選択肢を選んで1000レス目でED @ ウィキ内検索 / 「211~220」で検索した結果

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  • 211~220
    201~210 211 ①「うん、ごめんね」 本当は終わっていないといいたかった。 今までのことは誤解だとわかったから。 でも、それじゃあ隆は私のために力を使い続ける。 そうして無理をしていたら消えてしまうかもしれない。 今もこんなに苦しそうで、不安定さを感じる。 「それじゃあ…」 苦しそうに息をつく。 「今、お前の一番近くに居るのは誰なんだ?」 「え?」 「この先お前を守るのは誰なんだ?」 (私を守るひと?) ふっと顔が思い浮かぶ。 ①春樹 ②一郎くんと修二くん ③御門くん 全員選んだら 212 ①春樹 今一番私のそばに居て守ってくれているのは、多分春樹だ。 隆や一郎君たちとは違って特別な力はない。 けれど私は守られている。精神的に。 普通じゃない出来事に何と...
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    ... 201~210 211~220 221~230 231~240 241~250 251番台~500番台へ
  • 221~230
    211~220 221 ③香織ちゃんの名前 「もしもし、愛菜?」 通話ボタンを押すと聞きなれた香織ちゃんの声が耳に飛び込んできた。 知らぬ間に身構えていたのか、肩の力がぬけていくのを感じる。 「香織ちゃん! どうしたの、休みの日に電話なんて」 「どうしたの、はこっちのセリフ! 昨日学校休んだでしょ? そんなに怪我の具合悪いの? 大丈夫?」 電話の向こうで眉間に皺を寄せる香織ちゃんの顔が目に浮かぶようだ。 「…それでわざわざ電話くれたの?」 「悪い?」 「ううん。怪我は大したことないんだけど、大事をとってお休みしたの。 メールしとけばよかったね、心配かけてごめん」 反省して素直に謝ると、香織ちゃんは諦めたように笑った。 「まったくもう……。あ、そういえば。昨日愛菜の弟さんも早退したんだって? 脳震盪起こ...
  • 201~210
    191~200 201 ①「それでキスしちゃったんだ、サイテー」 ボソッと呟く。 事情があったとはいえ、今までの真剣な隆がなんだか一気に台無しになってしまった気がする。 ……ついでに言うと私の感謝の気持ちとか無駄に悩んだ時間とかも。 (流されやすいにもほどがあるよ、隆……) 私は白けた気持ちのまま、隆を見る。 「まあ……確かにキスしなくてはならないと言うならともかく、 別にそうじゃないのにキスしてしまうって言うのは……ちょっと」 春樹も呆れたように隆を見ている。 「いや、その、それは」 言い訳するつもりだったのか、隆は口を開いたけど……うまく言葉にはならなかったみたい。 「…………ごめん…………」 やがて、私に向かって大きく頭を下げた。 1、「私に謝られても困るよ」 2、「謝ってすむ問題じゃないよ」 ...
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    251番~500番台 1番台~250番台 251~260 261~270 271~280 281~290 291~300 301~310 311~320 321~330 331~340 341~350 351~360 361~370 371~380 381~390 391~400 401~410 411~420 421~430 431~440 441~450 451~460 461~470 471~480 481~490 491~500 501番台~750番台
  • 241~250
    231~240 241 1、今すぐに伝える キッチンをのぞくと春樹がホットケーキを作っている最中だった。 「おはよう春樹」 「あ、姉さんおはよう。早いね」 「うん、目が覚めちゃった」 「姉さんも食べる?丁度焼けたけど」 「たべる~。ありがと」 春樹が焼いてくれたホットケーキを受け取りテーブルに座る。 「そうそう春樹、今日私でかけてくるね」 「どこに?」 「ショッピングモール」 「買い物?俺もついていこうか?」 「大丈夫よ。春樹も疲れてるみたいだし、ゆっくり休んで」 「俺のことは気にしなくて良いのに…。でも、気をつけて行って来てよ?何があるか分からないんだから」 「うん」 春樹には伝えたし、後は準備して出かけるだけかな。 まだ早いけど… (あれ?) 携帯電話を見ると、メールが来ていた。 ...
  • 281~290
    271~280 281 ②御門くんを見る 御門君までこんな行動を取るとはおもわなかった。 びっくりして、御門君を見つめてしまう。 御門君は相変わらず無表情で何を考えているのかわからない。 「冬馬も、そう思うか。うんうん。やっぱりかわいいよなー」 頭に手を載せたまま、周防さんがうんうんと、頷いている。 「………」 「そっかそっか、冬馬も妹ができたみたいでうれしいかー」 御門くんは何も言っていないが、周防さんは一人でニコニコと笑っている。 (…って、あれ?) 周防さんの言葉に、引っ掛かりを覚えて、周防さんの言葉を反芻する。 そして、その引っ掛かりがなんなのか気づいて、思わず… 1.御門くんって1年生なんじゃ? 2.姉の間違いじゃないですか? 3.御門君を凝視する。 282 2.姉の...
