*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「14-449-3」で検索した結果

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  • 14-449-3
    学生やめて久しいので休みなのかどうかもう全然わからん。でも冬休みはクリスマス前後からだよなあ、まわし 「優希くん、学校どうしたの?」 「休みだけど」 「こんな時期に? 普通クリスマス前後じゃない?」 「今は試験休みだってば」 「俺だまされてないよね?」 「じゃあ学校に問い合わせれば?」 「あー。学生やめて久しすぎて休みの時期なんてもう全然わかんねー」 「親でもないのにうざいよ、達也さん」 「親以上ですよ、俺は」 この人は俺の後見人。 火事で家族も家もなくした俺を血のつながりもないのに 周りの反対を押し切って引き取ってくれた人。 もちろん簡単に出来たわけじゃない。 後見人になる時には変な勘ぐりもあったらしい。たぶん今もある。 俺の知らない所で、達也さんは俺がなるべく傷つかないようにしてくれている。 「早く大人になりたい」と言うと、 「そんな...
  • 14-449-2
    学生やめて久しいので休みなのかどうかもう全然わからん。でも冬休みはクリスマス前後からだよなあ、まわし 「なに言ってるんですか。久しいもなにも、先輩が卒業してまだ一年経ってませんよ」 「俺は過去に囚われない男だ」 「もう一度言いますけど、一体なにを言ってるんですか」 「俺は常に未来しか見ていない。過去は振り返らない。学生時の習慣もまた然り」 「去年の今頃、先輩は年賀状用の芋版を作る!とか言ってサツマイモ買い漁ってましたよね」 「ああ、あの焼き芋うまかったな!やっぱ焚き火でやるとホクホク感が違うよな」 「思いきり覚えてるじゃないですか」 「あの後小火になりかけたよなー。あれは焦ったな!」 「その様子だと、全然反省してないですね」 「あーなんか焼き芋食いたくなってきたな。食っとけばよかったなあ」 「……だったら、今から買いに行きますか」 「んで、話を戻すけどさ、冬休...
  • 14-449-1
    学生やめて久しいので休みなのかどうかもう全然わからん。でも冬休みはクリスマス前後からだよなあ、まわし じゃあたまには萌え語りでもするか なおこの萌え語りはフィクションです。気分を害してしまったら申し訳ありません 「学生やめて久しいので休みなのかどうかもう全然わからん でも冬休みはクリスマス前後からだよなあ、まわし」 このレスから勝手に妄想したのはおっさん、もしくは高校中退した若者です。 おっさんの場合は、あるやもめ暮らしの冬の日、突然見知った少年が訪ねてくる。 学校はどうした、さぼりじゃないのかとうろたえまくるおっさんに、 「今冬休みだから大丈夫」なんて少年は笑いながら答えます。 そして寂しそうに上の言葉をぼやくおっさんに少年はいとおしさを感じるのです。 若者の場合は街ではしゃぎまわる学生らしき集団を見て、いらいらしながら言ってくれるといいと思い...
  • 14-449
    学生やめて久しいので休みなのかどうかもう全然わからん。でも冬休みはクリスマス前後からだよなあ、まわし 「最近制服見ないなあ。もう学生は冬休みか?」 つり革に捕まって電車に揺られていると、どうしても眠気が襲ってくる。 まさか立って寝るわけにもいかない。そう思って隣に立っている同僚の三田に話題をふった。 「……でも、冬休みはクリスマス前後だよなあ?……クリスマスっていえば、お前予定決まった?」 三田は答えなかった。ただこちらを見ている気配だけがする。 かまわず口を動かす。俺は寝たくない。 三田が僅かに身じろぎした。かっちり着込んだコートが俺のよれよれのコートにぶつかる。 「……俺、今年はクリスマスにちゃんと家で過ごせるかも怪しいよ」 そろそろ日付が切り替わる電車の中は人がすし詰め状態なのに、いやに静かだ。 ひそひそ喋る俺の声と、どこかの誰かから音洩れしているらしい流行...
  • 4-449-1
    クリスマスまであと1ヶ月 「…ごめん、好きな人できた」 唐突に告げられた別れの言葉。 それも、今年のクリスマスはどこで迎えようか?と話してる真っ最中に、だ。 「う…嘘だろ?」 何度その言葉を否定してもあいつは「ごめん」と謝るだけで、 俺の何が気に入らなかったのか、相手は誰なのか、 いつから俺を好きでなくなったのかという質問にも答えようとしなかった。 「ごめん。本当にごめんな」 そう言ってあいつは俺の頭をくしゃっと撫で、俺の前から立ち去る。 どれぐらいそうしていたんだろう。 俺はあいつが立ち去った後もずっとその店のカウンター席に座ったままで。 「あの…お客様。そろそろ閉店なんですが」 とカウンターの中のバーテンダーに言われてふと気づけば 目の前のロックグラスに入ったウイスキーはすっかり氷が溶けていて、 とんでもなく薄い水割りと化していた。 閉店と...
  • 24-449-1
    似た者同士 「なあ、徹平」 耳の後ろで名を呼ぶ声がした。暖かい。人間の体温は心地が良い。 「何ですか、先輩」 変わらぬ体勢で俺は返事をする。腕の中にいる人は一寸の身動ぎもせず、 ふたりぼっちだな、と短く息を吐いた。 この人はいつも、考えて考えて結論が出た後にどうでもいいような台詞を口にする。 そしてそのどうでもいいことが、きっと一番掬い上げてほしい部分の薄皮一枚こちら側にあるのだ。 俺はあえてそれを拾わない。この距離感が俺達には必要で、越えてしまったが最後、 只でさえ足場のない関係はどうしようもない傷口の舐め合いになるだろうことは間違いなかった。 そして、俺がそれを知っていて解っていてしないということを、この人はよく理解している。 「‥‥狡い人です」 ふう、と今までに数巡は廻らせている思考をもう一度なぞってから溜め息を吐くと、 彼はゆっくり身を起こした。 ...
