かなり真面目にFFをノベライズしてみる@ まとめウィキ内検索 / 「一節 刻む足跡14」で検索した結果

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  • 一節 刻む足跡14
    (君も苦しんでいたのか? カイン) 鬱蒼とした心の闇を払い、人生への光明を開いてくれたのはカインだ。たとえお互いに争う事になった 今でもその過去だけは変わらない。 「それ以来、竜騎士団は分裂の兆しを見せました……後継者が見つからなかったのです」 竜騎士団を率いるには、パートナーである竜に認められる必要がある。 それはセシルも知っていた。 「その時、見事団長の竜をてなづけたのがカインさんです。それと同時に父の死を知り、それも克服した。 私達は幼いあの人の実力を認め、全員一致で団長へと推したのです……」 急に副長が震え上がった。顔を俯かせているのは泣いているからだろうか。 「私達は永遠の結束に結ばれたと思っていました。幾度の困難もありましたがカインさんのお陰で 乗り越えてきました。ですが、今はカインさんが何故ゴルベーザに味方をするのか分からない!」 ...
  • 一節 刻む足跡1
    シドに連れたって到着したのは、控え室を出た先、両翼に兵士達の控え室が並ぶ広間であった。 「こっちじゃ!」 その中、竜騎士達の待機する部屋であった所の扉を開け放つ。 しばらく使われていなかったのか、備え付けられた机を初めとした備品には、厚い埃の層が 出来上がっていた。 シドは何にも目も暮れず、部屋の隅まで走り、其処の壁へと手をつく。 「ここを……だな」 見ると、僅かながらに小さな歯車らしきものが伺える。シドの家の門にあったものと 似ている。 「こうして!」 瞬時、すぐ近く壁が音を立てて穴を造った。 「さっ! この先だ!」 壁の穿ち出来た穴を覗き込むと、まだまだ先に続いてることが伺えた。 「この大きさならなんとか入り込めるか……」 その穴は体全体が収まりきらない大きさであったが、屈んで潜ればなんとか潜入できる大きさであった。 幸いした...
  • 一節 刻む足跡12
    「僕に……責任があるんだ……」 セシルは言った。 「そうですか」 副長は平坦な口調で言葉を受け止めた。 彼は、セシルとカイン。二人の親交を深く理解していた。 しかし、其処に介入する「三人目」である人物については知らなかった。知りようがなかった。 それを理解してくれたのか、彼は深く追求をしてくる事はなかった。 「わかりました……カインさんの事をよろしく頼みます……」 深々とお礼をする姿はまるで親が子供の事を御願いしているかのようだ。 「ところで――」 そんな考えがよぎったのでつい訪ねてしまった。 否、今の様な関係だからこそ、カインの事をもっと詳しく知りたいと思っていたのかもしれない。 「カインの両親はどんな人だったんだ……?」 既に死別している事は知っていた。だけど、どんな人かは聞いた事がなかった。 孤児である自分が聞くのは、厚かましい...
  • 一節 刻む足跡17
    カインは有名な家柄に生まれ父に続き、竜騎士を率いた。 それだからローザとは誰もが認めるくらいに相応しかった。 しかも、ファレル一家とカインの父親は親戚にあたり、ローザの母も カインとの付き合いは好んでいたのだ。 そして、カインもローザに対し、特別な意識を持っていた。 ローザは……ローザはその関係を知っていた。 そして自分の思いが何処にあるのかも自分で分かっていた。 でも、それでも……いつまでも続く三人の関係を望んでいた。 だから彼女は必死に、孤独な戦いを続けていた。 そう、自分やカインが彼女に対しての意識を変えていく中で彼女だけが。 自分の気持ちを抑制してまで。 そして自分はそれを知らなかった…… 挙げ句、ローザの気持ちにも答えずに……
  • 一節 刻む足跡16
    (今日はここまでだよ……) 立ち止まるセシル。不服そうなローザ。 (ど……) どうしてと聞きたいのだろう。 (だって君のお母さんは僕の事を……) (そう……) 悲しそうに去っていく彼女をセシルは黙って見送っていた。 (ねえ、私も今日からお城へ勤めるのよ……) そう彼女が切り出したのはいつだったろう…… (白魔導士団に入ることにしたの) 胸を張って答える彼女。決して白魔法が得意だったとは聞いてなかった。 (だって……こうすれば……) 続きの言葉をローザは語らなかった。 あの時のセシルには分からなかった言葉であった。 しかし、今ならその言葉の先にあるものが分かる。 その言葉の持つ意味も…… 何処のものか全く保障の無いセシルをローザの母親は嫌っていた。 シャーロットは、ローザの心情も母親の苦悩も知っていた。 その...
