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おしかけ弟子:後編

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
389 :名無しさん@ピンキー 2010/06/04(金) 23:36:06 ID: a/0PWAQ3
    最終回投下します。やっぱりエロ描写下手糞です。

    【おしかけ弟子:後編】

    フォンが出て行った。
    ただそれだけの事で俺は、こんなにもダメージを受けている。
    誰を恨むこともできない、松尾もフォンも。すれ違いと自分が間抜けだっただけだ。
    購入していたフォンの服や食器を手に取る。着の身着のままで行きやがってあのバカ。
    残していった物はそれだけじゃない。置手紙がある。
    内容は俺への感謝と俺の活躍を祈る言葉で溢れている。
    そして最後に日本語で「本当にありがとうございました。さようなら」と拙い字で結ぶ。
    手紙を読んでつくづく、自分に不甲斐なさに嫌気がさした。
    あんな子供に心配させて、遣う必要もない気を遣わせたんだから。
    結局俺は親父から逃げ、就職から逃げ、日本から逃げてと逃げてばかりだ。
    そして偶然手に入れた宝物は、『俺のこと』を案じて消えてしまった。
    その事実は俺の心に、深く突き刺ささり芯を抉り取る。日本に帰るどころか何もする気が起きない。
    こんな心境は初めてだ。まるで失恋した中高生のような…いや、それよりも酷いな。
    「なぁフォン……俺はどうしたら良いんだ?」

    その日俺はロンに呼ばれた。何かと思うと胴元のクリンに会ってくれと言われた。
    「カトーあんたも来てたのか」
    通された部屋には既にクリンとチェンが来ていた。
    「やあカトー久しぶりだな。君とチェンのお陰で我々も大分助かっているよ」
    「それはどうも。それで俺たちを呼びつけた理由は?」
    世間話をしている気分じゃない。
    「うむ…実は北部の方で、同じ賭け試合を開いている張から、協力しないかと話があった」
    張の名前は俺でも知っている。確か華僑の裏の大物だ。
    「しかし私は断った。あいつらは八百長が日常茶飯事だ。とても一緒にはやれない」
    「そりゃ賢明ですよ。俺は八百長なんざまっぴらですから。カトー、お前もそうだろ?」
    チェンの問いに俺は黙ってうなずく。
    「だが奴らは狡猾だった。その日から私の経営する、色々な店に奴らがやって来ては嫌がらせを始めた」
    日本のヤクザも、似たようなことをする。どこの国も一緒だな
    「なんとか追い払ってはいるが……これ以上続くと損害も無視できない」
    「あなたも兵隊を出したらどうです?」
    クシンは黙って首を横に振った。
    「それはできない。抗争をすれば向こうが勝つと分かりきっている」
    「じゃあ…」
    「そこで張の奴は提案をしてきた。お互い選手を出して、試合をして勝った方が両方の賭場を手に入れるとな…」
    「なるほど、それで俺とカトーが呼ばれたわけか」
    「そうだ君たちのどちらかに、試合に出て欲しい。日程は明後日で場所は奴らの試合場だ」
    俺とチェンを交互に見ながら言うクリン。だが俺は……。
    「俺は降りますよ。チェンに任せます」
    「なっ!?」
    「おい待て!カトー!!」
    「今の俺は、そんな大事な戦いが出来る状態じゃないんです。すいませんが」
    そう言って部屋の3人を無視して、俺は部屋を後にした。

