四節 これから45

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「それでもやっぱり、心配でね。なかなか寝付けなかったりするの。もし眠れたとしてもね こうやってすぐに目が覚めちゃったりして……」 そこまで言って、彼女はあっと声を潜めた。 「なんだか、愚痴みたいになっちゃたわ……ごめんなさいね」 「いや、むしろ安心したよ。相変わらずみたいでさ。此処に通してももらったばかりの時は 正直、お父さんがいなくなって消沈してんじゃないかと思って……」 「はは、私がそんな性格じゃないってのはあなたも良く知ってるでしょ」 そうなのだ。 彼女――レッシィ・ポレンディーナはシドとその妻から生まれた子供であった。 女性ながらも父親ゆずりの性格は昔ながらのものであり、年下であるセシルも過去、学校時代周囲から 浮き出したセシル自身をとても親身になって接してくれた数少ない人物であった。 彼がここまで気を許している相手はカインとローザに続くであろうか。 そして、シドの妻、つまりは彼女の母親が早くに亡くなってからは、一人でこの家を守ってきた。 「そういえばセシル。あなたはなんでこんなに朝早くに起きてきたの?」 「何か奇妙な夢をみてね……」 その問いにセシルは素直に答えた。自分でも驚くらいにだ。 比較的親しい関係であったシャーロットですら無下に扱ったのだ。 それなのにこの体たらく、そもそもこの家に訪れたのも、彼女を無意識の内に信頼していたのかもしれない。 「どんな夢だったの?」 「ん……えーと……」 問いに返答しようとして気づいた。 自分がその夢の内容をさっぱり忘れてしまっている事に。
「レッシィか」 扉を覗く前から確信が持てた。 そしてやはり、その部屋にはセシルの予期した通りの人物が 中央の机に備え付けの椅子に座っていた。 「起きてたのか……」 わざわざ、話しかけなくてもいいと思ったが、もう一度寝直すのはできないと思った。 皆が起きるまでもう少しだけ時間がかかりそうでもあるし、時間を持てあますよりはいいと 判断し、部屋に入室した。 「あら……でも、もう早朝といってもいいでしょうし……」 よく見ると、窓から見渡せる風景は既に暗闇が薄くなりつつある。 しばらくせぬ内に静まりかえった町に活気が返ってくるであろう。 「いつもこんなに朝が早いのかい……?」 何気なく聞いてみる。するとレッシィは少し考える仕草をした。 「う~ん……こんなに早起きするようになったのは極最近になってからです。とは言っても 今までも、お父さんと二人で暮らしてましたからね。基本的には早起きですよ」 最近というのはいつだろうか? 彼女の生活に変化がおきたということだろう。それは…… 「やっぱり気になるのか?」 日常に起こった変化。ためらいつつも、セシルは訪ねる。 「お父さんですか……そりゃあ、やっぱり気になりますわよ」 セシルはシドの事とは言わなかったが、彼女は直ぐに何を聞きたいのか分かってしまった ようだ。 「でもね……心配ばっかしてても仕方ないですから。お父さんは昔から無茶を する人だったけど私やお母さんを悲しませる人ではなかったからね」 元気な娘だ。そこには無理に意志を保っているような気配は感じられない。 さすがは豪快な飛空挺技師であるシドの娘といった所か。多少の事でへこたれはしない。

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