第7回三国志バトルロワイヤル ログまとめ内検索 / 「7-206 さようなら、文挙殿」で検索した結果

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  • 7-206 さようなら、文挙殿
    257 名前:さようなら、文挙殿 1/4 投稿日:2006/08/26(土) 22 35 40 「文挙殿、お久しぶりです。この世界でお会いするのは初めてですね」 孔融は無言で頷いた。この男は…荀文若。 名門荀家の俊才として華々しい栄華に包まれていた男。 朝廷で、私的な場で、幾度か顔を合わせて会話を交わし、表面上は友好的な態度を取っていた。 しかし、孔融は彼を嫌っていた。 漢室に忠誠を誓うように見せて、その実逆臣曹操を補佐し簒奪に導く偽善者と見ていたからだ。 しかしそれも今では昔のこと。 己の感情なぞこの珍奇な世界では何の役にも立たぬであろう。 「……これは文若殿、久しいですな」 258 名前:さようなら、文挙殿 2/4 投稿日:2006/08/26(土) 22 36 14 禰衡は相変わらず奇天烈な行動を取りたがった。 ...
  • 各話リスト(2)
    ...守る者、助ける者 7-206 さようなら、文挙殿 7-207 臥竜と鳳雛 7-208 ※郭嘉 夢の中の荀イクと話す 7-209 もう歌しか聞こえない 7-210 ※張飛 酒を飲んで爆睡 7-211 Fellows and Followers 7-212 悪木盗泉 7-213 腹が減っては戦はできぬ 7-214 沈没 7-215 桃園を後に 7-216 武人の魂 7-217 生存願望 7-218 守りたい大切なものがあるなら 7-219 今は亡き者達へ 7-220 老虎 7-221 星 7-222 幻を求めて 7-223 三者三様 7-224 喪失 7-225 蒼色 7-226 ※劉備 仲間との合流を目指す 7-227 窓 7-228 水 7-229 それぞれの邂逅 3スレ目 7-230 追憶のカノン 7-231 ※夏侯惇・許チョ...
  • 7-214 沈没
    291 名前:沈没1/5 投稿日:2006/09/01(金) 12 54 24 いつからが基準で「ようやく」と思うのかはわからなかったが ようやく感情が目を覚ましたような気分になっていた。 放置しておいた服に腕を通して、血溜まりの中の孔融に目を落とす。 ショベルは放置されている。が、彼が袖で磨いていた包丁はそこに無かった。 身体には穴が二つ。そこから血が大量に流れ出していた。 「随分綺麗に死ねたものだ」 死体に呟いてみたがどこか自嘲のようにも感じられて、禰衡は脱力した。 …浮かれてた。 急に脇腹が痛み出してくる。 悲しいのに涙は出ない。 感情はまたどこかへ沈んでいくのだろう。 彼の死体を埋葬するのが目的だった頃を思い出した。 「悔しくないのですか?」 荀イクがふっと、禰衡の背後に現れた。 292...
  • 7-052
    122 名前:1/3 投稿日:2006/07/12(水) 23 26 44 「荀イク…お前は朕の忠実な臣だ…お前は朕の障害となる者を…」 頭の中で帝の言葉が繰り返されている。私は帝の…漢王室の忠臣、それを脅かす全ての者は、誰であろうと生かしてはおかない。 そしてまずは貴方に犠牲になってもらいます、曹操様。ふふ、どうやらこのまま許昌まで逃げるようですが、私は、それをむざむざ逃がすような人間ではありませんよ? そろそろ引導を渡してさしあげましょうか。おさらばです曹操様。 「叔父上?何をなさっているのですか?」 この声、ああ、公達じゃないですか、見てわからないんですか?そこらの愚鈍な人間じゃないんですからわかるでしょう? 「おやめください叔父上!こんなゲームに乗るなんていかがなされたのです!?」 おや?そんな事を言うとは貴方は乗っていないんですか?やれやれ、貴方ま...
  • 7-218 守りたい大切なものがあるなら
    310 名前:守りたい大切なものがあるなら 1/9 投稿日:2006/09/06(水) 21 22 15 燃えるように赤い空。 有無を言わさずに参加させられたこの奇怪な遊戯も、まもなく4度目の夜を迎えようとしている。 洞窟の前での見張りを買って出た陸遜は、沈み行く太陽に手を差し伸べて辛そうに目を細めた。 重傷を負った姜維はおそらく早晩死ぬだろう。今夜かもしれない。 所詮は殺し合いのための世界なのだ。いまさら1人死人が増えた所で何ほどのことでも無い。 ……しかし洞窟の中に居ると、気が沈んで仕方ない。 陸遜が溜息をつこうとした時、少し離れた茂みががさがさっと音を立てた。 即座に銃を構え、いつでも撃てる状態で「誰ですか! 出てきなさい!」と声を張り上げる。 きゅうぅん、と愛らしい鳴き声がした。……鳴き声? がさっ、と茂みから顔を覗かせたのは、白い仔犬だった...
  • 7-241 疑うとか信じるとか
    94 名前:疑うとか信じるとか(修正版) 1/5 投稿日:2006/10/24(火) 00 09 20 戻ってきた趙雲が曹幹を連れていないことに、劉禅は表立って感情を見せなかった。 「すいません。随分と足の速い子のようで、もう辺りも暗いので一旦戻ったのですが」 「まぁ、お疲れ様です。それでは曹幹君が無事なのを祈るばかりですね」 一瞬、曹幹の名が出たことに趙雲は固まる。 しかしそれは本当に一瞬で、次に続いた魯粛の言葉で全てが氷解した。 「ああ、先ほどの間に名簿で調べたのですよ。幹という名は他には見当たらなくて。  しかし、そうであれば彼は曹操の一族の者なのでしょうな」 「え、ええ」 少しどもった声は、曹幹の血筋に対して驚いたように聞こえただろうか。 魯粛の表情からはとくに疑問を持ったようには見受けられない。 会話に参加してい...
