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②(壱与なの?)

問いかけても答えは返って来なかった。

(壱与! 壱与ならちゃんと答えて)

独り言を考えているみたいに、一方通行の呼びかけにしかならない。
混乱したまま、状況だけでも確認しようと意識を向ける。
部屋の壁に押し付けられたままの修二くんが、息苦しそうに声を出した。

「笑うな……」
「ふふふっ。鏡よ、まるでお主は玩具を手に入れたがっている子供じゃ」
「どういう意味だ」
「言葉のままじゃ。この者を強引に手に入れたところで、玩具のように壊れてしまうだけだというのにな」
「黙れ。アンタに人の心が分かるのかよ……」
「自惚れるなよ、鏡。お主こそ人ではなくただの道具ではないか」

『道具』という言葉を聞いて、修二くんが息を止める。
さっきまで抵抗していた修二くんの両腕が、だらりと垂れた。

「道具……」

修二くんは気が抜けたように呟く。

「そうじゃ、お主はただの神器。我が使役する道具に過ぎない」
「違う…俺は……」
「それも転生した八咫鏡を補うための複製、それがお主の正体であろう?」

(複製? 壱与は何を言ってるの?)

「止め…ろ……」
「我は知っておるぞ。お主は模造品の人形……」
「止めてくれ……」
「兄である一郎とは双子なのではないものな」
「それ以上言うな!」
「兄は本物、お主はただの複製。勝てるはずもない」
「……もう…」
「兄の一郎はお主を憐れに思いつつ、優越感に浸っているのかのぉ」
「……………もう…やめろ」

修二くんはうな垂れて全く抵抗を示さなくなった。

「それに……お主の歳は十を過ぎたばかりじゃ。いくら身体が大人でも精神の幼さは隠しきれるものではないものな」

私は……
①考える
②話をきく
③本当に壱与かもう一度尋ねる

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