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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part591【TSトレ】
≫74二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 22:06:10
プレゼント交換会。クリスマスパーティで行われた企画の1つで、内容はプレゼントを持ち寄って抽選で選ぶ特にひねりのないシンプルなものだ。
ちなみに私は実家で父さんが趣味がてら作ってるお味噌を出した。野菜スティックを食べる時に使うことが多いけど、他にも用途はあるし無理な場合は担当にあげてもいい、それをきっかけで交流もアリ。なかなかいい選択だと思う。
「まあそれは置いといて、私の当たったプレゼントは……えーっとなになに?ホワイトサンダー?」
確か北海道限定のお菓子だっけ?真っ先に思いつくのはスペトレだけど接する機会が多い身としては何か違う気がする。じゃあ誰が……
「おー、俺のはスズトレさんに行ったんか。」
「あ、これ黒タマトレのだったんだ。」
「そうそう。ほら、うちの担当"白い稲妻"だろ?」
「あ、そういう事!?」
白い=ホワイト、稲妻=サンダー、ということか。なるほどよく考えられてる。
私の驚嘆の声を聞いて黒タマトレが満足そうに頷く。その姿は色が違うだけでほぼ彼の担当ウマ娘であるタマモクロスそのもの。担当と似た姿になったトレーナーは他にも数多いけど、それは大抵髪色も含めての物。
「あなたほど2Pカラーの言葉が似合うトレーナー、他にいないでしょ。」
「そうか?スズトレさんも髪色違うけど顔そっくりだし。」
「私は身長も違うしなぁ……2Pってよりはウマ娘姉妹の姉って感じ?似てるのは間違いないけど。」
「あー確かにそっちの方がピッタリか。2Pコンビコンビとかできると思ったんだが……」
「せめてカルテットにしよ?」
若干困惑しつつもツッコむ。……まあ、それこそ完全に天然から来てるようなメンバーと比べるとマシな方だ。それこそムントレとか……
「スズトレ君、少しいいかな。」
「何?ムントレ……ムントレ!?!?」
「……?何かおかしかっただろうか。」
「あ、ごめん。完全に私の事情。それでどうしたの?」
「実は私の分がないとドベトレ君に確認を取ったところ、抽選ミスがあったそうでね。私の分がスズトレ君のところに行ってることがわかったんだ。」
「……マジで?」
その後展開された黒タマトレとムントレのトークはツッコミ不在すぎて途中でタマが乱入した。
ドベトレは軽くゲンコツを食らった。
≫82二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 22:20:29
「さあ、まもなく始まります第4回トレーナー対抗レース。今回は4つの部門に分けての出走となります。実況は私ファイトレ(女)と」
「解説のファイトレ(男)でお送りいたします。本日の天気は曇り、しかし良馬場となっていますね。やや寒いでしょうか。」
「となれば、やはりスピード勝負になるでしょうね…さて、それでは早速出走バの紹介へと移っていきましょうか」
「1番、カレトレ カワイイはすなわちパワーとどこかで聞きましたが果たして…?」
「2番、バクトレ 適性等は大丈夫なのですが、レースへの反応が少し気になりますね」
「3番、ウオトレ(202) THE・パワーの体現者、ですがややミスマッチな一面が否めないか」
「4番、マルトレ 前回はガス欠、しかし今回は短距離ということで期待が持てますね」
「5番、ニシトレ 落ち着いた雰囲気です。流石この中では最年長なだけありますね」
「6番、キントレ 常日頃一流を自負する彼は、走りでもその一流さを見せつけてくるのか」
「7番、パルトレ やる気が満ち溢れています、世界レベルな走りを見せてきそうです」
「8番、バントレ 仮面が怪盗のようなシャレた物ですね。勝利を盗んでいくという宣言か?」
「9番、ビコトレ(小) なるほどヒーローです、ポーズからして意気込みが感じられますね」
「以上九人となります。では、まもなく出走です…」
83二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 22:21:12
───ゲートの中で控える九人、誰も彼もが引き締まった顔で開くのを今か今かと待っていた。
今回はスプリント、スピードこそが絶対正義なこのレースにおいて、出遅れは致命的にすらなりうる。
(トレーナー対抗レース、一流のトレとして勝たないとな…)
キントレは思考しながら、でも表情を変えることなくタイミングを伺う。流石一流を自負しているといえよう。
ガコンッ!
『さあ今スタートです、早速飛び出していくのはマルトレとバクトレ!』
『あれは普通の逃げですね、大逃げでも何でもないノーマルなやつです。…バ群に呑まれるのを嫌ったか』
ハナを抑えるマルトレとバクトレ、マルトレが前を抑える位置でトップに踊り出て、バクトレはその後ろをつける形に。
(スリップストリーム…少しでも長いスパートのために余力は残しておくべき)
『それに続くはカレトレとニシトレ、更にその後ろにはキントレ、パルトレ、ビコトレが追走している』
『先行差し組はやはり固まりますね、果たしてどこから仕掛けてくるのか』
…ビコトレは陸上で走っていた感覚を思いだしながら、前に走るカレトレを追うことに決めた。
(彼女から一段変わった感覚がする…)
リズムを崩さないことを優先してマークはするが後ろにつけないビコトレを余所に、パルトレは先行組の後ろに張り付いて伺う。
(仕掛けるタイミングは決めた、後は我慢よ)
『後方にはバントレとウオトレが控えているようです』
『ウオトレはこの先ついて行けるかというのは置いといて、バントレは外を狙う模様、自信があるのかな…?』
(バ群を突っ切っていくより、こちらの方が安定はする…自らの限界との勝負ですね)
始まりは逃げる二人と中央のバ群、それを追う二人という展開が広がる。それは変わることなく200mを超えた。
84二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 22:21:34
『まもなく400m、コーナーに差し掛かる所です。緩いコーナーとはいえ減速を強いられるポイントですが…』
『コースの外側で速度を維持するか、内側でスタミナを温存するか、分かれ目はここだと思いますね。』
バ群は順番を変えぬままにコーナーへ、一部…バントレとビコトレは外で速度を維持し、他のトレは内側でスタミナ温存を狙う。
(少し、自分の限界に賭けてみますか…)
(リズムを変えた方が損だとみるな…)
外の二人はそんなことを思いながら速度を維持して曲がる。一方で内側を走るカレトレは
(どうだろうなー…)
二人の狙いを微妙なものだと判断しつつ、前の逃げる二人を追う。ニシトレもその斜め後ろから追従していく。
600mを過ぎ、相変わらず動きはないままコーナーを曲がるトレーナー達。やはり短距離は流れが早い。
『もうすぐコーナーを曲がり切って800m地点、ここからはもう只管スパートを掛けて前に出るだけです。』
『次にくる坂をいかに速度を乗せて登りきれるか、そこがポイントでしょう。…そろそろ動く頃合いですね』
85二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 22:23:04
(…ここね!)
実況の通りパルトレが動き出す。残していたスタミナをつぎ込んで一気に前に踊り出ようと図る。…当然、周りも
(…仕掛けてきた!)
(なるほど…俺もだね)
…バ群が動き出す、逃げる二人を除く全員がスパートを掛けて詰めだした。マルトレは焦りを覚える。
(…まずい!?)
もう大分詰められてきていた。800mを超えて坂に差し掛かる段階では、先行の二人が後ろに貼り付くくらいで
(つめてきてる…)
バクトレも少しの焦りを感じつつ、どうにか速度を上げにかかる。彼はマルトレのことは意識から外した。
前の坂を全員が登る、ここでバントレとビコトレが同時に顔を歪めた。
(*1)
…やはりというか、外を回ったのが響いているのか、二人に余裕は周りほどない。故に加速も周り程には難しかった。
といっても、そこまで体力が切れた訳ではない。少し周りより消耗してるだけである。…その少しの差が、短距離では響くのだが。
『200m、先頭をバクトレ、続いてマルトレとバ群があがってくる。追込の二人は少しきつそうか!』
『これは…逃げの二人は厳しいですね、後ろの三人も先頭争いには参加できるか怪しいラインでしょう。』
『となれば、後は先行と差しの四人がどう動くかですね。…もうゴールは目の前です!』
86二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 22:23:34
パルトレとカレトレ、ニシトレとキントレの四人が200を切って競り合う。とうに坂を超えて後は最高速勝負と言っても過言ではない。誰が一番速いのかのデッドヒート。
カレトレがここで抜け出しにかかる、パルトレとキントレはすぐさま反応したが、ここで僅かにニシトレは反応が遅れた。
150m地点、三人は前へと突き進む、ニシトレも無理矢理加速しようとしたが転倒する可能性を考えて踏みとどまった。
100m、パルトレとキントレは外から横に並ぶ、三人は横一列でまだ加速していく。内からカレトレ、パルトレ、キントレ。
50、叫ぶようにして力を振り絞る、今までの最高速には既に達していた。それを超えて…
…もつれ込むように三人はゴール板を超えた。
『…今ゴールしました!果たして一着は…!』
『えー、撮影判定です、…少しお待ちください…』
『判定出ました、一着は…』
87二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 22:24:04
「はい、短距離部門、改めて着順は
カレトレ、パルトレ、キントレ、ニシトレ、バクトレ、バントレ、マルトレ、ビコトレ、ウオトレとなりました。…解説としては?」
「はい、やはり短距離、着差が殆どありません。ウオトレを除いて集団でゴールを超えて来ましたね。」
「先頭三人の競り合いも中々ホットなものになりました。撮影判定にまでもつれ込むのはあまりありませんね…」
「短距離はスピードこそ正義、スタミナはそこまでいらないのと、そもそも能力差が少ないのが理由とみますね。」
「これは次も熱いレースが見れそうですね。…以上、短距離の部でした。それでは…」
長文?失礼しました
リアルの有馬記念に触発されて、戻ってきたモチベとともに書き上げた短距離の部です。時間掛かってすみません。
短距離だと判断の遅れは響くだろうし、特に出ているトレーナー達に大きな差はないことを考えると中々…
こちらも私の独自判断で脚質や結果は調整しています。ご了承ください。202?彼はスピードがね…
残りダートとマイル中距離の二部門、とりあえずメンバーの決めやすい?ダートから書きます。あ、マイル中距離書きたい人は書いても良いんですよ?皆もたまには書いてみようレースss!
