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するがの法則 - (2012/01/22 (日) 16:43:10) のソース

   

「メイド服について、どう思いますか?」


唐突に、そう聞いてしまった。
殺し合いの最中に、それも見ず知らずの少女の背中に。
思えば、ぼくは少し気が動転していたのかもしれない。
自分が三千院家の執事であることさえも、一瞬忘れていた。
まったく、常に主人の下で、沈着冷静であるべき執事として、何たる失態だ…。


いや、そんなことよりも、まずは謝罪が先だろう。
目の前に居る少女に、不快な思いをさせたことを詫びるべきだ。
今ならまだ間に合う、少女はまだ振り返ってもいないのだから。


そう考えた僕は彼女が口を開こうとしたのを遮るようなつもりで、謝罪の言葉を―


「す、すみ―」
「うむ、思考するまでもなく至高だな。しかし、私はそういった類の服装を真似て作られた物ならば見たことはあるが、本物と言われるとさすがに無いな。やはり、リアルでメイド服を着ている人など超豪邸お抱えの家政婦でもなければいないだろう。いやはや、それほどの豪邸ならば、恐らく箱入り娘などが居るのだろうな。大事に育てられた彼女は、なぜだか平凡な男性に恋をする。二人はお互いに思い合っていて、皆に祝福されて結婚―が、しかし。そううまくは行かないものだろう。おそらく彼女の両親が決めた許嫁が存在するはずだ。そして許嫁との結婚を強要されて駆け落ち―。そのまま二人は愛を確かめ合う―と思いきや、許嫁と自らが愛した平凡な男性は既に禁断の関係にあり、傷心した彼女は悲しみを癒すために、自らも同性愛の道へと走ってゆく…とまあ、昼ドラ的なストーリーとしてはこんな感じかな。どうだろう。どう思う?」



―掛けられなかった。
というか、言葉を遮られたのは僕の方だった。
それでも、どうにか理解し、言葉を返すことはできた。


「…斬新なように聞こえるけど最後以外はありきたりじゃないかっ!」
自分でも、なかなかのツッコミだったと思う。

◆◇◆◇◆◇◆



さて、とにかく初めて会った参加者だし、話をしよう。
現在、二人は病院近くの茂みに隠れていた。
先程の奇妙な出会いを意識してか、二人は黙ったままだった。
しかし、黙ったままでは時間も惜しいから、とにかく話しかける。


「立ち話というのもなんですし、貴女はそこにお座りください」
少女が少し考えてから、「ふむ、君は私をずっと立たせる放置プレイをしたくはないか?」などと言ったがスルーした。
まあ、割と素直に従ってくれているから、どうやら不審に思われていることは無いようだ。
ひそかに胸を撫で下ろした。


「では、自己紹介でもするとしようか」座ってすぐに少女が言った。
「そうですね、では貴女からどうぞ」
そして少女は自己紹介を始めた。「私は神原駿河。私立直江津高校二年だ」ここまでは良かった。だけど、続きがあった。
「そうだな、私のことを説明するならば、自他ともに認めるBL好きで同性愛者でマゾヒストな上に露出狂だ」
再びの沈黙。語られても困る。
「…は、はは…すごいですね」
「ちなみに知り合いは二人いる。阿良々木暦先輩と、戦場ヶ原ひたぎ先輩。二人とも私の敬愛する人物だ。殺し合いに乗るような人達じゃない」
「…そうですか」
その名前は確かに確認している。って、そうじゃなくて。
話の流れを全く考えないのか、神原さんは。
いや、本当に、キャラクターが濃すぎるでしょうが。


「えっと、じゃあ僕ですね。僕は綾崎ハヤテ、三千院家の執事です」
つい、いつもの癖で執事ということを言ってしまった。
別に困る事でもない筈だが、なぜだか嫌な予感がした。
「ほう!執事なのか…じゃあメイド及びメイド服も見慣れているのだろうな。うむ、正直羨ましいよ。はっ、では最初のあの質問も、私の歩く後姿を目にして、ああ、彼女にメイド服を着せたらさぞや美しいのだろう、と思ってのことか!?」

「違いますよ」
否定はしたものの、ほとんど予想通りの反応に辟易する。
どうやら神原さんは、そうとう素直におかしいようだ。
でも、ある意味この反応が「普通」なのかも…僕だって、自分が執事になるなんて思ってもみなかったのだから。
おっと、話の途中だったな。


「あとは知り合いの名前ですよね。三千院ナギお嬢様、マリアさん、桂ヒナギクさん、瀬川虎鉄さん。この…四人だけです。」
四人だけ、というよりは、四人も、という気持ちの方が強い。

なにより、ここにお嬢様が居ることが信じられない。
お嬢様は確かにアニメや漫画大好きな少女だけど、戦闘力は皆無だ。
こんな所に呼ばれて、殺人者の標的にならないはずも無い。
支給品の一つ、「黒鍵」という剣を強く握りしめた。
速く、お嬢様の下へ行かなければ―。

