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冬馬591~600 - (2009/04/19 (日) 09:47:51) の1つ前との変更点
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③「そういう隆の料理の腕はどうなのよ?」
隆の言う事は正しいのかもしれないけれど。
なんとなく釈然としないものを感じてそう問い掛けると、隆はふふんと笑った。
「人並み程度には。まあ、お前よりはまっとうな料理作れるぜ」
「まっとうなって……さっきから随分な言い様じゃない」
「だから言ってるだろ。料理が上手くなりたいんならマズイものを作ったらマズイって気付かなきゃ駄目だ。お前のとこの春樹やおばさんみたいに黙ってちゃ愛菜はわからないだろ」
散々な言われように言いたい事もあったはずなのに、隆の言葉に私は思わず口をつぐんでしまった。
(春樹も、お義母さんも……私に気を使って何も言わなかったのかな?)
「そう、だね。……我慢してマズイもの食べさせるなんて、可哀想だよね」
「愛菜?……やれやれ」
押し黙ってしまった私の前で、隆は困ったような顔で溜息をついた。
「春樹やおばさんに関しては確かにそうかもしれないけどな。その点、俺なら大丈夫だ。さっきから言ってるけど、お前にマズイ物喰わされたらちゃんとマズイって言ってやる」
下がり気味だった視線をゆっくり上げると、真っ直ぐにこちらを見る隆と目があった。
「だから、お前は遠慮無く俺を実験台にすれば良い。俺の胃腸は頑丈なんだ、ちょっとやそっとじゃびくともしねえよ」
「隆……ありがとう」
隆なりの優しさが嬉しくて、素直にお礼を言うと隆は照れたようにそっぽを向いてしまった。
「別に。礼を言われるほどのことでもないだろ。……俺自身のためでもあるし」
「? そうなの? 隆ってば食いしん坊なんだね」
「……」
「隆?」
「あーもう良いよ、そういう事で!」
隆はどことなく不機嫌そうにお皿に残っていた八宝菜を口に詰め込んだ。
(? 変な隆)
それから二人で黙々と食事をとっていると、丁度会話の切れるタイミングを計ったかのように携帯が鳴った。
「おい愛菜、誰からだ?」
ディスプレイに映し出された番号は……
①周防さんの携帯の番号 (周防)
②一郎くんの携帯の番号 (一郎)
③修二くんの携帯の番号(修二)
④春樹の携帯の番号(春樹)
⑤電場ボックスからの着信(冬馬)
⑥未登録の携帯の番号(美波)
⑦固定電話の番号(あれば近藤先生)
⑧非通知での着信(592の選択に続く)