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「悪魔の娘」(2017/07/18 (火) 02:09:03) の最新版変更点
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(スノーホワイト…!!)
深い森の中、アリスは北に向かって一心不乱に走り続けていた。
特に目的地があるわけではない、ただスノーホワイトのことを思いながら走り回ることに意味がある。
走り続けても代わり映えしない森の中を走っている最中、アリスは前方に人影を認めた。
「こんばんは、ハードゴア・アリス」
人影から声がかかる。知らない女の声だ、少なくともスノーホワイトではない。
ハードゴア・アリスは走るのを止め、歩いて近づいた。魔法少女の視力なら深夜の木陰であろうとも問題なく視認できる。
やはり見たことのない顔であったが、名簿の中でこちらの名前を知っていて、なおかつこちらの知らない人物となると、相手は必然的に一人に絞れる。
「クラムベリー、ですか」
「おや、察しが良い」
両の肩に大きなバラを乗せ、長い耳を持ったエルフのように長い耳を持った顔立ち、
楽器こそ無いがまさに森の音楽家、という肩書に相応しいように感じる少女であった。
なんの用なのかは知らないが、今はかまっている時間がない。
手早く聞きたいことを聞く。
「スノーホワイトと、会いましたか」
「スノーホワイト…ああ、彼女を探しているのですね」
クラムベリーは顎に手を当て、微笑んだ。
クラムベリーはウィンタープリズンから危険人物だと聞いている、
この場でスノーホワイトと遭遇することなどあってはならないだろう。
「スノーホワイトと、会いましたか」
「まさか、やわな彼女と出会った幸運な参加者なら、とっくに脱出していると思いませんか?」
その一言を聞いた瞬間、ハードゴア・アリスの鋭い手刀がクラムベリーの胸元へ伸びた。
クラムベリーは微笑んだまま、一瞬でその右手首を掴んだ。
ハードゴア・アリスの手首がゴキゴキと鈍い音を立てる、
骨が皮膚を破ったのか赤い血が青白い腕を伝わり地面に落ちる。
「おやおや、いきなりご挨拶ですね」
「なぜ、あなたがスノーホワイトが赤首輪だということを知っている」
潰されている手首を支点に右でクラムベリーの腹を蹴りつける。
しかし、それを察知していた身体を右に開きながらクラムベリーは腕を取り、強く引き倒す。
重心の乗っていない軸足はつるりと後ろに滑り、ハードゴア・アリスの伸ばした足は踵からクラムベリーの足元へ落ちる。
「全員が集められた時、辺りを見回していただけですよ
あなたもそうでしょう?」
全員が集められたその時、確かに首輪の色を確認する機会は十分ある。
しかし、あの場は異常に暗く、あの男の首輪が爆発した時、僅かな悲鳴からスノーホワイトを探し当てたアリスでさえ、
爆発の微かな明かりで一瞬赤を見るのが精一杯であった。
偶然スノーホワイトが目に入っただけなのか、それとも何かしらの能力か。
「まあ、この件はこれで痛み分けということでどうでしょう」
クラムベリーが足を引くと、鮮やかな紅に塗られていた爪が割れている。
クラムベリーの目がアリスの足へ向く。
アリスの膝は、180度より少し高い角度で曲がっている。
己の膝の関節を破壊し、その分僅かにクラムベリーの読みを越えたのだ。
「スノーホワイトとは、会っていないのですね?」
「ええ、この場で会ったのはあなたが初めてですよ、ハードゴア・アリス」
「わかりました」
それを聞いたアリスは彼女の横を通り抜け、駆け出した、身体も既に走るには十分だ。
クラムベリーの能力考察などどうでもいい、この場でスノーホワイトに会うことが第一優先だ。
「待ちなさい」
背後から声が掛かるが、聞く必要はない。そのままアリスは森を駆け続ける。
「スノーホワイトの居場所ですが」
“スノーホワイト”、その言葉に反応し再び足を止める。
振り返るとクラムベリーは前と変わらぬ距離で佇んでいる。思ったより足が速い。
「少なくとも向こうのエリアには居ませんよ、
虱潰しに調べましたが人っ子一人いません。」
クラムベリーは危険な魔法少女だ、この場でも十分悟った。
信じるに値しない情報として踵を返そうとした所で、また声がかかった。
