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361~370 - (2007/05/25 (金) 13:46:58) のソース

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361
①「公園にいた理由を教えて」 

私は白熱灯を見上げたままの一郎君にたずねる。 

「ああ、そうだったな」 
一郎君は頷いてゆっくりと視線を私に向けた。 
その視線に迷うような色が見える。 

「一郎君、私すべてを知りたいの。それに、終わらせたい」 
一郎君は、しばらく私を見つめて、私の決意が固いと見ると一度目を閉じて、ため息をついた。 
次に目を開けたときには、その目から迷いがきえて、まっすぐに私を見返してくる。 

「俺があそこに居たのは、異様な力場が見えたからだ」 
「力場?」 
「そうだ、イメージとしては竜巻を思い浮かべてくれれば近いだろう。普通の人間には見えないがな」 
「竜巻…」 
「その力場があの公園と、もう一箇所に急に現れた」 
「え?もう一箇所?」 
一郎君は頷いた。 

「もう一箇所には修二が向かった。修二に聞けば詳しい場所がわかるだろう」 
そういいながら、一郎君は携帯電話を取り出した。 

どうする? 
①すぐに修二君と連絡を取ってもらう 
②先に公園の力場がどうなったのか聞く 
③2箇所に現れた理由を聞いてみる 

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③2箇所に現れた理由を聞いてみる 

「その……竜巻?みたいなものはどうして2箇所に現れたのかな」 

それにそこへわざわざ一郎くん達が向かったという事は、その必要があったからなのだろう。 
その理由も、聞いておきたかった。 

「はっきりとしたことはわからないが。……おそらく2箇所のうち、1箇所は俺たちを 
おびき寄せる為のおとりだったのではないかと思う」 

「おとり?」 

「そうだ。正確には俺たち二人が二手に分かれて動くのを見越して、俺たちを分断する目的で 
仕組んだ、といったところだろう」 

「待って。『仕組んだ』って、それって…」 

思いついて口にした私に一郎くんは小さく頷いた。 

「人為的に生み出されたもの、という事だ。さっき現場で確かめたから間違い無い。後で修二からも同じ報告が聞けると思うが」 

「……」 

例の『事件』がらみのことだろうか。次第に脈が速くなっていくのを感じた。 
聞くのが怖い。けれど、逃げてはいけない。私は知らなくてはならないのだから。 

「大堂」 

短い沈黙の後、一郎くんは目を伏せて静かに言った。 
私の目にそれはまるで私の心中を察しながらも、それをしきりに隠そうとしているような 
そんな不自然な仕草に映った。 

「やはり、この話はここまでにしよう。今日の君は早く家に帰って休んだ方が良い。 
顔色が、良くないように見える」 

「別に大丈夫だよ、続けて?」 

言い募る私に黙ったまま首を振って、一郎くんはブランコから立ち上がった。 
さび付いた鎖が夜の公園に小さな音を立てて軋んだ。 
一郎くんは促すようにこちらに目を向けて佇んでいる。 

どうしよう? 

①どうしても今聞きたいと一郎くんに訴える。 
②仕方ないので今日の所は諦めて、また後日話してもらう 
③後でこっそり修二くんに教えてもらう。 

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①どうしても今聞きたいと一郎くんに訴える。 

「一郎くん私決めたの。それに、今度こそ終わらせるって、約束もした。だからお願い、教えて」 
「今度こそ?まさか…思い出したのか!?」 
「えっ?な、なに?」 
急に、肩を掴まれて痛みに顔をしかめる。 
それに、ハッとしたように一郎くんは手を離した。 

(思い出す?なにを?私何か忘れてるの?) 
「すまない」 
一郎くんは、私に謝って何度目かになるため息をついた。 

「…力場の話だったな」 
一郎くんは、一瞬の激情が嘘だったかのように話し出す。 

「おそらく、修二が行ったほうがおとりだろう。俺が居た公園のほうに何かの仕掛けがあったらしいが…」 
そこで一郎くんは眉をしかめた。 

「どうしたの?」 
「いや…、俺が行ったときには、男がその力場を消そうとしていた」 
男というのは、きっと周防さんのことだろう。 

「ただ、その男には力場の『基』がちゃんと見えていないみたいで、かなり強引な消し方をしていたから、その余波で無関係の人間にまで多少影響を与えていたが…」 
そこまで話して、一郎くんは考え込むように目を閉じた。 

「もしかしたら、あの力場は俺と修二を分けるためだけのものじゃなかったのかもしれないな…」 
「それって…、私が居たからってこと?」 
一郎くんは私の言葉に答えなかったが、それ自体が答えのように思える。 

私を目標にしていたから、周防さんがその力場というのをなんとかしようとしたのだろう。 
それなら、なぜ一郎くんと修二くんを分けなければいけないのか? 
二人が何か隠しているのだろうか? 
それとも、私が何かを忘れていることが事態を悪化させてるのだろうか? 