  • 7-108 真相は闇へ
    265 名前:真相は闇へ1/2 投稿日:2006/07/19(水) 23 38 37 「おい、見つかったか?」 「いや、まだだ」 二回目の放送が始まるずっと前から、洛陽城内は武官、文官を総動員しての大捜索が行われていた。 事の発端は管理局が拾った一つの会話である。 「こりゃあ、大変だ!ただちに城内に緊急警戒態勢を!」 その内容は偶然にも首輪の能力が無効化され、参加者の一人が城内に侵入したという内容だった。その報は城内に知れ渡り、洛陽の城は大変な騒ぎとなった。 「まったく、久々に開催したと思ったらこれだ。やっぱりチェックがぬるいんじゃないか?ここは」 「確かに、他のフィールドはここまで大変な事態にはなった事はないらしいしな」 武官A,Bの会話を一人の人物が聞いていた。天井裏に隠れている胡車児である。 (久々に開催…?他のフィールド…?どういうことだ?俺...
  • 7-226
    358 名前:1/2 投稿日:2006/09/24(日) 14 24 11 予州東部、汝南城近くの高地。。 劉備玄徳は、Uターンをくらった挙句にこんな所まで南下させられていた。 「だって仕方ねえだろうがよぉ」 それに士元なら、幽州が禁止区域になってもどこか自分に縁のある地で待っていてくれるだろう。関・張の義兄弟達もしかり。 「……そういや子竜の奴は何やってんだかなあ」 今は天を仰ぎ、頼れる仲間を想うしかない、それくらい恐怖の体験を劉備はした。 冀州に入り、平原で合流を図ろうとした頃。 劉備は見てしまった。あの男が『我々』を狩りにきていることを。 呂布。 平原の城の城壁にて外を見ていた時、視力には自信のある眼がその姿を捉えた。 その陰に隠れた驢馬男の姿までは視認できなかったが、天下無敵のあの男が、闘気全開で足を向けていた。そう、城...
  • 7-034
    78 名前:国 投稿日:2006/07/10(月) 17 06 17 「たれか、俺の傷を治しておくれよ……」 苦しそうな声につられ、貂蝉は辺りを見回した。 (声はすれども、姿は見えず……まるで、屁のようなお方ですねえ) 彼女が不思議がっていると、藪の中から一本の手がスーッ。 「ここだ! 怪我人はここにいる!」 貂蝉は、声の主へと呼びかけた。 「どなたですかあ? 一体、どこのどなたですかあ?」 「その前に、ここへ隠れてくれないか? 一人歩きは危険だからな」 指示されるまま、彼女は藪へ入り込む。 そこにいたのは、文官風の男であった。つけている首輪は、自分の しているものと同じ――明らかにバトロワ参加者である。 「俺は、さっきの戦いで、左の腕を怪我してしまった。お嬢さん、傷薬は ないか?」 「救急セットでしたら、持ち合わせておりますよ」 ...
  • 7-103 ヤブ蚊とアモーと短歌行
    246 名前:ヤブ蚊とアモーと短歌行1/5[sage] 投稿日:2006/07/18(火) 23 16 30 呂範を一刀に切り裂いた関羽を追いかけて闇雲に南へ駆けた筈だった。 しかし、どこかで道を間違えたらしく、だんだん方向感覚も鈍ってきた。 諸葛瑾とすれ違ったのは覚えている。話しかけようとしたが、叶わなかった。 そのまま歩き続け、足がもつれて倒れ込むように草むらに伏し、 気を失うように眠ってしまったようだ。 そして今、目を覚ました呂蒙は全身を激しく掻きむしっている。 「かゆい!!」 湿った草地に顔面から突っ込んで爆睡していたのだ。 運悪くヤブ蚊の密生地帯だったらしく、 全身肝ならぬ全身虫さされと言った具合にすさまじいことになっている。 ヴォリヴォリヴォリ 掻~いちゃだめ掻いちゃだめー♪ わかってる。もちろんわかってる! でも掻かずにはいられない...
  • 7-146
    392 名前:1/4 投稿日:2006/07/27(木) 21 28 21 劉備は蜀の険しい道を出来る限りの速度で進んでいた。 なんせ道のりはこちらの方が厳しいのだ。少しばかり急いで行かないと遅くなってしまう。 「しっかし、誰もいないな……。まあ蜀の国の将は少ないみたいだから、しゃあねえか」 せめて憲和の奴でもいればなあ、と愚痴をこぼしつつも見方に逢えない不運を嘆く。 だがその不運こそ、言い換えれば敵に遭遇しないで済む彼の強運なのだが。 そのまま北に進み、あっさりと漢中にまで到達してしまった。 人っ子一人なく、不気味なほどに静謐を保っている。休憩をかねて探索をしてみるが何も見つからない 「こりゃ誰もいねえな。ここまで静かだと逆に不気味だねぇ」 そのままトントン拍子に北へ向かうと、陽平関にまで辿りついてしまった。 いくつかの小砦は残されており、そ...
  • 7-195 遭遇
    195 名前:遭遇 1/3 投稿日:2006/08/17(木) 19 30 41 開始当初から、幽州を目指していた関羽だったが、彼はまだ并州にいた。 人が避けそうな、深い山岳地帯を選んで進んだのが間違いだった。 二日目の昼のこと、并州北部の険しい山の中を歩いていたら、突如として、歩いていた崖沿いの道が崩れ落ちた。 関羽は抵抗する暇もなく、崖下へ転がり落ちていった。 途中、崖の急斜面に細々と生えていた木の幹にしがみつき、九死に一生を得たが、 上を見上げても歩いていた道はすでに高く、下を見下げても深い崖底の一面に荒い巨石が転がっている。 周りを見回してもこの木のようなとっかかりになるものは特になく、そのまま時を過ごさなければならなかった。 寒い夜を堪え忍ぶと、明るい日が斜面に降り注いできた。しかしすぐに雨雲がやってきて、陽を覆い被し雨を降らせてきた。 激しい...
  • 7-181 野望と希望の喪失
    115 名前:野望と希望の喪失 1/5 投稿日:2006/08/07(月) 05 30 19 虞翻は戦闘に通じていた。 彼は将軍ではないから、兵を統率する才能も知識もない。 しかし個人での戦いにおいては自慢の矛術と素早い身のこなしで、雑兵十人前後なら互角以上に渡り合えることができる。 幾度となく戦に従軍したこともあり、数々の死線を乗り越えてきたのだ。 だからなのか、それとも元からの神経質な性格のためか、とにかく彼は自分を尾行している人物の存在に気付いていた。 相手は相当用心深く、物陰に潜み、気配を消しながら慎重に虞翻を襲う機会を窺っているようだ。 飛び道具はおそらく持っていない。しかしなにか、光沢のあるものを持っている。 時折わずかな光が、虞翻の背後をちらつくことからそれはわかる。金属製の武器だろうか。 虞翻は懐に入れていたカードを一枚取り出す。取り出し...
