*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「12-249」で検索した結果

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  • 12-249
    手をつなぐ 手袋を持ってきて良かった、と帰宅時間を迎えた岩田は心底思っていた。 登校しようと玄関のドアをあけた岩田の目に、一面の銀世界が飛び込んできたのは今朝のことだ。厚手のコートだ けではもう駄目だと判断し急いで室内に戻り、手袋とマフラーを押入れから引っ張り出したことを思い出す。それか ら半日。岩田は帰り支度をしながら玄関へと歩いていた。廊下の窓の外では、今朝より一層激しく雪が降り続けて いる。玄関の扉に手をかけた岩田に、 「今、帰り?」 後ろから、同級生の声がかかった。 「おぉ、北村。…おまえも?」 「うん、一緒していい?」 頷いて、許可を示す。嬉しそうに笑った北村に促されて、岩田は外へと足を踏み出した。 大粒の雪が降る外は人通りはなく、防寒具を通しても寒さが伝わってきた。自然と北村との距離が近づく。大の男 二人の影がくっつくのを、岩田は気恥ずかしく思った...
  • 2-249
    短気な後輩×卑屈な先輩 ゴールデンウィークが終わりに近づくころになると、毎年のことながらどこにも出たくなくなる。 五月病って名前もついていることだし、と布団かぶってごろごろしてたら、 いきなり上から踏みつけられた。 「アンタまただらだらしてんのかよ!何時だと思ってんだ、起きろ!」 がんがん踏まれる。がしがし蹴飛ばされる。 不法侵入者に用はない、と丸くなろうとしたら、今度は毛布ごとひっぺがされた。 「アホか。アンタまた五月病とか言ってんだろ?アンタのは年中じゃねーか。 単なるサボリだろ。とっとと起きろ。GW最後の日曜だってのにうざいこと言ってんな」 イライラしてるのが口調で分かる。大体こいつは瞬間沸騰がすぎるんだ。 二年前に高校で告られた時だって、最後は半分怒鳴りつけられてた気がする。 「ホラ。起きな」 差し出される手をぼんやり眺めた。で...
  • 22-249
    権力者の初恋 生まれながらに権力を約束されていた。 見目麗しく学問に秀でた、大国の王太子。 性格は冷酷というより酷薄。 人の心がない、非人間と陰で散々に言われていた。 手に入るものに興味はないから、欲しいものなど何もない。 かしずく者は疎ましい。治める民は愚かしい。 万人を平等に見下し、当然ながら恋愛とは無縁に日々を生きていた。 そんな王子も父王の退位を受けて王位に就くこととなり、各国から慶賀の使者が続々と訪れる。 若い新王は酒癖が悪く、 めでたいはずの酒宴で誰彼かまわず論戦を吹っかけた。 そこで使者の一人と、有名な詩人の作品を巡っ て議論を戦わせた。 議論に決着はつかなかったが、王は使者の才気を気に入り、手元にとどめ置くことにした。 使者はよき友になった。何といっても、まず聡 い 。 歳の離れた兄のように王を甘やかし、 時には愛 情深い父親の...
  • 2-249-1
    短気な後輩×卑屈な先輩 創作活動同好会兼文学部という名称で通っているうちのサークルは、 30人もの幽霊部員に支えられ実質10人弱で活動している。 とは言え創作活動は個人でやるものなので、10人集まろうが 「ネタに詰まった」だの「神が降りてこない」だの言い訳をつけて 結局は菓子の袋を床に散らばらせ談笑で終わることが多い。 仲が良いのは宜しいことだろうが、 この馴れ合いの空気にいまいち馴染んでいない人物が2人いる。 俺と、1つ上の先輩だ。 先輩は出版業界を広く見渡せば数多いる学生作家の内一人で、 部室に来ても部屋の隅でいつも頭を抱えている。 俺と違い人当たりはいいのだがパソコンに向かう彼に話しかける部員はいない。 凡そそんなオーラを発していないからだろう。 一年ながらこのいい加減なサークルの会計を務めさせられている俺はでも たまに彼に声をかける。すると飛び出...
  • 22-249-1
    権力者の初恋 仕事も一段落した昼時。 快晴を喜ぶかのように小鳥達が歌いながら窓に映る空を横切るのを見送ってから、穏やかな気分でコーヒーをすする。 「大統領、私の話、聞いてましたか?」 「…ああ、すまないね。もう一度言ってくれるかい?」 私の言葉に秘書はため息をついた。 先程から口うるさくスケジュールを述べ続けていた彼女の顔が、仕事モードから急に“子供を見守る親”のようになった。 「…ええ何回でも言いますとも、しかし今日のあなたは私の話を聞いてくれるとは思えない」 ごもっともな答えだ。 私はしばらく考えて、彼女を見上げる。 「…信じられるかい?今夜の事を思うと心が浮き立っていて食事もままならないんだ。この私がだよ」 お昼に出された大好物のラム肉でさえもなかなか喉を通らなかったのだ。 俗にいう、胸がいっぱいというところだろうか。真意はわからない。 何せ初め...
  • 3-249
    「部活内恋愛禁止」という張り紙の貼られた男子校の部室にて(部活問わず) 「んっ、あ、何す……!」 数人分の足音と雑談が、廊下の向こうに消えていった。 「大丈夫だって。誰も来ないさ」 背中から抱きついて動きを封じ、うなじを舐め上げる。 滑らかな舌触りだ。 部長は施錠した扉から目を離せない。 「スリルあるねぇ?」 「なんで、こんな……」 弱々しく呟いた声はもう甘い掠れを帯びていた。 ショートパンツを下着ごと膝上までずり下ろす。 身悶える引き締まった体。 部長には必要最低限の露出のほうが恥ずかしいらしいと、はじめて知った。 「なんだ、もうこんな……?痛くない?先に一回抜こうか?」 耳の付け根に低音で囁くのは、それに弱いと知っているから。 ガチャ、ガチン! 「え……」 突如響いた開錠の音は、間違いなく目の前の扉からで。...