  • 4-449
    クリスマスまであと1ヶ月 「うわっ、なんすか、これ。12月24日の晩がなんで俺と店長だけなんすか」 クリスマスまであと一ヵ月。店長からバイトのシフト表を渡され、俺はへこんだ。 「だってさ、カノジョいないのって、僕と山田くんしかいないんだよー。それにサンタ姿はベテランの山田くんじゃないと似合わないんだよ」 わけのわからない理由で泣き付く店長は俺より3歳年上。本社からコンビニ店長として出向してまだ3ヵ月、自然と俺が仕事を教えるはめになり、他のバイトの子より店長と話をする機会が多くなった。 「たーのーむーよぉー」涙目で俺の袖をつかんで甘えないでくれ、店長。その目に弱いんだから… 「あーもう、わかりましたよっ。そのかわり、店長はトナカイになってくださいよ」 クリスマスまであと1ヶ月
  • 24-449
    似た者同士 「ラブレター。健二宛だったぞ。」 俺は封の空いた手紙を健二に差し出した。 「中を見たんですか?」 健二は怪訝そうに手紙を受け取ると、俺を睨みつけた。 「仕方がないだろ。下駄箱に入ってたんだから。 ちゃんと宛名は佐藤君へって書いてあるし。」 同じ苗字なんだ。 俺は悪くない。 恨むなら、俺では無くうっかり者の差出人を恨むべきだ。 「どんな内容だったんですか?」 「それを俺に言わせるのかよ・・・。」 俺は溜息をつくと手紙の内容を羅列した。 いつもあなたの姿を見ていましたとか、 サッカーをしている姿が素敵!とか、 頭が良くてかっこいいとか いつも優しい所が好きですとか そんな内容だったと思う。 「それなら、浩二にも当てはまるじゃないですか。」 「俺は健二みたいに成績良くないけど。」 「買いかぶりすぎです...
  • 2-449-1
    城に潜入して捕まる、お間抜けな忍者さん危機一髪 「……!…何やつ」 「拙者は偸組(ぬすみぐみ)の忍。お主が命、貰い受けにきた!」 月夜に紛れ、寝床へと侵入した、顔を隠した忍者が懐から出したもの。 それは、キラリと月夜に照らされる、一本の――――赤い薔薇。 「………」 「………」 「……私は、薔薇で刺し殺されるのかな……?」 「……馬鹿な!確かにここにクナイを入れておいたハズなのだが!こっちか?いや待てこっちだったか!ッ……これは先日遊んだ羽子板…!くっ……なんたる不覚……拙者達の片腕とも言える武器を忘れるなど……!拙者は……」 ガクリ、と畳の上に崩れ落ちた忍者を見下ろす男の瞳。その口元がクッ……と緩やかな笑みに変わり。 「此れまで色々と刺客は来たが―――ここまで見事な刺客は初めてだな……」 「殺せ……。うっかり自害用の薬も奥歯に...
  • 14-439-3
    きみといつまでも 「せんぱっ……卒業おめでとうございまっ……うえええええ」 卒業式の後、派手に泣き出した後輩を前に、俺は苦笑する。 卒業するのは俺で、コイツはまだあと1年この学校に通うはずで。 なのに、あまりに大泣きするものだから、俺の方は感傷やらなにやらは全てどこかに行ってしまった。 「コラ、泣くな。どっちが卒業生だか、分からないだろ」 「だって、だってぇ」 涙を隠そうともせず、鼻水まで垂らして泣いている後輩を、俺はずっと可愛がってきた。 そして、相手も慕ってくれていたことは、現在目の前に繰り広げられている光景からすれば、疑いようもない。 「たかが卒業だ。そんなに、大したことじゃないだろ?」 「大したことですよ!! 大したことなんですよ!! だって、俺、先輩の「後輩」ってポジションしかないのに!!」 「は?」 訳の分からない内容で食って掛かられて、思わず聞き...
  • 15-449-2
    大好きだからさようなら この日を、笑顔で送ろうと思っていた。 お前と俺がさよならをする日。 お前が心配しないように、俺頑張ったんだぜ? 苦手だった料理もするようになったし、嫌いだった掃除機もかけるようになった。 洗い物もちゃんとやってるよ。 じゃんけんで代わりにやってくれる人、もういないもんな。 あ、あと就活も頑張ったんだぜ。 希望してたとこ、なんとか潜り込んだぞ。 これからやってけるか不安だけど、やれるだけやってみるよ。 人付き合いも面倒くさいけどお前見習って友達もつくってみる。 この部屋とも今日でさよならだ。 お前とたくさん話して、泣いて怒って笑った部屋。 笑顔でお別れしたいのに。 写真に写るお前を見ると、今でも会いたくてたまらなくなる。 なんでお前がいないんだろう。 俺の隣にはお前の場所しかないのに。 一年間、俺はがむしゃらに頑張ったよ。 ...
  • 18-449-1
    照れ隠しで抱きしめる あまりに関谷が俺を褒めるものだから、照れ隠しに抱きしめてみた。 関谷はぎゅむ、と声ともつかないうめき声をあげ、じたばたしている。 参ったか、これで黙らざるを得まい、どうだ俺の嫌がらせは。言葉にすればそんな気持ち。 とにかく、いつも生意気な後輩に一矢報いたつもりだった。 実のところ、逆襲の必要はもうなかった。 真面目だが一本気すぎて扱いにくいと評判だった関谷は、 一緒に担当した今回のプロジェクトを通じて、徐々に素直になっていたから。 鼻っ柱の強い後輩に認めさせる……先輩としての勝利だ。 だからもう気は済んでいた。まさか薬が効きすぎているとは思いも寄らなかった。 「いい仕事でした……加納さんの企画は的確だった。  客も予測以上に入ったし……内容もよかった。ゲストも受けた。  地味なテーマなのに満足度高かったですよ。取材も結構来ましたし...