  • 7-208
    266 名前:1/7 投稿日:2006/08/27(日) 03 25 16 闇の中に郭嘉は漂っていた。 大勢の人の気配を感じる。だが独りきりのようにも思える。 そして郭嘉は涼しげで物憂げな、よく知る声と対話していた。 互いに、勝手に独り言を言い合っているようでもあったが。 「私は、曹操様への恨みを晴らします。  どうですか、奉考。あなたは、この遊戯に乗ってみる気はありませんか」 …下らない。 「どうしてです?  この世界でなら、道徳や良識などに縛られずに思う存分、知略を競うことができますよ」 …あのさ。俺がもともと、道徳やらなんやらに縛られてたと思う? 「ふふ、それもそうですね」 …っていうかさ。何なんだよ本当。 …俺はさ。一度きりの人生だと思ってたから、あの時命張ったんだぜ。 …俺は、俺として本気で生きていたかったから北...
  • 7-232 命の瞬く声
    17 名前:命の瞬く声 1/7 投稿日:2006/10/10(火) 03 19 36 「……なぁ関興、こいつ本当に気絶してるんだと思うか?」 「いや、単に惰眠をむさぼってるんじゃないでしょうかね」 ミョルニルで姜維を賦活した後、血を吐いて気絶した馬謖は……丸くなって眠りながらくふくふと笑っていた。 「はははかかったなきょーい……そこは毒沼だー……」 そして見ている夢の内容が大変分かりやすい。 起こす? 起こします? と顔を見合わせた凌統と関興が動く前に、壁にもたれてぼーっとしていた姜維が億劫そうにやってくる。 そしてどことなく不機嫌な顔で馬謖の背中を思いっきり蹴飛ばした。 「痛っ! ……あ、夢か、残念」 「何が残念なんですか馬鹿謖どの、毒沼に沈めて差し上げましょうか?」 馬謖のお陰で死の淵から舞い戻れた割に扱いが酷い。 ふん、と鼻を鳴らして元の位...
  • 7-106 運の王様
    254 名前:運の王様 1/5 投稿日:2006/07/19(水) 03 15 39 夜が明けて、二度目の放送を聞いてなお、袁尚と劉禅は林から脱出できずにいた。 というのも、視界が少しでも開けている場所に移動するとそこにはすでに劉諶が待ち構えており、 これはまずいと反対側に回れば、やはりそこにも劉諶が回り込んでいるのである。 「まったくどうなっているんだ。何故奴にこうも我々の位置が知れてしまうんだ!!」 「はあ。でも正確に分かっているわけではないですよ。  もし正確に位置を知る術があるなら、我々はとっくにあの諸葛弩でハリネズミですから」 「なら!! 一体なんだってこうも回り込まれるんだ!!!」 随分イライラが溜まっているのか、袁尚は身を潜めるものにしては少々大きすぎる声で怒鳴る。 劉禅はとにかく落ち着かせようとバナナを一本勧めた。 袁尚は...
  • 7-026
    55 名前:1/4 投稿日:2006/07/09(日) 11 03 11 そう、あれは俺が知恵の重要さを知った三日後だったか――― ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「なあ子敬ィー。何か天気いいしさあー。一日ぐらい勉強しなくたってさあー。  何か今日は乗り気じゃあないんだよー。槍の素振りしようぜェー」 「あのね子明。貴方はりっぱだ。『知恵の重要さを知った、俺に勉強を教えてくれ』なんて  なかなか言えることじゃあない・・・そして『史記』だってちゃんと覚えたじゃあないですか・・・。  教えたとおりやればできます、あなたならできるんですよ・・・。  いいですか、『国士無双』は誰です?」 「国士無双は、韓・・・韓、えと・・・韓信?」 「そうッ!やっぱりできるじゃあないですか!  もう楚漢戦争の勝者なん...
  • 7-240 誓
    74 名前:誓 1/7 投稿日:2006/10/17(火) 23 58 01 張飛は焦っていた。 呂布の得物は関羽の青龍偃月刀。対して張飛はただの鉈だ。 武器の質もリーチも違いすぎる。懐まで飛び込まねば勝ち目はない。 もちろんそれを許してくれる呂布ではない。 青龍偃月刀を振るう軌跡は重量感のある軽やかさだ。 ビョオ、と風を切り翻る銀の刃と朱塗りの柄は 赤く輝く闘気のように呂布を縁取り、張飛に付け入る隙を与えない。 張飛はギリ、と奥歯を噛む。 自分にももっとましな武器があれば。いつもの蛇矛さえあれば。 長く戦いを共にした相棒さえあれば、こんな糞野郎すぐにぶっ飛ばしてやるのに。 「どうした、猪。命乞いをしたくなったか?」 「ふざけんじゃねえ!!」 足を払う横薙ぎを僅かに下がってかわし怒鳴る。 蛇矛があれば、とは思う。 だが押されている...
  • 7-246 故郷へ
    117 名前:故郷へ 1/15 投稿日:2006/11/01(水) 07 21 30 二人の旅は、終わりを向かえようとしていた。 二人は実際には、西涼はおろか涼州にもたどり着けない。涼州に行き着くためには、必ず雍州を通らなければならない。 荊州と雍州との境に踏み出すその瞬間、旅は唐突に終わる。 夜通し歩き続けた馬超と馬岱は、そろそろ陽が昇ろうとする時間に、荊州北西部の魏興郡へ着いていた。 もうすぐだ。 馬岱は今いる岩だらけの荒野の、地平線を見つめながら歩く。 もうすぐ、なんだ………… 雍州と荊州の境は、この殺風景な荒野にある。あと一時間もしないうちに、雍州に入る。 二人には、少なくとも馬岱には疲労もあり、眠気もあった。それでも決して足を休めることなく先へと進む。 死ぬための旅。 非道く暗い旅に、馬岱はほとんど何も言わずに歩いてきた。馬超に話しかけ...
