かなり真面目にFFをノベライズしてみる@ まとめウィキ内検索 / 「第1章 SeeD-20」で検索した結果

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  • 第1章 SeeD-20
    「そうだ、これはB班のルールだ。忘れんじゃねぇ」 「ルールだもんよ!守るのは当たり前だもんよ!」 サイファーの言を受けて、今度はもう一人のとりまき、雷神が声を張り上げた。 俺より一つ上、キスティス先生やサイファーと同じく、18才の男だ。 ダミ声、いかつい顔つき、ガタイのいい体躯といった外見に反して、 雷神は意外にとっつきやすい性格をしている。 物事に深い執着を見せず、誰に対しても拘りなく話しかけるあたりは、 風神と好対照を成していると言っていい。 「雷神、だったらお前ら2人がサイファーと組めよ。いつでも喜んで代わってやるぜ」 ゼルが噛み付いた。 風神を苦手とするゼルも、雷神相手なら気兼ねなくモノが言えるのだろう。 「おう、そうしたいのはやまやまだもんよ」 ゼルに向き直って、雷神が応ずる。 「でもよ、俺たちゃこないだの筆記で赤点を、痛っ!風...
  • 第1章 SeeD-2
    「嫌だねえ、覚えてないてのかい?」 困惑が顔に出たのだろう、カドワキ先生があきれるように言った。 「いいかい、あんたはね・・・」 カドワキ先生が話してくれた内容は、およそ次の通りだった。 あの後、つまりサイファーに眉間を斬られた後、俺は顔面を血で朱く染めながらも、 鬼神のごとき形相でサイファーに斬りかかって行ったのだそうだ。 その太刀筋があまりにも凶刃であったため、これ以上の面倒はご免とばかりに、 サイファーはとっとと逃げ出したという。 それまで二人のバトルを遠巻きに見物していたギャラリーが、 俺を心配して駆け寄ってくれたが、俺はただ「大丈夫、大丈夫」と繰り返すだけ。 しかしどう見ても大丈夫な訳がないという事で、ギャラリーたちは俺を なだめたりすかしたりしながら、どうにか医務室まで運んで来たのだと。 「まったく、そういう年頃なのか...
  • 第1章 SeeD-21
    ピリリリリリリーッ! 突如、ホイッスルの音が鋭く響き渡った。 「SeeD認定試験を受けるものは集合、整列せよ」 ヤマザキ先生だ。 言に従い、俺たちは班ごとに隊列をなして、次の言葉を待つ。 「試験を行うにあたり、学園長から諸君に訓示がある。学園長、どうぞ」 ヤマザキ先生の言葉を受けて、学園長が演台に立った。 全員が敬礼で迎える。 にこやかな顔のまま返礼する学園長。 シド・クレイマー、バラムガーデンの学園長。 SeeDとはガーデンが世界に誇る傭兵のコードネームだが、SeeDno理念を提唱し、 その理念に基づきガーデンを設立したのも彼だ。 ガーデン。その入学資格は5才から。 年齢や能力に応じて3つの段階が設けられている。 5~10才を「年少クラス」とし、まずは基礎学力・一般教養の習得を目指す。 11~15才までが「訓練生」で...
  • 第1章 SeeD-22
    「ええ、皆さんこんにちは」 シド学園長の話が始まる。いつもと変わらぬ、穏やかで丁寧な語り口だ。 近隣諸国にまでその名を轟かせる傭兵のプロ、Seed。 その育ての親とも言うべき人が、このシド学園長なのだが、 知らぬ人がこの光景を見たとしても、彼が学園長だとは決して思うまい。 「皆さんが待ちに待ったSeed認定試験が、今日、いよいよ開催されます。 とはいえ、皆さんがこれから向かうのは、本物の戦場。当然ながら、 行われるのは、本物の戦闘です。どうです?怖気づいた人はいませんか?」 微笑をたたえた目で受験者一同を眺め渡す。 戦場・・・生と死、勝利と敗北、栄光と屈辱、全てが隣り合わせの世界。 そんな事はもちろん全員覚悟の上だ。今さら怖気づく者など一人もいなかった。 「けっこう!」 満足そうに頷くシド学園長。 そして茶目っ気たっぷりの表情でこう付け加...
  • 第1章 SeeD-29
    初めての実戦・・・それはまさにあっという間、そして実にあっけない結果に終わった。 俺たち三人の足下には、戦闘不能となった10人のガ兵が横たわっている。 ガードを崩す目的で繰り出した俺たちの攻撃は、そのまま致命的なダメージとなって、 ガ兵は次々と倒れていったのだ。 10人すべてを倒すまで、おそらく一分と経過していないだろう。 襟元の階級章から、彼らが最下級の兵士である事は分かっていたが、それにしても弱い。弱すぎる。 ガ軍とはこの程度のものなのか、それとも俺たちが強すぎるのか。 互いに戦闘のスペシャリストの筈だ。なのに、この戦力差はなんだ。 「すげぇ、GFの威力、本当にすげぇぜ」 ゼルが感嘆の声を上げた。・・・そうか、GFか。 彼我の戦力差、それはGFをジャンクションしているかどうかの違いだった。 GFをジャンクションすれば、自己の能力が飛躍的に増大...
  • 第1章 SeeD-24
    「チームワークを大切にって言ってるでしょ。もう、今からこんな調子でどうするの」 キスティス先生の一喝で車内に静寂が戻った。 俺は再び思索にふける。しかし、どうにも考えが纏まらない。 そもそも、あれは本当に夢だったのか? 最初の疑問に戻ってしまった。堂々めぐりだ。 俺は思い切って先生に聞いてみることにした。 「先生」 「なあに?スコール」 「今朝、医務室にいた女、知らないか」 「誰かいたの?気づかなかったけど」 そうか、なら仕方ないな。 「ていうか、誰?誰なの?」 先生の語調が少し強くなった。心なしか目つきも険しい。 「いや、いいんだ」 「よくないわ。女ですって?誰?どういうこと?」 なんだよ、妙に絡んでくるな、先生。 もしかして先生・・・いや、まさかな。 「クックック・・・」 サイファーが嘲るように笑った。 「最高...
