かなり真面目にFFをノベライズしてみる@ まとめウィキ内検索 / 「六節 双肩の意志12」で検索した結果

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  • FF4 四章
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  • 六節 双肩の意志12
    「なら、ローザも!」 セシルが期待に満ちた声で言う。 「ローザ?」 だが、疑問を持ったのはシドの方であった。 「お前と一緒ではなかったのか?」 「いや……ゴルベーザに捕らわれて、それで助けに……」 元々このバロンへと戻ってきた最終目的はローザを助け出す為であった。 ファブールでゴルベーザは去り際に、バロンへ来いと言った。その言葉を信じて此処まで来た。 「そういえば、ゴルベーザとやらは何処だ?」 今まで黙っていたヤンが言った。 「奴らがバロンを取り仕切っているのならば、当然此処にいても可笑しくはないのでは……」 「ではいないという事か……」 王に四天王であるカイナッツォが化けていたのだ。任せて別の場所に移ったと見て間違いないだろう。 当然ローザも一緒だろう。 「ならばローザは……」 「今だ囚われの身という事になるのか……」 シド...
  • 六節 双肩の意志1
    玉座の間は、現在の城内の喧噪とは、無関係のように静かであった。 既にここを訪ねるものがいなくなって久しく、以前の謁見のように、数多くの 兵士が規則正しく並ぶ事もない。 そんな中、ただ一人だけがこの場に佇んでいた。 部屋の中央に備え付けられている玉座。その持ち主である者――バロン。 この国を治める者の名であり、近年その行動が民に不審を抱かせている者。 彼は、玉座の傍ら、高くなった場所から、天井近くに造られた窓から見え風景を 一望していた。 そんな静かな場所を打ち破る物音、唯一の入り口である、豪勢な鉄扉が開く音が部屋中に響き渡る。 「陛下!」 威勢良いかけ声と共に進入者が入ってくる。 「セシルか……」 向き直り、その者を見た王は、僅かな小声で名を呼ぶ。 「そうです! セシルです。あなたに話があって此処まで戻ってきたのです…… 「…………」 激しく問いつめるセシルに...
  • 六節 双肩の意志15
    だから言った。しばらくの間沈黙が続いた後に。 「シド」 「なんじゃ……?」 今だ落胆した様子であったが、セシルの淀みない問いかけに、耳を傾ける価値があると 判断したのか問い返す。 「飛空挺は何処にある?」 ヤンが、バロンに利用されていた時、彼にはある命令が下されていた。 最新式の飛空挺。シドが開発したそれは、創造主自信であるシドによって誰にも判らぬ所に 隠された。おそらくはシドの性格上、どうやっても口を割らなかったのであろう。 だから、わざわざ兵士を動員してまで捜しあてる事になったのだろうが、結果は出なかったのだ。 「そうか!」 その問いにシドの口調も明るさを取り戻す。 「よくぞ言ったぞ。セシル」 どうやらセシルの決意がシドにも判ったようだ。 「ゴルベーザを追い、ローザを取り返すんだな!」 黙ってセシルは頷いた。 「こうなって...
  • 六節 双肩の意志14
    「お前には謀反の疑惑がかかっていたのだ。更には協力を拒んだミストを焼き討ちし、逃亡したとな」 「!」 シドの言葉はセシルに衝撃を与えるには充分すぎた。 「そんな! 第一、僕は死んだとみなされていたんじゃ!」 「その後、お前が死んだという話が入ってきたのだ。詳しくは語られなかったが逃亡中に野垂れ死んだと 皆は思っていたようじゃ。馬鹿げているだろう。上手く出来すぎているだろう……」 既に、王は――ゴルベーザは初めから自分をバロンへと復帰させるつもりは毛頭無かった。 これは承知していたが、ここまで周到に情報を操作し、刺客まで送ってきていていたのか。 「そんな荒唐無稽な噂ですらも儂やローザは信じかけていたのだ……それ程までにこの国は 荒んでおったのだ……」 少し間を置きシドが続ける。 「それでも何とか希望を取り戻し、お前の所へと行ったというのに……まさか...