  • 7-172
    82 名前:無名武将@お腹せっぷく 投稿日:2006/08/03(木) 00 46 18 「その武器いいな。俺にくれよ。」 文官風の男から鞄と手榴弾を捥ぎ取り、御礼に矢を渡す。 山賊とはいえ、人から物を貰ったら、御礼ぐらいするのだ。 断末魔の叫びが聞こえるが気にしない。 間違えて、肩に矢を深く突き刺したような気もするが気にしない。 「殺せ・・・殺してくれ・・・」と不気味な声が聞こえるが気にしない。 なぜなら、用があるのは、袁紹の軍師ではなく、袁紹本人だからだ。 「さて、まずは・・・南皮にでも行ってみるか。」 @張燕【諸葛弩(猛毒付き)、手榴弾×3】 ※まずは南皮へ向かいます。矢の節約を心がけています。 @沮授[鬱病・左肩重傷・猛毒に侵されています]【なし】 ※最低でも3日後には死にます。常山付近にて放置プレイ。
  • 7-107 虞翻と夏侯覇
    259 名前:虞翻と夏侯覇 1/4 投稿日:2006/07/19(水) 22 29 18 虞翻は荊州の道を歩いていた。 その道は左右を100メートル半ほどの崖に挟まれた谷間の道で、幅は5~8メートルだが、 その両脇には少し小柄な男性の肩くらいの背の茂みがあるため、実際にまともに歩けるのは石畳で舗装された、人二人が詰めて並び歩けるくらいの範囲しかない。 だが、隠れ歩くには茂みの方がいいであろう。 なので虞翻は右方の茂みの中に身を落としつつ、慎重に辺りを見回しながら移動していた。 最初は驚異のカードの数々に喜々として馬鹿騒ぎしていたのだが、しばらくして彼はいくらか冷静になっていた。 いくらカードが凄かろうと、後ろから撃たれてしまえば、まったくもって意味をなさない。 そう思えば馬鹿騒ぎしていた自分が恥ずかしくなった。あそこで銃とやらを持った誰かに気がつかれ、忍び寄...
  • 7-086 董衡&董超&…?
    204 名前:董衡&董超&…? 1/3 投稿日:2006/07/16(日) 20 00 17 俺の名は董超。月の下でしか生きる事ができない男 (そして俺の名は董衡。太陽の下でしか生きる事ができない男) さて、夜になりようやく揚州に着いたところで、俺は気付いた。 そもそもこのゲームに仙人・医者はいるのか? (仙人つったら左慈に于吉、医者っつったら華陀やその弟子だろう?) そうそうそいつら、参加者リスト参加者リストっと。 え~っと、于禁、閻行……夏侯覇、華雄……黄忠、蔡文姫…… ……………なんたることだ…………… 俺達が入れたのが奇跡なような壮絶の顔ぶれの中に医者や仙人は存在していなかった! (于吉も華陀も左慈もいねー! どうするよ兄弟) どうするったって、どうしよもないだろ! 「動くな!」 背後から突然声が聞こ...
  • 7-137
    365 名前:1/4 投稿日:2006/07/26(水) 05 35 17 「皆の者、朕は嬉しいぞ~」 その慇懃無礼な献帝の声が、夜闇に包まれた森林の静寂を壊す。 音に反応して、辺りでも大きな木、その大降りの枝の乗る男が目を閉じ眉間にしわを寄せた。 ―今夜は静かだな―彼がそう思った矢先にこんな不愉快な音が耳に入る。 (・・・ふん・・・こんな場で穏やかな夜を望むなんて事が、そもそも無意味ってものか) 内心の不快感を表すように張コウは舌打ちした。 『張角以外の誰にも会っていない』 それが彼の幸運でもあり、また不運でもある。 前夜は銃声や怒声、悲鳴は耳に届いたものの、さほど近くもなかったし戦闘を行う事もなかった。 おそらくだが、知った者も声を上げてはいなかったと言える。 そして十分に竹刀を扱い 『通常の剣よりはずっと軽い。威力は低いが急所を突...
  • 7-083 その虚ろを満たすものは
    194 名前:その虚ろを満たすものは 1/2 投稿日:2006/07/16(日) 09 17 02 「公達にも困ったものですね」 もう少しもの分かりが良いと思っていたのですが。 まあ、良いでしょう。 もし直接私に手を下せる機会があっても、あの様子ではきっと躊躇うでしょう。 その時に殺してしまっても良いし、可能ならばこちらから狙撃してもいい。 やはり、文官は危険です。 武官を血に狂わせるのは簡単だ。 だがそれなりに頭の良い連中は単純にゲームに乗ったりはしないし ゲームの裏であるとか真意だとか、余計なことを気にし過ぎる。 仮に乗ったとしても、直接的な戦闘力はあまりない。 せめて、派手に踊ってもらわなければ。 ただでさえ、今回は乗り気でない者が多すぎるようであるのに。 何かシステムに狂いがあったのか? 危機感のない、暢気...
  • 7-123 最凶最悪四人衆
    307 名前:最凶最悪四人衆1/3 投稿日:2006/07/22(土) 23 08 27 陳留の平原を四つの影が切り結ぶ。正確には三対一だ。だが、腕には覚えのある猛将三人を相手に、閻行は攻勢に出ている。 決して孫堅達は手を抜いてはいない。最初に閻行を確認した時から、そのような考えは浮かぶわけもない。 本気を出しているにもかかわらず、一人の男相手に、決定打が打てないのだ。 「ふはははは!なかなか骨のある奴らではないか!気に入ったぞ」 反撃に出た、孫堅の横薙ぎ、華雄の振り下ろし、黄忠のナイフでの一突きを、斬りかかってきた順に、弾きながら、閻行、いや項羽は笑みを浮かべる。 それと反対に、孫堅達は内心戦慄していた。自分達とて腕には覚えのある人間だ。何人もの武将と戦い、勝ちぬけてきた自負もある。 そんな男達の渾身の一撃を、この男は立て続けに、かわしてみせた。 (まるで...