  • 7-249
    恋いぞつもりて淵となりぬる ついにあいつが死んだと連絡があった。早朝のことだった。 くるしむことなく逝ったということで、それだけがせめてもの救いだろうか。 バイクを飛ばしながら、僕は病院へと急ぐ。最後に会ったのはいつだっけ。ああ、確かあいつの家族の代わりに ねまきの替えを届けてやったときだ。 のんきに笑いあえていたのに、あの時は。まさかこんなに早く別れが来てしまうなんて、思いもしなかったのに。 みんなはもう集まっていた。とは言ってもほんの数人だ。あいつ僕以外ほとんど友達なんていなかったから。 ねぐせも直さず、シャツのボタンを掛け違えたままの僕を見て、みんなは「みっともないぞ」と言って笑った。 よく見ると、誰も彼も真っ赤な目をしている。みんなはもうあいつのなきがらに立ち会ってきたそうだ。それまで リアルさのなかったあいつの死が、僕の中で何だか急にはっきりと...
  • 8-249
    さんま あの人が美しい所作で観客に向かって頭を下げ 高座から下りて来る。 私は舞台の袖で拍手の音を聞きながらあの人を迎えた。 あの人の高座はいつも見事だ。殊に今日の「目黒のさんま」 は滑稽味の中に粋と滋味を感じさせた。 あの人の高座を初めて見たのはまだ中学生のころだった。 親に連れられて訪れた寄席で、あの人の「崇徳院」を見たのだ。 大店の若旦那が見知らぬ美しい娘に「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の」 という崇徳院の歌を書いた紙を渡され、一目惚れする。 いつかまた巡り会って添い遂げようという娘の気持ちを感じた若旦那は 恋焦がれて寝付いてしまい、周りの者は若旦那のためにその娘を探す。 そんな落語だ。 それが私の恋の始まりだった。 私はそれまで何の興味も持っていなかった落語の世界に引き込まれた。 いや、あの人に魅せられた。 あれから20年。あの人...
  • 6-249
    追い掛ける背中 あんたがこの街を出てったのを、俺が知ったのは2ヶ月もあとのことだった。 「あっちで夢叶えるんだってさ。」 他校の、しかも1学年下の俺とあんたの唯一の接点は共通の夢を持っていることだった。 でもあんたは俺のことなんて・・・知らないよな。 俺は知ってる、通学路で何度すれ違っただろう。 あんたが自転車で俺の横を通る。 その顔はいつも優しい。 俺は気づかれないよう振り返り、意外に細い肩の、その背中を見送った。 前を向いたまま俺の視線に気づかないあんたは・・・ その時にはもう夢を追ってたんだな。 だからあんたは卒業してすぐ出てった。 もう通学路であんたを見ることはない。 すれ違うことも・・・ 振り返ることもできない。 「俺たちも卒業したら行かねぇ?」 そう言ったのは、その話を教えてくれた友人だった。 「え?」 「だからさ、...
  • 9-249
    ニーソックス いやだからさぁ、俺がそれをお前にあげたのは、別に嫌がらせとかそういう気持ちじゃなくって。 ただ、いつもいつも短パンやハーフパンツばかりはいているから、冬場は寒いだろうと思ったんだ。 そう、親切心。いや親心。そんな感じの、お前のために良かれと思ってやったことだったんだ。 でも、まさかそれに対して、ここまでヘコまれるとは思ってもみなかった…。 …悪かったよ。 アレか? 膝小僧は出してナンボだったのか? もう四捨五入したら30歳なのに、服装自由な職業と童顔を利用して、そんな服ばっかり 選んで買っているのは、何らかのポリシーとかあったんだよな? それを理解せずに、そんなのプレゼントしたお兄ちゃんが悪かったよ。 …そうだよな。兄ちゃん、お前と違ってクリエイブな能力なんて何もない、しがない凡人 だもんな…。公務員だもんな…。 あ、もしかして、ハーフ...
  • 1-249
    百合×薔薇 薔薇は惚れた。 きゃしゃな茎にもかかわらず堂々として、そして少し俯き加減の凛とした横顔に。 百合は惚れた。 その身の棘で他者を傷つけることを恐れ、それでもプライドを失わないその姿に。 だが、薔薇はそのプライドゆえに、百合は自身の境遇ゆえに思いを伝える事は 出来なかった。 だが、棘をとられ、葉をむしられた薔薇を見て、百合は静かに涙を流した。 他の薔薇と一緒に包まれた彼は、見えないように涙を流した。 百合は最後に、掠めるように薔薇に触れた。 その感触を胸に、百合は散る最後まで薔薇を思った。 薔薇は、花びらをむしられながら、最後にふれた百合を思い出して 意識を放した。 花屋での出来事。 英語教師×数学教師
  • 4-249
    普段クールな攻が、泥酔して意外な行動をとるのに、ふりまわされるけど、嬉しい受 苦手だとは言ってたけど数杯だけなら付き合ってくれるからこんなに酒癖が悪いなんて知らなかった。 崩れてるのを見たことが無いネクタイなんて頭に巻いてあるのに顔色は変わらなくて余計おかしい。 いやいやいや、笑ってる場合じゃないんだ。 見るからにエリートっぽい男が道路で座り込んで子供のように騒いでる物だからさっきから注目の的。 「武ー!たーけーしー!こっち来いって。座れって!」 「いや、先輩帰りましょうよ。ほら…立って。スーツ汚れますよ。」 「大事な話があるっつってるだろうが!いいから座れ!」 ……話?普段自分の話なんてほとんどしない人だけに興味がそそられて一瞬黙ってしまう。 「いいかー、俺はなー。お前に惚れてる!」 俺だけじゃなくて周りが全員黙り込んでしまった。 「お前は可愛いし優しいし頑...