  • 第1章 SeeD-28
    防波堤を飛び越した勢いそのまま、上陸艇は滑るように砂浜に乗り上げた。 ハッチが開くのももどかしく、俺たちは艇から飛び出した。 砂浜はすでに先遣部隊によって制圧されている。 要所に立つ歩哨の脇をすり抜けて、俺たちは市街地に続く道を駆けた。 「このまま中央広場まで突っ走るぞ、俺に続け!」 サイファーは声は張り上げるや、一段と速度を上げて走り出す。 「サイファーの野郎、ご機嫌だな」 「怖気づかれるよりマシさ。行こう」 俺とゼルはサイファーを追った。 市街地の入り口に差し掛かった時だった。 「止まれっ!」 叫び声と同時に、いくつかの人影が建物から飛び出してきた。 それぞれの手には小銃や長剣が握られている。ガルバディア兵だ。全部で10人。 「こいつらがドールの援軍か?」 「SeeDとかいう特殊部隊らしいぞ」 「まだガキって感じだぜ」 ...
  • 第1章 SeeD-26
    上陸艇の船室に腰をおろすのと同時に、シュウが姿を現した。 シュウは女性SeeD。キスティス先生やサイファーと同じく18歳。 古今の戦士軍略に通じた才媛だ。戦闘そのものはあまり得意ではないようだが、 卓越した戦術眼と臨機応変な用兵は、他者の追随を許さない。 兵站や補給などの後方任務にも抜群の才を発揮し、「SeeD参謀にシュウあり」 という評価には、揺るぎがない。 同年齢のキスティス先生とは仲がよく、しきりに教員になるように勧められているが、 本人は現在の「SeeD参謀」という立場がお気に入りらしく、そのつもりはないようだ。 「今回の任務については、こちらのシュウから説明してもらいます」 キスティス先生が言った。 「よろしくお願いします」 俺とゼルは立ち上がって敬礼した。サイファーだけはベンチに踏ん反りかえったままだ。 「サイファー、何度目...
  • 第1章 SeeD-27
    「本件のクライアントは、ドール公国議会。SeeDの派遣要請があったのは18時間前。 ドール公国は72時間ほど前からガルバディア軍・・・以後『ガ軍』と呼称・・・ ガ軍の攻撃をを受けている。 開戦から49時間後、ガ軍は市街区域を制圧。ドール軍は周辺山間部まで撤退し、 部隊の再編を急いでいる」 ドール公国はバラム島の西、ガルバディア大陸の東端に位置する国だ。 もともとは「神聖ドール帝国」として大陸のほぼ全てを領有していたのだが、 十数年前に新興国家ガルバディアが独立を宣言し、軍事力にモノをいわせた 強引な領土拡張政策を展開した結果、現在のような小国家に成り下がってしまった。 「報告によると、現在ガ軍は周辺山間部のドール軍相当作戦を展開中だ」 シュウの説明は続く。 「我々はルプタンビーチより上陸し、市街区域に残るガ軍を排除しつつ、 速やか...
  • 第1章 SeeD-23
    「今回の実地試験、場所はドールよ」 キスティス先生が言った。 「まずはバラムシティへ移動。バラム港にて高速上陸艇に乗り換え、 ドールに直行することになるわ。さあ、急いで」 バラムシティへと移動する車中、俺は今朝医務室で見た不思議な夢について考えていた。 あれは、本当に夢だったのか? 白い清楚な衣装を身に纏い、柔らかな微笑を湛えた女性・・・いったい何者なのか? 彼女は俺を見て「やっと会えた」と言った。そして「思い出して」とも。 どこかで会っているのか?俺にはまったく覚えがない。しかしその一方で、 俺は彼女の微笑に奇妙な懐かしさを感じずにはいられなかった。 いったい、どういうことなのか・・・ 「な、スコール、ガンブレード見せてくれよ」 俺の思考を妨げるように、ゼルが話しかけてきた。 「な、ちょっとでいいからよ」 うるさいな、邪...
  • 第1章 SeeD-25
    俺たちを乗せた車は、間もなくバラムシティに到着した。 バラムシティ。バラム島南岸にある港町。 優美な曲線で構成された家々、青と白で統一された街並み、眼前に広がる海。 全てが見事に調和した美しい風景に憧れ、近隣から訪れる観光客は後を絶たない。 しかしそんな景観を楽しむ余裕もなく、俺たちは港への道を急いだ。 「あっ、ゼル兄ちゃん!」 「よう、ゼルじゃねぇか、おめかししてどこいくんだ?」 「また何かやらかしたのかい、ゼル」 ゼルの姿を目にした町の人々が、次々に話しかけてきた。 彼等とすれ違うたびに、ゼルは手を挙げて応じている。 「そういえば、ゼルはこの街の生まれだったわね」 「おう、そうだぜ」 「いい街だ。チキン野郎にゃもったいねぇ」 「うるせぇよ!」 やがて俺たちは港にたどり着いた。すでに高速上陸艇はスタンバイしている。 ...
  • 第1章 SeeD-3
    「余後の心配はなさそうだけど、一応、確認させてもらうよ」 俺の思惑をよそに、カドワキ先生が型通りの質問を始める。  名前は?・・・スコール・レオンハート  年齢は?・・・18歳  所属は?・・・バラムガーデン、SeeD候補生、NO.41269  担当教官は?・・・ 「絶対、あなたかサイファーだと思ったわ」 俺の回答を遮る様に、だしぬけに背後で声がした。声の主を振り返る。 「キスティス先生・・・」 「キスティス先生・・・じゃないわよ。連絡受けて跳んで来たんだから」 キスティス・トゥリープ、俺より一つ上の19歳。俺の担当教官だ。 15歳の時に史上最年少記録でSeeD試験に合格、17歳の若さで教員資格をも取得した、 超エリートだ。才色兼備なだけでなく、気さくで面倒見の良い性格ゆえに、 男女を問わず多くのファンがいる。 「全...
