かなり真面目にFFをノベライズしてみる@ まとめウィキ内検索 / 「二節 剛の王国17」で検索した結果

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  • FF4 三章
    ...ク僧13 299 二節 剛の王国1 196-199 二節 剛の王国2 196-199 二節 剛の王国3 196-199 二節 剛の王国4 196-199 二節 剛の王国5 196-199 二節 剛の王国6 196-199 二節 剛の王国7 196-199 二節 剛の王国8 196-199 二節 剛の王国9 196-199 二節 剛の王国10 196-199 二節 剛の王国11 196-199 二節 剛の王国12 196-199 二節 剛の王国13 196-199 二節 剛の王国14 299 二節 剛の王国15 299 二節 剛の王国16 297 二節 剛の王国17 297 二節 剛の王国18 297 二節 剛の王国19 297 二節 剛の王国20 297 二節 剛の王国21 297 二節 剛の王国22 297 二節 剛の王国23 297 三節 Two of us1 ◆HHOM0P...
  • 二節 剛の王国17
     ローザは名高い竜騎士と白魔道士を両親に持ち、カインに至っては前竜騎士団 団長の実子であった。そんな学内でも一目置かれた立場の二人が、なぜ自分などに 話しかけてきたのか、セシルは今でも不思議に思っている。それでも、それは彼に とってたまらなく嬉しい出来事だった。  彼らは三人だけの特別に親密な輪を形成し、いつも行動をともにした。セシルと カインは幼い少年らしく、すぐにお互いの技に興味を持ち、何度も手を合わせた。 未知の武器であった槍との出会い。加えて、格の違いすぎる王との稽古と違い、 実力の均衡したカインとの仕合は楽しかった。二人は日夜お互いを切磋琢磨しあい、 めざましい勢いで進歩を遂げていった。  また、敗者の方は、治療と称したローザの怪しい白魔法の練習台にされるという 過酷なルールが、いっそう二人を必死にさせた。  様々な時間を共有し、...
  • 二節 剛の王国1
    ヤンと出会ってから、かれこれ一週間は経っただろうか。 日頃から増えている魔物を退け、手負いの者たちを背負い、 ホブス山を踏破したことによる疲労に耐えながらの道のりはこの上なく長く感じられた。 セシル達とヤンの率いる手負いのモンク僧たちは、やっとのことでファブールの都へと辿りついた。 「開門!急げ!」 ファブールの城の前に立つや否やそう怒鳴り声が聞こえ、目の前の城門が重そうな音を立てて開き始める。 開いた門を進み城壁の内側へと進むと、彼らは警戒の眼差しを持って迎えられた。 セシルが辺りを見まわすと、周りには武具一式を身につけたモンク僧が、ざっと数百人ほど集まっていた。 どうやら都はすでに戦の報を聞きつけ、防備を固めていたようだ。 「お戻りになられたか、ヤン殿!」 城の方から何人かの護衛を率い、これまた武装済みのモンク僧が走り寄ってくる。 「ウ...
  • 二節 剛の王国10
    城壁と二つの城門を捨て三つ目の城門の裏に退却し終わるころには、 モンク僧の数は戦いが始まった頃の半分に減っていた。 そしてやっとの思いで逃げこみ、閉ざした城門が、早くも破城槌によって大きく揺らいでいる。 この門が破られるのも、最早時間の問題だ。 「巻きこんですまぬ!勝ちの目の無い戦いに!」 「いえ、これは私の戦いでもあります!  それにまだ敗けとは決まっていません!」 弱気になり始めた王にセシルが怒鳴り返すと同時に、門が大きく揺らぎ、破られた。 再び両軍が激突する。 しかし、疲労困憊、満身創痍のモンク達と、疲れ知らずの魔物とでは、押し合いの勝敗はもはや明らかだった。 「地下道に敵が!」 誰かがそう叫ぶのを聞きつけたファブール王後ろを振り返り、 ――血走った目で地下への入り口を、国民が避難している地下への入り口を凝視した。 戦いをすり...