  • 六節 双肩の意志18
    最初に異変に気づいたのは、ヤンだった。かすかな地響き。 その音と振動は徐々に大きくなっていく。不安に駆られる一同。 「見ろ、壁が、壁が迫ってくる!」 シドが叫んだ。地響きの正体、それは迫りくる壁の仕掛けの作動音だったのだ。 「いかん、退け、退くのじゃ!」 一同は通路を引き返した。迫りくる壁のせいで、道幅はどんどん狭くなっていき、 通路の入り口に到着した時には、大人の肩幅程にまでなっていた。 「開かない。まずいぞ!」 入り口の扉をこじ開けようとしたヤンが、切迫した調子で言った。 (え――! 慌てふためく皆の中、セシル自体は平静さを保っていた。 何故なら…… 既に何度か見た既視感のある光景。セシルにはそう映ったのだ。 段々と鮮明な色を帯びてそれが蘇ってくる。)
  • 六節 双肩の意志13
    「お前がいながらなんたる事だ!」 ようやく事情を完璧に把握したのか、急遽シドが怒声を挙げた。 「あいつはなっ! どれだけお前の事を想っていたのか判ってるのか!」 「すまない」 シドには旅立ちの時、シドはローザを泣かすなと念を押されていた。 あの時は、まさか此処まで長い旅になるとは思っていなかった。すぐにでも バロンに帰ってきて、ローザとも……それがこうなってしまった。 「お前がな死んだと報告が入った時のあいつの悲しみは計り知れないものであっただろう!」 そう、自分はミストでの一件以来、バロンでは死亡認定されていた。 事情はどうあれ、その情報が彼女を苦しめていた事は確かであろう。 「その上、お前に関係しているからといって……厳しい取り調べまで行われて!」 声には力が籠もる。まるで自分の事のように怒っている。 「どういう事だ……?」 その事―...
  • 六節 双肩の意志10
    「こうらぁ~良くも今まで閉じこめてくれたな!」 扉を壊さんばかりにこじ開け怒声と共に飛び込んできたのは…… 「シド!」 「おおうっ! セシルか! 今助けに来てやったぞ!!」 其処まで言って、勢い良く玉座へと目を向ける。 「覚悟せいっ! バロン王。良くもあんな黴臭い所に閉じこめてくれたな!」 異変に気付いたらしい。 「王は……僕が倒したよ」 後ろからセシルが言う。 「なんじゃと……そうか。なんとっ!」 一瞬、落胆と安堵混じりのため息を発せたかに見えたが、すぐさま驚いたかのように言った。 「いや正確には――」 それだけでは、説明不足であったのだ。 シドは王の変化は知っていても、王がすり替わっていた事は知らない。 それに、王とセシルの関係を知っていたのだ。いきなりそんな事を言われては 戸惑うのも無理は無い。 「王は、既に殺されていた...
  • 六節 双肩の意志17
    玉座が備え付けられた王の間と、城の中心部にある大広間。 この場所は直接繋がっている訳ではない。 その間には、控えの間と呼ばれる小広い部屋がある。 王との謁見を許された者はまずはこの部屋に通される。その後、一通りの手続きの 上で、改めて王との謁見に入る。 当然ながら、王が殺されてから今までの間、新しき王は謁見する事を許さなかった為、 しばらくは使われていない。 そして、二度と聞きたくないと思っていた、その声が聞こえてきたのは、 セシル達全員が王の間より足を踏み入れた直後であった。 「クカカカ……」 「カイナッツォ……!」 セシルは静かに声の主の名を呼んだ。 「この俺を倒すとはなあ。だがおれは寂しがり屋でな。クカカカ……」 その言葉がセシルの読みが当たっている事を示す。更にはカイナッツォが何かの 企み――策を用意している事を想像させ...
  • 六節 双肩の意志11
    「なんと……」 シドも驚きを隠せなかったようだ。だが…… 「その、ゴルベーザとやらは何者なんだ? 赤い翼の新しい指揮者という事は、聞いておったが……」「詳しくは知らんが、今まで、裏でバロンを操っていたもので、 他国のクリスタルを奪おうとしておるところまではわかっとらん」 横からテラが口を挟む。 「おおう、テラか」 その声は少しだけ気まずい。 「え、テラ。知っているのか?」 しかし、疑問を投げかけたセシルに悟られない位には平常を保っていた。 シドからしてみれば、牢獄での一件を気にしていたからだ。 「そういえば、言ってなかったな。牢獄へ行った際に助けてな」 セシルと合流した時は丁度、ベイガンとの激突の最中であった。 それから、直ぐに此処に乗り込んだのだ。詳しく、事情を話す時間が無かった。 「そのときに知り合ったのだが……」 何かを思い出し...
