*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレまとめ@ ウィキ内検索 / 「16-159」で検索した結果

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  • 16-159
    女顔がコンプレックスな攻め 一年前、職場に新人が入ってきた。 大学出たてほやほや。俺の初めての後輩だ。 「──今はまだ未熟ですが、早く成長して有能な社員と呼ばれるように頑張ります!」 意欲的な、でも緊張で少々たどたどしい、誠実で初々しい挨拶に 好感を持たなかった奴はいなかったと思う。 教育係は別のベテランがついたが、俺もできるだけこの後輩、矢野に目をかけた。 簡単な書類の書き方でも教えれば、クリクリお目々を輝かせて 「ありがとうございます、石田さん!」 なんてニッコリ微笑む。 壁に当たったのか何やら真剣に考え込む姿には、アドバイスの一つも与えずにはいられない。 ああそうか。ある日急に思い当たった。 こいつ、顔が可愛いのだ。 間近に見ればヒゲもある、骨格のやや尖る、粗い肌を持つ成人男性であることに 間違いないのだが、遠目で見ると一瞬女の子に見える……気のせい...
  • 16-149
    ...っちゃま」 16-159
  • 6-159
    最後のキスと押し倒しにうほっwwとなりつつ踏まれます 明日こいつは、生贄となる。 雨が降らない農村で、水神様を呼ぶため生贄となる。 この村の祭っている水神様には若い男子を飾り付けて生贄にするのが昔からのしきたりだ。 それで、一番美しい若人のこいつが選ばれた。 今宵がこいつとの最後の夜になる。俺を押し倒すと今にも泣きそうな顔をしながら 深い接吻をしてきた。俺は目を閉じてそれに応じた。 唇が離れて思わず口から声が漏れた。 「うほっww」 最後のキスと押し倒しにうほっwwとなりつつ踏まれます
  • 26-159
    甘えていいよ 頑張ってるところを見せたくない。心配させたくない。 人前に立つ仕事をしている彼は、俺と食事をするたびに、いつものふわふわとした口調を一転させてそういう。 ファンの子たちの前では『理想のケイくん』でいたいんだそうだ。 ちら、とすっかり眠りこけているケイを見る。 ここのところ激務だったらしく、前見たときよりも明らかに痩せていた。 元々かなり細いのに、このままだったら消えてなくなってしまうんじゃないか、って不安になるほどに。 人差し指で、茶色くてさらさらの前髪を弾く。長い睫毛が微かに震えて、どきっとした。 起こしてしまったかな、と思ったけれどそれは杞憂だったようで、ほっと胸を撫で下ろす。 もちろん顔だけで彼を好きになったわけじゃない。 可愛らしいのに男前なところがあったりとか、ファン想いなところとか、優しいところとか。 あげていったらキリがな...
  • 6-159-1
    最後のキスと押し倒しにうほっwwとなりつつ踏まれます  寝転がってテレビを見ていると、先輩は必ず俺のことを踏み付ける。  先輩はいつもの無表情で淡々と「お前の前世が玄関マットなのが悪い」なんてわけのわからない理屈を言って煙に撒こうとするが、わざわざ進路を曲げてまで人のことを踏みつけていくその行動は、自分に注意を向けたくてわざわざ人を踏んでいく俺の実家のネコの行動とそっくりだったりする。  ……なんて言うと切れ長の目を細めて「それで?」なんて冷たく言われて、以後最低三日はご機嫌ナナメ・下手をすれば料理ボイコットにより毎食うまい棒(たこやき味)が出されかねないことは目に見えているので、とりあえず今日も黙っておとなしく踏まれている俺なのだった。 「お前が見てる話って、いつもワンパターンだな」  踏まれることにスルーを徹底する俺の反応がお気に召さなかったのか、先輩は俺の腰に乗せた...
  • 4-159
    短気だけど優しい先輩と腹黒でツンデレな後輩 お前あの先輩と付き合ってられるなんてスゲェな、ってよく言われる。 アイツは短気だからな。常に機嫌悪い印象しかないから、取っつきにくいのかもしれない。 でも俺にはそっちの方が好都合。アイツの本心を知ってられるのは俺だけで十分。 そんな事考えながら廊下歩いてたら、後ろからいきなり腕引っ掴まれた 「おい!!なんで無視してんだよ」 「え、あ、気づかなかった」 「は?そんなに真剣に何考えてたんだよ…?」 「…さあ?」 今まで真横でお喋りをしていた女子たちが俺たちに目を合わせない様にして足早に過ぎ去って行く。 教室の中からは、また絡まれてて可哀想…とばかりに憐れみの視線を送るヤツもいる。 でも俺はコイツのこの大げさな反応が嫌どころか、むしろ心地いいと思ってしまう。絶対に言わないけど。 「おい俺がが話してるときはこ...
  • 2-159
    ジ/ャ/ビ/ッ/ト × ト/ラ/ッ/キ/ー ジ/ャ/ビ/ッ/トは言う。 お前さあ、虎の癖して兎より弱いってどういうこと? ト/ラ/ッ/キ/ーはただ笑って答える。 御免よ、弱くってさ。 ジ/ャ/ビ/ッ/トは言う。 恥ずかしくないのかよ、それでも虎かよ。 ト/ラ/ッ/キ/ーはまた笑いながら答える。 勝負だから頑張っているんだけどさ。 ジ/ャ/ビ/ッ/トは思う。 俺を踏みつけて、俺を引き裂いて、俺を支配するお前の雄々しい姿を、何時の日か、この目で。 新人バイト×ベテランバイト
  • 5-159
    自販機で売ってるホットココア缶とコーンスープ缶 お前コンビニにも行ったんだってなぁ、とコーンポタージュが言いました。 そういう君こそ昔からファミレス御用達じゃないか、とココアが返しました。 へん、この裏切り者。 ふん、この異端児。 小さな女の子が来ました。どうやら、2人の間で迷っているようです。 女の人は甘い香りの僕が好きなんだよ、とココアが目を細めました。 小さい子はつぶつぶの感覚が好きなんだぜ、とコーンポタージュが笑いました。 選ばれるのは2人にひとり。もうひとりは置いてけぼりです。 (甘い香りってどんなのなんだろう) (つぶつぶの感覚ってどんなのなんだろう) 口喧嘩は多いのに、相手のことはまったく知らないまんまで― 「おかーさーん、あったかいお茶買ったよー」 はは、また売れ残りだなお前。 はは、そういう君もだよ。 でも、自動販売機の中...