  • 二節 剛の王国13
    「……?」 ファブール王は、何が起こったかわからなかった。 それもそのはず、今まで盛んに攻めつづけたバロン軍が、 自分の命を絶とうとするその瞬間に突然動きを止めたのだから。 王は困惑していたが、敵はもっと困惑していたように見えた。 そして挙句の果てに、彼らはあろうことか、勝利を目前にして来た道を引こ返して行った。 倒れた王を忌々しげに睨みながら。 しばらくして、誰かが通路の奥から走ってきた。 「陛下!お怪我を!」 ローザだ。ローザが自分の傷を白魔法で治療している。 「余は大丈夫じゃ。それほど深い傷ではない。しかしこれは一体…?」 「…わかりません」 ローザも一部始終を目にしていたらしく、困惑の眼差しでバロン軍の去った方を眺めている。 「ここまできて引き上げるとは、一体何を…?」 苦しげに起き上がりながら、ウェッジも言う。 そ...
  • 二節 剛の王国11
    こうして、ファブール軍は玉座の間まで退いた。 王の間の門は扉も閂も鉄で出来ており、ほかの門よりはるかに頑丈だった。 実際、破城槌で叩かれても大きい衝撃音が響くだけで、門はびくともしない。 「ここなら暫くは持ちこたえられる。ここでなんとしても防がねば」 鍵爪を腕に装着しなおしながら、ヤンが焦ったように言う。 「ここを失ったらクリスタルルーム以外にもう逃げ場は無い」 剣を油断無く構えながら、セシルも言う。 と、門を押さえていた一人のモンクの動きが、明らかにおかしいことに彼は気付いた。 始めは他のモンクと共に震える門を押さえつけていたのだが、その手は徐々に上に伸び、閂に触れて… 「何をする!」 ヤンが叫んだ時には、門にかけられた鉄の閂は外され、地面に落とされていた。 「人間じゃ…ない!」 ギルバートも叫ぶ。同時に、閂を外したモンクは白目をむき...
  • 二節 剛の王国16
     もう引き返すことのできない状況にあることを悟り、セシルはゆっくりと 回廊の中心に歩みだした。カインも自分と対象的な弧を描くように歩き出す。 特殊な水晶でできた床面が、鏡面のようにいくつもの彼らの虚像を描く。 ヤンとギルバートが身を引き、闘いの前の不気味な静寂があたりを支配した。  背水の陣。自分が破れれば、すでに陥落しかけているこの城の運命は決まる。 そして、目の前に対峙する男は、まちがいなく今まで戦った敵の誰よりも強い。 かつてないほどに追いつめられた局面でありながら、不思議なほど、セシルの 胸中は穏やかだった。  セシルは、ふと幼い頃を思いだしていた・・・。  セシルには両親がいなかった。森の中で布にくるまれて泣いているところを、 狩りに出ていた王が見つけたのだった。妻に先立たれ、自身も孤独にあった王は、 ひとりぼっちの赤ん坊...
  • 二節 剛の王国12
    再びなだれ込んでくるバロン軍。 ガーゴイルの突然の奇襲に浮き足立っていたモンク達に、彼らは容赦無く襲いかかる。 もはや戦況は絶望的だった。 ファブールのモンク僧は方々でバロンの魔物に打ち負かされている。 「やむをえん!クリスタルルームまで下がろう!」 圧倒的に不利な状況を察したヤンが、空になっている玉座の後ろにある扉を指差す。 「急げ!中へ!」 ギルバートもモンク僧を促すと、部屋の奥へと走り出す。 と、その時、背中に一本の流れ矢が突き刺さった。 呻き、そのまま前のめりに倒れるギルバート。 「ギルバート!」 セシルが振りかえり、彼のもとへ一目散に駆ける。 そしてギルバートにのしかかり、頭を握りつぶそうと手を伸ばすサハギンの右腕を切り落とし、首をはねた。 傷を押さえるギルバートを担ぎ、クリスタルルームへと急ぐ。背中には矢が刺さったままだ。 ...
  • 二節 剛の王国19
     はるか頭上に飛び上がったカインを見上げ、セシルは剣を構えた。  カインとの一騎打ち。それはセシルにとって、さりとて新しい響きをもたない。 毎日のように剣を交え、誰よりも長く腕を競い合ってきた仲だ。いまさら、である。  だが、いま彼らの手にあるのは刃を殺した得物ではない。  親友と命を奪い合う。その冷酷なまぎれもない事実が、徐々に深刻な実感として セシルに重くのしかかり、彼の兜の内側にひとすじ、隠しきれない汗を伝わせた。  カインと自分の力量はほとんど互角、しかし疲弊がある分、自分の方が不利と セシルは踏んだ。お互いの手の内は嫌というほど知り尽くしている。 小手先の競り合いは無用だ。  最後に勝ったのはどちらだったろうか。セシルは剣先に力を込めた。 「よけろ! セシル殿ッ!!」  突然ヤンの怒号が走った。  声に驚き、反射的にセシルは...
