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神のみぞ知るセイカイ - (2011/12/26 (月) 18:59:34) のソース

「…僕がこんな所に招かれるとはね…」

地図上で【G-8】に当たる場所。
周りが海に囲まれた、この殺し合いの舞台の端にある市街地。
殺し合いの舞台には似つかわしくない程の綺麗な海を見ながら、男、衛宮切嗣は呟く。
一羽の鳥が、海の彼方へと飛んで行った。
それを見た切嗣は、何かを断ち切るように、勢いよく海に背を向けた。


◆◇◆◇◆◇◆


「…僕をこんな所に招くとは…不愉快です」

地図上で【G-8】に当たる場所。
奇しくも衛宮切嗣が最初に立った場所の近くで、少年、六道骸は呟く。
学校の制服、オッドアイ、特徴的な髪型、どれをとっても、少年は『不気味』と言えた。
なんというか、見た者に不安感を与える雰囲気が、彼にはあった。
少年は海を見ることに飽きたようで、そのまま踵を返し市街地へと歩き出した。


◆◇◆◇◆◇◆


人通りのない市街地を歩きながら、僕は考えた。
第四次聖杯戦争が終結してから五年後のことだ。
僕――衛宮切嗣という人物は、病で死んだはずであった。

けれども、僕は今確かにここにいる。
そして、名前も知らない人たちと共に、殺し合いを強要されている。
シャルル・ジ・ブリタニアといったか、彼の道楽に付き合わされるのは御免だ。
だとすれば、僕がするべきことは主催者に対抗することだろう。

しかし、頭ではそう冷静に分析していても、僕の中には迷いがあった。

殺しをしたくない、というわけではない。
僕は今までに何人も人を殺してきているし、『魔術師殺し』という異名も持っている。
このゲームとやらにおいても、僕は襲われたら反撃をするつもりはあったし、それが女や子供であろうと容赦をするつもりも無い。
殺すしかない状況で、殺した方が良い人間が居るとすれば、躊躇いなく殺せると自負している。
――――ただ一人を除いて。
衛宮士郎。
僕が猛火の中から助けて、養子にした少年だ。
こんな僕にも懐いてくれて、初歩的な魔術を教えたこともある。

その名前を見つけたとき、僕はまず主催者を憎もうとした。
しかし、名簿には他にも「アーチャー」「アサシン」「キャスター」など、自分にとっては馴染み深く、また、軽蔑する存在でもある、『サーヴァント』の名前があった。
僕は、サーヴァントが居るのであれば、マスターもいるだろう、と予想したのだが。
御三家である【遠坂】、【間桐】、【アインツベルン】の内、どの名前も無かった。
それだけじゃない。第四次聖杯戦争時に戦ったケイネス・エルメロイ・アーチボルトや言峰綺礼、相棒であった久宇舞弥の名前すら無かった。

では何故、士郎が呼ばれることになったのか。
導き出される答えは一つ。

――――衛宮切嗣と関わったから、衛宮士郎はこのバトルロワイアルに呼ばれたのだ。

ならば、自分は士郎にどう責任を取るべきか。
その答えも、一つしかない。


◆◇◆◇◆◇◆


まさかまた、僕が道具のように扱われることになろうとは。
悲しいというよりは憎いですね。
かつてエストラーネオファミリーで人体実験の被検体として扱われていた頃のことを思い出してしまう。
……いや、考えすぎるのはよくないでしょう。
その時に得たこの忌むべき能力も、今では自分の力として使いこなせているのですから。
……考えすぎるのは……よくないでしょう。

さておき、この場に呼ばれた僕の知り合いは3人ですか。
この場にボンゴレやシモンの血を継ぐ者も呼ばれているということは、無論僕の過去……心的外傷《トラウマ》を知っているということでしょうね。
知っていてなお、その傷を抉るようにこのバトルロワイアルとやらに呼ぶ…。
どうやらあのシャルル・ジ・ブリタニアとやらは、相当外道のようです。

クフフ…まあ僕は人のことを外道などと言えませんが。
いずれにしても、このような殺し合いに乗って、主催者の思惑通り動くのも気に食わないですね。
ここはやはり、使える仲間を集めることとしましょう。
最初に主催者に立ち向かったあの青年、彼は自分の力に自信があったようです。
幸い、ここにはボンゴレやシモンもいることです。
力を持つ者同士が集まれば、主催者に対抗することも可能でしょう。

さて――おや、丁度良い所に参加者がいますし、話しかけてみますかね。


◆◇◆◇◆◇◆


そして二人は出会った。
と、同時に、片方にとっては当然の、片方にとっては予期せぬ戦いが始まる。

まず少年が、両手に持ったヨーヨーを持ち上げようとした。
その瞬間、男が手にした拳銃を発砲する。

少年はそれを間一髪避けると、ヨーヨーを振り下ろす。
するとヨーヨーから、無数の針が飛び出し男を襲う。

男は驚いたようだが、転がるようにして避け、もう一発撃つ。
無理な体勢から放たれた弾は少年に当たることは無かった。

そして、二人はほぼ同時に体勢を立て直した。


◆◇◆◇◆◇◆


実際の所、骸は男に対して敵意が無いことを示そうとしただけだった。
そして切嗣は、少年が拳銃の射程距離に入ってくるまで待っていた。

思考も生き方も全く違う二人の邂逅。
彼らの心には、様々な感情が入り混じり、揺れ動く。
それは憤りか、悲しみか、憎しみか、戸惑いか。
何が正しいのか、何が間違っているのか。そしてこの先どうなるのか。
全ては神のみぞ知る。


◆◇◆◇◆◇◆


【G-7東側/市街地/未明】

【衛宮切嗣@Fate/Zero】
【装備:ワルサーP38(残弾6/8)@現実】
【所持品:支給品一式、ワルサーP38の予備弾(残弾24/24)ランダム支給品×1】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:少年(六道骸)に対処。
2:衛宮士郎を優勝させる。その為にはどんな手段をも厭わない。
3:士郎……。
【備考】
※死後からの参戦です。
※「時間操作」は使用できますが、通常時よりも負担がかかるかも知れません。



【六道骸@家庭教師ヒットマンREBORN!】
【装備:ヘッジホッグ@家庭教師ヒットマンREBORN!】
【所持品:支給品一式、ランダム支給品×2】
【状態:健康】
【思考・行動】
1:男(衛宮切嗣)に対処。
2:主催者に対抗する。その為に仲間を集めたい。 
3:考えすぎるのは…良くない…?
【備考】
※継承式編終了後からの参戦です。
※能力の制限等は不明です。



【ワルサーP38@現実】
1938年にドイツ陸軍が制式採用した自動拳銃。ルパン三世の使用で有名。

【ヘッジホッグ@家庭教師ヒットマンREBORN!】
六道骸に忠誠を誓う仲間の一人、柿本千種の愛用する武器。
毒針が出てくる特殊なヨーヨー。



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