選択肢を選んで1000レス目でED @ ウィキ内検索 / 「451~460」で検索した結果

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    441~450 451 ①一郎くん達が初めて冬馬先輩を見たのはいつか 「一郎君、冬馬先輩の知り合ったのはいつなの?」 私は頭に浮かんだ疑問をそのまま口に出した。 「まずは……経緯から話さなければならないな。俺達は小学1年から3年生の間、ある施設に入っていた」 「それって、まさか高村の施設のこと?」 「よく知っているな、大堂。俺達は両親の薦めで一時施設に預けられたんだ」 「え?でも、一郎君たちのご両親が…なぜ……」 「普通の人々に見えないものまで見えてしまう俺達の力を両親は恐れていた。 物心ついたときから、人々の気が見えていたからな。人の気というのは、言い換えれば生命力だ。 幼い俺達は、気軽に人の死期を言い当てていた。ゲーム感覚でな」 死期をズバリ言い当ててしまう子供達が居たら……自分の子供でも怖いと思ってしまうかもしれない。 もしも治...
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    ... 441~450 451~460 461~470 471~480 481~490 491~500 501番台~750番台
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    451~460 461 ①一郎くんのいいところを言う 肩越しに、一郎君くんの息遣いまで聞こえてくる。 これほどの至近距離なのに、なぜかとても冷静な自分がいることに気付く。 「臆病の何が悪いの? 人の痛みを知っているから、臆病になってしまうんだよ。 一郎くんは人の話を真剣に聞いて、ちゃんと汲み取ってくれる優しさがあるじゃない。 あまり感情を表に出さないから誤解されてしまう事もあるけど、一郎くんの優しさをわかっている人だってちゃんといるよ。 それは、決して弱さなんかじゃないよ」 私の言葉を聞いて、一郎くんがゆっくり顔を上げる。 その瞳はまるで迷子のように寂しそうだった。 「大堂……」 「実は私もね、最初は一郎くんが完璧すぎて少し怖かったんだ。 でも放送委員で一緒にやっていく内に、一郎くんのさりげない気遣いや思いやりに気付けたんだよ。 私...
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    ストーリーを読む 共通・トゥルールート 1番台~250番台 1~20 21~30 31~40 41~50 51~60 61~70 71~80 81~90 91~100 101~110 111~120 121~130 131~140 141~150 151~160 161~170 170~180 181~190 191~200 201~210 211~220 221~230 231~240 241~250 251番台~500番台へ
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    431~440 441 ②「今、笑ったよね?」 思わず冬馬先輩本人に確認してしまう。 「………?」 だけど冬馬先輩は私が驚いている理由について、まるでわかっていないみたいだった。 (自覚なしか…。ちょっと残念) 「でも、冬馬先輩。どうしてこんな事きくの?」 「…………」 「学校について知りたかった?」 先輩は小さく頷いた。 「そっか。実は私も学校が大切な場所って自覚できたのは最近なんだ」 「………どういう事、ですか?」 冬馬先輩は私を見つめながら尋ねてきた。 「失うかもしれないと思って、初めて気付いたんだよ」 「…………」 「本当は、今でもここに居ていいのかずっと悩んでるの。もし何か事件があれば、それは私のせいかもしれない。 友達も、勉強も、出会いも、将来の自分探しも、突然目の前から無くなってしまうかもしれないんだよ」 ...
  • 51~60
    41~50 51 ①「ごめん、先約があるんだ・・・・」 (修二くんは、何か知っているみたいなんだよね) 隆と一緒だと話してくれないだろう。 「ごめんね。明日は絶対大丈夫だから、明日、一緒に食べよう?」 「急だったもんな。じゃあ、明日な」 疑う様子もなく笑顔で答える。 昨日の電話で、屋上で話しをすることになっていた。 昼休みになり、愛菜は屋上に来た。 ①「私の方が早かったみたいね」 ②「修二くん、もう来ていたんだね」 ③「早めに来たし、ご飯食べとこう」 52 ①「私の方が早かったみたいね」 私は近くの縁に腰掛けて、修二君が来るのを待った。 話って何だろう? どれだけ頭を捻っても、心あたりなんて、昨日の一朗君の件だけ。 でも、冷静に考えてみると、修二君が私のことを好きだなんて、ありえな...
  • 151~160
    141~150 151 ③「どうしてみんな、こんな力に注目してるのかな?」 もし、これが力だとすると本当に何故、狙われることになるのかわからない。 春樹はしばらく考え込んで口を開いた。 「そうだね、でももし、もしだよ?」 春樹が「もし」を強調して言う。 「姉さんの見ている予知夢、それが最初から姉さんの記憶とか、脳とかに刻み込まれたようなもので、もう一人記憶を読めるような力をもつ人が居たとしたら?」 「それはどういう……?」 「姉さんは力に自覚がなくても、もう一人の力の持ち主には大きな意味があるってこと。もし、の話だけどね」 春樹の言葉を考えて、私は笑った。 「春樹、でもそれじゃあ意味がないよ?私がみる夢は私に関する予知夢だけだもん」 「覚えてないのに、どうしてそう言い切れるの?」 「あ……」 呆れたようにため...
