゲームに挑戦出来る。(謎挑戦行為) →次のアイドレス:なし 星見司とは世界の謎を追うハンターのことであり、それは論理の力によって物語や登場人物の持つ真の相を見出すことを知り、それに魅せられた論理の徒である。彼らは目に表れる事実のみを元に、そこに秘しつつ描かれている寓意を読み、集め取り、そこから真実の流れを解き明かす。見ることそのものが、彼らの力なのだ。 その日常は、呼び名の由来の如く、遠く宇宙を観測し、そこに見える星の歪みから、基礎的な世界知識と照らし合わ...
  • 祭囃子:後編
    「すいません、英吏さん…ありがとう。」 赤星はうつむいた。何かを祈るような、姿だった。 「こんな事になるつもりではなかったのです。いつかもっと良い形でお会いしましょう。英吏さん、奈津子さん、クイーン。」 潮騒が、人々の確かにそこにいた余韻をかき消していく。今夜は月夜だ、水面が青い。 波に散る、月の姿を見ながらに、思うのは、今宵の顛末。思いもよらないすれ違いが、それでも最後には、気持ちを、理解を半ば押し付ける形にはなったけれども果たされて、そうして最初の英吏たちは元の世界に帰っていった。 緊張していた。警戒していた。 当然のことだった。自由意志も同意もなく、自分の置かれた状況に対する、知識も、心構えも、何もない人間が、突然に理解を求められたのだ。 だが、それでも――― 一方的ではなかったと思う。最後には、対話が出来ていたと、そう...
  • ある文族
    「僕はねえ、昔、好きだった人に笑顔をもらったんだ。ただ、笑う、笑い転げる、それも本当にくだらないようなジョークやネタで、いつまでも、いつまでも、飽きることなく笑い続ける、そんなごく普通で当たり前の、けれど、決して忘れちゃいけない大切な笑顔をね、もらったんだ」 笑いながらその文族は、ずっと遠くを見て、そう言った。 「僕はねえ、読み返されれば読み返されるほど、誰かの目に触れれば触れるほど、アイドレスの世界が育ち、強化される、そんな物語が書きたかったんだ。  魔法みたいだろ? 魔法遣いになりたかったのかな。それとも、魔術師になりたくて、なれなかったから、魔法を使おうと思ったのかな。  僕にとってね、物語っていうのは、魔法だったんだ。本を開けばそこに世界がある。どうしようもなく、世界があって、命があって、物語があって、何かがある。必ず、胸躍るようなスカッとする冒険談でも、心塞ぐ...
  • ある実験
    おもちゃの剣を使う正義の味方がいるらしい。 レンジャー連邦には今、こんな噂が流行っていた。 その剣は白く白く銀色に白く、ただのプラスチックであるはずなのに、完璧なすべやかさを保っており、しかし刃はなく、丸く。 「正義を成すのに本物の剣は必要ない。腕さえあれば、おもちゃでも、十分に力は発揮出来る」 そう吹聴するのでもない。 心を、断つ。 ゆえに物語魔法剣。 細身の長剣の両側を、一対の畸形の刃が浮かんでいた。いずれも片刃だが、峰にあたる部分がVの字に凹んでおり、そして、外側の刃部分は、日本刀でもこうはいくまいというほどくっきりと物打ちの部分が直線に折れ曲がって形成されていて、それぞれ刃としてみるにはあまりに不安定で脆い。 剣そのものには、金属としての物理的な耐久力と破壊力しか宿されていないようである。 『起動認証』 ...
  • 連邦の民 ~没プロット~
    ツキイロキセキ ~連邦の民~ 目次 ?天体観測 初日曇天の新月 百万の夜明け 唇の訪れ 二日目美少女軍団、現るガールズサイド ボーイズサイド 双軸の針 三日目歴史の道程 すれ違う時 岬の告白 守りたいもの 十五日目ツキイロキセキ 登場人物 月色(つきいろ) アラタ・キイ ソーマ ユイ ショウ コトハ リリ=レーヴェ艦氏族=イシュタル マリ=レーヴェ艦氏族=イシュタル 言条 充(げんじょう みちる) 準・登場人物 月色の同期 月色の上官 東都の町の方々 コトハの父(町長) レーヴェ艦氏族の方々 ホープ・舞踏子夫妻&新生児 《シーン1・天体観測》 時:卒業前夜 場所:東都大学屋上 天候:晴天(満月) 【登場キャラクター】 月色 →主人公。男。明日、東都大学を卒業する。同期の面々も一緒に、軍への配属が決まっている。ただし部署は一人を除いてバラバラになる予定であり、そ...