どうしよう? 
①一郎くんに何か隠していることがあるのか聞く 
②私が何を忘れているのか聞く 
③余波でどんな被害が出たのか聞く 

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①一郎くんに何か隠していることがあるのか聞く 

「ねえ、一郎くん。私になにか隠していることは、ない?」 

たまらず問い掛けた私に、一郎くんは少し不思議そうな顔をした。 

「隠し事?君に?」 

「そう。疑っている訳じゃないんだけど…まだ全てを話してくれた訳ではないよね」 

「全て、か。では逆に聞こう。大堂、君は何をどこまで知っている?」  

「どこまでって……」 

思わぬ質問を投げかけられてどう続けて良いのかわからず、私は一郎くんを見た。 
何を、どこまで。 
それは私自身、まだよくわかりかねている事だ。 

「俺たちも全てを知っている訳ではない。それに君が俺たちに全てを打ち明けられないように 
俺たちも君に全てを伝える事はできないし、俺はそうすべきではないと考えている」 

「……どういう事?」 

「大堂、君は自らの意思で誰かと契約を結んだだろう。巧妙に隠してはいるようだが 
君の周りに強い力が取り巻くのを感じる」 

「!」 

一郎くんの言葉に体全体が強張るのを感じた。二人の間を夜の風が静かに吹き抜けてゆく。 

「誤解しないでくれ。俺はそれについて君を責めるつもりはない。 
その契約は君に仇なすものから君を守っているようだし。……だからこそ」 

そこで言葉を切って一郎くんは私を見た。 
もの言いたげな瞳は何故かどこか悲しげな色をしていた。 

「君は俺たちと共に動く必要はない。忘れているのなら、思い出さないほうが良い事もある」 

(さっきも一郎くん、『思い出したのか』って言ってたな…) 

どうしよう? 

①私が何を忘れているのか聞く 
②一郎くん達の目的を聞く 
③どうして一郎くんは私に隠したがるのか聞く 

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②一郎くん達の目的を聞く 

「ねえ、一郎くん。これだけは教えてほしいの」 
「なんだ?」 
「一郎くんたちの目的は、何?」 
「…目的?」 
「水野先生を利用しようとしているのも、何か目的があるからなんでしょ?」 
「……」 
一郎くんは私の言葉を吟味しているようだった。 

「なんで危険だって知ってて、組織のことを調べてるの? 
今回だって…おびき寄せる罠だって、分かっていて調べようとしてた」 
「目的、か…」 
一郎くんは、ちょっと笑う。 

「俺たちの目的も、大堂と同じだ。すべてを終わらせる、それだけだ」 
「それなら…!」 
「だが、俺たちは俺たちのやりかたでやる。大堂は大堂のやりかたで目的を達成させるといい」 
協力できるのではないかと、言葉を続けようとした私の言葉をさえぎって、一郎くんが言う。 

「どうして…?」 
「大堂が思っている『すべて』と、俺たちが言っている『すべて』が同じものとは限らない」 
「それは…」 
たしかにそうかもしれない。けれど同じ組織を相手にしているのだから協力できることもあるはずなのだ。 

どうしよう? 
①協力できる事があったら協力しようと言う 
②一郎くんが言う『すべて』はどんなことなのか聞く 
③これ以上何も言わない 

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②一郎くんが言う『すべて』はどんなことなのか聞く 

「一郎君のすべてって何? 一体、何を終わらせようとしているの?」 
私が問いかけた言葉に一郎君は寂しそうな目を向ける。 

「終わり……か。本当にあるのかすらわからないがな……」 
そういい終えると、一郎くんは自嘲するような笑みを浮かべた。 

「はぐらかさないで、ちゃんと教えて」 
「さっきも言ったように、現状で大堂と共に動くつもりは無い。 
俺は俺が最も良いと思った方法で解決していくだけだ」 

(どうして、突き放すような言い方をするの?協力すらできないの?) 