  • 7-188 MERCY and HAPPINESS
    147 名前:MERCY and HAPPINESS 1/6 投稿日:2006/08/11(金) 03 34 13 【Disfragmentation】 あまりにも突然な、あっという間の出来事で、状況を把握するだけでも苦心した爆風の跡。 突如飛来した弾頭に陳宮がその命を奪われ、他の者も傷を追った。 油断があった故の事だが、完全に不意を突かれた。陳宮はほぼ即死、それを庇おうとした姜維も重傷を負う。 結局二進も三進も行かず佇んでいた。平たく言うと、彼らはとても混乱していて、疲れていた。 落ち着くまで誰とも遭遇しなかったのは不幸中の幸いと言えよう。 ややあって全員が落ち着いてくると、見るも無残な陳宮の姿と、方々に散らばった道具の類に改めて気付く。 四人は先ず、陳宮を茂みの奥に移動させ、木の葉や草で覆い隠した。辺りの土は乾いて固く、それを掘る道具もなかっ...
  • 7-220 老虎
    323 名前:老虎 1/4 投稿日:2006/09/08(金) 17 08 50 鎖鎌―――鎌の柄尻に分銅鎖を取り付けた武器であるが、黄忠は目にするのは初めてだった。 六丈はあろう分銅鎖は、男の右手によって楕円丈に回され、今にも黄忠に飛びかからんとしている。事実、放り投げれば黄忠の立ち位置には届くだろう。 鎌の方はというと、男の左手にしっかりと握られたまま動かない。しかし、黄忠が近づけば牙を剥くのは明白だ。 この武器からは様々な攻撃方法があるだろう。間合いを取って分銅を投げ、外れて踏み込まれても鎌で対応することはできる。 近距離なら、鎖と鎌を相互対応するように振れば、隙を見せずに攻撃し続けることができる。 鎖で武器を叩き落としたり、四肢を絡めとることもできる。その場合は、無防備になった相手を鎌で攻撃するのだろう。 鎖の不利は鎌が補い、鎌の不利は鎖が補う。バランス...
  • 7-022
    42 名前:1/4 投稿日:2006/07/08(土) 23 05 21 (なるほど・・・打撃用の武器であるようだが、威力のほうはタカが知れていそうだな・・・) やれやれ、と呟きながら、張コウは己の支給武器『竹刀』を片手で振り回す。 銃でも当たれば未来も今より明るいものになっていたのかもしれないが こんな武器で希望を見出せるほど、彼は天才でも阿呆でもない。 (やっぱり天下をつかめる素質のある奴ってのは、こういうところからも違うんだろうな) 曹操殿の武器はなんだったのだろう。 それを知る術は今の張コウにはないが、なぜか立派なものに思えて仕方がない。 ため息を吐きながら近くの切り株に腰を下ろし、かつて仕えた主君『曹操』のことを考える。 曹操には威厳と気品があった。袁紹にも確かにそれはあったが、曹操とはまったく別物だ。 『天下を握りまとめられるのは、きっと...
  • 7-169 呪都
    59 名前:呪都 1/13 投稿日:2006/08/02(水) 01 14 54 ゆるやかな笛の音は左手から発せられ、都をかき抱くように空間を渦巻く。 空は音に呼応するかの如く嘆き泣き、立ち上る炎に抱かれては、消えた。 おそらくは、全て雨が悪いのだ。 全ては。 60 名前:呪都 2/13 投稿日:2006/08/02(水) 01 15 30 何処となく、質素な邸宅であった。 主の性格を現しているかの如く隅々まで手入れの行き届いたその場所は、 轟々と燃え続ける炎の被害をまるで受けずに、ただ其処に在った。 内部から、悲しげな旋律が流れてくる。 所々途切れたその曲は、まるで泣いているかのように聞こえた。 「于将軍の家、ですね。」 荀攸の言葉に、典韋が頷いた。 于禁、字は文則。曹操の最も有能な五大将の一人として、盛名を馳せた男である。 ...
  • 7-247 出会いの数だけ繋がる物語
    132 名前:出会いの数だけ繋がる物語 1/5 投稿日:2006/11/02(木) 16 29 27 出合ったとき、兄の部下であったその男は狂っていた。 「『桂陽デ待ツ 猫耳 キヲツケロ』……?」 突然高熱を出して寝込んだ曹操のために薬草を摘んできた孫尚香を待っていたのは、 仲間たちではなく地に刻まれた謎の書き付け、そしてちろるちょこ1個であった。ちなみにきなこ味。 「猫耳……。って、猫の耳よねぇ、やっぱり」 凶暴な山猫でもいるのかしら。でもそのくらい、呂蒙にどうにかできない訳が無い。 病を得ている曹操を動かしてまで、移動する訳も無い。 よっぽど大きな群れだったのかしら? でも猫って確かあんまり群れないし。 そもそも耳だけに注意を促している意味がわからない。 「まぁいいわ、桂陽へ向かえばいいんでしょ」 ひとり呟くと、ちろるちょこを拾い上げ地...
  • 7-223 三者三様
    340 名前:三者三様1/6 修正3 投稿日:2006/09/19(火) 00 19 23 ま、参加者二人と危険人物が死に、かつ生還できたんだ。それにまだこいつがある」 そう言って、魏延は傍らのハルバードを持ち上げた。 「銃の一つくらい安いもんかな?」 誰かに語りかけるように呟きながら、魏延は一つの茂みを見やった。 「そこにいるのはわかってるぞ?もっとも、馬鹿みたいに殺気を出してるんだ。奇襲する気は無いんだろう?それとも唯の馬鹿か?」 その言葉を合図に、茂みから、狼牙棒を持った男、高順が現れた。 「ふむ、逃げずに、そちらから来てくれるとは。どうやら俺の見込みどおりのようだな」 高順の顔に満足げな笑みが浮かぶ。 「前者みたいだな。その言い分、その顔から察するに、乗ったはいいが、今まで相手に恵まれなかったのか?」 「そういうわけじゃぁないが、闘いたい相手...