  • 短編:たまには夢の話を
    「夢の話をしていいかい」 白い、昼の日差しが漂う開放的なレイアウトのレストランで、その白の似合わぬ黒衣の男が行儀悪くも高々足を組み、つば広の帽子をくいと持ち上げながら、そう尋ねた。 男と対面の席でイカ墨パスタをつついていた、切れるような質感の男は、言葉に面を上げる。 伊達者の男であった。一振りの剣を、その刀身のあでやかな実直さと妖しい切れ味とに見合った拵えに仕立て上げたかのような、華美にならぬ洒脱さが装いに漂う。厚みのあり、筋肉に割れた肢体の輪郭線は、その伊達を、何より雄弁に内側から支えていた。 アスカロン。アメショーを駆るレンジャー連邦正規パイロットの一人にして、愛と正義を知る、連邦一の剣であった。 その彼が、目の前の男に問われて、面を上げていた。 「――――」 無言の促し。 「夢の話さ」 もう一度、黒衣の男は両手を...
  • 無限爆愛レンレンジャー:第一話(6)
     チリンチリン――  来客の合図に、ドアの上部をさり気なく飾ってある妖精像の手にした鈴が鳴る。 「あ、いらっしゃいま――」  接客業の常として、そこだけは条件反射になっているらしい。  バンダナの彼が、応対のためにレジ前まで小走りで迎に上がろうとする、足が止まった。  一人、二人、三人、四人、五人……その団体客は、ゆっくり、優雅に、余裕を持って入店してくる。まるでそれが唯一守るべきマナーだと、暗黙のうちに主張するように。  一人目は、コックコートに高いコック帽をした、長身の男だった。険の強い顔立ちで、料理人というより、マフィアの若頭とでも説明された方が納得してしまう、いかにも鋭い人相をしている。  二人目は、燕尾服に身を固めた、愛想の良い小男だった。そして愛想の良い、というのは、嘘だ。営業スマイルのような、陳腐な安物の笑顔ではなく、わざわざその筋の芸術家が悪意を込...
  • アイドレス ~some false story~:第二章
    第二章 /*/ 入学式当日の夜、私はとあるアイドレスの仲間へと呼び出しをかけた。 「お、いるな。待ち合わせ前に来るとは感心感心」 マウスクリック、かち、かち。 クッキーが残っているのでチャットへの入室は一瞬。 『やあやあ今日は一体どうしたね、わざわざ呼び出しをかけるとは>ヒメオギ』 『いやあちょっと話があって…>アイトシ』 挨拶もそこそこに、さっそくカマをかける。 『ていうかぶっちゃけ…西薙?>アイトシ』 『あれ、ちょっと待ってふーあーゆー?>ヒメオギ』  うわ。  偶然という確率にビビりながら、とりあえずこれ以上オープンの場で個人情報を話すのもまずいと思い、チャットに備わっている、読む相手を指定可能なささやき機能を使って話し掛ける。 『ささやき機能:えーと、やっぱり西薙っぽい?>アイトシ』 『ささやき...
  • レンジャー連邦の日々・谷口竜馬の場合
    地を吹き払う、ほどの拳足の風が、砂塵を巻き起こしていた。 びょうびょうと裏路地に吹き込むビル風にも似た強力なそれを、轟と拳が砲弾ほどにも太く突き破った。地を、震、と踏みしめる。そこに裂帛の気合いはない。ただ、動きの型を確認しているだけだ。 街中で大剣を振り回すわけにもいかず、さりとてそれではどこで振り回せるのかというと、言ってしまえばなんだが所詮小さな島国であるところのレンジャー連邦に、そんな剣呑の許される場所はなかった。国民に開放されたスポーツセンターはおろか軍の訓練施設だって彼の本気のトレーニングに耐えうるような設備は用意してないだろう。 日に焼けた肌。風俗に従い剥き出しにされたへそのある、野太いほどの胴。薄い衣は彼の逞しい肉体の稜線を覆うには到底役者が不足しており、まるきり分厚い壁が、そこに立っているような存在感が、見た目の大きさだけでも発揮されていた。 谷...
  • アイドレス ~some false story~:第一章
    「愛と書いて、何と読む―――? 答え、あいとし。西薙 愛(にしなぎ あいとし)です、よろしくだね!」 その場で起立して、クラス中に響き渡る声で元気よく自己紹介した初対面の同級生を、しかし私は内心「ふあっ!?」と奇声をあげて見つめていた。 クラスの男子と比較しても高いその身長、日本人離れした大づくりな体のパーツ、赤い短髪、衆目の中、能天気そうにマイペースを貫く無邪気にふてぶてしいその態度。 間違いない。 彼女だ。 /*/ 第一章 /*/ 誰もが小学生から中学生になったぐらいの頃に一度は感じたと思うけど、感じていなければ幸いだ。 世間とはまったくなかなかにどうしようもない。傑出した誰かを羨み褒め称える一方で、その誰かをいわれもなくけなし、距離を置くような者達もいる。要は、良くも悪くもいかに突出せず、平々凡々と人の中にまぎれて過...