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    241~250 251 ①「うん、ちょっと出かけるの」 「…それは、キャンセルできないのか?」 どうしたんだろう…一郎君の用事はそんなに大事なものなのかな? でも、周防さんたちとの約束が先だし、キャンセルしようにも、連絡先がわからない。 「えっと、ごめんね。約束で…でかけるから」 「そうか、約束なら仕方がないな」 「ほんとごめんね」 「いや、急だったからな。それじゃ」 「あ…」 「…ん?どうした?」 つい、呼び止めちゃった… 1「なんでもない」 2「夜なら時間あるけど?」 3「どんな用事だったの?」 252 1「なんでもない」 「そうか、では、また明日学校で」 「うん、明日ね」 一郎君の用事はきっと、力に関することだろう。 (今日一日はゆっくり休むって決めたんだから...
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    461~470 471 ③隆に部屋の戸をあけないように言う。 「ちょっと待って!あ…開けない…で…」 と言いかけたところで、無情にもガチャリと扉が開かれた。 「………………」 「………………」 隆はドアの取っ手を握り締めたまま、固まっている。 私もチハルに抱かれたまま、絶句してしまった。 「なななな、何だよこれは……」 「えええ…えっと……」 説明しようとするものの、動揺でうまく頭がまわらない。 「あっ、隆。ねえ、知ってる? 愛菜ちゃんってすごくいい匂いがするんだよ」 チハルは私を抱きしめたまま、隆に笑いかける。 その言葉でようやく正気を取り戻した隆は、大股で私とチハルに割り込み、無理やり引き剥がした。 「いくら隆だって、邪魔しちゃ駄目だよ」 チハルはぷーっと頬を膨らませると、隆から私を奪い返す。 けれど、また無言...
  • 31~40
    21~30 31 →隆ってカワイイ 少し前までは、ただの幼馴染だったのに いつの間にか私の中で隆はこんなに大きな存在になっていたんだ。 「…何、笑ってるんだよ?」 隆は真っ赤な顔でそっぽを向いている。 私がクスクス笑うと、隆は私にデコピンをした。 しばらく、いろいろな話をしていて 隆は急に黙り込んでしまった。 「・・・・・・なぁ、これから俺のウチに来ないか?今、誰もいないしさ。 ほ、ほら、冷えてきたしっ、なっ?」 私は… 1・普段通り、遊びに行く 2・「幼馴染」から「恋人」になったので少し迷いつつも、隆を信じて行く 3・春樹が家でご飯を作ってくれてる事を思い出し、断る 4・意識してしまい、話を無理やりそらす 32 3・春樹が家でご飯を作ってくれてる事を思い出し、断る ...
  • 751~760
    741~750 751 ③「どうしようもなくなったら呼ぶよ」 私は気恥ずかしくて、春樹の顔がまっすぐ見られなかった。 (弟なのに……私、意識してるんだ……) 「わかった。もし何かあったらすぐに呼ぶんだよ」 春樹からバスタオルを受け取り、私はうなずく。 春樹はもう一度念を押すと、廊下から去っていった。 私はゆっくりした動作で、ブレザーを脱ぎ、リボンを解く。 (あっ、下着まで濡れてる。……はぁ、仕方がない) 「春樹……」 「どうしたの? 姉さん」 呼ぶと、着替えを終えている春樹が現れた。 春樹はまだ着替え終わっていない私を見て、驚いている。 「まだ着替え終わってないの? だから、俺がやるって……」 「下着を……持ってきて欲しいの。私の部屋、チェストの二段目……」 「あ、うん。わかった」 下着という言葉で春樹...
  • 431~440
    421~430 431 ①修二君を追いかける 軽くなった体で部屋の扉を開けると、廊下にはすでに誰もいなかった。 「修二君……」 (どうして胸の締め付けられるような微笑み方をしたの?) 口説き文句か軽口で冗談と本気の区別がつかない修二君が、あんな顔するなんて思いもしなかった。 私が今まで思っていた修二君とはあまりにかけ離れていた。 (私……修二君を誤解していた?) 軽薄でたくさんの女の子のファーストキスを奪っても何も思わないような人だと決め付けていた。 だから私がファーストキスだって事も、言い出せなかった。 もちろん驚いて何も言えなかったのもある。 でも、それだけじゃない。 恋愛に疎いと思われるのが恥ずかしかったし、逆に『ラッキー』と幸運がられるのも悲くなるだけだからだ。 だけど、あの微笑はもっと複雑で優しさに満ちていた。...
  • 481~490
    471~480 481 ②実は春樹にもなにか力が? 「もしかしたら…春樹にもなにか力があるって事?」 私は思った事をそのまま口に出した。 「それがね、よくわからないんだ。愛菜ちゃんと隆にはゆらゆらしたのが出てるのに、春樹には無いよ。 だから、フツーの人なんだけど…ぎゅってすると気持ちいいの」 何か感じ取っているチハルすらもお手上げのようだ。 春樹は下を向き考え込んでいたが、不意に顔を上げた。 「………ゆらゆらって言うのは、おそらく力のことだと思う。 一郎先輩と修二先輩の力で姉さんを見た時、体の中心に炎があって、体全体が蒼白いゆらゆらと流れるものに覆われていた。 見た人全員に炎はあったけど、蒼白く流れるものはなかったんだ」 「宗像兄弟はそんな力を持っているのか。あいつら一体、何者なんだ?」 隆が双子の話を聞いて、眉をひそめながら呟...