  • 一節 刻む足跡10
    「それで?」 「その、まずはすまない……」 本題に聞こうとする副長に、セシルは先打って謝罪の意を述べる。 「僕と一緒にいたからカインは……」 ミストでセシルと共に消息を絶ったカインは未だにバロンでは行方不明という扱いに なっていた。 「いや! いいのです! むしろ私はあなたについていったカインさんには賞賛の意すら称えたいと 思いますよ!」 大きく身を振る副長は更に続ける。 「むしろ私達の方こそ、王が偽物であったと気付かずに、それどころかただ恐ろしく、 その意のままに動いていたのです!」 王の件についての真相はセシルの判断により、すぐにでも国の重役達に伝える事にした。 その事実はあっというまにに民への周りへと伝わり、今やもはや民にとって周知の事実となっていた。 最も、古くからの重臣達の大半は少なからずの予想は抱いていたようであった。 「...
  • 一節 刻む足跡18
    過去に自分を救ってくれたかけがいのない親友。 自分の人生を変えた二人。最初の友人であり最高の友。 今の自分にはあの時の二人のように、今の二人を救ってあげる事は できるのだろうか? 不可能ではない。もう一度……もう二度と繰り返させない。 今も昔も、過ちも苦しみも全てを解き放つ。 消せないものもある。だけど、目をそらさない。 今の自分にそれだけの覚悟も力もあると確信できる。 行く。かつての絆と親愛の元へ。三人で刻み刻んだ足跡。 いつも同じ場所へ向かっていた――いつの間にか別々に向かいつつあるそれ。 修正できぬかもしれぬ軌道。だけど、交わる事ならばできる。 だから行くのだ。自分は。 (もう一度やりなおす。君たちを僕が……) それが出来るのは誰でもない自分だけなのだから。
  • 一節 刻む足跡19
    おぉ……おぉ……ぃ……ぉおぉ…… 『セシル……ぉぉ……セシル……』 立ち去ろうとしたその刹那、不気味にとどろく声に呼ばれて、セシルは驚き振り返った。棺の前の副長と目が合う。 「……風ですよ。どこからか、吹き込むんです」 セシルより一回り以上年上の騎士は、一瞬だけ閃いた狼狽を消して微笑んだ。彼が足繁くこの場所を訪れていることを伺わせる、落ち着き払った態度だ。 その言葉に異を唱えるかのように、再び声が、セシルを呼んだ。 『……セシル……』 冷やりとした墓所の空気が背筋をなでる。さらに力強く、はっきりと聞こえてきた声は、もはや聞き間違いなどではない。 『セシル……其処に居るのか、セシル……』 呼びかけの合間に、冷たい石床を踏みしめる靴音が混じる。狭い地下空間で音は反響し、源は定かでないが、あきらかに近づいてきていた。 「……誰だ!?」 セシルは神経を研...
  • 一節 刻む足跡13
    副長を追いかけて到着したのは、城の地下深くの一角の 部屋であった。 (この場所は……) 既に開け放された扉の中には、先だって来ていた副長が二つの棺の 前へと立っていた。 セシルはこの場所――バロンの歴史へと貢献してきた群雄達の眠る場所 に立ち入る事は数える程しかなかった。 それも、孤児として後ろ立ての無かった為である。 勿論、此処に眠る者に対し敬意を抱いていなかったとは思っていない。 むしろ、自分のような者が来ては行けないという遠慮があったのだ。 「これは……カインの……」 副長の目前に備えられた棺の一つに刻まれた名には覚えがあった。 ハイウインド。 カインと同じ名だ。とすれば父はここに眠っているのか…… 「ハイウインドというのは、竜騎士を率いるものが名乗る姓なのです。 つまりは、元からの名ではなく、その時々に授けられるもの……」...