  • 251~260
    241~250 251 ①「うん、ちょっと出かけるの」 「…それは、キャンセルできないのか?」 どうしたんだろう…一郎君の用事はそんなに大事なものなのかな? でも、周防さんたちとの約束が先だし、キャンセルしようにも、連絡先がわからない。 「えっと、ごめんね。約束で…でかけるから」 「そうか、約束なら仕方がないな」 「ほんとごめんね」 「いや、急だったからな。それじゃ」 「あ…」 「…ん?どうした?」 つい、呼び止めちゃった… 1「なんでもない」 2「夜なら時間あるけど?」 3「どんな用事だったの?」 252 1「なんでもない」 「そうか、では、また明日学校で」 「うん、明日ね」 一郎君の用事はきっと、力に関することだろう。 (今日一日はゆっくり休むって決めたんだから...
  • 271~280
    261~270 271 ①年齢をきく 「そういえば周防さんって、何歳なんですか?」 職業とか御門君との関係をきくと、ペナルティになる答えになりそうなので当たり障りのない所を聞いてみる。 「うん?何歳だと思う?」 周防さんは楽しそうに逆に聞き返してきた。 「えーっと、にじゅう……に、か、さんっ」 「おしいっ!」 「え…じゃあ、21!」 「ちがーう。はい、時間切れ正解は24でした」 「むーー」 「失礼します、ナンをお持ちしました」 「ありがとさん」 ウェイトレスがナンの入ったカゴをおいていく。 焼きたてのナンのいい香りがする。 ここのナンは絶品で、私はだいすきだ。 「ここのナンは食べ放題なんですよ」 「へぇ、そうなんだ?」 「すごくおいしいんです。ナンは家じゃつくれませんから、つい食べす...
  • 261~270
    251~260 261 ③御門くんに好みの色を聞いてみる。 (一応本人にも聞いておいたほうがいいかな?) いろいろな色のシャツを見ながら、私はそんなことを思った。 「私、ちょっと御門君に聞いてきますね」 「おう」 周防さんに見送られながら、私は試着室の前へと歩いてくる。 「御門君?ちょっといいかな?」 ノックをしながら呼びかける。 「はい」 中からはすぐに御門君の返事が聞こえてきた。 そして、ほぼ同時に試着室のドアノブが内側から回される。 それを見て、ふと脳裏に浮かんだのはさっきの光景。 何故か嫌な予感が頭をよぎる。 「あ、いいの!いいから、開けないで!そのまま聞いてっ」 慌てて言うと、ピタリとドアノブの動きが止まった。 ……どうやらすんでのところで止まってくれたらしい。 (ま、間...
  • 191~200
    181~190 191 ③考える 隆には会いたい。 でも、春樹から離れるわけにも行かない。 春樹だって狙われる可能性があるのには、かわりないんだから。 「………やっぱり、駄目か?」 考え込んでしまって、返事をしない私に隆の暗い声が聞こえてくる。 「あ、そうじゃなくて…春樹が……」 「春樹?」 隆にはどうしてそこで春樹の名前が出てくるのか不思議らしい。 私は隆に水野先生が私を狙っていること、水野先生のバックには何かの組織があること、そしてだんだん手段を選ばなくなってきていることをかいつまんで説明した。 「私と同じく春樹も危険なの……私には見えるけど春樹には見えないし」 「そうか……」 隆も納得したらしい。 「それじゃあ、俺がそっちに行くよ。それならいいか?」 それならいいかも…でも、ちょっと不安が...
  • 1~20レス
    1 OP 部屋のカーテンが開けられる。 光が差し込みたまらず私は布団をかぶった。 春樹「朝だ。いいかげん起きてくれ、姉さん。」 ①春樹に抵抗する ②無視 ③起きる 2 ③起きる 春樹「今日は学校に早く行かなきゃならないって言ってただろ?」 愛菜「!そうだった!今日は…」 ①一時間目から数学のテスト! ②委員会の集まりがあったんだ ③転校生が来るんだっけ… 3 ②を選ぶ 愛菜「バカ、春樹のバカ!!早く起こしてっていったでしょ。」 春樹「起こしたよ!!姉さんが起きなかっただけだろ。」 愛菜「私も、バカだ~。着替えるからでてけ~。」 愛菜はすばやく着替えると朝食も食べないまま学校目掛けて駆け出していく。 春樹もそれに続いていく。 春樹のため息が聞こえた気がしたが反応している暇はなかった。 ...
  • 冬馬711~720
    冬馬701~710 「落ち着きましたか?」 ずっと胸を貸してくれていた先輩が尋ねてくる。 持っていたハンカチは涙でぐしゃぐしゃだ。 「大分落ち着いたよ。もう大丈夫だから」 そう言いながら先輩から身を離して、なんとか笑顔をつくってみせる。 かなり長い間泣いていた。 屋上とはいえ授業中。 声を上げて泣いてしまいそうになるたび、冬馬先輩が苦しくなるほどギュッと抱きしめてくれていた。 泣き声は学校中に響かなかったけど、ブレザーに大きな涙のシミを作ってしまった。 「冬馬先輩の制服、涙で濡れちゃってるね」 「はい」 「鼻水もついちゃったかも」 「構いません」 「でも……」 「僕がいいのだから、愛菜が気にすることないです」 「やっぱりクリーニングに……」 言いかけた私を制すように冬馬先輩は首を横に振った。 「愛菜は僕の...