390 :名無しさん@ピンキー 2010/06/04(金) 23:37:23 ID: a/0PWAQ3
    試合場を出て帰路につく。ふと周りを見回してフォンを探してしまう。
    「加藤…洋さんですね?」
    その時すれ違おうとした男に呼び止められた。何の用だ?
    「誰だよお前?」
    「私は張大人の使いですよ加藤さん」
    「張の?しかも日本語かよ…それで何の用だ?FA宣言ならしてないぜ」
    「まあこれを見て下さいよ」
    男は懐から写真を取り出し俺に見せた。その写真には、手足を縛られたアジア系の少年が写っている。
    「……っな!?テメェ!!」
    俺は我を忘れて男に掴みかかる。なぜならその写真の少年は、出て行ったあのバカ弟子だ。
    「落ち着いてくださいよ加藤さん。私達は町を彷徨っていた彼を、保護してあげたんですよ?」
    保護だと?ふざけるな。
    「一体何が目的だ!?」
    「明後日の試合のことはご存知ですよね」
    「……くっ。俺に八百長をしろってのか?」
    「話が早くて助かりますよ。具体的に言うと、今度の試合ではなにもしないで下さい」
    「なんだと?」
    「疑われない程度なら構いませんが、本気の攻撃は一切しないで頂きたい」
    「そしてお前らの攻撃はただ受けろってか」
    「そうです、お願いします。それとギブアップもご遠慮願いたい。ワザとらしいですしね」
    「断ると言ったら…?出て行った弟子なんて、どうでも良いのかも知れんぜ?」
    と心にもないことを言う。断れる物ではないが、一応カマをかけてみないと。
    「あなたに、そんな選択が出来るとは思えませんがね。その写真は差し上げます。よく考えておいて下さい」
    男は俺の心を、見透かしたような口調だ。その顔をできるなら殴りつけたい。
    「おい、アンタの飼い主に伝えろ」
    「何と?」
    「その要求はのんでやる。だが、もしフォンに傷の一つでも付けてみろ……殴り殺してやるとな」
    「伝えておきましょう…」
    そう言って男は町の方へ消えていった。

    「フォンはホントに可愛いなぁ…」
    「あ…うぅ……くう…」
    大きいベッドの上で、チャイナドレスを着たフォンが声を上げる。その後ろには中年の男が座り込んでいる。
    フォンの肛門には既に男のものが突き刺さっており、痛々しく蹂躙している。
    「その服もお前の為にあつらえた物。よく似合ってるぞ」
    フォンは手足を縛り上げられている。それをいいことに、男はさらにフォンの体内を犯す。
    「まったく…こんな余計に筋肉などつけおって、ワシの好みではないな」
    気持ちばかり筋肉の付いた太ももや二の腕を、摘み上げながら男は言う。
    「う…あ…」
    「さっさと身請けさせれば良かったわい。……まあいいじっくりワシ好みの体にしてやる」
    男はそう告げると、出し入れの速度を速める。
    「あれだけ店では指名してやったのに、ワシに黙って消えおって。この薄情者め」
    「張さん…」
    「しかしお前が加藤の所にいたのは幸運だったな。お陰で計画がやりやすくなった」
    言い終わると張と呼ばれた男は下半身を震わせる。どうやら達したようだ。
    「ああっ…」

