*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「10-749」で検索した結果

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  • 10-749
    夕立と雨宿り 夏。夕暮れ。 第五週目の金曜日。 不意打ちのような、にわか雨。 この条件が揃うと、学園の南門の柳の木の下に幽霊が出てくるんだって。 「まっさかぁ。そんなことあるわけないって」 「でも、歩はそういうの見えるんでしょ?」 「小学生の頃まで…な」 「じゃあ、もしかしたら会うかもしれないよ」 雨宿り、してるんだって。柳の木の下で。 傘を忘れたから、誰か入れてくれる人が来ないかなって待ってるんだって。 「じゃあ、あれか。誰かが傘に入れてあげれば成仏するのかね」 「……そうかも」 「なんだかそれも、可哀想な幽霊さんだなぁ」 そういって歩は、持っていたビニール傘を傾けて 隣を歩いているサトルの肩が濡れないように気をつける。 夏休みの部活帰り。天気予報通りの夕立。 下駄箱から南門までの距離は意外とあって 問題の柳の木まで...
  • 20-749
    当て馬同士の恋 俺は祐樹に告白しようと決断した。 その恋は一目ぼれだった。 7歳のとき、転校してきた祐樹を見て何かの病気じゃないかと心配になるほど心臓が動いたことを思い出す。 おでこを出して笑う祐樹の顔を見るたびに息ができなくなった。 「僕、転校したばかりで不安だったけどまこちゃんがいてよかった。まこちゃんの傍って安心する」と言われてなんと返したのか覚えていない。 ただ、その後歳の離れた姉に泣きじゃくりながら病気で死んでしまうかもしれないと言った日のことを昨日のことのように思い出せる。 この気持ちが恋だと気づくのに結構な時間がかかった。 小学生高学年になってから祐樹がスポーツの中で1番バスケが好きだということを知った。 そう知った俺は、興味のもてなかったバスケを始めた。 祐樹が好きだといったり興味を持った選手はビデオを何度も見直して真...
  • 1-749
    同い年だけど大人なびた攻×やんちゃ受 受けは攻めの幼なじみだったが、一緒に遊ぶことなんてまず無かった。 ガキ大将である受けと学校が終われば塾に直行する攻めとでは 放課後の使い道が決して重ならないのだ。ではどうして。 体育は受けの好きな科目だった。元より体を動かすことが好きである受けなのだが、 だがしかし運動神経はあまり無かったように思われる。競走は得意なのだ。走るだけだから。 跳び箱、高飛び、幅跳び、縄跳び、バスケ、サッカー。 要は運動の最中に頭を使わなければいけないというのが最大の難点だった。 ちなみにドッヂは得意だった。当てるだけだから。 そんな時、出席番号がすぐ後ろである攻めが耳打ちをしてくれる様になったのはいつ頃からか。 「君踏み切りが早いんだよ。半歩待てばいいのに」 「だから一歩をもっと広くしたらいいんだろ。少しは自分で考えてくれ」 「あと手は...
  • 5-749
    もう一人でかがやけない 「近づくなよ……。もう放っておいてくれ」 「泣きながらそんな台詞言っても説得力ねえよ」  なんでお前はいつも俺につきまとうんだよ。へらへら笑って散々俺を 振りまわして、だけど最後は「付き合ってくれてサンキュ」なんて、屈託 のない笑顔を浮かべるから、俺は疲労もなにもかも忘れてしまう。  そんで、俺がボロボロになった今も、お前は相変わらず俺につきま とっててさ。マンションまで押しかけてきたかと思うと、なんか食うか、なん てほざいた。勝手に冷蔵庫を物色したかと思うと、具のやたら大きなカレー を用意してきた。 「泣きたいなら、泣け」 「……優しくするな、気持ち悪い」  テーブルの上に乗った、空になったカレー皿。まだスパイスの香りが残る 部屋の中で、お前は俺を抱きしめる。  「……」  「ひとりで生きていける」  小さい頃、...
  • 3-749
    ぬいぐるみ ある日友達のAの家に遊びに行ったんだ。行くの久しぶりだった。 Aは結構サバサバしてて男っぽいタイプだった。 服とかもシンプルなのが好きで、爽やかなコイツには似合ってた。 部屋もスッキリと相変わらずまとまっていて余計なものとか置いてない感じだった。 だからソレを発見したときビックリした。 猫のぬいぐるみ。 なんでこんなのがコイツの部屋に?妹の?姉ちゃんの?いやコイツ弟しかいないはずだ。 でもなんか見覚えあるなあ。 キッチンに行ってたAがお茶持って戻って来た。 「あ!!!!!ちょ、お前それどこから!!!」 ドア開けるなり俺の手から猫をひったくって後ろ手に隠した。 あまりの剣幕にビックリしたが、なんか顔赤くしてるコイツ見たら追求したくなった。 「それ、お前の?」 俺は笑いこらえながら聞いた。 「…悪いかよ」 「いや…悪いっていうか…意外っていう...
  • 2-749
    夕立 まぁこの時期、油断も隙もあったもんじゃないけど、 それでも今日は朝からずっと晴れてたし、 天気予報のおっさんも今日の降水確率は20%だって言ってたし、 占いのお姉さんかに座は1位だって言ってたし、大丈夫かなって。 ところがどっこい、やってくれたよ‥ いざ帰ろうかなってときにいきなり土砂降り。 今着てる服明日も着ようって思ってたのに。 「恨むぞおっさん」 ちょっと待ってみるか‥この様子じゃすぐ止みそうだし。 かれこれ5分ぐらい待った。止む気配はなし。むかつく。 しかもまた妙な天気だな。 太陽出てんのに雨は降ってる。こう言うのって確か、 「「狐の嫁入り‥」」 人居たのかよ!恥ず。 「あ、君隣の」 隣の住人だ。 毎朝見る顔。 そりゃそうか。家出るタイミング図ってるもんな。 ‥余計恥ずいっつの。 「どもっす」...