  • 7-128 それを互いに埋めるように
    328 名前:それを互いに埋めるように 1/3 投稿日:2006/07/23(日) 20 46 15 「ああ、君か。王允の事は残念だったね」 薄笑いを浮かべた献帝はそう言い放った。 「規則違反をした朕にも不手際がありましたからね。  君には特別に王允に支給されるはずだった物もあげましょう。  まあ朕の慈悲というかお悔やみの気持ちというか、そういうやつかな?」 献帝は楽しげにザックを漁る。恐らくそれが王允のザックだったのだろう。 「おや、救急箱か。でもさすがに頭が吹き飛んでいては役に立たないね。  あはははははははは!」 目も眩むほどの怒り、というものを貂蝉はその時初めて知った。 睨む視線にそんな力がこもったのだろう。献帝はフンと鼻を鳴らした。 「歌妓風情があまり調子に乗らないことだね。さもないと、」 献帝は握った手を手のひらを上にして開くゼス...
  • 7-130 甘寧帰郷
    336 名前:甘寧帰郷 1/5 投稿日:2006/07/24(月) 14 51 57 「おお懐かしき蜀の地よ」 甘寧は荊州から永安に入り、永安から成都へと向かっていた。 狙いはもちろん蜀の猛将。蜀といえば、なんといっても天下に名高い五虎大将。 張飛は天下無双と呼ばれた呂布に次ぐというし、関羽も張飛と実力はほぼ僅差だという。 馬超は呂布にも劣らぬと言われ、黄忠は漢中にて魏の猛将夏侯淵を討ち取り、趙雲の単騎駆けは呉の内でも語り継がれていた。 「くくく……虎に今から会えるかと思えば、全身がざわついてくるぜ」 実際には五虎の誰一人として蜀の地にはいないのだが、もちろん甘寧はそんな事は知らない。 劉璋は成都城の城壁の上にいた。 かつての自分の本拠地であり、劉備に降伏した後は劉備の本拠地となったこの地。 城壁から内を見れば、劉璋の時代にはなかった、劉備一族...
  • 7-158 忘却の空
    4 名前:忘却の空1/11 投稿日:2006/07/30(日) 02 45 13 (誰の仕業か知らないが・・・ずいぶんと惜しい事をする) 歴史に残るであろう華美な宮殿。 質素だが美しい木々が飾る街道。 人々が生の活気を見せた市場。 ・・・既にそれらは灰になっているのだろう。 遠目にもわかる、ひどく雄々しげな炎を巻き上げている許都。 それを遠くの平地から眺めながら、張コウは懐かしさと喪失感、そして軽い怒りを覚えた。 が・・・。 (・・・まあ、いいか。オレのものじゃないし・・・) 怒りを覚えたところで火をつけた者の正体がわかるわけでは無し。 万が一わかったところで、己の身を危険に晒してまで報復するほどでもない。 それよりは『今後どうするか』と考えた方が己のためになる。 そう考えた彼は衣服から地図を取り出し、軽く眼を向けた。 夜陰だが、月光...
  • 7-174
    92 名前:1/2 投稿日:2006/08/04(金) 00 36 44 「い・い・か・げ・ん・離れんかぁー!」 背に付いた諸葛瑾と歩くこと数十分、我慢の限界を迎えた呂布が、諸葛瑾に吼える。 「やだい!やだい!おじちゃんの後ろにくっついているんだい!」 「いい年したおっさんに、おじちゃんとか言われたかねぇ!」 首を激しく横に振りながら、頑として呂ふに引っ付く諸葛瑾に、青筋をぴくぴくさせていた呂布の怒りは、頂点に達した。 「なら力づくで引き剥がして、貴様の骸を野にさらしてやる!」 そう怒鳴り、諸葛瑾に腕を伸ばしたその時、死亡者の放送が始まった。次々と呼ばれる死亡者の名前。その中には、自分がよく知っている名前も呼ばれていた。 「陳宮…貂蝉…」 最後まで、自分に付いてきてくれた信頼できる頭脳。 一目ぼれし、董卓を斬る理由を作った、心の底から愛した女。 ...
  • 7-198 抵抗と諦め
    208 名前:抵抗と諦め 1/3 投稿日:2006/08/18(金) 13 19 17 ようやく長安に着いた。 すでに日は暮れかけ、どこかで烏が穏やかに鳴いている。 劉備は近くの木陰で一時を休むことにし、座り込んだ。 この分では、楼桑村まであと二日はかかりそうだ。 すでに参加者の半分近くが死んでいる最中、その時間はとてつもなく長いものに見えた。 まあ、雲長も、翼徳も、そう簡単には死なねえだろう。 幸いなことに、劉備の配下だったものではまだ王平しか死んでいない。 別れた三人に、趙雲・黄忠・馬超、それに劉禅も諸葛亮も、少なくとも今日の朝までは生きていることがわかっている。 だが、今も参加者の誰かが死んでいることは明白だ。蜀将も、いつだれが死ぬかは見当もつかない。 特に、漢升の爺さんはやべぇな。あの人ほとんど向こう見ずに突っ込むから…… 劉備は立ち上が...
  • 7-064 明日のために
    152 名前:明日のために 1/5 投稿日:2006/07/14(金) 03 54 25 参加者名簿を見ながら、郭嘉は考える。 線を引かれているのは死亡者の名前。 魏の将が、多すぎるのだ。 特に夏侯姓が目立つ。 呼ばれた順番が近いから、洛陽を出た直後に広範囲を攻撃できる武器で狙われたのか? 夏侯氏に恨みがある者の仕業か、あるいは…裏切り? 夏侯姓を持つ生存者―夏侯惇、夏侯淵、夏侯覇―の名前をちらりと見る。 いや、夏侯一族とは限らない。同じ魏将であることを利用して、隙を突いて、一気に…。 北へ行く道すがら、魏の誰かから情報の一つでも頂ければ好都合。 そう思ってここ、陳留へとやってきたが考えが甘かったか? 「あれは…満寵殿?」 陳羣に言われて郭嘉もそちらを見る。 一人の男がうずくまっている。確かに満寵だ。 「満寵殿!」 満寵はひ...
  • 7-238 Reminder Of The Past
    62 名前:Reminder Of The Past 1/6 投稿日:2006/10/15(日) 17 39 55 泣いたら駄目だと自分に言い聞かすのだが、苦しそうな姿を見ていると自然に涙が浮かぶ。 元々感受性の強い方ではあったが、その実どこか達観して冷め切った己が存在した。 長かった人生で泣くことなどほとんどなかった。ましてや人のためにだなんて! 手を握ると、弱々しい力で握り替えしてくる。 額に浮かぶ汗の粒が彼の衰弱を物語っているかのようで、 もともと頑強とは言い難い小柄な身体はすっかり痩せ細ってしまっている。 陸機は両手で顔を覆った。 黙っているとネガティヴな思考に支配されそうで、 他のことを考えようと努力するのだがなかなかままならない。 「大丈夫ですよ、すぐ治るから。今、尚香殿が薬草を探しに行ってますから。  だから、もうすぐで...