391 :名無しさん@ピンキー 2010/06/04(金) 23:38:06 ID: a/0PWAQ3
    「まだ終わりではないぞ、綺麗に舐め取れ」
    相当興奮したのか、張は息を切らせている。
    「……はい」
    一瞬戸惑いの表情を浮かべたフォンだが、すぐに屈みこみ自分の腸液と張の精液に彩られた陰茎を咥えた。
    「あぁ…ふぅ」
    「美味いか?店にいた頃のように、綺麗にしてくれ」
    縛られた少年が一心不乱に、自分のペニスをしゃぶる姿に、また気持ちを昂ぶらせている張。
    「……なあフォンよ、あんな男の事など忘れてしまえ。そしてワシの物になるのだ」
    フォンの動きがピタリと止まる。
    「それだけは…」
    「ほぉ……たいした師弟愛だな…どうせあの男はこの世からいなくなるというのに」
    「!?」
    張の言葉に固まるフォン。
    「今度奴の所属している賭場と、ワシの賭場を賭けて試合をする。その時奴は死ぬのだ」
    「師匠は負けません!誰にも!」
    フォンは熱くまくし立てる。加藤の勝利を心から信じきっている様子だ。
    「分かってないな。奴は負けるのだ確実に」
    「な…なんで?」
    「お前の為よ。奴はお前の為に、サンドバッグになるのを承諾したのだ」
    「う、嘘だ!師匠が僕なんかの為にそんなこと…」
    「嘘など付く意味があるか?よし…当日の試合を、お前に見せてやろう。そうすれば分かるだろ」
    張の様子から事実だと察したのか、フォンの顔は真っ青になっている。
    (そんな…僕の…僕のせいで師匠が殺される?)
    フォンの心を罪悪感と悲しみが包み、やがてそれは涙となって溢れた。
    「泣いとるのか、今は悲しかろう。だがいずれワシに感謝する事になる」
    張に抱きしめられるフォン。
    「張さん…お願いします……師匠を殺さないで」
    フォンは張に泣きながら懇願する。しかし張はニタニタと笑うだけだ。
    「それだよフォン。お前にそこまで言わせる、あの男をワシは許せんのだ」
    「そんな…」
    さらに笑う張。その顔には狂気すら感じられるものだ。
    「確かにあの男の為なら、お前はワシに服従するかもしれん。だがあの男の為と言うのが我慢できん」
    張の心を突き動かしている物。それはフォンに対する支配欲と、加藤に対する嫉妬だ。
    「お願いします…何でもしますから……師匠を殺さないで…」
    「ほう?なんでもするのか。ではここに穴を空けられたり、ここに焼印を押してやろうか?」
    フォンの乳首と、肩を触りながら言う張。脅しか本気かは読み取れない。
    「…それで師匠から、手を引いてくれますか?手を引いてくれるなら構いません」
    潤んだ瞳で張を見据えるフォン。その言葉に偽りはないように見える。
    「………何故だ、何故そこまであの男に執着する?」
    「……師匠は僕にくれたんです」
    「何をだ金か?物か?」
    フォンに尋ねる張。しかしフォンは首を振る。
    「一緒にご飯を食べて、話して、寝て、練習して…その日々が師匠が僕にくれた物です」
    「………」
    「本当に楽しかった…」
    加藤と過した日々を思い出し、フォンの涙が止った。

392 :名無しさん@ピンキー 2010/06/04(金) 23:39:48 ID: a/0PWAQ3
    「しかも最後に僕のことを、好きだって言ってくれました」
    「たったそれだけのことか?」
    「はい」
    そう答えるフォンの目が、加藤への思いを現してる。しかしそれは張には理解できるはずもない。
    「……やはり奴は殺す。そんな顔ワシには、向けたこともなかった…許さん」
    フォンの表情が絶望に染まる。
    (どうしよう、どうしよう?このままじゃ……)
    フォンの脳内を様々な考えが交錯し、やがて結論を導き出す。
    (そうだ…僕がいなくなればいいんだ)
    その答えを出したフォンの顔は、悲愴な覚悟に満ちている。
    「……張さん僕が死んだら、師匠には手を出さないで下さい」
    「あ?何を言っておるのだ前は?」
    張が不思議がっていると、フォンの口の端から血が一筋流れ落ちた。
    「!?お、おい!止めさせんか!」
    事態を察した張は慌てて、外に詰めている部下を呼び寄せる。
    そして部下達が部屋に入り、フォンの口を明けさせる。どうやら噛み切れてはいないようだ。
    「がっ…ぐっ」
    「まさか舌を噛み切ろうとするとはな……そんなにあの男が好きか」
    張は信じられない物を見たような顔をしている。
    (なんで、なんで死ねないんだよ……このグズ…お前はまだ師匠に迷惑をかけるのか?)
    「お前の覚悟は立派だが、死なせるわけにはいかん」
    フォンの口の中にハンカチが押し込まれ、それを吐き出せぬよう別の布で口と鼻を覆われ後頭部で結ばれた。
    「その二つはワシの私物だ。ワシの匂いと味を感じながら、反省しろ」
    「うぐぅ…」
    「しかしその姿も魅力的だなお前は。今夜は前祝いで腰が抜けるまで抱いてやろう」
    猿轡をされたフォンの姿は、再び張の性欲を刺激したようだ。
    (師匠…ごめんなさい……僕死ぬこともできません)
    「んんっ…」
    張のペニスに体を貫かれ、再びフォンの目から涙が流れ落ちた。