  • 5-249
    暖める 猫になろうか …胸に乗って、苦しくさせてしまうかも知れない。 電気毛布になろうか? 熱くなりすぎで、剥がされるかも知れない。 ごめんなさい 中間を取って、僕は僕のままでいてもいいですか? 心は冷たくないと思うけど、手も暖かいと思います。 僕があなたのために出来る事は少ないけれど、でも。 「…ばーか。俺がおまえを暖めるの」 柔らかさとは縁のない体だけど 抱いてたら湯たんぽみたいだろ? 暖める
  • 24-249
    「君は本当に馬鹿だなあ」 それは、と彼は間を置いて、随分無駄なことをしたね…と言った。 私はその時、彼の物言いに感動していて言葉がすぐには入ってこなかった。 「やっぱり君は…!君は!完璧なんだ、そんな風に言い淀んでみたり…」 聞いている?と彼は私を見上げ顔をしかめた。 私は目の前のレンズの汚れにふと気がついてそれを拭き取る。 「えっ?ああ、無駄…?」 彼はそれまで取り組んでいたプログラムの読み込み作業をやめて、私のレンズ画面の位置を直してくれた。 「無駄なんかではないさ。こんなにもハイテク社会になったというのに、どんなガジェットでもやはりまだ足らない。はるかに便利なマシンが開発され続けているのに、事故も、トラブルも、ゼロにならない!」 しかめていた彼の顔は今や、呆れるような憐れむような表情になった。あまりに良く出来すぎているその「表情」に私は半ば見とれた。 ...
  • 12.5-249
    パラレルワールドの自分 父さん母さん。パラレルワールドの自分はゲ○でした。 一体なんのSF小説か、俺は自分の世界とは違う、パラレルワールドというやつに跳んで来てしまった。 原因不明。もう、まさしくファンタジー。 跳んだ先がその世界の自分の部屋だったから、運がよかったといえばよかったのかもしれない。 しかし。 パラレルワールドの俺は、ゲ○だった。 「なぁ、お前本当に男だめなの?」 「だめっちゅうか、そもそも考えたことがなかった選択肢っちゅうか・・・・・・」 「外見はまるっきりオレなのにな。ちょっと自分とヤるってのも楽しそうだったのに、残念だ」 いやいや、本当に残念そうにため息を吐かないでくれ。お願いだから。 俺この部屋以外でどこ行けばいいのかわからないんだから。 生まれて初めて貞操の危機なんてもの感じた・・・・・・。 「双子・・・・・・は無理だな。オ...
  • 19-249
    図書委員 「あれ?高橋ー!部活行かねーの?」 「いや、今日委員会あるから行けない。」 「委員会?お前委員会なんか入ってたの?」 「うん。図書委員。」 「は?」 「だから、図書委員。」 「…似合わねー!」 「うっせーよ。似合うも似合わねーもねーよ。」 「ってか図書委員て何すんの?」 「本棚整理とか貸し出しするやつの判子押したりとか?」 「それひとりですんの?」 「いや、他のクラスの図書委員と二人で。多分今日2組のやつと。」 「2組って俺のクラスじゃん。誰だ図書委員?」 「誰だっけ…伊藤って人?」 「…あー、あの文学少年!って感じの!俺図書委員てああいう子がやるもんだと思ってたわ。」 「偏見だろそれは。」 「でもどうせお前は『部活ダルいし図書委員ぐらいなら楽に部活サボれる口実になるなー。』  ぐらいの理由だろ!悪いやつ...
  • 27-249
    どうぞー むしゃくしゃして堪らなかった。仕事が上手く行かないの満員電車で足を踏まれたの応援している野球チームが負けたの、 そういう些細なくだらないことが積もって渦巻いて捌け口を見出だせなくて今にも噴火しそうだった。 今すぐ実家に帰って思う存分に源五郎(秋田犬・オス・5歳)を撫で回したい。しかし実家までは新幹線で3時間の距離だ。 そして当然明日も仕事だ。なによりこの平日深夜に「犬を撫でに帰ってきた」なんて言おうものなら老いた母は確実に俺が病んでいると疑う。 だからもうどうしようもなくてこのイライラをどこにぶつけたらいいか分からなくてとにかく源五郎に会いたいよう。 怒涛の如く垂れ流す俺の愚痴にただ頷いて、後輩は妙に嬉しそうに両腕を広げて笑った。 「どうぞー」 「何が」 「思う存分撫で回していただいて」 「だっておまえ源五郎じゃないじゃん」 「そん...