  • 二節 剛の王国18
     カインの冷たい声がセシルを現実に引き戻した。 「別にお前たちを殺しにきたわけじゃないんだ」  カインは肩をすくめ、クリスタルの前に立つヤンを見やった。 「こんな古臭い城にも興味はないしな」 「貴様っ・・!」  ヤンが今にも飛びかかりそうな形相で睨みつける。  カインはいっこうに意に介していない様子だ。 「素直にクリスタルを差し出した方が身のためだぞ」  ・・そうだ、これが現実なのだ。  いつしか父は父でなくなった。かけがえのない祖国は凶行に手を染め、 曇ることのない誇りは地に堕ちた。そして、最も信頼していた親友は袂を分かち、 いまや自分に刃を向けている。  ────受け入れろ  セシルは過去を振り払うように、決然と剣を抜いた。 「負けはしない」 「・・ふっ」  その不敵なあざけりが会話に幕を下ろした。...
  • 二節 剛の王国15
    王が負傷の知らせはヤンの耳にも届いていた。その為、兵の士気は圧倒的に落ちていることなど想像するに容易かった。 ヤンも引き際が分からぬ程、愚かではなかった。 「さあ、早く!」 「待て!」 後ろずさるヤン達を尻目にセシルは前へと踊り出す。 「カイン、どうしてもやるというのなら僕と戦え。君が勝てばクリスタルを好きにしていい」 「一騎打ちというところか? いいだろう。受けて立つ」 「セシル殿!」 先程よりも強くセシルの肩を掴むヤン。 「すまないヤン。でもこうさせてくれないか。僕は……」 「うむ……承知した」 数瞬の後、ヤンは手を離した。 兜に隠れて表情は伺えなかったが、その時のセシルの顔はヤンを納得させるのに十分であった。 しばらくの後、クリスタルルームの中心に二人の男が睨み合う形で向き合っていた。 「カイン、一つだけ聞いて良いか?」 ...
  • 二節 剛の王国14
    「カイン、何故此処に……」 見間違う訳がない。目の前に立つ男は間違いなくセシルの友であった。 カインの行方をずっと気にしていたセシルにとって、今こうして彼の無事が分かった事に安心を覚えた。 しかしそれと共に一つ疑問が浮かび上がる。 今セシル達がいるのは戦場であった。相対する者はすべて剣を交え殺し合う……そんな場所である。 奇しくも、その場所で二人は対峙する形でお互いを見つめ合っていた。 「…………」 「カイン!」 沈黙を守り続けるカインに思わず駆け出そうとするセシル。 「よせ! セシル殿」 ヤンが引き留めるように肩を掴む。 「何故です! 向こうにカインが!」 「分かっているはずだ。何故彼が此処にいるのか」 今度はギルバートが諭すように言う。 「そう、おそらく君の友人は……」 「嘘だろ! カイン!」 そうであるあけがない。セシル...
  • 二節 剛の王国2
    彼らが去って行くのを見守り、ウェッジは「…して」と、今度はセシルに先ほどと同じ鋭い眼差しを向けた。 「貴殿のその姿、バロン国の暗黒騎士とお見受けいたしますが?」 「ええ、いかにも」 セシルはその視線を正面から受け止め、答えた。 「しかし今はわけあってバロンを離れ、敵対しております」 「そうですとも。彼にはホブスの山にて全滅した我らの命を救っていただいた」 ウェッジはヤンの証言を得ても疑わしげにセシルを見つめていたが、やがて 「念のため武器をお預かり致しましょう。  それよりもヤン殿、王がお待ちです。細かい経緯を話していただきたいので、あなたがたもご一緒に」 と彼らを城の中へと導いた。 「バロンについての報を聞きつけたのはいつの事ですかな?」 「三日前の朝にございます」 城内を大股に歩きながら、ヤンとウェッジが話し合っている。 「ふむ...