  • 無限爆愛レンレンジャー:第一話(3)
     結構シリアスに締めた続きなのに悪いけども、私も真面目なことばかり考えて生きてるわけでもなかった。  運動をするとお腹が空く。  だから、ぐうぐう鳴ってるお腹の、出てるへその上あたりを覆って私がいそいそと食べ物屋に急ぐのも、何の不思議もないわけである。  関係ないけどレンジャー連邦では、愛はお腹に宿るといって、既婚者はへそを覆う風習がある。未婚者は、へそを覆わない服装がデフォルトだ。関係ないけど。今の話の流れと、すっごく関係ないけど!  むかしから女系の強いお国柄だけあって、甘いもの屋はそこかしこにある。甘いものと言えば帝国の星鋼京、なんだけど、そこはさすがに地産地消という奴で、観光立国もしている我が国には、ちゃーんと非輸入もののスウィーツがいっぱいある。原材料までは手に入らないものも多いらしいと教えてもらったが、あるったら、ある。  女子高生、運動部、部活帰り、甘いもの。なんて...
  • 小笠原の勉強会:前夜
    ふぁら、ふら… 音もなく足跡が、刻まれてはその上をまたすぐに雪が覆い尽くし、幾度繰り返しても、変わらない。 ただ注がれて日溜まりがかりそめの姿を取ったみたいに、光の糸がすべてをゆるやかに編みこみながら染みこむように落ちていた。重さもなく、冷たさも、そして暖かさも感じさせないその雪は、なぜだろう、どこか悲しくなるやさしい感じを、その中に抱かれているものたちへと覚えさせた。それでいて、なぜ悲しくなるかを気付く事ができない、自分でも遠い、感情のとばりの向こう側。それこそがこの雪のやさしさで、それこそがこの雪の無慈悲さだと、気付くものは、ひとにぎり。 無数の細い光、そのすべてはとても目に捉えられぬほど繊細に折り重なっていて、 青い空も、肌を押すような熱気も変わらないまま、やさしさが世界を染めていた。 悲しみを慈しむこと知らぬ雪化粧が心を染めて鎮めていく。 ...
  • 支援SS:-幸 ゲンカツギ 運-
    【-幸 ゲンカツギ 運-】 「変わったことしてますねえ」 誰に声をかけられたかは忘れたが、小笠原出発前の集合時に、帽子をわざわざ逆さにかぶってから、右、左と靴ひもを結び、もう一度といてから結ぶという、はたから見ればよくわからないことを、俺はしていた。 「げんかつぎなんですよ。前にうっかり寝ぼけて帽子逆さに被ったまま出かけたら、いい結果が出たことがあって。道中赤っ恥かきましたけど、今日はそんなこと言ってられないでしょ?」 その次には、小笠原上陸前にだぶだぶのベルトをわざわざ無理矢理そこで締め直し、やっぱり変わったことしてますねえと、また他の誰かに声をかけられた。どうしても自分のベルトが見つからなくて、父のベルトをしていったことがありまして、人前に出る時きゅっと締めておいたら話がうまくいったんですよと今度も説明をした。 実は上着の内ポケットに使い古しの財...
  • レンレンジャーファン小説
    ここは何処かの採掘場。 その中の広い場所に子供たちが集められていた。 周りには多数の戦闘員が逃がすまいと監視している。 「こわいよー」 「ぱぱー、ままー」 「かえりたいよぅ」 口々に子供たちの恐怖と悲しみの声がこだまし、すすり泣く声もする。 一方、入り口付近ではごてごてしい格好の敵幹部カーダクインが怪しげな儀式の準備をしていた。 「ククク、体は無事に帰してやろう…洗脳してからな」 敵幹部カーダクインは子供たちの苦しむ様子を満足気に感じながら笑う。 「そうだ、世界の未来は子供たちが担うもの。つまり!子供たちを我々の思い通りにすれば世界は我々ガチモイキドのものになるのだ!」 フハハハと高笑いを響かせていた。 その時―― 「待て!そうはいかないぞ!!」 「何奴!?」 姿は見えずとも声...