  • 一節 刻む足跡11
    「はい」 「カインは生きている」 「何ですって!」 思わず叫び、副長は立ち上がる。 「それで! 今は何処に?」 「今は……」 副長は言葉を待った。 「ゴルベーザの元にいる……」 「ゴルベーザですと!」 当然ながらバロンの民もその名は知っていた。 いや、副長ほどの役職であれば、自然と耳に入ってきたであろう。 「ひょっとすると捕らわれているのですか!」 急に話された事柄に驚きつつも、副長はそう解釈した。 「いや……それが、違うんだよ」 「では……」 ごくりと息の呑んだ音がする。 「カインは、今ゴルベーザに味方している……」 「え……その、つまりは……」 副長は混乱を隠しきれないようである。無理もない。 つまりはこの国に敵対しているという事。 いつか剣を向け合う時が来る日もあると否定できない関係。 「せめて副長に...
  • 一節 刻む足跡15
    一人地下から引き返すセシルの考える事は一つであった。 友達……それ以上の関係であった親友と呼べる存在。 それでいて一線を越える事のなかった関係。少し前までは…… 自然と崩れ去ったそれを復元する事は容易くない。 かけがいの無いあの時の瞬間は長き時を経た今でも色褪せる事なく 思い起こされる。良い事、悪い事、悲しい事、苦しい事、幸せな…… どれもが関係なく、無限とすら思える程に…… 何故なら、その思い出は今のセシルにとって全てと言っても差し支えがない 記憶だからなのだ。 その中の幾つかが思い出される。
  • 一節 刻む足跡9
    中には、エンタープライズを発進させる時に通った際に感じた、無人感はすっかりと 無く、今は人が居住していると分かる雰囲気になっていた。 だが、もはや日が西へと傾き、夜へと移行しようとする時期である。 部屋はがらんどうとしており、男とセシルが残されるだけであった。 「それで……」 セシルが勧められた椅子に着席すると、間もなく男が訪ねてくる。 「ああ、カインの事なんだ……」 「カイン」 その名を聞いた男はさして驚く様子も無く。 「ああ、やっぱりそうでしたか」 と言った。 「あなたが此処に来るのはそれくらいしかありませんからね」 そう言って、男――竜騎士団現副長はくすりと微笑した。 隊長として任命されたまだ若いカインを影ながら支えた彼にとって、セシルとカインの 関係も承知の上であったのだ。 「仲良き事で……羨ましいものですな」 最後に...
  • 一節 刻む足跡6
    「何と! では、ローザも!?」 「ああ……此方の手の内だ」 カインは特に躊躇いも無く言った。まるでその事を伝えるのが目的だったように。 「何処におるっ! 無事なんだろうな……?」 「今の所はな……ただ、何時までもという訳にはいかんな……」 「なんとっ、カイン! お前それでも……あいつの事を」 突き放すようなカインの言葉に、彼の心中を理解しているシドもきつい言葉で言い返す。 「まあ、待て。未だ続きがある。いいか、トロイアという国は知ってるだろう。 其処にはまだクリスタルが残っている。ローザの命が惜しければそれと引き替えだ」 シドの言葉にもカインは平静を保っていた。少なくともセシルにはそう感じられた。 「貴様……」 「手に入れたら、また連絡に来る。ローザの身を案じるなら素直に従え」 そこまで言って、カインは身を翻した。 「待てっ! 目を覚ます...
  • 一節 刻む足跡4
    「親方……向こうが……白旗をあげてます……」 「何ぃ……」 誰もがこれから始まるであろう激突に、士気を高めていた所にそんな報が入ったのだ。 シドも思わず声を上ずらせた。 「どうします?」 「むう……」 これにはシドも悩みを要した。 もし本当に降伏をする意図が分からなかったからだ。安易に攻撃を中断でもしたら…… 逆に攻撃を食らってしまうかもしれない。 「罠と見た可能性がよろしいのでは……?」 ヤンが言う。 「私もそう思うな」 テラもそう言った。 「そうか……そうだな」 「いや。攻撃を中断してくれ」 半ば、攻撃再開の決断をシドは決めかけた時、セシルが言った。 「本気ですか! セシル殿……」 「ああ」 「ですが……もし罠だったらどうするのです? そうだとすれば私達は……」 「大丈夫だよ」 言って、セシルは段々と大きく...