≫105二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 23:32:13
フラトレ→ウラトレ [ガラスの万年筆]
「あら?」
細長い箱に入っていたそれは見て。そして箱裏にある贈呈者の名前を見て。静かに思いを馳せます。……まずは使ってみましょうか。
────────────────
「……まさか先生に当たるとは思っていませんでした」
どこか複雑そうな微笑みを浮かべながら近づいてきたのはフラトレさん。このプレゼントの提供元です。
「ええ、ありがとうございます。インク壺と合わせて素敵なガラスペンでした。……しかし中々思い切ったことをしましたね」
「もしかして、まずかったですか」
「日用品の中でも筆記具はやはり【手に馴染むかどうか】が選ぶ決め手になります。手の大きさも人それぞれでしょうから、対象を選ばない交換会で出すとなると」
「割と挑戦的なチョイスになってしまうと。はは、手厳しい。無用の長物になっちゃいましたか」
「安心してください。あとは褒める一方です」
「甘くないですか?」
「先程試し書きを済ませましたが、実に良い書き心地でした。握った時のフィット感に、本体が落ち着いたグレーの色なのも大変好みです。わたしのためのプレゼントと言っても過言ではないでしょう」
「あまり褒められると、僕としては裏を読みたくなってしまいますよ? 京都的ないけずでないとは思いますが」
「お世辞だけ言い残して本音を言わないのは後悔に繋がりますので」
「……経験上の話ですか?」
「はい。わたしと来たらそれはもう後悔ばかりで、ふふふ」
「笑っちゃってるじゃないですか」
「……それでフラトレさん、このプレゼントの真意は?」
「……先生が相手では誤魔化すだけムダですね。丁寧に使ってもらえそうなガラス製で長く愛用してもらえれば、そして使うたび僕を思い出してもらえればな、と考えて選びました。……重いですかね」
「いいえ。素敵な想いです。遠くドイツへ行ってしまう事を思えば妥当なまじないでしょう」
「なんでその事を……? ……いえ、『言い残す』なんて言い回しをする以上、前から知っていたんでしょうね」
「確信こそしていませんでしたが、十中八九そうかなと。……さみしいですね」
「死ぬわけじゃないんですから」
106二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 23:33:03
「……久しぶりにお話ができたのも縁です。いつかは去りゆく僕に、なにか一筆書いてくれませんか?」
「リクエストならば承りましょう。書いてほしい希望の言葉はありますか?」
「……この道を行けばどうなるものか」
「迷わず行けよ、行けば分かるさで結ぶあれですか?」
「うーーん……いや、やっぱり先生によるオススメの逸品がみたいですね」
「……これも因果応報でしょうか」
「??」
「いいえ、先……ヘリトレさんとのやりとりを思い出しまして。ともあれそういうことなら…………」
和顔愛語
「……この言葉でしょうか」
「初めて見ました。どういう意味ですか?すました顔で愛を語ってる雰囲気は伝わってきます」
「不正解。わげんあいご、和やかな笑顔と思いやりの言葉で人に接することです」
「……表情は柔らかく言葉は優しく、といった感じですか」
「そういうことです……こちらを向いて。フラトレさん」
書いた紙を持ち上げ、自分の顔に寄せながら続けます。
「……この言葉はわたしの在り方を形成する中でもより大きなウェイトを占めるもの、その一つです」
「なるほど。納得できます」
「そして……わたしが貴方の中に見る言葉でもあります」
「……」
「長い人生の中で、またいつかこの言葉を見ることがあるかもしれません」
「……はい」
「そんなとき、わたしをちらり思い出すように……というおまじないです」
「……とんだ呪いがかけられてしまいましたね。ですが意味がありませんよ、それは」
「あら、その心は?」
「もっとずっと頻繁に。先生のことを思い出すので」
107二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 23:33:42
「……ウマ娘になってなお、腹が立つほどイケメンですね貴方は」
「見惚れたならそう言ってくれていいんですよ?なんならその白とも金ともとれぬ髪かき上げて、お耳を拝見しても」
「エイシンフラッシュ担当?」
「……それはずるいですよ」
「ずるい方法と分かってて使いにいけるのも、大人の強みというものです」ナデナデ
「図太さの間違いじゃないですか?……そしてなんで僕は頭撫でられてるんです?」
「立場というものをわからせてやろうと。あと、照れ隠しです」ナデナデ
「あー。分からせられてしまうー。……ちょっ、わしゃわしゃされるのは、ちょっ、先生!力がつよっ、先生!?」
「……照れ隠しは無事完了しましたか?」
「はい。雪原を思わせるその髪に一度触れてみたいと思っていましたので。機会がありましたら結わせてくださいね」
「フラッシュの許可が出にくそうなのでなんとも。とはいえ今日の言葉の……」
「和顔愛語」
「和顔愛語ですね。ありがとうございます。大事にします」
「ええ、和顔愛語・先意承問です。大事にしてくださいね」
「……増えたんですけど?」
「後に続く言葉もあるわけです。どうか調べてくださいねー」
「はーい」
気の抜けた応酬に顔が、心がほころぶのがわかります。
……いただいたガラスペンは今後ありがたく、そして末永く使わせてもらうこととしましょう。
(終)
≫124二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 02:52:24
「トレーナーさーん、どうもでーす」ガラガラッ
「スカイ?今日はトレーニング休みだって言ってのに。昨日キツかっただろ」
「ちょっと確認したい事があってね~、そのままにしててもらえます?」 ムンズ
「そのままに?…うぇあっ!?」
「……あれ?トレーナーさん!腰回りの太さ変わってないじゃん!」
「どういう事!?」
「実はですね──」
セイウンスカイが話すのはトレーナー間で忘年会等の影響で太り気味が流行っているという噂だった。
それならば腰が細く不健康と噂されるセイトレにも肉がついたのではないかと確認の為お腹の肉を摘もうしたらしい。
「でもトレーナーさんお腹周り全然変わってないですね、秘訣とかあるの?」
「特に何も、食べなければ太らないから」
「ええーっ、何で食べてないんですか!?まさか、忘年会行ってないとか?」
「行ったよ、悪酔いしない限り大して食べないから。……絡み酒は人に迷惑だし」
「それじゃあさ、鍋しようよ鍋。最近寒いし温まるもの食べたいな~なんて」
「ちょっと待って……一口貰う位なら食べれる、かも。ちゃんと食べ切れる?」
「任せて下さいって、それじゃあ買い物行きましょー!」
「作るの?」
「よろしくお願いしま~す」
「俺が!!?」
125二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 02:52:45
……移動中&調理中……
「お、これ……」オレンジ!
「ええぇ~っ!?果物はお鍋に入らないと思いますよ!」
「でも美味しくないか、果物?」バナナ!
「別々で食べません?トレーナーさんも食べるなら買っちゃおうか」
「ぅ……やめとこう」
「じゃあ、トレーナーさん料理お願いします!」
「俺ほんとに料理出来ないからな!?変な味になったら食べ切れるか怪しいからな!」
「まあまあ、私も見てますから大丈夫ですって」
「トレーナーさん、何してるの……?」
「ハサミの熱消毒。危ないだろ」グツグツ
「いやいや、野菜は包丁で切りましょう?」
「包丁は……切ってる最中に転けたら色々切りそうで怖い」
「ちゃんと支えるから大丈夫ですよー、ザクザクっとお願いします」
「具材も切って、出汁と一緒に入れて、後は煮込むだけですね」
「……材料切って袋詰のスープ入れるだけなのに無茶苦茶疲れた」
「お疲れ様でーす、それじゃトレーナー室まで持っていきましょうか」
「わかった、カセットコンロ一つ借りてくる」
「あれ、七輪持ってませんでした?炭切らしたとか?」
「締め切った室内で七輪使ってるのは怒られそうだから……」 ※換気すれば出来るそうです、危ないのは練炭だとか
126二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 02:52:55
「それじゃ、ストップウォッチで時間測るか」
「そんなにしっかりしなくても良いと思いますけどねー」
「変な味になったら困るから」
「真面目ですねー。あ、この雑誌読んでもいい?」
「いいよ」
「ありがとうございまーす。……トレーナーさん、旅行好き?」
「……旅行?」
「競走バ雑誌と一緒に旅行雑誌置いてありましたよー」
「……別に好きって程じゃないよ。新幹線は寝るのに楽だから好きだけど」
「またまた~、それならこの旅行雑誌はどうしたんです?」
「楽しい話じゃないけど、聞きたい?」
「うーん、また隠し事は嫌ですから教えて欲しいな……」
「……本当に?気にすると悪いから聞かせるつもりはなかったけど」
「でもそれで大変な事もありましたから。大事になる前に教えて下さいね」
「ぅぐ……わかった。前の俺が行った事があるらしい場所巡ってる。何か思い出すかもしれないから」
「そんな迂遠な事を、実家に帰らないんですか?」
「帰れない、止められてる」
「……そうなんですね」
「スカイは気にしなくていいよ、出来る事はやってるつもりだから」
一呼吸分の沈黙の後、セイトレは続ける。
「隠し事は良いとは言えないけど、こういう事話すのはもう少し考えようか」
「……そうですね、ちょっとセイちゃんビックリしちゃいました」
「ごめん。でも俺は一緒に鍋を突けて嬉しいよ、家族団欒も知識でしか知らないからな、ありがとう」
「どういたしましてー。そろそろ鍋良さそうですね、ちょっと冷めてから食べるからお先にどうぞ~」
「じゃあ先に貰うぞ、一口だけ」
「もっと食べても良いのに、遠慮しなくても良いんですよ~?」
「一口が限界だから……」
127二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 02:53:08
蓋を開けるとグツグツと煮えた鍋に白菜、豚肉、白身魚が並んでいる。
セイトレは肉と野菜を一切れずつ取り、白菜で包み、スカイに下ろしてもらった(セイトレは下ろせなかった)大根おろしとポン酢をかける。
どうせ沢山は食べれないと一口で頬張り、咀嚼した。
「あふっ、ふっ……美味しい、生姜だっけこれ。温まるね」
「もう少し食べても良いんですよー?」
「いや、後は出汁少し貰うだけで十分かな」 ズズズ
「もうちょっと冷まさないとセイちゃんには熱すぎるんですよね。ささっ、もっとどうぞ!」
「……考えたな?」
「何の事でしょー?」
温められている鍋はそう簡単に冷めず、猫舌のセイウンスカイへの適温は彼女のタイミング次第でしかない。
一人分というのも最初からセイトレが食べきる為の量かもしれない。
食べきれない事について仔細話してないから仕方ない、と心中呟きセイトレは鍋をよそう。
おろしポン酢に具材の上に載せ、ふーふーと口で冷ました。
「はい、スカイ。あー」
「ふぇっ!?」
「口開けて、冷ましたから。あー」
「あ、あー…ん。はふっ、あふ」
「まだ熱かった?もう少し冷まそうか」
「んんっ!?」
「ちゃんと食べ切れる様に冷ますからな、残さず食べるように」
128二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 02:54:28
寒くなってきたのでお鍋が食べたくて書きました。結果的にセイちゃんにあーん出来て満足。
あー、までしか言ってないのは恥ずかしいからです。
茶化し気味だったり敢えて触れなかったりしてたセイトレの食事問題に触れようか迷ったけど食事前にする話じゃないと別問題に。
暗くなりすぎない程度に触れようとしたら普段とほぼ変わらない遠回りな触れ方になりました、ちゃんと中和して書けるのかなぁ……?