  • 15-449-1
    大好きだからさようなら 何か変だなと思ったのは3ヶ月前。 携帯電話を盗み見たりなんかしなかったけれど、 自分のいるところで話をしない通話が多くなった。 たまたま鳴りっぱなしの携帯に出た時は、相手の人が無言で切った。 残業だと言っていたけれど、職場の人から緊急の電話が家にかかってきた。 服の趣味が変わった。 知らないシャンプーの匂いがした。 俺の吸わないタバコの匂いもした。 でも、一緒に暮らして長いから、仕方ないかと思ってた。 病気だけは気をつけて欲しいと思っていたけど。 俺は今でももてるから。他のやつより魅力的だと自信があったから。 「鍵を返して欲しいんだ」 それなのに、なんでそんな言葉が俺につきつけられるんだろう。 この間、そいつと一緒のお前を見た。 俺と一緒の時には見せなかった顔をしていた。 俺とつきあい始めた時にも見せて...
  • 9-449
    番長×生徒会長 すっかり暗くなった学校からの帰り道、僕は少しだけ遠回りをして土手の道を通る。 いつも取り巻きのような連中に囲まれている彼が、たまに、そこに一人でいることを知っているからだ。 いた。 何をするでもなく、少年はうっすら雪の積もった河川敷を眺めている。 「よう、会長さん」 音に気付いた彼が振り向き、声を掛けられて、僕は自転車を降りた。 「こんなところに座っていたら冷えるだろう」 「別に」 「…僕を待っていた?」 「俺に会いに来たんだろ?」 あっさりと返される。顔色ひとつ変えない彼に、こっそり舌打ちする。 「随分遅いお帰りなんだな」 「生徒会の仕事で」 「こんな時間までよくやるもんだな。…ゴッコ遊びみたいなモンをさ」 「……まるで」 「あん?」 「いや、」 「言えよ」 「…まるで、君らのやっていることは、ゴッコ遊びじゃないような...
  • 28-449-01
    リアリスト×オカルト好き 「くだらねえよなあ」 出来上がった見本誌を興味なさそうにぺらぺら捲りつつ編集長がぼやいた。 読んでいるのは我が出版社の唯一にして看板の雑誌、その最新号である。 オカルト雑誌なんてくだらない、というのがうちの編集長の口癖だ。 この口癖を聞き続けてそろそろ一年になるが、そのときの俺はその言いようが聞き流せなかった。 「それじゃあ聞きますけど。なんで編集長は編集長なんですか」 「なんだその質問。哲学か?」 「違います。どうして編集長はオカルト雑誌の編集長やってるんですかってことです」 言い直すと、編集長は皮肉っぽく笑ってから答える。 「そんなもんお前、日々の生活の為だよ」 「生活の為に、くだらない雑誌作って世間にバラまいてるんですか」 先月いっぱい取材して二徹までして完成させた記事(『死の世界へ繋がる公衆電話』現地レポート)を 軽んじら...
  • 19-449
    田んぼにダイブ 「おめーそういや、ここに髭さ生えてんのな」 「おー? まあなあ」 夏休みの宿題を二人で片し、駄菓子屋へ向かう道、照り返る陽光にほわほわと揺れる髭が目立った。 明は自分の未だ生えない鼻の下を撫でて、それから佳樹の髭を触る。 「なんだあ、こすぐってぇ」 「俺にゃまだ生えてねえど」 「そのうち生えっぺ。おめげの顔はガキくせえからな。まだなんだろ『せーちょーき』が」 明はムッとした。 顔つきは確かに佳樹のほうが大人びているし、最近とみにゴツくなったが、それでもまだ明のほうが身長が高いのだ。 「どん口でそれを言うだ」 「こん口だ」 にししと笑う佳樹の顔が許せなくて、そのまま髭を一本抜いた。 「っいっで!!!何すっだか!!!」 「ざまあ見さらせっ。舐めた口きくからこうなんだ。ガキの癖して」 「へん!んじゃおめーのが大人だ...
  • 14-349-1
    ツンデレになりたい 「おまえ彼女と上手くいってんの」 「あ、あの可愛い受付の子ね」 「いや別れたよ。先週振られた」 「おまえが振られるって珍しいな!」 「なんて言われたの?」 「『私、あなたが私を愛してくれる程あなたを愛しているのかわからなくなっちゃって』だって」 「あいつ言いそうだな。それもブリッコしながら」 「大好きだったんだねぇ」 「いやベタベタすんのが好きな女だと思ってたんだよ。そしたら意外と冷静なタイプだった」 「ていうかやっぱギャップが必要なんじゃね? おまえら優しいからさぁ、女には優しいだけじゃだめなんだよ」 「ええ、それって僕も入ってるの?」 「そりゃこの三人の中で一番優しいのはおまえだもん」 「どうせ今付き合ってる奴にもベタボレしてんだろ?」 「うんまあそうなんだけど」 「気をつけろよ、時代は紳士よりツンデレを求めてるからな」 ...
  • 14-499
    歩けなければ這ってでも 歩けなければ這ってでも、 貴方の元に向かおうか。 痛みさえ今は、 とこしえに続く甘美な旋律。 死など恐るるに足りやせん、 いずこにも貴方のいない世界こそ死だ。 「久し振りに舞台の上で台詞をそらんじたら本当にそんな気分になったんだ」 「とんでもないな、それで人の腰を立てないようにしに来たのか」 ああ愛しい人よ、だからどうか今だけは這い蹲って鳴いてくれ。 へっぴり腰で艶めいた声のする君の元へ、必ず俺は帰るから。
  • 8-449
    派閥対立 仮眠を取ろうと足を踏み入れた休憩室には、既に他の人間が居た。 眠そうな顔で目蓋を擦ってソファにどっかと腰掛けた俺に、向かいの椅子に座っていた相手が声をかける。 「あっ、あのっ! 斉藤先生ですよね!」 弾んだ声音は、随分と若々しい。 興奮しきった目でこちらに話しかけてきたのは、先日転任してきたたばかりの若い医師だった。 紅潮した頬を手で抑えると、勢い込んで俺に告げる。 「俺、学生時代に先生の論文を読ませていただいたんです。 それで、その……すごく感銘を受けて小児科に!お、お話できて光栄です!! 」 よほど緊張していたのだろう。 一息にそこまで言って、ふぅ~っと長い息を吐き出す。 顔は見る見る間にさっきの倍は赤くなり、その心臓の鼓動がこちらにまで聞こえてきそうだった。 俺なんかと話すのにこんなに真っ赤になるなんて、全く何て無駄なことを。 そう思いながら...