  • 551~560
    541~550 551 ①周防さんはここに居て良いのか聞く 「周防さんはここに居ていいんですか?」 私は美波さんが消えていった方を見ながら尋ねた。 「俺も退散するよ。穴に入り込んだネズミ退治に来ただけだしな」 周防さんはそう言って、私と修二君を交互に見ながら笑った。 「ネズミって、俺と愛菜ちゃんのこと?」 修二君は不服そうに口を尖らせながら、抗議する。 「あの連中と勘違いしたんだよ。じゃあな、お二人さん」 そう言って周防さんは片手を挙げながら、美波さんが去っていった方向に歩き出した。 けれど、二歩ほど進むとピタリと歩みを止めてしまった。 「あーっと、忘れるところだった。この前はいきなりの襲撃で渡せなかったからな」 周防さんはポケットから紙を取り出すと、私に渡してきた。 「俺の携帯番号が書いてある。困ったときは連絡くれればいいから。あ...
  • 951~960
    941~950 951 ①「それってどういう意味ですか?」 変わり者だと言われているみたいで、私は頬を膨らませる。 そんな私の顔を見て、春樹くんが穏やかな顔をしながら微笑んだ。 「違うよ。俺も兄さんも愛菜のことを褒めているんだから」 そう言うと、春樹くんは席にいる全員の顔をぐるりと見渡した。 その視線につられる様に、私も偶然に居合わせた人達を見る。 みんな和気藹々と、楽しそうに食事をしていた。 「きっと愛菜には人を惹きつける不思議な力があるんだよ。ここに集まったみんなも姉さ……ううん、愛菜が居たから集まれたんだ」 「私が……居たから…?」 「そうだよ」 「そ、そんな……ただの偶然だよ」 今日は文化祭で一般の人達も集まっているから、偶然居合わせただけの事だ。 それぞれの人達が少しずつ繋がりあって、こうやって同席できたに過ぎない。...
  • 651~660
    641~650 651 ①混乱してしまい、涙が溢れてきた 「愛菜! 落ち着けって!!」 その言葉に、私はいやいやと頭を振る。立ち上がって、声にならない気持ちを訴える。 聞きたいのはそんな言葉じゃない。 力が無い私には、何も出来ないのは分かっている。足手まといになるだけだって、理解してる。 守ってくれる人を犠牲にできるのか? 後ろを振り向かず、逃げ切れるのか? ……やっぱり私には無理だと思う。 守られるって――一どうして辛いの? 突然、両腕を力強く掴まれ、我に返る。 さっきまでテーブルを挟んで座っていたはずなのに、目の前には、真剣な隆の顔があった。 「混乱させるようなことを言って、すまなかった。そっか、泣くほど悩んでたんだな。……気がつかなくて、その…悪い」 (私……泣いてるの?) 呆けたまま、私は隆を見つめる。 私の頬...
  • 421~430
    411~420 421 ③「チハルは私のぬいぐるみなの」 私が説明をしようとすると、チハルは一郎君と修二君の前に出た。 そして二人を指差しながら、驚いたように目を見開く。 「おんなじ顔がふたつ! ねえ、ねえ見てよ。ヘンだよ愛菜ちゃん」 「チハル、そんなこと言っちゃ駄目よ。あはは、ご、ごめんね……」 「………」 「俺の方がイケてるって!」 一郎君と修二君はそれぞれ別の反応をみせる。 チハルの登場で、その場の張り詰めた緊張感はどこかへいってしまったようだ。 (とりあえずチハルのおかげで場が和んだみたい。……助かったよ) 隆は物珍しそうに、チハルを上から下まで眺めている。 「ていうか、なんで人の姿になってんだ? あの熊のぬいぐるみなんだろ? お前」 「お話できるし、こっちの方がいいでしょ」 チハルはその場でクルクルまわりながら答えた。 ...
  • 851~860
    841~850 851 ②五年前のことを思い出す (今から五年前……) 私は自分の机の上にある、写真立てに目を向ける。 春樹は私の視線を追いかけるように立ち上がると、その写真立てを手に持った。 「この写真、姉さんも飾ってるんだ」 (うん。居間に飾ってあるのと同じなんだけどね) 私と春樹の会話を聞いて、周防さんは春樹の手元を興味深そうに見つめていた。 「家族の写真……か。俺にもよく見せてくれ」 (構いませんよ。春樹、周防さんに渡してあげて) 春樹は「どうぞ」と言って、五年前に撮った写真を手渡した。 「ほうほう。まだ二人とも小学生か? にしても春樹……お前さん、なんて無愛想な顔をしてるんだ。 写真なら、もっとにこやかに笑うものだろう?」 「たしかに酷い顔ですね。でもあの時は……笑えるような心境じゃなかったんです」 「ん? ...
  • 冬馬751~760
    冬馬741~750 「じゃあそこのベッド借りるか。愛菜ちゃんそこに横になってみようか」 「はい」 言われるまま、ベッドに仰向けに寝る。 周防さんは私の額にそっと手を置いた。 (このマクラ冬馬先輩の匂い。ダメだ、ギュッとされたの思い出す。これから退行催眠だから緊張しちゃいけない。平常心平常心) 私は必死で自分に言い聞かせる。 「えっと、なんだ……あいつはトウヘンボクのオタンコナスだから。とっとと忘れるのが一番かもな」 周防さんが私だけに耳打ちした。 私も周防さんにだけ聞こえる様に話す。 「それって冬馬先輩のことですか?」 「ついでにデクノボウの大バカだ」 口は悪いけど、周防さんなりの励ま方なのかもしれない。 さっき冬馬先輩の心を読んですべて把握したのだから、振られたのだって知ってるはずだ。 「私の心、やっぱり...
