「15-469」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

15-469 - (2009/03/29 (日) 16:55:06) のソース

お幸せに 
---- 
「大丈夫だと言われたんだがね、それが全然大丈夫じゃなくてね」 
「はあ…それで先生はどうしたんですか」 
「どうしたと言われても…我慢したとしか…」 
「…お気の毒に」 
「全然気持ちよくなんかなかったよ、下手くそで」 
「それは、その、ごめんなさいと言うべきでしょうか」 
「謝罪の気持ちがあったら君は治療に専念したまえ」 
「はあ…でも僕の病気が治っちゃったら教授が困りませんか」 
「…君も言うようになったな。そもそも君の病気…まあつまり多重人格だが、それはそもそも 
君の抑圧された感情によって起こっているわけで…その兆候が薄まりつつある今、確実に回復に向かっているわけだ」 
「ですから、そうしたら教授が」 
「困るものか、あんな男、私は別に好きじゃあない」 
「でも…したんでしょう、あいつと」 
「…それは」 
「でもちょっと矛盾してますよね、俺たち。あなたは違う人格の俺が好きで、 
でもあなたは医者で、あなたと会ってばかりいたら、あなたの好きな俺は消えちゃうわけで」 
「……」 
「俺がいる限りあなたがたは幸せになれないってことなんですよね」 
「違う、それは違うぞ」 
「そうなんですよ、結局。俺がいるから…それに」 
「…それに?」 
「俺はあなたのことが好きです」 
「…」 
「昨日あなたと寝たのが俺だって言ったら、どうしますか?」 
「君は…何か勘違いをしている」 
「先生こそ勘違いをしてます。俺の病気はとっくに治ってるんです」 
「君だって」 
「先生?」 
「君だって勘違いをしている、医者をなめるんじゃない。君の病気が治ってることなんて、とっくに気付いている」 
「……は」 
「私は君のことが好きだ」 
----   
[[仲間はずれ>15-479]] 
----