かなり真面目にFFをノベライズしてみる@ まとめウィキ内検索 / 「一節 闇と霧の邂逅3」で検索した結果

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  • FF4 一章
    一章 一節 闇と霧の邂逅◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅2◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅316 一節 闇と霧の邂逅416 一節 闇と霧の邂逅5198-202 一節 闇と霧の邂逅6198-202 一節 闇と霧の邂逅7198-202 一節 闇と霧の邂逅8198-202 一節 闇と霧の邂逅9198-202 一節 闇と霧の邂逅10◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅11◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅12◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅13◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅14◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅15◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅16◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅17267 一節 闇と霧の邂逅18267 一節 闇と霧の邂逅19267 一節 闇と霧の邂逅20267 二節 砂塵1 ◆HHO...
  • 一節 闇と霧の邂逅3
    そのとき、女性の透き通るような声で、「引き返しなさい」と聞いた。 セシルは霧の中に何者かと叫び問うたが、何の返事も得られなかった。 セシルはカインの方を見ると、カインは肩をすくめて歩き出した。 セシルたちの通るミストの洞窟は霧深く閉ざされており、 中に入ったものは寸分先を見るのにも神経がいるほどであった。 その怪しげな空気が邪なものを引き寄せるのか、内部には地上よりも多くの魔物が潜んでいる。 そうはいっても軍事国家バロンが誇る赤い翼、竜騎士団の隊長ともなれば、 どんなに群れてかかってきてもまだまだ役不足な相手であった。 そこでセシルたちは別段どうということもなく現れる魔物を切り伏せ突き進んでいったが、 何しろ先に述べたように霧が深く、少しの油断がどんな危険に繋がるかわからないという状況である。 魔物どもはこのような劣悪な環境に慣れているのか、視...
  • 一節 闇と霧の邂逅
    バロンの北西、ミストの村への道程は、山脈に遮られてはいるものの、しばらくはなだらかな平野が続いている。見晴らしの良い草原のただなかで、セシルとカインは、6体からなるゴブリンの群と対峙していた。 「やれやれ、またか。やはり最近、なにかがおかしい」 この卑小な妖魔に出くわすのは、バロンを出てから早くもこれで4度目である。 魔物としてはもっとも弱い部類に入り、セシルたちにとっては、苦もなく一撃で葬ることのできる相手だが、こうも頻繁に出てこられては、さすがに鬱陶しい。 それにこの程度の、物陰にでも潜んでいるべき小物までが、白昼に数多く徘徊しているというのも──あまり良い兆候ではない。 「一ヶ所に固まっているな。僕が片付けよう」 相棒の応答を待たず、セシルは剣を抜き放った。漆黒の刀身をかざし、その先端に意識の焦点を合わせる。 剣に染み付いた闇が、周囲の空間をも侵蝕する手応...
  • 一節 闇と霧の邂逅5
    「バロンの者ですね…」 「誰だ!姿を見せろ!」 カインが鋭く叫んだ。やはり、この声の主が幻獣なのか? 声の主は穏やかな、それでいて厳かな口調で続ける。 「ここで引き返せば危害は加えません。即刻引き返すのです。」 「そうはいかない!」 次に声を上げたのはセシルだ。ここまで来て、引き返すわけにはいかない。 「このボムの指輪をミストの村まで届けなくてはならないんだ!」 「引き返す気はないのですね…ならば…仕方ありません!」 声の主がそう言うが早いか、それまで洞窟の中にたちこめていた霧が彼等の目の前一点に集まり、龍の形を作り上げて行った。 「やはりお前が幻獣か!覚悟!」 カイン槍を構えてが叫んだ時には、霧の固まりは白銀に輝く美しい龍――ミストドラゴンへと変貌を遂げていた。
  • 一節 闇と霧の邂逅6
    「覚悟しろ、幻獣!」 セシルは剣を抜くと一気に間合いを詰め、そのまま跳躍して幻獣に斬りかかった。 そして剣一閃、一撃で幻獣の身体を斬り裂いた、はずだった。 「!?」 おかしい。手応えがない。確かに幻獣に斬撃を浴びせたはずだ。 セシルがあわてて後ろを振り向くと、そこには全くダメージを受けていないドラゴンがいた。 「愚かな。私の身体は霧。故に私を斬る事など…」 幻獣はセシルの方に向き直り、高く舞い上がると、 「出来ないのです!」 牙をむき、暗黒騎士めがけて突進する。龍の牙はセシルの肩を捕らえ、高々と持ち上げていく。 「セシル!」 戦友の名を叫び、カインは高く飛び跳ねた。ドラゴンの真上まで達すると、そこで槍を振り下ろした。 幻獣は口で持ち上げていたセシルを放すと、カインの攻撃を避けた。二人から離れ、一旦距離を置く。 幻獣が充分に離れるのと同時に...