  • 一節 刻む足跡2
    通路の終着点にある粗末な扉を開けた先には、小さな扉からは想像出来ない程の広い空間が存在した。 それも、ただ広いだけでなく、天井までの距離がもの凄く高いのだ。 「親方!」 入って、すぐにでも若い男が此方へと駆け出してきた。 「おおう! 待たせたな。準備は?」 「万全です! 後は飛び立つだけです」 「そうか、ご苦労だった。引き続き頼むぞ!」 シドがそう言うと、若者は威勢よく返事を返し去っていった。 「どういう事……だ?」 「ああ……牢獄を出た後な、直ぐにでも発信できるように準備をさせとったのだよ。 さすがに結構前に隠しとったし、整備をしなければ飛び立てんのだよ」 「そうか……」 牢獄で言った、準備とやらにはこの作業も含まれていったのだろう。 「さて! 着いてこい! いよいよ発信の時だ!」 広間の中心辺りに、一際目立つ存在として置かれ...
  • 一節 刻む足跡5
    セシルの読みは正解であった。 白旗を出した飛空挺は、エンタープライズに攻撃の意志が無いと悟ると、その傍らに近づき、 二つの船の間に梯子をかける。 「久しぶりだな。セシル」 架け橋となった、梯子をつたって、真っ先に渡ってきたのは…… 「カイン、やはり君か……」 「どうやらお前には判っていたようだな! 嬉しいぞ!」 「カイン……」 君も同じなのか? 一瞬口から、そんな言葉が出かかったが、慌てて抑える。 ベイガンの言った言葉。あいつも自分と同じ存在だ。 野心の為に、己を…… 「カイン、どういうつもりじゃ!」 急に登場したカインに、それもこのような形で対峙したシドは動揺を隠せなかった。 「奴は……ゴルベーザに従っているのです!」 ヤンが言う。既に体は何時でもカインを攻撃できるように準備している。 例え、セシルの友人だという人間でも、フ...
  • 一節 刻む足跡8
    着艦後、シドは直ぐにでも、自分の弟子である、部下達に指示を下し始めた。 トロイアまでの航路をとるには色々と準備がいるようだ。 当然ながら、セシルを初め、ヤンやテラ達には何か手伝える事があるわけではない。 それどころか、邪魔になってしまうかもしれない。 「数日程時間がかかりそうじゃ……すまんが、ゆっくりと休んでおいてくれ……」 テラは、一刻も早く出発したいようで、その言葉を聞いた時は苛立ち気味であった。 最も、いつまでも焦っている事はなく、すぐにでも休息をとる事になった。 テラにもこれからの事で色々思い悩む事もあるのであろう。 ヤンも同じようであった。 そして、セシルにとって、与えられた休息は、大変有り難いものであった。 それは単純な疲れを癒すだけでなく、今の状況や、バロンの変化とその影響を 知る為にも、充分な時間であったからだ。 「失礼...
  • 一節 刻む足跡25
    「では、お前はあの子達を見捨てるというのか!」 テラの怒りは当然だと思う。自分の意見が絶対的に正しいとも思えない。 「だけど、どうする。今長老は、祈りの塔にいる。今は待つことしかで きないじゃないか……」 「…………」 テラは黙り込んでいた。何も言い返さないのは、言い返せないのか、はたまた 何かを考えているのか。 「ひょっとすると、長老にとっても今はとっても大事な時なのかもしれない。 あの二人の命以上に……」 「なんじゃと!」 テラは少し怒ったような声を出した。 「他にもいいやり方をあやつなら知っておるかもしれんぞ」 テラがそう返した。 何にせよ、セシルの決断は一つであった。 「悪いけど、もうこれ以上は待てない。後少ししたら、シドに発進の準備を してもらうよ」 それだけ言い残してセシルは足を速めた。 ミシディアからバロンに...