  • 冬馬811~820
    冬馬801~810 (おなかすいた) 眼球だけうごかして周りをみる。 (よるだ。何かたべたい) とにかくおなかぺこぺこだった。 いつものつめたい箱の中にたべものがあるはず。 深い海の底のようなとても静かなよる。 わたしはおよぐように階段をおりる。 つめたい箱の扉を開けるとまぶしくて目がくらんだ。 あかりは嫌い。 目がつぶれてしまいそう。 まぶたを閉じて、匂いでたべものをさがす。 (きょうはすくない) 愛菜のははおやがかえってこなかったから食べるものがほとんどない。 それでもあるだけぜんぶ食べる。 (ぜんぜんたりない) いちばんのごちそうの匂い。 でもあれをたべたくないと私はいう。 たべたいわたしとたべたくない私。 どっちもどっちでせめぎあってる。 眩しいおひるは私の時間。 暗いよるはわたし...
  • 311~320
    301~310 311 ①「どうして、御門くんにはあそこまで欠けているんですか?」 その問いに、ふと周防さんの顔が翳る。 「あいつはなぁ。いろいろあるんだ」 「いろいろ?」 「普通じゃない……っていえばいいのかな」 「どう普通じゃないんですか?」 「うーん。身体的にも精神的にも特異かもしれない」 周防さんにしては言葉の歯切れが悪い。 (もしかして、言いづらいのかな……) 「御門君は御門君でいい所がたくさんありますもんねっ」 私はあえて話を打ち切るように明るく振舞う。 (聞くなら、本人が居るときに直接聞いた方がいいかもしれない) 「そうだ。あいつはボーっとしていて何を考えているか分からないし、 無表情のくせに意外と毒舌家だがいいヤツだ」 「す、周防さん。それは褒めてませんよ」 私は苦笑し...
  • 511~520
    501~510 511 ②隆と最終の打ち合せをする 「おはよう、隆」 「おはよう。お、チハル準備万端だな」 「おはよう隆!」 リビングに入ると隆がテレビを見ながらコーヒーを飲んでいた。 かってしったるなんとやら、だ。 「隆、最終打ち合わせなんだけど」 「ああ」 「まず、桐原さんね」 桐原さんは昨日近くに住んでいるようなことを言っていた。 もし桐原さんが春樹を好きなら、きっと偶然を装って同じ時間に登校するはずだ。 本当は彼氏のほうを先に何とかしたかったが、彼氏の情報がまったくないため桐原さんからということになったのだ。 「よし、それじゃあチハル、何年何組って聞かれたらなんて答えるんだ?」 「えっと、同じがっこうじゃないよ。今日はソウリツキネンビで休みだから、愛菜ちゃんにセイフク借りたの。いっかい一緒にトウコウしてみたかったから、お願いして...
  • 611~620
    601~610 611 ①隆をたたき起こす 「隆! 起きて遅刻するよ!」 部屋には入らず大きな声で叫んでみるが、隆はうるさそうに寝返りを打って向こうを向いてしまった。 起きる様子は無い。 隆の寝起きは良いほうだから、これで起きないのは珍しい。 「まったく……」 私はため息をついて隆の側まで歩いていって揺さぶる。 「隆、起きてってば!」 「……ん~」 返事はするもののそれだけだ。 今度は軽く叩いてみる。 「返事だけじゃダメなんだって! 遅刻するって言ってる……わっ」 唐突に隆の手が伸びてきて私の手を掴んだ。 次の瞬間には力いっぱい引っ張られ、私はバランスを崩して隆の上に倒れ込む。 とっさに手をついて隆に全体重をかけてしまうのは阻止したが、多少衝撃があったはずなのに隆が目覚める様子は無い。 「愛菜ちゃん!」 「あー、チハル...
  • 811~820
    801~810 811 ③誰かが入ってきた 「愛菜、さっきはわるかったな……チハル?」 入ってきたのは隆だった。 隆は薄くなったチハルを見ると、怒った顔になり私とチハルを引き剥がす。 「チハル、何をしてる?」 「愛菜ちゃんがね、おなかがすいて弱っちゃうから、ボクを食べてもらうの」 どこまでも無邪気に、チハルが笑う。 けれど、その身体が小さな子供の姿に変わってしまった。最初に会ったときより更に幼い、5歳くらいの男の子。 「愛菜がお前を食べるって、食べたいって言ったのか?」 「ちがうよ?」 「お前が勝手にやったんだな?」 「うん」 「ばかやろう!」 隆の怒号が響いた。家全体を震わせるくらいに大きな声だった。 「お前が愛菜を悲しませてどうする! 俺はコイツを悲しませるためにお前を動けるようにしたわけじゃないんだぞ!!」 「隆さん、一...
  • 711~720
    701~710 711 ②逃げない 一緒に戦うために、力を手に入れた。 だから…… 「周防さん。私、逃げたくありません。一緒に戦い――」 「駄目だ!!」 周防さんの大声で、私はビクッと動きを止めた。 「ごめんな、驚かせて。だけど駄目なんだ、愛菜ちゃん」 「どうして……」 「力の解放はさせるべきじゃなかった。だって、愛菜ちゃんが力を使ったら……」 せっかく力を手にしたのに、使っては駄目だってどういう事だろう。 私はただ呆然と立ちすくむことしか出来なかった。 そんな私の姿を見て、熊谷さんが痺れを切らしたように口を開いた。 「しっかし、この前といい興を削ぐのが好きな小娘だな。 力を使ってみたけれりゃ、使ってみるといいぜ。ただ、無事に済みゃいいがな」 (無事では済まないということ?) 「熊谷の言うとおり、...