  • 冬馬951~960
    冬馬941~950 「愛菜、落ち着いてください」 「でも春樹が!」 もう少しで春樹を救える。 怪我はないか。 ちゃんと家に帰って来るのか。 どうして黙って出て行ってしまったのか。 話たい。今すぐに。 だけど先輩に手首を強くにぎられてしまって動けない。 「痛い……離し……離して!」 手を振り解こうと全力でもがく。 だけど冬馬先輩はその右手を解いてくれなかった。 「愛菜はここにいてください」 「でも!」 「手荒な真似は避けたかったですが仕方ない」 「何を……!」 「少し大人しくしていてください」 身体にひんやりとしたものがまとわりつく。 気がつくと、水の膜で周囲を覆われてしまっていた。 それはシャボン玉のようだったけれど、弾力があって私の力では割れそうにない。 『冬馬先輩!』 『これを今すぐ解いて』 『駄目で...
  • 冬馬851~860
    冬馬841~850 「これで全員揃ったのかしら」 香織ちゃんが全員を見まわしながら言った。 「「「「「…………」」」」」 空き教室になんともいえない沈黙が降りる。 「あのね、みんな。それぞれ抱えた事情や複雑な感情はあるかもしれない。だけど今はそういうの抜きにしてこれからの事を考えて欲しいんだ」 半人前だけど巫女としてみんなをまとめなくちゃいけない。 まず私から全員に伝える。 「ねぇ、愛菜ちゃん。まず君が一番何かしたいか教えてよ。これからの事を考えるなら、そこ超重要だし」 そう言うと、修二くんは教室の後ろにある木でできた背面ロッカーにひょいと座る。 「修二、そこは椅子じゃないぞ」 「いいじゃん。それより愛菜ちゃん、教えてよ」 (私のしたい事……) 「まずは弟の春樹に家に戻って欲しいかな。心配なんだ、...
  • 冬馬651~660
    冬馬641~650 冬馬先輩と一階に下りて、ダイニングに行く。 するとお義母さんがキッチンで洗い物をしていた。 「御門くんも座ってちょうだいね。今日はすき焼きだけどよかったかしら」 コンロの上に、鉄のなべが乗っている。 その横には牛肉の薄切りと割り下、切った野菜も置いてあった。 「うん、大好き。先輩もすき焼き大丈夫だよね」 冬馬先輩は私の問いに黙ってうなずいた。 「冬馬先輩も食べれるって」 「よかったわ。御門くん、卵も用意してよかったわよね」 コップや食器を持ってお義母さんがやって来た。 「じゃあ愛ちゃん、火をつけて牛脂を入れてくれる?」 「私がやるの?」 「そうよ」 てきぱきと食器を並べているお義母さんは当たり前のように言った。 (こういう役目、いつも春樹だったからな……) 冬馬先輩が座った...
  • 春樹951~960
    3.春樹941~950 文化祭が始まってからも放送委員の仕事は沢山ある。 BGMを流すだけでなく、迷子のお知らせや体育館で行われる文化部の発表の案内。 模擬店の紹介など放送することは意外と多い。 午前中、慌しく時間が過ぎていく。  「大堂さん、もうそろそろ交代だよ」 次の係りの子に声を掛けられて時計を見ると、お昼少し前だった。 「ありがとう。後はよろしくね」 簡単な引継ぎを終えて校庭のテントにある放送事務局を出た。 お昼にお母さん達が来る事になっているけれど、まだ連絡が来ない。 しばらく自由な時間があるようだ。 (そういえば……) 今朝一郎くんと話していて、修二くんの元気がないと聞いた。 それが心の中でずっと引っかかっていた。 (様子だけでも見られないかな) 携帯で連絡を取ろうと思えば出来ない事はない。 ...
  • ストーリーを読む 4ページ目
    751番台~1000番 501番台~750番台 751~760 761~770 771~780 781~790 791~800 801~810 811~820 821~830 831~840 841~850 851~860 861~870 871~880 881~890 891~900 901~910 911~920 921~930 931~940 941~950 951~960 961~970 971~980 981~990 991~1000
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    501番~750番台 251番台~500番台 501~510 511~520 521~530 531~540 541~550 551~560 561~570 571~580 581~590 591~600 601~610 611~620 621~630 631~640 641~650 651~660 661~670 671~680 681~690 691~700 701~710 711~720 721~730 731~740 741~750 751番台~1000番台
  • 411~420
    401~410 411 ②どうせ文化祭の用意だろうから気にしない 一瞬疑問が浮かんだが、すぐに文化祭の準備があるのだろうと納得する。 (準備が遅れてるって言ってたもんね…) きっと昨日の電話で早く出てその分の遅れを取り戻そうという話になったんだろう。 「文化祭の準備かな、昨日遅れてるって言ってたもんね」 「そうね。愛ちゃんのクラスは大丈夫なの?」 「うん、うちのクラスは平気。放送委員の仕事のほうが忙しいくらい」 「あら、放送委員ってそんなに忙しいの?」 お義母さんが不思議そうに首をかしげる。 「忙しいわ。体育館での催し物の案内でしょ、落し物の放送に、迷子の放送、呼び出し放送…それから」 指折り数えていく私に、お義母さんが苦笑する。 「確かに忙しそうね。でもせっかく早く起きたんですもの、ゆっくりご飯食べたいわよね、ご飯食べながらお...