「それともう一つ、恐らくその首輪に魔法少女の能力を封じるような機能がついているので、あなたでも無理に首輪を外すのは控えるべきでしょうね」
「なぜですか」
「このような場に連れてきている以上、あの試験のように主催に生殺与奪権が握られている、と考えるのが当然でしょう」
「違います。なぜあなたはそれを私に教えるのですか」
最初の情報の信憑性は限りなく低いが、2つ目は違う。
アリスが実際に目の当たりにした事実であり、なおかつ目の当たりにし無ければ引っかかっていただろう罠だ。
それを無条件でわざわざ教えるというのは、聞き伝えられたクラムベリーの情報と全く合致が行かない。
「気に入らないのですよ、このゲームが」
クラムベリーは目を伏せ、吐き捨てるように言った。
アリスはクラムベリーの赤い目が伏せられる一瞬、その目が父や自分と同じように底光りしたのを見逃さなかった。
「怪物を殺せばゲームクリア、コンセプトは悪くないですが
肝心の怪物役がヌルすぎる。いくら魔法少女とは言え、スノーホワイトにあの暴力を、絶望を、快感を、望めるはずもない。
そんなただ人間より強いだけの存在を殺して生き残るような者に、何の価値もない」
「…あなたは」
「スノーホワイトの性格に付け込んで、気楽に生き残るような者を出さないことを祈りますよ、ハードゴア・アリス」
クラムベリーはそれだけを言うと、アリスの言葉に耳を貸さずにアリスのすぐ横を通り、森の中へ踏み込んでいった。
アリスは数秒の間、スノーホワイトの事を考えることすら忘れクラムベリーの背中を目で追い、彼女を止めるべきかと思った。
優先するべきはスノーホワイトだ。あれがスノーホワイトの脅威になる時は遠い。
そう思っても目はクラムベリーの背中を追い、やがてその背中が完全に視界から隠れてやっとクラムベリーとは違う方角、西に向け駆け出した。
【G-6/森の中/深夜】
【ハードゴア・アリス(鳩田亜子)@魔法少女育成計画】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品×2、ランダム支給品2~4、薬師寺天膳の首輪
[行動方針]
基本方針:スノーホワイトを探し、自身の命と引き換えに彼女を脱出させる。
1.「スノーホワイトに会えないと困る」という強い感情を持ちながら会場を回る。
2.襲撃者は迎撃する。ただしスノーホワイトとの遭遇優先のため深追いはしない。
3.可能ならば自身も脱出……? 他者の脱出をサポート……?
※蘇生制限を知りました。致命傷を受けても蘇生自体は行えますが蘇生中に首輪を失えば絶命するものだと捉えています。
あるいは、首輪の爆発も死ぬと考察しています。
「…はぁ」
振り返ること無く、音でハードゴア・アリスが西に向かったことを確認したクラムベリーはため息を付いた。
喋りすぎてしまったが仕方のないことだ、この殺し合いには自分に合わない要素が多すぎる。
自分に全く悟られず、首輪を付け、このような場所に運んでみせた上に死んだはずのラ・ピュセルまで蘇生させて殺し合いに参加させる。すごい魔法ではあるがやることが簡単過ぎる。
(どうせ生き返らせるなら、ウィンタープリズンの方をお願いしたかったのですが…)
本来ならアリスと全力で一線交えたかったが、赤い首輪の彼女を殺してしまえばそれでこのゲームはクリアしてしまう。
不満の一つや二つ、出てくるというものだ。
まあいい、彼女の魔法は強力だ。この殺し合いを抜け、試験でも勝ち残ることは容易いだろう、命のやり取りはその時で良い。
アリスの作った血溜まりを見下ろす。
そこにはいつもどおりのクラムベリーがこちらを覗いていた。
それには首輪など見えない。当然だ、赤い首輪は赤い血溜まりには映らない。
あの暗闇の場で、辺りを見回したからスノーホワイトの首輪の色が見えた、ということは嘘だ。
周囲を見回したというのは本当だ。
クラムベリーはまず周囲の情報を頭に入れながら動く、当然あの時も怠ることはなかった。
しかし、あの場の暗さは異様だった。ざわめき、説明を聞いて慌てて首元を隠す仕草、
そういった動作は見えるのだが、魔法少女の目でも個人を特定する情報が全く見えない暗さだった。