  • 第1章 SeeD-4
    「それでカドワキ先生、スコールの具合はどうですか」 キスティス先生が尋ねる。 「ああ、もう心配いらないよ。ピンピンしてる。若いってのはいいねぇ」 「そう、良かった」 「でも眉間の傷は一生消えないよ。天下御免の向こう傷ってやつさね」 そうか、一生残るのか、この傷・・・ 傷口に手をやりながらも、俺はさほどの衝撃は受けなかった。 俺はSeeD候補生、いずれは戦いの中に身を置く者。 遅かれ早かれ、俺の体は傷で覆われる。 キスティス先生からも何か一言あるかと思っていたが、珍しく何も言わない。 いつもであれば、小姑のようにぶちぶちと小言を連ねるか、 あるいは傷なんて気にするなといった類の励ましの言葉でも掛けて来る筈だが、 いずれにしろ、黙っていてくれる方が、俺にとってはありがたい。 何気なく先生を見やると、口元に手を充てて、驚きを顕わにし...
  • 第1章 SeeD-9
    『小サキ者ヨ、私ヲ呼ビナサイ』 俺の思考に呼応するように、イフリートとは異なる思念が、どこからか伝わってきた。 これは・・・そうか! 思念の主に思い当たると同時に、俺は精神を集中し、その姿を心に念じた。 俺とイフリートが対峙する、ちょうど中間地点の辺りに、突如として氷の結晶が出現した。 結晶は見る間に巨大化して行き、イフリートとほぼ同じ大きさの、氷の塊と化した。 氷塊が放つ冷機が、イフリートの放つ熱気を相殺していく。 と、出し抜けに氷塊が弾けとんだ。その跡に現れたのは・・・ 『ヌウ、コ奴、シヴァヲ従エテオルノカ』 イフリートの驚愕が伝わってくる。 GF・シヴァ。 妖艶な笑みを湛えた、氷の化身、極寒の女王。 シヴァは詠唱しつつ、両手を頭の上で組んだ。そして、詠唱が終わると同時に 組んでいた両手をイフリートに向かって振り降ろす。 冷気...
  • 第1章 SeeD-6
    足元を流れる溶岩が、洞窟内を赤く照らし出す。 しかしその猛烈な熱気ゆえに、視界は常に揺らぎ、遠くまで見通すことはできない。 肌を露出している箇所がチリチリと痛み出し、眉間の傷はズキズキとうめく。 汗は絶え間なく吹き出してくるが、流れ伝う間もなく蒸発してしまう。 炎の洞窟、その名にふさわしい、ここは常軌を逸した世界だ。 「やっぱりあなたとサイファーは別格ね。本当に強いもの」 最奥部へと向かう道すがら、半ば呆れたようにキスティス先生が言う。 「・・・ここの魔物が弱いだけだ」 そう応じつつ、俺は新たな一体を斬り伏せた。これで15体。 実際、ここの魔物はさほど強くない。 種類こそ異なるが、ガーデンの訓練施設にいる魔物と、ほぼ同レベルだ。 サイファーを相手にする方が、よほど手強く、危険だ。 「それはそうなんだけどね・・・なんていうか、ここで、こう...
  • 第1章 SeeD-8
    五合、六合、七合・・・ イフリートの攻撃を掻い潜りながら、俺は矢継ぎ早にガンブレードをうち振るう。 しかし、確かな手応えは得られない。 イフリートはひるむ様子をまったく見せることなく、新たな攻撃を繰り出してくる。 力任せの強引な攻撃ばかりなので、なんとか凌いでいられるが、 少しでも判断を誤れば、かすっただけでも致死に近いダメージを負うことだろう。 八合、九合、十合・・・ 俺の斬撃は的確にヒットしている筈なのだが、イフリートにダメージを負った様子は見られない。 キスティス先生はサポートに徹し、回避と回復に専念している。 時折、冷機魔法を使うこともあるが、それはダメージを狙ったものというより、 赤化した空間の温度を少しでも和らげる事を意図したものだろう。 『ドウシタ、人間ヨ、汝ノ力ハ、ソノ程度カ』 イフリートの嘲るような思念が、熱波と...
  • 第1章 SeeD-1
    (スコール・・・スコール・・・) (誰だ) (スコール、やっと会えたね) (誰だ、誰なんだ、あんた) (忘れちゃった?寂しいな・・・) (どこかで会ったことが?) (思い出して。忘れられたままじゃ、寂しいから・・・じゃあね、スコール) (おい待て) (思い出したら、いっぱいお話しようね) (待て、待ってくれ・・・) 「おや、気がついたかい」 保険医のカドワキ先生が、俺の顔を覗き込んで言う。 俺はあたりを見回した。ここは医務室、俺と先生の二人しかいない。 すると今しがたのは夢だったのか。不思議な、夢だ。 俺はベッドから起き上がろうとした。 「!」 激しい眩暈に襲われると同時に、眉間に鈍痛が走る。 「ああ、しばらく寝たた方がいいよ。怪我した場所が場所だからね」 怪我?場所が場所?ああ、そうか・・・ 俺はサイファー...
  • 第1章 SeeD-7
    大地をも揺るがす咆哮を受けて、洞窟が巨大な共鳴装置と化す。 度を越した大音響に、俺たちは堪らず耳を塞いだ。 「いよいよね。ここからが本番よ」 音が止むのを待って、キスティス先生が言う。 先程までとは打って変わって、その表情は真剣だ。 言われずとも分かってる・・・ 返事をする代わりに、俺は一気に奥へと駆け出した。 洞窟最奥部、そこには巨大な穴が穿たれていた。 周囲が赤く照らし出される洞窟内にあって、そこだけは漆黒の闇に覆われており、 穴の深さを雄弁に物語っている。 「!」 突如として、その穴から巨大な火柱が噴き出した。 激しい轟音と熱風が塊となって、俺たち二人にぶつかってくる。 吹き飛ばされそうになるのを堪えつつ、火柱を凝視していると、 火柱が徐々に形を変えていくのが見てとれた。 これは・・・ 刻々と変化していく火柱は、や...