  • 1-159
    背の低い先輩×背の高い後輩 攻を追うように同じ大学に進学してきた、部活の後輩の受。 お互いに親元を離れて一人暮らしなのもあって、 徐々に攻の家に入り浸るようになる受。 攻も苦い顔はしつつ、受を追い出そうとはしないので、 受は今日も幸せ気分で、全力で攻に甘えている。 でも、ひとつだけ疑問に思うことがある。 「おい、そこの棚から皿とって」 「これっすか?」 「そうそう。あ、ついでにこの鍋しまって」 「あ、はい。ここでよかったんですよね」 「おう、サンキュ。いやーお前いると助かるわ」 なんでこの人は、自分で取れないようなところに、 皿だの鍋だのしまっておくんだろう。 そう思いながらも、攻の言いつけどおりに働く受は、 攻がじつは、受が自分の家に入り浸るようになってから、 高いところの収納を使い始めたことに気づいていない。 主従カ...
  • 7-159
    一万円札×千円札+五千円札 世の中もまだまだ捨てたもんじゃないと、親友の清瀬と一緒にいるとよく思う。 なんせ道端で泣いてる迷子の子供に、わざわざこっちから話しかけて、なだめすかして、 ようやく聞き出した宿泊先のホテルの名前を頼りに保護者の元に送り届けてやるようなやつ。 今も子供のおばあちゃんからお礼を言われまくって、恐縮して逆にぺこぺこ頭を下げている。 俺一人だったら絶対あんなことしねぇ、えらいなぁ清瀬。と、ここまではまあいつもどおり なのだが、今日はとなりにもう一人、絶対あんなことしないやつがいるのだった。 「…お前なに、なんかプルプルしてんの…キモイんだけど。」 「…黙れ。」 同居してる従弟のシロウ。無口で無愛想でアホで足が臭くて何考えてるかわからんやつ。 大学の先輩がやってる劇団の公演チケットを大量にさばかされて、余りを身内で消化するべく しかたなく誘って...
  • 8-159
    2人で一人前 「あんたなら、俺を“いかせる”と思ったんだよ」 「生命が惜しくないのか?」と問う俺に、 あいつはいつもそう言って笑ってかえす。 誰よりも速く、誰よりもワイルドに、誰よりも魅力的に、 風になる様に走らせたいが為に、俺が出す指示は危険極まりない。 本来コパイとしては許されない、ありえない奴だ。俺は。 分かっちゃいるのに、自分では走れない、このマシンを走らせることができない。 そんなドライブテクニックは俺には与えられなかった。 だからコパイの道を選んだ。些かの葛藤と、仄暗い感情と共に。 “ドライバー殺し”と言われる俺と組みたいという酔狂な奴。 絶妙なテクニックを持ちながら、勝てない男。 何で俺にはない技術を持ちながら、お前は今まで走れなかったのか。 その力が俺にあったなら、俺は風を見られただろう。 そんな嫉妬と葛藤に対し、奴は笑...
  • 9-159
    素直クール×素直クール 「俺が明日死ぬって言ったらどうする?」 「明日死ぬの?」 「や、死なないけど」 「じゃあ問題ないね」 「うーん」 「どうして唸るの」 「やっぱり落ち着いてるなぁ」 「は?」 「お前も驚いたり慌てたりすることがあるのかな、と思って言ってみた」 「へえ」 「ごめん。怒った?」 「怒ってないけど、『明日死ぬ』はないよ」 「ないな。バレバレだよな」 「バレバレ。というか、君は嘘がつけないよね」 「ごめん」 「褒めてるんだけどな」 「でも嘘は嘘だし」 「嘘で良かった。本当に死ぬって言われたら、俺、このテーブルひっくり返してた」 「え?」 「嘘だよ」 「(あ、笑った)」 年賀状を書きながら
  • 3-159
    既婚×未婚 俺には妻だっている。子供だっている。その事を片時も忘れたことはない。 結婚したことを後悔したことはなかったし、今の自分は幸せな環境に居ると思う。 だが、最近になって少しずつ迷いが生じてきた。 「ねえ、――さぁん」 「っ!?」 じっと物思いに耽っていた俺を、迷いの「原因」である男が覗き込んできた。 「さっきから何か考え込んでるみたいですけど…大丈夫ですか?」 「あ、ああ、なんでもない」 そいつは職場の同僚で、隣のデスクでいつも仕事をしている。 実際は1つしか年が違わないのにそいつはやけに童顔で、初めて見た時は学生が紛れ込んでいるのかと 思ってしまったぐらいだ。 覗き込んできたそいつに慌てて目を白黒させた俺を、不思議そうに見ている。 「――さんが慌ててるところ、初めて見ましたよ」 そういって俺の迷いの元はくすくすと...
  • 15-159
    一人が好きな男とその兄貴分 「一人ぼっち」ではなくて「一人が好き」なら一人の時間を楽しめる男だと思うんだ。 仕事や趣味が充実してるのかもしれないし、自分のペースで過ごすのが好きなのかもしれない。 イメージはテレビで最近よく言ってるお一人様の男バージョン。 兄貴分もお一人様だと何も始まらないのでw逆にいつも人の中心にいるようなタイプがいい。 一人で飯食うなんてさみしいなーと思っちゃう。 食事も飲みもみんなひきつれてぞろぞろ行く。休みの日もつい「なにしてる?」とか電話する。 いつも一人の後輩にに兄貴ぶって声掛けてやるんだけど全然付いて来ない。 で、ある日いつも一人の一雄(仮名)に「お前ってさみしい奴だよなw」って軽口叩いたら 真顔で「さみしいのは先輩でしょう?」と言い返されちゃうんだ。 先輩はびっくり、大げさに言えばカルチャーショック。 「...