  • 2-449
    城に潜入して捕まる、お間抜けな忍者さん危機一髪 人手不足か、はたまた細作頭の気の迷いなのか、 半人前の彼に重要任務が回ってきたわけですよ それも、同盟の材料として献上されるはずの茶器を 秘かに破壊するという、超危険任務 で、本丸に潜入した途端、あっさり見回りの同心に発見される忍者 牢にぶち込まれてしまい必死に打開策を見出そうとするものの、 「困ったときはなぁ、忍法お色気の術だ。」 と得意げに説く先輩忍者を思い浮かべてしまい、かなり泣きそうになる忍者 格子に向かって色気を振りまいたってなぁ…誰も見てないし ところがどっこい、その一部始終を見ていたのが、城付きの御殿医 細作というが、見ればほんの子どもではないか しかしこのまま放っておけば、拷問は免れまい 拷問、その結果はほぼ間違いなく死を意味するわけで、 そのことを...
  • 7-449
    オプション0円 内藤君「あれぇ、難しい顔しちゃって。店長、どうしたんです?」 店長「それが、向かいの店の『スマイル0円』が大受けでね。うちの客足が落ち込んでいるんだよ」 内藤君「僕のスマイルが足りないんでしょうかねぇ」 店長「きみは振りまきすぎ。あーあ、向こうの看板はニッコリ可愛い女子大生だからなぁ」 内藤君「あの子、僕より可愛いっすかねぇ」 店長「彼女には笑顔プラス女の武器があるんだよ。花のような唇、まぁるい胸、素敵なお尻!」 内藤君「へぇ……じゃ、うちも笑顔にオプションでもつけましょうか」 店長「オプションって、おもちゃも子供騙しだし、何より原価が掛かりすぎるぜ」 内藤君「や、これはタダですよ、オプション0円です。ほら、ニッコリ笑って……チュッ!」 店長「……!! ば、ば、ばか者! 何をする!」 内藤君「あれ、やっぱりダメですかぁ? 受けるかと思ったのに」 ...
  • 5-449
    私×僕 「三島」 「何でしょうか、雅人様」 三島が柔らかく微笑みながら僕の方を振り返った。 その笑顔は10年前――僕の世話係になってから少しも変わらない。 「さっき長い事電話してたよね……誰なの?」 「あ…見てらっしゃったんですか? 私の大学時代の友人ですよ。 今度こちらへ転勤になるというので色々話をしていたんです」 それを聞いて思わず安堵する。顔がほころびそうになるのに気付き、 慌てて口を引き結んだ。 三島はそれに気付いたのか、からかうような口調で言う。 「あぁ、昨日の晩、雅人様がこっそりお出かけになった事をお父様 に告げ口されたとでも思ったんですか? そんな事はしませんよ」 「ち、違うよ!」 三島はどんな事にも答えてくれる。まるで家族のように、親が 幼子に語りきかせるように。しかし決して世話係の範疇を超えない よう礼儀正しく。 僕はそれが...
  • 7-149-3
    今年の紫陽花は何故か青い 今年の初めに日本へやって来たばかりの、金髪の友人。 彼は梅雨の湿気にやられてか、ここのところ随分と気が沈んでいるように見えた。 ちょっとでも気晴らしになればと、やってきたのは紫陽花で有名な寺…は混んでいるので、 その近くにある、あまり知られていない紫陽花園。 平日の昼前だから僕たちの他に人影はなかった。 こじんまりとした敷地内に、所狭しと咲く紫陽花。 小雨がぱらつき出したが、傘を差すほどではないと思った。 雨に濡れて、花はしっとりと美しさを増す。 僕の少し前を歩く友人は、園の入り口でその光景を見渡し、すぅっと大きく息を吸い込んだ。 そして小さく呟く。 「青い…」 ああ、紫陽花の色に、驚いているのか。 確かに、ちょうど盛りの紫陽花は、インクを流し込んだように深い青色をしていた。 「日本は雨が多いから、紫陽花は青が一番濃くなるのが普通...
  • 23-449
    今日は何の日? 出汁のメインとなるのは明治創業の長崎の老舗からお取り寄せした煮干 頭とはらわたをひとつひとつ取って、鹿児島から取り寄せた霧島連山の天然水に半日ひたす そこから煮干しを取り出していよいよ出汁を煮出す 灰汁が大量に沸いてくるので灰汁取り網で徹底的にすくい取る 別に用意した昆布と鶏ガラの出汁を旨みのサポートとして投入しスープは完成 タレは宮崎の老舗の本醸造の甘口醤油にすり下ろした香味野菜を大量投入して煮詰めて完成 麺は某行列のできるラーメン店の自家製麺の麺を店主に土下座して譲ってもらったもの 具はチャーシュー、メンマ、煮卵、のり、茹で野菜、みんなお取り寄せ材料から手作りしたものばかり ちょいと味見してみるか……我ながら素晴らしい。特にスープが最高! この煮干しスープ凄すぎる 大食漢の恋人のために厳選素材使用の炒飯に餃子に春巻に棒々鶏に肉野菜炒めに杏仁豆...
  • 1-449
    ボール×ゴールマウス 友人達に囲まれながらも無気力に流される様に生きてきたボールは フィールドの端に雨の日も一人佇むゴールの姿を 見て以来彼のことが気になって仕方がない。 なんとかお近づきになりたいのだけど その上ゴールには心配症な12人の妹ならぬ11人のお兄さんたちがいてボールを ゴールから遠ざけようとするし、 その中でももっともゴールに近い兄なんて あらゆる手をつかってボールを排除しようとしちゃうわけよ。 さらに門限まであるし。 つまるところロミオとジュリエット状態ですなー 悲観にくれあきらめかけるボール。 しかし、そこで立ち上がったのがボールの友達。 恋に憶病者なボールをの尻を蹴り、お兄さん達を惑わし ボールをゴールの元まで連れて行って ついにはゴールと結ばれるところまでお膳立てしてくれたそうです。 シアン×マゼンタ
  • 3-449
    ダメ科学者×あほロボット 「1+1は?」 「3」 「なんでこうなっちゃうんだろう……」 「泣かないで博士。何がダメなのか分からないの?」 「何がダメなのかも分からないんだ」 「本当にダメだね」 「うん」 「じゃあ気晴らしにエッチなことでもする?」 「なぜそこでエッチなんだ」 「だって俺はソレ用のロボだもの」 「空気読め」 「空気は読めないよ」 「お前もアホだな」 「うん。でも作ったの博士じゃん」 「そうでした……」 「本当にダメだね」 「うん」 「じゃあとりあえずエッチしようか」 「お前もアホだな」 「しないの?」 「するけど」 「本当にダメだね」 そしてただ延々と続く日常。 ダメ科学者×あほロボット?