「ほう、それでは―」
神原さんが何かを言おうとした。



嘘みたいな爆発音が聞こえたのは、その時だった。



◆◇◆◇◆◇◆



「ふむふむ、この近くにいるのは、と…」
足立透は【C-2】に来ていた。
この殺し合いを、より白熱した、混沌としたものにするための『ジョーカー』として。


「B-2に戦場ヶ原ひたぎ、篠崎あゆみで、ここ、C-2にグリムジョー・ジャガージャック、セイバー、あとは綾崎ハヤテ、神原駿河か。あとはD-2にランサー、と。」
手にしたPDAからは、多くの情報が入ってきていた。
そして足立は、得た情報から「より面白い展開」を作るために画策するのだ。


「まあ、この近くではもう二人死人が出てるし…」
篠崎あゆみが病院で爆発物を使用、マリアを殺害。
グリムジョー・ジャガージャックが虚閃(セロ)を使用、花村陽介を殺害。
そのような情報も入ってくるのだから、かなり有利である。


「グリムジョーとセイバーが臨戦態勢、ってコトは教会から動きそうにはないなあ」
自身が今居るところから、そう遠くない場所の教会。
あそこでは、今まさに「死神」と「サーヴァント」の戦いが起きようとしている。
多少興味も残るが、今はそれよりも―。


「おやおや、あそこに居るのは…綾崎くんと神原くんだね」
視界に捉えたのは、執事服の少年と左手に包帯を巻いた少女。
恐らくあちらもこっちに気付いたのだろう、手を振ってくる。
手を振りかえしながら、僕は獲物がかかった事への喜びを隠せなかった。



◆◇◆◇◆◇◆



病院の中から爆発音が聞こえた後、私は綾崎君と一緒に南下していた。
二人で歩いているなんて、阿良々木先輩に見られたら嫉妬してくれるだろうか。
そんなことを考えながら、早足で。

そして【C-2】に入ってもなお、南下を続けていると、一人の男性に出会った。
「君達、この殺し合いに乗るつもりはあるかい?」
第一声は物騒だったが、話すとこの足立という刑事は悪人ではないようだった。


しかし、出会った人が執事や刑事とは、全く運がいいのか悪いのか。
そもそも殺し合いに巻き込まれているのだから、それだけで運勢は最悪と言えるが。


とはいえ、実際刑事に会えたのは心強い。
頼り無げにも見えるが、この男性、割と正義を貫くタイプのようだ。
「この殺し合いを止めたい」と語るその顔にも声にも、嘘は感じられなかった。
疑ってかかっていた綾崎君も、この言葉に動かされたようだ。


そして、私たち二人は足立刑事と共に行動することにした。
どうやら足立刑事は、戦闘やそれに準ずることが起きている所へ積極的に近づくらしい。
どうしてそんなことを、と聞くと、
「戦闘に巻き込まれただけの、一般人もいるはずだからね。そういった人たちを守るのが警察官なんだよ」
と、まるで正義のヒーローのお手本のような回答が返ってくる。
この意見には綾崎君も賛同した。
よほどお嬢様が大事なのだろう。私もそれくらい思われたいものだ…。
確かに阿良々木先輩は後先考えずに突っ込むような人だから、戦闘が起きていたらその場所に行こうとするかもしれない。
戦場ヶ原先輩は…わからない。


そして話し合った結果、足立刑事はこれからの行き先を私たちに委ねるそうだ。
私たちと足立刑事の情報を共有したところ、選択肢は2つとなった。
先程爆発が起きたために私たちが離れることにした病院か。
足立刑事が言うには今戦闘が起こっているらしい教会か。

どちらにも「巻き込まれた一般人」がいる可能性はある。
さあ、どちらへ行こうか―。



「それより、足立刑事は受けに見えて実はバリバリの攻めだと思うのだがどうだ?」
「「知らないよそんなの!」」



【C-2路上/未明】

【神原駿河@物語シリーズ】
【装備:なし】
【所持品:支給品一式、ランダム支給品×3】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:綾崎君と足立刑事と行動。
2:教会か病院に向かう。
3:阿良々木先輩、戦場ヶ原先輩、綾崎君の知り合いと合流。
【備考】
※「するがモンキー」終了後からの参戦です。
※足立をある程度信用しました。



【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!】
【装備:黒鍵@Fate/Zero】
【所持品:支給品一式、ランダム支給品×2】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:神原さんと足立さんと行動。
2:教会か病院に向かう。
3:お嬢様や知り合いの人たちを探す。
【備考】
※アテナ編終了後からの参戦です。
※足立をある程度信用しました。



【足立透@ペルソナ4】 
【装備:不明(武器は持っている)】 
【所持品:支給品一式、AのPDA@シークレットゲーム-KILLER QUEEN- 、意図的支給品×1】 
【状態:健康】 
【思考・行動】 
1:ロワイアルをかき回す仕事をしつつ楽しむ。 
2:この二人を戦いに巻き込む。
【備考】 
※直斗救出後からの参戦です。 


【黒鍵@Fate/Zero】
綾崎ハヤテに支給。
神父・言峰綺礼が戦闘に使用する投擲剣。



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