  • 8-749
    着物 「なぁ平和な時代に生まれていたら、おまえは今頃何してた?」 およそ状況に不釣り合いなのんびりした口調でおまえは問うた。 「俺か?俺は教師になりたかったんだ。今頃教鞭をとっていたかもな。」 「おまえらしいな。  俺は家業が代々続く呉服屋でさ。長男だからきっと今頃粋に着物着こなして反物広げてたはずだ。」 「そうか、着物なんてお上品なものは俺には縁がないな。」 「…じゃあ悪くないか。」 「えっ?」 「だってそうだろ。俺が呉服屋の若旦那なら無粋なおまえとは巡り合うこともなかったろ?  だから…この時代に生きた事も悪くなかったなって」 外は仮初めの静寂に包まれている。 退路も絶たれた我々に、もう援軍が来るはずもない事はわかっている。 「まぁまた縁あって巡り会えたら、とびきり粋な着物を仕立ててやるよ」 そう言って笑うとおまえは洞窟の岩肌に立て...
  • 7-749
    寒がり×暑がり クーラーの聞いた電車の中、あいつは平然とした顔をしているので俺はいらついた。 俺が寒がりなのを知っててあいつは弱冷房の車両ではなくこの一番冷えた車両を選んだのかと思うとそれだけで寒気が一割増。 「何、お前寒いの?」 うるせーなどうせ寒がりですよ。俺は悪態をつく。 「俺なんかここにいてもまだ暑いのに。ほれ」 確かにあいつのタンクトップは汗じみが出来ている。それはかわいそうだと思うけれど少しは俺のことも考えろ。 せめて羽織るためのシャツくらい持ってくるんだったなといまさら後悔しても後の祭り。 「さみーよ」 俺は自分の手のひらをさする。 悲しいことに俺はそこいらの女に匹敵するほどの末端冷え性で、こういうときに指先が冷たくなってかなわない。 せめて動くようにと指をさするけれど、たいした効果はえられるわけもない。 と、その指をするりとあいつの指がからめと...
  • 6-749
    山手線 金もない学生だった頃 似た者同士の俺達は、良く山手線に乗った お互い狭い実家から学校通いで、今時珍しい四人兄弟 俺は兄貴と妹二人 あいつは姉貴と弟と年の離れた妹 家は寝食に帰るだけの場所だった。 『どっか行きたいけど金ねぇな』 バイトの休みがかち合うと、どちらからともなく言い出して、決まって俺達は山手線に乗った 取り立ててあれこれ喋る訳でもなく ひたすら、ただ隣りに並んで有効時間いっぱい環状線の電車に揺られていた 俺が眠っていたり、あいつは本を読んでいたり 時には逆だったり、駅名を暗記してみたり、ぼんやりしていたり 今考えてみると、何て時間の使い方をしていたんだろうな ある日 卒業を間近にした俺達は 最後だからと耐久山手線乗車チャレンジなんてした わざわざ始発駅まで行って、始発からスタートして 約四年間の事を思い出して、初めてそれまで...
  • 4-749
    ストイックなのに一部エロ 生徒会副会長兼風紀委員長、という肩書きを聞くと、あの先輩のことがだいたいイメージ できるんじゃないんだろうか。 ツメエリを、ピッチリ上までつめて、頭のてっぺんからつま先まで、まるで生徒手帳から 抜け出してきたようなルール通りの服装でいる。しかも、その服装に、シミがついて いたり、着崩れたり、ということが、一度もない。 先輩と同級生の人たちに聞いても、やっぱり、乱れたりしていることが、一度もないんだ そうだ。また、男子高校にも関わらず、彼に下ネタをふる勇気がある人もいないらしい。 禁欲的。ストイック。多分、そんな言葉で表すといいんじゃないかな。 そんな先輩に、俺は恋してる。 その日は、俺にとって、記念すべき一日だった。 なぜなら、生徒会の一員になれたからだ。 正確にいうと、生徒会役員の使いっぱしりという噂の、生徒会補助員になった...
  • 9-749
    裸ソックス×裸エプロン おかえり!もう戻ってきてくれないのかと心配した。 悪かったよ。おまえが嫌がるの分かってて、いつも家で裸ソックスでいたのは謝る。 だがな、気持ちいいだろう。すべてから解放され身も心ものびのび生き返るってもんだろう。靴下か?そりゃ仕方ない、男の冷え性なんだからな。 心と体は煮えたぎる火口のようでも、足先はわかさぎ釣りの穴に突っ込んだごとく冷たいんだから。 あぁ出来ることならこのまま広野に飛び出し全身で風を受け止めたい、自然の息吹を素肌で感じたい。 そんな男のロマンをだな… 、あ、いやもうしない。天地神明に誓って、しない。 だから帰ってきてくれ。 っておい、何してんだよ。もうしないって言ってんだろ。お、おい脱がせなくていい。 は?今まで通りでいいのか? そうか!わかってくれたんだな。嬉しいよ。 いや、だからってオマエまで脱がなくていいぞ? ...
  • 24-749
    妖怪と天使 「帰ったぞー」 「おかえりなさい」 「食い物あったから持って帰ったぞ。お前が食べれるやつ。食え」 「いえ、私はしばらく食べなくても大丈夫ですから、どうぞ貴方が…」 「いいから食えって。変な遠慮すんな。ほら」 「……すみません。それではお言葉に甘えて」 「にしても面倒だよなあ、『供物』じゃないと体が受け付けないなんて」 「普段はコンスタントに食物を摂る必要などないのですが」 「ま、ケガしてるから仕方ねえだろ。食わないと治るもんも治らない」 「ですが本来は貴方へのお供え物なのに、頂いてしまって」 「気にすんな。俺は畜生あがりだから供物じゃなくても食える」 「今は何を召し上がっているのですか?」 「んー、山で採れる木の実とかだよ。本当は村の畑でも荒ら……いやいや  畑から少し恵んでもらう手もあるんだけどよ、あいつら社の掃除き...