  • 6-449
    涙も出てこない 黒い服を着て、黒いネクタイを締めて、黒い靴を履いて。全身真っ黒黒介の君が、 今、僕の前で泣いている。 あーあ。馬鹿だな。 誰がって、僕が。なんでバイクにはねられたくらいで死んじゃったんだろう。 君に会いにいくことしか、考えてなかったんだぜ。これから死ぬなんて思いもしてなかったのに。 ほんと、馬鹿だよ。 誰がって、君が。そんなに泣くもんじゃないよ。たかが大学時代の友達がひとり死んだだけなのに。 ……いやさ、一応そういうことになってるんだからさ、そんな、ほら、恋人が死んじゃった みたいな泣きかた、しちゃ駄目だってば。 ごめんね。なぐさめてあげたいんだけど、ほんとは。 いつもみたく、ふざけながら君に抱きついてさあ。「愛してる」なんて笑いながら言って みちゃったりしてさあ。 だけど、ほんとに、本当に、ごめんね。ごめんね。 もう僕には、君...
  • 18-449
    照れ隠しで抱きしめる リョウタはめったに喋らない。代わりにしょっちゅう俺を抱きしめる。 あいつが学校から持って帰った絵やら習字やらをほめると、黙って抱きつかれる。 上級生(俺のクラスのやつだった)とケンカをした時も、 その場では顔色ひとつ変えなかったのに、俺が後で「強かったな」と言った途端 くっついてきて、しばらく離れなかった。 この前なんか、二人で河川敷で遊んだ帰りに夕焼けを眺めていると、 いきなりギュウっとされて苦しいくらいだった。 そういえば引っ越してきたばかりのあいつに 「今日からお前俺の弟な」 と言った時も、うなずく代わりに抱きついてきた気がする。 ある日、いつものように寄ってきたリョウタを見てふっと気づいた。 こいついつの間にか俺よりデカくなってないか? 黙ってすがりついてくる仕草はまるで子供なのに、 俺の身体に回された腕も込められた力...
  • 11-449
    プール脱衣所 何とはなしに、ただ覚えてる。 夏休みのプール開放日。 塩素と汗と水の匂いが染み付いた、コンクリの小屋の中の空気。 壁際の錆びたロッカー。 セミ達がうるさく鳴いていた。 素っ裸のままじゃれあいながら、湿ったバスタオルを振り回す。 帰り道に買う50円のチューブアイスを賭けて、よく分からないルールにのっとったチャンバラごっこ。 そういう風にして僕らは、少年の日々を過ごしていった。 あの頃の僕は子どもだったから、いつまでもこうして、ふざけて笑っていられるのだと信じていた。 いつか互いのことさえ忘れてしまうなんて、考えもしなかった。 そして僕たちは大人になった。 中学生になり、高校へ進み、大学に合格し、人生に流されていくうちに、あの頃は確かにきらめいていた 何もかもが色あせて、ほこりにまみれて、いつのまにか消えてなくなってい...
  • 22-449
    嫌いな訳じゃない 萌え語りいっくよー!! オーソドックスにはあれですかね、バレンタインディ。 受けさんは付き合い始めたばかりの攻めさんのために、手作りチョコとか用意しちゃうわけですよ。 ところが校門前で、女の子にチョコを差し出される攻めさんを目撃。 攻「…ごめん、甘いもの、嫌いなんだ。」女子「えー!?」 攻めさんはスポーツ少年だったりして、結構モテモテだったりして、昼過ぎには『攻め君は甘いもの嫌いだから、誰のチョコも受け取ってくれない!』みたいな噂が校内を駆け巡るわけですよ。 (好き嫌いも確かめずに作ってきちゃった…僕のバカ…)落ち込んだ受けさんが、焼却炉にチョコを投入しようとしたその時、後ろから声が! 攻「待て」 受「え?」 攻「それ、チョコレートでしょ?くれないの?」 受「だって、甘いもの嫌いだって…」 攻「嫌いな訳じゃない。…好きな人からのチ...
  • 25-449
    ヒーロー×ダークヒーロー 「たっだいまー!…って、まだ寝てんのかよ!起きろ起きろ!」 「………うるさい…」 「日曜日だぞ!天気もいいぞ!外出ようぜ!なあなあなあなあ!」 「うるさいと言っている…」 「なんだよー」 「仕事明けだ。寝かせろ」 「オレだって仕事明けなんですけど。つーか、仕事終わりで直帰なんですけど」 「…………」 「朝イチで戦って実はくたくたなのに、基地にも寄らずにアンタのところに即行で帰ってきたんですけどー!?」 「……まったく……本当に朝から喧しいなお前は」 「おっ。ようやく起きたな。おっはー」 「…………」 「む。なんだよその冷たい目。うちのブルーといい勝負だぞ」 「俺の目つきが悪いのは元々だ。あの格好つけたがりの青いガキと一緒にするな」 「あーまたそういうこと言う。そういう態度だから、いつまで経ってもアイツと仲良く……って、ん?  ...
