穿つ流星16

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「カイン。自分に対して懺悔する時間は終わりだ。今はもっと重要な事がある」 二人の言葉を聞いてもまだ沈黙をたもつカインにセシルが投げかける。 「…………」 「分かってるのだろ? 今君が一刻も早く顔向けしなければならない人物がいるって事に?」 「ああ。ローザか」 セシルの問いに疑問符をつけることなく返答する。 「そうだ。何所に居るかわかるか?」 カインのローザを想う気持ちがまだ健在であった事に嬉しさを感じ問いを返す。 「この奥にいるはずだ。だが、あまりいい待遇ではない。それに時間がないかもしれん」 「どういうことだ?」 「ゴルベーザの合っただろ。奴が言っていなかったか?」 <仕掛けとやらが作動しているかもしれん>短期間の濃い密度の中の一つの言葉が思い出される。 「まさか、本当だったのか?」 「ああ……俺も詳しい事情は分らん。だが奴が、ゴルベーザがローザを始末するつもりだったのは 確かだ!」 「躊躇している時間は無いってことか」 「急ぐぞ!」 そう言ってさっそうと駆け出す。 セシルもその勢いに負けぬように追いつく。 もうすぐだ……やっと自分の成すべき道程は一度の終着をむかえる。 だが、それは決して完全なる意味の終わりではない。この先、いくらでも道は分たれていくであろう。 しかし、いつでも交わる事ができるようにしておけば、いつかは何処かで再開できる。 「ローザ!」 セシルとカインどちらかが発した言葉なのか分からない。 否――二人ともが殆ど同時に彼女の名を呼んだのであろう。 「セシル!」 呼ぶ声が返ってきた。その声の主は間違い無くローザであった。

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