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*TEXT ログ集
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**デラ
>識柚多 DJとムビキャラ
**鋼錬
>傷受 少なめ
**九龍
>葉皆、葉取
**バサラ
>各地従×主&元々コンビ 学園パロ
**その他
>他ジャンル
**オリジ
>短編
**お題
>挑戦中お題一覧
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2007-03-15T01:07:39+09:00
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デラ
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*DJ
**識柚
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**識柚 パロディ
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*MOVIE
**MY設定
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**ホリチュン
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**ギガデリック
-ギガデリック [[【墓堀り人の…】>ギガ1]] [[【立ち枯れの樹】>ギガ2]]
-ジェノギガ [[【チェックメイト】>ジェノギガ1]] [[【夜泥棒。】>ジェノギガ2]] [[【さわってもいい】>ジェノギガ3]] [[空気>ジェノギガ4]] [[歌をあなたに>ジェノギガ5]]
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-仮名 [[1守人>ゼファ仮1]] [[2雨>ゼファ仮2]] [[3手紙>ゼファ仮3]]
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[[テレビ>ゼファミリー6]] [[小さな愛情大きな横暴>ゼファミリー7]]
2007-03-15T01:05:24+09:00
1173888324
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ホリチュン4
https://w.atwiki.jp/49895050/pages/290.html
ホリチュン4
それはヒトで言うところの「フラッシュバック」というものに近い。
それらは、エレクトロがきちんとした自我を持つ前の時期に見たと推定される記憶の映像だ。洗い出された記憶に、エレクトロ自身はただただ既視感に苛まれる。
草の海に立ち尽くす。白い花が揺れている。
風が頬を髪をなぶり、空も大地も夜に浸食され、足をつけているところが地面であるかという確信も薄い。
誰かに呼ばれているという激しい感覚に全身を支配され、行かなくてはという強い意識に支配されていた。
脳が焼ききれるようなメモリーの氾濫。
覚束ない足取りで草を踏む。緑の海をかきわけどれほど歩いたのか。
陽炎のように揺らめく人影を見つける。
『……!』
その人影の名前をエレクトロは誰よりも知っている。
くらりと訪れた、目眩のような揺れ。
「エレクトロ?」
「めまったかあ、だっせー」
可愛くないことを言うのはグラビティだ。黒い目は子供の無邪気な残酷さでエレクトロの頽れた姿を映す。
一方の棘つきのメットのアーミーはこういう時だけ無表情の中にいつもはない光を目の中に宿す。実は本当にこの中で人間らしいのは誰より冷徹だと言われているこの背の低い少年かもしれない。
「んーん。ちょっとフラッシュバック」
「最近、回数が多い」
「そう?充電が足りないせいかもな。早いとこ休めるところ、探そう」
誤魔化し、先を急がせた。日が沈むのがこの辺りはまだ早い。できれば雨露を凌げる場所で眠りたい。
グラビティはともかく、アーミーはエレクトロの演技に乗ってくれたのか、どうかわからない。
翻る襤褸布の外套。その切れ端を目に留めながらエレクトロは人知れずため息をつく。
フラッシュバックは思い出させる。二人の少年たちと戯れる時はあくまで、鎖つきの自由がもたらすものだと。
この体のどこもかしこも、忘れてはいない。いや、忘れることが許されるはずもない。
その束縛を厭う気持ちもある。疎む気持ちも、もちろん。
だが、この体は覚えている。
全身を支配され、浸食され、一体となるその快感を。震えるような、その悦びを覚えている。
2007-03-15T01:02:36+09:00
1173888156
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識柚24
https://w.atwiki.jp/49895050/pages/289.html
識柚24
※私は識が好きですよ?下品につき注意
どうも。最近、「おまえの妄想キモイ喋るな」と師匠になまぬるい顔で虐げられている識です。ああそんな顔しないで師匠、可愛い顔が台無しだから!