  • 一節 刻む足跡20
    「……すまん、ちと気が急いてしもうた」 英霊たちの眠りを妨げた非を認め、棺の群れに向かってシドが頭を垂れる。彼が神妙にするのは珍しい。 「それにしたって急ぎすぎだよ。あと2日はかかるはずだろう?」 エンタープライズ号の儀装にかかる時間は、あらかじめシドから告げられていた。こういうことに関して、彼の予測は外れたためしがない。まして、整備に手を抜くようなことは絶対にない。 「なんせ、あの子らの命がかかってるんじゃからの。ワシらも気張ろうというものじゃ。  まだ細かいのがちと残っとるが、ミシディアまでなら十分飛べるぞ!」 「ミシディア? あの子たちって、まさか……パロムとポロム?」 「そうじゃ! あの耄碌ジジイ、昨日になっていきなり言い出しおってからに!!」 「お静かに」 「……すまん」 どうやらシドは、徹夜の果ての興奮状態にあるようだ。はじめのほうこそ声...
  • 一節 刻む足跡3
    「発信準備完了!」 セシル達、全員が甲板に乗り込んだ後、息をつく暇も無く、若い技師のかけ声が聞こえた。 「よし! 発信じゃ!」 シドの声。同時に僅かな振動。 次の瞬間には天かける船は地を離れ、大空へと飛び立ち始めた。 「以前よりも、振動が少ない……」 飛び立つ時、セシルはふと一言呟いた。 以前までの飛空挺は発信時にもっと衝撃が大きかったのだが、それが随分とやわらいでいる。 それから大した時間もかからず、船は上空へと到達する。 「これが……飛空挺か……」 テラが驚いている。何故飛んでいるのかの原理への疑問より、純粋に空を駆る 事実に驚いているようだ。 「親方! 前方より何か近づいてます……赤い翼です!」 突然、一人の技師から声がした。 見れば、同じように空を駆る飛空挺編隊が前方から近づいている。 当然ながら、今この世界で飛空挺技術を...
  • 一節 刻む足跡7
    飛空挺の編隊は段々と遠ざかっていき、ついには雲に隠れてそのまま見えなくなってしまった。 大空には、ぽつんとエンタープイズが一つ浮遊し、プロペラが大きな音を立てて回っていた。 その甲板、既に昼が終わり、もうすぐ夜がやってくるであろう時間の日に照らされた甲板はすっかりと 消沈していた。 「どうするのだ……」 シドが訪ねる。 飛空挺は彼の指示で動いている。いざとなれば自分の命令で船を動かし、追跡する 事も出来たであろう。それをセシルに聞いてくるのだ。彼も判断に困っているのだろう。 「トロイアにいくしかないだろう……」 カインがゴルベーザの元に動いているとしても、簡単にローザに危害を加えるとは考えづらい。 おそらくは、ゴルベーザの欲する、クリスタルを確保させるまでは、ローザの身は安全であろう。 「そうだな」 カインとの間に多少の親交があったシドも同感...
  • 一節 刻む足跡24
    白い外壁。円を描くように立ち並ぶ家屋。そして来訪者迎えるよう 建造された神殿、其処へ誘う為の直進の道。 何もかもが変わらないミシディアの町であった。 「テラ、何をするつもりだったんだ?」 そして神殿への道を町の入り口へと向かいながら、セシルは訪ねる。 飛空挺での移動中、テラはずっと無言のまま黙っていた。 ヤンにもシドにも詳しくは話していなかったそうだ。 「あの子達は自分達で……だから」 「だから……」 「まずは、あの子達が戻りたいと思わせなければならないのだ……」 「二人の想いを解き放たなければならない……か」 一通りの話をそう解釈した。 「それで長老に頼る事にしたのか」 「そうだ。だが、あやつは……私に会わんとは!」 「なら、どうするつもりだ……」 「あやつが私に会うまで待っておく!」 「……ねえ、テラ?」 断固として主...
  • 一節 刻む足跡27
    「待て! セシル!」 考えるセシルの元に慌てたかのような声と、足音が近づいてくる。 「確かに、お前がいうとおりなのかもしれんな。今はあやつを……ゴルベーザを 倒すべきなのかもしれん」 振り返ると息を切らしたテラが立っていた。 「じゃあ、もういんだね……」 何がとは聞かなかったが、テラも理解しているであろう。 「ああ、あの子達は決して死んだわけではない。それに今は二人も――」 石となった人間に想いというものが存在するかはテラにも判らないのであろうか、そこで口を閉じる。 「だけど、時間が……時間が二人を何とかしてくれるかもしれん……」 しばしの時を経て、テラはそう言った。それは無理にでも自分を納得させている言葉に、セシルには 感じられた。 同時に朝から昼へと移行し始める空を見上げる。その姿は何処か脆くセシルは感じた。 「僕もそう思うよ。行こう...