  • 第1章 SeeD-5
    「生徒NO。41269、スコール・レオンハートです」 「教員NO.048、キスティス・トゥリープ。私がサポートします」 敬礼と共に、試験管に報告する。 炎の洞窟。最奥部にいるGF・イフリートを倒し、装備可能にする。 それが今回の課題だ。 GF、ガーディアン・フォース。その正体は強大な自律エネルギー体だ。 生体と同様に意識・自我を持っているが、知能はそれほど高くない。 それぞれが持つ特性に応じて、獣や妖精など様々な姿となって現れるが、 大半は確固とした実体を持たず、限られた時間しか実体化できない。 GFに対して力を示し、その力を認められた者は、以後、そのGFと常に 交感できるようになる。俺たちはそれを「GFを装備する」と称しているが、 これにより強大な力を得ることができる。 バトル中にGFを召還することが可能になるだけでなく、GFを媒体と...
  • 第1章 SeeD-70
    「あ……あなた方でしたか彼女を助けてくださったのは」 俺がどうでもいいような考えを張り巡らせているともう一人の男がこちらに向き直り、慇懃無礼な会釈を交わす。 「いえ、教官としてこのくらいの事は当然です」 男の律儀な謝礼に勝とも劣らぬともない位にキスティスはきびきびと返事を返す。 その言葉には嘘が交じっている。 正確にはもう教官ではないのだが……? 見ると彼女にも自覚があるのか、真面目な表情に悪びれるように舌を出していた。 堅物に見えるが……意外な面もあるのだな。 「ほら」 考える俺に視線を向けている。 「ああ」 俺も礼をしろということか。確かにそれが礼儀というものだろう。慌てて俺も男達に礼を返す。 思えば今日一日はほとんどキスティスと一緒であった。いつの間にか彼女の一声が何を言いたいのか咄嗟に判断できるようになっていた。 彼女のペースについて...
  • 第1章 SeeD-17
    その後しばらくの間、キスティス先生は執拗に俺に話しかけてきたが、俺は取り合わなかった。 しかし逃げ出すことも適わず、結局二人そろって集合場所に到着する。 「・・・あ、いたいた。ゼル。ゼル・ディン!こっちに来て」 シャドーボクシングしているゼルを見つけ、キスティス先生が大声で呼んだ。 「何だい先生?・・・よお、スコールも一緒か」 派手なバック転をかましながら近づいてくる。 キスティス先生にゼル・ディン・・・二人ともタイプは異なれど、 人のプライベートに首を突っ込みたがる点は、よく似ている。 俺の苦手なタイプだ。 「あなたたち、今日の実地試験では同じB班よ」 冗談だろ・・・ 「そうか、よろしくなスコール!」 陽気なゼルは俺の感傷など頓着せず、握手を求めてくる。 「先生、実地試験は三人一組だろ?あと一人は?」 ゼルの握手を無視しつつ、俺は先...
  • 第1章 SeeD-60
    「…………」 しかし、俺の嫌味とも言えるその言葉をうけても、キスティス先生は無言を続けていた。 「おいっ――」 少し、むっとした俺が何か言葉に出そうとした瞬間―― 「宣誓っ! 告白しますっ!!」 俺のむすっとした低い声色を打ち消す程の大きな声。 「私、キスティス・トゥリープはただ今をもって教官じゃなくなりました! 事情は様々あれど、指導力不足! それが一番の原因です」 俺は慌てて辺りを――周りに散在する集団グループを見渡した。 幸いというか、何処も俺たち二人を見ていない。それに、よくよく冷静に考えれば、 辺りの喧噪もかなりのものだ。あの程度なら気付かないのであろう。 「ええっと……それだから今日からは私もあなたと同じSEEDです。これからは 一緒に仕事をする事になるかもね!」 そう言って、よろしくといわんばかりに手を差し出す。握手でもしよ...
  • 第1章 SeeD-63
    その「声」が俺の耳へと伝わってきたのは、秘密の場所とやらを出てから ほんの少しの時間も経っていないだろう。 キスティスにああ言ったきりの俺は、そのまま部屋へと帰る事に何故だが、 躊躇っていたのか、何処へ行くともなく訓練施設の内部を彷徨っていた。 ガーデン内の一フロアでしかないのこの場所は規模こそ小さいものの、 実戦を見通してのバトルフィールドが構築されている。 各地に植えられた木々に、小規模な湖。人為的に作られた岸壁はまるで 自分が何処かのジャングルにでもいるかのように錯覚させるには充分過ぎると 言っても過言ではなかった。 その施設内を何気なく一回りして、帰路へと付こうとした時であろう―― 悲鳴混じりのSOSが、人口サバンナの喧噪を打ち破り俺へと届いた。 「何だ……」 俺の呟きと同時に人外なるものの呻きが続く。成る程……ベストタイミングな答え...
  • 第1章 SeeD-38
    構えを平青眼に戻し、ビッグスは言葉を続けた。 「決められなかったとはいえ、その傷、決して浅くはないぞ」 「ぬかせっ!」 「悪いことは言わぬ、剣をひけ。その体では、もはや貴様に勝ち目はない」 「見くびんじゃねぇぜ!」 サイファーは疾風の素早さで間合いを詰め、火の出るような強烈な突きを繰り出した。 そして、繰り出した勢いそのままに、一気にビッグスの後方まで走り抜ける。 「ぐふっ」 長剣をとり落とし、脇腹を押さえてうずくまるビッグス。 「なんと、蛇切剣とは・・・ぬかったわ」 蛇切剣、これも東洋に伝わる剣技の一つで、古名を「へび胴」とも言う。 サイファーは突くと見せかけてビッグスの長剣を払い上げ、ガラ空きになった ビッグスの胴に、すれ違いざまの斬撃を見舞っていたいたのだ。 もしも相手が初太刀の突きを「虚」と見破って胴に備えれば、「虚」はたちまち「...