  • 一節 闇と霧の邂逅7
    「なるほど…だがどうする?奴の動きは素早くて、そうそう簡単に仕留められなそうだが…」 「それなら僕に考えがある。聞いてくれ。」 そういってセシルがカインの耳元で何かを伝え終わった直後、幻獣が動き出した。 「何を考えておいでですか?頭を潰そうとしているなら」 途端、ドラゴンの身体が霧へと戻りはじめた。洞窟の中に再び充満して行く。 「煙幕をはって隠すまでです。」 頭だけとなった幻獣はそう言うと、深い霧の中に紛れていった。 「よしカイン、やってみよう!」 何も見えない中、セシルが怒鳴る。 「わかった!また後でな!」 カインも怒鳴り返すと、再び高々とジャンプした。 竜騎士の極意は、槍を振るう腕もさることばがらなによりその「脚力」にある。 瞬時に遥か上方へと跳び、そのまま落下の勢いを使って一気に槍を自分もろとも叩きつけるのだ。 洞窟の壁を跳んで登り...
  • 一節 闇と霧の邂逅9
    幻獣は一瞬、何が起こったのかわからなかった。 ただ、自分が深手を負ったことだけは確かだ。 セシルの放った暗黒の刃は、幻獣の放ったブレスを弾き飛ばし、さらに幻獣の片目を切り裂いたのだ。 「く…よくも!」 毒づき、再びブレスを放とうとする。だが、先ほど受けたダメージは思った以上に大きく、ほぼ全く動けない。 「気付いて…いないようだな…お前は、今、煙幕の…外だ…」 その場にうずくまりながら、セシル。攻撃の反動で、こちらも満身創痍だ。 そして幻獣は、自分の今置かれている状況にようやく気付いた。 煙幕の外から出てしまい、待ち構えていた竜騎士に丸見えだ。 何より、その竜騎士は、槍の切っ先をこちらに向け頭上から凄まじい勢いで襲いかかってきている。 次の瞬間、カインの槍は、ドラゴンの残った片目を深深と貫いた。 ミストドラゴンは、悲鳴とも金切り声ともつかない...
  • 一節 闇と霧の邂逅8
    一方、セシルは剣を構え、その場に立ち尽くしていた。 自分を包む白銀の霧など見えてはいない。代わりに彼を取り囲んでいるのは、音一つない闇の世界。 心を無にし、敵の気配一点に精神を集中しているのだ。 いま、霧の幻獣ミストドラゴンはセシルの周りを素早く飛び回り、彼を翻弄しようとしている。 その状態が暫く続いた後、幻獣は攻撃を仕掛けてきた。背後から牙をむいて飛びかかってきたのだ。 大きく開けられた口が噛み合わされた時、そこに暗黒騎士の姿はなく、代わりに真横から剣の切っ先が襲いかかってきた。 目を突かれる寸でのところでくるりと回転して攻撃を避け、再びドラゴンの頭は辺りを飛び回り始める。 「さすがですね…この霧のなかで私の動きを捉えているとは。」 「甘く見ないで欲しいな、幻獣。その程度の動きなら、容易に掴める。」 「よろしい。では、これはどうです!?」 不意に、...
  • 一節 闇と霧の邂逅4
    「カイン、こっちであってるのかな?」 「さあな。なにせこう霧が深いとな…」 不安げに口を開いたのはセシルであった。 それに答えるカインの口調もまた少し不安げであった。 なにしろ、同じところをぐるぐると回っているような感覚が二人の間にはあった。 視界すら頼りにならぬ状況である今、セシルたちは己の感覚を信じるより他なく、 ただどこからか感じる大きな気配にむかってひたすら歩くのみなのだ。 そのような不安が二人に影を落としてしばらく、代わり映えのない呆れるほど真っ白な光景に変化がおとずれた。 二人はあたりにびりびりと凄まじい殺気を感じ、思わず足をとめて辺りの様子を窺ったが、 霧はただ深まるばかりで何もわからず、いや、霧の深まりを感じ取り、身を強張らせて剣と槍を構えた。 「すぐに立ち去りなさい」 それは入り口付近で聞いた声と同じであったが、語気...
