穿つ流星8

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穿つ流星8 - (2009/06/08 (月) 22:40:12) のソース

ゾット内はあちこちが破損し、迷路のような道であれも整頓された道の面影は無く、瓦礫の点在する道は 
移動の労力は以前に比べると格段に掛かるようになっていた。 
それに加え、常に薄黒い煙が周囲を覆い尽くし視界を遮り、足元だけでなく、前の見通しも立たぬほどで 
あった。 
それに加え気絶したカインを抱えた状態なのだ。少し移動するのですらひどく骨の折れることであった。 
「!」 
どれほどまで歩いた時だろうか。セシルの視界に<それ>が入ってきたのは…… 
漆黒の鎧に身をまとったその姿――声は何度も聞いたが直接会うのはファブール以来であろうか。 
「ゴルベーザ!」 
セシルは思わず声を荒げた。バロンからこの道まですべてはこの男が原因でもあるのだ。 
「ぐっ……セシルか」 
どうやら傷ついているようだ、苦しそうな声を上げている。 
「まさかお前たちの仲間にメテオを行使できるものがいたとはな? だがクリスタルは手に入れた…… 
「!」 
やはりこの状況はテラが……予想していたとはいえ、驚かぬことはできなかった。 
「ほう……カインの奴も一緒なのか? その様子だと<術>の方はとけているのだろう」 
「何!」 
こちらの言葉は予想外であった。 
「やはりカインは……お前が操っていたのか!」 
「ふん……所詮はきっかけにしかすぎぬ、私の術は。そもそもの原因はその男にあるのだ。お前を薄々勘付いていたのだろう――試練を 
乗り越えた者、パラディンよ?」 
「だからって」 
こんな事許せるわけはない。 
「ローザは!?」 
ありったけ疑問をぶつけるつもりでいた。 
「無事なんだろうな!」 
「ふん……始末はするつもりだったが、この有様だどうやら後回しになったらしい」 
どうでもいいといった感じに話す。 
「あの女にもう用はないな。好きに持っていくがいい。最も……もう仕掛けの方が作動しているかもしれんが 
それに、この爆発だ既に巻き込まれている可能性もあるぞ」 
<貴様!!> 
怒りの言葉を上げようとするが何とかとどめる。 
これが奴のやりくちなのだろう。一方的な言葉責めで相手の憎しみを煽り出す……付き合った方の負けだ。 
「だが……このまま逃がしはしない」 
言葉による怒りをなんとか抑えたものの、完全なまでに抑える事はできない。 
元凶たる漆黒の男――打ち倒すなら今しかない。 
元凶の討伐。妥当ではあるが、怒りの発散の為の強引な理由づけでもあるのかもしれない…… 
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