  • 第1章 SeeD-59
    噂通りというべきか、俗に言う「秘密の場所」とやらは、人で賑わっていた。 各方面から様々な事情を含んだ話声が飛び交い、それが混ざり合い、辺り一体の 喧噪を作り出していた。 「ここ、久しぶりだわ」 場所のせいか、少しはしゃぎ気味な声のキスティス先生が喋る。 「今、何時くらいかな?」 「丁度……日を越えた辺り、零時過ぎだ」 そんな先生とは対照的に投げやりと言う表現が、一番しっくりくる声色で 俺が返答する。 自分で言うのもなんだが、無理もない。 先程のキスティス先生の覇気に押されて、此処まできたものの、元々 が乗り気で無かった上、実際にこの場所に来て俺は更なる憂鬱に見舞われていた。 「それで、どうするんですか?」 俺は、ぶっきらぼうに先生に訪ねる。 用件は聞かされていなかったが、教官たる者がこの場所に来てやる事は、注意くらいだろう。 最初...
  • 第1章 SeeD-58
    「ああ……そうだったわね。すっかり忘れてたわ……大丈夫かな私……」 今の言葉に少し動じたのか、声の張り合いが多少落ちた用に思えた。 「命令よ! あなたはこれから私と一緒に、通称「秘密の場所」に言ってもらいます」 「秘密の場所?」 聞き覚えの無い言葉を思わず声に出す。 「消灯時間後に、生徒達がこっそり会って話しをするところよ 訓練施設を越えたところにあるの」 ガーデンの施設は消灯後、その殆どが使用不可能になる。だが、訓練施設だけは 例外だ。日々鍛錬する者の為、二十四時間ずっと開いている例外中の例外の場所なのだ。 それを逆手にとって、消灯後も未だ遊び足りぬ者達が、こぞって集まる所という事か。 「そこで何をするんだ?規則違反だから部屋に戻れってみんなに言うのか? 俺はそんなのは,嫌だからな.風紀委員にやらせろよ」 ご苦労な事だな。わざわざ訓練施設を...
  • 第1章 SeeD-64
    この訓練施設はガーデン内で唯一の常時開放された場所である。 それは当然ながら、日夜、Seedを目指す者達が何時でも、己の鍛錬を出来るように という理由であり、決して仲間とのお喋り空間の提供では無い。 当然ながら、後者の目的の者は前者の理由を充分に察しているので、それを分かった 上で、皆々危険をかいくぐり、「秘密の場所」とへと行くのである。 それなのに……まさか、魔物に襲われる者がいるとはな――訓練が目的の者ならば 第一助けを求めたりはしないだろう。 つまりは、この声の主は訓練以外のその他の「用事」でここを訪れ、充分な対処を 欠いてしまってこのような結果へと見舞われた事となる。 「…………」 別段、糾弾する事ではないのだろう。今までも良くあったらしい。 誰かに助けを求めるという事は自分がこの時間に此処にいる。つまりは、 規約違反をしてまでの夜更...
  • 第1章 SeeD-71
    消灯時間からどれくらいたったのだろう。 さすがの秘密の場所へと入り浸る連中もお開きの時間なのだろう。 秘密の場所の一角に立ち尽くす俺達を尻目に幾つものグループが歓談と共に就寝するために帰路へとついていく。 俺達はしばらく動けなかった。キスティスも動かなかった。 こういう時、セルフィ辺りでもいればすぐにでも何かを言って帰ることができたのだろう。 だが俺とキスティスだ。一度つぼにはまって考えてしまうとなかなか動きだすことができない。 結局、俺達がようやく帰路につこうとしたのはあれから三十分程してからだろう。 AM2 00前後それくらいだっただろうか、蛍光灯がまばらに点滅する薄暗い廊下を俺達は歩いていた。 「私ってやっぱ生徒の間じゃ人気者なのかしら」 自惚れた言葉だ。だが、この場合は疑問を納得させるためであろう。 「スコールも、サイファー……風紀委員とやり...
  • 第1章 SeeD-69
    「はい、お見事」 キスティスが小さな拍手え俺を出迎える。 「でも、あなたらしくないわね……」 「…………」 「油断はしない。それがあなたのモットーではなかったの?」 まるで全てを見透かしたかの様なキスティスの問いかけだ。 いつもの俺なら、むっとして皮肉めいた返し言葉をおくったのであろう。 「…………」 しかし、俺は無言を貫いていた。今の俺にはさっきの女性の言葉に対する疑問で頭が一杯であった。 「ちょっと……どうしたの?」 今はもうその肩書きを失ったとはいえ、キスティスは優秀な教官であった。 いつもと違うぞといったノリである俺に違和感を感じたのであろう。 <別に……> <なんでもない> <放っておいてくれ> はぐらかそうと思ったが彼女の事だ……すぐにでも見透かされて俺の手のうちを読まれるだろう。 「こちらにいましたか」 俺と...
  • 第1章 SeeD-61
    「聞いて欲しかったのよ。そして掃き出したかったのよ何処かに……」 最前とは違い、その言葉は大変に明瞭且つ、正確だった。 「この場所でなら、大なり小なり、多少の振れ幅の悩みなんて溶け込んでくれる。 それに……誰かがいてくれたらなおの事……」 「…………」 「私,教官失格なんだって――」 しばしの沈黙の後、切り出してきたのは彼女の方であった。そこにはむしろここからが 本題だと言わんばかりの語気が感じられた。 「原因は指導力不足だって……言われたわ。若すぎるって……まあ、無理もないわね」 呆れ気味に語るキスティスには苦笑が混じっている。サイファー、否俺の事だとでも言いたいのだろうか。 「15歳の時SeeDになって17歳で教官の資格をとったの。成績は誰にも負けてないって思ったし、 実際に幾度も証明してきたはず……周りも、シュウ達だって認めてくれていたし、...