  • 13-749
    2人組つくってー 「よっ、今回もペアよろしく」 「またお前か」 「随分な物言いだなあ、何か文句あるのかい?」 「毎回毎回そのふざけた顔を見せられるこっちの身にもなってみろ」 「だって仕方ないじゃないか。余り者同士、さ」 「友人0のお前と一緒にするな。三人組ってのはいつだって一人余りが出るんだ」 「だったらたまには代わってもらえばどうなんだい? そのオトモダチに、僕の相手」 「……お前みたいなひねくれ者を、あいつらみたいな善良な奴らに任せられるか」 「あはは、確かに。……けどさ、僕は嬉しいよ。いつも君と組めて」 「なっ……!? お前何言って――」 「なーんて、ね。ん? その顔は本気にしちゃった系?」 「うるせーよ! ……当分話しかけるな黙ってろ」 「はいはい」 (この馬鹿はどこまで気づいてどこまで考えてるんだ……?) (いつ...
  • 17-749
    魔術師の休暇 「ぐえっほ、げほ、げほっ。またぞろひでぇ有様だな、こりゃ」 咳き込みながらカーテンを開けると、差し込んできた光の道が部屋の中にくっきりと浮かび上がった。 つまりそれだけホコリが舞っているということだ。 元々が怪しげな古文書だの魔道具だので埋め尽くされていて 足の踏み場もないような部屋なのに、これではたまったものではない。 俺はそのまま両開きの窓まで開け放った。 いつの間にか錆付いてしまっていた蝶番が嫌な音を立てる。 「仕方ないだろう。何ヶ月帰ってなかったと思ってるんだ」 神経質そうに眉をひそめたこの家の主は、ゾロゾロと長い法衣の袖で口元を覆っていた。 本が散らかってるのはいいのにホコリはダメとか、相変わらず変な奴だ。 「まあいい。私は探し物があるから、お前は適当に他の部屋の掃除でもしててくれ」 「げっ、冗談だろ!?家中こんな有様じゃ3日で終わる...
  • 23-749
    ツンデレの逆襲 おかしい。 気のせいなんかじゃない。 もう2週間…?いや、明日で2週間か。 一緒に暮らし始めて2年近くになるが、こんなにヤってないのは初めてだ。 最近忙しいのは知ってる。 不動産業界でこの時期っつったら誰にでも想像つくよ。つくけどさ。 大学生の春休みの暇っぷりをなめてもらっちゃ困る。 いや、別に体にとっては優しいからいいんだけどさ。 この人の家に転がりこんでしばらくは、まじできつかったな。毎日毎日激しいのなんの。 講義にドーナツクッション持ち込むわけにもいかねーし。よく耐えたね、俺は。 だから、こんな平穏な日々も悪くないかなー、とは思う。 でも、でもだよ。 最近ひとりでするのも飽きてきたっていうか、 だってベッドでするとお前の匂いが鼻に入ってくるからどうしても考えちゃうっていうか、 それにあいつだってそんなにしないのはストレスになって体に...
  • 19-749
    もういいでしょ 20××年度 【攻め力検定予想問題集】より抜粋。 問題 次の3つの「もういいでしょ」に対する、攻めの行動を答えよ。 パターン1 悲しみ型。 「もういいでしょ、ほっとけよ」 失恋した受けが、机に突っ伏しながらとても悲しそうな表情で酒を煽っていました。 アナタなら、どう声をかけますか? 答 パターン2:怒り型 「もういいでしょ、ほっとけよ!」 受けがなんだかヘソを曲げてしまったようです。 何とか宥めないと、ヤッソンお預け一週間目に突入してしまいます。 アナタはどうやってなだめますか? 答 パターン3:当て馬型 「ふん、もういいでしょ、ほっとけよ」 何だか、きな臭い現場に出くわしました。 どうやら、最近知り合った当て馬が、受けをリンチしている最中のようです。 アナタはまず、何をします...
  • 14-749
    大人ぶりたい高校生×精神的に子供な大学生 「先輩、正月は帰ってこないんですか」  思わず携帯を取り落としそうになった。 『悪い。友人に金貸したら返ってこなくなった。チケットがとれない』  すんでの所で「えぇー」という落胆の声を飲み込む。そんなことを言うのは子供の証みたいだし、先輩を困らせても仕方がない。  その友人の頭上に隕石が直撃しますようにと願いつつ、俺はとっさに平静を装って 「なら仕方ないですよね。先輩、今からでも年賀状いりますか?」と軽口を交えて言うに留める。 「っていうか先輩、ちゃんと金ありますね? 年越せますよね? 凍死とか餓死とかしないで下さいよ」  年の割に子供っぽいこの先輩、ゴールデンウィークもバナナと水だけで生き抜こうとして失敗している凶状持ちだ。  うっかり灯油とか買い損ねてたり、おやおや食べ物がもうないぜ! 的な状況に陥ってしまうこと...
  • 18-749
    服屋の店長とアルバイト 「店長…なんですかこの柄…。」 日曜日だというのに、相変わらずこの店には閑古鳥が鳴いている。 店の裏で先日届いた新商品の棚卸しをしながら、俺はため息をついた。 「それ可愛くない?うさちゃんにー、リボン付いてんだよーえへへ。」 にへら、と笑いながら店長は嬉しそうに答えた。 今回届いた新商品は七つ。その全てにリボンやらフリルやら、 可愛らしい動物達やらが散りばめられている。 「…えっと、確認しますがこのお店って対象は20代男性でしたよね?」 「うん。」 「今度からレディースも扱うという予定でも?」 「ないね。」 「じゃあ子供服?」 「それもない。」 「………だったらやはりこの服はいい大人の男が着る前提で仕入れた、と?」 「そゆことー!」 なんの悪びれもなく頷く店長に、俺はもう一度大きなため息をついた。 「先月はいきな...
  • 21-749
    デリケートな攻め×デリカシーのない受け 「そういやさー」 しばらくぼーっとした後にどうでもいい話を始めるのは良成さんの癖だ。 煙草を取るために俺の体の上に手を伸ばし、よいしょ、なんて言ってる。おっさん。 「んー?」 この人シャワー行かなくていいのかな。俺は少し眠い。起きたらシャワー行こう。 「俺さー、初めてアナルセックスした時の相手がさぁ、酷いやつで」 ……眠気も覚めたよ。 「いきなり、何」 あからさまに不満を滲ませてみても、良成さんは煙をふう、と吐き出して全く気にしてる様子はない。 このデリカシーのなさはどうだよ。問題だろ。男ってデリケートだよ、俺なんか特にそうだし。あんただって案外そうじゃないか。 ……デリケートよりバカが勝るのかな。今度病院連れてった方がいいのか? 「いや、俺だってさ、初めてな訳じゃん?あっちは初めてじゃないっぽかったけど、なんか勘...