  • 14-249
    攻めが記憶喪失に 「お前さ、」 わすれちゃったんだろ、と目の前の人言う。 俺には何がなんだか分からずに、ただ病院のベッドの傍で泣き崩れるその人を見ていた。 なんで、なんで、と漏れる声が俺の心臓をえぐるのは、 きっと"忘れてはいけない人"だったからだ。 「…でも、お前が生きていてくれて、よかった」 目の前の人はそう笑った。 その笑顔には、絶対に覚えがあった。 胸が締め付けられるような感覚は、はじめてじゃない気がするから。 「思い出す、から、」 待っていて、と言う。 名前もわからない、この人に。 生きてくれていたことを良かったと言ってくれた、この人に。
  • 13-249
    ヘタレ攻め×女王様受け 「何やってんだよ…」 「いや、だってほら、…本当にいいのか?」 「良いっつってんだよ、据え膳だぞ?さっさとしろよ」 「だってさ~ほら、準備っつーの?色々大変らしいじゃん?」 「だーから、さっき教えてやっただろ?ったく面倒くせーなお前」 「面倒くせぇじゃねぇって!俺はいいよ?でもお前が辛いといけないだろ!?」 「大丈夫だからさっさとしろよ、ほら~御開帳~」 「御開帳じゃなくて…俺一応勉強はしたよ?したけどさ、もし途中飛んで出来なかったらどうする? 血出るって書いてあったぞ!?」 「うっせぇな!!どうでもいいから早く襲って来いよ!!」 「いやいや…物事には準備がな…」 気がついたら太陽が昇っていました。 勇者×ラスボス
  • 10-249
    卒業 「あの後、ベンとエレインはどうなったと思う?」 久々にあの映画を見て―ストリップバーでのヒロインの頭上の乳首回しに声を合わせて大笑いした― ラストにちょっと感動してお互い涙を見せずに泣いて(その間は目を見交わさないのが礼儀)。  その後、いつも通りに愛を交わした後、寝入ろうとしたときに彼がそう呟いた。 「別れたと思う。ラストのあの表情見たろ」と答える。このあたりは手垢のついた話だ。 「彼らは僕たちほど変なことしていないのにね」 「そういう時代だったんだ。映画の手法だよ。  それに、母子に手を出すのは十分罪深いと思うぞ。俺はお前の父親にも母親にも絶対手を出さないし」 笑いながら枕で彼を叩く。単なる寝入りばなの馬鹿話だ。  ただ、その答えは予想に反していた。 「仮に、仮の話だからね。  ―僕が結婚を勧められているとしたら、どうする?」...
  • 20-249
    殊勝なことを言ってはいるが 「……何でお前が家にいるんだよ」 「マネージャーですから」 エプロン姿で菜箸を扱う仏頂面の男は、当たり前のようにそう答えた。 俺は絶望した。 年末年始は受験生の俺だけ残して父母姉貴で旅行に行く……そう聞いていた。 だから、予備校の仲間との年越しパーティーの後、俺は心なしかわくわくした気分で家に帰ったのだった。 それがどういうことだ。 がらんどうであるはずの家では、幼なじみがおせちを作り溜めながら俺を待っていた。 「答えになってねえよ。たかが陸部のマネージャーが、なんで人ん家まで来てお節作ってんだよ」 「OBの進学実績向上も、部の将来のためには必要不可欠だからな」 「進学実績向上?それがこれと何の関係があるんだよ」 「急激な外気温の変化から、ただでさえこの時期に体調を崩す受験生は多い。最悪の事態を避けることができるか...
  • 18-249
    仮性包茎を気にするドSな上司 「あ、ちょっと待って下さい──皮が余って……うまく……」 手コキの最中に、ついそう言ってしまったのがきっかけだった。 不用意なおれの一言に顔色を変えた課長は それからこちらに背を向けて寝ころがったままだ。 膝を抱えた姿勢が痛々しい。 普段の課長であればおれの粗相をネタに 更なる責めを食らわせるくらい造作も無いハズだが、 しかし男にとってチンコは聖域な訳で、 さすがのドS課長といえどそこを突かれれば心も折れる。 だからこそこちらとしても、 課長の包茎をことさら指摘することは無かったのだが。 ……なんにせよこのままじゃらちが開かない。 「本当にすんませんでした!無神経でしたおれ!」 そんな訳でベッドの上で土下座して叫んだ。 「──君に一つだけ言いたいのはだな。 人には決して触れて欲しくない ウィークポイントとい...
  • 21-249
    何が不満か理解できないよ 欲しい物だってプレゼントしたし、我侭だって全部きいてやった。 なのに目の前の可愛い人は満足できないで居る。 「一体、何が不満か理解できないよ」 「どうして分かんないのかがおれには理解できないよ」 そういってそっぽを向く横顔も幼くて、かわいい。 「どうして分かんないのかな」 おれだって薄々気付いているんだ。 何が不満か、お前が本当は何を欲しがっているかなんて。 だけどそれだけはおれにはあげられない。 おれなんかがあげちゃいけないんだ。 「わりぃな、」 おまえが本当に欲しがっている関係だけは。 何が不満か理解できないよ
  • 15-249
    くだびれたオサーン2人 指の間から吸いかけの煙草がさらわれていくのを追って気怠く目を上げた。 非常階段の頼りない手摺に身を預けた同僚がため息をつくように煙を吐き出した。 冷たい金属に凝められた狭隘な空間に青白い煙が漂う。 すこしだけ軽くなった右手でネクタイをゆるめた。 もうすぐ夜の女神の支配する時間が始まる。 くだびれたオサーン2人
  • 26-249
    月と太陽 「なんで、俺がすると裏目にでるんだろうな。」 月の光は、太陽の光を反射したものだ。 同じ光でも、月を通すと、人々は狂気に走る。 「いいじゃん、月はただ愛でられてれば。」 太陽は やさしく俺を包み込む。凍える肌に彼が触れる朔明けの喜びと虚しさ。 そう、俺は何も生み出さない。 地上の生きとし生けるものを愛し、育む太陽とは違う。 そして、その愛を拒絶することも、叶わないのだ。 人外×人
  • 16-249
    雪の子 俺の初恋の女の子は、同じ幼稚園のゆきちゃん。 まわりの子供より体が弱く、ちっちゃくて色白で、雪んこと苛められてたのを助けてやったのが最初だった気がする。 おっきな目が可愛くて、いつもいつも俺の後ろをついてきて。 その子の、妖精みたいなふわふわの髪を撫でてやるのが好きだった。 「ゆき、おおきくなったらアキちゃんとけっこんする」 そう言って笑ってくれたのに、ゆきちゃんは小学校にあがる時、病気の療養の為に田舎へと引っ越してしまった。 あれから9年。 「アキちゃん。迎えに来たよ」 高校生になったゆきちゃんは、陽に焼けた笑顔でにっこりと笑って抱きついてきた。 「え、ゆきちゃん?…あれ?」 「約束どおり、結婚しようね」 俺の初恋の雪んこは、太陽の似合う男の子になっていた。 漢を目指す受とそれを必死で止める攻
  • 25-249
    男前ヒーロー×へたれ相棒 ヒーローといえば悪と戦い正義を貫く、孤高の存在というイメージだ。 だがそこに相棒が添えられるとなると果たしてどういう状況か。 例えば、鍛え上げた体と科学技術を武器にひとり戦うヒーロー。 けれどその影には、彼を支えるメカニックがいたかもしれない。 例えば、誰も巻き込まないために孤独であることを己に課していたヒーロー。 そんなヒーローに憧れた少年が押しかけ、強引に相棒になったのかもしれない。 あるいは、一人では倒せない強大な敵を倒すために ひとりとひとりのヒーローが一時的に並び立つ、そんなこともあるかもしれない。 これらの「相棒」は、皆おのおのの技術を駆使してヒーローを支えている。 そうやって支え支えられ、安定したバランスを保てる相手が相棒ということなのだろう。 さて、それでは俺とこのヒーローの関係は果たして相棒と呼べるの...