  • 911~920
    901~910 911 ①引き止める この人が私にとって困った不審者であることには変わりない。 しつこいし、訳の分らない事ばかり問い詰めてくるし、本当に迷惑だ。 だけど冷静になって考えると、怪我をしている人をこのままに放って置くわけにもいかない。 「待って!」 私はめげることなく、不審者の男の子の腕を掴んで引き止める。 ようやく不審者の男の子は歩みを止めてくれた。 「…………」 「ちょっと待って。すぐに手当てしなくちゃ」 「手当て……?」 「そうだよ。ほら、手にも顔にも怪我してるんだから」 私は男の子の手を掴んで、痛々しい患部を見せる。 ぼんやりと他人事のように、男の子はその傷ついた拳を見ていた。 「痛いでしょ? 家で手当てしてあげるよ」 「…………」 「さっき寝られなかったって言ってたよね。何か悩みでもあるの?」...
  • 冬馬911~920
    冬馬901~910 美波さんの運転する大きなSUVの4駆に乗って暗い山道をひた走っている。 雨足はだいぶ弱くなってきたのか、ワイパーがゆっくり左右に振られている。 夜中には雨は上がるらしい。 皆の口数も少なく、緊張しているような重苦しい雰囲気が車内を包んでいた。 (もうそろそろ言った方がいいかな。冬馬先輩は伝えるべきだって言ってたし) 私は先輩にめくばせをする。 冬馬先輩は黙ったまま頷いた。 「あの……少しお話ししてもいいですか?」 「なんだい、愛菜ちゃん」 助手席に座っていた周防さんが振り向いて言った。 「この後、30分後くらいに敵がこの車を襲うんです。このまま乗っていると危ないので、もう少ししたら一旦車を降りて歩いて進みませんか?」 私はこれから起こる事を皆に伝える。 「大堂、それは未来予知か」 一郎くん...
  • 411~420
    401~410 411 ②どうせ文化祭の用意だろうから気にしない 一瞬疑問が浮かんだが、すぐに文化祭の準備があるのだろうと納得する。 (準備が遅れてるって言ってたもんね…) きっと昨日の電話で早く出てその分の遅れを取り戻そうという話になったんだろう。 「文化祭の準備かな、昨日遅れてるって言ってたもんね」 「そうね。愛ちゃんのクラスは大丈夫なの?」 「うん、うちのクラスは平気。放送委員の仕事のほうが忙しいくらい」 「あら、放送委員ってそんなに忙しいの?」 お義母さんが不思議そうに首をかしげる。 「忙しいわ。体育館での催し物の案内でしょ、落し物の放送に、迷子の放送、呼び出し放送…それから」 指折り数えていく私に、お義母さんが苦笑する。 「確かに忙しそうね。でもせっかく早く起きたんですもの、ゆっくりご飯食べたいわよね、ご飯食べながらお...
  • 春樹911~920
    春樹901~910 911 ①恥ずかしくなる 抱き合っている状況とはいえ、不意を突かれてまた顔が熱くなる。 恥ずかしさの限界なんてとうに超えている。 思わず私はぐっと腕を伸ばして、春樹から距離を置く。 「はっ、春樹はずるい!」 「何が?」 「私は火が出るほど恥ずかしいのに、春樹ってば余裕なんだもん」 「……余裕なんかあるもんか」 「す、好きとか真顔で言う余裕、私には無いから……」 「……まったく逆だよ、姉さん」 「な、なにが?」 「俺に少しも余裕が無いから言うんだ」 春樹は小さくため息を吐く。 そして観念したように口を開いた。 「義父さんや母さん、それに隆さんや長谷川先輩。一郎先輩や修二先輩、御門先輩や周防さんたち。 みんな姉さんを大事にしていると思うよ」 「……うん」 「姉さんも支えてくれた人達を大切だと思っているだろ?さっき...
  • 冬馬611~620
    冬馬601~610 611 ③「じゃあ冬馬先輩の先天的な力は具体的に何ですか?」 「僕は『水』を操る力を持っています」 「水。そういえばさっき……」 「僕は剣。ですから蛇の眷属である水龍の力を得ています」 さっき春樹の居場所を突き止めたといった時、水の力を使ったと言っていた。 という事は、水を操る力が冬馬先輩の先天的な能力で間違いないだろう。 でもスイリュウって何のことだろう。 まさか架空の生き物の龍のことを言っているのだろうか。 まだ剣とか鏡とか、一体何を指しているのかも曖昧でよく分らない。 さっき冬馬先輩は『神の力』と言っていたけど。 確かに先輩の力を見ていると神がかり的と言えなくもない。 とはいっても、あれだけの説明ではやっぱり根本的な所が理解できないままだ。 「……愛菜」 「……は、はい!!」 考え込んでいたのに突然話し...