「そんな答えじゃ……納得できない」 
「納得しないように、すべての真実に触れないようにするのが一番良い方法だと俺は考えている。 
だから、協力はできない」 
そう言いながら、一郎君は私の手を取った。 
「一郎……くん…」 
不意に触れられ、思わず心臓が跳ねる。 

「真実を見出すはずの鏡が……二つに割れてしまっては使い物にならない。 
そういう事だ」 

そう呟くと、一郎くんは何も無かったように私の手を離した。 

①「そんな言い方……答えになってないよ」 
②「真実を見出すはずの鏡?」 
③これ以上何も聞かない 

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②「真実を見出すはずの鏡?」 

意味ありげな一郎くんの言葉に首を傾げる。 
一郎くんは私の声など聞こえなかったかのように公園の出口に視線を向けた。 

「大堂の気が済むような答えが返せなくて済まない。だが残念ながらこの話はこれまでだ。 
……どうやらお迎えも見えたようだし」 

その言葉につられるように首をめぐらせるとそこにはお義母さんの姿があった。 
私をみつけてほっとしたように笑顔で手を振ってくる。 

「愛ちゃん」 

お義母さんは公園の敷地を横切りながら一郎くんに気付いたのか小さくお辞儀をした。 
一郎くんもそれにならって小さく会釈を返す。 

「出先で気分が悪くなったって聞いたけど具合はもう良いの?」 

そう言いながらお義母さんは手に持っていた上着を私の肩にかけた。 
昼間に比べるとやはり夜の空気はひんやりとしてすこし肌寒い。 

「どうしてお義母さんがここに?仕事は?」 

「今日は仕事が早めに片付いてね。帰ってからたまにはお母さんもお料理作らなきゃって 
支度をしてたんだけど。今さっき春樹から電話があって」 

「…春樹から?私が、ここにいるって?」 

「そう。学校のお友達が愛ちゃんの様子をみてくれてるけど、自分はちょっとまだ 
用事があるからとか言って」 

まったく薄情な弟よねえ、と溜息をつきながらお義母さんは一郎くんに向き直った。 

「あなたが愛ちゃんのお友達?おかげで助かりました、どうもありがとう」 

「いえ、俺は…」 

「せっかく二人でいるところを邪魔して申し訳ないけど、今日はこれでね。 
愛ちゃんの具合が良くなったら、今度は家にも遊びにいらっしゃいな」 

(お義母さんてば…なんだか誤解してる…?) 

なにやら上機嫌で言いたい事だけ言うと、お義母さんは一郎くんに口を挟む隙を与えずに 
会釈をして私の手を引いた。 

振り返る私に、一郎くんは少し困った顔で手を振った。 

「思ったより元気そうで良かったわ。素敵なお友達にも会えたしね」 

斜め前を歩くお義母さんはこころなしか楽しそうだ。 

お義母さんに何か話そうかな? 

①一郎くんとは想像しているような仲ではないと誤解を訂正する。 
②わざわざ迎えに来てくれたことにお礼を言う。 
③電話での春樹の様子を聞く。 

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①一郎くんとは想像しているような仲ではないと誤解を訂正する。 

「お義母さん、なにか誤解してない?私たちお義母さんが想像してるような仲じゃないよ?」 
「あら、そう?」 
私が否定しても、お義母さんは意味ありげな視線をよこしてきた。 

「一郎くんは同じ放送委員の委員長よ」 
「ふーん?」 
お義母さんは、からかうような笑みを浮かべたままだ。 

「でも、なかなか格好いい子だったじゃない?まじめそうだし」 
「そこは否定しないけど…、でも違うからね?」 
「じゃあ、愛ちゃんはどんな人がタイプなの?」 
「え?」 
「お義母さんにだけ、こっそり教えてちょうだい」 
にこにこと、お義母さんが楽しそうに聞いてくる。 

「春樹に聞いたって、答えてくれないじゃない。 
男の子ってつまらないわ。私、娘とこういう話をするのが夢だったの」 
と、はしゃぎ気味でつづける。 
さりげなく答えを強要されている、気がする。 

「えーっと…」 

どうしよう…。 

①素直に答える 
②考えたことがないという 
③ごまかして違う話題を振る