  • 17-249
    変態受け 彼はいつも一通り暴れてからでないと、僕に身体を許さない。 蹴り、引っ掻き、噛みつき、お陰で情事の度に僕の身体は傷だらけだ。 そうして僕に抵抗し、抵抗し、やがて力尽きてようやく僕に身を任せるのだ。 しかし力で捩じ伏せればそれで終わりかと言うとそうでもない。 僕に押さえ込まれながらもその強い眼は僕を睨み付け、唇は横一文字に引かれたままで、 どんなに刺激を与えようとも声を押し殺そうとするのだ。 そのまま彼を泣かすのもいいのだけれど、彼が余りに強情なので僕はポケットから白い錠剤を取り出す。 「…っ、いや、だ」 「どうして?ケイくんこれ好きでしょう?」 「ん…っ」 頑なな唇を舌で割って無理やり流し込み、ついでに目尻から溢れた涙を舐め取る。 律動を始めると、彼がようやく声を出し始めた。 「あ…っ、は、あぁ…っ」 眉を寄せ、理性を忘れて快感に震える姿は最高に...
  • 4-249-1
    普段クールな攻が、泥酔して意外な行動をとるのに、ふりまわされるけど、嬉しい受 酒好きなのに、酒癖が悪いって、最悪じゃないか。 DJイベントで、好きな曲かけまくって、踊って歌って、気持ちよかったのは分かる。 終わった後に、ファンの子やイベント主催者さんからもらったお酒を、移動中の車の中で 飲み干して、さびしい気持ちも分かる。 今日は移動日で、ほぼ一日中車の中だから、暇なのも分かる。 でも、運転手やってくれてるスタッフさんとか、他のメンバーの目もあるんだけど。 「ほら、ユウ、チューしよ、チュー。」 「やめろって、気持ち悪い」 「何言ってるんだよ、いっつも喜んでしてるじゃん。ほら、チューしよって。こっち向けって」 「やめろって! 酒臭い!」 機材車の最後部で、俺達、何やってるんだ。 他のメンバーやスタッフは、前の席に座っているから、どういう顔で、...
  • 5-249-1
    暖める 一回りも違う身体つき 並んで座ればすっぽりと収まる程で 同じ年なのにと毎度のことながら感心する 特別優劣を感じることもないが 只この身体中に伝わる温もりと 幸せそうに此方を覗く彼の顔には 到底敵いそうにない 幼馴染を初めて意識する瞬間
  • 21-249-1
    何が不満か理解できないよ わからないんだ。何故君が、そんな顔で首を振るのか。 ずうっと悲しそうな顔をするのか、ぼくには。 「どうして?」 そう訊くと君は後ろめたそうに俯いた。ああ違う、そんな顔をさせたいわけじゃない。 「責めてるわけじゃないよ…」 単純な話で。ぼくは君に笑っていてほしいんだ。それだけの理由でぼくはここにいる。 「何にもいらない。ぼくはただあげるだけ。捧げるだけ」 ぼくは君にできることすべて、してあげたいと思う。愛したいと思う。 愛されたいとは、思わない。 君には日の光のように愛情を受けていてほしい。世界で一番愛されるものであるべきだ。 君は負担に思うことなど何もない。ぼくがしたいだけなんだから。 「君は、それを受け取るだけでいいんだ」 なんなら打ち捨ててくれて構わない。それで君が笑うなら。 愛させてほしい。君が愛するのがぼくでなくても。 ...
  • 23-249-1
    かえりたい ロクでもない人生でも、オレにはお前が居た。 ヒッソリと生きていたのに、どうしてだ? あの日、今まで信じていた事が嘘となり世界が変貌し壊れていった。 お前と共に……。 幸せになりたい、全てをなかった事にしたい、なんて贅沢は言わない。 ただ、あの日に帰れるものなら帰りたい。 そうしたら、今度はお前の側に居るから。 たとえ何が起きても、お前の手を掴んで離さない。 お前1人だけに、つらい思いをさせない。 非力なオレだけど、お前の為に精一杯頑張るから。 どんなに酷い現実でも、一緒に受け入れるから。 だから、あの瞬間にかえりたい……。 喧嘩ップル
  • 15-249-1
    くだびれたオサーン2人 店屋物で各自遅い夕食を終える。署に泊まるのもこれで五日目だ。追い込みのかかった捜査本部は段々と殺気立った気配を漲らせてきている。 その張り詰めたような空気が嫌で、安藤はわざと唸り声のような溜息をついた。爪楊枝を吐き出し、ごみ箱めがけて投げる。それは小さな金属製のごみ箱のふちに跳ね返り、無残に床に落ちた。安藤は片目を細めて舌を打つ。 安藤は斜め向かいのデスクで書類を書いている横山に向かって声をかけた。 「外行くか」 屋内禁煙。押し寄せる嫌煙の波に、警察署とて無縁ではない。取調べ室すら禁煙とされて現場の刑事は不平を漏らしたものだが、あるか無きかの抵抗は果たして無駄に終わった。今では皆、この寒空に屋外で情けなく煙をくゆらすことしかできない。 「ん…おお、ちょっと待て」 横山は眉間に皺を寄せて、つたない指づかいでキーボードを叩いている。未だにタイピングタ...