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    501番~750番台 251番台~500番台 501~510 511~520 521~530 531~540 541~550 551~560 561~570 571~580 581~590 591~600 601~610 611~620 621~630 631~640 641~650 651~660 661~670 671~680 681~690 691~700 701~710 711~720 721~730 731~740 741~750 751番台~1000番台
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  • 冬馬921~930
    冬馬911~920 「あれが春樹くんのいる研究所ね」 「うん。そうだよ」 車窓から香織ちゃんが指さした研究所は山間に隠れるように建てられた3階建のビルだった。 小雨の降る夜のせいで霞の中に唐突にくり抜かれた四角い影の様に見える。 夜目がきく私には外観までよくわかる。蔦が絡まったすすけた外壁が研究所というよりも山の一部になった廃屋のようにも見えた。 最初に見たときは小さくて意外に思ったけど、今回は二回目のせいでやっとここまで来たという気持ちしかない。 美波さんが車を止めて私達に振り向く。 「車はここまでしか進めません。これからは徒歩で向かって下さい」 「あの、美波さんはどうしますか?」 (美波さんは私と同じ治癒だから戦闘向きの能力じゃないよね) 「私が行っても足手まといになるので、結界の張られたこの車に残ります。もし怪我をしたらここに戻っ...
  • 冬馬821~830
    冬馬811~820 ピピピピピピピピ 布団から腕を伸ばして目覚まし時計を叩く。 (もう朝か) カーテンを開けて、大きく背伸びをする。 今日も天気が良くなりそうだ。 (なにも夢をみないの久しぶりだな)  制服に着替えながらしみじみ思う。 ここ最近は色んな夢をみて自然と眠りが浅くなっていた。 (きっと疲れていたのかも) 今日はよく眠れた気がする。 体調も良いかもしれない。 階段を下りて、顔を洗う。 髪をセットしていると、いい香りがキッチンから漂ってくる。 (コーヒーの匂いだ。冬馬先輩だね) 顔をのぞかせると、キッチンに冬馬先輩が立っていた。 きっちり制服も着ている。 「おはよう冬馬先輩、起きるのはやいね」 「おはようございます、愛菜。目が覚めてしまったので、勝手にキッチン使わせてもらいま...
  • 121~130
    111~120 121 3、帰ってもらう。 「修二君。悪いんだけど、もう帰ってもらっていいかな」 学校を休んでいるのに、修二君を家に入れているのはまずい。 先生も来るのだし、春樹だって何て思うか分からない。 「どうして? 俺、今来たばっかりだよ」 「だって……学校を休んでいるのに、二人で会っていることが知られるのは良くないよ」 「何で? 俺と一緒にいるのが嫌なの?」 「嫌って訳じゃないけど。ただ、春樹の担任の先生も来るし、体裁が良くないって言うか……」 その先に続く言葉が続かなくてごにょごにょと、言葉を濁す。 「なるほど……、わかった! 愛菜ちゃんは、家の留守中に男を連れ込んでエロい事をしているって思われたくないんだ」 修二君はやけに納得げだ。 「なっ…」 確かに、そうだけど。 そうだけど、そんな風に露骨に言わ...
  • 冬馬721~730
    冬馬711~720 冬馬先輩の後ろを黙って歩く。 会話の糸口を見つけたいのに、どう話せばいいか分からない。 駅前を抜け、築5.6年ほどの単身向けアパートの前で止まった。 「ここの二階に住んでいます。こちらです」 冬馬先輩はいつも通りの淡々とした口調で言った。 気まずいとか話しづらいという風でもない。 それはそれで気が楽だけど、私はその程度にしか思われていなかったのだと改めて凹んでしまう。 でも今は春樹を助けるため、出来る限りの事をしていくしかない。 「どうぞ」 冬馬先輩は鍵を開け、私を中に入れる。 「おじゃまします」 「まだ周防は来ていません。しばらく待っていてください」 玄関を入るとすぐワンルームがあった。 その奥がお風呂とトイレ。 第一印象は寂しい殺風景な部屋。 シングルのパイプベッドと勉強用の小さな平机。 ...
  • 321~330
    311~320 321 2.私たちをここから出しなさい! 私は大声で啖呵を切ってみせる。 「おっ! いいね愛菜ちゃん、やれやれ~」 「私はまだ死にたくないのよ!」 「出してよ! まだやりたい事がたくさんあるんだから!」 声の限り思い切り叫ぶ。 (立場は逆転したけど、効果はこっちの方があるはず……よね) 「ふざけるなぁ!なんで私ばっかりこんな目に遭うのよ!」 「元の生活を返せーー!!」 「あ、……愛菜ちゃん?」 周防さんが引きぎみだけど構わず叫び続ける。 「夢とか力とか組織とか全部ムカつく!」 「私の都合も考えてよーー!!出せーー!!」 「愛菜ちゃん? 盛り上がってる所、申し訳ないんだけど……」 「な ん で す か !」 血走った目を向け、私は答える。 「あのね…...
