二節 剛の王国13

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二節 剛の王国13 - (2007/12/12 (水) 03:59:27) のソース

「……?」 
ファブール王は、何が起こったかわからなかった。 
それもそのはず、今まで盛んに攻めつづけたバロン軍が、 
自分の命を絶とうとするその瞬間に突然動きを止めたのだから。 
王は困惑していたが、敵はもっと困惑していたように見えた。 
そして挙句の果てに、彼らはあろうことか、勝利を目前にして来た道を引こ返して行った。 
倒れた王を忌々しげに睨みながら。 

しばらくして、誰かが通路の奥から走ってきた。 
「陛下!お怪我を!」 
ローザだ。ローザが自分の傷を白魔法で治療している。 
「余は大丈夫じゃ。それほど深い傷ではない。しかしこれは一体…?」 
「…わかりません」 
ローザも一部始終を目にしていたらしく、困惑の眼差しでバロン軍の去った方を眺めている。 
「ここまできて引き上げるとは、一体何を…?」 
苦しげに起き上がりながら、ウェッジも言う。 
その時、ローザは何か予感めいた物を感じていた。 
二人を手助けしながら医務室まで連れて行った後、彼女はどうしても、自分がここにいてはいけない気がした。 
「…私、少し様子を見てきます。その間、負傷者を頼みますね」 
一番近くにいた白魔導師にそういうと、ローザは一目散に医務室を出、地下からの出口へと走り出す。 
後ろから名前を呼ぶ声が聞こえたが、大量の負傷者の治療に忙殺され、追いかけてまで彼女を止めようとはしなかった。 

一方、セシル達生き残った戦闘要員は、クリスタルを背に最後の防戦体勢を整えていた。 
が、おかしい。扉の外がしんと静まり返ったまま、なんの動きも無いのだ。 
と、次の瞬間、クリスタルルームの扉が強烈な衝撃を受け、大きく歪んだ。 
破城槌の比ではない力だ。 
そして数度目の打撃で扉が破壊された時、セシルは大きな驚きと、そして喜びを感じた。 
何故なら、封鎖された扉を破壊して姿を現したのは、 
他でもない彼の無二の戦友、竜騎士カインだったからである。
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