「本気かセシル?」 テラが訪ねる。 当然、彼とて王との激突は避けられないと踏んでいたのだが。 だが折角穏便にシド救出が進みそうなのだ。無理して、王の元へ行かず、一旦引き返すのが 得策だ。そう言いたいのかもしれない。 「でも僕は確かめたいんだ……何故陛下がこんな事をするのかを」 国を追われ、再び戻ってくるまでずっと疑問に思っていた事。 此処で問わねば二度と分からぬのではないか。そしてこの国の為に、今の状態を終わらせなければ ならない。 「分かりました」 答えは意外な所から返ってきた。 「ヤン……」 「私も国に仕える者……国を離れた今でもファブールの民であるという誇りは捨てていない。例え、自らの肉体を 他人に操られ、利用されようとも……」 その声は無意識にか力がこもっている。 「ファブールの民はクリスタルを奪われ、多くの者が犠牲となった。そのせいで数多くの者が心を痛めたであろう ……バロンの民も今は同じ気持ちなのであろう」 続く言葉を待った。 「だから私は引き留めはしない。以前にも言ったが志を共にする仲間だ。そんな友には無駄な追求は不要だ。 私はそう思っている。」 「有り難う……君がいてくれて良かったよ」 そう言ってヤンの腕をぎゅっと握りしめる。 「はは、よしてください」 だが、ヤンの顔にも無骨ながらも笑顔が浮かんでいる。