  • 一節 闇と霧の邂逅2
    徐々に立ち込めていた霧が、山裾の川を越えるた途端に濃くなった。緑の乏しい傾斜面の一角に、巨人が切り欠いたかのような絶壁がそびえている。灰白色の壁のほぼ中央、足元の道とが交わる箇所だけがごっそりと抉れ、粘性の低い闇を湛えていた。 ミストの大鍾窟。バロン平野とダムシアン砂漠を隔てる山脈を貫く、唯一の道である。 古くから山向こうへの抜け道として重宝されてきたが、その最奥を極めたという記録はない。人知を超えた造形の妙と、常に湧き出し続ける霧のため、幻獣界や冥府に通じているとも信じられてきた。 しかしセシルもカインも、実際にこの洞窟を利用するのは今回が初めてである。近年、やはり魔物が増えているという内部に足を踏み入れ、まず暗闇に目を慣らした。ただでさえ幻獣の居場所は掴めていないというのに、充分に視界の効かないまま動き回る訳にいかない。 瞬きを繰り返すうちに見えてきた光景は──それこそ...
  • 一節 闇と霧の邂逅13
    白霧に抱かれてあるべき村を、異臭と黒煙が覆ってる。 ミストの村を蹂躙し尽くした炎は、日没を境に衰えを見せ始めた。 「あれは……?」 煤を巻き上げる風が、細い嗚咽をも運んでくる。 声の主を求め、セシルたちは二手に分かれた。 炎に沿って村はずれを回り込み、まもなくセシルは、風の加減か辛うじて焼け残っている草地と、しゃがみこんだ1人の少女を見出した。 10歳ぐらいだろうか、仰向けに倒れた女性の体にすがって泣いている。 少女に怪我はないようだが、両手で顔の上部を隠したその女性は、指先から胸元にかけて、赤茶の乾いた血がべったりとこびりついていた。 「大丈夫か!?」 突然の声に驚き、少女が顔を上げる。赤く腫れた瞼が、大きな瞳の半分以上を隠していた。白玉を連ねた紐で束ねた、若草色の髪がひとふさ揺れる。 「おかあさん……おかあさんが……」 甲冑の下で、罪悪感がセ...
  • 一節 闇と霧の邂逅12
    押し寄せる魔物に気付いた村人たちの悲鳴が届く。 ボムの体が爆散する音が立て続けに空を裂くたび、大気は焼け焦げ、苦しげな唸り声を上げた。 ミスト村の入口でふたりを迎えたのは、村境をなす石柱の列を足場に踊り狂う炎の群れだった。沈みゆく太陽が、誤って堕ちてきたかのような光景だ。 張り巡らされた柵が燃え落ち、代わりに真紅の壁が、村への進入を永遠に阻んでいる。 「……これは!」 せめてもの抵抗のようなカインの叫びは、鉛のように鈍い。 「このために、僕らはここまで……?」 「この村を……焼き払うため……」 声の震えをセシルは自覚した。冷汗が背を濡らす。火傷した指先の痛みも、心中の激情に比べればどうということはなかった。いっそ潰れてしまえとばかりに、強く拳を握る。 そのときだ。村全体を巻き込んで渦巻いた炎の中に、人影のようなものが見えた。 一瞬の迷いもなく、セシル...
  • 一節 闇と霧の邂逅15
    「……そういうことか」 「馬鹿な!  あのドラゴンの正体が、この女性だったって?」 そんなことがあるはずない。人間が、竜に変わるなど。 それだけが、セシルに残された逃げ道だった。しかしただひとつの命綱を、沈痛な友の声が断ち切る。 「聞いたことがある。  魔物を呼び出す力を持った者。確か……  召喚士!」 「まさか……  僕たちが、あのドラゴンを倒したから……」 乾ききった唇から、未練がましい言葉が滑り落ちた。 見苦しい真似をしている。この期に及んで、なお目を背けようとするセシルを、頭のどこかで誰かが笑う。 足元に横たわる女性の顔に視線を落とした。まだ若かった。セシルと十も違うかどうか。苦悶に歪んだ表情は、無念を訴えているようだ。 村を守りきれなかった、バロンの魔手を阻めなかった、それが彼女の心残りなのだろうか? 「じゃあ……おにいちゃ...