さて節分です。俺の頭の中ではしましまぱんつでなまめかしい姿の赤鬼が金棒持ってグラビア真っ青の挑発ポーズでいらっしゃいます。どうせ握るなら鬼の金棒を握ってほしいですね。伸縮可能です。どちらかというと膨張が得意ですよ。
やはり角は性感帯ですよね。こう、頭から生えたちっちゃなそれを指で撫でたり嘗めたりしたらビクビクしながらギリギリ睨みつけてきたりして…あの目は本当くせ者で、みる者を虜にしてやまない。虜一号としては師匠が心配で心配でたまりません。いや全身いやらしいオーラに満ちあふれてる師匠なんですがね、特に腰から下は18禁だと信じてますよ。ええまったく俺の金棒をギュッとね、引き絞って吸いついてくるような…
「俺、長いつきあいやけど最近ちょっとあいつがわからんのや…」
「大丈夫だユーズ、俺なんか最初からあいつがわからない」
きっとシーサー星人なんだとニクスはよくわからない気休めをカウンターに沈むユーズに言った。長い片足ひっかけジュークボックスに話しかける識は酔いに任せ、笑いながら腰を振っていた。激しい動きだった。
2007-03-15T01:01:21+09:00
1173888081
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識柚23
https://w.atwiki.jp/49895050/pages/288.html
識柚23
師匠と俺はたまに好みが食い違う。同じ濃い味付けでも俺は辛いほうが好きで、師匠のほうはこってりだけでいい。どうでもいいことばかりなんだけどね。
あ、師匠はトラは好きでも猫にはそんなに興味がないらしい。
「ツンケンしてる」
とか言って。犬のほうが喜んでるのがわかるから飼うなら犬だとか。俺はそう言って煙草をふかす師匠に脳内で猫耳つけて疚しい妄想をする程度に猫は好きだ。懐いたら猫もわかりやすい愛情を返してくれるだろ?ちょっとひねくれてるけど。
まあそれもどうでもいいことと言えばどうでもいい。
どうでもよくて、なんでもない、くだらないことを知って、積み重なるとつきあいも深くなったんだなあと思えてきて。いちいち「え、師匠イクラ嫌いなんですか。おいしいのに」なんて反応することもなくなっていく。
惰性じゃない、肌にはじむ何かを見つけるのは年をおうごとに難しくなる。空気の質がしっくりきて何時間黙っていたとしても厭きない相手なんて、生きているうちに何人出会えるだろう。
たまに師匠が俺のことを「弟子」とか「腐れ縁」じゃなく、「ツレ」と人に紹介する。ひそかに師匠にツレと呼ばれて喜ぶ俺がいる。
自分がつれてる人、という本来の意味に重なって、友人より親しい相手のことを言うツレに師匠からのなんともいえない愛情を感じるからだ。師匠の愛情の返し方は猫そのものだって、本人は気づいてないんだろうなあ。
2007-03-15T01:00:35+09:00
1173888035
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バサラ
https://w.atwiki.jp/49895050/pages/170.html
*バサラ
**奥州-こじゅまさ
-[[収穫>こじゅまさ1]] [[プラスちか1>こじゅまさ2]] [[パーリィin奥州>こじゅまさ3]] [[チェンジ>こじゅまさ4]] [[苦渋>こじゅまさ5]] [[合戦準備>こじゅまさ6]] [[牙を研ぐ>こじゅまさ7]] [[庶民派>こじゅまさ8]]
**大阪-たけとみ
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**小田原-こたうじ
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-こたとゆかいな北条家 [[1>こたうじふぁみりー1]] [[2>こたうじふぁみりー2]] [[3>こたうじふぁみりー3]] [[4番外編>こたうじふぁみりー4]]
-氏政様の守人 [[1>氏政様の守人1]] [[2>氏政様の守人2]]
**中四国-ちかなりちか
-[[捏造過去>ちかなりちか1]] [[ひとさらい>ちかなりちか2]] [[奥方様>ちかなりちか3]] [[ハンドメイド>ちかなりちか4]] [[くもりのち>ちかなりちか5]] [[ふこふこ>ちかなりちか6]] [[厳島>ちかなりちか7]] [[with鸚鵡>ちかなりちか8]]
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**安土-みつのぶ
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**甲斐-さゆき
-[[無邪気な人>さゆき1]] [[おかあさんといっしょ>さゆき2]] [[鍛錬>さゆき3]] [[いくさば>さゆき4]] [[不寝番>さゆき5]] [[生ける武器>さゆき6]] [[夜酒>さゆき7]]