他トレーナーさんとも絡みたい気持ちもあるけどソレばかり先行して空回りしない程度に頑張りたいところ。
筆が遅いので中々皆さんの流れについていけません、マイペースに動きます。
≫141二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 08:30:17
[あれこれと、悩むこともあるわけで]スぺトレ→ギムレット
「あれ、どうしたんですかギムレットさん。腕を組んで考えてますけど、何か困りごとでも?」
「スペシャルのか。何、こうなってから色々と助けられたのにプレゼント交換で何もしないのも道理に合わんと思って俺もプレゼントを用意したは良いんだが、まさか俺にまであるとは思わなくてな。面食らってたところさ」
「うーん、でも良いんじゃないですか? ウオトレさんはウオトレさんで、ギムレットさんはギムレットさんで用意してきたんですから、ギムレットさんにだって貰う権利はありますよ」
「まぁそれもそうだな。俺とボウズで2つ用意したんだから2つ貰ってもバチは当たらんか」
「その心意気ですよ。それで、ギムレットさんは何を貰ったんですか?」
「ちょっと待ってな。今開ける……これは、『北海道特産品ギフトカタログ』?」
「あ、それ俺が用意したヤツですね。北海道の物を贈ろうと思ったんですけど何かアレルギーとかあったらいけませんし、それに特産品と一口で言っても色々とありますからどうせなら選んでもらおうかなと思ったんです。美味しそうなものばかりですからどれもオススメですよ?」
「ふーむ、色々あるな……困った、そもそもこういった物自体初めてだから何を選べばいいのかさっぱりわからん。スペシャルの、どうやって選べばいいのか教えてくれると嬉しいんだが」
「勿論ですよギムレットさん。といっても好きな物を選べばいいと思いますよ?ほら、この『ふらのにんじん三種詰め合わせセット』とかニンジンが好きなギムレットさんには良いと思いますけど」
「ニンジンか。それも悪くは無いんだがなぁ……」
「……?ギムレットさんってニンジンが好きでしたよね?特産品に選ばれるぐらいだからトレセン学園で食べる物と比べても美味しいと思いますけど、……何か気になることでもありましたか?」
「いやそれなんだがな。……うちのボウズはニンジンが苦手でな。嫌いってワケじゃないんだが、それでも好きでもないものを頼むってのも気が引けるだろ?」
「なるほど。でもなんとなくわかっちゃうかもしれないです。俺も自分が美味しいと思う物を苦手な人の横で楽しめるかって言われたら正直自信ないですし」
142二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 08:30:40
「だろ?だから色々と見ているんだが、目移りしていまいち決めきれないのが正直な所でな。……そうだ。スペシャルの、お前ならどう選ぶ。俺はそこらへんに疎いから、お前の意見を聞かせてもらえるとありがたいんだが」
「俺ですか?そうだなぁ……俺ならスぺの好きな物を選びますかね?」
「ほう、その心は?」
「スぺと一緒に食べたいから、ですかね?このカタログで手に入れたものを食べるのを想像した時にどうしても彼女の顔が浮かんできて、彼女の喜ぶ物を選びたいなぁって思うんです」
「なるほど、彼女はいつも美味そうに飯を食べるからな。一緒に食べるなら相手の好きなものが一番か」
「でしょ?だから、ギムレットさんもウオッカちゃんが喜ぶようなものを選べばいいんじゃないかと思うんです。それならきっとウオトレさんも喜ぶと思いますよ」
「ウオッカが喜ぶ物、か。それは盲点だったな。ありがとうよスペシャルの、俺もその方向で考え直してみるよ」
「どういたしまして。……あ、この石狩鍋セットとかどうです?」
「いや、こっちのジンギスカンセットの方が字面もカッコイイからウオッカも喜ぶんじゃないか?」
「いやいや、それならこっちのほうも……」
「それを言ったらお前こっちの方が……」
隣にいるスペシャルウィークのトレーナーと顔を突き合わせてカタログを覗き込む。目移りしそうなぐらい良いものばかりのギフトカタログは、2人で読んで考えても中々に答えを出すには時間がかかりそうな代物だが、短気な自覚のある自分にしては不思議と面倒くささや苛立ちとかそういったものは感じない。誰かと共に悩むということが、ウオッカのために何かを考えているということがそれを上回るぐらい楽しいのだろうか。
(おいボウズ、お前は何が良い?)
(そうだなぁ……皆で食べられる奴が良いかな。何ならニンジンでも俺は構わないぞギムレット)
(ニンジンを目の前にして顔顰めてたやつが何を言うか。それはそうとしてチーム全員で食べられるやつだな。了解した)
3人になって考える。これはどうだろうか、あっちはどうなのか。だが、この議論に決着が着くのにはまだ時間がいるということ、そして後日トレセン学園の一角で7人のウマ娘による宴会が開かれたということだけは確かだった。
≫150二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 09:04:00
トレセン学園、そのターフの上で
一人のウマ娘が只管に走る。トレーニングの一環として走り込みを続ける彼女は大分前からこのターフを走り続けていた。
「頑張ってるなぁ…」
一方で、それを遠くから眺めて呟いたのはスペトレ。たまたま見かけたので足を止めて見ているだけなのだが。
(いつからやってるんだろうな…ってあれ?!)
───走りを止めた彼女は、その場に座り込んだのか倒れたのか、遠目ながらに低く見えた。
(大丈夫だべか!?)
心配になったスペトレは、慌てて駆け出してその娘の元に向かった。
「大丈夫か…ってサトトレ?!」
「…はぁ……はぁ……」
荒い息でぺたりと座り込んでいたのはジャージ姿のサトトレ…その体から白い蒸気が立っているようにすら見える。
「あ…スペトレ…はぁ…僕は…大丈夫…はぁ…」
「…とりあえず、息を落ち着けてからで良いからサトトレ」
顔を向けて途切れ途切れに話してくるサトトレ、髪で半分隠れている顔も大分赤く染まりスペトレに変な感覚を植え付ける。
「はぁ……ふぅ…」
立ち上がったサトトレはおもむろにジャージの前を開け、上着を脱ぐ。ターフの上にそれを投げると体をのばす。
───汗で張り付いた服は、彼女のボディラインをくっきりと見せ、発熱したことで扇情的な彼女をより引き立てる。
「〜ッ、その格好は寒いぞサトトレ!」
スペトレも僅かに顔を赤らめると、投げてあったジャージの上をサトトレに着せる。サトトレは振り返ると
「わふ、…僕は大丈夫、むしろ暑いから一旦薄着で放熱しないとつらいんだ。…でも心配してくれたんでしょ?」
「そ、そうだな…」
「まああんまりするべきじゃないのは分かってるし、限度は見極めてるから大丈夫だよ。」
「なら良いが…」
とりあえず納得したスペトレに、サトトレは改めて赤い顔のまま笑顔を向ける。…それは周りから見れば色々アウトな光景であった。
───そのスペトレとサトトレが共にいるのを見かけた人は、ある意味で勘違いしそうになったらしい。
短文失礼しました
サトトレの発熱、本人は至って真面目でも周りからすれば扇情的な光景でしかないという話。悲しいねバナージ。
スペトレもおかん属性とはいえ、そんなものを見せられて反応しない訳ないだろうしサトトレも一々動きがね…
≫154二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 09:27:14
プレゼント交換会 グルトレ
今日はクリスマス。私はトレーナーたちによるプレゼント交換会に参加した。私の作ったプリザーブドフラワーを使用したフラワーアレンジメントは喜んでもらえたらいいな。そう思いながら自身の手に来たプレゼントボックスを確認する。中身はなんだろうか。
「竹炭…?」
「ああ、それは私がご用意したものですね」
声の方へ向くと、仮面をしたウマ娘。バンブーメモリー担当トレーナーことバントレさんがいた。なるほど、だから竹炭。
「こんばんは、メリークリスマス。バントレさん」
「こんばんは、グルトレさん」
「ところでこの竹炭って何用ですか?」
「グルトレさんは竹炭の用途に知識がおありのようですね」
竹炭には様々な用途がある。消臭や除湿にはじまり、炊飯、飲用水、園芸、お風呂、枕や花瓶と幅広い。この竹炭がどの用途で使えるものかは確認しておきたい。
「少しだけですけどね。グルーヴと花壇の手入れをするときに使ったことがあったのでその際に調べたら色々と出てきて、驚かされました」
「そうでしたか。今回ご用意した竹炭はお風呂用のものになりますね」
「そうなんですね、竹炭を使ったお風呂はちょっと気になっていたので嬉しいです!ありがとうございます」
「喜んでいただけて私も嬉しいです。竹炭とは別に入れるための網も入っていますのであわせて使ってくださいね」
そう言われ、プレゼントボックスを再度確認すると、ネットが入っていた。
「使用前に一度竹炭を軽く水洗いしていただき、浴槽に湯張りを始めた時に網に入れた竹炭を入れてください」
「溜まってから入れるんじゃないんですね」
「そうですね、必ず始めに入れてくださいね。湯張りが終わったら竹炭を取り出していただき、いつも通りお風呂に入ってください」
「なるほど…手入れとか使用制限とかってありますか?」
「いい質問ですね。竹炭に含まれる無機質が作用するのは20回程度ですが、その後も水道水に含まれる一部の成分を吸着してくれますので、1~3ヶ月ほどでしたらお使いいただけます」
「すごいですね」
「長持ちさせるためにも、使用後は水気を切ってから必ず風通しの良い場所で自然乾燥させてください。そうですね、1週間に1度水洗いしてから天日干しすると活性化しますのでおすすめです」
「なるほど、ありがとうございます!有効的に使わせてもらいます!」
155二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 09:27:36
交換会後の交流を終え、トレーナー室に荷物を取りに戻るとグルーヴがソファーにかけていた。
「遅かったな」
「うん、色々とね」
「その箱はなんだ?」
「交換会の、お風呂用の竹炭だよ。あとで一緒に入ろ」
今日はこのまま彼女と自宅で過ごす予定だ。食事のあとのお風呂に早速使おう。今日はよく冷える、お風呂でゆっくりと彼女と温まるのもいい。
「夜は長いからな」
「ゆっくりあったまってからでも良いよね」
彼女は立ち上がり、荷物を手にして私に歩み寄る。コートに、マフラーが彼女の手によって身につけられる。今日の彼女は少しだけ、せっかちさんだ。今夜のことは彼女からの誘いだった。普段はだいたい私からの誘いなのに、珍しくて、それが嬉しくて仕方なかった。
「帰るぞ」
「うん」
トレーナー室を出て、イルミネーションに彩られた道をゆくバスの中で誰にも見られないようにそっと指を絡める。今夜はいつもより、ずっとずっと素敵な時間にできたらいいな。ほんのりと頬が赤くなる彼女を見ながら、そう思った。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part592【TSトレ】
≫6二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 10:48:50
「な、なあスズカ…これってどういうことなんだろう…?」
「…トレーナーさん?あれ、でもトレーナーさんは男の人、ですよね?どうして…?」
「まず説明させてはくれないか。」
「…はい。」
「朝起きたらウマ娘になっていたんだ。」
「?」
「まあそうなるよな。わかるよ、僕自身そうだから。」
「でもこれは現実なんだ。昨日男性、いまウマ娘。それがいまの僕だ。」
「ウソでしょ…トレーナーさんがウマ娘になってる…。」
「とりあえず理解してもらえて嬉しい。」
「理解は出来ていませんけど…。」
「そうか…。納得はしてくれるか?」
「するしかないですよね…。」
「ありがとう。そしてすまない。」
「いえ、トレーナーさんが謝ることでは。」
7二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 10:49:17
「担当を困らせせるのはトレーナーとしては失格さ…。そして、スズカ。失格ついでに聞いてもいいか?」
「…はい。」
「服、貸してくれない…?」
「…はい?」
「前まで使ってた服がダボダボで正直しんどい…。背格好はスズカとそう変わらないし、鏡で見た感じスラッとしてるから多分着れる…と思うんだ。」
「いやでも、急にウマ娘になったとは言え元男のトレーナーに服を貸してくれ、なんて気持ち悪いよな。気が動転して変なこと口走った、忘れてくれ。」