  • 27-749
    獣人×獣人 「グルゥ…グルルルルル」 よだれを垂らし唸る友人の姿に俺はまた頭を抱えていた。 また暴れ出すのか、最近多くないか。面倒見る俺の気持ちにもなれつてんだよ… ボヤく間もなく喉に噛みついて来た奴に何とか抵抗する。全力ではなさそうだがそれでも痛いものは痛い。殴り飛ばそうと出した腕を掴まれ、引っかかれ、負けじとこちらも蹴り飛ばす。あっ今金的蹴っちゃったすまん。 ふぎゃん!とまぬけな声を出して蹲る友人をすかさず押さえ込んだ。 こちらを睨みながら股間を抑える友人を見て、ようやく俺は一息ついたのだった。 俺の友人はヘタレだ。 好みの雌を見つけたと思ってもいつの間にか別の雄に取られてるんだ、とは本人の談である。 発情期に雌と会えばお互いムラムラしてんだし交尾するチャンスも増えるってもんだが、運の悪い事に俺らは決まった発情期を持たないライオンであった。 そうして性...
  • 16-749
    踏んで欲しい 「あ、あ、あ、…、ふ」 引っ切りなしに声が上がる。 西日の差し込む放課後、下校時刻はとっくに過ぎている。 もう教室には俺達しかいなかった。 「んっ…」 頼むからそんな顔をするな。いつもの優等生面はどうした。 こんな関係になりたかったわけじゃない。 ちょっと虐めてからかってやろうとしただけなんだ。 それなのに、ああ、奴が色っぽい眼でこっちを見ている。 くせになりそうだ。 もとから気に食わなかったんだ。 優等生って時点で、昔から馬鹿やってる俺達からすりゃ目障りだ。 その上、真面目で頼まれ事を断れないタイプとなれば、格好の餌食だった。 パシリにしたり、一人でいるのを見つければ集団で囲んで小突いてみたり。 でも、 「や、」 コイツに対してこんな欲望を抱いたことはなかったはずだ。 今日も奴は余計な雑事を引き受けたのか、こんな時間まで残っ...
  • 15-749
    ツンツンデレなご主人様×ベタ惚れどMな奴隷 僕はあの方を恨んでなどいません。 あの方は、素晴らしい方です。 いつも堂々とされていて、たくさんの人たちに慕われていました。 学の無い僕にはよくわかりませんが、中央では大事なお役目を任せれていらっしゃったとか。 ……ああ、そうなんですね。取締りの。それは大変なお仕事ですね。 やはり、立派な方なんだ。なんだか嬉しいです。 声が、よく通るんですよ。少し低めの、響くような声。 お聴きになったことがありますか?……そうですか。 厳しい方でもありましたから、叱られるときはそのお声に身が竦んだものです。 他の下男などは「まさに落雷のごとく」と震えていました。 でも僕は、叱られることすら嬉しかった。 そのときばかりは、あの方は僕だけを見てくださっているのですから。 どうかしましたか、そんな顔を...
  • 28-749
    うたた寝をしているあいつが無防備すぎて・・・ 「嘘だろ…」 あまりにも返事が返ってこないのは、今流れている映画の退屈さのせいだと思っていた。 それでも適当な感想を口にしながら、ふと寝転んでいる八坂の顔に目を向ければ、 とうの昔に睡魔に負けて寝入ってるようだった。 昼過ぎに有料チャンネルでライブを見たいと家に押しかけてきて、 朝4時から始まるみたいだから、それまでお前も起きてろよと勝手にいいつけて、 ゲームして、持ち寄られた夕食を食べて、適当にテレビを見て、場つなぎににさして興味のない映画を流して。 持ちかけたのは、全部こいつのはずだったのに。 「八坂くん最低ー、引くわー」 鼻をつまんでも、頬を押してみても、つまんでみても、一向に目を覚ます気配はない。 「何しても起きねーな、こいつ」 呆れに、わずかなくすぐったさを込めて笑う。 穏やかな寝息と、時計の音と、退...
  • 7-749-1
    寒がり×暑がり 「う~寒いよー・・・そっち行っていい?」 キンとした空気漂う寝室で僕は呟いた。 「ヤダ。暑苦しい。」 隣りで眠る恋人はマジな声で言って背中を向けた。 「クーラー効きすぎだよー・・・布団独り占めしないで~。」 設定いくつにしたんだよー・・・地球温暖化徹底無視かよー。 「俺はクーラーガンガン効いた部屋で布団にくるまって寝んのが好きなの~。」 そう言ってさらにモソモソと布団にくるまる。 あなたは猫か! 「そんな~っ。僕が寒がりだって知ってるだろ~?風邪引いちゃうよ~。」 あまりにも寒くて自分を抱きしめてシーツに身体をこする。 摩擦で一時的に熱くなるけど、それは確かに一時的なものなわけで。 「もう一枚出せばいいじゃんか。こんなバカでかいベッドなんだからよ。」 ふたりで選んだ愛の巣(と言ったら思いっきり殴られた。昔。)なのに・・・ なのに別々の布団...
  • 8-749-1
    着物 小袖の手をご存知でありましょうか。 江戸は寛政年間、とある古刹へ一枚の小袖が納められました。 小袖とは文字通り、袖の小さく活動的に動けるような、公家から武家、庶民にまで広く着られた衣装のことです。 名の売れた遊女の亡き後、苦界をさすろうたその身の供養のためにと祀った衣に香を手向け、日々菩提を弔っていたところ、夜な夜なちりん、ちりんと鈴を鳴らす音がありました。 怪しみてそっと覗いてみたところ、衣紋掛けの小袖からぺらりとした紙のような白い手がすうっと伸び、壇の鈴棒をつまんでは、そうっと鈴を打つのです。 思えば人の、女の執着とは、儚くした後もその衣服に留まり、過ぎた浮き世を偲んでは、帰らぬ日々に、消えぬ未練に亡き身を妬くものなのでありましょうか。 ね、聞いてる?ちゃんと聞いてる? 「いや、そんなポエムは今はいいですから、背中!背中、のいて! 借り物なんです、皺...