  • 共通・トゥルールート ストーリー
    ストーリーを読む 共通・トゥルールート 591までが共通ルートです。 592の選択肢でトゥルールートへ。 ストーリーを読む 1ページ目(1~250番) ストーリーを読む 2ページ目(251~500番) ストーリーを読む 3ページ目(501番~750番) ストーリーを読む 4ページ目(751番~1000番)
  • ストーリーを読む 春樹
    ストーリーを読む 共通・トゥルールート889の選択肢より分岐 春樹889~890 春樹891~900 春樹901~910 春樹911~920
  • 421~430
    411~420 421 ③「チハルは私のぬいぐるみなの」 私が説明をしようとすると、チハルは一郎君と修二君の前に出た。 そして二人を指差しながら、驚いたように目を見開く。 「おんなじ顔がふたつ! ねえ、ねえ見てよ。ヘンだよ愛菜ちゃん」 「チハル、そんなこと言っちゃ駄目よ。あはは、ご、ごめんね……」 「………」 「俺の方がイケてるって!」 一郎君と修二君はそれぞれ別の反応をみせる。 チハルの登場で、その場の張り詰めた緊張感はどこかへいってしまったようだ。 (とりあえずチハルのおかげで場が和んだみたい。……助かったよ) 隆は物珍しそうに、チハルを上から下まで眺めている。 「ていうか、なんで人の姿になってんだ? あの熊のぬいぐるみなんだろ? お前」 「お話できるし、こっちの方がいいでしょ」 チハルはその場でクルクルまわりながら答えた。 ...
  • 521~530
    511~520 521 ①黙って頷く 「ちょっとまった、いま高村って言わなかったか!?」 私が頷くのと同時に、修二くんが春樹に聞く。 「…ええ、それが?」 「それがって……」 「修二落ち着け。高村なんて珍しい苗字でもないだろう。それより、このままだと遅刻だ」 「そうだな、さすがに二日続けて遅刻ってのは勘弁。歩きながら話そうぜ」 春樹の言葉に修二くんがなんと言っていいかわからない顔をし、一郎くんがそんな修二くんをたしなめ、隆が一郎くんに同意する。 言われて廻りを見ると、すっかり人通りがなくなっている。 「チハル、またストラップになって春樹と一緒にいてくれる?」 「うん!」 春樹にしがみついたままだったチハルは、ポンと軽い音を立てて春樹の手に納まる。春樹はチハルを胸ポケットに入れた。 それを確認して、私たちは歩き出す。 (一郎くんは私...
  • 621~630
    611~620 621 ①「熊谷……さん?」 私は香織ちゃんに向って、半信半疑のまま話しかけた。 「よく判ったなぁ。でも、実際は俺じゃねぇんだ。操っているだけだからよ」 (操るって……まさか) 「ファントム……まさか、香織ちゃんにファントムを……」 「おっ、知ってるなら話は早いぜ」 香織ちゃんはフンと鼻を鳴らして私を見る。 「こんな汚ねぇ手は好きじゃないが、命令だからなぁ」 (で、でも……前に隆に聞いたときは、すぐに操れないって言ってたけど) もしかしたら、嘘を言っているかもしれない。黒い靄は見ていないし、話を鵜呑みにするのは危険すぎる。 「黒い靄を見ていないけど、どういう事ですか?」。 「さっき近づいたときに、仕込んだんだよ。無防備すぎて、拍子抜けだったけどな」 「ファントムは、操るのに一週間はかかるはずですよ」 「はぁ?...
  • 821~830
    811~820 821 ③守屋さんと話をする 宴の準備を黙って見ていた守屋さんの横顔を、そっと覗き込む。 血を浴び、戦場で敵の命を絶っていた人と同一人物とは思えなかった。 「私、守屋さんってもっと怖い人かと思ってました」 「そうなのか?」 「この陣の雰囲気と一緒で、見た目に騙されてたのかもしれません」 「君には、この陣はどう映ったのかな」 「気のせいかもしれませんけど、守屋さんも兵士の人も……少しだけ楽しそうに見えちゃうんですよね」 守屋さんがすごく怖い人なら、この陣の中がもっと殺伐としているはずだ。 顔をあわせる兵士はみんなは守屋さんに敬意を払っている。 怪我人を診ている時にも、強い絆みたいなものを感じていた事だった。 「楽しそうか。確かに、ここの者達は私についてくる変人ばかりだからな」 「変人ですか?」 「ああ。過酷だった東国...
  • 冬馬801~810
    冬馬791~800 お風呂から上がり、部屋着に着替えて水を飲む。 すると居間のソファーに冬馬先輩が座っていた。 昨日のTシャツを用意しておいたから、先にお風呂に入っている先輩も用意した服に着替えていた。 「先輩、客間に布団を敷いておいたからね」 「ありがとうございます」 「少し時間がはやいね。まだ寝ない?」 「はい」 「私もまだ眠くないかも。少しお話ししてもいいかな」 「僕も愛菜と話したいです」 「よかった。何か飲み物持ってこようか?」 「大丈夫です」 「そっか。私も今はいいかな」 私は冬馬先輩と少し距離を置いて隣りに腰掛ける。 「私……今日ずっと考えてたんだ」 「何をですか?」 「私の能力って以前教えてもらったけど、強く願えば未来を思うように実現できるんだよね」 「封印を解けば可能だと言われています」 「冬馬先輩の時みたいに、...
  • 721~730
    711~720 721 ②一郎くんを呼んで行く 「修二くん。一郎くんがどこか教えてくれないかな? 香織ちゃんが勾玉だって教えてあげなきゃいけないし、神器が揃っていた方がいいと思うんだ」 「……兄貴はひと足先に愛菜ちゃんの家に向ったよ」 「一郎くんも……。じゃあ、急がなきゃ」 「そうね。行くわよ、愛菜、宗像くん」 香織ちゃんは一足先に私の家に向って走り出した。 「ま、待ってよ。香織ちゃん!」 数歩走ったところで、修二くんが全く動いていない事に気づいて足を止めた。 私は再び修二くんの傍まで駆け寄る。 「早く行こう。みんなが心配だよ」 「……………ど」 修二くんは私から視線を落しながら、小さく何かを言っていた。 「どうしたの? 修二くん」 「さっきの答え、まだ教えてもらってないんだけど」 「さっきの答え?」 「付き合ってもらえるか...
