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:せら-02

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277 :せら-02 (1/2)※まだエロ無し:2008/11/11(火) 17:29:37 ID:s3tAe2iE
 薬入りジュースを飲まされた翌朝。
「んぅ、ふあ……ふにぅ」
 小さな口を広げながら、星良はぼんやりと身体を起こした。

 低血圧で目覚めが悪いのはいつものことだが、今日は特に頭の中の霧が濃いような。
(なんか変な夢見てたな……。どんな夢だっけ?)
 妙に楽しい夢だった気もするし、悪夢だった気もする。
 夢を見ながら一晩中浅い眠りを繰り返していた記憶もあり、そのせいかなかなか目が覚めない。
 寝惚け眼で中空を見つめながらボーっと夢の内容を思い出そうとするが、曖昧に感じた雰囲気しか浮かんでこなかった。

 どれくらいのあいだそうしていたのか。
 二段ベッドの上段から英介が降りてくる音に、ようやく星良は他の思考へ移ることができた。
「おあよー、えーすけ」
 星良もベッドから抜け出しながら、眠った舌で声を掛ける。

 返事の代わりに、英介は呆れ笑いのような表情を向けてきた。
「おまえ、いま起きたんだよな、やっぱり?」
「んー?」
 質問の意図がわからずに小首を傾げてから、とりあえずこくりと頷いておく。
「そうだよな、だよな。いや、おまえ夜中に寝言喋ってたから」
「んー、う?」
「えーすけぇえーすけぇ、なんつって捨てられた仔猫みたいに鳴くもんだから。もー俺どうしようかと」
「んんー?」

 半分がいまだ眠っている脳ではすぐには言葉の意味が理解できずに、パジャマ姿のまま人形のように立ち止まる。
 やがていつものからかいだと気付くと、ベッドまで戻って枕を拾い上げておいた。
「バーカ」
 冷蔵庫を漁っている英介にぼふりと投げつけてやる。
「こら、おまっ! ヨーグルトが零れただろうが! せらくん、責任とって舐め取りなさい。俺の体にかかった分も、ちゃんと」
「バーカ」
 喚く英介を無視してのろのろと枕を拾い直し、もう一度同じように投げつけてやった。

 いつも通りの朝、なのに。
(おれ、ホントにそんな寝言……?)
 妙に英介の冗談が引っ掛かっていた。



 少し気に掛かりはしたものの、所詮は英介の言うこと。
 学校の午前の授業が終わり昼休みになる頃には、星良はすっかり朝のことは忘れていた。
 昨日のイモリの黒焼きの件が気になって、寝言どころじゃないということもあったが。
(うん、なんともない……な)
 朝はまだ少し身体の調子が変だったような気はするが、授業が始まるとそんなことはなくなった。自分の胸に手を当ててみても、心臓はトクトクと静かなリズムを奏でている。

 ホッとして顔を上げると、ひとりの女子が優しい笑顔で星良を見下ろしていた。ぽんぽんと肩を叩かれる。
「大丈夫だよ、せらくん。きっとこれから大きくなるから」
「な、な? ならないよっ!」
「そっか……。でも、小さくてもいいって男の人、たくさん居るから大丈夫だよ? だから頑張って、ね!」
 女子は元気付けるように拳を握ってみせると、星良がなにか言い返す暇もなく言いたいことだけ言って逃げてしまった。

「なにを頑張れって言うんだよ……」
 男子からも女子からも、星良が女の子扱いされてからかわれるのはいつものことだが、突っ込まずにはいられない。
 うんざりしつつも、女子の言葉に思考が逸れる。
(小さくてもいい男の人、かぁ。英介なんかは本の趣味からしたら、胸がない方がいいとかって思ってそうだけど)
 苦笑しつつ、無意識に手のひらが自分のたいらな胸をシャツ越しにそっと撫でていた。
(胸が全然なくっても、ホントに英介は好き、かな? もしそれが……)


278 :せら-02 (2/2)※まだエロ無し:2008/11/11(火) 17:30:19 ID:s3tAe2iE
 そこまで考えたとき、警告のように心臓がドキンと跳ねた。
(もし、それがって……? もしそれが、なんだよ? おれ、いまなにを考えようとしたんだ……?)
 最悪の予想が脳内で形になりかけて、ふるふると頭を振る。
(ま、まさか、そんなの。おれはあの子が……あの、子?)
 昨日まで自分が恋をしていた女の子の顔を思い出そうとして愕然とした。さっき声を掛けてきた女子が、紛れもなく好きな女の子だったのだ。そのはずだった。

