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魔女とヘタレとチョコレート」を以下のとおり復元します。
本日の戦人様、お目覚めの一言。 

「ってウギャアアアアア!!」 
目前には、敵対している筈の魔女ベアトリーチェ。まあ、驚くのは無理はないか。 
けど、原因はそれだけじゃなかった。 

「なんだそのリアクションは。折角妾がステキバレンタインを演出してやろうとしたってのに」 
そのお姿は、っぷっくく、形容しがたいものでした。 
魔女が纏うのはドレスではなくて、甘ったるいチョコレート。そりゃあ叫びたくもなるってもの。 
&i(){……キムチが欲しいわね。} 

「いや、バレ、え?……こ、この痴女!!」 
「ふん。その程度の文句しか出てこぬとは……情けない。まあ、良い。とにかく食え」 
そんなことを仰りながら、お嬢様は戦人様にチョコレートを勧めています。 
&i(){というか、押し込んでるわね。あ、口移しもしてる。} 

「ぬぐっ!?ん、あま、やめ、うむっ」 
無駄な抵抗は見てて心を抉りますねぇ……ぷくくくー。 
&i(){ふぁいとーおー……ま、適当に頑張んなさい。} 

さてさて、どうやらお嬢様からのプレゼントはひと段落着いたようですね。 
「ぷは……はーっ。てんめぇ、食うとか無理だろうが!ズンドコ押し付けてきやがって!」 
「ふぅむ。何だ、随分甘ったるいコーディネイトだなぁ、戦人」 
&i(){戦人の白いスーツも、顔も、唇も。チョコレートでべったべた。} 
&i(){確かに微妙ね。} 

「誰のせいだよ、誰の!」 
「む。ならば、妾が責任持って喰ってやろう」 
「は?……っひ!?」 

お嬢様は、戦人様の首筋に垂れたチョコレートを舌で掬い上げます。 

「うむ、甘いの」 
「な。何しや……ふぁあ!」 
「ふふ、そなたは感じやすいのぉ……ほれ、こっちにも付いておるぞ~?」 
「やめ、あ、っや……ひゃあうっ」 

ああ、さすがお嬢様。戦人様の弱点を的確に攻めていらっしゃる。 
&i(){ほんっと、戦人は弱いわね。} 

「ククク、小娘のように啼きおって……まだまだたっぷり残っておるからな。しっかり最後まで責任を取ってやろうぞ」 
「あ、ああ……あがあぁッ……」 

&i(){絹を裂くような野太い悲鳴は、魔女たちにとっては頬が落ちるほど甘いスウィーツ。} 
&i(){誰も逃れられない。……くすくすくす。} 

ナレーションは私、ロノウェと、解説・ベルンカステル卿とでお送りいたしました。 
&i(){続きはホワイトデーでね……ふふふっ。} 

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一方、どこかの時代の、どこだかにある空の下。 
「お嬢、鼻血出てますよー。チョコの食べすぎですかー?」 
そんなふざけた声に一睨みをくれてやったが、男は腑抜けた笑いを返すだけだった。 
彼は懐からポケットティッシュを取り出すと、鼻から垂れた血を拭った。 

「違う。あとおせっかいしないで」 
「そうですか?昨日貰ったヤツは甘くて美味しかったから、食べ過ぎたのかなと思ったんですけど」 
その言葉に、少女の頬が僅かに赤らんだ。 

「違う!……あれ、あんまり作れなかったんだから……」 
「お、なら独り占めですかい?嬉しいなぁ」 

「違う……違わないけど……知らない、バカ」 
若い二人は、なんだかんだで仲良しだった。 

だけど、少女のやっぱり受けだわ……という呟きは、隣の男にも届かず、どこかへ消えていたとさ。 

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