  • 共通・トゥルールート ストーリー
    ストーリーを読む 共通・トゥルールート 591までが共通ルートです。 592の選択肢でトゥルールートへ。 ストーリーを読む 1ページ目(1~250番) ストーリーを読む 2ページ目(251~500番) ストーリーを読む 3ページ目(501番~750番) ストーリーを読む 4ページ目(751番~1000番)
  • 冬馬841~850
    冬馬831~840 「一郎くん、ちょっと時間取れる?」 放課後、机の片付けをしている一郎くんに声をかける。 「大堂、またお前か」  溜め息まじりの、あからさまに嫌な顔をされる。 「なにその態度、愛菜にひどい事を言ったただじゃおかないわよ」 冷たい態度の一郎くんに、香織ちゃんが横から怒った。 「長谷川、これから大堂と話がある。席を外してもらおう」 「嫌よ。委員長の指図なんて受けないわ」 「あのね、一郎くん。香織ちゃんは部外者じゃないんだよ。だから一緒に居てもいいよね」 「長谷川が?」 一郎くんは目の前の香織ちゃんを見据える。 「訳ありのようだな。いいだろう、ついて来い」 先に歩き出した一郎くんに、私達はついていく事にした。 (ここは空き教室か)  「少し埃っぽいが我慢してくれ」 ...
  • 冬馬741~750
    冬馬731~740 「悪い。少し遅れちまった」 玄関扉を開けた冬馬先輩の横を通って、周防さんが部屋に入ってくる。 「周防さん。こんにちは」 顔を合わせて、開口一番あいさつをする。 こんにちはとこんばんはの間くらいの時間になっている。 一瞬迷って、こんにちはを選んだ。 「愛菜ちゃん待たせちゃってごめんな。時間も無いしさっそく始めるかな」 (始める?) 「あの……周防さんが私に用があったんですよね」 「違うって。愛菜ちゃんから頼まれたって冬馬が言ってたぞ」 頭の中に?が飛び交う。 私、周防さんに何か頼み事なんてしていただろうか。 「冬馬。まさか愛菜ちゃんに説明せずに連れてきたんじゃないだろうな」 冬馬先輩の横に座った周防さんがジロッと睨む。 「あの、私に説明って何でしょうか」 意味が分から...
  • 冬馬961~970
    冬馬951~960 お互いの剣の技量を計るかのように距離を取った斬り合いが続く。 先に大きく振りかぶったのは春樹だった。 上手く遠心力を使い、重い一撃を冬馬先輩に浴びせる。 鈍い金属の爆ぜる音が響く。 と、大きな赤い剣を細身の青い剣で受けとめ、ジリジリと力で弾き返した。 低くなった体勢のまま冬馬先輩が大きく前に出て懐に入ろうとする。 それを察した春樹は、紙一重で後ろへ飛び退いた。 「俺が火で先輩は水。やっかいな相剋だな」 「厄介という割には余裕がありそうですが」 「御門先輩、やっぱり強いね」 「春樹さんの隙のない滑らかな動き。剣を扱い尽くした相当な手練れです」 「それはそうさ。大和で一番の戦士だったんだ」 「守屋の剣士としての能力をトレースできるようですね」 「まぁね。だけど身体は俺のままだから使いすぎると次の日は動けなくなるんだけど」 ...
  • 41~50
    31~40 41 3.春樹と喧嘩するのなんて、初めてじゃない? 仲直りできたことにほっとして、春樹につられるように微笑む。 そういえば、春樹とこんな喧嘩をしたのは始めてかもしれない。 そういうと、春樹は苦笑する。 「そりゃあね…」 言葉を続けようとした春樹の視線が一瞬泳ぐ。 「…姉さんと兄弟になったのだって小さな子供のころってわけじゃないし、 普通の兄弟とは違うんだから、当たり前だよ」 けれど戻ってきた視線は、いつもの春樹で…。 でも何か引っかかった。 それを考えようとする前に春樹が思い出したように言葉を続けた。 「そういえば俺、食器片付けないままきちゃったな、姉さんは?」 「あ、わたしも…」 春樹に謝ることしか考えていなかったから、食器はそのままテーブルの上だ。 「仕方ないな。俺片付けてくるよ」 苦笑しながら、春...
  • 冬馬941~950
    冬馬931~940 『冬馬先輩』 私はホールに入ってすぐ、手を握って冬馬先輩に心の中で声を掛けた。 どれだけ離れていたとしても、心の一部が繋がっているおかげで私達は声に出さなくても会話ができる。 それでも先輩の手を離したくなくて、ギュッと握った。 『どうかしましたか』 頭に直接、先輩の声が響いた。 冬馬先輩は私の手を握り返し、歩みを止める。 ただの気のせいならいい。 でも胸の中にある不安がなかなか消えない。 『ごめん。少し不安になっただけ』 『大丈夫です』 冬馬先輩は子供をあやすように、私の頭を撫でる。 (先輩はやっぱり優しい。でも……) 半年前、私は数え切れないほどの敵の山とうめき声を聞いた。 それはおそらく冬馬先輩がやったこと。 多くの爪あとしか見ていないけど、その残酷な強さを知るには十分だった。 きっと...