    「そうかやってくれるか!」
    クリンとロンが笑顔で喜ぶ。
    「すいません勝手な事ばかり言って…」
    「いやいや君の実力は知っている。頼もしいよ」
    「そうそう。ホントお前を拾ってきて正解だった」
    喜ぶ二人の顔を正視できない。俺はとんでもない裏切りを、しようとしているんだ。
    「過大評価ですよ……それじゃあ」
    一礼して部屋を出る。部屋の外にはチェンが待っていた。
    「…すまないな。あの時はお前に任せるって言ったのに」
    「それは別に良いけどよ。一体どういう心境の変化だ?」
    その質問に答えるわけには行かない。
    「やるしかないって事だよ」
    曖昧な返事を返す。俺がチェンなら腹が立つだろう。
    「?……まあいいアンタの実力は、俺も良く分かっている。明日は頑張れよ」
    皮肉も恨み言もなく、チェンは去っていった。……本当にすまない。
    気が付いたら俺は拳を強く握り締めていた。
       
    試合当日。加藤は控え室で準備をしていると、ドアがノックされた。
    「…どうぞ」
    部屋に入ってくる黒服の集団。先頭は先日会った男だ。

393 :名無しさん@ピンキー 2010/06/04(金) 23:42:48 ID: a/0PWAQ3
    「加藤さん準備は良いですか?」
    「約束通りやってやる。だがその前にフォンに会わせろ」
    「……おかしなマネはしないで下さいね」
    チャイナドレスを着た少年が連れてこられる。目隠しと猿轡をされている為、顔が見えない。
    「フォンか?」
    その名前を呼ばれて少年はビクッと震えた。
    (その声は…師匠!)
    目隠しが外され、少年の黒い瞳に加藤が写る。
    「フォンッ…」
    (師匠……師匠!!)
    加藤がフォンの両肩を掴む。
    「やっと会えたな…どこも怪我してないか?」
    コクンと頷くフォン。その目は既に涙に包まれている。
    「こんな格好させられて…おい、縄を解いてやれよ!」
    声を荒げる加藤。
    「それは出来ませんね。今その子に逃げられる訳には、いかないんですよ」
    「…なら、せめて猿轡ぐらい外してやってくれ」
    「それも出来ませんね。その子一昨日、舌を噛み切ろうとしたんですよ」
    「舌を…本当かフォン?もしかして俺のた為か?」
    再び頷くフォン。
    「っ…この馬鹿っ!」
    怒鳴りつける加藤。フォンはビクッと体を震わせた。
    「俺の為に死のうなんて……お前は本当に馬鹿だよ!」
    フォンの身体を思い切り抱きしめ、加藤はそう搾り出すように言った。
    (師匠…師匠が泣いてる?)
    背中に冷たいものを感じるフォン。
    「……フォン、約束してくれ。もう死のうとなんて絶対にするな。いいな?」
    さらに加藤は強く抱きしめる。まるで離せば消えてしまうかのように。
    「見事な師弟愛ですが…もう時間です」
    時計を見ながら加藤を促す男。
    「分かったよ…フォン待ってろよ。あと少しの我慢だ」
    「ううっ、ううんっ!」
    (師匠!僕のことは気にしないで闘って下さい!)
    なんとか張の企みを伝えようとするが、猿轡のため言葉にはならない。
    「大丈夫だ…八百長なんかしたくないが、お前の為ならなんともないさ」
    「ぐうぅっっ!!」
    (違う、違うんです!張さんはただ負かすだけじゃなくて、師匠を殺す気なんです!)
    「心配するな。俺は最強なんだろ?」
    そう言って猿轡越しに加藤はフォンに口付けをした。
    「……これで元気百倍だ。安心して待ってろフォン」
    フォンから体を離し、加藤は立ち上がって控え室を出る。
    (師匠いっちゃダメです!師匠!師匠っー!!)
    フォンの悲痛な叫びも思いも届かず、加藤は戻ってくることはなかった。

    控え室を出て、試合場に向かう。会場からは観客の熱気が伝わってくる。
    俺だって馬鹿ではない。奴らが大人しく約束を守るとは思ってない。
    だから手は打った。しかしその手が実るには時間がかかるだろう。
    「つまり、俺はどっちにしろボコボコにされるってわけだ」
    自嘲気味に呟く。でもそんな事は関係ない、何発喰らおうが耐えて時間を稼いでみせる。