  • 第1章 SeeD-45
    「貴様ほどの男、下手な情けは却って屈辱となろう。本気で倒す」 そう言うとウェッジは再び壁際まで後退し、百歩神拳の構えをとった。 ゼルは片膝をついたまま、 まだ立ち上がれない。かなりのダメージを負っているようだ。 「その様子では、次はかわせまい」 「勘違いすんな。状況は今でも俺に有利なんだぜ。アンタは壁際、逃げ場はないんだ」 苦しい息ながらも、ゼルが言い返した。 何を言ってるんだ、ゼル・・・俺は耳を疑った。 ウェッジに逃げ場がない?確かにその通りだが、この状況で奴に逃げる必要がどこにある。 奴には百歩神拳があり、その射程内にゼルを捉えているんだぞ。 百歩神拳を掻い潜り、奴に攻撃を加えることなど、今のゼルには不可能のはずだ。 「強がりはよせ。貴様はもう手詰まりなのだ。これで終わらせる」 ウェッジが気を練り始めた。 「手詰まりなんかじゃねぇよ。俺に...
  • 第1章 SeeD-44
    「追い詰めた?それは違うな。私が貴様をここへと誘なったのだ」 落ち着き払った声でウェッジが返す。 「何言ってんだウェッジさんよ、この状況で何をやろうってんだい」 「こうするのだ」 ウェッジは壁に背を預けると、腰を低く身構え、気を練り始めた。そして・・・ 「ハッ!」 裂帛の気合とともに、両の掌をゼルへと突き出した。 白く輝く闘気がウェッジの掌から放たれる。 「これは、百歩神拳・・・ぐわぁっ」 闘気がゼルを直撃し、ゼルはフロアの中央辺りまで弾き飛ばされ、そのまま床に叩きつけられた。 「この技、うかつに放てば反動で己が身も吹っ飛んでしまうのでな」 なるほど、それで奴は壁際まで後退し、それを支えとしたのか。 「とどめ!」 ウェッジはゼルに向かってダッシュすると、前方宙返りからの強烈な踵落としを放った。 「んなろ」 かろうじて寝返りを打つゼ...
  • 第1章 SeeD-49
    「どしたの?」 そんなセルフィを物珍しそうに眺めていたのか、セルフィは普段の表情に戻って、俺に語りかける。 「いや、なんでもない。そうだ、なんでもない……」 ふと、そこで会話を止めようとしたが、急に一つの言葉が思い浮かんだ。 「それにしてもセルフィは――」 「おいっ! スコール!!」 ゼルの声が俺の声を打ち消す。 「大変だぜ! あれを!」 早口と共に指されるゼルの指先にはドール市街の中心部である広場が―― 「あれは、犬……」 確か、市街広場に待機していたサイファーのしびれを切らした野良犬。 「あいつ、気づいていないのか……!」 野良犬は俺が最後に見たときと同じように噴水近くを歩き回っている。 「あのままじゃ……」 「想定外とはこういう事を言うのだな……」 飼い犬ならまだしも、野良犬には逃げる場所など無い。一つの街に張り付き、そこで...
  • 第1章 SeeD-72
    結局、秘密の場所への来訪は俺にとってまた一つ悩みを増やすだけであった。 憂鬱気味になった俺は足取り重く、学生寮への帰路を歩いていた。 学生寮へと続く渡り廊下。先ほどの訓練施設までの道と違い野外を通してつながれている。 夜風が俺に降り注ぐ。少し憂鬱な心も風が洗い流しているようで気持ちがいい。 「ん?」 深夜のフクロウのコーラスをバックに、SEED制服に身を包んだ者が場違いに立ち尽くしている。 「よう、スコール」 ゼルだ。 勘弁してくれ……また憂鬱な要素か? なんでこんな時間に? ただでさえ今日は色々あって疲れているというのに。 「ゼル。まだそれ着てたのか?」 早く退散してもらいたい。そういう一心で俺は少し嫌味な言葉を言った。 「ああ……SEED服な。せっかくの目出度い日なんだからさ、なんか脱ぐのがもったいなくて」 なぜ照れるのだ? どうもこ...
  • 第1章 SeeD-31
    「さて、新たな敵さんの登場まで待機だ」 サイファーはそう言うと、噴水前のベンチにどっかと腰を下ろした。 10分が経過した。何も起こらない。 「待機か、退屈な言葉だ」 サイファーがため息混じりにつぶやく。 ゼルは先程からシャドーボクシングを黙々とこなし、退屈を紛らわせている。 さらに10分が経過した。相変わらず、何も起こらない。 「何てこった、こいつぁさすがに退屈だぜ」 シャドーボクシングにも飽きたのか、ゼルが吐き出すように言った。 ゼルの言を待っていたかの様に、今度はサイファーが口を開く。 「またお預けか・・・もう限界だ!耐えられねぇ!これは犬の訓練か!」 その時、俺は遠くからやってくる足音を聞きつけた。 「静かに。誰か来るぞ」 俺たち三人は手近な遮蔽物に身を隠した。 広場の一角に、工兵と思しきガ軍の一団が現れた。それぞれ...
  • 第1章 SeeD-19
    「はいはい、注目」 冗談はここまでとばかりに、キスティス先生が手を打ち鳴らす。 「今回の試験には、A班からD班、総勢12名が参加します。あなたたちはB班。 担当する教官は私。チームワークを大切にして、見事に試験をクリアしましょうね」 チームワークか、サイファーに言ってくれよ。乱す者がいるとすれば、 それは奴しかいないだろ。 「チームワークってのはな、班長の俺に迷惑を掛けないってことだぜ」 サイファーがうそぶいた。やれやれだ。 サイファー、あんたが班長ってだけで、俺は充分迷惑してるんだ・・・ 「迷惑厳禁!班長絶対!」 まるで俺の心の内を見透かしたかの様に、風神が強い口調で言ってきた。 風神、その名の通り風変わりな女性だ。 俺以上に無口で、たまに口を開いても、無駄を省いた熟語のみで会話を成立させてしまう。 銀髪に染め上げたショートカット、右目...
  • 第1章 SeeD-39
    「さあ、次はてめぇの番だぜ。覚悟しな」 ヴィックスに応急措置を施しているウェッジに対し、サイファーが声を張り上げた。 しかし、その声にいつもの力強さはない。息遣いも荒く、胸からの出血も収まってはいない。 なのに、まだ続けるつもりなのか、サイファー・・・ 「無茶だぜサイファー、その傷で」 「そーそー、無茶だよ~」 「やかましいっ!」 ゼルとセルフィが口々に諌めるが、サイファーは聞く耳を持たない様子だ。 「彼等の言う通りだ」 応急措置を終えたウェッジが立ち上がり、口を開いた。 「貴様はヴィックス少佐と尋常に立ち合い、そして見事に勝利を収めた。その誇りを胸に、ここは退くがよい」 「なんだと!てめぇ、逃げるのかよ」 「ヴィックス少佐には及ばぬものの、私とて武人の端くれ。手負いのものを倒す拳は持たぬ」 そう言うとウェッジは俺たちに向き直り、言葉を続...