  • 16-169
    サボテン 春の暖かい日差しがいっぱいの、俺が住むボロアパートのベランダ。 ここのアパートのベランダは隣二部屋ずつで繋がっていて、 俺の部屋は、今年から一緒に上京した幼馴染の蒼の部屋の隣だった。 蒼くん、一緒の大学に行くのならお隣に住んでくれないかしら、ってうちの親が蒼を説得したのだ。 なんでかわかんないけど。 そんな共用のベランダに、あるものを置こうとしていた俺の背中に、鋭い声が突き刺さった。 「おいてめえ、共用のベランダに何置いてんだ」 蒼の声はいつもトゲトゲしている。俺と話すときは特に。いつもバカって言うし。 あーあしかもこの声は怒ってるな。 「え、えっとね、サボテンだよ~ジャーン!」 蒼の方を振り返りながら変なポーズでサボテンを掲げる。あ、さらに怒った。 「誰が育てんだよ」 「俺ががんばる」 「無理だろーが!いつも放り出してあとは俺がやってやってんだ...
  • 16-189
    丁寧語天然ぼけ優等生×幼なじみで口の悪い不良だけど常識人 ゴトン。ザクッ。何の音だ! すっげー不安。見ててはらはらする。 「おい、なんだその包丁の握り方は」 とうとう我慢できなくなって、まな板に向かう背中に声を掛けた。え?とピンクのエプロンをつけた健也が振り向いて、 包丁の切っ先がひゅっと目の前をかすめる。危なえな! 「そんな持ち方で大根切れんのかお前はよ」 「嫌だなあ、剛くんは黙って待っててくださいよ。今日は僕が家事全部するって約束じゃないですか」 さわやかな笑み。俺は昔から――幼稚園の砂場にいたときからルームシェアを始めた今までずっと、 この笑顔には勝てない。 「さっき洗濯もしましたよ。それから今お風呂にお湯ためてます。ご飯食べたら、入ってくださいね」 「お、おう」 はっきり言おう。健也には生活能力が極端に不足している。いわゆる天然ちゃんだ。 小学校の思...
  • 14-159
    陸上部のエース×超絶運動音痴  会場は人々の熱気で溢れていた。テープが切れてしまいそうなほど密集し、色とりどりの旗を振り声を張り上げて 贔屓の選手の名を叫ぶ老若男女。例年通り気合の入った大学は応援団も用意している。そんな喧騒も、一旦ファインダーを 覗いてしまえば嘘のように掻き消える。もうすぐアンカーが走ってくるのだ。今年は特に、集中しないわけにはいかない。 「先輩、もうすぐですよ、先輩!」隣では後輩の高橋が興奮してぴょんぴょん跳ねている。口数が多くうるさいが、よく気のきく奴である。  「まだ二位か、うちは?抜かされてないよな?」俺の言葉に反応し、高橋が携帯の画面を覗き込む。 「はい!k大とうちで一位二位ぶっちぎりです!速いっすよ今年のアンカー。下りで二人も抜くなんて半端ねえっす」 高橋は嬉しげに叫ぶと、持参した鞄からデジカメを取り出した。弱小の写真部とはいえ、新入生に一...
  • 11-159
    台風のせいで ごおお、と風がガラスを揺らした。 何時もなら立ち並ぶビルが見える窓の外は雨と風に遮られて真っ白になっている。 確かに昨日のニュースで台風が突然発生したのだといっていたが、まさか直撃するとは… あまりの運の無さに笑いすら零れる。 「映画、行けなくて…残念でしたね」 僕は隣に腰掛けている先輩にそう言った。けど、残念なのは先輩だけじゃない。 大きな大会も終わって、部活に空きが出来て。二人の予定がやっと噛み合ったのに。 僕の休みを熟知した上で、先輩がチケットを持ってきてくれたとき、本当に嬉しかったのに。 それだけじゃない。今日は朝からすごい雨で、びしょ濡れになりながら僕の家まで来てくれた 先輩を見たとき、「今日はもう外出できない」なんて考えていた自分を情けなく思ったくらいだ。 「チケットまで用意してもらったのに。…先輩?」 「あ、…うん...
  • 25-159
    犬好き×猫好き 「お前は犬に似てるよね」  賢哉様は着物の裾を翻し、俺を見上げながら微笑んだ。 大きくて黒い犬。それが俺のイメージらしい。 僅かに首を傾けてそうですか、というと、彼は困ったように笑いながら「そうだよ」と返してくる。  歩を進めると玉砂利の音が響いて、その品のよさすら賢哉様に合っているような気がした。 「賢哉様は、犬はお好きですか?」 「ああ、好きだね。従順で愛らしいじゃないか」 「……俺は愛らしいですか?」 「ああ。俺なんかに仕えるところが愚かで愛らしいよ」  爪先で砂利を弾いて、嘲るようにつぶやいた。 愚かなものか。貴方は仕えるに相応しい人、なのに。 そういいたくて仕方なかったが、口を噤む。何を言ってもこの人は、理解しようとしないから。 光栄です、とだけ呟けば、賢哉さんは黙り込んでしまった。 静かな沈黙が落ちて、広がる...
