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751~760 - (2008/03/24 (月) 09:31:23) の編集履歴(バックアップ)
751
③「どうしようもなくなったら呼ぶよ」
私は気恥ずかしくて、春樹の顔がまっすぐ見られなかった。
(弟なのに……私、意識してるんだ……)
「わかった。もし何かあったらすぐに呼ぶんだよ」
春樹からバスタオルを受け取り、私はうなずく。
春樹はもう一度念を押すと、廊下から去っていった。
私はゆっくりした動作で、ブレザーを脱ぎ、リボンを解く。
(あっ、下着まで濡れてる。……はぁ、仕方がない)
「春樹……」
「どうしたの? 姉さん」
呼ぶと、着替えを終えている春樹が現れた。
春樹はまだ着替え終わっていない私を見て、驚いている。
「まだ着替え終わってないの? だから、俺がやるって……」
「下着を……持ってきて欲しいの。私の部屋、チェストの二段目……」
「あ、うん。わかった」
下着という言葉で春樹の小言の勢いが無くなり、大人しくなる。
春樹は素直に頷くと、階段を上って行った。
(最悪かも……って、あれ……)
不意に両手まで動かなくなって、瞼が重くなっていく。
意識だけはハッキリしていても、身体全体の自由が利かない。
視覚だけが奪われてあとは恐ろしく冴え渡っている、そんな状態になってしまった。
「姉さん……!」
下着を持ってきたはずの春樹が飛びつくと、私の肩を掴みながら揺する。
「ビックリした。なんだ、寝てるだけか……。もう、何やってんだよ。
あっ、これどうしようか。……でも、俺がやるしか……ないのか…やっぱり…」
春樹の溜息が聞こえ、考え込む様子が伝わってくる。
(ますます最悪に……)
①頑張って身体と意識を繋げてみる
②誰かが帰ってくる音が聞こえた
③諦める