「大丈夫ですよ、トレーナーさん。私の服でよろしければ。」
「えっ…スズカ、いいのか?」
「私としても、その、ブカブカでいつ脱げてもおかしくない服を着てるトレーナーさんはちょっと…心配なので。」
「すまないスズカ…。本当にありがとう。すぐにでも自分の服買いに行くから、それまではお願いするよ。」
「ふふ…そんな。すぐじゃなくてもいいですよ。何着か貸してあげますから。」
「うぅ…恩に着る…。」
「じゃあ、さっそく着替えましょう。少し待ってて貰ってもいいですか?今持って来ますから。」
8二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 10:50:21
「ぴ、ぴったりだ…。驚くほどに。」
「ほんとに、そうですね。髪色は私より少し薄いですけど…。なんだか私がもう一人いるみたいです。」
「遠くからみたらわからないかもな…。」
「姉妹にみえちゃうかもしれませんね。」
「姉妹、か。はは…スズカみたいな美人さんが姉か妹なら、嬉しいな。」
「ええっと…美人ってそんな…。それに、トレーナーさんみたいなお姉さんがいてくれたら…私も。」
「スズカ?」
「…!い、いえ、なんでもありません。」
TSスズトレ
身長は158cm
スリーサイズはB71-W53-H79
バストは気持ち少し大きく、身長はほんの少し小さい、ウエストとヒップは同じで
髪色はスズカさんと比べると少し薄め
遠目でみればほぼスズカ
脚質は真逆の追い込み、だといいな
≫37二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 11:16:34
「ねえ、スズカ…この服はちょっとボクには幼すぎない?」
「そうでしょうか…。でも絶対に似合うと思うんです。トレーナーさん可愛いですから。」
「スズカがそう言うのなら。待ってて、いま着替えてくるから。」
「着替えて来た…けど、どうかな?」
「…!やっぱり可愛いです、トレーナーさんっ。」
「わっ、ちょっ…あ、頭を撫でないで…。」
「んぅ…ごめんなさい。ちょうど、撫でやすい位置だったので…。」
「ん…でもいいよ。なんかちょっと、嬉しかった、かな?あ、あはは…なんか変な気分。」
「…トレーナーさん、今度買い物行きませんか?服だけじゃなくて、小物も揃えてみましょう。」
「う、うん。スズカ、頼む…ね?」
「はい。任せてください、トレーナーさん。」
とかして欲しいんだ…
≫47二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 11:39:37
「髪って邪魔じゃない?切っちゃおうかな、バッサリと。」
「切っちゃうんですか?トレーナーさん。」
「うん、思い切って短くしようかなって。そもそも僕は髪のお手入れとか、よくわからないし。」
「私が教えますよ?それに、せっかくこんな綺麗な髪なのに勿体ないです。」
「ううーん?そうかなあ。まあこういうのは女の子の意見に従うべきだよね。すまんスズカ、お手入れのいろは教えてもらってもいいかな?」
「大丈夫ですよ。一から教えてあげますから。」
で、優しく丁寧に解説してくれるスズカと、なまじ真面目だからせっせとメモを取るトレーナーさん
初めのうちは、うわー難しいなあ、こんなの毎日やるんだ…と思ってたけど、時間が経つにつれて綺麗な髪を維持する楽しさを知って欲しい
スズカさんとスズトレさんは二人して綺麗な栗色してますね!と周りから言われてちょっと自慢げにしていて欲しいの…スズカのおかげだよ!ってニコニコしてて欲しいの…
≫87二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 12:41:58
ではでは
ウマ娘になってから少しばかり時間が経った。
この身体にも慣れてきて、知ったことがある。
ウマ娘は、走る…という欲求に逆らえない。
楽しい、とても楽しいんだ、走ると言う行為が
前のボクは、知識としては知っていた。しかし、いざ自分がその身になってみると、自らの脚で風を切る楽しさ、ゴール板を突き抜ける達成感…これは何事にも代え難いものだと知った。
と言ってもボクは一トレーナーに過ぎない、トゥインクルシリーズに参加する〜なんて大それたことは出来ないのだ。
しかしまあ、スズカとのトレーニングに活用出来るのは便利ではある。
そして今日も、ボクはスズカと共に併せ走をしていた。
「ふぅ…逃げウマ娘の瞬発力、スピード、スタミナ…。なるほどな、これは確かに…。」
「お疲れ様です、トレーナーさん。」
「ん…ありがとう、スズカ。」
スズカがボクにタオルを渡してくる。汗ばんだ身体を拭いて、一息つく。
88二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 12:42:29
「流石だなあ、スズカは。差し切れる気がしないよ。」
「トレーナーさんの脚質は追い込みみたいですから、もう少し長い距離の方が長所を活かせるかもしれませんね。」
今日のコースは芝1800m。まあ、確かにちょっと短いかな。あともう少しで差し切れるんじゃないか…?という気持ちが拭いきれない。
「そうは言っても異次元の逃亡者に追いつくのは厳しいかな。ボクは根っからのウマ娘ってわけではないから。」
「んぅ…そういうものなんでしょうか?」
「そういうものみたいだよ。…ヨシ、あと一回走って今日は終わりにしようか。」
もう日も落ちてくる時間だ。あと一回、それで終わりにしよう。
「…トレーナーさん。」
さあ走るぞー、とスタート位置へと歩みを進めていた時、不意にスズカが声を掛けてくる。
「ん、なに?スズカ。」
「ハンデ戦で一度走ってみませんか?私は1000mを1分と少しで周ります。トレーナーさんはハンデなしで、全力です。」
そんな提案をしてきた。ハンデ戦か…これ、勝機あるかな?
89二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 12:43:00
「いいのか?スズカ。」
「はい。逃げる私を、差し切ってみてください。」
スズカはボクにやってみせろと言う。ふむ、ならばこなしてやるのがトレーナーというものか。
「じゃあ、それで頼む。…せっかくハンデを付けてくれるんだ、ボクが負けたら、そうだな…何かスズカのやりたいこと、なんでも一つやってあげる。」
「…では。」
二人のウマ娘がスタート位置に着く。一瞬の静寂。スターター代わりの時計が、声をあげる。
「…!」
スタートした。
(いつものペースとは幾分遅めのスズカ…。いけるか?)
体感、スズカのペースは1000m1分と1秒前後といったところ。ボクの脚はまだまだためがある。
(…っ。ここだ!)
ボクは最終コーナーを回る寸前、勝負を仕掛けた。残りは直線のみ、差は三バ身…そしてニバ身…縮まっていく。
…と、縮まっていた差がまた少し拡がっていく。
(ちょっ…!なんかスピード上がってない!?)
ハンデとはなんだったのか。スズカは加速を始めたかと思うと、ボクを引き離し、ゴールへと一直線に駆けていく。
90二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 12:43:23
「…ここまで、来たら!差してやる!」
ボクもペースを上げ、加速。スズカを差し切る、そんな強い意志で溜めていた脚をドンドン解放していく。
いけ!いけっ!
───しかし、
「…届かな、かった。」
それが現実である。異次元の逃亡者の名は、伊達ではない。拡がった差は縮めようがなく、ボクはスズカに、負けたのだった。
「はぁ…はぁ…悔しい、な。」
肺をフルに動かし、大きく息を吐く。
「…トレーナーさん、ごめんなさい。最後、ちょっとだけ本気を出しちゃいました。」
「いや、いいんだ。…うん、正直、悔しいんだけど、それ以上に爽やかな気分だ。ウマ娘のレースを面白いと感じる理由、それがよくわかった、いいレースだった。」
本当にそう思う。差し切るのか、かわせるのか、その瞬間がボクの心を熱くさせる。
とても、楽しかった。
「…さて、罰ゲームの約束もあったな。スズカ
、何かお望みはあるかな?」
忘れるところだった。レース前に交わした約束。なんでも、とは言ったが何を求められのか。
91二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 12:43:42
「…それなら、その…。」
「うん。」
「明日は一日中私のこと、お姉ちゃんって呼んでくれませんか?」
「…うん?」
これはちょっと予想外、というか。お姉ちゃん…お姉ちゃん呼び?歳の差とか、その…道徳的に大丈夫?
「いえ、トレーナーさんが嫌なら、大丈夫です。」
「嫌っていうか、スズカはいいの?それで。」
むしろ、元男のトレーナーにお姉ちゃん呼ばわりされるの、かなりキツくないかな?
「いいんです!…少し、興味があったので…。」
「えっと…うん、なら罰ゲームはそれで。」
「…!はいっ、明日はよろしくお願いします、トレーナーさん。」
明日の予定は決まった。ボクは明日一日、スズカをお姉ちゃんと呼ぶことになる。
…トレーナーと担当ウマ娘の関係としてはどうなのだろうか?
だが、スズカがいつもよりも嬉しそうにみえたから、ボクはそれならいいかと納得したのだった。
≫172二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 18:49:32
「…付き合ってくれてありがとうスズトレ(妹)」
「構わないよ、…走るのは楽しいからな。」
ターフの上で、ジャージを着込んだサトトレとスズトレ(妹)はストレッチをしていた。その理由は勿論───走るため。
「…でも、ボク達以外には誰もいないけど…」
「その相手は勿論僕だよ。同じ追込だから、互いに参考になれば良いかなって思ったんだ。特にレースには活かせるはずだし。」
「あー、なるほど…」
「それに、走る…だけじゃなくて、きっとそれ以上に心が躍るのがレースなんでしょ?だから楽しんでほしいんだ。」
「…ああ、分かった!」
「じゃあ、始めようか。そうだね…2400で競ってみよう。」
サトトレはタイマーをセットする。ゲートがあるように身構えて、アラーム音と共に二人は飛び出した。
…たった二人の模擬レース、当然スローペースだがサトトレによってコントロールされている。スズトレはそれについていく。
「…いいね、もっと僕を追いかけてよ。」
「もちろん!」
…レースはそのまま進んで1600m、3分の2を消費した所でサトトレはあえてスパートを掛ける。追込らしい高加速で伸びる。
スズトレも当然反応して少ししてから詰めにかかった。スタミナもこれなら足りると自分の感覚を掴む。
「そう、もっと詰めてきて。…スズトレが求めるものもきっとここなんでしょ?」
「…!」
サトトレの声にスズトレは更に踏み込む。その差は縮まり、サトトレに並びかける。…そのタイミングで更にギアを上げる二人。
───今の二人を支配するのは湧き上がる高揚感、そして勝利への渇望。そう、どちらが差し切って勝つかの勝負。
互いに抜いては抜かれての競り合いを演じる。当然の様に速度は上がり、ヒートアップした感覚のままに…
(…勝った!)
173二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 18:50:30
…決めたゴールを超えて、ゆっくりと止まる二人。スズトレの元に歩み寄ったサトトレは手を差し出し
「どうだったかな?楽しかったよね?」
「…そうだな」
スズトレがその手をしっかりと握り返してきたのをみて、サトトレは笑った。
「…休んでからもう一回、余裕があるなら走るかい?」
「…なら、もう一回頼む。」
スズトレも笑顔で頼む。……その時、そこには走ることを楽しむ純粋なウマ娘が二人いたのだった。
末脚のヒントレベルが1上がった!
短文失礼しました
スズトレ(妹)と走ることを楽しむサトトレ。追込ステイヤーにして(ある)影響受けてるのも一緒という繋がりですね。
追込同士の競り合いと、参考にもなってスズトレもいつもとは違って楽しめるレースではないでしょうか。
製作者さん、借りて描写したスズトレに解釈違い等あれば遠慮なく言ってください。私がお詫びいたします。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part593【TSトレ】
≫126二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 23:55:25
最初の気持ちは戸惑いでした。
だって、昨日まで男性だったトレーナーさんが次の日にはウマ娘になっているんですよ?