  • 第1章 SeeD-56
    「何か用か……?」 少しでも早く、この状況を終わらしたい俺はそう言った。 少なくとも、何かようがあって彼女は此処に来たのだろう。それならば とっとと用件だけ聞き出して帰ってもらおう。俺はそう判断した。 「ふうん……」 だが彼女――キスティス先生は少し意地悪そうな顔をする。 「知らない女の子とは踊るのに、私と一緒にいるのも嫌なの?」 最前からの俺の悩みの種。それを知ってるのを最大の武器とばかりに、事実を 有りの儘に言葉として突きつけてくる。 「悪かったな」 俺もむっとして切り返す。 正直言って、俺自身も戸惑っていた。 見知らぬ初対面の女性。促されるままに一緒に踊ってしまった。その上、自己紹介までしてしまった。 それを誰かに見られていた。見知った顔に。別段困ることではないはずだ。それなのに…… そう、俺は何以上にこんな状況を作りだしてしま...
  • 第1章 SeeD-32
    「そりゃ命令違反だぜ」 すかさずゼルが抗弁する。 「何だよ、チキン野郎。お前だって、さっきまで退屈だと言ってたじゃねぇか」 「それとこれとは別だろ。あのなぁ、これ、ただの戦闘じゃないんだぞ。 SeeD認定試験なんだ。勝手な行動はマイナスでかいぜ。 おいスコール、お前からも言ってやれよ」 「・・・・・・」 俺は直言を避けた。 ゼルの言ってることは正しい。しかし、サイファーの気持ちも判らないでもない。 敵目標が電波塔にあると判明した以上、ここに留まり続ける意義は薄い。 「もういい、お前らはここに残れ!俺一人で行く」 業を煮やしてサイファーは言った。 「敵を目前にして怖気づく野郎は、かえって足手纏いだ」 サイファーは電波塔めざし疾走していった。見る間にその姿は消えてなくなる。 「マジかよ、アイツ・・・どうするスコール?」 呆然とサイファ...
  • 第1章 SeeD-37
    「参る!」 地擂り青眼の構えのまま、ビッグスはするすると間合いを詰め、 地を這うような横殴りの斬撃を放った。 「足払いかよ、ゲスな剣法だぜ」 サイファーが前足を引っ込めて、余裕の体でかわそうとしたその時、 ビッグスの横殴りの長剣は、速度を落とすことなく、角度だけを変えて サイファーの胴体めがけて急上昇していった。 「ぬおっ」 身をよじって避けようとするサイファー。しかし間に合わなかった。 「ぐはっ」 サイファーの胸元から鮮血が噴き出す。 しかし、ビッグスの攻撃はこれで終わったわけではなかった。 サイファーを切り上げた長剣が、今度は雷撃の勢いで振り下ろされたのだ。 「こなくそっ!」 ガンブレードを頭上に仰ぐようにして、かろうじて受け止めるサイファー。 そのまま渾身の力で押し返し、自らもバックステップして距離をとる。 「決められな...
  • 第1章 SeeD-50
    その自問自答――厳密には、答え等も出ていないし、門問というべきものでもないのだが。 それが全て終わらない内にでも俺は駆け出していた。 走る間、俺は無心に近かった。一心不乱と言うべき感覚で走り続けた。後ろからは機動兵器が 市街の道路を、道行く建物を砕きつつ、足音を近づけていた。 爆発音が響き、焦げ臭い、臭いが漂ってくる。 だが、何事が起こっても俺は振り返らなかった。 見ると、視界の先には薄汚れ、黒混じりの砂浜が広がっていた。 その先には俺をドールへと誘った、小型機動艇が停泊している。その前にはゼルとセルフィが 立っている。俺を待っていたのか? ゼルの方は手を振っている。急げ。そう言っているに違いない。 これは、助かったのか。ほんの一瞬だけ、俺に安堵感が湧き出てくる。 そして、それは直ぐに打ち砕かれる。ゼルとセルフィが乗り込むと、小型艇の入り口は閉ざ...
  • 第1章 SeeD-18
    「マジかよ、よりによってサイファーと同じ班ってか」 「何だ、俺がどうかしたのか?」 ゼルのぼやきに呼応するように、背後で声がした。 「げ、サイファー・・・い、いや、何でもねぇよ」 「フン!」 いつもと同じく自信たっぷりの表情で、サイファーが鼻を鳴らす。 傍らには取り巻きの風神と雷神もいた。風紀委員勢ぞろいってわけだ。 「サイファー、あなたがB班の班長よ。頑張ってね」 「先生よぅ、俺は”頑張れ”って言われるのが一番嫌いなんだよ」 キスティス先生の言葉にプライドを傷つけられたかの様にサイファーが応ずる。 「そういうのは、出来の悪い生徒に言ってやってくれ」 「なるほど・・・サイファー、頑張ってね♪」 痛烈だ。先生もやる時にはやる。 傍らではゼルが小さくガッツポーズをしている。正直な男だ。 サイファーはと見ると、小さく肩を震わせながら、怒りと...
  • 第1章 SeeD-35
    「む、これは・・・」 「敵襲か!」 二人のガ兵は驚きの声を上げた。 俺は彼らの階級章を見た。少佐と大尉、大物だ。 少佐は長剣、大尉はメタルナックルを、それぞれ携えている。 「貴様らの仕業か!」 大尉が一歩前に出て、少佐をかばう様にして言った。 「貴様らじゃねぇ、俺様ひとりだ!」 サイファーが負けじと声を張り上げる。 「次はお前らの番だ、覚悟しな」 サイファーがガンブレードを身構えた。 「ほう」 サイファーの構えに感嘆の声を上げたのは、後ろにいる少佐のほうだった。 「少しは出来るらしい。ならば、私が相手しよう」 「ビッグス少佐!」 「構わん、ウェッジ大尉。私は軍人である前に、武人なのだ」 「・・・判りました」 ウェッジ大尉はバトルの邪魔にならぬよう、後方へ退いた。 「面白ぇ。ようやくホネのある奴に出会えたってわけか」 ...