  • 21-749-1
    デリケートな攻め×デリカシーのない受け  野上はデリカシーのない男だった。そんなところも魅力に思えていたが。 「いいよ、つきあっても」  クシャッと目を細めて笑い、俺を驚喜させたあと、 「彼女できるまで、な。男同士とか『遊び』よ? あくまで」  こともなげに言い放ったような奴だった。  人より小柄なくせに態度がでかくて、言いたいことを我慢したことなんかない、その竹を割ったような性格が可愛いとか思っていた。  念願叶って、暗くした部屋でようやく抱きしめれば、 「え? 何? 抜きたいの? 溜まってるの?」  ──抱きたいんだ、愛し合いたい、と告げれば 「マジで!? 俺を?」  ぎゃはは、とばかりに爆笑して 「ま、いいけどさ」  とゴロリと寝っ転がる。 「やっぱ俺が掘られるほう? 林田より俺のほうが小さいもんな」  と大きく伸びをして、でも、と首をかし...
  • 19-749-1
    「もういいでしょ」模範解答 20××年度 【攻め力検定予想問題解答例】より抜粋 パターン1:悲しみ型 解答:「おいおい、あんまり飲みすぎるなよ。悪酔いするぞ。それにお前、そんなに泣くな。笑顔のが、お前には似合ってんだから。な?」 ※ポイント:受けの体を気づかいつつ、彼の長所をさり気なくフォローすると、高評価。 ただし、あまり相手をこき下ろしたり、酷評する形で慰めると、逆にアナタの評価が落ちる場合があるため、減点対象になりやすいので注意。 尚、この状況をアナタが計画した場合、最後の最後、受けが振り向くまでその態度を貫けなければ、減点。 パターン2:怒り型 解答:あえて放置。 ※ポイント:受けのパターンにより、取るべき態度は様々で可。 ただし、腕力に任せねじ伏せる場合、DVと取れる行動をした時点で減点。 尚、鬼畜傾向の強い...
  • 22-749-1
    生意気意地っ張りだけど世話焼きな年下攻め(受けにもタメ語) 「こんちわ、ナカさん?入るよ」 青年がそう声をかけ居間を覗き込むと、繋がった寝室から穏やかな声がする。 「やあカズくん。なに、またお見舞い?もう今週3度目じゃないか。しかも3日連続で」 ベッドに上体を起こしたまま、眼鏡の男が答える。 青年は下げてきた買い物袋をベッドの横に降ろすと、上着を脱いでベッドの周囲を片付けはじめた。 「…いいだろ別に。どうせ俺しか来ないんだから」 「そうだね、君しか来ないね。たかが足の小指の骨折だ」 青年が片付けた端から、男は青年の荷物を物色する。 「…もう来てやんねーぞ。てかそのカズくんはやめろって」 男のお目当てはスーパーの袋ではなく、小さめのトートバッグに入ったタッパーにあった。 「カズくんがダメなら、なんて呼ぶんだよ。お、かぼちゃか、いいね」 美味であろうことはわかりき...
  • 26-749-1
    難聴(ラノベ主人公的意味で)攻め すきだ、って南が言った時聴き間違いだと思った。「酢来た」とか「鍬だ」とかの。 日常生活でまぁ仮に今と同じ月9に出てきそうなこじゃれた夜景の見えるバーかなんかでなんで男2人でいるかっていうともちろんナンパなんだけど、例えば食事と一緒に酢が来て「酢来たよ」とか言うシチュエーションは日本中どこかにもしかしたらあるかもしんないけど「鍬だ」っていつ言うかな。 中学生が日本史の資料集開いて先生が日本の稲作の歴史を紐解きながらこれが「鍬だ」とかはあるだろうけど、鍬かついだ農民がバーになだれこんできたり、 実は今食ってる野菜スティックはバーテンダーが家庭農園で精魂こめて作ったもので、俺がバーテンダーにこの野菜スティツクうまいっすねって言ったらカウンターの下から鍬を出してこれで週末耕してるんですよーって言って南が「鍬だ!」って言っていや俺は何考えてるんだろう...
  • 21-749-2
    デリケートな攻め×デリカシーのない受け デリカシーがない、と突き付けられたのは俺が部屋にこっそり隠していた薬だった。 今の俺には必要不可欠なもの。チューっと注入することもサッと塗ることもできる万能なアレ。 「痔なの?」 デリカシーがないと言った口が躊躇いもなく問う。 デリカシーって何だっけ。 俺が部屋にこっそり隠していたにも関わらず、痔に~は♪のCMでお馴染みのあの薬を発見したのはまあいい。 仕方のない事故だと考えよう。たとえ意図的に探さないと見つからない場所に隠していたはずだとしても、だ。 問題なのはその後の言動。 何故、それを見なかったことにしてくれなかった。 「デリカシーがないのはどっちだ!俺の恥部に簡単に触れやがって!」 「ハァ!?いっつも恥部触ってんのはお前だろ!触るどころか指もナニも突っ込んでんのはお前だっつうのに、 何で痔になっ...
  • 25-749-1
    猫っぽい人×犬っぽい人 職場の飲み会、その二次会の帰り、店横の路地での出来事。 好きです、と彼は呟くように言った。 真っ赤にした顔を俯かせて、俺のコートの袖を掴まえている。 「初めて会ったときから、初対面ってカンジがしなくて……きっと一目惚れなんです」 そのままの姿勢で、つっかえつっかえ喋っている。 「自分でも、おかしいって思います。でも俺、気がついたら、先輩のことばかり見てて」 「お前、酔ってるな」 「酔ってます。酔ってなきゃ、こんな告白できないです」 やや乱暴な口調と共に、彼は意を決したように顔をあげる。 まだ少し幼さが残る顔は、強気な声とは裏腹に今にも泣きそうだった。 感情が顔に出やすいんだなと考えている俺に、彼は繰り返した。 「好きです。俺、先輩が好きです」 「………」 酔っ払った冗談だろうとか、反応を見て後でからかうのだろうとか、そんな風に考える...