  • 921~930
    911~920 921 ③隆に明日の文化祭の話をする 春樹くんは相変わらず考え込んでいて、何も言わない。 記憶の整理に時間が掛かるのだろうか。 ソファーに座っていた千春は、いつの間にか携帯ゲーム機で遊び始めている。 ミケはお母さんに食べ物をねだりに、キッチンへ行ってしまった。 なんとなく、また妙な沈黙になりそうな予感がする。 (そうだ。隆に文化祭の話をしなくちゃいけなかった) 「ねえ、隆」 「ん? どうしたんだ愛菜」 「明日、私達の学校が文化祭なんだ。おばさんには言ったんだけど、聞いてる?」 「まぁ、一応はな……」 「じゃあ、話は早いね。隆、うちの学校の文化祭見に来てよ。すっごく面白いと思うよ」 明日の為に、学校中のみんなが頑張ってきたのだ。 長期入院で高校に行けなかった隆だけど、学校の雰囲気だけでも感じて欲しい。 「文化...
  • 冬馬701~710
    冬馬691~700 「冬馬先輩、大丈夫?」 私は土下座の格好をしたままの先輩に手をさしのべる。 「すみません。情けない姿をみせてしまいました」 手を取った冬馬先輩の指先が震えている。 膝も少し笑っているようだった。 「ううん。情けなくなんか無かったよ」 「まだ震えてますね。僕は人……特に相手が高圧的に出られるとこうなってしまうんです。 幼い頃は恐怖を攻撃性に変えて手がつけられなかった時期もあるようでした」 獣のような僕と冬馬先輩は言っていた。 だけど今は誰も傷つけられてはいない。 支えるようにしながら、冬馬先輩を座らせる。 私もその隣に腰掛けた。 「冬馬先輩のおでこ、少し血がついてる。ちょっと待ってて」 きっとコンクリートに額をつけた時だろう。 私はポケットからハンカチを取り出す。 「ハンカチが血...
  • 春樹921~930
    春樹911~920 921 ①「そうかな?」 春樹はなんでも出来る器用な人に思える。 「あっ! 愛ちゃん。本には大さじじゃなくて小さじって書いてあるわよ」 自分の手元を見ると塩が大さじで山盛りになっている。 このまま入れたら海水よりも塩辛くなってしまうところだった。 「ぼーっとしてた。ごめん」 「いいのよ。ゆっくりやりましょう」 「不器用っていうのは私みたいな人を言うんだよね」 次はレシピどおり小さじで塩をすくい慎重に平らにならす。 今まで単純なうっかりで何度も失敗してきたのかもしれない。 「そうかしら。愛ちゃんは案外器用だと思うんだけど」 「本当?」 「ええ。困ったときには誰かに助けを求めることができるもの」 「単に頼りないだけじゃないかな」 「違うわ。相手の懐に入るのがうまいのよ」 「よくわからないけど……」 「要...
  • 101~110
    91~100 101 2.春樹と一緒に帰る 一瞬追いかけるように足が動いたが、追いかけてどうするつもりなのかと冷静な自分が問いかけてきてすぐに止まった。 「…春樹、帰ろう」 全身を覆う脱力感。 「うん」 春樹が私を支える。足も相変わらず痛かったが、それ以上に胸が痛い。 階段を下りながら、もしも、のことを考えてしまう。 もしも、私の力のことが予知夢だったとして、きちんと内容を覚えていたらこんなことにはならなかった? (分からない) もし夢を覚えていたら、今日のような事態になることを避けるために私は隆に音楽室で会うことをしなかっただろう。 でも、そうすると予知夢は予知夢ではなくなる。 実現しないただの夢だ。 それなら、覚えていないほうがいいのだろうか? でもそうなると、やはり意味のない力になる。 で...
  • 冬馬621~630
    冬馬611~620 621 ①二人を止める 「止めてよ二人共! どうして?」 二人の間に入り、首を大きく左右に振る。 「冬馬先輩も一郎くんも、研究所に居る主流派の人たちが悪いと思っているんだよね? だったら、なぜ協力しないの? ここで仲違いしている意味なんて無いよ」 目的が同じなら、手を取り合うべきなのに。 それなのに、一郎くんと修二くんは冬馬先輩に対して異常なまでに厳しい。 冬馬先輩もそんな二人に対して、歩み寄ろうとはしない。 すごく悲しくなるし、もどかしく感じてしまう。 「狙われて怖がる私を、二人とも心配してくれていたのは知ってたよ? こんな何も出来ない中途半端な私にも優しく接してくれる二人なのに、どうして? どうして協力できないの?」 冬馬先輩は何も言わず、黙って私を見ている。 一郎くんは少しだけ俯き、ため息を吐...
