二節 試練8

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二節 試練8 - (2007/12/13 (木) 04:40:06) のソース

 瞼を開けると、日が射して黄金色に輝く砂が目に入った。 
 セシルは顔を上げた。頬には涙の伝った跡が残っていたが、その瞳から弱さは消えていた。 


 ────僕はまだ生きている。そして、ローザも。 


 なすべきことがあった。こんなところで踞っていることなど許されない。 
 いや、誰よりも彼自身が許せはしない。 
 セシルは立ち上がり、辺りを見回した。落ち着きを取り戻した頭で、昨日最初に唱えた疑問を 
もう一度吟味した。 
「ここはどこだ?」 
 残念ながら目に見える範囲ではめぼしいものは見当たらない。西方には半島がのびており、 
反対には陸が続いていた。幸いにか進む方向は一つしか無いようだ。 
「・・待っていてくれ、ローザ」 
 最後に、惜しむように海を一瞥すると、彼は決意して歩を踏み出した。踏みしめる重い砂の 
感触が、孤独の重量を感じさせたが、セシルは立ち止まらず、迷いのない歩調で進み続けた。 

 やがて、セシルの目に街の外塀らしきものが映った。それを得て彼は歩調を強めたが、 
しばらくして今度は不意に驚いたように足を止めた。 
 だが、すぐに彼は再び歩み始める。 
 徐々に明らかになってくるその姿に、ひそかに胸の鼓動を早めながら。 
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