理解…するのには時間が掛かりました。納得は…するしかなかったのでしましたが。
年上のトレーナーさん。私と似た姿の、私よりも少し背の低い、トレーナーさん。
次に思ったのは、私にとってお姉さんになるのかしら?という考え。私に逃げの才を見出してくれた、的確なトレーニングメニューを組み、レース終わりのケアも巧みで…。はい、信頼できる人です。だから例えウマ娘になろうとも、それは変わらないって、私のトレーナーさんへの信頼は変わらないって、そう思っていました。当然、いまも思っています。
ウマ娘になってすぐのトレーナーさんは。
「服、貸してくれない…?」
「髪のお手入れとかよくわからない。」
困惑していました。女の子として生活する基本を知らなかったのですから、当然です。
127二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 23:56:21
私はトレーナーさんに、ウマ娘として生きるための生活のいろはを教えることにしました。
トレーナーさんは姿形が変わったとしても、真面目さは変わらず、次第に髪や尻尾のお手入れも一人で出来る様になりました。
服ですか?それは…ちょっと、センスが。
「スズカ、どうかなぁ?女の子が着てそうな洋服買ってみたんだ!」
「あの…これってなんでしょう?」
「肩パッド!」
「……。」
壊滅的でした。それに、ちょっと目を離すとすぐ男物の服を買ってきちゃいます、んぅ…せっかく素材がいいのに。結局私が毎回買い物に付き合うことになって…え?違います、わざとそういう服を選んでるわけじゃありません。トレーナーさんにはそういう服が似合うんです。トレーナーさん、とっても可愛いので…白のワンピースも合いそうですね、週末買いに行きましょう。私の分も。
…呼び方、ですか?はい、これだけは譲れません。
「お…お姉ちゃん。」
128二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 23:56:38
可愛いらしいですよね、トレーナーさん。
一日だけの約束のつもりが、収まりが良かったので今も続いています。
ふふ…しっかり者のお姉さんだと思っていたのに。手のかかる妹みたいですよね。
最近は私がプレゼントしたリボンがお気に入りみたいです。尻尾に付けてニコニコしています、愛らしいです。
それと、トレーナーさんはこんなに可愛らしいのに走っても凄いんですよ?一度、ハンデを付けてレースをしたことがあるんです。私は、そうですね8割の力で、トレーナーさんは全力で。芝1800mでした。
トレーナーさんの脚質は追い込み。最終コーナーで私を差し切ろうと加速してきました。…その時の私は、ハンデを付けていたことも忘れて、ちょっと本気を出してしまいました。このままじゃ差し切られちゃうかもって、そう思ったんですね。結果は私の勝ちでしたが、例えハンデがなかったとしても距離が違えばもしかしたら…。
129二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 23:56:56
「あっいたいた。お姉ちゃん、今日のトレーニング始めよう?」
…トレーニングの時間が来ました。まだまだ語りたいことはありますが、ごめんなさい。時間が足りないみたい。
「トレーナーさん、今日のトレーニングは追い切り、でしたね?」
「うん、ボクも一緒に走るから。頑張ろうね、お姉ちゃん。」
「はい。今日もいっぱい頑張りましょう、トレーナーさん。」
楽しみです。今日もトレーナーさんと一緒に走れる。トレーナーさんも私と走るのが楽しみみたい。
…お姉ちゃんって響き、いいですよね。
妹のようなトレーナーさんと、私。
この景色だけは譲れません。
≫160二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 09:12:35
「…ファイトレ(男)さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよクリトレ(小)、ちょっと昨日飲み過ぎただけだから…」
「痩せ我慢は良くないですよ…」
…少し悪い顔色で、それでもしっかり立って話すのはファイトレ(男)、そしてそれを心配するのはクリトレの二人だった。
「飲み会に付き合ってたのは知ってますけど、何もはしご酒しなくても…」
「いや…まさかトレーナー同士で飲む予定と別の知り合いと飲む予定が急遽被る事になってね…思い切ってどっちも行ったからね…」
「それで二日酔いですか…その状態でよく動けますね…」
「…ファインに情けない姿を見せるのはちょっと。これくらいの軽い二日酔いなら大丈夫大丈夫…」
クリトレの二人に大丈夫と言いつつ、フラフラしそうになるのをとりあえずその精神力で抑え込むファイトレ。
「…あ、二日酔いに効く薬あったはずだからドリンクと合わせて僕が取ってきますね!」
「とりあえず、ファイトレさんはこっちで座って待ちましょうか…」
「ん……なら、頼むね二人共。」
…いくら抑えているとはいえ、流石にこのままではある意味まずいと判断したファイトレは大人しく二人に頼んだ。
クリトレ(眼鏡)が指した椅子に座りつつ、息を吐いて凭れるファイトレ。でもその淑女らしい振る舞いにボロはあまりない。
「…きついはずなのに、細かい所作に気をつけなくても…」
「…一応外だから、常に意識はしてるよ。こういうのは積み重ねだからオンオフはしっかりしないとね。」
「…ファイトレさんも、無理しないようにしてくださいね」
「…心配してくれてありがとうクリトレ(眼鏡)」
「…持ってきましたファイトレさん!」
「助かるよクリトレ(小)」
ファイトレはそれを受け取りつつ、改めて感謝を示す。クリトレ'sはそれに笑った顔を向けて、返したのだった。
短文失礼しました
同年齢なのと担当が育成イベで絡んでるクリトレ二人を借りて一本。思い切って二日酔いしちゃったファイトレが世話されてます。
ファイトレは担当そっくりなので、顔色がアレな状態で動き回ったら色々面倒事になると踏んで受け入れてます。
≫189二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 10:56:02
埋めがてら、お酒の話出てたのでスズトレ(妹)のお酒の強さでも、あとでwiki入れておきます
「トレーナーさん…お酒飲みに行ってるんですか!?」
どうしましょう、絶対に酔い潰れているわ…。迎えに行かないと…。
「あっお姉ちゃん。どうしたの?そんな慌てて。」
「…えっ?トレーナーさん、お酒大丈夫なんですか?」
「?ボク一応25だよ?それに元々結構強いからね。」
アルコールバチくそ強いスズトレ(妹)
いくら飲んでもケロッとしている
どう考えても弱そうな属性なのに、日本酒一升瓶ぐらいは飲んでもオチない、少し頬が赤くなるぐらいで済む
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part594【TSトレ】
≫59二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 12:58:12
☆犬じゃなかったかもしれない
タイキは年末にアメリカ帰省する年もある。そうじゃない年もある。例えばご時世柄、海外渡航がどうにも面倒くさいとかなんとかって場合……つまりは今日この頃ってわけですが。
「そんなことよりミカンくだサーイ」ヌクヌク
「そんなこと言うたねタイキ。ていうか目の前にあるんだから自分で取りなさいよ」
「寒くてコタツから手が出せまセーン……トレーナーさん、ミカン剥いてワタシの口にプリーズ」
「イヤ。寒さに耐えながら剥いた人の特権なんよこれは。大体暖房もついてんだから、そこまで寒くないでしょーに」
「ムーリィーー……」
「普段のワンコムーブはどしたー?庭駆け回ってもいいってのに」
「……ワタシ、イヌじゃなくてネコでーす」モゾモゾ
「いやウマ娘ウマ娘。てかコタツん中潜るんじゃない」
「(大きいコタツを用意してくれてセンキュー!)」
「くぐもった大声が聞こえよる。……んなとこにいると蹴るよー」ゲシゲシ
「(フッフッフ!そんなことでは屈しまセーン!ツーン)」
「……出てこないと悲しい事になるよ」
「(……どうなりマスカ?)」
「目の前にある沢山の剥いたミカン、ぜーんぶ自分が食べちゃう」
「ノーーーーーーゥ!!?)」ガタガタガタ
「出るにしても静かに出なさいタイキィ!!」
その後、首だけ出したタイキへのミカンの餌付けがしばらく続いた。
うまぴょいうまぴょい
≫72二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 13:50:49
「いやー、いい雪だね!」
「寒い…ねぇ帰して…」
「え、ヤダ」
2人は雪の降る街を歩いている。人通りは案外少なく、イルミネーションが雪を照らしている。
「雪で濡れるの嫌なのに…」
「悪かったって、謝るからさ」
そんな愚痴を垂れつつも隣で歩いてくれるトレーナーには感謝しかない。今はファーのついたフードを深く被っているせいで顔も耳も見えないが。
「飲み物買ってくる。何飲みたい?」
「なんでも〜」
そう答えるとパタパタと走っていく。
空を見ると、やはり雪が降っていた。今年はホワイトクリスマスだなんだと色々なところで言われて辟易させられていたが、案外いいものだ。
ぼーっと空を眺める。真っ暗で、何もかもを吸い込んで何処かに隠してしまいそうな雲。あの奥に果たして何があるのだろうか。
視線を戻すと、自販機周りに何人かがもつれていた。
73二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 13:51:18
見るとトレーナーと、何人かの男が言い合っている。手を掴まれている。
道を聞く程度なら許すつもりだった。でも、眼前の行為は流石に看過できなかった。
「ねぇキミたち、何しているんだい?」
「ああ、何ってちょーっと誘ってるだけですよ」
1人の、ピアスをつけたチャラい男がそう言う。タバコをふかしている輩もいる。トレーナーの体を触ろうとする輩も。
ぷつんと、音がした。
「シービー、私は大丈夫だから。もう少し待ってて…」
「いや、その必要は無いよ」
トレーナーの静止も意味をなさない。目の前で大切な人が危害を加えられそうになっているのだから。
「ところで…君たちは自分が何をしているのか、分かるのかな?」
「はぁ?なんだこのアマ」
「こいつもやっちまうか?」
「つくづく救えないね…」
そんなことを言っている男たちに、あっち、と言って指を指す。そこには2人ほど警官がいた。
「さっきお巡りさんを呼んだ。さて、ここから、どうなるかな?」
そう言い終わる前に、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
74二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 13:51:50
「ふぅ…トレーナー!大丈夫だったか…」
ぽすり、とアタシの胸に飛び込んでくるトレーナー。
「怖かった…もう…真っ白になって…怖くて…」
「そっか。大丈夫だよ。アタシがいるからね」
「シービー…うぅ…」
ポロポロと泣き始める。昔あったことは聞いていたが、やっぱり怖いものは怖いのだろう。
「大丈夫。大丈夫だからね」
優しく、ゆっくりと撫でているとだんだんと落ち着いてくる。
「グスッ…もう大丈夫…ありがと、シービー…」
「ん?」
「いや、大丈夫だから…離して…」
「やだ」
「やだって…なんで?」
「やだなものはやだ。それじゃあダメかい?」
「むぅ…」
顔を下げて控えめに唸るトレーナー。かわいいな。
75二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 13:52:22
「離さないなら…こう!」
そう言って頬に何かをくっつけてくるトレーナー。それを受け取ろうと手を離した隙に抜け出された。
「これは…おしるこ?」
「そう。それシービーのね」
自販機で買ってくれたものだろう。ありがたく受け取る。
「トレーナーは?」
「私はコーヒー」
「アタシもお揃いがよかったんだけど」