  • 12.5-749
    超ネガティブな攻×甘やかしまくる受け どれだけ「君が好きだよ」って言っても。鸚鵡返しに「俺はあんたが好きだ」って繰り返す。 君は口下手で不器用だから。本当に言いたいこと、したいこと、伝えられないんだよね? それでもいいよ。 そのかわり、2人だけの合言葉を作ろうよ。 君が自信をなくしたときに言う言葉。自分を否定する言葉。 それを全部「好き」に変換する良い方法を考えたんだ。 意味もなくゴメンと謝ったら1回。 俺でいいの?って聞いたら2回。 キスをするってどうかな。 そっぽを向いて「もうしない」って言ったら3回してあげる。 何万回変換したら、君は君だけの言葉で「本当の気持ち」を教えてくれるのかな・・・・・・。 遅くなった誕生日プレゼント
  • 24-749-1
    妖怪と天使 「驚いたな。本物を見たのは初めてだ」 頭上から淡々と降ってきた声に、〈男〉は地に伏したまま憮然として顔をあげた。 黄金の髪が絹糸のように流れ落ちる。 「お前は誰だ」 「さて」 食いしばった唇から漏れた問いは、飄々とした口調でいなされてしまう。 憤りに任せて身じろぎをしようとすると、途端に四肢を虚脱感が襲った。 纏わりつくように鬱蒼とした草の感触。 ――動けない。 じわり、と焦燥が広がる。 一段と緑の匂いが濃くなったような気がした。 この〈場所〉はおかしい。 否、場所だけではない。 「……お前は〈何〉だ? 私に何をした」 「何もしてないだろう? これからのことは知らないが」 〈それ〉はおかしげに肩をすくめてみせる。 闇色に揺れる髪。だが印象はそれだけだ。 年の頃、体格、顔立ち、その人物を表す特徴を捉えようとすると、それらはひどく不鮮明にな...
  • 23-749-1
    ツンデレの逆襲 「受野さん、とうとう俺たちも卒業ですね」 「そうだな。これでお前との鬱陶しい毎日ともおさらばだ」 「何でそんなこと言うんですか!俺はこんなに受野さんが好きなのに」 「それが鬱陶しいって言ってるんだろ。言うにつけてはやれ『受野さん好きです』だの『受野さん愛してます』だの……」 「だって、本当に好きなんですよ。言ってるでしょ、入学式であなたを見た時から俺は」 「その話も聞き飽きた。何度お前に愛を囁かれてもだ、とにかく俺は……」 「受野さん……」 「……いや、いい。何にせよ、この話をするのも今日で最後だ。今日ここで、俺はお前との関係に蹴りをつけようと思う」 そう言って受野さんが指を鳴らすと、突如物陰から大勢の男達が現れた。 ラグビー部や柔道部で見た厳めしい顔や、逆に学校では滅多にお目にかかれないような筋金入りの不良までいる。 中でも背筋を震わせる...
  • 10-759
    ショタ攻め 「おじさんおじさん!これ読んで!」 10になる甥っ子の裕太が満面の笑みを浮かべて差し出して来た本の表紙を見て 俺はげんなりとしてソファに沈み込んだ。 『どすこい熊五郎/亀頭攻め愛』 …なんだってこいつはこんな本ばかり読みたがるんだ?っていうかそもそも その本は一体どっから調達してきてやがるんだ? 「20年早えんだよクソガキ、ションベンしてとっとと寝ろ!」 本を取り上げると、ああーとかわいらしい声を上げて抗議してくる。 「だめーそれお年玉で買ったんだから返してー!」 「お年玉ならもっと人生に有意義な物を買え!」 「ゆういぎだもんーそれぼくにはゆういぎなんだもんー!」 手を伸ばして本を取り返そうとしてくるが、所詮リーチが違う。 上に掲げて取り戻そうとする手を避けていると、諦めきれない裕太が ソファに乗り上がってきた。 「こら、ソ...
  • 10-779
    ピアニスト×ヴォーカリスト 「ピ、ピアニスト……! お前、俺をこんな所に連れ込んで一体どうする気だよっ!?」 「決まっているじゃないですか。あなたの穴をアナリーゼするためですよ」 「や、やめろっ! そんな所、カプリッチョしたら汚い……っ!」 「フフ……どうです、私のマウスピースは?」 「アッ……アアーッ……アレグロ、アレグロ、アレグロ・モデラートーッ!」 「嫌だ嫌だと言っていた割りに、すぐにフィーネしてしまいましたね」 「う、うるさい……放せよ! な、なんだよやめろっ! 対位法は嫌だっ……!」 「さあ、私とフュージョンしましょう」 「んんっ……耳元でドルチェなブレスを吹きかけるな……っ!」 「大丈夫ですよ。最初はピアニッシモから始めますから」 「くっ……! こんな奴に2回もリコーダーを#させられるなんて……くやしい……でも感じちゃう!」 「さあ、どうして欲しい...
  • 10-739
    うなじ舐め 「着物ってのは日本の文化の至高だと思うね」 ぐぃ、と日本酒を呷ると、金髪碧眼の男が言った。 彼の目線は、向かいに座る、黒髪の青年に向けられている。 「これは浴衣ですけどね」 何故、情感たっぷりの旅館の一室で男同士で酒を呑まなきゃいけないのか、と彼は溜め息をついた。 目の前の、傲岸不遜厚顔無恥、という言葉がぴったりなこの男に、強引に連れてこられてしまったが、別に僕じゃなくても。 大学には、こいつに誘われたら何処へでも、なんて女の子がいっぱいいるのに。 まぁ、確かにこんな高級な旅館、彼に連れてこられなかったら一生泊まることなんて出来なかっただろうけど。 和紙で出来た丸いランプの、柔らかい光が、ほのかに室内を照らす。 窓から見える庭も、趣があって素敵だ。 「浴衣だって着る物、着物だろう、キク」 「キクはやめてください」 質問には答えず、彼は眉を顰めた。...
