アイス

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アイス - (2014/06/02 (月) 19:25:07) のソース

<p>甘い物だって?</p>
<p>夜にそんなもの食べてみろ。あっという間に体重計の数字が増えちまう。</p>
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<p>京太郎「でもさ…無理なもんは無理なんだよな」</p>
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<p>冷凍庫を開けたらさ、牛乳をぎゅっと握ったみたいに白いアイスが見えるんだ。</p>
<p>悪戯心でアイスの棒に触ってみろよ。冷やっとした木の棒が、凍りついたみたいに指から離れないから。</p>
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<p>咲「わあ…凄い、おっきくて太いよぉ…」</p>
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<p>ああ、何本で数百円なんてチャチなもんじゃない。一本126円だからこその価値だ。</p>
<p>スベスベした白いアイスが部屋の明かりで一層白さを際立てる。</p>
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<p>和「こんなに白くて…ん…いい匂いです…」</p>
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<p>そう。冷気と一緒にほのかに鼻をくすぐるミルクの香り。口の中でじゅわっと唾液が漏れてしまうくらいに強烈だ。</p>
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<p>優希「も、もう…我慢できないじぇっ!」</p>
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<p>いい食べ方だ。上から咥えこむ、そしたらじんわり唇と口の熱で溶けたミルクが、舌に触れて広がっていく。</p>
<p>まろやかな甘さがスーッと、染み込むように。</p>
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<p>久「ふあ…れろ、ん…だめ、垂れてきちゃう…」</p>
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<p>アイスは冷たいうちに食べるのがいいんだ。棒アイスは溶けて落ちきてしまうという焦燥感が、アイスにとって最高のスピードで食べさせてくれる。</p>
<p>そうやって弄ばれるのに、美味しいから、嫌な気分なんてこれっぽっちもないんだ。</p>
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<p>まこ「ん、美味かった…ああ、棒にまで染みこんどる」</p>
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<p>締めは木の棒。ゴミだなんて冗談じゃない。</p>
<p>強いミルクを名残惜しむ舌が、木の棒に残る香りを楽しもうと躍起になってくれるんだ。</p>
<p>徐々にミルクが抜けて、今度は木の香りが鼻腔に抜けて清涼剤になってくれる。ねっとりした濃厚な後のこれは、鼻直しとでも言うべきか。</p>
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<p>京太郎「――ごちそうさまでした!」</p>
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<p>ああ――これがいいんだよ。太るとかニキビが出来るとか、後から心配になるのも青春ってもんだろ?</p>