「カフェイン入ってるからダーメ。」
「そんなこと言っておきながらおしるこのカロリーは?」
「そこはちゃんと組み込んであるから大丈夫。それにシービーは走らないといけないでしょ?トレーナーとして、飲ませるのはダメ」
「はーい」
そう言われたら何も言い返せない。まったく、本当にずるい人だ。
「あとさ、シービー」
「ん?」
トレーナーがどこか申し訳なさそうに聞いてくる。
「今さ、トレセンでクリスマスパーティーしてるらしいんだ。それでさ、私がたくさん人がいるのが苦手だからってこうやって連れ出してくれたんだろうけど…さ…シービーは本当に」
「はいストップ」
そういって彼女の唇に指を当てる。柔らかくて、小さくて、綺麗な唇。
「アタシはね、キミと2人で居たかったからこうしてここにいるんだ。それ以上は、アタシも怒るよ?」
「そっか…そっか!ごめんね」
「いいさ。ならお詫びとしてそのコーヒーを…」
「ダメです」
そんなことを言ってふふ、と互いに笑う。
「寒いね」
「だね。でも、シービーがいるからあったかいよ。とっても」
そう言うと、アタシの手を取って指を絡めてくる。
「さて、じゃあこれからの行き先私の家でいい?なんにもないけど」
「ああ、もちろんだよ」
そうして2人で、ゆっくりと歩いて行くのだった。
≫155二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 18:36:58
この前の宴会での1発芸ネタの場を借りてトレーナーが戻ることを言ってから2週間ほど経った。
あの時、発表した後に何人かから質問をされた。トレーナーの状態、タマの体の心配、本当に戻ってきても大丈夫なのかなどを。
それに対しては「当たり前や。ウチの自慢のトレーナーやからな」と笑顔で返した。しかし周りの目線はどこか厳しいものだったように思う。
どうしたものか…そう考えていると病室の前に着いた。コンコンコンとノックをし、部屋に入る。
あと退院まで1ヶ月ほどになった彼女は体を起こしてベッドの上で外を見ていた。拘束帯は外され、机がベッドに取り付けられていた。これがさっき主治医さんが言っていたことだろう。上には封を切られた手紙がいくつか。しかしそれの中身は出されていなかった。
「よっ、トレーナー。元気か?」
声をかけるとこちらを向いてこくり、と頷く。
156二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 18:37:39
「ほんならええわ。やっぱ声は出んか?」
申し訳なさそうに顔を伏せる。返答はそれで十分だった。
「ほうか。まぁあと1ヶ月や。そんな急がんでもええ」
そう言ってカバンの中からファイルを取り出す。トレセンの復職届、諸々の申請書、その他色々な手紙。それらが入っている。全てトレーナー宛のものだった。
「えーっとな…今日は2つ話がある。ええか?」
こくり。
「まずは…トレーナー宛に手紙が来とんのや。読めるか?」
ふるふる。目を少し伏せて首を横に振る。
「ほいならこん手紙たちも…か?」
机の上に置いてあった手紙たちを指さして言うと、こくりと頷く。
(読もうとして…怖くて…って感じか。難儀やな…)
しばし思案した後、ひとつの提案をする。
「なら、ウチが手紙を読んで、それをトレーナーに伝える。どや?これならええやろ?」
こくり。不安が少し混ざったように頷く。
「そっか。なら失礼して…」
机の上の手紙をまとめると、取り出して読んでいく。
157二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 18:38:14
「1枚目は…理事長からや。ほんほん…体調面の事やな。養生ッ!しっかり休むように!らしいわ。2枚目はあぶみ本舗さんやな。……ポカポカするカイロやらなんやらのやわ。最後は…これもそこまでやな。体調の心配のやつや。特に悪いんは書かれとらんから安心せぇ」
その手紙をファイルにしまうと、しばしの逡巡を経て切り出す。
「あのな…トレーナーに面会したいっちゅう人が…おんねんけどな。」
それを聞いたトレーナーはふるふると震える。怯えた猫みたいに縮こまる。
「大丈夫や。よーしよし」
背中を優しく撫でる。段々と落ち着いてきたあたりで続ける。
「大丈夫や。アンタに危害加えようっちゅー考えなんてない人やわ。そら怖いのは分かる」
一拍置いて、
「でもな、そのまんまでもダメなんや。厳しいかもしれんけどな、やっぱ…進まんといけんのや」
158二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 18:38:48
それを聞いた彼女は、しばらく静止していたかと思うと、ぽた、ぽたと涙を流し始めた。
「泣かんでも大丈夫や。大丈夫。ウチが隣におるけんな」
そう言って背中をさすり続ける。こく、こく、と頷く彼女のこれからは、まだ誰にも分からない。
でも、きっと二人なら、進んでいける。
これからどう転ぶのかは誰もわからない。でも、たとえ転んだとしても2人なら何度でも立ち上がれる。光明は、たとえ小さくても確かに2人を照らすのだった。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part595【TSトレ】
≫11二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 20:10:22
───長い、もしもの夢を見ていた気がする。
「あ、起きましたかトレーナーさん」
いつものように僕を膝枕しているのはダイヤ…もうすっかり世話されることに慣れたあたり大概なんだろうけど。
「姿勢、変えますか?」
「ううん、大丈夫。…しばらくこのままでいいかな」
今の自分が唯一満足に動かせる右腕でダイヤの顔に手を伸ばす。そしてその頬に触れようとした所で手を掴まれた。
…ダイヤの顔が笑っている、両手で掴んだ僕の手をもみもみと力を掛けてほぐしてきた。ちょっと心地良い。
「トレーナーさんは右手ばっかり使ってるから、マッサージです。」
「ありがとうねダイヤ」
揉み込まれる右手をそのままに、ダイヤに僕は先程まで見ていた夢を語る。…そう、何もなかったことで走り続けている自分の夢。
ダイヤやキタトレ、スズトレやシチトレ、後から来た色んな娘たちと走り続けたもしかしたら、といった夢だった。
「…そんな夢を見たんですね」
「うん、…でも、これが夢で別に良かったんだ。」
僕の返事にダイヤは不思議そうな顔をする。
「…なんでですか?」
「僕は運命を愛しているんだよ。…寄り合う縁も、その情景も。だから、僕はその夢を望もうとは思わないんだ。」
例え周りがどう見ようと、僕は今までの全てを不幸だったと切り捨てはしない。今がが幸せだと胸を張ろう。
「それに、その絆こそがある意味僕の…いや、皆の走る力になる一つでしょ?」
「…そうですね」
「だから夢もいいけど、やっぱり僕はこの今を大切にしたいんだ。」
「…トレーナーさんは、随分変わったんですね。」
「ふふ、確かにね。でもどこまで行ってもダイヤのトレーナーであり続けるよ。僕は僕なんだって、信じる限りずっとね。」
「ふふっ、そうですねトレーナーさん。」
…ダイヤはその胸を動けない僕の顔におろしてくる。僕はむぐっと声を上げて、潰される羽目になったのだった。
短文失礼しました
夢を見たサトトレの話、縁が導くと言っているように、彼女はそういうのを信じるタイプです。三女神も喜ぶ…のかこれ?
ウマ娘は絆があればより早く走れる。背負う物があれば速くなる娘も何も背負わなければ一番速い娘もいるのがまた良いですね。
さて、東京大賞典に合わせてダートの対抗レース上げれるよう頑張らねば…
≫56二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 21:30:28
『黒狼物語~第三幕前編・朧影~』
春嵐吹きすさぶトレセン学園。
トレーニングコースにて、高速で走る影が一つ。
風を切り、大地踏み鳴らして駆け抜けるのは三冠ウマ娘、ナリタブライアン。
彼女も始まりのレースである選考レースを見て何か感じたのか、普段よりも走りに力が入っている。
「らああああああっ!」
体勢を低くし、スパートへと入る。下げた体と踏み下ろす脚のばねが力を大地へと伝え、それを速度へと変換していく。彼女の走りは、とても荒々しく、そして力強い。
黒い旋風は一気にゴール板を駆け抜け、タイムの計測を終える。
「いよーっしお疲れ!」
走り抜けた彼女に大声をかけるのは彼女のトレーナー、ナリタブライアン担当トレーナー。今回は2000mのコース想定のタイム計測走行を行っていた。
「……凄く良いタイムですねえ」
新チームメンバーのタマシチ、フラハラウは止められたストップウォッチの表示をまじまじと見つめている。
「何時ぞやの皐月賞とほぼ同じタイムだな……」
「えっそれってタイムレコードたたき出した時の?やべえっすわ」
驚愕に染まる二人の顔を見てブラトレはひらひらと手を振って訂正する。
「あー、トレーニングコースだからあくまで参考記録だぞこれ。基本のトレーニングに使う都合そこまで勾配がついてなかったりするし、中山2000のコースとは構成が全く違うからな」
「コースごとに構成は大きく違うんですよね……そういえばなんで『中山の直線は短い』んでしょうかね?トレーナーさん」
「んー、そうだなあ……えーっと確か資料がこれだ。これを見てもらうとわかると思うんだが、最終直線は約310m、そしてゴール前に2.4mの急な坂が存在している。で、直線勝負にかける追い込みウマにとっては短い直線、急坂によってパワーやスタミナを大きく消耗することになるから……っていう話だ」
「ははぁ、なるほどですねえ」
「ハイペースでやってたらもうそれどころじゃないと思うっすけどね……まあダート専門のアタシにとっちゃそこまで重要ではないかなー?」
「んー、まあそうだな……でもダートコースが勾配ないかって言われたらそうでもないしな」
「……坂道トレーニング頑張りまーす」
ぐへえと声を漏らすフラハラウ。どちらにせよトレーニングの際は坂道からは逃れられない。
57二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 21:30:39
「戻ったぞ」
「お疲れ様ですブライアンさん!ドリンクとタオルです」
走り抜けた後ペースを落とすためにゆっくりと走っていたブライアンが戻ってくると、タマシチは直ぐにタオルとボトルを渡す。
「……ああ」
ブライアンはそれを受け取ると、汗を拭いて水分をとる。タオルはブラトレのほうへと放り投げられ、ブラトレがそれを流れるようにキャッチする。
「良いペースだったな。あてられたか?」
「……かもしれんな」
ふっと息を吐いて姿勢を正す。
「さて、私だけが走りっぱなしというわけにもいかんのだろう、タマシチにフラハラウ、お前らも走るか?」
「やります!やりますけど……お手柔らかに……」
タマシチの勢い良く挙げた手がどんどん萎びていく。さながら早送り映像で撮影した朝顔の如く。
「安心しろ、潰すための走りなんて一切やらん。まずお前がどれくらいスタミナがあるかのチェックも兼ねてるからな」
「ケガしない程度に頑張ります……」
「アタシはストレッチからやりますんで……タマシチは回復早いっすね」
「意外と走れそうな感じはしますけどねぇ」
ふんすといった表情をしているが、まだ疲れは残っているようだ。
「まあ軽く走る程度にしとけよ。疲れてるんだから無理してトレーニングする必要はないからな」
「了解ですトレーナー。では、ブライアンさんお願いします」
「ああ、軽く一周するぞ」
そう言うとブライアンは駆け出し、それにタマシチがついていく。
「……イヤー若いもんは元気っすねぇ」
「おっさんじゃあないんだからよ……」
ふへーと息を吐くフラハラウ。どこかで似たようなテンションの芦毛を見たような気がするが気のせいにしておいた。
58二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 21:31:08
ストレッチ、軽いジョギング、そしてクールダウン。
初日のレース直後ということもあり軽い練習のみで済ませてケガの防止に努める。