394 :名無しさん@ピンキー 2010/06/04(金) 23:43:46 ID: a/0PWAQ3
    アイツは俺の為に、死のうとまでしてくれた。今度は俺がその献身に応えてやる番だ。
    「フォン…必ず助けるからな」
    会場に入ると、一斉に注意と歓声が俺に注がれた。
    「カトー!頼むぞぉ~!!」
    「絶対に負けるなー!」
    「サムライ魂を見せてやれー!」
    俺に賭けた連中の声が聞こえる。すまないな、あんた等損させちまう。
    「よっと…」
    リングに上がり敵と正対する。相手は向こうの一番人気らしいが、さすがに俺より横も縦もでかい。
    まこの際相手は関係ないか。さて……これが最後の戦いになるかもしれねぇな。
    「いくぞデカブツ」
    俺はいつものように、リングを蹴って飛び出した。

    二階の自分専用観戦ルームで張はほくそ笑む。下のリングでは加藤が打ち据えられている。
    「どうだフォン?あの男が苦しむ姿は」
    「あぐっ…」
    フォンに挿入したまま、張は耳元で呟く。
    (師匠…なんで僕なんかの為に…)
    リング場で加藤は良いようにやられている。いつもの動きは見る影もない。
    「ぐぅうっ…」
    フォンにとって加藤が殴打される度に、自分の身が切り裂かれるような心境だ。
    「奴はけっして反撃も降参もしない。ただなぶり殺しされるだけ」
    張は心底楽しそうだ。
    「ふんっ…ううっ!!」
    フォンはなんとか縛めを解こうと体を必死に動かす。
    「いじらしいのお。だがいくら体を揺すってもワシが嬉しいだけよ」
    (くそっ…早く、早くしないと師匠が…)
    しかし縄は一向に緩まない。やがてフォンの顔に絶望が浮ぶ。
    (師匠お願いです……戦って…僕の命なんかどうでも良いですから)
    「見入るのはいいが、ワシを忘れるな」
    「ああっっ…!」
    張の手がドレスの上から乳首を、舌が耳を愛撫しフォンは声を上げた。
    「う…あぁ」
    「やはりお前の天職は男娼だな。あの男のせいで、悪い夢を見たのが悪かったのだ」
    (違う!師匠が褒めてくれたんだ!走った時も、筋トレした時も、技を教えてくれた時も!!)
    快感。悲しみ。憤怒。恐れ。喪失感。フォンの心を様々な感情が混ざりあい、塗りつぶしていく。
    「だがその夢も覚める、奴の死によってな。お前はワシのものを、くわえ込んでおれば良い」
    さらに激しく腰を使う張。それにフォンの体も敏感に反応している。
    (こんな時に、なに感じてるんだ僕は…死んでしまえ…)
    「奴が死んだ瞬間にいかせてやろう。そして奴の死体にお前の精子をふりかけてやる」
    そう張が言い終わらないうちに、何度目かも分からない加藤のダウン。はたから見てももう限界が近い。
    「ほれほれ、また血を吐いたぞ。そろそろかもな?」
    (いやだ…師匠…死なないで!)
    フォンに出来るのは、祈ることだけだった。

395 :名無しさん@ピンキー 2010/06/04(金) 23:45:32 ID: a/0PWAQ3
    「お楽しみの所悪いが、そこまでだ爺さん」
    もはや、加藤の死を待つばかりかと思われたその時、部屋に低い声が響く。
    入り口には、はち切れそうな筋肉をスーツに包んだ男が立っている。
    「ったく…ここ探すの苦労したぜ」
    「だ、誰だお前は?」
    「俺か?俺は松尾雄二っていうその子の師匠の友達さ」
    松尾は二人にゆっくりと近付いて来る。
    「ええい…誰か!誰かおらんのか?」
    「こねえよ。全員寝てるぜ」
    松尾が指差した方に、張の部下達が倒れている。
    「ぐっ…何が目的だ貴様?金なら出すぞ」
    松尾の正拳が張の顔面にめり込む。
    「いらんよ。その子を助けてやりたいだけだ。俺の責任もあるしな」
    「ぐがっっ…」
    そのまま張は泡を吹いて倒れこんだ。

