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14-449-3 - (2009/03/24 (火) 13:34:00) の編集履歴(バックアップ)


「優希くん、学校どうしたの?」
「休みだけど」
「こんな時期に? 普通クリスマス前後じゃない?」
「今は試験休みだってば」
「俺だまされてないよね?」
「じゃあ学校に問い合わせれば?」
「あー。学生やめて久しすぎて休みの時期なんてもう全然わかんねー」
「親でもないのにうざいよ、達也さん」
「親以上ですよ、俺は」

この人は俺の後見人。
火事で家族も家もなくした俺を血のつながりもないのに
周りの反対を押し切って引き取ってくれた人。
もちろん簡単に出来たわけじゃない。
後見人になる時には変な勘ぐりもあったらしい。たぶん今もある。
俺の知らない所で、達也さんは俺がなるべく傷つかないようにしてくれている。

「早く大人になりたい」と言うと、
「そんなに急いで大人にならなくていいのに」と達也さんは笑う。

大人になりたいのは、この家を早く出たいからなんて言えないけれど。
父親もどきの人に恋をしてるから苦しすぎるなんてもっと言えないけれど。

せめて金銭的負担をかけたくなくて大学もあきらめるつもりだったのに
俺の可能性を狭めたくないと許してくれなかった。
せめて俺は一生懸命優等生になる努力をする。周りに達也さんを認めさせる為に。
そんな俺を「子供っぽくなくてつまらないな」と達也さんはまた笑う。

「あ、そうだ。サンタさんに、優希くん何お願いした?」
「ハァ? 今なんて言った? サンタって言った?」
「言ったよ」
「……達也さん俺のこといくつだと思ってるの?」
「いくつになっても、いい子にしてたらサンタさんは来るものです」
「……そうですか」
「何、その冷めた反応」
「馬鹿じゃねーとか言わないだけ感謝してよ。達也さんのそーゆーとこたまについてけないなー」
「だって俺には来たからさ。いい子にしてたから」
「いい子ね……。自分で言っちゃうし。で? 何貰ったって?」
「君」

願ってもいいんだろうか。願いは叶うだろうか。この人が欲しいと死ぬほど願ったら。
世間の目も先のことも何も考えないで、今だけはワガママになってしまいたいと
駄々をこねる小さい子供のように泣き出した。