  • 18-249-1
    仮性包茎を気にするドSな上司 「毎回シャワー出た時からギンギンだったのって」 「言うな」 「おれのこと責めてる時に道具しか使わないのって」 「黙れ」 「っていうか日本人の6割以上がそうだって言いますし」 「馬鹿が。アレ絶対嘘だからな。 銭湯行ってみろどいつもこいつもズル剥けだろうが! アレは世のホーケー共を哀れんだプロパガンダに過ぎん!!」 「いやー…… あっ、ホラ、ホーケーは銭湯行かないんですよきっと!」 「そんな『アイドルはうんこしない』話法で 誤魔化される俺ではないぞ……」 「っていうか課長、ベッドの上では王様のくせに そこ指摘されると弱いんだからー。 でもそんな所が好きです!」 「だからおれのチンコがズル剥けで課長よりデカくても 気にすることないんですからね!」 「貴ッ様ァァァ! 覚えていろよ!!後で泣かすからな!」 早...
  • 10-249-1
    卒業 先週、俺はこの学校を卒業した。 進学が決まった報告に訪れた今日が、この校舎に来る最後の日だ。 地元を離れることも決まったから、あの人と会うことももうない。 あの人が誰を見ているかぐらい、とっくにわかってた。 俺は3年間ずっとあの人だけを見てたんだから。 1年半が経つ頃には、アイツのあの人を見る目つきが変わったのにも気付いた。 あの人がアイツといる時、どれほど幸せそうな顔をするのかも。 それでも諦められなかった。 望みがないとわかってても、あの人を想う気持ちを止められなかった。 告白する勇気もない、ましてやアイツから奪うことなんて出来ないくせに。 でも、それでも終わらせることはできなかった。 今日を逃したらもう、あの人と会う機会はない。 合格した日に決めた。 最後にあの人に会って、それで終わりにしよう。 きっと、すぐに忘れたり...
  • 12-259
    夢精 「兄貴兄貴兄貴っ!? ねえ、兄貴ってば!!」 ドタドタと盛大な足音を立てて、一段抜かしに階段を駆け下りてくる我が弟に、俺は小さく吐息した。 「うるさい、黙れ。そして階段は静かに下りろ」 「だ、だってだってだって!!」 そう口にする弟の頬が、いつもと違い林檎のように赤く染まっている。 おまけに目元には、薄っすらと涙まで滲みかけているようだ。 何なんだこいつはと思っていれば、眼前の弟は蚊の鳴くような声でこちらに縋ってぽそりと告げた。 「お、俺、おもらししちゃったみたい……」 「…………は?」 あまりに予想外なその言葉にあっけに取られ、手にしていた新聞を思わず床へ取り落とす。 口をぽかんと開けたまま何も言えずにいる俺に、弟はなおも小声で続けた。 「どうしよう、母さん達昼には帰ってきちゃうよね? ……それまでに、布団乾く? 乾くかな!?」 漸く立ち直ったこちら...
  • 12-209
    直球エロ 「先輩、エロいことして良いですか?」 「え?」 「さっきから我慢してたんですけど、もうオレ暴発寸前です。  とりあえず抱き締めて舐めまわして良いですか?」 「…はぁ!?」 「具体的には、キスして舌入れて先輩の口腔内を犯しまくって、先輩の舌に俺の舌絡めたり先輩の下唇甘噛みしたりしながら、先輩の反応を楽しみつつ、そのシャツのボタン外して先輩の素肌をなで上げて、」 「何言ってんだバカ!」 「先輩、顔赤いよ?  耳まで赤い。すげー可愛い。今すぐ押し倒して耳たぶ噛んで、」 「馬鹿馬鹿馬鹿!それ以上言うな!!」 「先輩、したい。」 「…っ!!」 「駄目?」 「…駄目じゃ…ナイけど…。」 「じゃあ遠慮なく」 「ちょ!待て!少しは遠慮しろ!  …っ馬鹿…や…ぁ……」 手のり
  • 12-269
    あなたが最近目覚めた萌え 語りでもSSでも 満月の夜。二人の男が、とある縁側に並んで座っていた。 黒髪の男が葉巻をくゆらせ始めた。 彼は火を隣の男に渡そうとしたが、隣に座っている金髪の男は、柔らかい手つき でそれを退けた。 「俺ぁいいですぜ、俺にゃあこれがありますから」 そう言って笑う金髪の手には飴玉が握られていた。 「前から少し気になっていたけれど、お前はひょっとすると、酒とか葉巻が苦手 なのかい」 黒髪が金髪の顔を覗き込んだ。 「苦手ってんのとは違います」 金髪は飴玉を口に放り込むと、黒髪の顔を見て寂しそうに笑った。 「味がしねぇんでさ。貴方方の仰る、辛い、酸い、苦い、後は何だったか忘れ ましたが、とにかくそういうのが俺にゃあ分かんねぇんです。まぁ分かる方にお 話ししても、合点はいかないでしょうね」 黒髪は目を丸くし、数秒金髪を見つめた後、なるほど...