  • 18-159
    お前ももう成人か・・・ 「お前ももう成人か…」 今日は俺の誕生日。 例年通り、俺の家でささやかな誕生日パーティ(のようなもの)を開いていた。 (パーティ、とは言ってもたったの二人きりで、いつもの質素な夕食にケーキが加わるだけだが) そのとき、TVを見ながらコロッケを食べていた俺の顔を見て、しみじみとこいつがそう言ったのだ。 「あーうん。」 いまさら何言ってんだと思いつつ、TVから、こいつの顔に視線を移す。 「お前と知り合ってから、もう8年になるんだな。」 懐かしそうに、目を細めて言った。何かこいつおっさんっぽいよなぁ。まだ22なのに。 「あーそうだな。あの時、お前も俺もまだ中学生だったもんな。」 学ランを着て、学校帰りにそのまま俺の家によく来てたっけ。 こいつは中3で、受験勉強が忙しいっつー時だったのに、 中学に入学してから勉強がついていけなくなった俺に、...
  • 20-159
    好きと嫌いの境界線 女の子は好きだ。 白くてかわいいし、触るとやわらかいし。 きゃいきゃいとよく動く口はちょっとうるさいと感じることもあるけど、かわいらしい声でかっこいいとかイケメンだとか言われるとなかなかいい気分にもなれる。 だけど。 藤沢は遠目に見える連れの姿を、すうっと細めた目で見つめた。 藤沢から二十メートルほど離れたところで話す男女。 女の子の方は、なめらかな肩を露出させたオフショルダーのニットと、白いミニスカートに身を包んでいる。 キャメルのブーツを履いた足は見るからに華奢で、いわゆる「モテ系」だとか「愛され系」だとかに分類される感じだ。遠巻きに見ているだけだから、顔かたちはまだよく見えないけど、服装だけならそれはまさに藤沢のストライクゾーンど真ん中。 藤沢はこういうわかりやすい、女の子らしい女の子が好きなのだ。 しかし、今日の藤沢...
  • 22-159
    とろけるチーズ×食パン <登場人物紹介> ○とろけるチーズ  自己主張の強い少年。常に熱を求める反面、保存は冷蔵で、冷えているときは(精神的に)脆い。  誰でもいいからさっさと相手を決めて、こんな寒いところは出てとろけようと考えていた。  ところがひょんなことから食パンと出会い、彼の懐の深さを知り、好きになってしまう。  バターやマーガリンに張り合いつつ、ようやく食パンに想いを伝えるのだが… ○食パン  純朴青年。強い個性はなく真っ白で、相手の味に染まってしまうように見えて、  パンとしての主張はきちんとするしっかり者。笑うと表情がふにゃんと崩れる。  とろけるチーズに告白され、紆余曲折の末、彼と一緒になることを決意。  しかしそれを彼に伝えようとした矢先、冷凍室へ入れられてしまう。 ○バター、マーガリン  冷蔵室の中では滞在期間の長い先輩達で...
  • 21-159
    最後の約束 現八郎は譲られた席を固辞した。 立っているのは席がないのではなく、ただ座っていられなかっただけなのだから。 アナウンスが、戦前から永く残っている古い公園の名を告げる。 現八郎はしっかりとした足取りで、約束の地に向かった。 造園に多少の変わり様はあっても、その四阿(あずまや)は健在だった。 ここは変わらないのに、自分はあの頃とは足取りも体も心も様変わりしている。 目を閉じ、かの人を想う。 あの日の事を。 「柏木さん、僕は悔しいです」 眼鏡の奥で、切れ長の目が潤んでいた。 研究室の後輩である田辺は、徴兵検査で己が出兵出来ない身体と知った時よりも、 現八郎に赤紙が届いた事を嘆いている。 「僕なんかより柏木さんの方が、研究には必要な人なのに……これは国家の損失ですよ!」 「田辺、声が大きい……」 憲兵がいないか注意深く見回しながら、現八...
  • 27-159
    どこか狂ってる人とその彼をうまく扱える人 語りたくなったので、パターン分けしつつ萌えてみる 1.戦闘狂と知能派 とにかく戦闘一辺倒、他の事はよく知らないみたいな奴と、 補佐して暴れられるように作戦組んだり、指示したりする奴の組み合わせ バトル大好きヒャッハー系でも、戦うことしか知らなかったみたいな無感情系でもいいよね! 知能派は常識人で戦闘狂に頭痛めててもいいし、冷徹に扱うタイプでもいい 主従関係があってもいいと思う 性欲の発露みたいな、ちょっと殺伐とした恋愛でもいいし、信頼関係が高じてらぶらぶに至っても美味しい ヒャッハー系なら戦闘狂が押し倒すのが定番だけど、襲い受けとかもありだと思う 戦うことしか頭になかったのに、いつの間にか…みたいなのもいい。萌える 2.科学者と理解者 マッドサイエンティストとか、学者とかのタイプと、その理解者だった...
  • 17-159
    二人まとめて 「兄様」 私が夜枷の術を教えたこの子達は、血の繋がっていない私をそう呼ぶ。 まだ声変りもしていない、少しだけ高く涼しげな声が、二つ。 つい、と藍色の着物の両袖をそれぞれ引かれ振り向けば、案の定そこには二人の少年の姿があった。 「兄様、今日の相手は僕でいいでしょう?」 そう言って笑い、左腕に仔猫のように纏わりついた少年は、それが当然の事であるかのように目を細めて笑う。 プライドが高く、高飛車で、どこか常に人を見下すような態度で他人に常に敵意を抱いている少年。 初めこそそのプライドの高さに手を焼いたが、慣れた今ではこうやって私に対しては本物の猫のように懐いてくる。 「ずるい、今日は僕が相手してもらうんだから」 そう言って私の右腕にぎゅう、と両の腕を絡ませた少年は、小さく細い声だったが強い意志を含んだ目を光らせた。 いつもおどおどとしている...
  • 19-159
    優しい手 長男気質で面倒見のいい先輩は普段からスキンシップが多い。 何かと肩や背中を叩いたり、肩を組んだり。 所謂体育会系のノリが苦手な俺も、最初は不快だったそれをいつの間にか受け入れていた。 先輩の大きい手は嫌いじゃない。 なのに、 「お前、運動部のクセに綺麗な髪だよな」 隣に立っていた先輩が何気なく髪に触れて。先輩の指が髪の間を滑り、偶然首筋を撫でた。瞬間。 「っ?!」 背中を走った謎の感覚。 一瞬で顔が赤くなったのが自分で解った。 「え?」 「す、いません…っ ちょっと、俺 顔。洗ってきます」 「…あ、ああ」 頭を撫でたままのポーズのまま固まってしまった先輩を置き去りにして、水飲み場へと逃げる。 「うわ…何でたってんだよ…」 あり得ない。あり得ない。あり得ない。 頭から水を被っても熱い顔と煩い心臓がなおら...