  • 一節 刻む足跡26
    (もしテラが待ち続けていれば。置いていくことになるのか……) 飛空挺まで向かう際にふいに考えがよぎった。 それがいいのかもしれない。 これからの戦いでゴルベーザとまみえた時、テラがメテオを使う可能性は 極めて高い。 もしそうなるとすれば、テラは…… 試練の山から帰還した際、セシルは長老からテラの過去を聞いた。 それが終わった時、長老は一言だけセシルへと頼み込みをしてきた。 「テラを守って欲しい」 たった一言ではあったが、長老の言葉は大体分かった。 メテオがどんなものかはセシルもわかっていた。そして長老が危惧する理由も。 そして、それは今のセシルに抱えられる程の簡単な御願いでもなかった。
  • 一節 刻む足跡21
    『セシル……セシル……』 びょうびょうと吹く風に乗り、声はただセシルの名を呼び続ける。 セシルは思い切り首をひねり、潜むものの姿を捉えようと努力した。だが無数に続くかに見える棺と、同じく凍りついた副長の他は、彼に見えるものはない。 「この奥は……」 「禁域です。王以外は──」 王。 不意にセシルの呪縛は解けた。副長の返答に含まれた単語が、記憶を呼び覚ましたのだ。 墓所の奥に正対し、膝をつき、手を肩口に当てる。 『セシルよ……』 「──御前に」 どうか、僕の声が届きますように。祈りを込め、セシルは、彼を呼ぶおごそかな声に応えた。 何故すぐに気付かなかったかという思いと、たとえようもない懐かしさで震えそうになる声を抑え、頼むべき兵士であろうと努める。 『幻獣界との縁を見出せ……  お前の力になれるだろう』 「かしこまりました」...
  • 一節 刻む足跡22
    ──それは、セシルが物心つく前から、自らに禁じていた呼びかけだった。 余計な波風を立てぬよう、他ならぬ王自身に迷惑をかけぬよう、絶対に人前で口にしてはならないと、心の中でさえ使うことを避けていた。 『……よい。  では最後の命令だ。  顔を上げよ、セシル』 「仰せのままに」 立ち上がり、改めて通路の奥に目を凝らす。いつしか風は止んでいて、禁域を守る闇が少しずつ視線を吸い込む。 広かった。誰もいない通路は、本当に広かった。 「……いってしまわれたの」 「僕らも行かないと」 副長に別れを告げ、鼻を啜り上げるシドに先んじて、セシルは地上へ続く階段に足をかけた。 胸に焼きついた通路の広さが、セシルの覚悟の証だった。二度と目を逸らさない、その自信に形ができた。 それこそが陛下の、王の、バロンの───── (行って参ります。父上) ...
  • 一節 刻む足跡23
    ミシディアへと着いた途端、テラの導きにより、セシルは長老のいる場所。 つまりは町の最奥へとそびえる、神殿へと向かった。 「どういう事だ!」 セシルが着いた時には、先に着いていたテラの怒ったような 声が聞こえていた。 「長老は今は祈りの塔の中です。誰にも会うことはできません!」 見ると、奥へと続く階段の前を何人もの女官達が必死に行く手を 遮っている。 「何故だ! ひどく重要な話なのだぞ……」 「決まりは決まりです。例えテラ様といえど例外ではありません……」 女官は目前の賢者相手にも全く動じる事なく冷静に対応する。 「そうか……」 さすがに、その態度にはどうやっても無理だろうと思ったのか、テラは 声を潜める。 「セシル、出るぞ」 そして、身を翻し神殿から外へと退出した。
  • 一節 航海14
    「船長・・?」 「・・まだだ。油断するな、まだ終わっちゃいねえ。・・俺にはわかるんだ。海が警告してる。  畜生・・、ふざけやがって、なんて野郎だ。海の神様ってえやつは、とんでもねえ化けもんだ」  豪壮な船長からは予想もつかぬ、その弱々しい溜息のような呟きにセシルは訝しげに耳を 傾けていたが、やがてその意味するところを知ってしまった。  異変は、はるか遠くの海で、既に起こっていたのだ。 「・・まさか・・あれは」 「気づいたか、気づいたところでもうどうしようもねえがな。  おめーら! 浮かれてる場合じゃねえぞ、縄もってこい! 身体を船に縛り付けるんだ!!」  彼の声に海を見渡した船員たちも、ようやく現実に気づき始めた。  その異変は猛烈な勢いで迫り、もはや彼らに一刻の猶予も与えてはくれそうになかった。  ────巨大な津波が、押し寄せようとして...