あるいは彼女なら、そういった器用な色の操作もできるのかもしれないがーーどうでもいい、とにかくあの暗さでは首輪の色すら伺えなかった。
男の首輪が爆発させられた一瞬、微かに見ることはできたが、弱者であるスノーホワイトやラ・ピュセルの音をあえて無視していたのが災いし、
結局自分の前、当然自分から見て後ろ向きであり、誰なのか全くわからない人影の首輪の色しか伺えなかった。
スノーホワイトの首輪の色がわかったのは、高々銃などという魔法少女にとっては対して例えを持ち出したことと、化物という例えを聞いた瞬間に疑い、
まず支給されたペットボトルから反射させた自分の首輪の色で疑いを深め、
ハードゴア・アリスの首輪の色を確認したところ、と思ってスノーホワイトを常に注目していただろうアリスに、鎌をかけた反応で確信した。
信じたくはなかったがスノーホワイトが、あのひ弱な魔法少女が、このゲームの悪魔<ショウキンクビ>だ。
せっかくのお呼び頂いたゲーム、楽しむべきかと思ったが、
まずはこの甘ったるいルールで、安っぽく生き残るような弱者を淘汰せねばならない。
弱者を狩るのは趣味ではないが、それ以上に弱者が生き残ってしまうような状況、それ自体が気に食わない。
クラムベリーの赤い瞳は、人殺しの色に燃えていた。
【G-6/森の中/深夜】
【森の音楽家クラムベリー@魔法少女育成計画】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~2
[行動方針]
基本方針:赤い首輪持ち以外を一人残らず殺す。
1. 赤い首輪持ち以外を一人残らず殺す。
2. 一応赤い首輪持ちとの交戦は控える。
3.ハードゴア・アリスは惜しかったか…
時系列順で読む
Back:[[hurry up!]] Next:[[一天四海の星彩]]
投下順で読む
Back:[[変身少年調教計画]] Next:[[]]
|[[能力制限には気を付けよう!]]|ハードゴア・アリス|[[黎明邂逅]]|
|GAME START|森の音楽家クラムベリー|[[Magia Record -真魔法少女大戦- (1)]]|
(スノーホワイト…!!)
深い森の中、アリスは北に向かって一心不乱に走り続けていた。
特に目的地があるわけではない、ただスノーホワイトのことを思いながら走り回ることに意味がある。
走り続けても代わり映えしない森の中を走っている最中、アリスは前方に人影を認めた。
「こんばんは、ハードゴア・アリス」
人影から声がかかる。知らない女の声だ、少なくともスノーホワイトではない。
ハードゴア・アリスは走るのを止め、歩いて近づいた。魔法少女の視力なら深夜の木陰であろうとも問題なく視認できる。
やはり見たことのない顔であったが、名簿の中でこちらの名前を知っていて、なおかつこちらの知らない人物となると、相手は必然的に一人に絞れる。
「クラムベリー、ですか」
「おや、察しが良い」
両の肩に大きなバラを乗せ、長い耳を持ったエルフのように長い耳を持った顔立ち、
楽器こそ無いがまさに森の音楽家、という肩書に相応しいように感じる少女であった。
なんの用なのかは知らないが、今はかまっている時間がない。
手早く聞きたいことを聞く。
「スノーホワイトと、会いましたか」
「スノーホワイト…ああ、彼女を探しているのですね」
クラムベリーは顎に手を当て、微笑んだ。
クラムベリーはウィンタープリズンから危険人物だと聞いている、
この場でスノーホワイトと遭遇することなどあってはならないだろう。
「スノーホワイトと、会いましたか」
「まさか、やわな彼女と出会った幸運な参加者なら、とっくに脱出していると思いませんか?」
その一言を聞いた瞬間、ハードゴア・アリスの鋭い手刀がクラムベリーの胸元へ伸びた。
クラムベリーは微笑んだまま、一瞬でその右手首を掴んだ。
ハードゴア・アリスの手首がゴキゴキと鈍い音を立てる、
骨が皮膚を破ったのか赤い血が青白い腕を伝わり地面に落ちる。
「おやおや、いきなりご挨拶ですね」
「なぜ、あなたがスノーホワイトが赤首輪だということを知っている」
潰されている手首を支点に右でクラムベリーの腹を蹴りつける。
しかし、それを察知していた身体を右に開きながらクラムベリーは腕を取り、強く引き倒す。