  • 23-159
    とんでもない宴席 (とんでもない接待) 炭鉱が閉山してから寂れる一方の町並みの果てにその大学はあった 外壁が煤で汚れた校舎は老朽化が著しかったが体育館だけは異様に立派で最新の設備を整えていた ガイドに案内されるがままに体育館に入ると大学の男子バスケ部が練習をしていた 「どれがいいですか?」と下卑た声でささやかれた ふと見ると背番号6のパワーフォワードくんがとても素敵な美丈夫だった 聞くと部員の中で唯一人の日本語専攻で名前は易くんという ベッドが用意されていたロッカールームで待っていると易くんがやってきた 何年ぶりかという脳髄まで快感で感覚が混淆するような素敵な行為ができた 易くんは「自分はあなたと一つになります」と言い残して出て行った その夜に町のお偉いさん主催の宴席に出席した 牛でも豚でも羊でも山羊でも狗でもない肉を全品に使ったフルコースを食べた 料理の...
  • 13-159
    熱帯夜 倉庫の中はひどく蒸し暑かった。 後ろ手に拘束され座り込んでいる状況で、その息苦しさは、自由にならない苛立ちを倍増させる。 身体に溜まる熱を逃がすように深く息を吐き出して、埃っぽい床の上からハンカチ大に切り取られた 夜空を見上げた。 申し訳程度に設えられた高い窓からは、満足のいく空気の循環が得られる筈もなく、けだるげな月の 光だけが、篭った熱に溶けながら、じわりじわりと降りてくる。 奴らが親切に水や食料を運んでくるとは思えない。このままでは、脱水症状に陥るのではなかろうか。 嫌な考えに、顔が歪む。 「ったく、なんでオレがこんな目に。冗談じゃねえ」 「誰のせいだと思っているんだ」 滴る汗に首筋をなぞられる不快感に、舌打ちしながら呟くと、背後から押し殺したような硬い声が 返ってきた。 すぐ、後ろ。 こちらと同じく戒められ、背中が触れ合う距離に...
  • 24-159
    宇宙人 明るくて口数の多いあなたなのに愛してるとは言わないね だから僕も言わないよ。あなたの負担になったら生きていけないから。 過酷な運命のあなただから、辛い事ばかりの中で いつしか人を愛するのが怖くなったんだよね? 僕と居て少しは気が休まった? この星を異星人から守るために戦う僕たちのためにあなたはやって来た。 誰ひとり知り合いも居ない星で、非情な決断もしなくちゃならないし 誰にも分かってもらえない孤独を抱えて眠る事も忘れていたあなた……。 あぁでも最近は眠る事も増えてきたね。 真夜中に目を覚ましてあなたの寝顔を見るのが 今の僕の楽しみなんだって、あなたは知ってる? いつ命を落としてもおかしくない戦場で、僕は長生きできないと思う。 でも、そんな事に関係なくあなたはいつか生まれた星へ帰ってしまう。 あなたが去るのが先か、僕が死ぬのが先か…...
  • 10-159
    恋をしてください 人が恋に落ちるのを初めて見たり、するものじゃなくて落ちるものな恋なんて 自分にはありえないことだとずっと思っていた 今、俺は恋をしている 運命の恋だとは思っていない それはその相手が相手だから 「あーーーーカレー食いたい」 そこでごろごろしている無神経男にも 誰かを思って涙していたような日々を経験していたのだろうか 今、俺があなたに向かって恋焦がれているように 「なんだよそんなにオレのことじろじろと見て」 「いや、小汚い姿で寝てる姿が汚らわしいと思って」 「お前はいつでもムカツク男だなあ」 悪口も強がりも、あなたにかまってほしいから かまわれたくない、けどかまってほしい 「…な、なんでそんな泣きそうな顔すんの」 「あなたは、泣きたくなるような恋なんて知らないから」 「意味がわからないぞ」 ...
  • 28-159
    お菓子作りの上手い攻め 「今日はね、モンブランにしてみたんよ」 甘い香りを漂わせながら台所から出て来た武士の両手には、皿に乗った美味しそうなケーキが一つずつ。 見た目も綺麗で、店に出してもおかしくない出来に見える。 「おぉー!さっすがたけやん、天才!」 こいつは武士と書いて「たけし」なんて読むいかつい名前を持ち、いかにもスポーツマンですというごっつい風体をしておきながら、趣味はお菓子作りというちょっと変わった奴だ。 友人間のあだ名は「ぶし」。名前と見た目のせいか一部の人間には怖がられえている。 親友の俺は小学生の時から「たけやん」呼びを変えていない。多分今こう呼んでるのは俺一人だろう。 「や、褒めても甘いもん以外何も出んから」 あ、照れてる。何だかこっちもニヤニヤ笑いが止まらない。 この瞬間が一番好きだ。 だってこいつがお菓子を作ってる所を...
  • 7-159-1
    一万円札×千円札+五千円札 「おい滝、こーら起きろ」  よく知った声が耳元でする。ちかちかと、規則正しい音と低音でまとわりつく振動が、なんだか耳障りだ。 「う? 何ですマキさん……」  好きなひとの声がこんな近くなのに、本当にうるさいなこの音。 「おめー酔い過ぎだ。タクシー着いたぞ」  ほれ、と乱暴に引き起こされる。しっかりした胸に転がり込んで、俺はその時多分笑ったのだと思う。 「平和な顔しやがってこの。財布出せ、払っとくから……って、げ。おめー五千円と千円一枚ずつしかねーのかよ、やっべー……あ、済みません運転手さん。俺も降りますから。はい、確かに。おら立て。滝、タキ? シノブちゃん、いー加減にしねーとだっこするぞ」 「はぇ?」  両足と背中を支えられて、俺は耳障りな空間から連れ出された。 「マキさんなに……」 「おめーが面倒がって金降ろしとかねーから俺までタク...
