悪夢の崩壊2

巨人の腹部を抜けた後は以前までの巨大な通路から段々の狭まった道へとなっていく。
やがて巨人内部ふきぬけとでもいうべき小道へとたどり着く。
一直線に伸びる道はこの先が目的地だということを嫌でも感じさせてくれるものであった。
先ほどまでの大型の巨人兵から小型の機銃や小規模勢力が邪魔をするだけであり、その道のりは最前までの戦いに比べて楽なものであった。
(制御システムは近い)
しかしセシルにはまだ一つの気がかりがあった。
(おそらくは最深部にはゴルベーザがいる)
そしてそこにはもう一人
「あれは」
誰が放った言葉だろう。ほぼ同時に何人かが放ったのかもしれない。
吹き抜けの中間地点。
今までの細道から一転し広めの踊り場が見える。その中心部に微動だにしない人物が一人立つ。
「カイン」
皆を代表してセシルがその名前を呼ぶ。
「通せんぼか」
エッジが挑発気味のせりふを放つ。土壇場で裏切りクリスタルを奪還されたのだいい思いはしないのだろう。
「セシル」
その言葉が聞こえないのか無視しているのかカインはセシルの名を呼んだ。
「抜け」
「!」
予想はしていた言葉だ。
鞘から聖剣を抜き、戦闘態勢をとる。
「どういうことだ?」
「カインは……僕が引き受ける」
その言葉をカインは否定しない
「一騎打ちだ
パラディンと竜騎士の同時の言葉
それが結論であった。
「先を急ぐぞ」
困惑気味の中切り出すフースーヤ
それが合図にエッジとリディアも制御システムの待つ奥へと急ぐ。
しかしその中で今だ二人の後ろに立つ姿が一つ――
「ローザ」
ちょっとだけ驚いてセシルが声をかける
「お願い、ここにいさせて」
はっきりとそれだけ言ってローザは黙り込んでしまった
「わかった」
セシルはそれだけ言ってカインに向き直る。どうやらカインもその選択を咎めることはしない。
「存分に振るえそうだな」
挑戦的なカインの意図はわからない。
操られた行動なのか、自分の意思なのか。はたまたその間で苦しんでいるのか。
しかし自分はこの挑戦を受けて立つと決めた。それならば手加減はしない。
「闇も光も……僕の力だ」
お互いの総力戦が始まろうとしていた。

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最終更新:2021年09月18日 21:26
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