気が付けばもう日が少しずつ傾いてきており、茜色の空が広がりつつあった。
「あー、もういい時間だな。おーい、今日はもう終了!荷物集めて17時にはトレーナー室に集合でよろしく!」
「了解でーす!」「うぃーっす!」「ああ」
時計を見ればもう16時、初日としては十二分にトレーニングは出来たと言える。
ブラトレは3人に指示を飛ばし、自身は片付けついでにジョギングをすることにした。
「はっしっれーはっしっれーウマ娘ー本命穴ウマかき分けてー」
ついつい上機嫌になって歌を歌いながら夕暮れのトレセンを駆ける。
脚がすいすいと動き、髪が後方へと靡く。尻尾が揺れ、風に乗るような気分。
なるほどウマ娘が走ることを好むというのもわからないでもない。やはりトレーナー…というよりは人間としての感覚とウマ娘としての感覚はいろいろと変わってくるのだろう。
当然のことながら人がウマになったからと言って、全員が全員速く走れるわけではない。……という割にはその「走れない」側がイマイチ少ないせいで説得力に欠けてしまうのだが。
まずボノトレはウマ娘ですらない。
タイトレはそこまで走りがうまいわけでもなし、グラトレやフクトレはなかなかそういったそぶりを見せないので実力が測りづらい。ただ、走ったら速そうではある。
他にはルドトレ、フラトレ、そして……テイトレ。その3人は速いと思われる。
テイトレに関しては、今は考えないことにした。アイツはアイツで今、闘っている。
余計な考えは振り払い、走り込みに注力する。
ふと気になって今日のレース会場を見に行くと、まだ少しだけ人が残っているようだ。だがもういい時間であり既に本日の選考レースは全て終わっている。ならばそこに残っているのはトレーナーであればまだ見学しているか資料をまとめているか、そしてウマ娘であれば自主練習をこなしているか……その辺りであろう。
案外こういうところで出会いもあるものだろう、そう考えながらブラトレは会場へと向かった。
59二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 21:31:37
息を切らす。足がもつれる。
周囲の視線が気になる。動きが鈍る。
掛かり。失速。最後尾。
彼女の選考レースは、最悪の結果に終わった。
選考レースというのは残酷である。
目覚ましい活躍を見せれば、当然様々な人から注目される。
逆に言えば、大きなミスを起こしたり、周囲と比べてあからさまに劣るような走りを見せてしまえば、直ぐに見放される。
そういった意味でも、既に戦いというものは始まっているのだ。
走る、走る、走る。
彼女は自らの走りを鍛えるために。
絶対に、夢を叶えたいが為に。
今度こそ、無様な姿を見せないために。
そしてその瞬間、フラッシュバックが起きる。
また先の選考レースと同じことが起きたら。
また負けてしまったら。
疑念は晴れず、足が遅れる。
そうして彼女は立ち止まり、息を切らす。
ああ、私は何で走れないの。
60二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 21:31:49
走り続けていた子が突然立ち止まる。
ある種それは危険信号に近いと考えているブラトレは、今は一人しかいない観客席からコースへと飛び込み、今にも折れそうな少女のもとへと走った。こういった時にこの足の速さは便利だ。
あっという間に少女のもとへとたどり着いたブラトレは、心配の声をかけた。
「おいっ大丈夫か!?」
「へっ……?あ……いや、大丈、夫……」
びっくりしてこちらへと振り返った少女は、その両眼を濡らし、ぽろりぽろりと泣いていた。
「……ちょっと休憩しな。多分走りすぎだ」
「あ──」
ブラトレは放心気味の彼女の手を取ると、近くにあったベンチまで連れていって座らせる。そして給水をといったタイミングで、荷物を観客席に置いたままにしていたのを思い出した。
「すまん、ちょっと走ってくる」
そういうとパッと駆けて行き、少ししたらまた少女のもとへと戻ってきた。
「ほい、誰も口はつけてないから安心して飲んでくれ」
未開封のボトルが開けられ、その飲み口を少女に差し出しながら笑う。
「……ありがとうございます、こんな私を気にかけてくれて」
「まぁ、トレーナーだしな。無理して走るやつがいたらそりゃ気に掛けるだろうよ」
「ウマ娘の……トレーナーさん?」
「んーまあ色々あってな。いやぁ、ほんと色々あってな……まあ俺のことはいいんだよ、君、名前は?」
「私は、リボンカロルです」
「見たところ新人っぽいな……あ、言い忘れてた。俺はナリタブライアンの担当トレーナーだ」
その言葉を聞くと、少し驚く。
「えっ?いや、でも……ブライアンさんのトレーナーって、男だったような……?」
「あー……説明、聞く?聞いたところで絶対わかんないと思うけど……」
頭を抱える。しかしブラトレがこのことについて説明をするのももう慣れたものである。
実際に納得できた人が数少ないのはもはや仕方ないことなのだが。
そうして自身と周囲に起きた不可思議現象について、ブラトレは語り始めた。
61二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 21:32:05
「……成……程……?」
ある意味では気持ちを落ち着かせるのに効果的であった。ある意味では。
「いや、理解は放棄してもらって構わんから……俺もよくわかってないから……」
あまりに突飛な話を聞いたせいかもはや涙はどこかへ飛んで行ってしまったようだ。ブラトレは効果ありとみてよいのだろうかと考えたが、やはり怪奇現象のそれなので言いふらすことはやめておこうと思いなおした。
「まあ俺の話しても何も進展がないんだ!今は君のことが知りたい」
「私、ですか?私は──」
そうしてぽつりぽつりとリボンカロルは自身のことを話し始めた。
彼女は田舎から一人上京してきたウマ娘。
家は貧しく、トレーニングもすべて自らが考え、自らで実行するスタイル。その産まれ持った能力の素質か、はたまたトレーニングの効率の良さか、彼女はトレセン学園に入学できるほどの実力を持った在野のウマ娘であった。
しかし、いざその実力を発揮するはずだった今日の選考レースでは何かが起き、自身の実力を発揮できぬままに敗北してしまったという。
「……まあ、そんな感じ、です。つまらなかった、ですよね」
そう自虐的に笑うリボンカロル。笑顔の裏の悲しみはもはや隠しきれていない。
「結局、こんなものなんです。頑張って力をつけても、もっと良い環境でもっと良い練習、勉強をできた人にはどうやっても勝てないんです」
そうカロルがつぶやいた言葉を噛み締める内に、また目にジワリと熱があふれ出してきた。
「……本当にそれで諦めたいのか?」
「……」
「環境が悪かった、練習が足りなかった、お金が足りなかった。まあ言い訳なんていくらでも作れるだろうな」
でも、と前置く。
「俺はそうは思いたくはないね。この学校に入れるのは本当に一握りのウマ娘だけだ。なら、今カロルがここにいるのは何だ?認められたんじゃあないのか?自分の実力は全部ウソだったのか?」
「嘘じゃ……ないです……でも、勝てなかったんです……!前に出て、走ってたら、どんどん走れなくなって!」
悔しさで拳を握り締める。
あきらめかけていた心に少しずつ熱が籠り、目の色が少しずつ強くなる。
まだ彼女の闘志は消えていない。
62二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 21:32:23
「ふぅむ……」
ならばこそ、そんな彼女が最も良い道を目指せるようにするのがトレーナーの務めである。
まだ担当というわけではないのに力を入れるのはおかしいことかもしれない。だが、ブラトレにとって悩んでいる子を見てそのまま放置することはできなかった。
ある種、自身の想像していた環境と実際の環境に違いを感じていたという部分は、ブライアンにも共通する部分があったからだ。
尤も、力を発揮しきれない原因という部分では大きな違いがある。だからこそ、ブラトレはしばし悩んだ。
そして……
「よし、俺とちょっと走ってみてくれないか?」
「……えっ?」
都合何度目かの困惑の表情。今日流した涙より長い困惑になったかもしれない。
「いやほら、全然走れないってわけではないんだろ?でもとりあえず何が起きてるかだけ把握したいだろ。ならもう一緒に走ったほうが早いし」
「そう……ですかね……?」
「よし、そうと決まれば一緒に走るか!」
そう言ってブラトレは駆け出す。それを見ると、あわててカロルも走り始める。
「ま、待ってくださいー!一緒に走るって言ったじゃないですかぁー!」
夕暮れのトレセン練習コースを、二人の影が駆け回り始めた。
走ればわかるとは口走ったが、まだ慣れないトレーニング方法ゆえにどういった形で見ればいいのかは手探りである。前方からか、横からか、それとも後方からか。
とりあえず全部やっていこうということで初手は前方からのチェックを始めた。
なるほど自力だけでトレーニングしたというにはかなり仕上がっている印象を受ける。単にトレーニングサポーターと考えてもかなりの実力を感じる。
次に横からのチェックを行う。まだまだ慣れていないながらの重心のブレはあれど、十分に選考レースを勝ち抜けるように見える。
そして後方からのチェック、ここで原因が分かった。
じっとその背中を見つめ続けていると、少しずつ動きがブレ始める。息の調子が少しずつ狂い始め、走りのラインも精彩を欠く。
なるほど、この子は後方からの視線を過剰に気にしてしまう性質を持っているようだ。
「よし、大体わかった!速度を落として息を整えろ!」
そうして突発的な併走トレーニングは終了を告げた。
63二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 21:32:49
「はあっ……はあっ……また……」
「ん、落ち着いてないな……もうちょっとゆっくり歩こう」
少しずつ息を落ち着かせ、また元のベンチへと戻る。そして、走ることで分かった彼女の癖を伝える。
「恐らくは、過剰に視線を気にしすぎるんだろうな」
「視線……ですか」
「ああ、これはウマ娘の中にある癖の一つなんだが、バ群を怖がるという現象に近いかもしれん。自分にそういう癖がないから何とも言えんのだが、推測で良いのであれば周りの強い意志を持った……まあ勝負強いとしておこう、そういった目で見られることに体が慣れてないんだろうな」
そして、そういった気性の子は一般的に走りやすいとされる先行ポジション、そして常に視線にさらされる逃げのポジションは苦手とされる。
当然その中に例外も存在するのだが、それは割愛しておき説明を続ける。
「成程……少々、合点がいきました。でも、そうなると、私は……」
「いや、そう気落ちするのは早い。先行ポジションで駄目なら、別のポジションも試せばいいんだよ」
そしてブラトレが提示した一つの道は、追い込み。
とにかく前半は抑えながら走り、後半から最終直線までの区間で一気に走り抜ける作戦だ。強力な追い込み走行を行えるものは最終直線のたった数百メートルで一気に最後尾から最前列まで抜き去ることができるほどだ。
「短距離で……追い込み。それは、とても厳しい道ですよね?」
「ああ、どうしても距離が短い分トップスピードに乗りにくいというのは間違いない。だが……最後尾なら序盤から中盤は一切の視線を切れる」
「……!」
リボンカロルの目が見開かれる。
終盤であれば極限まで走りに集中することでスタミナの余分な消費はあれど、ある程度は視線を気にせずに走れる可能性が高い。これもまた、机上の空論に近いものだが……
「さあどうするリボンカロル。君が明後日の選考レースを走るならば、視線に耐える精神力を鍛えるか、追い込みの道を試してみるか、そのどちらかだ!やるか、やらないか!」
ブラトレは叫ぶ。火を燃え上がらせるために。
リボンカロルはまだ心に火を灯している。諦めたくないと感じている。
ならば殻は破らねばならない。自身の限界を決めつけていては進めない。
夢を掴むためには、自身を超えてゆかねばならないのだから。
64二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 21:33:15
拳を握る。体が震える。