  • 16-109
    秘密を告白したあとで お慕いしていました。 貴方が戦火の中の村から俺を拾って下さった時から。 「おまえはもう私の子なのだから、下を向く必要などないのだ」と微笑んで下さった時から。 拾われてすぐに教え込まれた学問も剣術も、学ぶ喜びが無かったわけではありません。 ですが、貴方の喜ぶ顔を見たくて、大きな手で頭を撫でてほしくて、 私のことを誇らしげに語る貴方の姿を見たくて努力していたことを、貴方は知っていたでしょうか。 下賤の子だという侮蔑と嘲笑、暴力には、絶望を感じたことはありませんでした。 貴方がいたから。貴方さえそばにいて下されば、他のことなどどうでも良かったのです。 私のすべては貴方のためにありました。 あの日、国の領土を広げるため決断した結婚に、貴方は苦渋の色を浮かべました。 「おまえには愛する人と一緒になって欲しい」と静かに私の目を見つ...
  • 16-179
    昨日 昨日はたった一度きり そしてそれは取り返しがつかない1日だったり 何もなかったように忘れさられる1日だったり 昨日が終われば今日になり 今日は明日には昨日になる もう戻れない、もう戻らない昨日 けれど忘れてはいけない 昨日があるから今があり そしてそれは未来へと続いて行く それは、 ささやかな光 ささやかな幸福 ささやかな記憶 ささやかな痛み そんな昨日を、僕は愛する 昨日
  • 16-139
    つ まとめBBSのチラシの裏 ソムリエスレのコピペ マンション一階の郵便受けを覗いたら見慣れたDMに混ざってチラシが入っていた。 近所のスーパーの安売りチラシ。 黄色いざらざらする紙は片面刷りで、裏には鉛筆で文字が書かれている。 【ゆーきくんがだいすきです。  おおきくなったらおれのおよめさんになってください。】 俺の名前はユウキだけれど平仮名の手紙を貰う覚えはない。 差出人の名を探したけれど、どこにも書かれてはいなかった。 「ゆーきくん、か……」 まだ俺が高校生だったとき、俺の名を優しく呼んでくれた人がいた。 近所に住んでいた松本さんを俺は愛していた。 松本さんは奥さんを早くに亡くされて、まだ二つの息子さん、あきらくんと二人暮らしだった。 その時の俺はとにかく夢中で松本さん以外は何も目に入らなかった。 だから近所や親が俺と松本さんの仲を疑ってるのに気づけな...
  • 16-119
    愛してはいけない人 「ご結婚、決まったそうですね。おめでとうございます」 仕事終わりの合図であるコーヒーに砂糖を2杯溶かし、社長室のシンプルな椅子に座るまだ年若い幼馴染に差し出す。 「それ、本気で言ってるのか」 いつもより低い声がかすかに震えているのが分かる。 「ええ、秘書として社長の幸せを喜ばしく思っていますよ」 「そうじゃない!」 縋るような目で見上げられる。 若くして父親の会社を継ぎ、毎日それなりの人数を動かしている男のものとは到底思えない情けない表情。 「好きだって、言っただろう」 「何のことです?」 「俺がずっと、学生の頃からお前が好きだと言ったとき、お前も俺が好きだと言ったはずだ」 「はい、言いましたね」 じゃあなんで、というような表情で僕を見上げる。なんて情けない。 そうか、僕の前では貴方の弱い部分も全部見せてください、なんてくだらない台詞を...
  • 16-199
    純情 「…ふざけんなよお前!」 「ビックリした!ちょ、どうしたんスか先輩、急に」 「どうしたじゃねぇ!何?彼女できたからだぁ?!」 「そうなんスよ、実に7ヶ月ぶりの女なんスよぉこれがw」 「そんなこと聞いてねぇよ!てか彼女と遊んでたから練習無断欠席だと!?しかも1週間も!?そんなバカみたいな嘘で許されると思ってんのか?!」 「ちょっと落ち着いてくださいよ!それに嘘じゃないっスよ!…ほら、これ、彼女の写メです。なかなかっしょ?」 「…っ、どうでもいいそんなの!お前な!お前の勝手で部員全員に迷惑掛けたってこと自覚してんのか?!それなりの覚悟はあるんだろうな!?」 「…」 「なにニヤニヤしてんだ気持ち悪ぃな!黙ってないで何とか言えよ!」 「…じゃあ、先輩」 「なんだよ」 「今の先輩ってさぁ…『部の先輩』として『後輩が不甲斐ない』から怒ってるんじゃなくて実は『想い人』...
  • 19-159-1
    優しい手 「ちょっと二人で話がしたいので席を外してくれないか?」 久しぶりに遊びにきた友人が彼に言った。ドアのしまる音がする。彼の気配がなくなる。 「最近誰もこの館に来ない理由を知っているかい?」 「忙しいんじゃないのかな」 「違うな。君に愛想を尽かしたんだ」 「そりゃあ、僕といてもつまらないだろうね」 「君が事故で視力を失ってもう10年経つ。いい加減ある程度のことは自分でできるようになっているはずだ。なのに君は未だに彼がいないと何もできない」 「彼の仕事は僕の世話をすることだ。彼は僕の目になってくれる」 「食事くらい一人でできるだろう? 階段を下りるくらい抱えられなくてもできるだろう? シャワーを浴びる時でさえ彼はそばにいるらしいじゃないか」 「君は目が見えるからそう言えるんだ」 「彼がわざと皆と君を遠ざけているという話も聞く。僕は友人のひとりとして心...
