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[[601~610]] 611 ①隆をたたき起こす 「隆! 起きて遅刻するよ!」 部屋には入らず大きな声で叫んでみるが、隆はうるさそうに寝返りを打って向こうを向いてしまった。 起きる様子は無い。 隆の寝起きは良いほうだから、これで起きないのは珍しい。 「まったく……」 私はため息をついて隆の側まで歩いていって揺さぶる。 「隆、起きてってば!」 「……ん~」 返事はするもののそれだけだ。 今度は軽く叩いてみる。 「返事だけじゃダメなんだって! 遅刻するって言ってる……わっ」 唐突に隆の手が伸びてきて私の手を掴んだ。 次の瞬間には力いっぱい引っ張られ、私はバランスを崩して隆の上に倒れ込む。 とっさに手をついて隆に全体重をかけてしまうのは阻止したが、多少衝撃があったはずなのに隆が目覚める様子は無い。 「愛菜ちゃん!」 「あー、チハル大丈夫……って、隆! 寝ぼけてないで起きろー!」 心配そうに駆け寄ってくるチハルに苦笑してみせる。 隆は倒れこんだ私を枕か何かと間違っているのか、しっかりと腕が巻きついて身動きが取れない。 じたばたともがいていると、チハルが隆の腕を外そうと隆の腕を引っ張り始めた。 「う~~~」 顔を真っ赤にして引っ張っているが、子供の姿のチハルではびくともしない。 (隆って案外力が強いのね……) 妙な所で感心してから我に返る。 (あっ時間!) 「たーかーしーーーーー! おきろぉぉぉ」 もがきながら叫ぶが隆は目覚めない。 (なんでこんなに起きないのよ……、まさか組織が何か?   寝てるふりって訳じゃないわよね?) 少し心配になって隆の顔を覗き込む。 (ただ寝てるようにしか見えないけど……) どうしよう? ①自力で起こす ②チハルにどうにかしてもらう ③このままおとなしくしている 612 ②チハルにどうにかしてもらう このままじゃ、遅刻確定だ。 (よーし、こうなったら……) 「チハル、ぬいぐるみに戻ってくれるかな」 「どうして?」 「起きない隆にお仕置きするの」 「うん、いいよー。えいっ」 チハルは軽い音を立ててぬいぐるみに戻った。 私は隆の顔の上にチハルを置く。 鼻と口を塞がれた隆は、もがき苦しみだした。 「んんんっ~~~!!」 断末魔に近い呻きの後、隆はガバッと飛び起きた。 「きゃっ、びっくりしたぁ。やっと起きたね、遅刻するよ」 ようやく起きた隆に向って、私は言った。 「お前、俺を殺す気だっただろう」 「もしかして起きてた?」 「ちっ、ちがう。……少し寝ぼけてただけだ」 「どっちでもいいけど、早く用意してよ。間に合わなくなるよ」 そう言って、私はキッチンに向かった。 暫くして、身支度の終わった隆がキッチンにやってきた。 私は、真っ黒に焦げてしまったパンを渡す。 一瞬驚いていたけれど、昨日の約束どおり、隆は文句も言わずにそれを食べ出した。 「……しかしさっきは、危なかったな。違う意味で堕ちかけたぜ」 「二度寝するつもりだったの? ほんと、だらしないなぁ」 「お前のせいだよ!」 そんな他愛無い会話をしながら、手早く朝食を済ませた。 ぬいぐるみのチハルを鞄に入れると、家を出る。 ゆっくりしていると遅刻してしまいそうだ。 どうしようか? ①走る ②歩く ③バスに乗る 613 ①走る 「隆、走るよ!」 「おう!」 私と隆は並んで走り出す。 が、隆のほうが足が速く遅れ気味になってしまう。 「ほら、急げ」 隆が遅れ気味の私を振り返ると、私の手を引いて走り出した。 「ま、まってよ……は、早い」 「遅刻したいのか?」 (誰のせいだとおもってるの……) 文句を言いたい所だが、走っている上に息が切れて来たので、批難の視線を隆に向けた。 前を向いて走っている隆はそんな私の視線に気付いているのか居ないのか、腕時計を確認して小さく頷く。 「よし、間に合いそうだ。ほらがんばれ、もう少しだ」 「う、うん」 校門の前に近藤先生がたっているのが見える。 先生たちが持ち回りで遅刻する生徒を注意しているのだ。 時間を過ぎたら注意されることになる。 「おはようございます!」 「お、おはよう、ございます」 「おはよう」 ぎりぎりで遅刻にならなかった私たちに、近藤先生はあいさつを返してくる。 (あ、そういえば、春樹がしばらく休むって言わないと……) 「隆ちょっとまってて」 「ん?」 「先生!」 近藤先生のところへ戻り声を掛ける。 「ん?どうした?」 「あの、春樹なんですけど。しばらく学校を休みます」 「大堂くんが?なにかあったのか?」 先週末はボールを頭にぶつけてしまった事を思い出したのか、心配そうに近藤先生が尋ねてくる。 どうしよう…… ①本当のことを言う ②嘘を言って乗り切る ③別の話題でごまかす 614 ②嘘を言って乗り切る 「えーっと…風邪なんです。熱があってしばらくお休みします」 うつむきながら、思いついたまま言った。 (やっぱり…嘘ってバレるよね) そんな思いでチラリと近藤先生を見ると、なぜか納得したように頷いていた。 「そうか。以前の脳震盪とは関係ないんだな」 「はい。あれはすぐに病院に行って、大丈夫でしたから」 「……ところで君の方はもういいのか?」 なぜか近藤先生は私を心配するように言った。 「え?」 「昨日はずいぶん具合が悪そうだったからな。風邪だったのだろう?」 「あっ……。そ、そうなんです。私の風邪が弟にうつってしまったみたいで」 「体調管理はしっかりしないといけないな。大堂くんにはお大事にと伝えといてもらえるか」 「はい」 キーンコーン ホームルームの予鈴が校内に鳴り響く。 「愛菜。早く行こうぜ」 隆が焦りながら、私を促した。 「そういう事で、先生よろしくお願いします」 (近藤先生が勘違いしてくれたお陰で助かったよ……) 私はペコリとお辞儀をすると隆と共に教室に急いだ。 ――慌しく日中の授業が終わり、放課後になった。 机の中の教科書を鞄に詰めていると、ツンツンと背中をつつかれた。 「ねぇ、愛菜」 「どうしたの、香織ちゃん」 私は振り向いて、香織ちゃんを見る。 「今から予定ある?」 「香織ちゃん、文化祭の準備はいいの? プロデューサーだって張り切ってたじゃない」 鞄を持って、帰る気満々の香織ちゃんに向って言った。 「平気平気、もう当日を迎えるばっかりだもん。私のプロデュースに抜かりは無いのよ。 最近は全然遊べてなかったし、愛菜が暇なら、どっか寄っていこうよ」 どうしようかな? ①承諾する ②断る ③考える

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