  • 二節 剛の王国4
    「ふむ…そなたが言うならば誠であろう。疑ってすまなかったな、セシル殿」 申し訳なさそうに王は言うと、暫くして「…して」と切り出した。 「見ての通りファブールは今や窮地に立たされておる。  ギルバート殿。それにセシル殿。厚かましいとは思うが、我らに力添えしてはいただけぬか?」 セシルとギルバートは顔を見合わせた。勿論、答えは決まっている。 「無論です。陛下」 「彼は素晴らしい力をお持ちです」 ヤンも賛同するように言う。 「私と共に最前で戦っていただきましょう」 「すまぬな。では早速ではあるが少し来ていただきたい。城の防備について2,3助言が欲しいのでな」 そう言って王は玉座から立ちあがると蒼い衣を翻し、謁見の間の出口へと歩き出した。 それからの数日間、セシルは王とともに都をくまなく見て回り、バロン軍の攻め方やそれに対する防衛の仕方などについて...
  • 二節 剛の王国6
    その号令と共に合図の角笛の轟音が辺りに響き、 城壁のモンク僧達は据え置かれていた石を一斉に投げ始める。 ファブールの持つ遠隔攻撃の手段は、弓よりも投石が主流だ。 モンクの鍛えぬかれた腕から、しかも高所から打ち下ろすように投げるので、その威力は弓を上回る。 雨のように繰り出される投石攻撃を受けた敵兵は悲鳴を上げて倒れこみ、頭に命中して即死する者もいた。 もちろん、反撃を受けたバロン軍も黙ってはいない。 上空から降る石の雨を潜り、隣で味方の頭が潰れるのも構わず城壁に走り寄る。 そして海で猛威をふるう半魚人、サハギンはひれの付いた手足を城壁に張りつけ、 山に棲むゴブリンの亜種、ドモボーイは城壁にかけられた梯子を昇って攻め入る。 「来るぞ!」 セシルが叫び、一番近くにあった梯子に駆け寄ると、 その梯子を最初に上り詰めたドモボーイの顔面に剣を突き刺し...
  • 二節 剛の王国9
    しかし胸をなでおろす暇は無かった。 門が完全に閉じられ、閂がかけられる前に、あの破城槌が扉を再びこじ開けたからだ。 大量に城内へと入りこむバロン軍。 その時、奥からウェッジやその他数百のモンクを率いたファブール王が現れた。 衣は脱ぎ捨て、その姿は全てのモンク僧の上に立つ王そのものだった。 「怯むな!城内にいれてはならぬ!」 王は叫ぶと、城の中へ中へと大挙する敵に突進する。 そのすぐ後に、セシルやギルバート、さらに彼に仕える全てのファブールの人間が続いた。 セシルが剣を鮮やかに振りまわし、敵の首や腕を切り落とす横で、 ヤンは腕も通れとばかりに両手の鍵爪を目の前の敵に突き刺し、首を掻き斬った。 ギルバートは、乱戦の中竪琴で迫るモンスターを殴りつける。 先ほども言ったように、混戦の中で竪琴の音色は使い物にならないが、 こう使えば意外と硬い上に、なか...
  • 二節 剛の王国5
    セシルが城から出、城壁に上って辺りを見渡すと、 既に城塞の正面の平野は、バロンの軍勢によって埋め尽くされていた。 どう少なく見積もっても一万はいるだろうか。 そしてその大軍を凝視した時、セシルは息を呑んだ。 何故って、彼らの軍勢の三分の二以上はモンスターで占められていたからだ。 それに、鎧を着た兵士達も良く見れば人間ではない。 眼には光が宿っていない代わりに赤く血走り、鎧の隙間から覗く肌はどす黒い。 その軍勢の姿は、昨今のバロンの変貌ぶりを体現しているかのようだ。 人としての誇りや心は失われ、ただ浅ましい欲望のみが残されている。 見るもおぞましい軍勢は、城塞へと歩を進め、攻撃の布陣を整え終えた。 「怯むな!魔物相手に尻込みしてはならない!」 城壁に配置されたモンクの隊列の後ろを歩きながら、セシルが声を限りに叫ぶ。 彼らもまた、異形...
  • 二節 剛の王国3
    「再びそなたの顔を見ることができて嬉しいぞ、ヤンよ」 王の待つ謁見の間に入り、玉座の前に一様に跪いた3人を前にして、ファブール王はそう切り出した。 王は見たところ既に齢にして60は超えているが、衣から僅かに覗く鍛えられた肉体が、 彼もまた歴戦のモンク僧である事を物語っている。 「私も再びこの都に帰る事が出来、嬉しき限りにございます」 ヤンが、頭を下げたまま答える。 すると王はため息をつき、物憂げにこう言った。 「しかし状況はあまり芳しくないな…  バロンが近々攻めてくるという時に重なり、国の主力たるそなたの部隊もほぼ壊滅とは」 「申し訳…」 「よいよい。バロンの動きを読むのが遅すぎた余のせいでもある」 謝罪しようとするヤンに王は告げ、代わりにセシルに目を向けた。 「それよりもはっきりとしておきたい事柄はそちのことじゃ…  そちのその出で立...
