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*No.17 ――――――『試練』には必ず「戦い」があり、「流される血」がある。 ―――――― ――――――『試練』は供え物。 立派であるほど良い。―――――― ◆ 「聖杯は我々が手に入れなくてはならない」 冬木市に建つホテルの一室。 椅子に腰掛けたサーヴァントは、小型のテーブルを隔てて向こう側の席に座る己のマスターに向けてそう言った。 宣言した彼の眼光は鋭く、そこからは彼のした覚悟が見て取れるだろう。 一方のマスターは、サーヴァントの言葉をさながらクラシックでも聞くかのような表情で聞いている。 「私は民の為に聖杯に願いを託す……"市長"、あなたもそうだろう?」 「当然だとも。ああいうものは、より多くの者に有益に働くように使わなくてはならない」 "市長"と呼ばれたマスターはそう言うと、テーブルに置かれた、赤ワインの注がれた二つのグラスの内の一つを手に取った。 朱色の液体が、容器の中でダンスを踊るように波打つ。 「仮にだ、あの聖杯が自分の事しか考えない"ゲス野郎"共の手に渡ってみろ……それこそ悲劇以外の何者でもない」 「だからこそ、私達が聖杯を入手――言わば保護する必要がある。そうだろ?"大統領"」 「その通りだ……流石私のマスター、よく分かっている」 "大統領"と呼ばれたサーヴァントも、"市長"と同様にグラスを手に取った。 彼らがグラスを持ったその光景は、祝杯をあげるかのような雰囲気を醸し出している。 事実、祝杯をあげるべきなのだろう――大きさは違えど、"上に立つ者"が巡りあえたのだから。 「それはそうと、まさかあなたのような役職に就く者が"アサシン"のクラスに選ばれるとは……」 「自分でも少し驚いている……まさか殺される立場から殺す立場に変わるとはな」 「アメリカ合衆国23代目大統領」。 それが、このアサシンの生前の役職。 暗殺者にしては、彼の知名度はあまりにも高すぎる。 決して存在を悟られない事が暗殺者の流儀だと言うのに、だ。 「私も、裏では色々と動いていたからな」 感慨深そうに、"大統領"が言った。 彼は生前、己の悲願――国の恒久的な幸福――の達成の為に、様々な犠牲を払っている。 雇った刺客で敵を消そうと画策し、遂には自らの手で障害を排除した事もあった。 だが、それらは決して民衆の耳に届く事はなく、全てが闇の中に消えている。 決して人目に晒されずに敵を抹殺する――言葉だけ見れば、それはまさしく暗殺者の所業だ。 故に、彼は"アサシン"のサーヴァントに選ばれたのである。 「だが、私の行ったのは紛れもない正義だ――断言しよう」 「……なら仕方ない。"個"より"多"を優先するのは正しい選択だ。私が保証する」 "市長"は、"大統領"の回答に納得し、肯定の印として、ゆっくりと頷いた。 この男の願いは、自身の治める街――すなわち「桜見市」の民を、より優れた民族へとレベルアップさせる事である。 この願いも"個"より"多"を優先したものであり、"大統領"に納得するのは、ある種必然とも言えるだろう。 「では、祝杯をあげよう"大統領"――48の生贄に捧げる祈りも込めて」 「そうだな"市長"。彼らの血で、私達の民は幸福になる……」 "市長"の名は「ジョン・バックス」。 次元神に接触し、自身が神に至る為に「神を決めるゲーム」を提案した男。 "大統領"の名は「ファニー・ヴァレンタイン」。 聖人の心臓の遺体を手に入れ、全ての遺体を集める為に「スティール・ボール・ラン」を利用した男。 生贄と引き換えに野望を叶えようと試みたこの二人に、再び生贄を祭壇に捧げる事に抵抗感を持つ訳がない。 血の様に赤いワインが、また、踊った。 ――――――『試練』は、流される血で終わる。―――――― 【参加者No.16――ジョン・バックス@未来日記】 【サーヴァント――アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