今私は岐路に立っている。
片方は実質的に諦めるような道、そしてもう片方は困難を進む道。
この人に従って、本当に夢を叶えられるかなんてわからない。
でも、こんな私に熱心に付き合ってくれた人はいなかった。
もしこれが運命だとするのならば。
「……やります。追い込み、やってみます!」
私はそのチャンスを逃したくない。
そうした心からの叫びが目の前のトレーナーさんに届いたとき、彼女は大きく笑った。
「よっし、じゃあよろしくな!」
その笑顔は、私の行く先を照らすようなまぶしさだった。
≫81二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 22:19:43
ギムレット「おっ丁度良いところに居た。スカーレットの、頼みたいことがあるからちょっと着いてきてくれ」
ダストレ「どうしたんですかギムレットさん。というか、頼みたいことってなんです?」
ギムレット「ちょっとしたことだ。楽しいことだから楽しみにしても良いぞ」
~~⏰~~
ヘリトレ「ほほ、4人目はダストレ君かの」
ウラトレ「おや…」
ダストレ「あの、ギムレットさん?今から何が始まるんです?明らかにロクなことにならない気がプンプンするんですけど」
ギムレット「脱衣麻雀ならぬ脱衣ババ抜きでもしようかとウララのと話してたら、ウララのが長老を連れてきたもんでな。俺ももう一人連れてこないといかんと探してたら丁度お前が通りがかったというワケさ」
ヘリトレ「つまり儂もダストレ君と同じじゃな。断ろうとも思ったが可愛い弟子の頼み。断るわけにはいかんのぅ」
ダストレ「さすがに今回は断ってくださいよ……」
ウラトレ「ギムレットさん。1つ言いたいことがあります」
ダストレ「あっ、先生はマトモ──」
ウラトレ「全裸に剥いた後は好きな服を着せても構いませんね?」
ダストレ「──じゃなかった!?何言ってるんですか先生!?」
ギムレット「構わんぞウララの。それとスカーレットの、勝てば良いだけの話だ」
ダストレ「……やりますよ。ええ、全勝すれば良いんでしょ!やってやりますよ!」
──その後、熾烈なババ抜きの果てにコスプレをさせられたトレーナーが3人産まれたのはまた別のお話
拙者トレーナーさんをお借りした話を書くと人称代名詞がいつも不安になる侍。自分のWikiにはそこら辺纏めておこうか気になってる次第
≫140二次元好きの匿名さん21/12/29(水) 01:01:36
「キレイなだけの人形じゃない"アタシ"を示す」
そう彼女は力強く言った。
反骨『阪神ジュベナイルフィリーズ』
確固たる意志の現れ。
希望『皐月賞』
踏み出した確かな一歩。
暗雲『日本ダービー』
思い通りに行かない苛立ち。
失意『菊花賞』
覆ることのなかった偶像。
諦観『有馬記念』
辿り着いた先の不変。
意地『大阪杯』
彼女は空っぽのまま答えを探す。
再起『天皇賞春』
彼女は走ることを辞めない。
覚醒『宝塚記念』
「走りたい」というただ一つの単純な真実。
輝き『ジャパンカップ』
ずっとそこにあって見えていたもの。
本当の自分を、彼女は手に入れる。
141二次元好きの匿名さん21/12/29(水) 01:02:18
レースに出たい。走りたい。勝ちたい。
きっと誰も期待してなかったアタシの願いを、トレーナーはただ不器用に支え続けてくれた。
アタシには結局モデルっていう絶対に切り離せない要素がある、それは変えらんないって分かった時も。アタシがそれにうんざりして失意のどん底にいた時も。トレーナーは、アタシは走り続けるべきだってそう言い続けて、マネジとよく揉めたりもしてた。
はっきり言って、しつこかったのは本当。アタシのスマホを拾って届けに来たあの日からずっとそうだった。でもきっと、トレーナーがああだったから、アタシはここに来れたんだって、今なら思える。なんつーか、暑苦しくて、不器用すぎて、それでいて頑固で。振り回したり振り回されたりして、正直たまったもんじゃなかったけど。まぁ悪くなかったかもって、そう思える。
そう、だから。区切りがついて落ち着いた今だからこそ。アタシはアイツに聞かなきゃいけない。
アイツが隠している「素顔」
その、理由を。
142二次元好きの匿名さん21/12/29(水) 01:02:57
俺は逃げた。色んなことに疲れて、嫌になって。逃げた先で自分を偽った。楽になりたかった、それだけだったはずなのに。そうしたら驚くほど何も残っていなくって。あぁ、俺って逃げるだけで何もしてこなかったんだなって、それが分かったときにはもう遅かった。何も持たないまま何かを探すふりをして、俺はただ彷徨うことしかできなくなっていた。
そんな時に見たのがウマ娘のレースだった。純粋に、彼女たちのその熱意に憧れた。一心不乱にゴールを目指してひたむきに走る姿を見て、自分に欠けているものが、きっとあそこにはあるんだと、そう信じて疑わなかった。だから俺はトレーナーになったんだ。
傲慢だと、そう思われるかもしれない。でも俺と彼女、ゴールドシチーは同じだと、河川敷で話したあの時にそう確信した。彼女には自分と同じ道を辿ってほしくなかった。彼女には俺にはなかったものが、「走りたい」という願いが、意志が、そしてそれを実現できる力があった。逃げ出したら楽になれる、求められるものを演じ続ければ何も苦労しない。それは彼女も、そして俺が何よりも知っている。それと同時に、気持ちや感情がそう単純な問題にさせないこともまた、分かる。だから俺は、彼女が走るのを辞めると、そう自ら言うまで、走り続けるべきだと、諦めてはいけないと、そう言い続けた。それが、自分ができなかったことの押し付けであると理解しながら。
143二次元好きの匿名さん21/12/29(水) 01:03:47
「トレーナー、今平気?」
その電話は突然、クリスマスの日にかかってきた。返事をしようとする間もなくシチーは続ける。
「あのさ、今から言うところにすぐ来て」
そうして彼女は場所だけ言うと、すぐに電話は切れた。
「ごめん、急に呼んだりして。大丈夫だった?」
「ああ、予定とかは特に無いし、平気」
指定された場所は河川敷だった。かなり冷える中で、シチーは既にいて俺を待っていたようだった。
「どうしてここに?何か用事でもあったか?」
何故この場所なのか、という疑問を出しつつ俺は聞く。そして、何故呼ばれたのか、それもまだ聞かされていない。
「…トレーナーにさ、聞かなくちゃいけないことがあって。それで、話すならここがよかったってだけ。あのさ、トレーナー。」
彼女、ゴールドシチーはそこで、少しだけ躊躇うような様子を見せた。が、それでもすぐに真っ直ぐこっちを見据えると、はっきりと、こう言った。
「いつまで、そのままでいるつもり?」
それは、逃げ続けている自分へ穿たれた言の刃。
「ごめん、少し回りくどかった。はっきり言う。…いつまで『男の振り』をし続けるつもり?」
核心を貫き、固められた鎧を剥がす慈愛。
144二次元好きの匿名さん21/12/29(水) 01:04:32
「…」
「答えてよ、トレーナー。このままだと、フェアじゃない」
「…一つだけ、聞きたい。いつから?」
「初めて会ったときには、なんとなく程度。アンタがトレーナーになって1ヶ月くらいで確信した。その道に明るいやつじゃないと気付けないってくらい、かなり丁寧にメイクしてあるみたいだけど。でも、アタシなら、気づける」
「…そっか。すぐバレてたのか。まぁ、シチーなら分かって当たり前か」
「アタシも余裕なかったし必死だったから。気にならなかったといえば嘘だけど、でもアンタは一生懸命だったし、事情がありそうなのも分かっちゃったんだよ。だから保留にしてた。でも、それももうオシマイ。理由を話してよ、トレーナー。話してくれなきゃ、アタシが納得できない。そして、答えによっては…アタシは、アンタを責めることになる」
「…そうだな。間違いない。シチーの言うことは正しい。別に大したことのない、つまらない女の話だけど。うん、俺には話す義務がある」
145二次元好きの匿名さん21/12/29(水) 01:05:08
すぐ戻る。そう言ってトレーナーはこの場を離れた。少しキツイ言い方だったかも、と内心で思ったりはするけど、でもきっとこれくらいしないといけなかったと思う。アタシたちが似た者同士というなら尚更荒療治が必要だ。アタシがそうだったように。
トレーナーは本当にすぐに戻ってきた。いや、一瞬、同一人物かどうか本気で疑った。だってその姿は、暗くてはっきりと見えないとはいえ全く違かったから。さっきまでパッとしない普通の男性の外見だったのに、今目の前にいるのは美女と言って間違いないレベルの女性で。ここまでとは流石にアタシも思っていなくて、正直、驚いている。
「シチーほど、と驕るわけじゃないけど、俺…私も昔から少し他人の目を惹いてしまう容姿をしていたらしくってさ。気がつけば周りはこの見た目の話ばかり。俳優やらモデルやらの別にあまり興味のない道を何度も勧められて、スカウトもかなりの数。…私は、そういう状況に疲れた。この外見がある限りこの状況は変わらない。そう考えて、思い切って男装して、今までとはかけ離れた、普通っぽい見た目になろうとした。それが、今までのあの姿。もうかれこれ長い間あの姿が私の普通。理由としては、逃げて楽になる、ただそれだけ。おかしいでしょ?あれだけ貴女に苦しい選択をさせてた私が、逃げて楽な道を選んでいただなんて」
146二次元好きの匿名さん21/12/29(水) 01:05:51
トレーナーは綺麗な顔で苦しそうに笑って見せる。
「引っ越して、一人暮らしも始めて、そうして離れてみたらホント驚くくらい静かになって。そして逃げ出した先で分かったんだ。自分には何も残ってないってことに。夢も願いも、自分の望みってものを抱いてこなかったんだって。ただ、現実から目を背けて逃げることしか考えてなかったんだって。だから、シチーと出会って、シチーには私みたいな後悔をしてほしくないって、その一心で私はトレーナーをしてた。私は最低な人間。自分が出来なかったことを、ずっと貴女に押し付けていた。失望されても、責められても、当然だと思う」
トレーナーは続ける。こんなに悲しそうに、それでいて饒舌に話すトレーナーを見たのは初めてだった。
「期待に応えるってさ、確かにできれば楽なんだけど。でも楽なようで、簡単なようで、この上なく難しい。他人が求める像っていうのは、自分の手の届く範囲を超えて肥大化していくものだから。それに…貴女には言わなくても分かるだろうけど、他人の声ばかり聞いていると自分が分からなくなる。自分という器を満たすのは自分自身なのに、その方法を忘れていく。私と貴女が違ったのは、そこから先。貴女はすごいよ、シチー。逃げ出すことなく貴女は受け入れて、応えて、『自分』を示してみせた。それを私の手柄だなんて言うつもりは毛頭ないけど、それでも、貴女がそう在れたことを、ほんの少しでもその手伝いができたことを、私は本当に嬉しく思ってる」
一呼吸だけおいて、トレーナーは、こう言って言葉を終える。
「私の話はこれで終わり。無様で情けなくて、貴女を頼らなきゃ何も残らなかった人生。貴女が私を許せないというならそれは当然だし、批判も全て受け入れる。姿を見せるなと言われればすぐに消える。私は貴女の言葉からは、逃げない」
「…少しだけ、時間ちょうだい。…考えるから」
「うん。…いつまでも待つ」
≫185二次元好きの匿名さん21/12/29(水) 11:50:59
釣り堀…ですか
スズトレ妹、少し失礼します
「釣れないね…。」
「釣れませんね…。」
「ふあ〜…なんだか、眠くなってきちゃった。」
「一旦休憩しましょうか、トレーナーさん。」
「そだね…。うぅん…。」
「飲み物買ってきますね、何がいいですか?」
「いいの?ごめんね、お姉ちゃん。…それじゃ、エメマンがいいな。」
「はい。ちょっと離れますね。」
「トレーナーさん、買ってきました。トレーナーさん…?」
「んう…。」
「寝てるん、ですか?ふふ…そのままじゃ倒れちゃいますよ、トレーナーさん。」
って言って折り畳み椅子をトレーナーさんに寄せて肩を貸すスズカがみたい。
スズカの肩にこてんと頭を乗せてスヤスヤするスズトレ妹がみたい。
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