  • FF4 三章
    三章 一節 モンク僧1 299 一節 モンク僧2 299 一節 モンク僧3 299 一節 モンク僧4 299 一節 モンク僧5 299 一節 モンク僧6 299 一節 モンク僧7 299 一節 モンク僧8 46-48 一節 モンク僧9 46-48 一節 モンク僧10 46-48 一節 モンク僧11 299 一節 モンク僧12 299 一節 モンク僧13 299 二節 剛の王国1 196-199 二節 剛の王国2 196-199 二節 剛の王国3 196-199 二節 剛の王国4 196-199 二節 剛の王国5 196-199 二節 剛の王国6 196-199 二節 剛の王国7 196-199 二節 剛の王国8 196-199 二節 剛の王国9 196-199 二節 剛の王国10 196-199 二節 剛の王国11 196-199 二節 剛の王国12 196-199 二節 剛の王国13...
  • FF4 四章
    四章 一節 航海1 297 一節 航海2 297 一節 航海3 297 一節 航海4 297 一節 航海5 297 一節 航海6 297 一節 航海7 297 一節 航海8 297 一節 航海9 297 一節 航海10 297 一節 航海11 297 一節 航海12 297 一節 航海13 297 一節 航海14 297 一節 航海15 297 一節 航海16 297 一節 航海17 297 二節 試練1 299 二節 試練2 299 二節 試練3 299 二節 試練4 297 二節 試練5 297 二節 試練6 297 二節 試練7 297 二節 試練8 297 二節 試練9 297 二節 試練10 297 二節 試練11 297 二節 試練12 297 二節 試練13 297 二節 試練14 297 二節 試練15 297 二節 試練16 297 二節 試練17 297 二節 試練...
  • FF4 一章
    一章 一節 闇と霧の邂逅◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅2◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅316 一節 闇と霧の邂逅416 一節 闇と霧の邂逅5198-202 一節 闇と霧の邂逅6198-202 一節 闇と霧の邂逅7198-202 一節 闇と霧の邂逅8198-202 一節 闇と霧の邂逅9198-202 一節 闇と霧の邂逅10◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅11◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅12◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅13◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅14◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅15◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅16◆HHOM0Pr/qI 一節 闇と霧の邂逅17267 一節 闇と霧の邂逅18267 一節 闇と霧の邂逅19267 一節 闇と霧の邂逅20267 二節 砂塵1 ◆HHO...
  • FF4 二章
    二章 一節 新たなる旅立ち1 299 一節 新たなる旅立ち2 299 一節 新たなる旅立ち3 299 一節 新たなる旅立ち4 299 一節 新たなる旅立ち5 299 一節 新たなる旅立ち6 299 一節 新たなる旅立ち7 ◆HHOM0Pr/qI 一節 新たなる旅立ち8 ◆HHOM0Pr/qI 一節 新たなる旅立ち9 ◆HHOM0Pr/qI 一節 新たなる旅立ち10 ◆HHOM0Pr/qI 一節 新たなる旅立ち11 ◆HHOM0Pr/qI 一節 新たなる旅立ち12 ◆HHOM0Pr/qI 一節 新たなる旅立ち13 ◆HHOM0Pr/qI 一節 新たなる旅立ち14 299 一節 新たなる旅立ち15 299 一節 新たなる旅立ち16 299 一節 新たなる旅立ち17 299 一節 新たなる旅立ち18 299
  • 一節 闇と霧の邂逅14
    短い祈りが済んで顔を上げると、村を一周してきたカインの姿が目に入った。炎上する村を背にして、影絵のように全身が黒く塗り潰されている。 ひとりだった。 「カイン!」 セシルの呼びかけに、傍らの少女が身を震わせる。 「大丈夫、僕の友達だ」 怯えた様子を見て取り、セシルは少女に声をかけた。 首を竦め、合わせたマントを内側から握りしめた子供の、不安げな瞳に気付いているのか、カインは足早に坂を上って来る。 「セシル、この子は……?」 「村の外れにいた。どうも、母親が何かに襲われたらしい」 「!  そいつはまだ、近くに?」 穏かならざる情報に、槍を掴むカインの手に力が篭る。頭部のほとんどは竜の上顎を象った兜に隠れているものの、険しい顔をしていることは想像に難くない。 「いや──気配はない。それに、この子はなんともないんだ」 未知の魔物が、近くにいるか...