**その他
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**学園バサラ
-[[設定*生徒編>学園バサラ1]]
-お昼の放送 [[さすけ☆ゆるゆる木曜スタジオ>学園バサラ2]] [[けーじ☆金曜 恋の相談室>学園バサラ3]]
-たけとみ [[犬>学園たけとみ1]] [[生徒会の洗礼>学園たけとみ2]] [[被服>学園たけとみ3]] [[携帯電話>学園たけとみ4]]
-こたうじ [[逢瀬>学園こたうじ1]] [[密会>学園こたうじ2]] [[以心伝心>学園こたうじ3]] [[てるてる…>学園こたうじ4]] [[夢に楽土>学園こたうじ5]] [[調理実習>学園こたうじ6]]
-ちかなりちか [[チカちゃん>学園ちかなりちか1]] [[かぐやちか>学園ちかなりちか2]] [[マンガ編1>学園ちかなりちか3]] [[マンガ編2>学園ちかなりちか4]] [[マンガ編3>学園ちかなりちか5]] [[お国言葉>学園ちかなりちか6]] [[車買うなら>学園ちかなりちか7]] [[宮●検定>学園ちかなりちか8]] [[物産>学園ちかなりちか9]]
-その他 [[鬼と竜>学園バサラ4]] [[虫歯さゆき1>学園さゆき1]]
2007-03-15T00:59:14+09:00
1173887954
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こたうじ27
https://w.atwiki.jp/49895050/pages/287.html
こたうじ27
照らせ照らせ月
夜の黒を切り裂く鋼、きらめきを届けるは月光。
闇に潜む忍びにとっては月は厄介だ。中途半端な明るみをもたらし、影の動きを明瞭にする。
だが月に焦がれる忍びも多い。すでに日の光をあびること叶わぬ者らが慰めに、あるいは心のよすがに天にあるそのやわらな輝きを目に宿そうとする。
小太郎にとってはどちらでもない。月は月だった。
性急な若者にはよくある、未熟な感性で浮かぶ上弦を見遣る。
今己の所業が暗きにあるものならば月は沈むなり欠けるなり消えれば良い。
逆に。今己の所業が明るみにあるものならば月はそのままの輝きを投げかければ良い。
今小太郎に急を告げる用事はない。だが今の時間ならば主は政務の片づけか書き物の最中のはずだ。
それに間に合えば良い。
もしかしたら、気まぐれな主は深夜の散歩に繰り出すかもしれない。そうであったら、小太郎は呪詛の如く月に願う。
照らせ照らせ月 かの人の足を迷わせるな
2007-03-15T00:38:55+09:00
1173886735
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こたうじ26
https://w.atwiki.jp/49895050/pages/286.html
こたうじ26
暮れる時間が遅くなり、冬が遠ざかり春が来るのを空が告げている。
山の端にかかる薄衣の染めはまだ明るい。
ひとつ草を食む。
野草に甘みは全くなく、噛み潰す中で苦味が麻痺する。
それを吐き出し、肩口に塗りつけた。傍らでは忍刀が血にまみれ転がっている。
毒矢の掠った傷口を自ら抉った後を生々しく残している。
後で血を払っておかねばなるまい。人を斬った脂は刀を痛める。
宛布をし、きつく縛りあげて当座の治療を終える。
指先に痺れを感じ、四半刻は動かないほうが無難だろうと小太郎は体から力を抜く。
それで猛毒を完全にぬく小太郎の治癒力の高さには舌を巻く同業者が多い。
ふと見上げた淡い空に瞬く星が見えた。
星の動きは不動にみえてうつろぎ、それを読んで小太郎は思ったより遠くにまで来たことを知る。
夕暮れというには明るすぎる空のあわいで浮かぶ宵の星。
かの主は同じ星を見上げているだろうか。
痺れが頭にまわったか、小太郎はそんな感慨にふけった。
2007-03-15T00:38:20+09:00
1173886700
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こたうじ25
https://w.atwiki.jp/49895050/pages/285.html
こたうじ25
※ネコの日(2/22)に間に合わせたかった、にゃんこなネタのこたうじです。朝起きたら猫になっちゃいました話。
ある日のこと、氏政が猫になっていた。
「!?」
日課として、早朝に庭の雀を愛でにやってくる氏政が、今日に限って降りてこない。訝しんで寝所にやってくると、布団と着物のあいだに老猫が身動きもできずに苦しんでいた。分厚い布団の重みに抜け出せなかったらしい。
普段滅多に動揺することのない(注:氏政に関することを除く)小太郎が思わず息が止まったくらいには、驚愕の事態だった。