  • 12-229
    手のり Take 1 「くく…漸く気付いたか。そう、貴様らは私の掌の上で踊っている だけだったのだ!」 「その姿、まるでお釈迦様に弄ばれる孫悟空の如し!」 「古典冒険小説の一場面が一気に人聞き悪くなった!というかお前の 事だろ!」 「弄ばれた…」 「抽出するなー!」 Take 2 「貴様らは私の掌の上で踊っているだけだったのだ!」 「手乗り金魚~」 「…ぎょ、ぎ○ぴちゃん?」 「あの魚色々疑問に思うことは多かったのだが何が一番気になるって あの色だったんだよなピンクって何だよ魚だしカラーひよこみたいに スプレーで塗れそうも無いしかといって保護色にしても体が真ピンク になる環境って一体どんなもんかと」 「なあ貴様ファンタジーやる気無いだろ?」 Take 3 「私の掌の上で踊っているだけだったのだ!」 「南く○の恋人…か」 「え、いや...
  • 12-049
    好きな人に嫌われてる 君が好きでたまらないけど 君は僕を嫌っていて 僕の存在を認めるたびに 君がそんな顔をするのなら 僕は君のために 君の前から姿を消そう 同じ教室の端と端で 僕は存在するだけの陰になる 僕の声を君に聞かせまい 僕の姿を君に見せまい 僕の匂いを君に嗅がせまい 僕の熱を君に伝えるまい 僕がいることを気取られまい 君の安らぎのために 僕ができる唯一のこと 「…なー、あんな奴うちのクラスにいたっけ?」 「何言ってんの? お前の後ろの席じゃん」 「なんかあいつキモくね? しゃべんねぇし」 「俺、あいつの声聞いたことない」 「あ、俺も俺も」 「キモいよな、オタクじゃね?」 「うへ、マジきめぇ」 「俺去年同じクラスだったけどさ、普通にしゃべってた気がすんだけど…」 「どうでもいいよ、それよりお前ら土曜の...
  • 2-279
    42歳×19歳 「ただの骨折です。頭部に異常はありませんし、二週間で退院できますよ。」 目の前にいるのは朝方救急で運ばれきた患者。免許取得後一ヶ月、ハンドル操作ミスで電柱に激突したらしい。 右腕を吊っている以外は、普通の少年となんら変わりないが、ただ違うのは男らしくないこの顔立ち。 男に生まれて42年、ちなみに独身。向かい合ってこれ程緊張する男は初めてだった。 実はというと自分はこの少年が気になってしょうがない。 午前の診察もあまり集中できず、昼食もとらず用もないのに病室来ているくらい。 「先生さーそのメガネとってよ。ねぇってばー」 上目遣いで覗き込まれる。赤面しそうになって視線を逸らす。 「だめだめ。これがなきゃ何も見えな、、こら、返しなさい!」 「へーけっこう男前じゃん。45だっけ?30代に見える!」 「42だ!!ちょっと、眼鏡!」 ...
  • 2-299
    中国×台湾 台湾は苛立っていた。 あいつさえいなければ、俺はもっと自由にやれるのに、と。 あいつ――中国は月日の経過なんて考えもしないで、俺を縛り付ける。 俺はもう、何も知らないガキじゃないのに。 あいつに頼らねば生きていけなかった昔とは違うのに。 むしろ、そうむしろいつのまにかあいつを追い越してしまっているのに。 一人になりたい。自分の足で立ってみたい。 あいつの背に負ぶわれ、あいつの影に潜むのはもうたくさんだ。 ならば、無理やり逃げ出せばいいと誰かが言う。 武器を取り、炎を放ち、今までの恨みを散々晴らして、 奴の元から逃げればいいではないかと。 ……それが出来るなら、とうにやっている。 でもそんな大それた事出来る筈がない。 だって、結局俺はひどく姑息で臆病なのだから。 一人前になったのを認めては欲しいけれど...
  • 2-239
    桃と梨 あいつのぐじゃぐじゃしたところが嫌いだ しゃっきりさくっとした歯応えが俺の身上だしな 「指で押さないでください」ってそんなやわでどうするよ そりゃ果物みんなネットは大抵かぶるけどあいつのは異常 身体が弱いんだかなんだか知んないがいつも大抵コートを身に纏ってるしよ 皮だって指で剥くべきかナイフで剥くべきか、そもそも剥くか否かすらはっきりしない奴じゃないか 俺は皮剥いてから食べないと腹壊すと言われてるぜ バナナとかみかんとか見習えあんなに皮がはっきりしてるしイチゴに至っては剥かなくても食える なんでここまであいつとは正反対なんだろうな それに桃ってなんだよ姿そのものが卑猥じゃんかよ あんな格好して甘い香りを漂わせてかぶりついたら汁が溢れてきて口も指もべたべたになるって …何考えてんだ俺。 短気な後輩×卑屈な先輩
  • 2-209
    韓国×日本 日本の何が気に入らないって、あの人情味の無さだ。 「戦争を反省しろ!」 「はいしてます。遺憾です」 「国連になんか入るな!」 「理解してもらえるよう努力します」 「独島は俺のモンだ!」 「冷静に話し合いを続けましょうね」 あいつの目はとことん米国にしか向いていない。 俺の言葉なんざ風音のように無視している。 まだ足りないのか? もっと強く押せばいいのか。 叩いても叩いても割れない壁があるみたいだ。 さすがに罵声のネタが尽きた頃、ふっと日本がこちらを向いた。 突然で死ぬほど驚いたんだが、日本は涼しい顔をしている。 「ドラマ、面白いね」 「エッ?」 「韓国の。ドラマ。わりといい」 「え? あー。家では古臭いって評判なんだが……」 「その懐かしい感じが良いんじゃないですか。  も...