重心の乗っていない軸足はつるりと後ろに滑り、ハードゴア・アリスの伸ばした足は踵からクラムベリーの足元へ落ちる。
「全員が集められた時、辺りを見回していただけですよ
あなたもそうでしょう?」
全員が集められたその時、確かに首輪の色を確認する機会は十分ある。
しかし、あの場は異常に暗く、あの男の首輪が爆発した時、僅かな悲鳴からスノーホワイトを探し当てたアリスでさえ、
爆発の微かな明かりで一瞬赤を見るのが精一杯であった。
偶然スノーホワイトが目に入っただけなのか、それとも何かしらの能力か。
「まあ、この件はこれで痛み分けということでどうでしょう」
クラムベリーが足を引くと、鮮やかな紅に塗られていた爪が割れている。
クラムベリーの目がアリスの足へ向く。
アリスの膝は、180度より少し高い角度で曲がっている。
己の膝の関節を破壊し、その分僅かにクラムベリーの読みを越えたのだ。
「スノーホワイトとは、会っていないのですね?」
「ええ、この場で会ったのはあなたが初めてですよ、ハードゴア・アリス」
「わかりました」
それを聞いたアリスは彼女の横を通り抜け、駆け出した、身体も既に走るには十分だ。
クラムベリーの能力考察などどうでもいい、この場でスノーホワイトに会うことが第一優先だ。
「待ちなさい」
背後から声が掛かるが、聞く必要はない。そのままアリスは森を駆け続ける。
「スノーホワイトの居場所ですが」
“スノーホワイト”、その言葉に反応し再び足を止める。
振り返るとクラムベリーは前と変わらぬ距離で佇んでいる。思ったより足が速い。
「少なくとも向こうのエリアには居ませんよ、
虱潰しに調べましたが人っ子一人いません。」
クラムベリーは危険な魔法少女だ、この場でも十分悟った。
信じるに値しない情報として踵を返そうとした所で、また声がかかった。
「それともう一つ、恐らくその首輪に魔法少女の能力を封じるような機能がついているので、あなたでも無理に首輪を外すのは控えるべきでしょうね」
「なぜですか」
「このような場に連れてきている以上、あの試験のように主催に生殺与奪権が握られている、と考えるのが当然でしょう」
「違います。なぜあなたはそれを私に教えるのですか」
最初の情報の信憑性は限りなく低いが、2つ目は違う。
アリスが実際に目の当たりにした事実であり、なおかつ目の当たりにし無ければ引っかかっていただろう罠だ。
それを無条件でわざわざ教えるというのは、聞き伝えられたクラムベリーの情報と全く合致が行かない。
「気に入らないのですよ、このゲームが」
クラムベリーは目を伏せ、吐き捨てるように言った。
アリスはクラムベリーの赤い目が伏せられる一瞬、その目が父や自分と同じように底光りしたのを見逃さなかった。
「怪物を殺せばゲームクリア、コンセプトは悪くないですが
肝心の怪物役がヌルすぎる。いくら魔法少女とは言え、スノーホワイトにあの暴力を、絶望を、快感を、望めるはずもない。
そんなただ人間より強いだけの存在を殺して生き残るような者に、何の価値もない」
「…あなたは」
「スノーホワイトの性格に付け込んで、気楽に生き残るような者を出さないことを祈りますよ、ハードゴア・アリス」
クラムベリーはそれだけを言うと、アリスの言葉に耳を貸さずにアリスのすぐ横を通り、森の中へ踏み込んでいった。
アリスは数秒の間、スノーホワイトの事を考えることすら忘れクラムベリーの背中を目で追い、彼女を止めるべきかと思った。
優先するべきはスノーホワイトだ。あれがスノーホワイトの脅威になる時は遠い。
そう思っても目はクラムベリーの背中を追い、やがてその背中が完全に視界から隠れてやっとクラムベリーとは違う方角、西に向け駆け出した。
【G-6/森の中/深夜】
【ハードゴア・アリス(鳩田亜子)@魔法少女育成計画】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品×2、ランダム支給品2~4、薬師寺天膳の首輪
[行動方針]
基本方針:スノーホワイトを探し、自身の命と引き換えに彼女を脱出させる。
1.「スノーホワイトに会えないと困る」という強い感情を持ちながら会場を回る。
2.襲撃者は迎撃する。ただしスノーホワイトとの遭遇優先のため深追いはしない。
3.可能ならば自身も脱出……? 他者の脱出をサポート……?