  • 六節 双肩の意志19
    セシルの脳裏に「万事休す」という言葉が浮かびあがって来た。 (可笑しい―― 心では落ち着きを取り払っている。だが、そんな言葉が浮かび上がる。 簡単に考えが纏まらない。緊迫した現状が、それを加速させる。) その時、セシルは自分の足元を小さな影がすり抜けていくのを感じた。 パロムとポロムだ。二人は互いに背中合わせになって、壁を押す構えをとった。 「パロム、ポロム……」 (やめろ!!! そんな事をしたら君達が! 悲痛な叫びを発せようとするが声にならない。)
  • 六節 双肩の意志16
    と、そのシドの前に小さな影がよぎる。 「おっちゃんがシドか。俺たち飛空挺に乗れるのか?」 「お……おう。もちろんじゃ!」 元気な問いかけにシドはちょっとばかり慌てたが、すぐにいつものような威勢で返答する。 「あの……初めまして。私、ポロムと言います。こっちは弟のパロム……」 そこまで言って、今度はパロムの方を向いて言った。 「挨拶くらいしないさい。いきなり話しかけるとびっくりするじゃない!」 「へん。何良い子ぶってんだよ! お前は飛空挺に乗れるのが楽しみじゃないのか?」 バロン到着時、セシルから聞いた話に出てきた、天翔る船、飛空挺。子供達の興味を引きつけるには 充分すぎるものであった。 それの創設者たる人物が目前にいるのだ。自ずと心躍るのだろう。 「そりゃ……」 「そうだろ!」 「ですけど! きちんと――」 続く、二人の会話を見て、シ...
  • 六節 双肩の意志8
    「ははは……何をやっている!」 水の壁の向こうから聞こえたカイナッツォの言葉は余裕に満ちていた。 「この壁がある限り、攻撃など……」 すっかりと優越感に浸っているが、セシルの狙いはそこであった。 瞬時、雷が――この密閉された場所に突如発生した。 「ぬお……」 雷の線が幾多にも絡まりながら、カイナッツォを包む。黒魔法サンダラの完成だ。 それと同時に、完全無欠な水の壁は徐々にその形成を失いつつある。 慌てて形成し直そうとしたのだろうが、既にセシルが目の前まで迫っている。 「迂闊だったな!」 思った通りだ……それは絶対的な防御を持つが故の相手の油断。 最前、王として対峙した時点から、この者には迂闊に自分の素性を喋ったりと 饒舌で口外しやすい性格なのだろうと予感していた。 そのようなタイプならば己の絶対的な自信を突けば……読みは見事に正解であった...
  • 六節 双肩の意志6
    気付いた時の風景は先程と大して様変わりはしていなかった。まだ動ける。体の無事を確認し、辺りを見回す。 「みんな無事か!?」 一瞬、以前津波に襲われた記憶が思い出される。 ファブールからバロンへ向かう航路の際、魔物に襲われ、そのものの起こしたであろう津波に飲み込まれた。 結果、セシルは仲間と別れ、遠き地に流される事となった。苦い記憶が頭をよぎり、自然と仲間の安否が気がかりに思った。 「大丈夫だ!」 テラの強い声が返ってくる。見ればポロムとパロムも一緒だ。 (ヤンは……?) 「セシル殿……」 そう思い、新たに視線を逸らそうとすると、近くから自分を呼ぶ声がする。 「ヤン。良かった。無事か……」 「セシル殿は……大丈夫でしょうか?」 「ああ……僕はこの通り」 「違うのです……」 「え?」 体の無事を聞いてきたのだろうと思ったのだが……違う...
  • 六節 双肩の意志5
    カイナッツオォと名乗ったその者には。既にセシルが倒していたスカルミリョーネよりも自らの 強さを誇示するかのような口ぶりであった。 「ぬぐっぉおお!」 完全に壁と一体化した王――カイナッツォは少しの間が開いた頃、かけ声があがった。 同時に壁を突き破るかのように、腕が再出現する。 やがて、壁から全身を表し、その全貌が明らかになる。全身が青色の甲羅を装着し、四隅から手足 を表し、先端部に顔を覗かせる、その姿は亀のようであった。 「これがお前の真の姿か……!」 「そうとも!」 堂々と言ってのけた途端、急にカイナッツォの体周辺を取り囲むように何かが出現する。 これは…… セシルは驚かざるを得なかった。 何故か、周りには全身を包み込むかのように水柱がわき上がっている。 水をいきなり発生させる、これが水の四天王の力だというのか。 「気を付けろ!」 ...