  • 二節 剛の王国7
    一方、ギルバートは彼らのように敵と戦う事はせず、負傷した者の応急処置に奔走していた。 「しっかり!」 倒れているモンク僧に走り寄ると、「いま楽にしてあげる」といって懐から瓶を取り出し、 中に入った青色の液体を傷口に塗りつける。 これは彼が戦いに備えて調合した即効性、効果ともに優れた痛み止めで、 長旅をするならと今は亡き彼の父が伝授してくれた秘薬でもある。 が、彼の薬をもってしても、このモンク僧はなお苦痛に顔を歪め、呻き声をあげている。 傷はかなり深いようだ。 「手におえない…君達!この人を医務室へ!」 彼が伴っていた数人のモンク僧が手負いを城の医務室へと運んで行くのを少し見守ると、 ギルバートはまた戦場を走り出した。 「誰かそこの人を治療して!急いで!」 その医務室では、ローザが白魔法を駆使して奮闘していた。 ファブールの白魔導師達...
  • 二節 剛の王国8
    「退け!城にはいれ!」 城壁から跳ぶ様に下りながら、セシルが退却を命令する。 頭上からは聞きなれたプロペラ音と、無数の砲弾が降ってくる。 赤い翼がとうとう現れたのだ。 編隊を組んで上空を旋回する飛空艇の一段は、 船腹に装備された六門の対地カノン砲を乱射し、敵味方の区別無く地上にいる者達を容赦無く薙ぎ払う。 頑強な石材で作られたファブールの城は爆撃に耐え抜いたが、その外で戦う兵たちはそうはいかない。 背を向けて一目散に退いて行くものもいたし、一歩一歩後ずさりしながら戦いつづける者もいた。 飛空艇が現れたらすぐに城内まで退くする手筈だったが、乱戦状態だったために退却が遅れたのだ。 途中三度ほど、後方に向かって暗黒の刃を放ったが、焼石に水だった。 間に合わない…! 閉まり始めている城の門へと走っていたセシルは、背後から追いすがってくる敵の気配を感じなが...
  • 二節 剛の王国21
    一か八か、セシルは賭けに出た。 「!?」  カインが天井に足をついた瞬間、セシルは持っていたシャドーブレードを カインめがけて投げつけた。既に降下の姿勢に入っていたカインは、思わず 剣を槍で弾く。カインの槍の軌道が大きく逸れた。  今だ。  セシルは両腕を掲げた。これなら・・カイン、君にも防げない。  本来、暗黒の力は剣を通してしか放てない。ただ、技を極めたものだけが、 自身の腕から直接それを行使することができる。術者から直に放たれるその威力は 通常のものとは比較にならないが、その反動も並々ではない。少なくとも半日ほどは、 鉛のような重みと引き裂かれるような激痛で、まったく腕が使えなくなる。  しかし。どのみち自分には、今のカインの猛攻には幾度も耐えられないだろう。 それならば、この一撃にすべてを・・。セシルは目を見開いた。 「すまない、...
  • 二節 剛の王国20
     ────今までのカインじゃない!  甘かった。カインの間合いを見切っていると高をくくっていた。ヤンの助言が なければ・・。貫かれるはずだった胸をおさえると、カインが高笑いをあげた。 「鈍ったな、セシル」  踏みつけていたセシルの盾を遠くに放り投げると、再びカインは槍を構えた。  一気に勝負を決める腹らしい。 「させるか!」  跳躍しようと腰を落とす瞬間を見計らい、すかさず溜めていた暗黒剣を放った。  だが、無駄だった。カインはしごく冷静に、振りかざした槍を凄まじい勢いで 振り回し、たやすく暗黒波をかき消してしまった。 「お前のそれは、もう飽きたぜ」  セシルは歯噛みする。カインとて自分の技を知り尽くしていることは、 わかっていたはずなのに。  セシルの焦りを見透かし、カインは再び跳躍した。冷静を取り戻す余裕など 与えてくれるつ...
