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牛語録2003 - (2005/10/25 (火) 22:54:28) の編集履歴(バックアップ)


ぱふ2002/10月号


■ネームについて
―――ネームはあまり悩まない方ですか?
荒川:ネームは時間があればあるほど嬉しいですけど、締め切りがありますから。
その制限の中で捻りながら作っていくというか。わりと「鋼の錬金術師」は話の筋は
決まってるんですよ。だからどんなセリフをしゃべらせるかに一番悩みますね。

―――連載を始める前から話の筋は決まっていたんですか?
荒川:そうですね。連載の話をいただいたときに、結末は決めておかなきゃと思い
まして。今のところはその流れ通りにやっていけてます。予想外の展開になることは
あまりない方なんですよ。ただ、最近描いた部分で、そのエピソードのみで退場する
予定だったキャラに、愛着がわいてしまって残してしまったというのが初めてありました。

―――ネームと作画、どちらが楽しいですか?
荒川:ネームは嫌いです(笑)。大嫌いです。やはりだんだん仕上がっていく過程が楽しい
というか。といっても作画も最後の方は嫌々なんですけど(笑)。絵は時間があればできる
だけ描き込みたいですね。それもできればトーンに頼らず、ペンの描き込みでいきたいな、
と思うんですけど。なかなかそうもいかず。

■アルのデザインについて
―――アルは鎧を描くときに大変ではないですか?
荒川:失敗したと思っています(笑)。連載が始まる前に予告カットを描くことになったんで
すよ。だけど、そのときはまだデザインがおおよそしかできていなくて。でも、予告カットを
よこせと急かされまして、いいやとデザインしたばっかりに…今大変な目にあっています(笑)。

―――鎧にした理由は?
荒川:人型のもので、手足の関節がちゃんと動いて、町中を歩いても変じゃない…いや、変
なんですけど(笑)、これもありかなと思いまして。
(中略。鎧じゃなくてモモンガ~)
自分でもなぜモモンガにしたのかわからない(笑)。息子の方にくっついていて、人間の
言葉をしゃべるんですよ。

■気をつけていること
―――「鋼の錬金術師」を作るときに気をつけていることを教えてください。
荒川:読みやすさですね。画面の見やすさやセリフの流れ、場面転換も含めてすべて。
やっぱり小さい子供にも読んでもらいたいですから。

■参考にしているもの
―――参考にしているものはありますか?
荒川:やっぱり映画ですね。演出に背景がうまくハマッているとか、出演者のセリフに
ふさわしいカメラアングルが組み込まれているとか。あとは画面の引きやアップなど、
そういったことをきちんと作りこまれている映画は観ていて面白いです。


TV BROS.平成15年12月6日号

――「錬金術師」の発想ってどこから出てきたんですか?
あと、荒川さんの描く錬金術って、普通の錬金術でやることと、かなり異なりますよね。

荒川: 錬金術より先に、賢者の石を使う、というアイディアがあったんですよ。
あれ?賢者の石はどこから出てきたんだろう…。それは覚えてないんですけどね…。
まぁ、錬金術を描くのであれば、「等価交換の法則」みたいな根っ子さえ間違っていなければ、
枝葉末節は気にせず、ハデにやっていこうと思ったんです。

荒川: 話は変わりますが、元々メインキャラの設定は、父親と息子だったんです。
主人公である息子は18歳くらいで、機械鎧。エドの原型ですが、背は小さくはありませんでしたよ。
父親は喋るモモンガでした。
錬成の失敗でアルの魂が鎧の体に埋め込まれたように、父の魂もモモンガに乗り移ったんです。
でも、結局は少年ガンガンの読者に合わせて主人公の年齢を下げ、
パートナーも父親ではなく、弟にしました。
アルが大きな鎧に入っているのは、主人公の対比として、大きいキャラを出したかったからです。

――どことなく、「ドラゴンクエスト」の影響を作品から感じるのですが。

荒川: ロールプレイング(RPG)はよくやっていましたよ。
主人公が色々な人と出会って成長し、個々のエピソードが重なり合って一つのストーリーになっていく点はRPG的要素かも。
あと、私はハリウッド映画が好きなんですよ。
多国籍的で、ラブロマンスがあって、最後にカタルシス。
こんな要素も含めているかもしれません。
なので、毎回一つ、時には二つ「一番見せたいコマ」をいれるようにしています。

――ご自身の経験と、作品の関係性は?

荒川: 連載が始まる前に、リハビリセンターで警備のアルバイトをやっていましたが、
そこで車の事故で足を失った人に出会いました。若さに任せて無茶した結果、足を失ったそうです。
後悔はしたものの、得たモノはあった、と言っていましたね。
その時、テーマの一つである「失ったモノの代わりに得たモノもあるはずだ」が思い浮かびました。
あと、右腕が義手の人が、義手を外して腰にぶら下げているのを見た時、エドの映像がパッと浮かびました。
機械鎧のディティールは、実家が農家なので、トラクターとかの農業機械の知識で描いています。

――アルはどんな役割を持たせていますか?

荒川: 外見だけでなく、中身も兄と対比させています。
瞬間沸騰機のエドに対する、おっとりとした、冷却機のアル。
あんなにごっつい鎧から、あんな(かわいい)声が出るのが面白いんです。
連載前の予告で、少年ガンガンに二人の姿を出したんですが、
「あれはゴーレム?」「ロボットものだ!」「いや、召還獣の話だ!」とか色々な噂が出ました。
それを聞いて「フフフ、騙されているな」と一人ほくそ笑みましたよ。

――アニメの話が来た時に思った事は?

荒川: 連載1年目に話が来たのですが、「まだストーリーが溜まってないよ!
本気でやるのか?正気か?」という感じでしたね。喜ぶより先に、驚きがありました。
完成された映像を見るまで、ドッキリカメラかと思ってましたよ。
アニメは色々と参考になりますね。例えば、カメラワークなんかも。
マンガでは、足元を映してから、顔の方へ上げて行く、なんてはできません。
でも、こんなことを何とか自分が描くマンガに汲み取れないかな、と日々思っています。

荒川: これから描きたいのは…一気に話しますよ!
二人が目標に向かって走りつつ、周りの抗争に巻き込まれ、敵対する人もいて、
敵をやっつけ、世界平和でも、人のためでもなく自分達のために、
結果として悪人と戦う。そんなお話です。楽しみにして下さいね。


付録・荒川語録
1.アニメが始まったら、やたらと親戚や友達からの電話が増えるようになりました!
2.錬金術を描く時に心がけているのは、中学生の理科のレベルに合わせることです。
3.読者がオモロイ、と思ってくれれば良いです。テーマの押し付けはしたくない。

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