  • 間奏
    病室の窓の外は青かった。 「綺麗ですね、空」 彼女は、それが自分の名前ではなく、一般的な名詞を指した発言だという事に気付くのに数秒ほどをかけてしまって、その照れ隠しのように皮を剥いた林檎を彼に皿ごと差し出した。 ここはレンジャー連邦王立病院。 レンジャー連邦に所属するフィクションノートの1人である浅葱空は、もう大分回復して、ほとんど本復と言ってもよいほど健康になった少年、グーンの見舞いに来ていた。 グーンとは、先日王宮を襲撃した暗殺者レグ=ネヴァや、その正体であるところの通称ムゥエ少年とは何の関係もない、ただの怪我人である。 と、いう事に、対外的にはなっている。 グーン=メ=ラウド。 竜士の家系であったというムゥエの名前をアナグラムにした、新しい名前だ。 Goon=maraud/Dragoon=MuA そうだねと頷きながら、空はふと、名前の話題で思い出す。 「ど...
  • 掌編:『世界樹を探して』
    「世界樹(イグドラシル)って知ってる?」 突き抜けるような青空が彼女の後ろに広がっていた。 「いや…何?」 笑顔で弾けそうな顔したポニーテイルの女の子。 溌剌って言葉はきっと彼女のためにあるんだろう、なんて思いながら僕は、相も変わらないその唐突な質問へと、おざなりな聞き返しを放った。 ふふんと彼女は生き生きしだす。ああ、止まらないんだろうなと諦めをつけて、横の芝生を手で叩き、促した。颯爽と頷くと、スカートの裾を綺麗に畳んで体育座りする。 「どこにでもある樹なんだって」 「そりゃあ、世界って名のついてる樹だしね」 「そうじゃないのよ」 「うん?」 興奮した声の調子に、片眉をぴくんと上げる。 目が、きらきらしていた。なんて目をするんだろう。どきどきが、溢れて僕にまで伝わってきそうな目。 左手を、何かとっておきのものを紹介するみたいに広げて、...
  • バトルロイヤル参戦記:第二章:初陣
    akiharu国のイグドラシルから発見された発掘兵器、それらの中でも最強のものを選び抜くためのバトルロイヤルが、今、始まろうとしていた。 /*/ 一旦都築と別れ、ガイダンスを受け終えた華一郎は、コックピットの中で手に汗握りながら操縦桿を握りしめている。コパイはさんざやったがこの男、パイロットになったことはない。発掘兵器ということで、それぞれ必要人数が不明なため、各機体ごとに補助用にバックアップがついているが、パイロット席からの眺めというのは、なかなかに真新しいものがあった。 いつものように威勢良く声を張り上げながらデータをまとめるだけじゃない。しかも、自分ひとりだ。 まあ、サーラがいるんで負傷に関しては全然心配してないが、緊張しないわけじゃない。オリジナルイベントなので別にパイロットアイドレスがあろうがなかろうが、他のみんなもおっかなびっくり機体に乗り込んで...
  • ドランジ歓迎祭り:星空の物語(後編)
    「聞いたか? 今回の試験結果」  「ああ、それよりも大統領だ。こりゃ広報をそのまま信じざるを得ないにゃんこたちはともかく、フィクショノーツが黙ってない」  「荒れるか」  「荒れざるを得まいよ」  「来るな」  「嵐が」  「夜かもしれんぞ」  「夜ならよいさ。望むところだ」 ぱくぱくと、ちゃちで可愛い影絵が2つ、同じ声。  「夜を知らねば朝は来るまい。ひとたび世の理より外れ出て、当たり前の如くに昼夜のめぐりを過ごせなくなったものにとって、それは必然のことなのだ。知らねばよかった、何事もなく平凡に生きられればよかったと、そう呟くものが多い時ほど我等が必要とされる時なのだ」  「つまるところ―――……」 ぱっくりと、影絵を作る人影の、唇が亀裂のように開いて笑う。  「仮想という名の願いがね」  * * *  『I_Dress、私...
  • レンジャー連邦と民族衣装
    レンジャー連邦と民族衣装 レンジャー連邦と民族衣装 砂漠の国レンジャー連邦は、砂漠の国にしては服装の露出度が高い。 レンジャー連邦の風習に、未婚の男女はその腹部を露出するというのがあるためだ。 これは昔、平均寿命が短かった時代、自分の一族へ婿・嫁に来るものには健康な若者が好まれる傾向があった。そして自らが健康であることをアピールするため、体を鍛えたり肌を露出させる若者が増えてきたことが発端といわれている。 しかし、もともとが砂漠地帯が多い気候なので、まんま露出していたのでは日焼けで皮膚がただれてしまう。かといって体を覆ってしまっては、自らが健康体であることのアピールができなくなってしまう。 このジレンマに対し、各時代のファッションリーダーたちが試行錯誤の結果、今日では頭から腰まで覆うマントを着用し、上半身は肌にフィットする素材で作られた短衣を纏い、腕部と腹部を露出するこ...
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