  • 10-799
    近親相姦! 「ハ……父さ…ん…ッ」 「涼…」 父さんに触れられる所は徐々に熱を帯びて、掌の中で波打ち始める。 「ゃ…ッあ!…駄目…ダメ…!!」 「“駄目”じゃないだろう、“イイ”だろう?」 「ん…イ、イ…」 「良い子だ」 大きな掌が上下に行き来する度僕に何かの限界が迫る。 「あっ、あっ、父さん…何か、何か来る…!!」 「いいぞ、涼。出しなさい」 「ぅ…ぁ…出ちゃ…!ああああぁぁっ!!!」 ――――――……… ………―――――― 僕のアソコから出た白いものを父さんは手に付けると、何を思ったのか僕の口に無理やり指をねじ込む。 「ッ~?!!!…うぇ…マズい…」 「だろうな」 「知っててやるなんて酷いよ!」 「ハハハ、涼の反応が見たくてな。すまんすまん」 本当に酷いや…。 「もう、父さんのバカ!」 「はいはい」 「いつか仕返しして...
  • 10-719
    チャリで2ケツ 背中に感じる相手の体温とか 肩から胴へとおずおずと回した腕とか いつもより重たいペダルが、幸せの重みなのだとか 横座りなんか女の子みたいで嫌だとか けど股関節が痛いとか からかったらぶつけられた、華奢だけど逞しい拳の固さとか 腰やらあらぬ辺りの鈍いだるさとか 仲良いなぁ、と冷やかされたり 普段、思っているより広く感じる背中とか ふざけてて、チャリごと河原へと滑り転がっていった事とか パンクしたチャリを、 ジャンケンで交代でひいて歩いた事とか コラ!二人乗り止めなさい!とお巡りさんに怒られた事とか 喧嘩して無言で、それでも二人乗りの帰り道とか 声が聞こえなくても、触れ合った場所の振動で 笑った事が分かったり。 向き合って、お互いの顔が見れない事はもどかしかった でも二人、頬にうける風は気持ち良かった 見つめ合わなくても、心が通...
  • 10-709
    ちんぽおおそうじww 「領収書下さい。」 「お前まだそんな細々と領収書集めてんのかよ。」 珍宝は昔から気持ち悪いほど几帳面な奴だった。 小学生の頃からお小遣い帳を付け出し、高校時代には生徒会の会計も務めていた。 高校の時に一緒に遊びに行ったときには自販機で買ったジュースですら記録していた。 まぁ言ってみればケチ、だった。金持ちの癖に。 「食事代も経費で落とせるんだよ。こういうのを集めとくと後で役に立つしね。」 え、領収書があったら何かいいことあるんだ。知らなかった。 そう言えば珍宝は昔から頭もよかった。一流大学卒で一流企業に入って、25歳で役職持ちだもんな。 「でも折角のおごりなのに領収書取られたらあんまご馳走になった気しねーよな」 「ばか、御荘寺お前が……ニートの癖によく言うよ」 しかも性格もきつい。人が気にしていることを…。もう少し慰めてくれるとかしてくれ...
  • 10-769-1
    オカマ受け 「な?一度だけだから。本当にこれっきりって約束するから」 懇願するヤツの右手にあるゴムが、生々しいほどのリアルを見せている。 スカートの裾を押し上げようとするヤツの左手から、どうにか逃げられないだろうか。 「止めてください!ココはそういう店じゃないんですよっ!」 小さく叫んでもヤツの手は止まらない。 片手で押さえているが、体格の違いは力の違いを見せ付ける。 「イイじゃん。どうせ誰かにヤられちゃうんでしょ?ヤられたいんでしょ?」 口調はふざけているように聞こえるのに、ヤツの目は笑っていない。 手に入った力が強くて、すごく怒っているのだとわかる。 好きでこんなカッコしたり、店に出たりしているわけじゃない。 何の資格も持っていないオレにとっては、コレが一番金になっただけだ。 おまえと離れたくないから、どうしても金が欲し...
  • 10-789-1
    ミ/ス/タ/ー/ド/ー/ナ/ツ 『いいことあるぞ♪ミ/ス/タ/ー/ド/ー/ナ/ツ♪』 30歳の誕生日。 ゆうべ寝る前に仕掛けた洗濯機、ホースが外れてベランダが水浸しだった。 通勤電車で痴漢に間違えられた。 教室に入ったら俺のかわいい生徒たちが、「先生30歳おめでとう」「マジおっさんだね」と笑いやがった。 階段でふざけていた生徒にぶつかって落ちた。鼻血が出た。 誕生日を祝ってもらう飲み会で、学生時代からの友人達の三角関係が発覚。殴り合いの大喧嘩に。 止めに入ったら「ホモのてめぇに何が分かる!」と怒鳴られて店内の空気が凍った。 ……。 俺は何か悪いことでもしたんだろうか。 飲み屋の店員にひたすら謝って解散し、疲れと空腹からふらふらと近所のドーナツ屋に立ち寄った。 「いいことあるぞ♪」ってキャッチのCMを流してた有名なあの店だ。 ドーナツを何個...
  • 10-779-1
    ピアニスト×ヴォーカリスト ツアーバンドピアニスト×ポップヴォーカリストで  ピアニストにとって今回が初めての大舞台だ。『彼』のツアーバンドに選ばれたのは 幸運だった。―彼の代表曲にはピアノが欠かせない。 この経歴は今後、自分の役に立つだろう。 ―コンサート準備の喧騒の中、『彼』が一心にピアノの鍵盤を見つめていた。 微かに口元を動かしながら。  ピアニストがそれに気づく。 「なにか気になることでも?」  ヴォーカリストが軽く舌打ちする。ピアニストを振り返って軽く睨みつける。 「……数えていたのに。また数え直しだ」 「88鍵ですよ。ご存知でしょう?」  ヴォーカリストは軽く片眉を上げる。 「さあ、この前はそうだったけど。皆もそう言っているけど…  皆、僕に嘘を吐いているのかもしれないし、変わっているかもしれないから、  毎回確認する...