 好きな女の子のことだ。声だけでも気付かないわけがない。
 それなのに全く意識せずに話していた。あの子が好きだったことを、いま思い出した。なのに思い出しても、好きという気持ちがわき上がってこない。
(好き……? 嫌い……? ううん、普通……普通になってる)
 昨日まであれほど好きだったあの子のことが、まるで小説に出てくる名前のない脇役のようにどうでもいい存在になっていた。
 自分でも気が付かない内に。
 別の誰かへ自然に恋心が移ってしまったかのように。
「おれ、もしかして……も、もしかしてぇ」

「せらちゃーん、昼飯喰いに行くぞーい」
「んにゃあ!?」
 いま一番聞きたくない声が背後からかぶさってきて、思わず猫のように飛び退いてしまう。
 低身長から相手を見上げる星良の両腕は、無意識に心臓の鼓動を隠すように畳まれていた。薄い胸の中ではここがサビだと言わんばかりに乱れ太鼓が鳴り響いている。

 首を上向けて英介を睨んでみるが目が合うことに耐えられず、結局すぐにうつむいて赤くなった顔を隠すハメになる。
 さすがに英介も様子がおかしいと気付いたようで、訝しげに顔を覗き込んできた。
「なんか、調子悪いのか?」
「な、なにが?」
 しゃがんで覗いてくる英介からうつむいた顔を逸らすが、それでもしつこく追いかけてくる。
「いつもなら可愛い可愛いせらちゃーんなんて言ったらさ?」
「うっ……か、可愛いなんて言うな! ちゃん付けするな!」

 鼓動の裏で胸がきゅうと締め付けられる。
「そうそう、そういうふうに。可愛い可愛いと思ってたけどここまで可愛かったなんて。ただの可愛さだなんて可愛がるのも可愛いくらい可愛いな」
「わ、わけがわからない!」
 けれど心はきゅうきゅうと締め付けられる。
「可愛いが8人分集まるとせらちゃんに……て、ありゃ、おい、おまえ泣いて……?」
 これ以上英介の言葉を聞いていたら、なにかが抑え切れなくなる。
「う、うるさいバカ! 昼飯なんてひとりで食べてろバカ! バカ、バカーーーッ!」
 星良は全力で怒声を上げて、その勢いのまま教室を飛び出した。

 あとに残された英介は突然の怒りを浴びせられて立ち竦み、そこに教室中から冷たい視線が集中する。
「ついに英介はせらをマジギレさせたか、馬鹿め」
「いつかこうなるとは思っていたが、馬鹿だな」
「とんでもない馬鹿だ」
「馬鹿だよなあ」
「馬ー鹿」
「ま、待ってくれ。俺だって馬鹿って言われたのを気にしてるんです! これは正当防衛行為だ! なにかの間違いなんです!」
 しかし、取り乱しながらも英介は、星良の目元に滲んでいた光る物の意味を冷静に考えていた。
(昨日は寝不足だったのか。昼休みだしな。よっぽどでかいあくびをしたんだな。くっ、そのあくびを見てみたかった……!)



(どうしよう、おれ、英介のことが……)
 ふらふらとあてもなく廊下を歩きながら、星良は何度も自分の心の中を確かめてみた。けれど何度確かめても、あの顔を思い浮かべた途端に切なくなって、心臓の鼓動が早まってしまう。
(英介のことが、好きになっちゃったよぉ……!)
 間違いないと認めてしまった瞬間、抱いていた不安や恐怖が和らいで心が軽くなったようだった。
(英介が好き……英介が好き、英介が好き英介が好き……英介が好き!)
 堰を切ったように新しい恋心がわき上がり、桜色の小さな唇が勝手にいっぱいに開いていく。
「ふああぁ……んぅ」
 小さな口が広がって、あくびが出てしまった。
(やっぱり夢のせいで眠いなぁ……。午後の授業は寝ちゃおっと。あ、でも、英介に寝顔見られちゃったら……)

「そ、それでまたさっきみたいに言われちゃったりして……? なんちゃって、なんちゃってぇ!」
 ひとりでテレながらパタパタ両手を振って悶え、廊下の通行人達の注目を浴びる星良だった。

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