  • 24-159-1
    宇宙人 「あぁっっっっちぃー」 熱帯夜だというのに、俺は友人の星野に呼ばれて近所の高台にある公園にきていた。 「なぁに言ってんだよ宇野!今日は流星群だぞ⁉宇宙人からの何らかのメッセージを見逃したらどうすんだよ!」 星野は昔から宇宙人が大好きで、流星群なんか起きた日にはテンションが上がりまくる。その度に連れ回される俺のことも少しは考えてほしい。 星野に腕を引かれながら、この町で一番高い公園の丘を登る。 いつもは体を触られることなんて滅多にないのに。この時だけはなりふり構わないようだ。 頂上で空を見上げると、ちょうど星が流れ始めているところだった。 「うおおおおおおおスゲー‼宇宙人よ、オレの前に現れてぇぇぇぇ‼」 星野は流星群に夢中だ。だから気づかない。俺が星野の顔を見つめている事も、俺がどんな気持ちで星野の宇宙人狂...
  • 27-159-1
    どこか狂ってる人とその彼をうまく扱える人  リュウヤが白衣のまま玄関に倒れこんできた。  疲労困憊、顔面蒼白。まさにそんな感じで。俺は慌てて駆け寄った。 「た、だいま」 「おい!リュウヤ!」  蹲ったまま息を荒げているリュウヤの顔を覗き込むと、リュウヤは思いの外強い眼光でこちらを見た。  そしてもう一度、言い聞かせるように言う。 「ただいま」  やれやれ。言いたいことはわかった。 「……おかえり。大丈夫なのか」  そう言うと、リュウヤは満足そうにニヤッと笑った。  こいつは俺が「おかえり」と言うのを聞くのが好きらしい。  たまに言い忘れると、「おかえり」と言うまでこっちの話を聞いてくれない。 「大丈夫。根を詰めすぎただけ」  そう言って立ち上がろうとするのを押しとどめる。 「待て。肩貸すから、よっかかれ」  よほど辛いのか、素直に肩に手を...
  • 16-179-1
    昨日 昨日のことを思い出した。 村上と、夕方まで一緒にいた。 駅で別れる時間まで、駅ビルのでっかい本屋で心ゆくまで新刊漁ったり、専門書パラ見したりした。 本屋に入る前に公園で飲んだ暖かい缶コーヒーのおかげで、実にゆったりした気分で過ごした。 公園の桜はすっかり散ってしまっていたが、枝変わりなのか、 一枝だけ、もうまばらな花を残している木があって、 それが風に吹かれて最後の花びらを散らすのを、ベンチで見ながら飲んだ缶コーヒーだった。 村上が、 「まるで祝福の」 言ったと同時に、自分でも無意識の正拳突きが奴の腹に決まったっけ。 「さっき食べた天津飯がぁ……」 悶えた村上。これ見よがしに大盛りなんか食べたからだ、馬鹿。 あいつのアパート近くの中華料理屋は天津飯が美味いんだ。ラーメンは不味いけど。 俺の方は少々食欲不振だったから、嬉しそうに注文する村上にちょっとむ...
  • 16-149-1
    誇り 自分なりの誇りを模索しつつ戦う王子の話はいかがでしょう。  以下、無駄に膨大なあらすじ&シーン抜き取りです。女の子も出てくるので注意。  舞台は小さいけど豊かな国。  美しい港、肥沃な大地、実直で勤勉な人々のおかげでその王国は栄えていた。  しかしその恩恵を受けようと、強欲な隣国の軍が王国への侵略を度々企んだ。  その度に人々は結束し、勇敢に戦って敵を退けてきた。  主人公は王子。若くして戦線に立って指揮を執り、 圧倒的に不利な状況をひっくり返して勝利を収めたために 他の国からも自国の民からも希代の名将として特別視されている。  王子は自国の平和を乱し、搾取を狙う隣国を激しく憎み、 「国のために戦い、誇りのために死ね」というモットーで鬼神のごとく戦った。  兵士達は王子の言葉に奮い立ち、死を恐れずに敢然と敵に立ち向かったのだった。        ...
  • 12.5-159
    試合で破った敵校の先輩と偶然再会 「あっ!」 渋谷の繁華街でばったり出会った俺達は同時に叫んだ。 一人はもちろん俺で、もう一人はこの間バスケの試合で負かした相手校の先輩だ。 俺のめちゃくちゃ恋い焦がれてる人でもある。 去年の大会で彼のプレイを観て一目惚れしたんだ。 もっと早くに彼の存在を知っていたなら同じ高校に入っていたのにと悔しく思う。 「先輩」 「なっ!お前なんか俺の後輩でも何でもねえだろ!気安く先輩なんて呼ぶなよ!」 やはりこないだの試合の時、彼ばかり散々マークしてること根に持ってるようだ。 あれは何も嫌がらせした訳ではなく、ましてや勝つ為の戦略などでもなく、 俺の個人的問題だったんです、先輩。 監督からエースの彼のマークに付けと言われた時は小躍りしたくなるほど嬉しかった。 こんなに密着出来る機会なんてそうそう無い。 試合なんかどうだって...
  • 27-159-2
    どこか狂ってる人とその彼をうまく扱える人 扉の開く音がした。目をやるとドアのところに長身の男が立っている。 相変わらずのスーツ姿、手には黒い杖。 彼を一瞥して、またすぐ空を眺める姿勢に戻る。今日は雲が多い。 「おはよう。気分はどうだい」 背後から声がする。 「食事に手をつけていないんだって?食べないともたないよ。それに、せっかく君の為に  家政婦のマリアが腕をふるっているのだから、食べてくれないと彼女が悲しむ。  あとでまた運ばせるから、どうか食べてやってくれ。味なら僕が保証しよう。マリアの料理は絶品だ」 マリアという人のことなど知らない。 こつこつと杖をつく音がして、声がすぐ傍まで近付いてくる。 続けてわざとらしい溜め息が聞こえてきた。 「せっかくあの牢獄から助け出してやったというのに。まったく助け甲斐の無い奴だな、君は」 「ここも牢獄だ」 窓に嵌めら...