  • FF4 八章
    八章 一節 エブラーナ1 エブラーナ2 エブラーナ3 エブラーナ4 エブラーナ5 エブラーナ6 エブラーナ7 エブラーナ8 エブラーナ9 エブラーナ10 エブラーナ11 エブラーナ12 二節 絆1 絆2 絆3 絆4 絆5 絆6 絆7 絆8 絆9 絆10 絆11 絆12 絆13 絆14 絆15 絆16 絆17 絆18
  • 一節 新たなる旅立ち14
    この夜、セシル達はローザを看病してくれた老夫婦の所へ泊まる事へした。 宿をとっても良かったのだが、ローザの様態を気にした事もあり夫婦の厚意に甘えさせてもらうことにした。 「セシル」 リディアは扉を開きセシルの名を呼ぶ。 「リディア」 セシルは指を口に当てながら小さく言った。 「何? あっ……」 セシルが何を言おうとしたのか直ぐには分からなかった。だが部屋を見渡し理解する。 ローザが寝ているから静かにしろと言うことか。 「さっきまでは起きてたんだけどね」 眠っているローザを見るセシルの顔は、今までリディアが見たことも無いような笑顔をしていた。 「ねえ、ローザの看病は私がするよ。セシルはゆっくり休んで」 「いいよ、僕が見ておくから。リディアこそ休んだらどうだい」 「だめ。夕方から付きっきりじゃない。少し休まないと明日に響くわよ」 実際に夕...
  • FF4 七章
    七章 一節 地底世界1 地底世界2 地底世界3 地底世界4 地底世界5 地底世界6 地底世界7 地底世界8 地底世界9 地底世界10 地底世界11 地底世界12 二節 罪の在処1 罪の在処2 罪の在処3 罪の在処4 罪の在処5 罪の在処6 罪の在処7 罪の在処8 罪の在処9 罪の在処10 罪の在処11 罪の在処12 罪の在処13 罪の在処14 罪の在処15 罪の在処16 罪の在処17 罪の在処18 罪の在処19 三節 去りゆくもの 残されるもの1 去りゆくもの 残されるもの2 去りゆくもの 残されるもの3 去りゆくもの 残されるもの4 去りゆくもの 残されるもの5 去りゆくもの 残されるもの6 去りゆくもの 残されるもの7 去りゆくもの 残されるもの8 去りゆくもの 残されるもの9 去りゆくもの 残されるもの10 去りゆくもの 残されるもの11 去りゆくもの ...
  • FF4 六章
    六章 一節 変わる世界 交錯する言葉1 299 変わる世界 交錯する言葉2 299 変わる世界 交錯する言葉3 299 変わる世界 交錯する言葉4 299 変わる世界 交錯する言葉5 299 変わる世界 交錯する言葉6 299 変わる世界 交錯する言葉7 299 変わる世界 交錯する言葉8 299 変わる世界 交錯する言葉9 299 変わる世界 交錯する言葉10 変わる世界 交錯する言葉11 変わる世界 交錯する言葉12 変わる世界 交錯する言葉13 変わる世界 交錯する言葉14 変わる世界 交錯する言葉15 変わる世界 交錯する言葉16 変わる世界 交錯する言葉17 変わる世界 交錯する言葉18 変わる世界 交錯する言葉19 変わる世界 交錯する言葉20 変わる世界 交錯する言葉21 変わる世界 交錯する言葉22 変わる世界 交錯する言葉23 変わる世界...
  • @wiki全体から「一節 刻む足跡14」で調べる

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