企画者さま、楽しい企画をありがとうございました。
たくさんの作品が集まって、読むのにも時間がかかりました。
一言ずつですが、感想を書きます。
2.
「我らツムギュダーの光の導くままに!」
ノードカットたちがやられても平然としているユヴィー。ムギエイラ様の力の源泉やTAKUANエネルギーの正体、ミオーニャ達の本心、わからないことがたくさんある中で、世界征服の目的は、「何一つ変わらない日常」だったとわかります。純ちゃんの活躍シーンがなかったのは個人的に残念です。
3.
菫「わたしとお姉ちゃん」
子どもの頃の「ちょっといい話」を回想したり、わかばガールズが先輩たちを想うSSは
いくつかあるけれど、このSSはそこで終わらずに、わかばのメンバーが自分たちも、今、
そんな時間を過ごしてるんだ、と再確認するところが素敵です。
4.
ウィーンの百合
フォイラとシルキが本当にムギちゃんとスミーレの先祖だったのか、それはあまり関係
ないような気がします。
厳しい時代の中で、絆を深めた女の子2人がいて、現代には、ムギちゃんとスミーレが
いるなら、それ以上を語ることなく、このお話は充分に繋がって、満たされています。
シルキの一番の願いは、フィオラがたくさんの人から愛されて生きることで、現代で
彼女は、彼女を大切に思う優しい人たちに囲まれて生きているから。「お姉ちゃん」の
願いどおりに。
5.
菫「私とお姉ちゃんの日々」
ムギちゃんはお金持ちではあっても、立場的にはみんなと同じ普通の同級生でした。
でも、ムギちゃんと菫ちゃんの関係、「お嬢様とメイド」には、どうしても、立場や境遇の違いを感じて
緊張します。原作の設定にはその点で、少し消化不良を感じていました。
このSSは、琴吹家で、2人がどうやって立場の違いを超えた姉妹のような関係を築いてきたか、作者さんの
優しい視線が「姉妹」の姿を浮き彫りにしていきます。
ムギちゃんの悪戯心と、初めて食べるラーメンとの格闘、両親や斉藤さんも一緒になって、琴吹家の家族
みんなで入った銭湯の温もり。みんなの温もりに包まれて眠るムギちゃんを支える菫ちゃんもとても幸せ
そうで、ちょっと泣きそうになりました。
優しい2人のイラストも相まって、いつまでも心の中に留めておきたいSSです。
6.
紬「かくれんぼ」
高校三年生にもなってかくれんぼ?…と思ったけど、ムギちゃんの菫ちゃんへの愛情だと
思えば、そういうこともあるのかな?
菫ちゃんが自然とけいおん部に出会えるようにと画策した原作高校編でのムギちゃんの
企みは、ムギちゃんの優しさと気遣いがあふれるエピソードでした。
7.
紬「コトブキ・サクラメント」
キー・アイテムはカメラ。
SSは、写真と似ていると思います。
内容の殆どが台詞で、回りくどい表現は無くて、必要最小限の台詞だけで象ってしまう。
写真は、流れていく時間に対して無力だけれど、ただその一瞬だけはありのままに切り取る。
思い出の場所をまわって懐かしい風景を切り取っても過ぎ去った時間は取り戻せないけど、
今この瞬間なら捉えられるかもと思って、澪ちゃんは追いすがるようにシャッターを切る。
澪ちゃんは、一年中姿を変えることのない万年桜に、一生変わらない夢を見たのでしょうか。
8.
律「許嫁?」
紬父の考えはあまりにも強引すぎるなぁ…と思ってたら、実は全部演技でした!
最初にりっちゃんが警察を呼んでなくて、良かったです。
りっちゃんが大事なことに気づくのはいいけれど、律澪以外の世界ももう少し見たかったです。
9.
唯「そっくりさん!」
この展開だと、菫ちゃん軽音部に入ってくれなさそうな…それは困ります。
テンポ良く会話が続いていたので、そっくりに見えてもそれぞれが別々の魅力を持った女の子たちなんだ、
というのを菫ちゃんが感じて、自分もいつかこんな軽音部に入ってみたいと夢見る、そんな展開に繋がって
いくともっと楽しかったと思います。
10.