  • 27-449
    シガレットキス  目の前の男が煙草を吸うのを、努めて目に入れないように、顔をそらして発泡酒を一口。缶をテーブルに置いて、溜息を押し殺す。  新たに漂ってきた煙草の煙に、喉の奥と手がうずうずするのを強引に押しとどめる。 「で、」  声に視線を戻すと、煙草を口元に持って行くところがばっちりと目に入り、そこに釘付けになる。ヤツは殊更ゆっくりと、 ふはーと煙を吐き出し、おもむろに口を開いた。 「お前、そのやせ我慢いつまで続ける気?」 「やせ我慢じゃねーしっ」  目が泳ぐのをごまかすように、更に酒をあおる。 「まぁ、そう言うなら、俺はなんもいわんけど」  言いながら、紫煙をくゆらす煙草を持った手で頬杖をつく。そして、あろう事かヤツは、俺の目の前で指でつまんだ赤マルの箱をゆらゆらと揺すって見せた。 「やせ我慢じゃないなら、こんな事しても平気なんだろ?」...
  • 15-449
    大好きだからさようなら 「俺は好きだよ、うん、好きなんだけどさ」 ぎくりとして振り返ると、俺が好意を寄せている男がぼんやりと呟いていた。 その目は妙に真面目で、俺は意味もわからないままドキドキしてしまった。 「大好きなんだよ」 そう言うと同時に目が合って、思わず目を見開いてしまう。大好きとは、どういう… 「本当に大好き。大好きだから」 間違いなく俺を見て言っている。ということは、その、俺のことが…ということか? だったら俺は拒まないし拒むわけがなくむしろ大歓迎というかその、 「でもだからこそ…さよならしようと思うんだ」 …え? 「さよならした方がさ、いいんだよ。絶対。」 ちょちょちょちょっと待て、それは一体どういうことなんだ。どうしてそうなる。 俺はずっとお前のことが好きでだな、それでお前も俺のことが好きで、それでいいだろ。 「...
  • 28-449
    リアリスト×オカルト好き 俺はオカルトなんてもの信じない。超常現象なんて言うが、そんなのいくらでも科学で説明できる。 幽霊?そんなもの有り得ないに決まってる。「幽霊の正体見たり、枯れ尾花」なんて言うし。 「カズ、見ろよこれ!ヤバくね?!」 それなのにこいつ、幼馴染み兼恋人の長谷川は大のオカルト好きときた。 今日も俺がそういうの信じてないって知ってる癖に、心霊写真だとか言って別に何ともないものを押し付けてくる。 「はぁ…どうせまたブレてるだけとか木の影とかだろ?」 「いやこれは本物だから!」 読んでいた本から顔を上げもせずに言い切った俺に長谷川は尚も食い下がる。肩に腕を回して、俺が開いていたページの上に写真を落とした。 「…邪魔なんだけど」 「まあまあそう言わずにぃ」 家だから許すけど、外でやったら怒るぞ。 「で?どれが何だって?」...
  • 20-449
    真面目なバカヒーロー×嫉妬深い無愛想ライバル 怪獣を前に痛手を負い、立ち尽くす俺の前に大きな爆炎が巻き起こった。 そして炎の中からさっそうと現れた奴に、俺は抱えられ、岩場の影へと避難させられた。 「ブラック、大丈夫か!」 レッドの喧しい声が響き渡る。 何でいつもいつも俺がピンチの時に現れるんだ、コイツは。 今回も情報をいちはやく先に掴んで、この事件は俺が一人で解決するはずだったんだよ。 「何で先走って行ってしまったんだ!心配しただろ!」 「うるさい。 俺は一人でもやれるんだ、お前の手なんか借りたくないね」 「何いってんだ、仲間は協力しあうものだろ? お前はよくやったよ、後は俺達に任せてくれ!」 俺の悪態をさらっと躱し、レッドは奴の仲間の元へ駆け戻って行く。 ヒーロー戦隊のブラックという、孤高でクールな好敵手の位置...
  • 13-449
    陰間「私だって忙しいんです」 「今宵も蝶は花から花へか?」 芝居小屋の蔭から出てきた童子を一人の男が引き留めた。 童子の年は十三ぐらいだろうか。鮮やかな友禅に身を包み、まだ男になりきらない身体はぞっとするような色気をにじませていた。 「手を離してください。私だって忙しいんです」 「この前俺がやった着物はどうした?利休鼠のやつだよ、着てねぇな」 「あんな地味な服でお勤めに出れるわけないでしょう」 「へぇ、そのきんきらきんの友禅でならそのお務めはできるのか。 屋台小屋の裏で女犯にびびった色坊主のまらしゃぶって……!」 それまで澄ましていた童子の顔がキッと男を睨む。 それを見た男はようやく満足げな表情をした。 「そうだ、それでいい。役者になるなら綺麗な顔も重要だが、喜怒哀楽もしっかりないとな」 男は懐から団子の包みをだして童子へ渡した。 「お前は蝶になりたいんだろ...
  • 16-449
    我は海の子 何も考えずただひたすらに車を走らせる。 もうすぐ日付が変わるというのにやけに明るい東京の街に嫌気がさす。 時々自分は何をやっているのだろう、と疑問に思うときがある。 若い頃の漠然としたでっかい夢とやらのために東京の大学に進学した。 気付けば無難な会社に就職し、無難に毎日を送っている。 目標もない。守るものもない。 そんな自分がたまらなくいやになっては、車に乗り込みなにかを探すかのように深夜の東京を走る。 二時間ほど走っただろうか。 うるさい程に明るく賑わっていた辺りは真っ暗になり、目の前には夜の海が広がっていた。 波の音。潮の香り。 ふるさとの小さな家を思い出す。 田舎では遊ぶ場所がなかったのと家が海に近かったせいで、毎日のように海で遊んでいた。 楽しかったことも、悲しかったことも、 子供時代を思い返すといつもそこには海がある。 冷た...
  • 26-449
    大学生同士 久しぶりに山口と遊べた。 山口とは学部が一緒ってだけで、ゼミもサークルも、ついでにバイトも違う。 なのになんとなく気があって、飯食ったり買い物行ったり、なんやかんやと結構つるんだ。 それも三年生になると、山口のサークルが忙しくなったり、俺がバイトを増やしたりしたせいで、学校以外で会えない日が続いた。 友達って理屈じゃない。山口とは接点少ないのに、昔のテレビとか、学校のこととか、テレビや時事ネタ、漫画の感想、話してて止まらなくて、楽しい。 他にいないんだよな、こんな奴。 メールじゃ足りない。会いたいなぁ。一緒に遊びたい。 そう思ってたら山口が誘ってくれた。 『今日バイトの後、家に行っていい?一時くらいになっちゃうけど』 一時ってのは夜の一時だ。全然OKだった。 今日は土曜日。だから明日は日曜日で、もし山口にバイトが入ってなければ一日遊べる。 ...
