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21-149 - (2012/02/05 (日) 20:09:13) のソース

<p>*9×*8</p>
<hr /><p>「なあ。*8、頼むよ。行くなよ」<br /><br />
*9はどうしようもないばかだ。<br />
そんな今にも泣きだしそうな顔して、声をふるわせて、行くなって必死に俺の手を握る。<br />
ちがうだろう。<br />
行くのは俺じゃない、おまえだろう。<br />
「ガキじゃないんだ聞き分けろ*9。いいか?世の中には役割ってもんがあるんだ。俺は踏み台、主役はおまえと*0。それがこの世界の約束なんだよ」<br />
「聞きたくない。約束なんて、知らない。知りたくもない」<br />
「*9。いつまでも駄々をこねるなよ。おまえはここにいちゃいけないんだ。行くんだ。俺から」<br />
「言うな」<br />
握られていた手ごと体を引き寄せられ、*9の胸にぶつかった。<br />
そのまま、まるで腕の中に閉じこめるかのように強く抱きしめられる。<br />
だから、ちがうんだよ。<br />
俺はどこにも行かないよ。<br />
おまえが、この手を離して行かなきゃだめなんだよ。<br />
「駄々ってなんだよ。俺はこんなに、心臓が痛いほどおまえが好きで、おまえだって同じじゃないのか?それを離れるのがいやだっていうのはわがままなのか?なあ、なにが間違ってるんだよ」<br />
間違っていない。なにひとつ間違っちゃいない。<br />
でもだめなんだよ。世界はそれを許しちゃくれない。<br />
なにをどうしたって俺は*8で、おまえは*9だ。<br />
おまえだって本当はちゃんとわかっているんだろう?</p>
<p>「*9」<br />
*9の腕の拘束を全力で振りはらう。<br />
涙、いまは出るなよ。まだだ。ここが勝負どきなんだ。<br />
どうか顔がうまくつくれていることを願った。<br />
「俺がいままでおまえのそばにいたのはおまえが*9で俺が*8だからだ。ただ仕事をこなしていたにすぎないんだよ」<br />
俺さ、これでもおまえが*9で、俺が*8でよかったと思ってるんだ。<br />
だって*8は*9のために存在してるようなもんだから。<br />
おまえがおおきく飛び立つ踏み台になれるんなら、それ以上のしあわせなんて他にないと思うんだ。<br />
「個人的な感情で動かれたら迷惑なんだよね。こっちは真面目にやってんだ。最後まで仕事ちゃんとやらせてくれよ」<br />
*9、泣くなよ。<br />
おまえのそういう優しいところ好きだけどさ、最後には笑った顔見せてくれよ。<br />
なあ。*9、頼むよ。<br /><br />
「さあ、踏みにじって、行け」</p>
<hr /><p><a href="http://www19.atwiki.jp/910moe/?page=21-149-1">*9×*8</a></p>
<hr /><p> </p>