  • 19-159-2
    優しい手 ◆優しい手 手「お帰り。お疲れさま、頑張ったね。え?……いや、お世辞じゃなく、本心からそう思っているよ。   君は本当によく頑張った。ん?子供扱いなんてしてないさ。たまには大人しく、俺に撫でられなさい」 ◆乱暴な足 足「まだ落ち込んでやがんのか。いつまで経ってもウジウジウジウジ……オマエ男だろ。   いーかげん鬱陶しいんだよ、蹴るぞコラ。失敗がなんだってんだ。何度でも立ち上がれよ」 ◆自惚れ屋な胸 胸「ハッハッハ。さあ、飛び込んでくるがいい!この私が偉大な包容力で受け止めてやろう!   なに?…違う。それは君の方だ。私はドキドキなどしていない。していないったらしていない!」 ◆口下手な口 口「え、えーと…、あの、……あの。……どうしよう、何て言えばいいか、ぐるぐるしてしまって…   僕は言葉でしか、あなたに伝えられないのに……えっ...
  • 16-179-2
    昨日 実は僕は超能力者でしてね、妙な時間に俺を呼び出したそいつは素っ頓狂な事を言い出した。 「といっても気づいたのは最近で、どうやらある『1日』を何度もループさせる力があるんみたいなんです」 じゃあお前は『今日』を何度も体験してたりするのか? 「その通り。かれこれ1週間は今日…というか僕にとっては、昨日であり一昨日でもありそのまた前の日でもあるというややこしい状態なんですが、4月20日が続いています」 ずっと同じことをやり続けているのか? 「仮説ですが、僕が今日という日にやり残した事を悔やむ思いから、こんな力が芽生えたのかと思いまして」 起きる時間、通る道、食事のメニュー、話相手などなど、とにかく片っ端から違う『今日』を試してみたのだと言う。 「試行錯誤した結果、やはりあなたしかいない、と思いまして」 確かに俺は明日から結構な期間海外研修に出る身だが、なんか俺に恨み...
  • 16-359-1
    いたずら 「お前のことが、好きだったよ。ずっとさ」  笑いながら紘介が言った。口の端が奇妙に歪んで、震えたようにみえた。……気付かない振りをした。  高校時代の友人の結婚式で、5年ぶりに紘介と再会した。  特に何があったわけでもないが、紘介とは大学が離れて以来どちらからともなく連絡をとらなくなった。よくある話だ。  中学高校といつも二人でいて、ワンセットとして扱われていた。部活も同じテニス部で、弱小だったけれど6年間ダブルスも組んだ。当時の自分は屈託がなくて、しょっちゅう紘介にいたずらを仕掛けては二人で笑い転げていた。  大学を離れてからも何度も連絡をとろうとしたのに、メールの文章に悩んで、電話の話題に困って、結局連絡の頻度は減っていった。紘介の口から自分の知らない誰かの話を聞くのも嫌だと思った。 「俺の家近くなんだけど。…明日休みなんだったらさ、うちで飲み...
  • 16-259-1
    漢を目指す受とそれを必死で止める攻 『ボビーになってきます。2週間で帰ってきます。何も言わずにいなくなってゴメン』 いつも通りネギのささった買い物袋を提げ、合いカギを使い、上機嫌で部屋の扉を開けた俺を待っていたのは 誰もいない片づけられた部屋と一枚の簡単な書き置きだった。 「…は?」 俺の頭の中をあらゆるクエスチョンマークが埋め尽くす。 いやいやいやまてまてまてまて待ってくれ ボビーになる?誰が?お前が?お前は生粋の日本人だろう?いやその前に人は他人になれるのか?2週間てなんだ?それって国籍変更の申請期間?というかこの部屋は?てかなんでお前いないの?なんでキレイなの?? しばらく呆然と立ちすくむ。どさりと買い物袋が崩れ落ちる音がした。その音で思考停止だった頭が再びフル回転し始める。そしてやっと、理解した。 「あ…のや、ろーーーーー!!!!!」 魂の限り雄たけびを...
  • 6-169
    笑わない人 写真の中のあいつは、いつも堅い表情を崩そうとしない。 日常のスナップでも、人生の節目にあたる行事ごとでも、 彼の端整な容貌は、どこか憂いの帯び翳っている。 「……だって、カメラ嫌いなんだもん」 「ばぁか! いまどき魂を抜かれるだなんて信じているほうが可笑しいよ」 「お前は俺のおばあちゃんが嘘つきだって言うのか!」 「や、や、そうじゃないけど」 こいつの笑顔をなんとか写真に収めたい。 悩んだ俺は、ある名案を思いついた。 「なあ、絵を描くからモデルになってくんない?」 「モデル? いいけど全裸とかは御免だぜ」 「そのまんまでいいよ、五分でいいから、そこの椅子になるべく動かないで座ってて」 新緑の街路樹が見下ろせる明るい窓辺に座ったあいつを、俺はスケッチしていった。 「美大じゃ、写真だけじゃなく絵も描くのかよ」 「おっ...
  • 16-059
    高気圧×低気圧  昼食時、今日もまた今井君がひやむぎ定食を半分以上残して、 無言で空になった俺の皿と自分の皿を交換してくる。さりげなく。 俺も、もう特に何も言うこともなく、当然のように、残りの0.5人前をたいらげる。 前に今井君が、俺にだけ聞こえるか聞こえないかの一人言みたいに、言った。 すごいね、吸い込まれるみたいだね。なんで、そんな食えんの。 え、なんでって、まぁ…全然いけますよ。 「吸い込まれるみたいだ」って言葉にやけに、ヒヤリとした。 そんな気持ちで今井君の横顔を見ている自分に、 気付いたばかりの時だったから。 自分も気圧の知識がなかったwでも文章とかの雰囲気は好き!お次どうぞ
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