  • 2-289
    ボールペン×えんぴつ オマエなんかケシゴムで消されるやろ、とアイツはイヤミったらしく言う。 けどオマエやってインクが乾いてなきゃ びよーんとみっともなく予想外な方向に中途半端に伸ばされて 小汚くなるやろ? …乾くまで待ってて貰えればいいだけか。 線も太いし水にも少しは強いし… ずるいわ自分。 俺の上にたまに乗ってニヤケた顔しとるけど ま、せいぜい重宝されたらエエがな。 一人で。 …時々、おまえの上に俺は重ねられる 短い時間でしかないけど 憎まれ口ばかりきいてしまうけど マジに白状すれば、 それは俺にとってはかけがえの無い時間で。 …おまえがいなくなった後も おまえと重なり合ってた時間の思い出だけで どうにかやってるよ、 俺。 中国×台湾
  • 2-269
    米国×日本 (この無神経野郎…。) 日本は思う。 大きくて、強くて、陽気で、どこまでも明快。 いっそ米になりたいとまで思うほど、ひたすらに憧れた時期があった。 同時に、何もかもを自分の思い通りにしようとするその無神経さを憎んでもいた。 相反する感情は時に耐えがたいほどの葛藤をもらたす。 「全てお前の為なんだ。お前の身は守ってやってるだろう?もっと俺に寄り掛かればいい。」 別れ話の腰を折って、米は慣れた仕草で肩を抱き寄せた。 小柄な日本はすっぽりと包み込まれる形になる。 日本は微かに眉を寄せたが、物憂げに微笑んで、続きを飲み込んだ。 日本が押しに弱いことは初めての時から百も承知だった。 米に半ば強引に体を開かされて以来、ひきずられるようにして続いている関係。 理不尽な要求を突きつける米に日本は時折こうして別れ話を切り出そう...
  • 2-219
    執事×旦那様 執事はあれだ、個人的には年上で、旦那様が坊ちゃまだった時代からお仕えしてるといいね。 旦那様は天使のようにかわいらしい子供時代を経て、かなりお腹の黒いお方にご成長なさった んだけど、執事的には未だに清らかで守ってあげたいお坊ちゃまなわけですよ。 僭越ながら弟のように思ってるわけですよ。 そんな坊ちゃまは今では立派な妖艶誘い受け旦那様だけどな。 旦那様が色んな紳士と浮名を流してる片棒を担いでおきながら、今いち事態を把握してない 執事。いやね、執事も大人だし、心当たりがないでもないよ。 だけどそんな疑惑が胸に浮かぶたびに打ち消してるわけ。傍から見たら無理がありすぎな 必死さで打ち消してるわけ。そんなことあるはずない、うちの旦那様に限ってと。 旦那様の方でも執事は兄っつうか、空気? そう、空気のような存在。恋愛対象外。 だっておしめ...
  • 2-259
    無職者と新幹線で飛び回る有職者 「あへ……お前でかけんの…?」 朝早くからバタバタと用意をしている恋人に、布団の中から男が声をかけた。 「昨日言っただろうがー。今日から出張!帰るの明々後日な」 「あれま……気ぃつけろやー」 寝癖がついた髪をぼりぼり掻きながら、パジャマのままで玄関まで出迎える。 この男にゃ急ぐ必要は無い。どうせ仕事も何もあったもんじゃないのだから。 「俺が留守ン間の戸締りとか頼むぞ。俺が居ないからってご飯は適当にするなよ?後それから…」 「おーい、時間いいのかぁ?」 「うぎゃああ!やべぇ!んじゃ行って来ますッ」 「あ、ちょっと」 「え?何?マジで俺、新幹線の時間やば……」 きっちり着込んだスーツな姿の相手の、ネクタイをグイっと引っ張る。 ちゅっと軽く口付けてから、男はやんわりと笑んだ。 「行ってらっしゃい。毎回言...
  • 2-229
    年の差でフリーン、最後の夜 「別れてやる」 ちょっとした事に腹をたてたに時に使うはったりにアイツはいつもと違う反応をした。 「そうだね、僕達終わりにしよう‥」 「…‥は?」 一瞬自分の耳を疑った。いつもなら、それはやだなぁと笑いながら暢気に言うアイツが。 深刻な顔で、声色でそんな事を言うなんて思いもしなかった。 「子供が出来たんだ、彼女に」 「‥じょ「冗談じゃないよ。君の事は変わらずに好きだけど、彼女を裏切るのはもう嫌なんだ」 彼女を愛しているから‥という言葉が胸に痛い。 こんな時何を言えば良いんだ。 頭が回らない。 「最後に抱かせろよ」 回らない頭でそれで別れてやるからさぁと鼻で笑う。 伝えたい言葉は本心と食い違う。 自分の性格を怨んだのは、この時始めてだった。 「…わかった」 そう頷くアイツを、...
  • 22-279
    お前が好きなんだよっ、バカ! 「お前が好きなんだよっ、バカ!」 裏返った大声と表のドアがたてた派手な音に驚いて顔を出すと、ベテランバイト君がレジ前に立ちつくしていた。 ドアがまだ揺れている。……体当たりで開けたんじゃなかろうな。 うわー、他にお客さんいなくて助かった。 「杉浦君。杉浦くーん」 正面に回って声を掛ける。バイト君――杉浦君は、ようやく僕に気付いたようだ。 まだ口が半開きのままだけど。 「あ、店長……」 「今出てったお客さん、友達でしょ? あの子よく来てくれてる」 よね、と言い終わる前に、杉浦君がその場にしゃがみ込んだ。 「あ、ちょっと、大丈夫? ……喧嘩?」 ……いくらなんでもあのセリフは店へのクレームじゃないだろう。 「ち、違うんです。喧嘩とかじゃ、なくて、急に」 椅子を引っ張ってきてなんとか座らせると、エプロンをきつく握りしめて震え...
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