    男の丸太のような腕が振るわれる。
    避けるのはたやすいが、俺は全身の力を抜いてただそれを受ける。
    「っくあ!」
    まともに顔面に喰らい、倒れて天井を見上げる。今日何回目の光景だろうか。
    「スリー、フォー…」
    カウントが聞こえる。このまま起き上がらなければ楽だろうな。
    でもそういう訳にはいかない。アイツの為なら不思議と力が湧いてくる。
    「やれるか?」
    審判が確認に来る。どうせこの審判もあいつ等の手の者だろう。
    「ああ」
    「ファイッ!」
    試合が再開されると同時に殴られ血飛沫が飛び、俺に賭けている客の悲鳴が聞こえる。
    とりあえず距離を取るが、相手がやたら歪んで見えた。
    やべえな……もう持たないかも……しれねぇ…。
    「師匠――!」
    その瞬間半分落ちかけた瞼が上がり、朦朧としていた意識が一気に覚醒する。
    声のした方を見る。間違いない……松尾とフォンだ。
    そうかやってくれたか…松尾に借りが出来ちまったな。
    「何よそ見してやがる!!」
    男の繰り出した拳が空を切る。余裕を持って回避したつもりだがギリギリだ。
    観客達の歓声をぬって、耳にフォンの声が聞こえる。
    「師匠ーっ、ギブアップして下さい!」
    ……なんだ、ギブアップしろだと?
    俺が負けるとでも思ってるのか?お前の見てる前で?
    「ボーっとしやがって!調子乗ってんじゃねぇ!」
    男が再び突進をかけるが、体にガタがきてるこっちには却って好都合。
    突進を横を向いて避け、相手の力を利用して腕を取って投げ飛ばす。
    「おおっあっ!?」
    男は何をされたか分かってない。受身も取れずそのまま頭から落ちる。
    「ぐえっ!!…がはっ」
    しばらく痙攣していたが、男はじきに動かなくなる。……勝ったか。

396 :名無しさん@ピンキー 2010/06/04(金) 23:47:24 ID: a/0PWAQ3
    試合が終わって人が引くのを待ってから、僕は師匠の控え室の前まで来た。でも次の足が出ない。
    「入らないのかい?もう加藤しか中にはいないみたいだけど」
    「…師匠に合わせる顔がありません」
    「加藤は君の為に体を張ったんだ。君が行ってやらなくてどうする?」
    松尾さんが僕の肩を叩く。……そうだここで躊躇してもしょうがない。
    「……そうですね。松尾さん、ありがとうございます」
    「礼なんていいって。それより早く行ってやんな」
    僕は控え室のドアを開けて飛び込む。
    「師匠ー!!!」
    全速力で座り込んでいる師匠に駆け寄る。
    「おおっ……大丈夫かフォン」
    「僕なんかどうでも良いです!師匠こそ…」
    師匠の体に付けられた無数の傷。その全てが僕のせいなんだ。
    「すいません……師匠…僕なんかの為に…こんなに傷ついて」
    もう涙が止まらない。どうやったらこの罪を償えるのか、見当も付かない。
    「…また泣いてるのか。ちょっと会ってない間に、ずいぶん泣き虫になっちゃったな」
    「だって僕の…僕のせいで……僕が弟子入りなんてしたから、こんな事に…」
    「馬鹿野郎、こんな傷よりお前がいない事の方が、よっぽど辛かったんだぞ?」
    師匠は笑ってる。作り笑いなんかじゃない。僕は分かる。
    「だから……もう泣くな。俺は笑ってるお前が好きだよ」
    そう言って師匠は僕の涙を拭って、頭を撫でてくれた。
    「ししょう…師匠……!」
    もう我慢できない。嬉しさだか悲しさだか分からないけど、師匠の胸にすがり付いて泣きじゃくる。
    神様…僕はもう死ぬまで良い事なくてもいいです。でも師匠には…この素晴らしい人にはいっぱい幸運をあげて下さい。
    「泣くなって言ってんのに……仕方ない奴だ」