  • 第1章 SeeD-67
    「!!!!っっ――」 その言葉は俺を油断させるには充分過ぎた。 何故俺の名を……ゼルは否定していたが俺は学園でもさしたる知名度もないはずだ。 仮に人前で手を振って歩く事が出来ぬ程の物であっても、この場面で名前を呼ぶのは やはり違和感がある。 ふっと悲鳴の主へとめくばせするがやはり、俺の知らぬ顔だ……忘れているっ? …………そんな訳はないはずだっ! おそらく…… ならば、なおの事だ。おかしいだろ、初対面の名前すら知らない相手が自分に助けを 求めるなど…… ――そこまでだった――
  • 第1章 SeeD-14
    「よう、スコール!」 物思いにふける俺の肩を軽々しくも叩く者が一人。 「何だ……ゼルか」 振り返った先にあるその顔を見て言う。 「何だとは何だよ」 文句を垂れるこの男はゼル=ディン。 顔に刻まれた刺青模様に逆立った金髪という容姿は端から見たら素行の悪い者に映るかもしれない。 しかし、根は人の良い好青年だ。少なくとも俺の判断ではだ。 それに、いくら装いを変えても小柄な体型に、顔にはまだあどけなさが残っている。 「ところでさ、やっぱり朝の訓練の奴ってお前だったのか?」 「おい……何で知ってる?」 「今更、もうガーデン中に知れ渡ってるぜ。サイファーの奴またやっちまったのかてさ」 何という事だ……常日頃から俺は必要以外の事は口にせず目立たないように努めてきた。だが、 今朝の自体は俺自身に対する無駄な印象を他人に振りまく結果になってしまったのか。 ...
  • 第1章 SeeD-13
    一階のホールに付いた俺は空いているベンチに腰掛け時間が来るのを待った。 来たばかりの頃にはまだ殆ど人がいなかったが、それから数十分程の時間を待つことなく、 ホールには試験を受けるであろう生徒とその見送りと思われるであろう人物でごった返していた。 見送りにくる者は後輩であったり、SEEDの先輩であったり、仲の良い同級生であったりと様々ではあった。 しかし、交わす言葉はほぼ同一のものであった。 とてもじゃないが、これからまがりなりにも戦場という場に赴く者の会話とは思えなかった。 だが、それも仕方のない事なのかもしれない。 繰り返すが、先述の事件以降、実地試験におけるガーデン生徒の犠牲者はゼロであった。 それが、生徒達から恐怖心――もしかすると死ぬのではないかと言う恐れを完璧に打ち消してしまっ ていたのかもしれない。 そもそも実地試験という名目がついてはい...
  • 第1章 SeeD-75
    「さあ旅立ちなさい――」 シド学園長の一声で俺はバラムガーデンから出発した。 ガーデン校門前にはレンタカーが一台用意されていた。最寄町のバラム街で借りてきたものだろう。 まずはこれに乗って、街まで行けということなのだろう。 徒歩だと結構な時間のかかる街までの距離だが、車を使えば、五分程度で辿りつくだろう。 その後レンタカーを返却後、バラム発の大陸横断鉄道に乗ってティンパーまで向かうのだ。 「チケットもこの通り、三人分揃ってます~」 レンターカーはゼルの運転していた。 俺とセルフィは後部座席に揺られていた。 セルフィは嬉々としながら列車チケットを見せびらかせてくる。 まるで遠足気分だ。 見ると、バックミラー越しから見える、運転席のゼルの表情も明るい。 街はゼルの母さん達がいるからか? 大陸鉄道の出るわずかな時間しか街には滞在しないのだが。 ...
  • 第1章 SeeD-41
    ゼルは一気にラッシュをかけた。 ジャンプ一番、一挙動で間合いを詰めると、強烈な左右の四連打を繰り出した。 「甘いな」 ウェッジは動じることなく、ファイティングポーズもたらぬまま、ゼルの四連打を全てかわした。 「まだまだっ!」 ゼルは手を休めず、更なるラッシュをかけた。 ローキックからの連打、裏拳から廻し蹴り、連打からの正面蹴り、そして踵落し・・・ ゼルが得意とする、流麗かつ力強い連撃の数々。息つく暇も与えぬとはこの事だ。 しかし、その全てをウェッジはかわしている。相変わらずファイティングポーズもとらずにだ。 「その若さにしては中々。だがまだ甘い」 「へん、かわすのが精一杯のくせして、よく言うぜ」 余裕の態を見せるウェッジに対し、ゼルが負けじと言い返す。 しかし、それが虚勢なのは明らかだ。 徒手格闘において、ゼルに並ぶ者など、ガーデンには存...
  • 第1章 SeeD-73
    「それじゃ、言いたい事も言ったのだろう。俺は帰るぞ」 そう言ってそのまま足を進める。 「言っとくが俺は友達とは思ってないからな」 つい余計な一言が出る、あんな事言われたら黙ってはいられない。 「じゃ、仲間だな」 「……それも却下だ」 「これからなるかもしれないぜ」 「知らん」 それだけ言って俺は足を速めた。 「正直なに考えてんのかわかんない時もあるけどさ――」 遠巻きにゼルの声が聞こえる。 「俺は思ってるからな」 友達の事だろう。 「ふ……」 俺は再び苦笑した。 部屋に帰るとそのまま倒れこむようにベットへと向かった。 個室になってまた部屋の使い勝手も変わるのだろうが、今はそんな事を確認する 元気もなかった。 俺はベットにもぐりこむとすぐに瞳を閉じ眠りにつく。 色々あって寝付けないだろうと思ったが、すぐに眠りは...
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