  • 二節 剛の王国23
    「なあ、セシル」  親しげな声で語りかけてくる。かつて親友として語り合ったときそのままの。  ただ、その表情だけが壊れていた。 「初めてあった日も」  ズ・・、と麻縄を絞める様な音をたてて、槍がますます押し入ってくる。 「最後に戦った日も」  肉が切り裂かれていく。喉の奥から血が溢れてくるのを感じた。 「・・・そして今も」  ぴた、とカインが槍を押しこむ手を止めた。 「俺とお前の差は変わらない、分かるかセシル?」  胸ぐらを掴まれ引き寄せられる。朦朧とした意識の中、セシルは彼を睨みつけた。  ふいにカインの顔から笑みが消えた。  そして、誰にも聞こえないような小さな声で、カインは囁いた。 「お前は彼女にふさわしくない」  こぷ、と口から血が溢れてきた。まずい鉄の味がする。セシルは困惑していた。  彼女? 彼女って...
  • 二節 剛の王国22
    「な・・ぜ、だ」  あり得ない。この至近距離で放ったら、カインの身体が二つに裂けてもおかしく なかったはずだ。なのに、それどころか。セシルはその瞬間を確かに見た。 自らが放った黒い光がカインに触れたその瞬間、  突き抜けた。  愕然として見上げるセシルの腹をカインがしたたかに踏みつけた。 「だから言ったろう」  カインが顔を近づける。  歪んだ笑みがそこにあった。 「暗黒剣は、もう飽きたと」  ズブリ、と音を立ててカインの槍が刺さった。 「・・っ、くっ・・ぅ!」  鋭い痛みがセシルの全身を走った。抑えきれないうめき声が漏れる。  耐えられない、まるで肉が焼かれるようだ。しかし抗おうにも、さきほどの 暗黒波の反動で両腕はぴくりとも動かない。  強すぎる。それに、この歪んだ笑み・・まるで別人だ。  いった...
  • 二節 試練17
    「・・わかりました・・・」  ────運命。あまりに実感の湧かない言葉。  だが、今このとき自分がここに、それもたった一人で訪れたことが偶然とは思えなかった。  この人は試練と言う。何だっていい、もしも僕が、既にその道を歩み始めているのだとしたら。  ・・どのみち、今の僕にはこの人にすがるしかない。信じてみよう、この人の言葉を。  他のなによりも、僕自身を救うために。  「では・・、すぐにでも東に向かおうと思います」 「あいや、待たれよ」  踵を返すセシルを長老が引き止めた。 「多くの者が試練の山を志していったが、誰ひとりとて戻ってはこなかった。そうして志半ばで 倒れていった彼らの骸は山の魔物にとりつかれ、今では山は不死者たちの巣窟じゃ。そなたの 暗黒剣だけでは分が悪かろう。ひとつ、魔導士の供をつれてゆくがよい」 「供・...
  • FF4 四章
    ...航海17 297 二節 試練1 299 二節 試練2 299 二節 試練3 299 二節 試練4 297 二節 試練5 297 二節 試練6 297 二節 試練7 297 二節 試練8 297 二節 試練9 297 二節 試練10 297 二節 試練11 297 二節 試練12 297 二節 試練13 297 二節 試練14 297 二節 試練15 297 二節 試練16 297 二節 試練17 297 二節 試練18 297 二節 試練19 297 二節 試練20 297 二節 試練21 297 二節 試練22 299 二節 試練23 299 二節 試練24 299 二節 試練25 299 二節 試練26 297 二節 試練27 297 二節 試練28 297 二節 試練29 297 二節 試練30 297 二節 試練31 297 二節 試練32 297 二節 試練33 299 ...
  • FF4 五章
    ...足跡27 299 二節 再開の調べ1 299 二節 再開の調べ2 299 二節 再開の調べ3 299 二節 再開の調べ4 299 二節 再開の調べ5 299 二節 再開の調べ6 299 二節 再開の調べ7 299 二節 再開の調べ8 299 二節 再開の調べ9 299 二節 再開の調べ10 299 二節 再開の調べ11 299 二節 再開の調べ12 299 二節 再開の調べ13 ◆HHOM0Pr/qI 二節 再開の調べ14 ◆HHOM0Pr/qI 二節 再開の調べ15 ◆HHOM0Pr/qI 二節 再開の調べ16 ◆HHOM0Pr/qI 二節 再開の調べ17 ◆HHOM0Pr/qI 二節 再開の調べ18 ◆HHOM0Pr/qI 二節 再開の調べ19 ◆HHOM0Pr/qI 二節 再開の調べ20 ◆HHOM0Pr/qI 三節 不和の旋律1 ◆HHOM0Pr/qI 三節 不和...