  • 六節 双肩の意志7
    「話は終わったようだな」 いつの間にか近くに来ていたテラが見計らったかのように訪ねる。 「あいつのバリアを破れる方法はあるのか?」 先のベイガンとの戦いも彼の力が勝利に大きく影響した。 「勿論だ」 きっぱり言うテラ。 「あのバリアは単純なものだ。本当に回りに水の壁をつくって、攻撃を防いでるだけだ」 本当にあっさりとそう述べただけであった。 「それで……」 「対策か? 水のバリアだ。此方もただ雷の魔法で対抗すればいいだけだ」 「では……さっそく」 やや拍子抜けした様子はあったが、ヤンは攻撃を開始しようとしていた。 「ではいくぞ!」 テラのかけ声と共に、ヤンはカイナッツォに向けて攻撃を開始しようとした。
  • 六節 双肩の意志4
    「大人しく、指示に従えば命だけは……助けてやったのにな」 此処にいる王が偽物ならば、かつて 「の王、セシルの最も敬愛するその人物の行方は何処に? そして面前の者は最も高い可能性で、セシルが予測した可能性を述べた。 「最も、そんな事なら、彼は望んで死を選んだだろう……お前ならそう言うだろう!」 その通りであった。 「だがな、寂しがらなくてもいいぞ……そう、すぐに一緒にしてやるからな!」 「そんな事!」 させてなるものか! 一心でセシルは先手を打つかのように切りかかろうとする。 だが、敵も咄嗟に身を翻す。 「おっと、俺はスカルミリョーネのように無様な事はせんぞお。何しろあいつは四天王になれたのが不思議なくらい よわっちい奴だったからなあ!」 「ならば貴様も!」 「いかにも! ゴルベーザ様が四天王! 水のカイナッツオォ!!!!」 言うが、直ぐに壁際まで跳躍。そのまま手...
  • 六節 双肩の意志2
    「陛下! 答えてください!」 本当なら、父上と呼びたかったが、今はひたすら私情を抑え、王の心境と明かそうとする。 「はて……何がお前を其処まで、怒りに触れたのだ?」 王の答えは素っ気ないものであった。まるで他人行儀なその姿にセシルは困惑する。 「それよりも――」 「陛下! はぐらかさないでください! 私がこの国を発ってから、明らかな変化がありました。 民も不審を抱いてます! 貴方ほどのものが気付いてはいないと思えません!」 少なくとも、セシルを知っていた王は、そこまで愚かではないはずであった…… 「ベイガンは……あなたの為に、人である事を捨てました……」 「ほう……」 「知っていたのでしょう! 陛下!」 あまりにあっけない王の答えに、声を荒げるセシル。 「彼は……彼だって、国がこんな事にならなければ野望を抱かなかったでしょう……なのに、あなたは!」 「…………」 ...
  • 六節 双肩の意志3
    そんな事は……必死でその可能性を否定しようと思うが、セシルの頭ではその可能性が段々と真実味を 強くしていく。 「何故、パラディンの事を知っているんですか……?」 その裏打ちを取ろうと一つ質問をする。 「それくらい知っているぞ! 何せ私はお前を良く知っているのだからな……」 充分であった。 「父上、バロン!」 初めて、父の名を呼んだような気がした。 考えてみれば、不思議でない。 ベイガンも魔物になった。兵士達の一部もそうであった。 魔物が城にいる……これだけ国が変わっているのだ。だったら、国の代表たる王も…… 「はははは……お前には分かっていたんだな。前から……」 もう驚きはしない。ベイガンの豹変は衝撃たる出来事であった、そこで慣れてしまったのか。 あるいはもっと前から、それこそ、異変を察知し始めた時。何もかもが元通りだったあの時から 予感も覚悟も全て持っていたの...