純「突撃!隣の一軒家」
てっきり、ムギちゃんがみんなを驚かせるために純ちゃんに協力してもらって家を入れ替わってる、
そういう話だと思って読んでだけど、声の出演だけでした、純ちゃん。
ムギちゃんの家が庶民的でもみんな何も変わらないと思うけど、妖怪たちはいったい何だったんだろう?
タイトルも純ちゃんなのに、純ちゃんファンの私としては、登ったはしごを外されたようです。
純ちゃん分をもっとください!
11.
律「ああっ紬さまっ」
企画SSでは珍しいクロスSS。ムギちゃんは確かに、女神さまのイメージに近いかも。
原作を知らないのでどこまでクロスかは分かりませんが、けいおん!のストーリーとうまく噛み合っていると思います。
さわちゃんやりっちゃんの優しさも丁寧に描かれていて、企画の中で終わらせるのはもったいないほど
世界観がしっかりしています。この企画後もお話が続くなら、ぜひ読んでみたいと思いました。
12.
唯「ムギちゃんの家は遠いなあ」
ムギちゃんの家が遠すぎるお話。作中のタイトルの付け方やアラビア語?小気味よい
台詞のまわし方、あちこちに
コメディのセンスを感じます。
そんなコメディの中にも、けいおんらしい
ほのぼのを感じ取れるところが魅力的です。
悪戯しきれないムギちゃんの可愛さがにじみ出ていたお話でした。
13.
ムギ「失われた時を求めて」
SF短編小説なけいおん? ストーリーもキャラクターもよく練られていて、台詞や世界観にも違和感が
ないです。なにより構成がしっかりしているので、安心してお話を読むことができました。
作者さんが作家を目指している、と聞いても違和感を持ちません。
個人的にはもっとムギちゃんの笑顔を見たかった。一層の感動を呼ぶのは、ふだんのムギちゃんの
天真爛漫な笑顔の裏にこの真実(このSS)を重ねてしまうからでしょう。
14.
「聖童女よ、門を越えて行かん」
前の作品が重いテーマだっただけに、気軽に読めるコメディ短編。
処女=汚れがなく清らか、という考えはちょっと違うと思ったけど、そんなこと気にせず読むべきなの
でしょう。この手のSSで梓ちゃんがやたらおませなのは、定番なのでしょうか。
15.
紬「一ヶ月前に予約とらないといけないの」
原作の台詞をネタにしたコメディ短編。
斉藤さん、お嬢様の友達の家に泊めて貰おうとするのはどうかと思います!
このドジっ子のムギちゃんは、スヤスヤ眠る菫ちゃんが入ったバッグを抱えて「この子も一緒にお願い!」って
みんなにお願いしそう。ムギちゃんたちが、みんなの家に一晩ずつお泊まりするエピソードも読んでみたいです。
16.
聡「初恋」
初恋は恋と知らない間は幸せで、恋と知ると自分を苦しめるものに変わる。
そんなどこかで見た映画のような、聡くんの初恋と、初めての失恋。
もう少し、ほんの少しの勇気があれば、籠を開けられたかも知れないのにね。
そのほろ苦さもまた、初恋の味。
このSSは、最後の1レスまで間があいてしまったので、読みやすさで減点されているのだと思いますが、
それがなければ1位でもおかしくない雰囲気を持つSSだと思います。
17.
プロメイド---斎藤菫
ドキュメンタリータッチの、メイドのお仕事。
こういうSS、以前にシスコン分過多の唯憂で読みました。面白いのだけど、インタビューされている
菫ちゃんのキャラがよくつかめないところもありました。
とはいえ、いつもは控えめな菫ちゃん、本当にムギちゃんのことが大好きなんでしょうね。
今回の企画は、部門別で採点するという点でも新鮮でした。
「SSの楽しさはひとつじゃない」という企画者さんの思いが表れていて、けいおんSSのいろんな魅力を
再確認することができた、楽しい企画でした。ありがとうございました。
最終更新:2014年04月08日 07:47