  • 一節 闇と霧の邂逅20
    「だいっ嫌いっ!!!」 「…ッ!!!!」 「――セシルッ!」 巨人の振り下ろした足に大地が引き裂かれる音に、三者の叫びは呑み込まれた。 セシルは無我夢中に少女に覆い被さっていた。 地面が激しく傾くのを感じる。兜や鎧の上に止め処なく火の粉や砕けた石が落ちてくる。 少女は泣き喚きながら必死にセシルから逃れようと鎧を拳で殴りつける。 最早少女を連れてこの場を離れるだけの猶予も残されていない。 セシルは、例え自分の身が岩に潰されたとしてもこの少女を犠牲にするわけにはいかないと思っていた。 「……!…!……」 大地の発する轟音にかき消されたのは誰の叫び声だったのだろう。 守ってくれるものを失った少女か、信じてくれた友か。 この手で命を奪った者か、それとも自分自身か。 セシルはまるで自身が奈落に落とされるように感じた。 それはセシル自...
  • 一節 闇と霧の邂逅14
    短い祈りが済んで顔を上げると、村を一周してきたカインの姿が目に入った。炎上する村を背にして、影絵のように全身が黒く塗り潰されている。 ひとりだった。 「カイン!」 セシルの呼びかけに、傍らの少女が身を震わせる。 「大丈夫、僕の友達だ」 怯えた様子を見て取り、セシルは少女に声をかけた。 首を竦め、合わせたマントを内側から握りしめた子供の、不安げな瞳に気付いているのか、カインは足早に坂を上って来る。 「セシル、この子は……?」 「村の外れにいた。どうも、母親が何かに襲われたらしい」 「!  そいつはまだ、近くに?」 穏かならざる情報に、槍を掴むカインの手に力が篭る。頭部のほとんどは竜の上顎を象った兜に隠れているものの、険しい顔をしていることは想像に難くない。 「いや──気配はない。それに、この子はなんともないんだ」 未知の魔物が、近くにいるか...
  • 一節 闇と霧の邂逅11
    いち早くその予兆に目を止めたのはカインだった。場違いな色が視界の右端を過ぎ去り、それが袋から漏れた赤い光を反射した、セシルの篭手だと気がついた。 「おい、荷物が光ってるぞ?」 不定期に瞬く赤い光は、徐々に大きくなっていくようだった。驚いたセシルがその源を取り出す。 「指輪が光る……!?」 赤々と、いまや燃えるように光を放つボムの指輪。表面を覆う薄い布地がほどけぬように施された、見慣れぬ紋の封蝋に、セシルの指先が触れた。 幻獣との戦いの中、その封は衝撃に歪み、割れた瓶の破片によって損なわれていた。辛うじて原形を保っていた所に、鋼鉄の武具が、爪の先ほどもない小さな傷を付け加えたとき──紋章の形は決定的に崩れ、その効力を失った。 「つっ!」 指先に鋭い痛みが走る。セシルは咄嗟に手の中のものを放り投げた。 赤い星がさかしまに流れる。宙に投げ上げられた塊は、本物の炎に...
  • 一節 闇と霧の邂逅17
    そんな二人を余所目に炎はますます勢いを強くしていた。 ほんの少し前まで人が暮らしていた建物は見るも無残な炎のかたまりと化して 中から逃げ場を失った熱気が勢いよく窓や扉を吹き飛ばす。 ――ガシャン! 粉々になった窓ガラスと内側から噴出す炎の渦が、身を竦ませて怯える少女にも襲い掛かろうとする。 吹き荒れる火の粉を軽く手で振るい払って、低い声でカインはセシルに問う。 「それよりここは危ない。早く村を出ないと…あの子はどうする?」 セシルはカインの方へ向き直らず、軽く頷いて意思を伝えた。 「ぼくらが連れて行くしかあるまい! さあ…ここは危険だ。とにかく…ぼくらと一緒に!!」 セシルは視線を少女の方へ戻した。少女はまだ呆然と膝をついたままで赤い炎を背に やり場がないように手を宙に浮かせて悲痛な表情でセシルとカインを見ていた。 株との隙間から見える世界か...