*No.17 ――――――『試練』には必ず「戦い」があり、「流される血」がある。 ―――――― ――――――『試練』は供え物。 立派であるほど良い。―――――― ◆ 「聖杯は我々が手に入れなくてはならない」 冬木市に建つホテルの一室。 椅子に腰掛けたサーヴァントは、小型のテーブルを隔てて向こう側の席に座る己のマスターに向けてそう言った。 宣言した彼の眼光は鋭く、そこからは彼のした覚悟が見て取れるだろう。 一方のマスターは、サーヴァントの言葉をさながらクラシックでも聞くかのような表情で聞いている。 「私は民の為に聖杯に願いを託す……"市長"、あなたもそうだろう?」 「当然だとも。ああいうものは、より多くの者に有益に働くように使わなくてはならない」 "市長"と呼ばれたマスターはそう言うと、テーブルに置かれた、赤ワインの注がれた二つのグラスの内の一つを手に取った。 朱色の液体が、容器の中でダンスを踊るように波打つ。 「仮にだ、あの聖杯が自分の事しか考えない"ゲス野郎"共の手に渡ってみろ……それこそ悲劇以外の何者でもない」 「だからこそ、私達が聖杯を入手――言わば保護する必要がある。そうだろ?"大統領"」 「その通りだ……流石私のマスター、よく分かっている」 "大統領"と呼ばれたサーヴァントも、"市長"と同様にグラスを手に取った。 彼らがグラスを持ったその光景は、祝杯をあげるかのような雰囲気を醸し出している。 事実、祝杯をあげるべきなのだろう――大きさは違えど、"上に立つ者"が巡りあえたのだから。 「それはそうと、まさかあなたのような役職に就く者が"アサシン"のクラスに選ばれるとは……」 「自分でも少し驚いている……まさか殺される立場から殺す立場に変わるとはな」 「アメリカ合衆国23代目大統領」。 それが、このアサシンの生前の役職。 暗殺者にしては、彼の知名度はあまりにも高すぎる。 決して存在を悟られない事が暗殺者の流儀だと言うのに、だ。 「私も、裏では色々と動いていたからな」 感慨深そうに、"大統領"が言った。 彼は生前、己の悲願――国の恒久的な幸福――の達成の為に、様々な犠牲を払っている。 雇った刺客で敵を消そうと画策し、遂には自らの手で障害を排除した事もあった。 だが、それらは決して民衆の耳に届く事はなく、全てが闇の中に消えている。 決して人目に晒されずに敵を抹殺する――言葉だけ見れば、それはまさしく暗殺者の所業だ。 故に、彼は"アサシン"のサーヴァントに選ばれたのである。 「だが、私の行ったのは紛れもない正義だ――断言しよう」 「……なら仕方ない。"個"より"多"を優先するのは正しい選択だ。私が保証する」 "市長"は、"大統領"の回答に納得し、肯定の印として、ゆっくりと頷いた。 この男の願いは、自身の治める街――すなわち「桜見市」の民を、より優れた民族へとレベルアップさせる事である。 この願いも"個"より"多"を優先したものであり、"大統領"に納得するのは、ある種必然とも言えるだろう。 「では、祝杯をあげよう"大統領"――48の生贄に捧げる祈りも込めて」 「そうだな"市長"。彼らの血で、私達の民は幸福になる……」 "市長"の名は「ジョン・バックス」。 次元神に接触し、自身が神に至る為に「神を決めるゲーム」を提案した男。 "大統領"の名は「ファニー・ヴァレンタイン」。 聖人の心臓の遺体を手に入れ、全ての遺体を集める為に「スティール・ボール・ラン」を利用した男。 生贄と引き換えに野望を叶えようと試みたこの二人に、再び生贄を祭壇に捧げる事に抵抗感を持つ訳がない。 血の様に赤いワインが、また、踊った。 ――――――『試練』は、流される血で終わる。―――――― 【参加者No.16――ジョン・バックス@未来日記】 【サーヴァント――アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】 ---- |BACK||NEXT| |016:[[No.16]]|投下順|018:[[No.18]]| |016:[[No.16]]|時系列順|018:[[No.18]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |&color(yellow){聖杯戦争開幕}|ジョン・バックス|039:[[神の座を目指す彼らの名を誰もが心に刻むまで]]| |&color(yellow){聖杯戦争開幕}|アサシン|037:[[La Danse Macabre(前編)]]| ----

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