  • 冬馬761~770
    冬馬751~760 ここはどこだろう。 日差しのまぶしさに顔をしかめながら、あたりを見渡した。 (ここは近所の児童公園だ) 「愛菜ちゃん!」 名前を呼ばれて振り向くと、小さい女の子が駆けてくる。 「まきちゃん」 駆けてきた女の子はお友達の事をまきちゃんと呼ぶ。 息を切らしているその女の子には見覚えがある。 (写真で何度も見たことがある。あの子は私だ) どうやら私の名前を呼んだ方が『まきちゃん』、駆けてきたのが小さな頃の私みたいだ。 まきちゃんという女の子と私は砂遊びを始める。 このお友達は確か保育園で一緒だった子だ。 (この子が勾玉かな?) 「おーい。愛菜ちゃんたち一緒にあそぼ」 もう一人、今度は男の子が駆け寄ってくる。 「隆くん! 今ね砂のお城をつくっているんだ」 「じゃあオレは車つ...
  • 冬馬861~870
    冬馬851~860。 「これで私は人でなくなったの?」 全員と契約を済ます。 両手の甲と手のひらにあざが浮かび上がっている。 私の身体に四つの証が刻まれたていた。 「馴染むのに時間がかかる。すぐ大堂の身体に変化が現れる訳じゃない」 「そうなんだ」 「それに大堂は能力を使い慣れていない。強い力を手に入れたというだけで、相応に使いこなすには訓練も必要だろう」 「今は神宝より先に神託の巫女になれた事が大切だから。後は利用されないようにしなくちゃね」 不思議な感覚だ。 何が変わったと言われれば答えられないけど、私の中心の部分が懐かしいと訴えている。 「愛菜ちゃんは契約しても愛菜ちゃんのままだったね。ホント、よかった」 「そうよね。今回ばかりは剣に感謝しなくちゃ」 冬馬先輩が私の身体に棲む鬼に交渉してくれたおかげだ。 「ありがと...
  • 511~520
    501~510 511 ②隆と最終の打ち合せをする 「おはよう、隆」 「おはよう。お、チハル準備万端だな」 「おはよう隆!」 リビングに入ると隆がテレビを見ながらコーヒーを飲んでいた。 かってしったるなんとやら、だ。 「隆、最終打ち合わせなんだけど」 「ああ」 「まず、桐原さんね」 桐原さんは昨日近くに住んでいるようなことを言っていた。 もし桐原さんが春樹を好きなら、きっと偶然を装って同じ時間に登校するはずだ。 本当は彼氏のほうを先に何とかしたかったが、彼氏の情報がまったくないため桐原さんからということになったのだ。 「よし、それじゃあチハル、何年何組って聞かれたらなんて答えるんだ?」 「えっと、同じがっこうじゃないよ。今日はソウリツキネンビで休みだから、愛菜ちゃんにセイフク借りたの。いっかい一緒にトウコウしてみたかったから、お願いして...
  • 601~610
    591~600 601 ①「……春樹の話してくれた昔話、男の人が幸せになる結末だったらいいな」 「そう思う?」 「うん、今までの努力が報われるといいなって思う」 「……うん」 春樹に向かって笑いかけたとき、ふと身体が引っ張られるような感覚がした。 遠くで名前を呼ばれている感じがする。 (あ、そろそろ起きる時間かな) 「姉さん?」 「春樹、そろそろ起きる時間だよ。いい? くれぐれも無茶しないでね?」 「わかってるよ。まったく……なんで夢でまでなんでこんなに………」 春樹の呟きが徐々に遠くなり、ふっと景色が変わる。 どこまでも続く草原。 (あれ?) 相変わらず遠くでは私を呼ぶ声が聞こえているが、どういうわけかその方向へ向かおうとしても何かに邪魔をされているような、妙な抵抗感がある。 廻りを見渡しても見えるものは何も無く、見たことのない場所...
  • 冬馬601~610
    冬馬591~600 601 ②ここに鍵になりそうなものがないか探す (忘れないために必要なものは何だろう) せっかく夢でお母さんとの約束を思い出したのに、このまま忘れてしまいたくない。 私は濃い霧の中で必死に考える。 (駄目。こんな濃い霧じゃ何も見つからないよ) 諦めかけたその時、白い霧を裂くように、ドロドロの黒い霧が地面を這いずりながら現れた。 その黒い霧は、二つの穴が目のようにぽっかり開いている。 地面を這う黒い霧はしばらく動かず、空洞の目で私を静かに見続けた。 (な、何これ……気持ち悪い……) 地面を動くドロドロの霧は、一つの小さな黒い塊を空中に吐き出した。 すると、その塊に吸い込まれるようにして急速に人型が形成されていく。 私は恐怖のあまり、その場から動けない。 「我ヲ……」 「!?」 「我ヲ……コノ場カラ…...
  • 351~360
    341~350 351 ③「その、粘膜接触って、例えば?」 逆に聞き返してみる。 「……? ですから、先ほどのあなたの質問が答えになります。 キスをすればその際に口腔内の粘膜同士が多少なりとも触れる可能性がありますので。 …それ以外の粘膜接触に関しても何かご質問がありますか」 まるでお医者さんのように感情を差し挟まない口調で御門くんは言った。 (ほっといたら恥ずかしげもなく昼間の公園にそぐわない話を始めちゃいそう…!) 私は慌てて首を振って疑問は解消されたとアピールをする。 納得してくれたのか、御門くんはそれ以上の説明はしなかった。 ほっと胸を撫で下ろした所で御門くんに聞いてみる。 「じゃあ、『触れる』って具体的にどうするの?」 「先ほどお伝えしたとおりに手順を踏んで頂いて、最後にあなたが対象者に触れれば ...