  • 一節 闇と霧の邂逅16
    「可哀想だが、この子も殺らねばならんようだな」 「カイン!」 少女に向けられた鋭い穂先と、それを握る友人の顔を、信じられない思いでセシルは見た。 「殺らねば俺たちが殺られる!  気付いてるだろう、一歩間違えば、俺たちも炎に巻かれていた!! 「…………!」 「それでも構わないと、王はお考えだった。ここで任務にしくじれば、粛清は目に見えている」 息を呑んだセシルに、憐れむような眼差しを投げかけるカイン。 彼はセシルより、たった一つ年上であるに過ぎない。だが、その一年が大きな意味を持つ少年時代を、ふたりは共に過ごした。 自然と形作られる、兄弟に似た役割の差。その結果が今、現れている。 たぶん、彼の言うことが正しいのだろう。 「だからって……子供だぞ!」 「陛下に逆らえるか?」 「こんな殺戮を繰り返してまで、陛下に従うつもりはないっ!」 ミシ...
  • 一節 闇と霧の邂逅10
    濡れ輝く床に伸びた幻獣の骸が、細かな霧の粒となって掻き消える。出口から差し込む光に、白く浮き上がった靄をかき分け、セシルたちは洞窟を抜けた。 ミスト側の出口は、東西に伸びた谷の端に位置している。左右に迫った峰を見渡し、冷え冷えとした空気を深く吸い込んだ。いくら壮観であろうとも、長く地底に留まるのは、やはり2人の気性に合わない。 「どうやら無事に着けそうだな。  厭な予感がしていたんだけど」 天を刺す古木の合間、蛇行しながら伸びる道の彼方に、かがり火らしき光が見えている。霧深い谷底の村では、一日中こうして火をともしているのかも知れなかった。 直に目的地を確認し、一息ついたセシルをからかい半分にカインが諌める。 「その油断が危ないのさ。落とすぞ」 「そのときは、ドラゴンに壊されたって事にでもしようか」 唇の端を歪め、左腕に巻きつけた袋を軽く持ち上げるセシル。幻獣...
  • 一節 闇と霧の邂逅19
    少女の悲鳴は耳に入らず。 セシルの視界はまるでスローモーションであった。 手を伸ばし、拒まれ、瞬きで目に映る景色が切り替れば 年端もいかぬ女の子が口を大きく開いて何かを訴えている。 助けなければいけない。 彼女の命を救わなければ。 そんな焦燥感に駆られ、セシルはカインの手を振り払い少女の手首を掴んだ。 今、彼女を助けられるのは自分たちしかいない。そう強く信じた。 ――だけど今、彼女を危険にさらしたのは… 「お母さんを返してぇえええっ!!!!」 ―――!! 一瞬だった。何が起こったのかなどと考える余裕も与えられず、 セシルは自分の足が、いや体が突き飛ばされたように背後に倒れこまされるのがわかった。 背中を地面に打ち付けた衝撃で視界は少女の上方に移る。 そしてセシルは召喚士の脅威を目の当たりにした。 少女の後ろに、赤銅の肌の軽く...
  • 一節 闇と霧の邂逅18
    パシッ!! 「!?」 セシルが右の手のひらに微かな衝撃を覚え我に変えると、少女は先程と形相を変えて 顔を伏せて、右手を振りかぶっていた。ハッと今の状況を思い出す。 セシルが彼女の手を取ったとき、彼女は汚いものに触れたかのように手を振り払ったのだ。 「このままだと君も死んでしまう!」 嗚咽をまじえて少女はさらに強く二人を睨みつけ、じりと後ずさりをしている。 「…いや!」 ――君も、死んでしまう。君も、殺してしまう。 小さな困惑がセシルの思考を一瞬遅らせ、その後間髪をいれずにカインがセシルの肩を押さえ前に出て腕を伸ばした。 「やむを得ん、無理やりにでも連れて行くしか!」 「ちかよらないでぇええーっ!!」 ド…ン 少女の布を引き裂くような甲高い悲鳴に空気が震えた。 「待ってくれ!ぼくは…」 「来ないで!来ないでよぉっ!!」
  • FINAL FANTASY IV プロローグ13
    ...ローグ 終 一節 闇と霧の邂逅
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