  • 7-197 こぼれ落ちる欠片を 掴むその手で
    204 名前:こぼれ落ちる欠片を 掴むその手で 1/4 投稿日:2006/08/18(金) 11 40 24 「も、もう無理…だ……」 姜維を背負って歩いていた司馬懿が、蚊の鳴くような声で呟いてべちゃりとつぶれた。 「あ、やっぱり駄目か……」 「根性の無い人ですね。羽扇より重いものは持てないとでも言うつもりですか役立たずが」 「り、陸遜殿?」 さりげなく言うことが酷い陸遜が、ふと何かに気付いたように空を見上げる。 「雨……ですね。どこかに洞窟でもあればいいんですが」 辺りが暗くなり、遠くに雷鳴も聞こえ始める。 ぱらつき始めた雨はやがて豪雨に変わるだろう。 「困ったな。僕は濡れるの嫌いなのに」 口には出さなかったが、それ以上に問題なのが姜維だ。 雨で体力を奪われればうっかり衰弱死しかねない。 そもそも自分含めて一行のほとんどが怪我人なのだ。...
  • 7-242 (・(エ)・)
    88 名前:(・(エ)・) 1/6 投稿日:2006/10/20(金) 17 49 14 曹熊が鄴城を目前にした時、血がべっとり付いた獲物を、血まみれの誰かが引っ提げて城門を出てきた。 とっさに曹熊は木の影に身を潜め、その人物を見た。 武骨。彼を一単語で表すと、こうなる。 巨漢で、服の上からでも大きく膨れ上がっているかのような筋骨がわかり、角張った威圧的な顔は、並の人には見つめることすらもままならないだろう。 張遼、字を文遠。その人に違いなかった。 張遼が去るまで待ち続け、曹熊は城内に入った。 曹熊が育った地であり、曹熊の第一の居場所だった都市は、廃墟へと化していた。 大雨のせいだろう、所々引ききっていない水が見え、地面はぬかるんでいた。 もう決して戻ることはできないのだと、宣言されているように思えて、曹熊はしばらく立ちすくんだ。 それからしばらく歩...
  • 7-235
    36 名前:1/11 投稿日:2006/10/11(水) 21 12 21 苦しかった。 息が出来ない。 目を開ける。 だれかが。ぼくの。くび。しめて。る。 日が傾いても張飛は帰ってこなかった。 探しに行くという案もあったが、 集合場所を離れてしまっては行き違いになるかもしれない。 禁止エリアが増え移動も盛んな今、単独行動は危険だ。 彼らはその場に留まることを余儀なくされ、今、交代で身体を休めていた。 「しかし劉禅様に見張りを任せて、のうのうと自分が休むわけには…」 「子龍、今はそんなことを気にする時ではないでしょう?  お前も身体を休めておいたほうがいい。  それに、私はいつまでも小さな阿斗ではないよ」 そういって劉禅は笑った。つられて趙雲も笑ってしまう。 劉禅はそう言うが、その人懐こい笑みは幼い頃と変わらないように思えた...
  • 7-239 虚像の都
    68 名前:虚像の都 1/6 投稿日:2006/10/16(月) 01 07 32 銅雀台から降りた于禁は奇跡と出会った。 いや、奇跡なんかじゃない。 あのスカした面に銃弾を叩き込むのは俺に与えられた当然の権利だ。 …なぁ、曹丕!! 「見て!ほら、銅雀台が見えてきたよ!」 水害の爪痕が生々しく残る街並みに顔を曇らせていた曹植だったが、 美しくも堂々たる銅雀台の姿を見て満面の笑みを浮かべた。 何があろうと揺るがず、曹植を待っていてくれた約束の地。 躍る心のままに曹植は駆け出す。 「子建様!!」 張遼の叫び。それに重なり響く銃声。 「あ…れ……?」 曹植は不思議そうに呟く。 こんなに一生懸命走っているのに、銅雀台はちっとも近づいてこない。 こんなに心が弾むのに、胸が痛くて仕方がなかった。 耳の奥でざあざあ音がする。ま...
  • 7-162 栄華の墓所
    42 名前:栄華の墓所 1/2[sage] 投稿日:2006/07/30(日) 23 41 23 ―――ようやく魏郡に入った。 人の多そうなエン州を避け、河南から河内を通り、朝歌を突っ切って、 曹丕は、ただひたすらにギョウを目指していた。 此処まで来れば、あとはもう急く事もない。 ギョウは目と鼻の先である。 小さくか弱い手を引いて、前へ前へと、少しばかり速度を落としながら、進む。 「とうさま!」 傍らの小さな影が、嬉しそうな声を上げた。 街が、見えてきたのだ。 小高い丘の上から見下ろすその広大な姿は、その雄雄しさも、美しさも、 何もかもがきらきらと眼前に輝いていて。 思わず涙が零れそうになる程に、強く曹丕の胸を打った。 ――ああこの街は、この空は。 風は、大地は、水の流れや、鳥の囁きは。 「わたしの、国だ・・・。」 それは、司馬孚らが北へ向かった、ほ...
  • 7-173
    85 名前:1/7 投稿日:2006/08/03(木) 23 43 50 漢水沿いを歩いていた甘寧は支流の側で一人の農夫と出会った。 農夫は服の裾を捲ろうとしていたようだったが、甘寧に気付き呼び止めた。 「ああ、お前さん丁度いいや。  川に沈めてある仕掛けを取ってくれないか」 ほぼ全裸に近い格好の甘寧にとっては大した手間ではない。 ざぶざぶ川に入り、沈めてあった籠を引き上げる。中には魚が結構入っていた。 「おー、大漁じゃねえか」 甘寧に言われて農夫も籠を覗き込む。 「ほう、随分穫れたな。お前さんも食ってくかい?」 早く強敵と出会い存分に戦いたい。 そう思っていた甘寧も飯の誘惑にはちょっとぐらつく。 「大根飯でも炊くか。今朝穫った山菜も煮浸しにして」 支給されたパンや穫った木の実やらをかじりはしたが ここのところまともな飯は食っていない...