※蘇生制限を知りました。致命傷を受けても蘇生自体は行えますが蘇生中に首輪を失えば絶命するものだと捉えています。
あるいは、首輪の爆発も死ぬと考察しています。
「…はぁ」
振り返ること無く、音でハードゴア・アリスが西に向かったことを確認したクラムベリーはため息を付いた。
喋りすぎてしまったが仕方のないことだ、この殺し合いには自分に合わない要素が多すぎる。
自分に全く悟られず、首輪を付け、このような場所に運んでみせた上に死んだはずのラ・ピュセルまで蘇生させて殺し合いに参加させる。すごい魔法ではあるがやることが簡単過ぎる。
(どうせ生き返らせるなら、ウィンタープリズンの方をお願いしたかったのですが…)
本来ならアリスと全力で一線交えたかったが、赤い首輪の彼女を殺してしまえばそれでこのゲームはクリアしてしまう。
不満の一つや二つ、出てくるというものだ。
まあいい、彼女の魔法は強力だ。この殺し合いを抜け、試験でも勝ち残ることは容易いだろう、命のやり取りはその時で良い。
アリスの作った血溜まりを見下ろす。
そこにはいつもどおりのクラムベリーがこちらを覗いていた。
それには首輪など見えない。当然だ、赤い首輪は赤い血溜まりには映らない。
あの暗闇の場で、辺りを見回したからスノーホワイトの首輪の色が見えた、ということは嘘だ。
周囲を見回したというのは本当だ。
クラムベリーはまず周囲の情報を頭に入れながら動く、当然あの時も怠ることはなかった。
しかし、あの場の暗さは異様だった。ざわめき、説明を聞いて慌てて首元を隠す仕草、
そういった動作は見えるのだが、魔法少女の目でも個人を特定する情報が全く見えない暗さだった。
あるいは彼女なら、そういった器用な色の操作もできるのかもしれないがーーどうでもいい、とにかくあの暗さでは首輪の色すら伺えなかった。
男の首輪が爆発させられた一瞬、微かに見ることはできたが、弱者であるスノーホワイトやラ・ピュセルの音をあえて無視していたのが災いし、
結局自分の前、当然自分から見て後ろ向きであり、誰なのか全くわからない人影の首輪の色しか伺えなかった。
スノーホワイトの首輪の色がわかったのは、高々銃などという魔法少女にとっては対して例えを持ち出したことと、化物という例えを聞いた瞬間に疑い、
まず支給されたペットボトルから反射させた自分の首輪の色で疑いを深め、
ハードゴア・アリスの首輪の色を確認したところ、所信に近くなった思いは、スノーホワイトを常に注目していただろうアリスに、鎌をかけた反応で確信に変わった。
信じたくはなかったがスノーホワイトが、あのひ弱な魔法少女が、このゲームの悪魔<ショウキンクビ>だ。
せっかくのお呼び頂いたゲーム、楽しむべきかと思ったが、
まずはこの甘ったるいルールで、安っぽく生き残るような弱者を淘汰せねばならない。
弱者を狩るのは趣味ではないが、それ以上に弱者が生き残ってしまうような状況、それ自体が気に食わない。
クラムベリーの赤い瞳は、人殺しの色に燃えていた。
【G-6/森の中/深夜】
【森の音楽家クラムベリー@魔法少女育成計画】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~2
[行動方針]
基本方針:赤い首輪持ち以外を一人残らず殺す。
1. 赤い首輪持ち以外を一人残らず殺す。
2. 一応赤い首輪持ちとの交戦は控える。
3.ハードゴア・アリスは惜しかったか…
時系列順で読む
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