  • 21-449
    破れ鍋に閉じ蓋 「先生。や…破れ鍋に綴じ蓋って何すか?」 放課後の美術室で、俺は黙々と課題をこなす。 先生は教壇に座り、黙々と美術のテストの採点をこなす。 そんな二人きりの間に流れる沈黙は、俺が破った。 「…やぶれじゃない。われ。われなべにとじぶたって読むの。それより部活は?」 答案用紙を採点する手を休めずに、先生が言った。 解答を得られなかったので、仕方なくことわざ辞典をパラパラとめくる。 「…あったあった。“破れた鍋にも合った蓋がある。どんな相手にも似合う配偶者が居る事。…類義語、似た者夫婦”」 声に出してからノートに解答欄に書き写す。 先生のため息が聞こえた。 チラと見ると、けだるそうにしながら採点し終わった答案用紙を代えていた。 「なあ、主将が練習出なくていいの?柔道部って試合近いんじゃないの」 「先生、最近何かあ...
  • 17-449
    手と手が触れた 話しかけてもほぼ無視。あいつは昨日のケンカをまだ引きずってる。 悪いのは僕じゃないって、向こうも分かってるはずだ。だからこちらからは謝らない。 今日のパーティにはただでさえ知り合いが少ないってのに、あいつがあんなんじゃ、喋る人間がいない。 つくづく自分の人見知りっぷりに嫌気がさす。 さり気なく隣に座る。あいつは僕を一瞥して向かいの人間と喋ってる。あいつの社交性が羨ましい。 机の下に置かれた手の横に、さりげなく自分も手を置く。 触れたとき、やつの手が少し動いたところをみると、向こうも気にはなっているらしい。 でも、意地でも話しかけてこないんだな。笑っている横顔にムカついてくる。 誰かが僕の名を呼んだ。 苛ついていた僕はいいきっかけができたとばかりに、席を立とうとした。 でも、できなかった。 机の下であいつが僕の手を掴んで離さない。 あいかわら...
  • 14-649-1
    人事部 「こちらとしてもまことに心苦しいのですが、どうぞご理解ください」 「はぁ……」  なで肩の男は怒ることも落胆することもなく、達観しているようにさえ見えた。  人事部人材構築2課――内部から「肩叩き課」と呼ばれるこの仕事は、簡単に言うとリストラの対象になった社員に首切りを宣告し、退職を勧めるというものだ。  論理的に話を進めて相手の感情を逆撫でしないよう配慮し、会社の意向を伝えてもう逃げ場はないと諭す。  決して気持ちの良い仕事ではないが、かといってエネルギッシュに営業先に愛想を振りまく性分でもないので、佐伯は「肩叩き」であることにそこそこ満足していた。  退職勧奨を受けた人間は、様々な反応を返した。  逆上して掴みかかる者、顔を覆って泣き出す者、動揺のあまり支離滅裂な話を始める者。  自分より1周りも2周りも年上の社員が心を乱す様子を見ていると、...
  • 14-049-1
    日本昔話風  昔々、あるところの小さな村に、ゴンベエという働き者とクロという名の真っ黒い猫が住んでいました。 ゴンベエは日が昇る頃から畑を耕し、日が沈む頃帰ってきてクロと一緒に眠りました。 ゴンベエはクロが大好きでした。 クロもゴンベエが大好きでした。  ある朝、ゴンベエが起きると枕元にクロがいませんでした。 ゴンベエはその日から畑仕事もそこそこに、クロを探して歩きましたが、とうとうクロは見つかりませんでした。  そうして三年ほどたったある日のことです。 ゴンベエが目覚めると、枕元に黒い着物を着た少年がすやすやと寝息を立てています。 ゴンベエは飛び上がるほどビックリしました。 少年は自分のことを猫のクロだと名乗り、 「大好きなゴンベエさんにご恩返しをしたいと思い、お山の仙人様に人間になる術を習いました。 一生懸命働きますからどうかおそばにおいてください。...
  • 14-459-1
    こういう、お題になる予定じゃなかったネタでもさらりとまとめて萌えさせてくれるお姉さん方が大好きです。踏んで 「…で、どうしてお前がここにいるんだ」 「…それ、俺が一番言いたい台詞」 ほんの好奇心だった。 ほら、あるだろ、少し前に流行ったメイドリフレってやつ。メイドさんがマッサージしてくれるやつ。 可愛くてうまい娘いるって後輩から聞いて、ちょっとだけ興味沸いたわけよ。 …まさか、昔からずっとつるんでるこいつ(もちろん男)が出てくるなんて予想もしてなかったわけよ。 「人手が足りないと頼まれたんだ。こんな制服だけど、給料がよくて助かる。何より腕を買っていただいた。それだけでありがたいよ」 整体師として開業するのがこいつの夢だ。そういやこないだ、新しい仕事先ができたと言っていた。力を発揮できると嬉しそうにしていた。真面目なこいつらしくて微笑ましかった。 …が、よ...
  • 14-439-1
    きみといつまでも command:きみといつまでも Y/N? 801はファンタジーだ!! と割り切ってるがどうしてもNのルートに考えが行って しまう私を許してください。決して不幸話が好きなんじゃないんです。 仮にA君とB君がいるとしましょう。 この2人が「いつまでも」何かを共有または同じ状態(精神的なものも含む)に いられるでしょうか? 答えは圧倒的にNOだと思うんです。 たとえA君の隣にB君がいるのが当たり前の世界であっても 「いつまでも」そのままって言うわけには行きません。 歩き始めたならいつかは終点にたどり着きます。朝は夜になり、人は年老います。 感情が動かない人はいないでしょう。うつろうのが人の心。記憶もいつか薄れます。 A君は年をとっても「B君が好きだ」と思う、そこまでが事実だと仮定しても。 どちらかが先に死んだら? 社会的な圧力に...