  • 7-176 流れ流れていつか消えゆくとしても
    96 名前:流れ流れていつか消えゆくとしても 1/5 投稿日:2006/08/04(金) 12 07 57 魏延文長。 一兵卒からの叩き上げの軍人であり、その勇猛果敢さと統率力から蜀軍の中核にまで登りつめた人物である。 五虎将にこそ選ばれていないがその実力は決して彼らに劣るものではなく、劉備にその才を愛された。 夏侯淵妙才。 曹操軍の誇る名将であり、急襲戦に於いては並ぶものがないと称えられた。 魏軍最古参のひとりにして曹操の親族でもあり、弓術の名手である。 彼らは共に優秀な武人であり、平素であれば決してお互いそこまでの接近を気付かずに許しはしなかっただろう。 バトルロワイアル三日目。 魏延は右腕と顔面に負った傷が癒えておらず、 さらに戦闘の起こっている北へ向かおうとするも慣れぬ道と森で道に迷ってしまったことによる疲労。 また夏侯淵は遊...
  • 7-054 夜の帳にふたり立つ
    127 名前:夜の帳にふたり立つ 1/2 投稿日:2006/07/13(木) 04 11 30 夜の帳は何もかも総てを覆ってしまうものと思っていたが、 不安と狂気だけは覆い隠せないどころか尚一層煽るものだと、ある時気付いた。 ---------------------------------  ……そろそろ雍州に入ったあたりでしょうか……?  まさか夜の間も移動し続けるとは思いもしませんでした…… 諸葛亮を捜す何らかの手掛かりになるかもと思って司馬懿を付けていた姜維だったが(7-041)、 今はすっかり日が暮れてしまい、最早気配だけを頼りに追跡している状況だ。 というのも、司馬懿は何かを確信しているところがあるようで、夜になってもどんどん進んで行って しまうものだから何かと困る。いや、困るのは専ら姜維だが敢えて突っ込むまい。 ――さて、...
  • 7-115 猛虎は解き放たれた
    284 名前:猛虎は解き放たれた1/2 投稿日:2006/07/21(金) 00 19 21 長安のある洞窟、そこに孟達は潜んでいた。錯乱もいくらかは収まり、残った左腕で、死亡者リストに、丸をつけていく。 「くそっ!左手では書きにくいわ!」 止血し、肩から先が無くなった右肩を見て忌々しげに呟く。 「忌々しい腐れ軍師め、今頃は劉封達と合流でもしたのだろうか…?」 龐統の姿を思い浮かべ、殺意を募らせる。 「だが、利き腕が無くなった今、奴等を殺せる自信はない。」 何より、今頃、徒党を組んでる可能性もある。そうだとしたら、こちらはさらに手が出せなくなる。 「やはり、仲間を作るしかないか」 孟達の脳裏に、魏の武将達が浮かぶ。 「奴等なら、主君を守る為に、乗っている奴もだろう。そいつらをうまく丸め込めばいい」 そして奴等を始末した後に、そいつも始末すればいい...
  • 7-216 武人の魂
    299 名前:武人の魂 1/5 投稿日:2006/09/02(土) 02 06 17 関羽と裴元紹は、幽州の桜桑村に辿り着いていた。重要な地だからだろう、桃園も縮小されながらもしっかりと残っている。 暫く探索を続けてみたが、禁止エリアになる寸前のこの地域にはもはや人っ子一人いない。 「やはり誰もいませんね、旦那」 裴元紹は桃を齧りながら、静まり返った村内を見渡す。 「……今はな。だが見ろ」 関羽は指し示す。桃園にはまだいくつも桃が実っていたが、関羽らが獲った枝以外にもいくつか痕が見える。 「それに、この家もだ」 歩を進めた狭い民家には、ばかでかい酒壷が転がっていた。無論、中身は完全に空である。 「すげえ、これを空けるだなんてちょっとやそっとじゃ出来ないっすよ」 「だが、一人でこの酒壷は空けられているようだ」 そう言う関羽の目に、どこか懐かしむよう...
  • 7-230 追憶のカノン
    9 名前:追憶のカノン 1/5 投稿日:2006/10/08(日) 18 20 31 この世界以外にも別の世界があって、そこでもこのようなゲームが行われているのだろうか。 そうならば私は願おう。何処かの『参加者』よ、負けるな、と。 こんな理不尽な世界に従うな。戦い、抗い、そしていつか世界に対して勝利してくれ。 決して我々の様な不幸な結末を受容するな、と―――。 「……あー?」 木陰で一時の休息を取っていた魏延は、寝ぼけた声と共に目を覚ました。 ほんの少し休むだけのつもりだったのに、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。 戦闘が続き、思った以上に疲労が溜まっているのか。 ―――決して我々の様な不幸な結末を 良く分からないが、どことなく不吉な言葉が脳裏に纏わりつく。 おかしな夢を見ていた気がする。馬鹿らしい、と頭を振り、木に手をつ...
  • 7-076 馬超
    180 名前:馬超1/2 投稿日:2006/07/15(土) 22 50 37 袁譚・袁煕・顔良・郭図・許攸・朱霊・淳于瓊・辛評の旧袁家勢力の8人は、 洛陽東門前で合流するや、曹一族への復讐を誓ってそのまま待ち伏せすることにした が、曹操等を囲んで激戦を引き起こしたわりには、殺せたのは無関係の者だけであり、朱霊・淳于瓊は討死した。 二人を失った彼等は、ひとまず東へ向かうこととし、その途上の小屋の中で脚を休めた。 「次に曹操どもが向かう場所はどこであろう?」と、リーダー袁譚 「やはり許昌であると……曹操のみならず、曹操の武将参謀はここに集まると思われますが」と郭図 「いいや、曹操がそのようなわかりやすい場所に行くとは思えん。奴は自分が狙われる身だということを自覚しているはずだ」と許攸 「ならば旗揚げの地の陳留か……曹一族や曹操の古参なら、ここに集まる可能性は高...
  • @wiki全体から「7-206 さようなら、文挙殿」で調べる

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