  • 冬馬831~840
    冬馬821~830 学校では普段通り、慌ただしく授業が始まって、終わっていく。 気がつけば、昼食の時間になっていた。 教室の一角、香織ちゃんと向かい合わせの席でご飯を食べだした。 「今日は一緒に食べられてよかったよ。最近愛菜忙しそうだったし」 「ちょっと色々立て込んでだからね」 「またコンビニおにぎり?」 「うん……お弁当作ってくれてたの春樹だからね」 「風邪だっけ。早く良くなるといいわね」 「そうだね」 (本当は出て行ったって、伝えた方がいいのかな) 「香織ちゃん、実はね……」 「ん? どうしたの?」 「実は春樹ね、風邪じゃなくて家出してるんだ」 「えっ! あの優等生が!?」 香織ちゃんは驚きのあまり、プチトマトを箸から落としてしまっていた。 「香織ちゃん、声大きいよ」 「ゴメンゴメン。へぇ、またどうしてそんな事に...
  • 110~120
    101~110 111 3.感覚がリアルだった気がする 手を取られた。優しく、暖かな手。 ふと自分の右手を見る。 (あれ…?) 右の中指の爪に小さな赤いアザ。 (昨日まではなかったはず…、どこかにぶつけた?) でも、ぶつけたくらいで爪にアザなんかできるだろうか? まじまじと見る。三日月型のアザだ。 『守ります』 ふっと、御門くんの姿が脳裏に浮かぶ。 (御門くん……主……夢?) フラッシュバック。 「夢じゃ、ない……?」 少なくともいつもの予知夢ではない。 「姉さん起きてる?」 そのときノックとともに春樹の声。 「あ、うん。起きてる」 「入るよ」 そう断って、春樹が入ってくる。 「足はどう?」 まだベッドの上に居る私に、春樹が心配そうに尋ねてくる。 「だいぶ...
  • 冬馬731~740
    冬馬721~730 冬馬先輩の筋トレ講座も一息ついて、私はテーブルで少しずつ水を飲んでいた。 時計の秒針が聞こえそうなほど静かに時間が過ぎる。 (そうだ。冬馬先輩に聞こうとしていたことがあったんだ) 「冬馬先輩」 テーブルの対面に座っていた先輩に声を掛ける。 「どうしました?」 「あの……聞きにくいんだけど……修二くんって本当にクローンなの?」 昼休みには聞けなかったけど、ずっと気になっていた。 でもクローンという言葉自体は以前聞いた事がある。 数日前、隆の中に眠るもう一つの人格と少しだけ話した。 その子は隆が事故で大怪我したときに隆の一部になったと言っていた。 そして僕は隆のクローンだったと話してくれた。 「そうです。彼はクローンです」 「でも……どうやって……」 「この町には一つしか産婦人科の病院がありませ...
  • 31~40
    21~30 31 →隆ってカワイイ 少し前までは、ただの幼馴染だったのに いつの間にか私の中で隆はこんなに大きな存在になっていたんだ。 「…何、笑ってるんだよ?」 隆は真っ赤な顔でそっぽを向いている。 私がクスクス笑うと、隆は私にデコピンをした。 しばらく、いろいろな話をしていて 隆は急に黙り込んでしまった。 「・・・・・・なぁ、これから俺のウチに来ないか?今、誰もいないしさ。 ほ、ほら、冷えてきたしっ、なっ?」 私は… 1・普段通り、遊びに行く 2・「幼馴染」から「恋人」になったので少し迷いつつも、隆を信じて行く 3・春樹が家でご飯を作ってくれてる事を思い出し、断る 4・意識してしまい、話を無理やりそらす 32 3・春樹が家でご飯を作ってくれてる事を思い出し、断る ...
  • 冬馬901~910
    冬馬891~900 すべて上手くいっている。 あの時はそう思っていた。 規格外の能力を持つ雨の日の冬馬先輩に敵はいないはずだった。 なのに…… (冬馬先輩……) もう涙も枯れ果てた。 最後に冬馬先輩を見た時、虫の息だった。 それからが思い出せない。 亡骸に縋り付いた所で私の記憶が完全に途絶えてしまっている。 ガタッと音がして、外界との唯一の接点である小さな扉からトレーに乗せられた食事が出てくる。 「これで3回目」 日の光を取り入れる窓がないせいで、昼か夜かもわからない。 定期的に出てくる食事の3回目に印をつける。 これが毎日の日課になっていた。 (もう正って字を何度書いただろう) 20畳ほどの部屋に閉じ込められて、ノートには正が30個溜まった。 日々の日数を数えるのも、少し気持ちが落ち着いてから始めた事だ。 ...
  • 冬馬751~760
    冬馬741~750 「じゃあそこのベッド借りるか。愛菜ちゃんそこに横になってみようか」 「はい」 言われるまま、ベッドに仰向けに寝る。 周防さんは私の額にそっと手を置いた。 (このマクラ冬馬先輩の匂い。ダメだ、ギュッとされたの思い出す。これから退行催眠だから緊張しちゃいけない。平常心平常心) 私は必死で自分に言い聞かせる。 「えっと、なんだ……あいつはトウヘンボクのオタンコナスだから。とっとと忘れるのが一番かもな」 周防さんが私だけに耳打ちした。 私も周防さんにだけ聞こえる様に話す。 「それって冬馬先輩のことですか?」 「ついでにデクノボウの大バカだ」 口は悪いけど、周防さんなりの励ま方なのかもしれない。 さっき冬馬先輩の心を読んですべて把握したのだから、振られたのだって知ってるはずだ。 「私の心、やっぱり...
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