    あれから俺は、いや俺たちは家に帰ってきた。
    「病院行って下さいよ師匠」
    「お前と一緒に寝たら治るからいい」
    心配するフォンに軽口を叩いてベットに倒れこむ。……正直言うと全身が痛くてたまらない。
    「本当に大丈夫なんですか?」
    「い…良いからお前もこいよ」
    フォンを抱き寄せて隣に寝かせる。こいつがいれば本当に痛みが消える気がする。
    「良いか?」
    「僕の体で良かったら…」
    良くないわけがないだろ。そのまま唇を合わせて、目の前の存在にむしゃぶりつく。

    「ああっ…ふぅっ」
    挿入の瞬間絡ませた舌が振動する。
    自分のものを奥にめり込ませながら口を離す。お互いの口と口を結んだ唾液の橋が光る。
    「し……しょ…う」
    眼前の少年は頬を赤く染め、幸せそうに微笑んでいる。
    俺も幸せだよ……帰ってきてくれて本当にありがとう。心からそう思う。
    「あっあっ…うふぅん…」
    だめだ気持ちよすぎる。快感の波が収まりそうもない。

397 :名無しさん@ピンキー 2010/06/04(金) 23:52:25 ID: a/0PWAQ3
    この感触をフォンも、感じてくれているだろうか?そうだと良いのだが。
    「ああっ、良いです師匠…良すぎて僕壊れちゃいそう……」
    どうやら杞憂だったようだ。今俺たちは心も体も一体になっている。
    「ああああっっ……はぁ…で、出ます…出ちゃいます!」
    「いいよ、俺も出すから一緒にイこう」
    フォンの中がおれ自身を物凄く締め付けてくれている。
    そのまま止まらない快感の波に身を任せて、俺たちはお互いの体を精液で汚した。
    「はぁ…はぁ…」
    ぬぷりと自分のペニスをフォンの中から引き抜く。
    「また師匠に抱いてもらえるなんて…夢じゃないんですね」
    また目に涙を滲ませている。本当に泣き虫になったもんだ。
    「ほらっ、泣くなって」
    「ごめんなさい、嬉しくて……嬉しくてたまらないんです」
    涙をこぼしながら、にっこりと笑うフォン。そうだよ、その顔が俺は見たかったんだ。
    「じゃあもう一回良いか?」
    「何回でも…お願いします」
    そう答えてくれると思ってた。

    何回達しただろうか。もう疲れ果てて眠ってしまいそうだ。
    交わりが終わっても、俺はフォンを抱きしめいている。出来るだけ今はこいつを感じていたい。
    「師匠…痛いです、少し力を緩めてください」
    「断る。また起きていなくなってたら、堪らないからな」
    そう俺は出来るだけ皮肉っぽく言ってやる。これ位は良いだろ。
    「あぁ…ごめんなさい」
    気にしているのか、すぐに曇るフォンの表情。分かりやすいなお前は。
    でもせっかく戻ってきた宝物をいじめるのは止めておこう。
    「冗談だよ。俺のためを思って出てったんだろ?ありがとな…」
    「でも師匠に迷惑ばっかりかけたのに」
    「何言ってんだ。お前がいなくなった事が一番迷惑だよ」
    「そんな…叱って下さいよ」
    不安そうな顔でフォンはこっちを見る。そうだな罰として明日は飯作って掃除もしてもらおうか。
    「なぁフォン…。俺選ぶのを止める」
    「え?」
    「心躍る闘いも…成功も…そしてお前も全部欲しい。だからもう選ばない」
    フォンはよく分かっていないという顔だ。はっきり言ってやるか。
    「……一緒に日本に来てくれないか?」
    「そ、そんな絶対無理ですよ!」
    「無理でも通すさ絶対に。それとも俺と一緒にいるの嫌か?」
    全力で首を横に振るフォン。
    「ならついて来てくれ。じゃなきゃ今回の事を許してやらない」
    フォンは答えない。だけどそのかわり、俺の胸に顔をつける。
    「……師匠のばか………なんで僕なんかの為に、損するんですか?」
    「バカで悪いねバカ弟子。お前のことが、大好きだからに決まってるだろ?」
    「……僕も大好きです」
    「なら、なんの問題もないな」
    そう言って自分の唇で反論ごと、唇を塞いで目を閉じる。とても良く眠れそうだ。
    願わくば目が覚めても、この唇の持ち主が消えていませんように―――。

    <了>

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