  • 10-769-2
    オカマ受け 僕が『彼女』と出会ったのは、南へ向かう汽車の中だ。 僕は出発間際のデッキ、煙草をふかす彼女の足元に転がりこんだのだった。 目の周りに痣をこさえ、ちゃちな鞄ひとつを抱えたぼろぼろの僕を、 彼女は暫くぽかんと眺め下ろしてから 「こんにちは、家出少年」と言った。 汽車が南端の街に着くまでは、二日かかった。 その間僕は暇をもてあます彼女と、とりとめもなく話をしたり、 呆れるほどヒールの尖ったブーツを磨いて駄賃を貰ったりした。 「どうせ行く宛なんかないんでしょう」 「とりあえず南だ。友達がいる」 「そんなもん、あてにしない方が身のためよ」 「そういうあんたはどうなのさ」 「私はね、生まれ変わりに行くのよ」 「生まれ変わり?」 「医者がいるのよ、そういう…。体を思う通りにしてくれるの。性別だってね」 馬鹿な!そんなことってあるだろうか。担が...
  • 10-549
    and/or and/or 生粋の文系だね、と評価される僕は、大学の日文学科を卒業して老舗の書店に勤めていた。 対して彼は、情報学を専門に研究する頭まで理系の海に沈んだような男。 全く接点のない二人が出会ったのは僕の勤める書店。 月に二度、判で押したように同じ時間に現れて専門書を購入していく彼は、僕が初めて覚えた常連客だった。 そして、彼に「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」と声をかけるようになった頃、驚くことが起こった。 「…あれ?」 いつも通り、店内かごから彼の専門である情報学の本を取り出してレジを打っていた僕は、その底に意外なものを見つけて驚く。 それは、この書店付近を扱う賃貸情報誌だった。 「こちらもお買い上げですか?」 間違って入れたのかもしれないな、そう思い彼に尋ねる。 「…それもお買い上げ、だ」 「はい、かしこまりました...
  • 10-459-1
    10-459-1 君が代 体育館で彼は言った。君が代を聞いたことがないのだと。 これからこの地域に越してきて初めて聞くのだと。 唖然とした僕を見つめて広島出身なんだ、と笑った。 その歌は彼の親や彼の教師、彼の故郷によって禁忌とされ、どのような歴史があり、 どんな意味でどんな風に国民が歌ってきたかを知っているからこそ歌えないし 絶対に歌いたくないのだと言った。 僕はそのような環境には育っていないし、ましてやその歌を憎んでもいない。 何故歌うのかもその意味も考えたこともない。 無知な自分を環境の違いだ、と恥じもしなかったが、普段共にふざけあい笑う彼の真剣な眼差しに小さな隔たりを感じた。 そっと隣にいる彼をみるとその顔はぐっと口をつぐみ、まっすぐ前を見据えていた。 騙す人騙される人
  • 10-309
    10-309 あなたを置いていくけれど。 拝啓 K様 いきなり手紙だなんて、びっくりしたことと思います。 数日前から、俺の体調はすごく悪く、もしかしたらやばいかな、と 思って、これを書いています。 今、あなたがこれを読んでいるということは、万一のことが俺に起こった ということです。とりあえず、謝っておきます。ごめんなさい。 思えば、俺の人生で一番長い時間を一緒に過ごしたのは、あなたでした。 俺の青春の思い出には、悲しいことに、全てあなたが隣にいます。 あなたのおかげで、俺は灰色の青春時代を過ごしました。 あなたは、俺が欲しくて欲しくてたまらないものを、軽々と手に入れて、 平気でドブに捨てるような人でした。 俺が大事に思ってるものを、靴底で踏みにじって、笑っているような人でした。 どれだけ腹を立て、どれだけ嫉妬したか、分かりません。 ただ、あな...
  • 10-259
    10-259 http //web.archive.org/web/20060219134238/http //www.ismusic.ne.jp/nyoitaph/music/276-400.mp3 この曲のイメージでどうぞ。 微グロ電波注意 +++ いつか、大切な人と、ずっと一緒に暮らせるといい。 僕はずっと一人で旅をして来た。死んだ弟を生き返らせる方法を探して。 旅は十の時から始まり、どこにあるとも分からないその方法を追い求めて、 大陸中を巡ってもう18年も経った。弟は既にあの家で腐り、骨になっている事だろう。 それでも僕は旅をやめる事はできなかった。 旅の途中、色々な人と出会い、別れた。辛くないと言えば嘘になるが、 それでも目的の為には仕方がないのだと諦め続けていた。 だけどひとつだけ、どうしても離れがたいものができてしまったの...
  • 10-349
    浪人生×医者  診察を待つ患者の中に僕の姿を認めた先生は、 無表情のまま目を逸らし、フロアを横切ってそのまま歩いて行った。 僕は堪らず席を立ち、先生を追いかけた。 「先生、……先生…!」  僕の声が白い廊下に響く。 患者の何人かが僕の方に視線を流した。 先生は此方を振り返りもせず、スタスタと歩いていく。 「…先生…待って下さい…」  僕はさっきよりは声を抑えて呼びかけた。辺りに人気が無くなると 先生はピタリと立ち止まって僕の方に振り向いた。 「何の用だ」  先生は冷たい表情と尖った口調で僕に問うた。 「…いや…、あの…」  僕は言葉に詰まる。先生は明らかにこの間と態度が違っていた。 先生は氷の様な眼で僕を射抜いたまま僕に言った。 「一度きりだ、と言った筈だ。まさかまた事故に会った訳でもないだろう。 怪我も治ったんなら此処にはもう来るな」 「……先生...
  • 10-249
    卒業 「あの後、ベンとエレインはどうなったと思う?」 久々にあの映画を見て―ストリップバーでのヒロインの頭上の乳首回しに声を合わせて大笑いした― ラストにちょっと感動してお互い涙を見せずに泣いて(その間は目を見交わさないのが礼儀)。  その後、いつも通りに愛を交わした後、寝入ろうとしたときに彼がそう呟いた。 「別れたと思う。ラストのあの表情見たろ」と答える。このあたりは手垢のついた話だ。 「彼らは僕たちほど変なことしていないのにね」 「そういう時代だったんだ。映画の手法だよ。  それに、母子に手を出すのは十分罪深いと思うぞ。俺はお前の父親にも母親にも絶対手を出さないし」 笑いながら枕で彼を叩く。単なる寝入りばなの馬鹿話だ。  ただ、その答えは予想に反していた。 「仮に、仮の話だからね。  ―僕が結婚を勧められているとしたら、どうする?」...
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