その猫は、痩せてみすぼらしく見えるのに、耳毛と髭が驚くほど長いためか不思議な貫禄を備えていた。肋が浮いて見え、かつては艶々していたのだろう白い毛並みも見る影もなく。だがその枯れた風情こそが慕ってやまない主の姿を体現していた。
「…のぉう」
「…っ…!!」
助け出された猫は「な」と「の」の間の、微妙な発音で鳴いた。小太郎を呼ぶ時の響きをそっくりであった。
この白き老猫は氏政であると確信した瞬間である。
だが次の瞬間、主をその手に抱いていると気づいた小太郎はぱっと放りなげてしまった。
……風魔小太郎、一生の不覚である。肩先にも触れたことのない主を猫の身とはいえ抱き上げ、なおかつ放り投げてしまった己の未熟さを小太郎は永く悔いたという。
「あぉ…」
一方、運良く布団の上にぺしょりと落ちた猫は、ふにゃふにゃとした声で目を覚ました。瞼の上にふっさりした毛があるせいか、よく見えていないらしい。頭を起こし、ふぐふぐとくすんだ桃色の鼻がひくつき、手っ甲に覆われた小太郎の指先に近づく。
「!!」
「ぉあぉ…」
猫の猫たらしめんとす、可愛らしい声とは無縁の鳴き声。老猫は小太郎に向かって鳴いた。
2月22日 氏政、猫と化す。
「………」
悠然というにはよろつく足取りで、小田原城の廊下を歩く猫の後を小太郎はしずしずとついていく。後をついてまわる忍びにまったく気を回さないあたり、ますますのらしさを感じて、小太郎は胸を熱くする。
短くも長くもない、だが斜めに先細る尾がゆらりゆらりと遊ぶ。
氏政と比べ小太郎は気が気じゃない。珍しもの好きの北条家親類に会わないかとひやひやもする。実兄であろうと氏の長者であろうと、猫になった氏政を氏勝以下が黙っているわけがない。(十数人といる北条家男子のうち、常識人は氏政実子・氏直だけだと小太郎は思っている)
幸いなことに、猫の通る道に親類の姿はなく、小田原城はいつになく静かであった。
「のあ…」
と、猫の足が止まった。氏政お気に入りの、南向きの縁側である。ここは朝から夕刻まで日がさしこむため、時折氏政が公務を離れ、転た寝をしているのを小太郎は知っている。
長い髭をひくつかせ、猫は板張りのそこにころりと丸くなった。
「!?」
息をしているかしていないか、静かすぎる寝息が漏れて初めて、小太郎は猫がそこで眠り始めたのだと気づいた。
小太郎は所在なく縁側に腰を下ろす。いつもは屋根から見下ろす縁側を、低い視点から見つめた。
ぴぴ、と雲雀の鳴く長閑さ。小田原では日常である昼間の顔。夜の底では小太郎が支配者であるが、穏やかすぎる花の城小田原の主はやはり、氏政で。その老爺は今、猫となってすやすやと眠っている。
「………」
「…ぉあぅ」
隣の気配に気づいた猫がひくりと髭をふるわせた。のっそり頭が持ちあがり、ぽてりと傾いた。
「!!!!!!」
鍛えられた腿に猫の頭が乗った。小太郎はぴきりと凍り付く。
頭を預けるには高すぎたらしい。わずかに喉を低く鳴らした猫はずりずりと動き。
小太郎の膝の上にまんまると寝転がった。
「!!!!???」
「ぁぁぅ」
猫は動くなとばかりに一声鳴いてから、ぷーと寝息を漏らしはじめた。
ほんのりとしたぬくもりを膝の上に感じながらも、小太郎は。
夕刻まで一寸たりとも動けなかった。
次の日には、猫の姿はなく。闊達な老爺が朝の庭に豆を蒔いていた。
「ぬ!弛んでおるのう、今日は寝坊じゃぞ」
「………」
言葉の意味を考えるより、その姿を認めて小太郎は色々な想いを込めて、こっくり頷いた。
2月23日。氏政、人の姿に返る。
※もっと書きたいことあったんですが、氏政猫話はこんな感じで。両方猫とかこた猫とかも考えたらすごく楽しい。
2007-03-15T00:37:40+09:00
1173886660
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こたうじ24
https://w.atwiki.jp/49895050/pages/284.html
こたうじ24
氏政は寒がりだ。海風の冷たい日には火鉢から離れたがらない。何枚重ねても着膨れないのは老人の薄い体のせいで、よけいに寒々しい。
「小太郎はそれで寒うはないのか」
「…?」
小太郎のむき出しの腕や肩を見、氏政はそれだけでぶるりと震えた。
着膨れた忍など聞いたこともない。小太郎は日々鍛錬を怠っておらず、寒風に晒されていても寒そうには見えなかった。
「…儂もおぬしを見習わねばのう…よし!」
氏政はいきなり上着を脱ぎ捨てた。
「!?」
「心頭滅却すれば雪も温しじゃあ!乾布摩擦をするのじゃー!!」
「!!!!???」
蜂の羽のようにぶぶぶぶと首を振りながら、小太郎はあわてて氏政の上着をかけなおしに奔走した。
…年寄りの冷や水とはよく言ったもので、洗濯板のごとき肋を風にさらした氏政は見事に風邪をこじらせた。
そのそばでせっせと薬草を擦りおろす小太郎は珍しく薄ものを羽織っていた。氏政の風邪が治るまで、それは続いた。
2007-03-15T00:36:31+09:00
1173886591