  • 六節 双肩の意志9
    甲羅の中から、人とは異なる色をした血が流れ出す。 「これで……」 一人セシルが呟くと…… 「あっという間でしたな」 いつの間にか近くにやってきていたヤンが驚きがちに言った。 「自分でも……驚いてるよ」 先程までの戦いの最中セシルには王を殺された怒りや悲しみが消えかけていた。 だからこそ、冷静に戦えたのだが…… 「でも、僕は、これで終わりとは思えないんだ」 カイナッツォは最後に含みを残した言葉を言おうとしたように、セシルには聞こえた。 それに、何かを大事なものを何処かに置き忘れていたような気分。更には、思い出さなければ いけないのに、全く思い出せないもどかしい気持ち。 その二つが混ざり合った気持ちがセシルを支配していた。 「気のせいだといいけど――」 そんなセシルの心配を打ち消すかのように豪快に扉を開ける音が聞こえてきた。
  • 六節 双肩の意志23
    「馬鹿者がっ! はやまりおって!」 口を開いたのはテラだった。それは此処にいるもの達すべての意志を代弁する言葉であった。 それに相応しく、怒りと悲しみを一気に込めた言葉であった。 「おいっ……お前さんも魔法使いなのだろ! ならばっ、こやつらを速く、元に戻してやれ!」 急かすようにシドが言う。 「じゃ……」 「何?」 「無理じゃ……」 「何だと!」 以外なテラの返答に怒ったように返す。 「この子達は……望んで自らの身を犠牲にした……だから治療魔法も効果がない!」 「では! ずっと……一生このままだというのか?」 「それは……私にもわからん。だが、すぐにという訳にはいかんのだろう……」 悲痛なシドの叫びに対し、随分と淡泊な受け返しであった。だが…… 「死ぬのはっ! 死ぬのは、この老いぼれだけで充分であっただろうに!」 床を叩き、テラが...
  • 六節 双肩の意志24
    皆が先ゆくシドに続く。 当然ながら、セシルもそれに続くのだが、部屋を出る際に一度だけ 二人を振り返った。 「…………」 皆が悲しむ中、セシルはひたすらに無言であった。 そして、改めて二人を見ても無言であった。 何度も見た夢、それはこの事を予期していた事は先程も察せった。 しかし、セシルにはそれを防ぐ事ができなかった。 いや、彼らの意志。この状況を己の犠牲で乗り切ろうとした事。 それを阻止する事はセシルとて不可能であっただろう。 二人の内なる意志はそれ程に固かったのだ。 テラの言う通り、今すぐにでも助けられるのは、二人を元に戻せば、また壁は動きだす。 それは、二人にとっても本意ではないのだ。 だが、もしこの状況自体が起こらなかったら。今だに二人は元気な姿で セシルの傍らを歩いていたのでは…… それを思うと、無性にやりきれないのだ。 ...
  • 六節 双肩の意志22
    気付いた時には…… もはや以前の半分以下になった控え室に、セシルは立ち尽くしていた。 テラもシドもヤンも呆然としながらそこに立っている。 そして……部屋の両脇の壁には……満面の笑みを浮かべた二人の子供達の姿。 決して動く事無く、決して表情を――喜怒哀楽の激しかった二人の――変化させぬ子供達の姿。 全身は固く冷たい。だけどそこに内包されるものは誰よりも温かい。 黒魔法ブレイク。 対象者の体を内部から硬化させ、最後には全身を石塊にしてしまう魔法。 一度術が成功すると、その対象者は治療魔法。例えばエスナなどの魔法をかけられぬ限り、 元に戻る事はない。 ある種、治療手段を持たぬ者には最も恐ろしい魔法だといってもいい。 その魔法を、通常は攻撃として用いるはずを、パロムとポロムは自分にかけたのだ…… 実際は、黒魔法を使えるパロムの手によるものだろう...
  • 六節 双肩の意志21
    しかし二人はセシルに耳を貸す様子はない。 「行くぞ、ポロム!」 「うんッ! 」 「やめろー!」 セシルは絶叫した。 何に叫んだのか。自分に? 双子に? それすら解らず叫ぶ。そこには運命が働いたのか。 考える事すらも無駄であった。
  • 六節 双肩の意志20
    彼らは構えを崩さず、顔だけをセシルに――口々に言った。 「あんちゃん、今まであんがとよ」  「お兄様が出来たみたいで、とっても嬉しかったですわ」 喜びと寂しさの入り混じった、複雑な表情だった。そして言葉を続けた。 「あんたらをここで殺させやしない」 「テラ様! セシルさんをお願いしますわ」 先ほどとは打って変わって、断固たる決意がみなぎっている。 (でも、そうすればどうやってこの状況を乗り切る! そもそも、何故こうなった? 未然に防げる事だって!!!!) 「よせ、やめるんだパロム、ポロム」 結局、自棄気味に言った言葉。 夢の自分が発した言葉。それは同じ結末へと誘う言葉。
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