  • 501~510
    491~500 501 ①隆に話しかける 「かわいい子だったね」 「だな、春樹も隅に置けないな」 隆はなにか面白がっている風に見える。 「なんか、うれしそうね?」 「ん?そりゃな、あの春樹をからかえる大チャンスじゃないか」 私は呆れて隆を見た。 さっきやけにうれしそうだったのは春樹をからかえる絶好の機会を得たからなのだろう。 こういうことに関して今まで隙をみせなかった春樹だから、隆にはうれしいのかもしれない。 (隆らしいといえば隆らしいけど…) 少し春樹をかわいそうに思いながら、女の子から受け取った紙袋を覗き込む。 重さはそれほどでもないから、お菓子か何かだろうと入っている包みを取り出す。 「なんだ?お菓子か?」 隆もそう思ったのか私の手から包みをとるとひっくり返してみる。 「ん?包装紙にも、包んであるシールにもメーカー書...
  • 61~70
    51~60 61 2.ぼーっと窓の外を眺める 私は窓際のベッドに腰掛けたままなんとなく外を眺めた。 校庭では体育の授業が行われている。 どれくらいボーっとしていたのか、ふと時計を見るともうそろそろ授業が終わる時間だった。 「あ、もうこんな時間だ、…先生帰ってこないな」 そのとき、ふと視線を感じて、窓の外を見る。 校庭の隅、少しはなれたところから、私を見ている人がいる。 それは… 1.隆 2.御門くん 3.水野先生 62 2.御門くん さっき、保健室までつれてきてくれた男の子だった。 (確か、御門くんっていったっけ……) その男の子……御門君は、制服姿のままそこに佇んでいる。 私が見ていることに気がついていないのか。 それとも……気がついていて、なおそうしているのか。 御門くんは私を...
  • 591~600
    581~590 591 ③「そういう隆の料理の腕はどうなのよ?」 隆の言う事は正しいのかもしれないけれど。 なんとなく釈然としないものを感じてそう問い掛けると、隆はふふんと笑った。 「人並み程度には。まあ、お前よりはまっとうな料理作れるぜ」 「まっとうなって……さっきから随分な言い様じゃない」 「だから言ってるだろ。料理が上手くなりたいんならマズイものを作ったらマズイって気付かなきゃ駄目だ。お前のとこの春樹やおばさんみたいに黙ってちゃ愛菜はわからないだろ」 散々な言われように言いたい事もあったはずなのに、隆の言葉に私は思わず口をつぐんでしまった。 (春樹も、お義母さんも……私に気を使って何も言わなかったのかな?) 「そう、だね。……我慢してマズイもの食べさせるなんて、可哀想だよね」 「愛菜?……やれやれ」 押し黙ってしまった私の前で、隆は困っ...
  • 261~270
    251~260 261 ③御門くんに好みの色を聞いてみる。 (一応本人にも聞いておいたほうがいいかな?) いろいろな色のシャツを見ながら、私はそんなことを思った。 「私、ちょっと御門君に聞いてきますね」 「おう」 周防さんに見送られながら、私は試着室の前へと歩いてくる。 「御門君?ちょっといいかな?」 ノックをしながら呼びかける。 「はい」 中からはすぐに御門君の返事が聞こえてきた。 そして、ほぼ同時に試着室のドアノブが内側から回される。 それを見て、ふと脳裏に浮かんだのはさっきの光景。 何故か嫌な予感が頭をよぎる。 「あ、いいの!いいから、開けないで!そのまま聞いてっ」 慌てて言うと、ピタリとドアノブの動きが止まった。 ……どうやらすんでのところで止まってくれたらしい。 (ま、間...
  • 春樹961~970
    春樹951~960 携帯で連絡を取り合い、集合場所の文化祭と装飾されたアーチ前までやって来た。 「あれ? お父さんは?」 待っていたのはお母さんとチハルだけ。 一緒に来るはずだったのにお父さんの姿が無い。 「時差ボケですって。すごく眠そうだったからお留守番頼んできたわ」 「パパさん、グーグー寝てた」 「海外出張だったし仕方ないね。ところで春樹も一緒にお昼ご飯食べるのかな」 春樹とは昼食の約束まではしていない。 できれば一緒に食べたいのだけど。 「さっき連絡してみたら春樹も無理ですって」 「え? そうなの?」 「クラスが喫茶店らしくて……一番忙しい時に行ける訳ないだろって怒られちゃったわ」 「そっか。残念」 「あと混み合ってるから千春を連れては入れないだろうとも言ってたわね」 (行ってみたかったのにな) 少しガッ...
  • 冬馬641~650
    冬馬631~640 「ここが私の部屋だよ」 私は扉を開け、先に中に入る。 「失礼します」 冬馬先輩は続いて入ってきた。 「子供の頃からのぬいぐるみとかあるし、あんまり綺麗じゃないけどね」 くたびれたぬいぐるみがチェストの上に何体か置いてある。 もちろん隆からもらったチハルもいる。 みんな子供の頃から可愛がっていたから、手放すのもかわいそうで今も捨てられずいるものだ。 「いいえ、愛菜らしい部屋だと思います」 「……私らしいって?」 「よく整頓されています。新しいものに限らず古いものでも大切に使っている」 「そうかな」 「はい」 私が寝起きする最もプライベートな場所。 その場所を褒められると私自分が褒められているように感じる。 「あっ、先輩を立たせたままだったね」 「いえ、僕は平気です」 「駄目だよ。えっ...