  • FF4 一章
    ...の邂逅20267 二節 砂塵1 ◆HHOM0Pr/qI 二節 砂塵2 ◆HHOM0Pr/qI 二節 砂塵3 ◆HHOM0Pr/qI 二節 砂塵4 ◆HHOM0Pr/qI 二節 砂塵5 299 二節 砂塵6 299 二節 砂塵7 299 二節 砂塵8 299 三節 光を求めて1 297 三節 光を求めて2 297 三節 光を求めて3 297 三節 光を求めて4 297 三節 光を求めて5 299 三節 光を求めて6 299 三節 光を求めて7 299 三節 光を求めて8 299 三節 光を求めて9 299 三節 光を求めて10 299 三節 光を求めて11 299 三節 光を求めて12 299 三節 光を求めて13 299 三節 光を求めて14 299 三節 光を求めて15 299 三節 光を求めて16 299 三節 光を求めて17 299 三節 光を求めて18 299 三節 光を...
  • 二節 再開の調べ17
    「ところで、この竪琴を弾いている方をご存知だろうか?  以前はぐれた仲間のものと、似ている気がするのだが」 「竪琴、ですか?」 「そうだ、教えてくれないか?」 ヤンが用件を思い出してくれたおかげで、セシルは居たたまれない思いから解放された。 楽器を手にした巫女たちが姿を隠しても、最初に聞いた竪琴の音だけは未だに続いている。彼らの会話を聞いてでもいたように、ぴぃ──ん、とひときわ高く澄んだ音を響かせた。 「……もしかして、今の音ですか?  これは水琴と申します。地底に据え付けた瓶に水滴が落ちると、空隙に反響してこのような音がするのです。  人が奏でている訳ではありません」 「そう……なのか」 「ですが、ひとつ思い当たることがあります。少し前、この近くに流れ着いた者の話が、あなた方のそれと良く似ているのです。  当人はダムシアンの王族と名乗っています...
  • FF4 八章
    ...エブラーナ12 二節 絆1 絆2 絆3 絆4 絆5 絆6 絆7 絆8 絆9 絆10 絆11 絆12 絆13 絆14 絆15 絆16 絆17 絆18
  • FF4 七章
    ... 地底世界12 二節 罪の在処1 罪の在処2 罪の在処3 罪の在処4 罪の在処5 罪の在処6 罪の在処7 罪の在処8 罪の在処9 罪の在処10 罪の在処11 罪の在処12 罪の在処13 罪の在処14 罪の在処15 罪の在処16 罪の在処17 罪の在処18 罪の在処19 三節 去りゆくもの 残されるもの1 去りゆくもの 残されるもの2 去りゆくもの 残されるもの3 去りゆくもの 残されるもの4 去りゆくもの 残されるもの5 去りゆくもの 残されるもの6 去りゆくもの 残されるもの7 去りゆくもの 残されるもの8 去りゆくもの 残されるもの9 去りゆくもの 残されるもの10 去りゆくもの 残されるもの11 去りゆくもの 残されるもの12 去りゆくもの 残されるもの13 去りゆくもの 残されるもの14 去りゆくもの 残されるもの15 去りゆくもの 残されるもの16 去り...
  • FF4 六章
    ...する言葉32 二節 穿つ流星1 穿つ流星2 穿つ流星3 穿つ流星4 穿つ流星5 穿つ流星6 穿つ流星7 穿つ流星8 穿つ流星9 穿つ流星10 穿つ流星11 穿つ流星12 穿つ流星13 穿つ流星14 穿つ流星15 穿つ流星16 穿つ流星17 穿つ流星18 穿つ流星19 穿つ流星20 穿つ流星21 穿つ流星22 穿つ流星23 穿つ流星24 穿つ流星25 穿つ流星26 穿つ流星27 穿つ流星28 三節 終わりの始まり1 終わりの始まり2 終わりの始まり3 終わりの始まり4 終わりの始まり5 終わりの始まり6 終わりの始まり7 終わりの始まり8 終わりの始まり9 終わりの始まり10 終わりの始まり11 終わりの始まり12 終わりの始まり13 終わりの始まり14
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