翌朝、窓から暖かい光がセシルの体を照らした。 城門でカインと落ち合い、軽く会話を交わすと城門が開かれた。 「さて、行こうか。当てにしてるぜ、カイン」 「フッ、任せておけ」 「城下町のほうで軽く買い物を済ませよう。それなりに時間はかかりそうだから、テントなんかも必要だろうしね」 「そうだな。しかしな…それなりの時間、か」 なんとなく、カインには予感があった。 それはセシルが帰ってきたときから? それとも王に幻獣討伐を命じられたときから? わからない、しかし、何かを感じていた。 「カイン、どうしたんだい」 「いや…なんでもない。行くか、セシル」 「ああ、行こう!」 かくして飛空艇団赤い翼の部隊長であった暗黒騎士セシルは その座を剥奪され竜騎士部隊長カインとともに 辺境の村ミストをめざし霧深くたち込める谷へとバロン城を後にした。 人々の夢であった天駆ける船、飛空艇。 しかし飛空艇の機動力は同時に邪悪な欲望を満たす手段になりえた。 飛空艇団赤い翼の存在により世界最強の軍事力を持つバロンはなぜクリスタルを求めたのか… またあまたの魔物が白日の元に姿を現わし始めたのか… クリスタルはただ静かにその光をたたえていた… あたかも全てを知っているかのように… プロローグ 終
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