  • 冬馬661~670
    冬馬651~660 お風呂を済ませると、リビングにもう冬馬先輩の姿は無かった。 休むといっていたし、もう寝てしまったのかもしれない。 客間に行って確認するのも憚られるので大人しく階段を上る。 そして自室に入って扉を閉めた。 「私も寝ようかな」 部屋の電気を消そうとして、干してある制服のスカートが目に入る。 脱いだときはかなり濡れてしまっていたけれど、もうほとんど乾いているようだった。 (そういえば……ポケットに番号札が入りっぱなしだったっけ) 私はポケットに手を入れて、札を取り出す。 プラスチックのプレートに703と印刷されている。 水野先生はこれが一郎くん達と冬馬先輩の確執の原因だと言っていた。 (サイコメトリーって言っていたけど、私にも出来ないかな) ベッドに腰掛けて、番号札を両手で握り締める。 静かに目を閉じ、物に...
  • 冬馬591~600
    581~590 591 ③「そういう隆の料理の腕はどうなのよ?」 隆の言う事は正しいのかもしれないけれど。 なんとなく釈然としないものを感じてそう問い掛けると、隆はふふんと笑った。 「人並み程度には。まあ、お前よりはまっとうな料理作れるぜ」 「まっとうなって……さっきから随分な言い様じゃない」 「だから言ってるだろ。料理が上手くなりたいんならマズイものを作ったらマズイって気付かなきゃ駄目だ。お前のとこの春樹やおばさんみたいに黙ってちゃ愛菜はわからないだろ」 散々な言われように言いたい事もあったはずなのに、隆の言葉に私は思わず口をつぐんでしまった。 (春樹も、お義母さんも……私に気を使って何も言わなかったのかな?) 「そう、だね。……我慢してマズイもの食べさせるなんて、可哀想だよね」 「愛菜?……やれやれ」 押し黙ってしま...
  • 161~170
    151~160 161 ①一郎君と修二君に家に入ってもらう 「こんなところで立ち話もなんだし、家に入ろう?」 私と春樹ははだしのままだ。 誰かに見られたら不審に思われてしまう。 「そうだな」 一郎君が周りを見回す。 「近くに異常はない。もう大丈夫だろう」 リビングに戻り、ソファに4人で座る。 「ファントムは知性を持ってるわけじゃない。簡単な命令を実行するだけだ」 一郎君はさっきの影をそう説明する。 「生気を吸われた人間は弱る。そしてファントムは力をつける。力をつけたファントムは、その人間を操れる」 「つまり、目標物に取り付かせて、ある程度弱らせて、目的の場所につれてくる。とかいう使い方ができるんだな」 「多少時間はかかるが、簡単に誘拐ができる」 「なにぶん、自分の足で歩いていっちゃうからね~」 ...
  • 761~770
    751~760 761 ①さらに続きを見る 「私は……あなたは……」 壱与は混乱している。 なぜ帝がこんなことを言っているのか分かっていない。 (壱与……帝はあなたを畏れていないのよ。ただあなたを求めてるだけなの) 「私は、あなたに……あの姿を知られたくなかった……知ったらすべてが壊れてしまう」 「なぜ?」 「私は鬼だから……人ではないから……」 「鬼でも人でも魔でも壱与は壱与だ、関係ない。いったい何が壊れるというんだ」 「……私が、怖くないの?」 「壱与が? なぜ僕が壱与を怖がるんだ?」 帝は心底分からないというように、首をかしげ壱与を覗き込む。 「僕が壱与を怖がることはない。こんなに愛しいのに」 そういって帝はさらに強く壱与を抱きしめる。 それを聞いた壱与の頬を新たな涙が伝う。 「本当に?」 「今まで君にはたくさん...
  • 491~500
    481~490 491 ②気にしないことにする (うん。筒抜けじゃないと思い込もう) そう思うものの、一度気になりだしたら見られているような気になってしまう。 髪や体を洗う時、つい周りを確認してしまった。 (駄目だ…。気になってしょうがないよ) こんな状態ではトイレひとつ入るのにも緊張してしまうだろう。 やっぱり、一度冬馬先輩に確認するしかなさそうだ。 (でも、どうやって確認しようか…) 呼べば来てくれるのだろうけど、緊急の事態ではないし気が引ける。 以前冬馬先輩が話していたように、チューニングが合えば私から話を出来るかもしれない。 だけど、このままでは自分から裸を晒しに行くようなものだ。 私は急いでお風呂を出ると、パジャマに着替え、髪を乾かして脱衣所を出た。 「お風呂でたよ…って、あれ?」 リビングには春樹と隆の姿は...
  • 561~570
    551~560 561 ①隆にも一緒に家に入ってもらう 「いまお義母さんから電話が来て、春樹が連れて行かれたっていうから慌てて帰ってきたところなの」 「春樹が?」 「そしたらチハルは泣いてるし……とりあえずチハル、ぬいぐるみにもどってね」 「……うん」 いつものように軽い音を立てて、チハルはぬいぐるみに戻る。 チハルをいったん隆のスポーツバックに入れてもらって、玄関をあける。 「それでお義母さんすごく取り乱してるの……、とりあえず入っ……」 「愛ちゃん!春樹が!あの人に連れて行かれてっ」 玄関の扉を開けた途端、お義母さんがものすごい勢いで走ってきた。 サンダルも履かずに玄関から出てくる。 お義母さんはもう泣いては居なかったが、その目は真っ赤だ。 「お、お義母さん落ち着いて」 「おばさん、こんばんは」 「あ……、隆くん、こんばんは」 ...
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