  • 14-439-2
    きみといつまでも ―――なんかさ、あいつって変に色白じゃん。 身体つきなんかは意外とがっしりしてたりするのにさ、あいつの印象っていうのがまた、 ニュルニュルっていうかニョロニョロっていうか… なんかとにかく掴みどころもないし、 すっごく変なヤツじゃね? 他のみんながそんな風に僕を噂してるのは知っている。 どうせね、そうさ。 色白なのは生まれつきだし、どうせニュルニュル?ニョロニョロ??どっちの表現でもいい けど、掴みどころなんてありませんよ。 なんだよ、みんなだってゴツゴツしてたりペラペラしてたりヒョロっとしてたり、どうせ 五十歩百歩のくせしてさ。 ―――まぁ、中には。とんでもなくカッコのいい、オイシイ奴だっていたりするけれど。 でも、彼らがすき好んでそういう風に生まれたわけじゃないのと同じに、僕だって望んで こんな風に生まれてきたわけじゃない。...
  • 14-489-1
    傍若無人なくせに天然 「傍らに人無きが若し」 「ん?」 「お前のこと。一般的には傍若無人。近くの人にとって迷惑な行動をするって意味」 「俺、迷惑なんかかけてないよ?」 「ほー。よくそんなことが言えるな」 「そりゃ言えるでしょ」 「この間、同じゼミの女の子に何をした?」 「失恋話を聞いてなぐさめた」 「こう言ってな。『あいつ浮気者だよ。この間俺も食われたよ。まだつきあってた時期じゃね?』」 「なんで聞いてるんだよ!」 「聞きたくないのに聞こえたんだよ」 「え? ああ…、いたね。そういえば」 「男に男とられたって、あの後大変だったぞ」 「でも、あれで未練がなくなったはずだ。俺は役にたったと思う」 「そうくるか」 「そうだよ」 「教授たぶらかして、やめさせるし」 「ちょっと待て! 向こうが勝手にやめたんじゃないか!」 「『生徒でいるのがつらい』って言っ...
  • 14-119-3
    タイムリミット 俺の命にはタイムリミットがあった。 小さい頃に心臓疾患が見つかって、俺の両親は『成人式を迎えられたら神様に感謝してください』と言われていた。でも奇跡は起きて、とりあえず俺は成人式を迎えられる。 そしてもうひとつタイムリミットがある。これは自分で自分に決めた時間制限。 「はい、じゃあ胸見せて」 聴診器があたる瞬間はいつも体がこわばる。聴診器が冷たいせいもあるけれど、心臓の音がいつもより早くて緊張するからだ。 「今度、成人式だって? 良かったね。ドーム行くの?」 目の前の人のいつもよりしわくちゃの白衣が気になる。また病院で寝たのかな。 「行かないよ。友達と麻雀大会する」 「何、それ。もったいないな。一生に一度だよ?」 髪もボサボサ。でも暇な先生よりいいけどね。 「一生に一度だから、つまらない話を聞くのに時間を使う方がもったいないじゃん」 「こ...
  • 14-439
    きみといつまでも 「おーい、瀬!」 いつものように僕は君の名前を呼ぶ。 「・・・何ですか、バカ竜」 いつものように君は返事をする。 「瀬は本当にツンデレだなぁ。デレてよん。」 「嫌です。ていうか本当にうざいです死んでください。」 本当にいつものこと。 でも、前はこれがいつもじゃなかった。 僕は、数年前にこの子と出会った。 瀬は一人だった。家族は軍の奴等に殺されたらしい。 軍の奴等から逃げて倒れている時に、僕が助けた。 もう、最初の頃はとっても無口だったのに、今じゃこうさ。 まぁ、これはこれでいいけど。 「なに考えてるんですか、気持ち悪い。」 「もー、変なことなんて考えてないよ?」 「普段の行いが悪いんですよ。」 むぅ、せっかく助けてあげてるのにぃ! …本当はこんなくだらない事してないで、逃げなきゃなきゃないのにね。 僕らは一応軍に逆らったも...
  • 14-429
    犬型獣人 俺が二十歳を過ぎた頃、義父が死んだ。 施設から買い取った俺を押し倒し、好きなだけ弄んだ義父。 笑顔がなくなり、表情は固まり、感情は消え失せ、最後には声も奪われた。俺から全てを奪った義父は金欲にまみれた親戚たちに見送られて地獄へ旅立った。 金目のものは、全て親戚たちが平らげ、俺に残されたのは、片田舎の小さなお寺兼別荘だった。親父の祖父が親父の精神修行のために、この寺を建築したと聞いた時は流石に呆れた。 農業、簡単な修理、炊事等、生活に必要な文献を買いあさり、人目を避けて自給自足の生活を始めた。 寺に住み始めた三年目の秋、野生の柿を発酵させた酒が良い出来になった。 ほんの気まぐれで、寺の前に置かれているお稲荷さんの石像の足下に、赤カブの煮物と飲み口が少し欠けた湯呑みに柿酒を注いで置いた。 その日の晩、柿酒をあおり、胡座をかく。落ち葉の落ちる音が心地よ...
  • 14-489
    傍若無人なくせに天然 「へへへ…観念しろよ。こんなとこに誰か来るとでも思ってるのか?」 「っ…く、……ぐぁ…!」 茶髪の男に容赦なく脇腹を蹴り飛ばされ、床に蹲る俺を見下ろして、他の二人が下卑た笑い声をたてた。 …迂濶だった。次に試合で当たるF高は、退部させられた生徒の中に、教師も手を焼く問題児がいると聞く。 「探り入れると『不慮の事故』が起きる」という噂はこういうことか…。気づいた時にはもう遅い。 「お前、二年の諸井だろ?いろいろ聞いてるぜ、K高の期待の星とかって」 「どんな奴かと思ったら、ヒョロっこくて女みてえじゃねえか。こりゃ別なほう期待したくならねえ?」 「だははは、お前最っ低ー!!俺ぁてっきり、腕捻るくらいでいいかと思ってたのによ」 「優しくしてやろうぜー、アッチのほうも脆そうだしな。モロイだけに」 「さぶっ、笑えねー!!」 などと言うくせに嘲笑する声に...
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